JP2962191B2 - 改質木材の製造方法 - Google Patents

改質木材の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、難燃化した木材を製造
する方法に係り、特に木材中に生成させた金属酸化物が
水の作用で溶出することを防ぎ、木材に難燃性を半永久
的に付与した改質木材を製造する方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】木材を
利用するにあたって、その特徴である「燃える」、「腐
る」、「寸法が狂う」といった性質が欠点となり、その
ために利用が制限されていることが多い。特に、平成2
年6月に建築基準法が改正され、開口部に木材が使用で
きるようになったが、甲種で60分、乙種で20分とい
う耐火炎貫通遮炎性基準をクリアせねばならず、木をそ
のまま使用してもこの基準を越えることは難しい。
【0003】本発明者らは、これらの欠点を改良した木
材の開発について鋭意検討した結果、木材にケイ素アル
コキシドを含浸させ、加水分解・重縮合によりケイ素酸
化物を木材細胞空隙に生成・固定させることにより、難
燃性、耐腐朽性、寸法安定性に優れた改質木材を見い出
した〔日本木材学会誌38(11),1043(199
2)〕。この製造方法は、金属アルコキシドのゾル−ゲ
ル法に基づくもので、金属アルコキシド−水−アルコー
ル−触媒の出発溶液において、金属アルコキシドは加水
分解と自己重縮合により金属酸化物のゾルとなる。溶液
は更に反応が進んでゲルとなる。この反応を木材細胞内
で行わせることで木材の金属酸化物による無機質複合化
は実現する。
【0004】しかしながら、木材と金属酸化物との複合
化のプロセスは、用いる金属アルコキシドの加水分解速
度に大きく依存し、その金属酸化物の木材細胞内分布は
調製条件で大きく異なることが近年の研究で明らかにな
ってきた。例えば、加水分解速度の小さいケイ素アルコ
キシドを用いた木材の無機質複合化では、用いた木材が
調湿試片(木材中に含まれる水はすべて結合水で細胞壁
内にのみ存在)の場合にはケイ素アルコキシドの加水分
解・重縮合反応は結合水の存在する細胞壁内でのみ進行
し、細胞内腔が空隙の無機質複合化木材が得られる。こ
の複合化木材は、木材の有する軽くて強く断熱性に富む
特性を維持したもので、木材の多孔質特性を維持しなが
ら、寸法安定性や難燃性、耐腐朽性を付与した改質木材
となる〔日本木材学会誌39(3),301(199
3)〕。しかし、用いる木材が飽水試片(細胞壁内のみ
ならず細胞内腔にも水が満たされたもの)の場合には、
細胞壁内のみならず、内腔をも金属酸化物が埋め尽くし
たケイ素酸化物による無機質複合化木材となることが明
らかとなった〔日本木材学会誌39(3),301(1
993)〕。
【0005】ところが、ひとたび用いる金属アルコキシ
ドが変わると全く異なった分布の無機質複合化木材が得
られる。例えば、加水分解速度の大きいチタンアルコキ
シドを用いた場合、調湿試片では、細胞内腔のみにチタ
ン酸化物が生成し、飽水試片では試片の外表面にのみ酸
化物が生成するのみで、試片内部は金属酸化物による複
合化ができない等の知見が得られている〔日本木材学会
誌39(3),308(1993)〕。
【0006】更に、これらの知見をもとに、金属酸化物
の細胞内分布と付与される機能との関連を調べてみる
と、細胞壁内に選択的に金属酸化物を複合化することに
より、わずかな金属酸化物の生成で効果的に諸機能を発
現し得ることが明らかになった。このような複合化が可
能なものとしてケイ素アルコキシドやホウ素アルコキシ
ド、リンアルコキシドからの金属酸化物による無機質複
合化木材が挙げられるが、特に後二者は、木材が熱分解
しない範囲での処理では生成した金属酸化物は水により
溶出し易く安定でない。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、水の作用による金属酸化物の溶出が防止され、難燃
化性能を長期に亘り安定して発揮し得る改質木材の製造
方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者らは、
上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、木材に
