JP2964322B2 - 防滑性タフテッドパイル布帛 - Google Patents

防滑性タフテッドパイル布帛

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JP2964322B2
JP2964322B2 JP24040897A JP24040897A JP2964322B2 JP 2964322 B2 JP2964322 B2 JP 2964322B2 JP 24040897 A JP24040897 A JP 24040897A JP 24040897 A JP24040897 A JP 24040897A JP 2964322 B2 JP2964322 B2 JP 2964322B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ニードルによって
パイル糸を一次基布に差し込んでパイルを形成したタフ
テッドパイル布帛の使用中におけるスリップ防止に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】タフテッドパイル布帛をカーペットやダ
ストコントロールマットその他の出入口マットとして置
き敷き使用中に生じるスリップを防止するため、その裏
面に防滑性シートや防滑性樹脂組成物を裏打積層する方
法が採られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】タフテッドパイル布帛
の裏面に防滑性シートや防滑性樹脂組成物を裏打積層す
る工程はタフテイング後の工程となるので、その後工程
が増えた分だけタフテッドパイル布帛の受注に迅速に対
応(クイックオーダー)し難くなり、又、防滑性シート
や防滑性樹脂組成物を裏打積層する工程では加熱が必須
手段となるので、熱収縮によるタフテッドパイル布帛の
変形やパイル長の不揃いやパイル面の変色脆化等が問題
になり易く、時代の要請でもある省エネルギー化に応え
られない。
【0004】
【発明の目的】そこで本発明は、タフテイング後に特別
な処理を行うことなく、防滑性タフテッドパイル布帛を
得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係るタフテッド
パイル布帛18は、一次基布13のバックステッチ面
が、一次基布13を構成する繊維よりも滑り難い皮膜を
形成する樹脂組成物11によって構成されており、一次
基布13のバックステッチ15が重なる箇所19が隣合
うバックステッチ間15・15よりも薄く窪んだ溝16
を形成し、隣合うバックステッチ間15・15における
樹脂組成物層11の表面17が少なくともバックステッ
チ15の高さまで隆起していることを第1の特徴とす
る。
【0006】本発明に係るタフテッドパイル布帛18の
第2の特徴は、上記第1の特徴に加えて、樹脂組成物1
1が2〜7倍の発泡倍率をもって発泡していることにあ
る。
【0007】本発明に係るタフテッドパイル布帛18の
第3の特徴は、上記第1の特徴に加えて、一次基布13
が、毛羽を有する基布12の当該毛羽を有する面に、2
〜7倍の発泡倍率をもって泡立てた発泡樹脂組成物11
を塗着して構成されていることにある。
【0008】本発明に係るタフテッドパイル布帛18の
第4の特徴は、上記第1の特徴に加えて、一次基布13
が、基布12に積層してニードルパンチングを施した繊
維ウェブ14の上に2〜7倍の発泡倍率をもって泡立て
た発泡樹脂組成物11を塗着して構成されていることに
ある。
【0009】本発明に係るタフテッドパイル布帛18の
第5の特徴は、上記第1および第2、第3、第4の何れ
か1以上の特徴に加えて、樹脂組成物層11が、その樹
脂組成物11によって無発泡のフイルム状に調製された
縦5cm、横5cm、厚み0.5mmの試験片を、縦5
cm、横5cm、高さ5mmの正方形のガラス板の底面
に貼り付け、その試験片を下向きにして水平なガラス板
に載せ、試験片を貼り付けた正方形のガラス板の上に1
kgの荷重を載せ、その正方形のガラス板を水平に引っ
張って動きだす時の引張荷重によって表される摩擦係数
が1700g以上となる物性を有することにある。