金属アルコキシドと加水分解性アルコキシシリル基含有
の有機ケイ素化合物の混合溶液を含浸させ、その後金属
アルコキシドを加水分解もしくは加熱分解させ、更に重
縮合させることによって、不燃性の金属酸化物に変える
と共に、この過程で加水分解性アルコキシシリル基含有
の有機ケイ素化合物が金属酸化物と重縮合もしくは自己
縮合、又は木材の水酸基と結合し該木材に撥水性を付与
することで、前記金属酸化物が水の作用で溶出し難く、
難燃性を半永久的に維持させた改質木材が得られること
を知見した。
【0009】従って、本発明は、木材中に1種又は2種
以上の金属アルコキシドの溶液を含浸させる際に、加水
分解性アルコキシシリル基含有有機ケイ素化合物を添加
して木材細胞空隙内でこれらを加水分解又は加熱分解
し、重縮合させることを特徴とする改質木材の製造方法
を提供するものである。
【0010】即ち、本発明の改質木材の製造方法におい
ては、1種又は2種以上の金属アルコキシドを木材に含
浸させる際に、加水分解性アルコキシシリル基含有の有
機ケイ素化合物を併用し、ゾル−ゲル法により加水分解
又は加熱分解、続いて重縮合させることによって、金属
アルコキシドを難燃性の金属酸化物に変化させ、しかも
金属酸化物に変化する過程で、撥水性を有する有機ケイ
素化合物と金属酸化物とを化学結合させながら包囲し、
溶脱性のある金属酸化物が水の作用で溶出することを防
止することができる。これによって、該木材に半永久的
に安定な難燃性を付与することができる。
【0011】本発明の製造方法によれば、木材の持つ本
来の風合いを損うことなく、新しい建築基準法に基づい
て、開口部の部材として適用できる上に、更に建築内装
材や外装材として使用できる難燃木材を容易かつ確実に
製造することができる。特に本発明は、木材に金属アル
コキシドを含浸させる際に、加水分解性アルコキシシリ
ル基含有の有機ケイ素化合物を併用し、加水分解又は加
熱分解、続いて重縮合させることによって、撥水性を有
する有機ケイ素化合物と化学結合した金属酸化物を生成
することにより、金属酸化物の水に対する溶出を防ぎ、
これによって木材に難燃性を半永久的にかつ効果的に付
与せしめる全く新しい技術を提供し得るものである。
【0012】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明の改質木材の製造方法は、木材を金属アルコ
キシドと加水分解性アルコキシシリル基含有有機ケイ素
化合物とを併用して処理するものである。
【0013】ここで、この発明で用いられる原料木材と
しては特に限定されず、例えば原木丸太、製材品、スラ
イス単板、合板などが挙げられ、それらの樹脂などにつ
いても限定されない。
【0014】また、本発明で用いる金属アルコキシド
は、下記一般式(1) M(OR)n …(1) で示されるものである。
【0015】ここで、Mは金属であり、Na,K,L
i,Ba,Ca,Sr,Mg,Zn,Sn,Sb,B,
Si,P,Ti,Al,Zr,Ta,Nb,Ge,F
e,Co,Ni,V,Mnなどが挙げられるが、特に
B,P,Siが好適である。また、nは上記金属の価数
である。Rは炭素数1〜12、特に1〜4の非置換又は
置換一価炭化水素基であり、メチル、エチル、プロピ
ル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オクチル、デシ
ル、ドデシル等のアルキル基などが挙げられる。なお、
Rとしては炭素数が12より大きい、例えばステアリル
基のような長鎖のアルキル基になると、乾燥工程の後も
可燃成分として木材中に残るためかえって燃焼を助長す
るので、炭素数1〜4のメチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル基が特に好ましい。
【0016】上記金属アルコキシドはその一種を単独で
又は二種以上を併用して用いることができる。
【0017】本発明で用いる加水分解性アルコキシシリ
ル基含有の有機ケイ素化合物は下記一般式(2)で示さ
れる化合物が好ましい。 R1 mSi(OR24-m …(2)
【0018】ここで、R1は炭素数1〜18、特に1〜
12の非置換又は置換一価炭化水素基で、メチル、エチ
ル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等のアルキ