【0010】本発明に係るタフテッドパイル布帛18の
第6の特徴は、上記第1および第2、第3、第4、第5
の何れか1以上の特徴に加えて、樹脂組成物層11が、
その樹脂組成物によって無発泡のフイルム状に調製さ
れ、JIS・K・6301「加硫ゴム物性試験方法」に
従って2号形ダンベル状に調製された試験片を摘み代間
の間隔を2cmとして500±25mm/min定速引
張試験機にセットして破断時の荷重と伸び率を測定し、
破断時の荷重を試料片の断面積で割って算出される破断
強度が33kgf/cm2 以下であって破断時の伸び率
が500%以下となる物性を有することにある。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明では、隣合うバックステッ
チ間15・15から滑り難い樹脂組成物11の表面17
がバックステッチ15の高さまで隆起しているので、そ
れを床面に置き敷き使用するときは滑り難い樹脂組成物
層11の表面17が床面に触れるので、タフテイング後
に防滑性樹脂組成物を裏面に塗着しなくても、置き敷き
使用中にスリップしないタフテッドパイル布帛が得られ
る。
【0012】そのように隣合うバックステッチ間15・
15から樹脂組成物層11の表面17がバックステッチ
15の高さまで隆起させるには、一次基布13のバック
ステッチ面を嵩高にし、タフテイング時のパイル糸21
のテンションによってバックステッチ15が一次基布1
3のバックステッチ面に深く食い込んで溝16を形成
し、その窪んだ溝16の深さ分だけ隣合うバックステッ
チ間15・15の樹脂組成物層11の表面17が相対的
に高く隆起するようにする。そのためには、樹脂組成物
層11を発泡させて嵩高にするか、又は、樹脂組成物層
11を嵩高な基布12に積層する。その嵩高な基布12
は、片面を起毛した起毛布帛や片面に繊維ウェブ14を
積層してニードルパンチングを施したニードルパンチン
グ布帛のように、バックステッチ15が食い込む面、即
ち、樹脂組成物11を塗着する片面だけが嵩高になって
いればよい。
【0013】通常、カーペットやダストコントロールマ
ットその他の出入り口マット、タイルカーペット等に使
用されるパイル糸の太さは1mm前後であり、人工芝生
やシャギーカーペットに使用される比較的太手のパイル
糸の太さも3mm以下なので、基布12に積層する発泡
樹脂組成物層11の厚みや基布12に積層する繊維ウェ
ブ14の厚みは1〜5mmであればよい。
【0014】樹脂組成物11の発泡倍率を2〜7倍にす
るのは、その発泡倍率が2倍以下になると、樹脂組成物
11を相当厚く塗布しなければ、タフテイング時にパイ
ル糸21のテンションによってはバックステッチ15を
樹脂組成物層11に深く食い込ませ難く、その反面、そ
の発泡倍率が7倍以上になると、隣合うバックステッチ
間15・15から隆起した樹脂組成物層11の表面17
が摩耗したり剥離脱落し易くなるためである。
【0015】しかし、その発泡倍率が2倍以下であって
も、発泡樹脂組成物層11が脆弱で弾力復元力が少ない
場合には、タフテイング時にパイル糸21のテンション
によって樹脂組成物層11が破壊されてバックステッチ
15が深く食い込み、バックステッチ間15・15の発
泡樹脂組成物層11の表面17が相対的に高く隆起した
タフテッドパイル布帛を得ることが出来る。
【0016】何故なら、タフテイング過程で一次基布1
3は連続して搬送されており、一次基布13に差し込ま
れるニードル22は、図1に図示するように、一次基布
13の送出側23では一次基布13の送出を止めるよう
に作用する一方、一次基布13の引出側24では引出ロ
ールから伝わる引張応力に逆らって一次基布13を引っ
張るように作用するので、ニードル差込箇所に前後する
送出側の緯糸23と引出側の緯糸24の間に出来るニー
ドル貫通孔25は縦長に引き伸ばされることになる。そ
の結果、発泡樹脂組成物層11が伸び難く破断し易けれ
ば、その縦長に引き伸ばされるニードル貫通孔25に沿
って破断した亀裂26が発泡樹脂組成物層11に出来易
くなり、その縦長の亀裂26が出来ると、その亀裂26
が出来た分だけバックステッチ15の嵌合する溝16も
深くなり、バックステッチ15が溝底19から押し返さ
れることなく発泡樹脂組成物層11に深く食い込み、バ
ックステッチ間15・15の発泡樹脂組成物層11の表
面17が相対的に隆起することになる。尚、図中、27
は、ルーパーであり、28は、パイル糸をカットするナ
イフである。
【0017】そのように発泡樹脂組成物層11に縦長の
亀裂26が出来易くするには、無発泡のフイルム状に調
製されJIS・K・6301「加硫ゴム物性試験方法」
に従って2号形ダンベル状に調製された試験片を摘み代
間の間隔を2cmとして500±25mm/min定速
引張試験機にセットして破断時の荷重と伸び率を測定
し、破断時の荷重を試料片の断面積で割って算出される
破断強度が33kgf/cm2 以下であって破断時の伸
び率が500%以下となる物性を有する樹脂組成物(1
1)を使用するとよい。
【0018】そのようにバックステッチ15が深く食い
込んだ溝16では、その食い込んだ分だけバックステッ
チ15が発泡樹脂組成物11に強く密着すると共に、バ
ックステッチ15と発泡樹脂組成物11との接着面積が
増えるので、そのバックステッチ15から続くパイル2
0の抜糸強度もアップする。
【0019】そのように防滑性を付与すると共に抜糸強
度を改善するには、発泡樹脂組成物11に、その樹脂組
成物11によって無発泡のフイルム状に調製された縦5
cm、横5cm、厚み0.5mmの試験片を、縦5c
m、横5cm、高さ5mmの正方形のガラス板の底面に
貼り付け、その試験片を下向きにして水平なガラス板に
載せ、試験片を貼り付けた正方形のガラス板の上に1k
gの荷重を載せ、その正方形のガラス板を水平に引っ張
って動きだす時の引張荷重によって表される摩擦係数が
1700g以上となる物性を有するものを用いるとよ
い。
【0020】片面を起毛した起毛布帛や片面に繊維ウェ
ブ14を積層してニードルパンチングを施したニードル
パンチング布帛に樹脂組成物11を塗着する場合、タフ
テイング時にパイル糸21に作用するテンションによっ
てバックステッチ15が起毛毛羽や繊維ウェブ層14に
深く食い込み、その結果、バックステッチ間15・15
の樹脂組成物11の表面17が基布12の起毛毛羽や繊
維ウェブ層14に押し返されるようにして隆起すること
になるので、一次基布13の起毛毛羽や繊維ウェブ層1
4と樹脂組成物層11との合計厚みをパイル糸21の太
さよりも厚くなる1〜5mmにすれば、必ずしも樹脂組
成物11を発泡させて嵩高したり全面均一に塗布する必
要はなく、例えば、点状、線(縞)状、格子状、市松模
様状等、模様状に塗着することも出来る。
【0021】しかし、樹脂組成物11を発泡させずに塗
布すると、その塗布面が樹脂組成物11が浸透し易い嵩
高な起毛毛羽や繊維ウェブ14なので、一次基布13が
硬く仕上がり、一次基布13から受ける抵抗が大きくな
ってニードル22が差込み難くなる。
【0022】このため、起毛布帛やニードルパンチング
布帛に樹脂組成物層11を塗着する場合にも、それを機
械的に泡立てて塗着することが望ましく、特に、発泡樹
脂組成物11を点状、線(縞)状、格子状、市松状等模
様状に塗着すると、裏面が美しくなってタフテッドパイ
ル布帛の商品価値が高まり、又、ニードル22が一次基
布13から受ける抵抗が少なくなってタフテイングし易
くなる。
【0023】そのように起毛布帛やニードルパンチング
布帛に樹脂組成物層11を積層した一次基布13を使用
する場合にも、一次基布13のバックステッチ15が重
なる箇所19には溝16が出来、そこに嵌まり込んでバ
ックステッチ15が防滑性樹脂組成物11に密着し、バ
ックステッチ15と防滑性樹脂組成物11の接着面積も
増えるので、パイル20の抜糸強度がアップする。従っ
て、本発明によると、樹脂組成物11を発泡させて厚く
塗布した一次基布13を使用する場合にも、又、起毛布
帛やニードルパンチング布帛に樹脂組成物11を塗着し
た一次基布13を使用する場合にも、防滑性を有しパイ
ルの抜糸強度の強いタフテッドパイル布帛18が得られ
ることになる。
【0024】樹脂組成物11には、ポリアクリレート、
酢酸ビニル・エチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、スチ
レン・ブタジエン共重合体、ポリクロロプレン、アクリ
ロニトリル・ブタジエン共重合体、メチルメタクリレー
ト・ブタジエン共重合体、ポリウレタン等が使用され、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸
亜鉛、塩基性炭酸鉛、水酸化第二鉄、珪砂、タルク、ク
レー等の充填剤、ラウリル硫酸ナトリウム、アルキルジ
フェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ポリオキシ
エチレンアルキルフェノールエーテル硫酸ナトリウム、
ステアリン酸アンモニウム、アルキルスルホサクシネー
ト、第四級アルキルアンモニウムクロリド等の起泡剤、
ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、メチ
ルセルロース等の増粘剤、エポキシ樹脂、メラミン樹
脂、イソシアネート化合物、亜鉛等の架橋剤を配合し
て、樹脂組成物層11の破断強度、伸び率、摩擦係数が
調整される。
【0025】
【実施例1】400dのポリプロピレンテープヤーンを
経糸とし、930dのポリプロピレンテープヤーンを緯
糸とし、経糸密度が22本/吋であり、緯糸密度が10
本/吋であり、目付が80g/m2 の織物(12)を製
織した。この織物(12)の上に、ポリエステル繊維ウ
エブ(目付120g/m2)を積層してニードルパンチン
グを施し、その繊維ウェブの積層面(14)に、アクリ
ル樹脂エマルジョン(日本合成ゴム株式会社製品AE5
00、樹脂固形分60重量%)100重量部、水酸化ア
ルミニウム100重量部、起泡剤5.1重量部に増粘剤
を配合して粘度10,000mPa.s(BM型25
℃、No.3−6rpm)に調製したコンパウンド(固
形分65重量%)100重量部に架橋剤(エポキシ樹
脂)1重量部を配合した樹脂組成物を泡立てて厚み2m
mの樹脂組成物層(11)を積層して一次基布(13)
を製造した。その樹脂組成物層(11)をバックステッ
ク面に向けた一次基布(13)に、ニードルゲージ1/
8吋、ステッチゲージ35本/10cmのパイル密度を
もって、総デニール800dのアクリル繊維パイル糸を
タフテイングし、パイル長8mmのカットパイルタフテ
ッドパイル布帛(18)を得た。このタフテッドパイル
布帛の2本引きパイル抜糸強度(JIS−L−440
5)は、5.8N/2本引きパイルであった。このタフ
テッドパイル布帛のバックステッチ(15)は一次基布
(13)の裏面の樹脂組成物層(11)に食い込んで密
着し、一次基布(13)からのパイル(20)の滑脱が
なく、隣合うバックステッチ(15)とバックステッチ
(15)の間における樹脂組成物層(11)の表面(1
7)はバックステッチ(15)の高さまで隆起してお
り、玄関マットとして置き敷き使用中にタフテッドパイ
ル布帛(18)のスリップは生じなかった。その樹脂組
成物(11)によって無発泡のフイルム状に調製した2
号形ダンベル状の試験片の破断強度は31kgf/cm
2 で破断時の伸び率は417%であり、又、その樹脂組
成物(11)によって無発泡のフイルム状に調製された
縦5cm、横5cm、厚み0.5mmの試験片の摩擦係
数は1730gであった。
【0026】
【実施例2】930dのポリプロピレンテープヤーンを
経糸とし、930dのポリプロピレンテープヤーンを緯
糸とし、経糸密度が14本/吋であり、緯糸密度が14
本/吋であり、目付が114g/m2 の織物(12)を
製織した。この織物(12)の上に、ポリエステル繊維
ウエブ(目付100g/m2)を積層してニードルパンチ
ングを施し、その繊維ウェブの積層面(14)に、実施
例1において調製した樹脂組成物を泡立てて厚み2mm
の樹脂組成物層(11)を積層して一次基布(13)を
製造した。その樹脂組成物層をバックステック面に向け
た一次基布(13)に、ニードルゲージ1/8吋、ステ
ッチゲージ35本/10cmのパイル密度をもって、総
デニール800dのアクリル繊維パイル糸をタフテイン
グし、パイル長8mmのカットパイルタフテッドパイル
布帛(18)を得た。このタフテッドパイル布帛の2本
引きパイル抜糸強度(JIS−L−4405)は、5.
8N/2本引きパイルであり、一次基布13からのパイ
ル20の滑脱がなく、玄関マットとして置き敷き使用中
にタフテッドパイル布帛(18)のスリップはなかっ
た。
【0027】
【比較例1】上記の実施例1で使用した400dのポリ
プロピレンテープヤーンを経糸とし、930dのポリプ
ロピレンテープヤーンを緯糸とし、経糸密度を22本/
吋とし、緯糸密度を10本/吋とした織物(12)の摩
擦係数は1070gであり、その織物に、実施例1と同
様に、ニードルゲージ1/8吋、ステッチゲージ35本
/10cmのパイル密度をもって、総デニール800d
のアクリル繊維パイル糸をタフテイングし、パイル長8
mmのカットパイルタフテッドパイル布帛を得た。この
タフテッドパイル布帛の2本引きパイル抜糸強度(JI
S−L−4405)は、0.5N/2本引きパイルであ
った。このタフテッドパイル布帛は、玄関マットとして
置き敷き使用中にスリップした。
【0028】
【比較例2】上記の実施例1で使用した400dのポリ
プロピレンテープヤーンを経糸とし、930dのポリプ
ロピレンテープヤーンを緯糸とし、経糸密度を22本/
吋とし、緯糸密度を10本/吋として製織した織物にポ
リエステル繊維ウエブ(目付120g/m2)を積層して
ニードルパンチングを施したニードルパンチング布帛の
繊維ウェブの積層面の摩擦係数は500gであり、その
ニードルパンチング布帛に、実施例1と同様に、ニード
ルゲージ1/8吋、ステッチゲージ35本/10cmの
パイル密度をもって、総デニール800dのアクリル繊
維パイル糸をタフテイングし、パイル長8mmのカット
パイルタフテッドパイル布帛を得た。このタフテッドパ
イル布帛の2本引きパイル抜糸強度(JIS−L−44
05)は、1.3N/2本引きパイルであった。このタ
フテッドパイル布帛は、玄関マットとして置き敷き使用
中にスリップした。
【0029】
【発明の効果】本発明によると、バックステッチ間15
・15に防滑性樹脂組成物層11の表面17が隆起して
おり、それが置き敷き使用するとき床面に接触するの
で、タフテイング後に裏面に防滑性樹脂組成物を塗布裏
打しなくても、ダストコントロールマットその他の小サ
イズのカーペットとして使用してスリップせず、又、一
次基布13に嵩高な発泡樹脂組成物層11や繊維ウェブ
層14が積層されているので、クッション性、断熱性、
吸音性等の機能性に優れたタフテッドパイル布帛18が
得られる。
【0030】そして、本発明に係るタフテッドパイル布
帛18では、バックステッチ15が一次基布13の裏面
の滑り難い樹脂組成物層11に食い込んで溝内16に囲
まれるように密着しているので、一次基布13からパイ
ル20が滑脱し難く、従って、タフテイング後の裏打工
程を省略または簡略化することが出来、その結果、従来
タフテイング後の裏打工程の加熱によって生じていた一
次基布の熱収縮変形やパイル長の不揃い、パイル面の変
色脆化等のトラブルも回避され、省エネと言う時代の要
請に応えることが出来る。
【0031】そのように本発明に係るタフテッドパイル
布帛18では、その裏面に防滑性樹脂組成物を塗布して
防滑性を付与したり、裏打用接着剤を塗布してバックス
テッチ15を一次基布13に接着固定する必要がなく、
従って、タフテイング時に出来るニードル貫通孔25が
裏打用接着剤に塞がれることなく開放状態に保たれるの
で、通気性と透水性に優れ、水洗後に乾燥し易く、頻繁
に洗浄して使用されるダストコントロールマットその他
の小サイズのカーペットに適し、又、パイル面に水溜が
出来ず人工芝生にも適したものとなる。
【0032】又、本発明に係るタフテッドパイル布帛1
8では、一次基布13のバックステッチ面が樹脂組成物
11によって構成されており、そのバックステッチ15
が重なる箇所19の厚みが、隣合うバックステッチ15
とバックステッチ15の間における一次基布の厚みより
も少なくなっており、隣合うバックステッチとバックス
テッチの間における樹脂組成物層11の表面17がバッ
クステッチ15の高さまで隆起しているので、その裏面
に補強用の二次基布を貼り合わせる場合には、その裏打
用接着剤の使用量が少なくて済み、二次基布が密着して
浮き剥がれのないマット、カーペット、タイルカーペッ
トなどに仕上げることが出来る。
【0033】そして、本発明に係るタフテッドパイル布
帛18では、隣合うバックステッチ間の樹脂組成物層1
1の表面17がバックステッチ15の高さまで隆起して
おり、在来のタフテッドパイル布帛の裏面のようにバッ
クステッチが隆起した筋状凹凸がなく、裏面全体が平に
なっているので、樹脂組成物層11をパイル糸21と同
色に着色したり、樹脂組成物11を点状、線(縞)状、
格子状、市松状等、模様状に塗布することによって、そ
の商品価値を高めることが出来る。
【0034】更に、樹脂組成物11に酢酸ビニル・エチ
レン共重合体やポリ塩化ビニル等の熱融着性樹脂を使用
したタフテッドパイル布帛18では、その裏面に加熱ロ
ールを当てて平滑にし、同時に、樹脂組成物層11をバ
ックステッチ15に融着させることも出来、又、それを
加熱溶融させて二次基布を貼り合わせることも出来、従
って、二次基布を貼り合わせるための裏打用接着剤も不
要になり、或いは又、それを加熱軟化させて車両床材や
車両内装材に立体的に成形することも可能となる。
【0035】尚、本発明のタフテッドパイル布帛18
は、上記の通り、その裏面にタフテイング後に防滑性樹
脂組成物を塗着せずして防滑性を有するものであり、バ
ックステッチ15はタフテイング前のパイル糸21と同
様に毛羽立った状態にあるので、バックステッチ間15
・15の樹脂組成物11の表面17がバックステッチ1
5の高さまで隆起しているか否か正確に判定し難い場合
も生じるが、本発明の主たる効果がタフテイング後に防
滑性樹脂組成物を塗着せずして防滑性タフテッドパイル
布帛が得られる点にあるのであるから、タフテッドパイ
ル布帛を平らな床面やガラス板に置き敷きしたとき、バ
ックステッチ間15・15の樹脂組成物11の表面17
が床面やガラス板に触れるときは、その表面17がバッ
クステッチ15の高さまで隆起していると判定すべきこ
とになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るタフテッドパイル布帛のタフテイ
ング過程における一部切截斜視図である。
【図2】本発明に係るタフテッドパイル布帛の断面図で
ある。
【符号の説明】
11 樹脂組成物層 12 基布 13 一次基布 14 繊維ウェブ 15 バックステッチ 16 溝 17 表面 18 タフテッドパイル布帛 19 重なる箇所 20 パイル 21 パイル糸 22 ニードル 23 送出側 24 引出側 25 ニードル貫通孔 26 亀裂 27 ルーパー 28 ナイフ
フロントページの続き (72)発明者 太田 善夫 大阪府和泉市春木町810番地 吉川織物 株式会社内 (72)発明者 鎌田 晴久 岡山県都窪郡清音村上中島2番地 ワタ ナベ工業株式会社清音工場内 (72)発明者 横田 行弘 岡山県浅口郡里庄町新庄金山6063 渡辺 化成株式会社里庄工場内 (72)発明者 丹野 徹朗 三重県四日市市大治田1丁目6番16号 株式会社イーテック四日市事業所内 (56)参考文献 特開 昭47−24127(JP,A) 実開 昭53−104284(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A47G 27/02

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一次基布13のバックステッチ面が、一
    次基布13を構成する繊維よりも滑り難い皮膜を形成す
    る樹脂組成物11によって構成されており、一次基布1
    3のバックステッチ15が重なる箇所19が隣合うバッ
    クステッチ間15・15よりも薄く窪んだ溝16を形成
    し、隣合うバックステッチ間15・15における樹脂組
    成物層11の表面17が少なくともバックステッチ15
    の高さまで隆起していることを特徴とする防滑性タフテ
    ッドパイル布帛。
  2. 【請求項2】 前掲請求項に記載の一次基布13のバ
    ックステッチ面の樹脂組成物11が2〜7倍の発泡倍率
    をもって発泡していることを特徴とする前掲請求項1に
    記載のタフテッドパイル布帛。
  3. 【請求項3】 前掲請求項1に記載の一次基布13が、
    毛羽を有する基布12の当該毛羽を有する面に2〜7倍
    の発泡倍率をもって泡立てた発泡樹脂組成物11を塗着
    して構成されていることを特徴とする前掲請求項1に記
    載のタフテッドパイル布帛。
  4. 【請求項4】 前掲請求項1に記載の一次基布13が、
    基布12に積層してニードルパンチングを施した繊維ウ
    ェブ14の上に2〜7倍の発泡倍率をもって泡立てた発
    泡樹脂組成物11を塗着して構成されていることを特徴
    とする前掲請求項1に記載のタフテッドパイル布帛。
  5. 【請求項5】 前掲請求項1に記載の樹脂組成物層11
    が、その樹脂組成物11によって無発泡のフイルム状に
    調製された縦5cm、横5cm、厚み0.5mmの試験
    片を、縦5cm、横5cm、高さ5mmの正方形のガラ
    ス板の底面に貼り付け、その試験片を下向きにして水平
    なガラス板に載せ、試験片を貼り付けた正方形のガラス
    板の上に1kgの荷重を載せ、その正方形のガラス板を
    水平に引っ張って動きだす時の引張荷重によって表され
    る摩擦係数が1700g以上となる物性を有することを
    特徴とする前掲請求項1に記載のタフテッドパイル布
    帛。
  6. 【請求項6】 前掲請求項1に記載の樹脂組成物層11
    が、その樹脂組成物によって無発泡のフイルム状に調製
    され、JIS・K・6301「加硫ゴム物性試験方法」
    に従って2号形ダンベル状に調製された試験片を摘み代
    間の間隔を2cmとして500±25mm/min定速
    引張試験機にセットして破断時の荷重と伸び率を測定
    し、破断時の荷重を試料片の断面積で割って算出される
    破断強度が33kgf/cm2 以下であって破断時の伸
    び率が500%以下となる物性を有することを特徴とす
    る前掲請求項1に記載のタフテッドパイル布帛。
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