ル基、これらの炭素原子に結合した水素原子の一部又は
全部をハロゲン原子で置換したγ−トリフルオロプロピ
ル基、2−ヘプタフルオロブチルエチル基、2−ヘプタ
デカフルオロオクチルエチル基等のパーフルオロアルキ
ル基、パーフルオロポリエーテル基やシアノ基で置換し
たシアノエチル基等が例示される。これらの中で炭素原
子に結合した炭素原子の一部又は全部をハロゲン原子で
置換したハロゲン置換アルキル基が好ましく、特にフッ
素置換アルキル基が好ましい。また、R2は炭素数1〜
6、特に1〜4の一価炭化水素基であり、特にメチル、
エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、エチ
ニル、プロペニル等の炭素数1〜6のアルキル基又は炭
素数2〜6のアルケニル基が好ましい。更に、mは1,
2又は3であり、特に1が好ましい。
【0019】上記式(2)の化合物として具体的には、
γ−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、γ−ヘ
プタフルオロブチルトリメトキシシラン、γ−ヘプタデ
カフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−ト
リフルオロプロピルトリエトキシシランなどが例示され
る。このような化合物を金属アルコキシドに対し、好ま
しくはモル比で0.0001〜0.5の範囲、より好ま
しくは金属アルコキシド1モルに対し0.01モル程度
加えるのがよい。
【0020】本発明の改質木材の製造方法は、上記一種
又は二種以上の防火効果のある金属アルコキシドを組み
合わせた複合化溶液に式(2)の加水分解性アルコキシ
シリル基含有の有機ケイ素化合物を加え、これに調湿木
材を含浸させ、これらの金属アルコキシドを加水分解又
は加熱分解、続いて重縮合させることによって金属酸化
物を生成し、木材を乾燥させて製造するものである。
【0021】金属アルコキシドの複合溶液を作る際に
は、本発明で列挙したあらゆる金属アルコキシドの組み
合わせが可能である。その際、金属アルコキシドそのま
まの溶液を複合してもよく、また、アルコール、アセト
ン、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素のような溶媒で希
釈したものを混合して用いてもよい。用いる金属アルコ
キシドと溶媒の比率は特に限定されないが、それぞれ等
モル程度用いるのが好ましい。金属アルコキシドの単独
溶液又は混合溶液を木材に含浸させる場合には、木材は
調湿状態でも飽水状態でもいずれでもかまわないが、予
め木材の水分含有率を10〜50重量%に調湿しておく
ことが好ましく、上記式(2)の有機ケイ素化合物を添
加した金属アルコキシド溶液に浸漬するか、減圧又は加
圧注入法を用いるのがよい。次に、金属アルコキシドが
含浸した木材を木材が熱分解しない範囲、好ましくは5
0〜110℃で乾燥する。この過程で金属アルコキシド
は、加水分解及び加熱分解、続いて重縮合し金属酸化物
に変化する。しかしながら、用いる金属アルコキシドの
種類によってはその金属酸化物が水により容易に溶脱す
る。ところが加水分解性アルコキシシリル基含有の有機
ケイ素化合物を併用すると溶出を防止することができ
る。加水分解工程は、酸性触媒、アルカリ性触媒、金属
有機酸塩、有機金属化合物等の混合触媒を用いてもよ
い。また、金属アルコキシドを含浸させた木材を加熱乾
燥することにより、この金属アルコキシドを完全に金属
酸化物に変化させることもできる。
【0022】上記有機ケイ素化合物を添加した金属アル
コキシド単独溶液又は混合溶液を木材に含浸させ、室温
で1〜7日程度10〜15mmHgの減圧下で保持し、
液から取り出し、室温下で1日程度放置した後、50〜
110℃で半日〜2日程度加熱乾燥することが好まし
い。
【0023】
【発明の効果】本発明に係る改質木材の製造方法によれ
ば、金属アルコキシドと共に微量の有機ケイ素化合物を
用いることによって、金属酸化物の水による溶出を防止
し、しかも水溶出試験後も優れた難燃効果を維持するこ
とができる。これによって、雨水や結露にあっても木材
中から金属酸化物が抽出されず、加工時の接着性能や塗
装性能を阻害することもなく、耐腐朽性能及び寸法安定
性能も付与することができる。また、本発明に係る改質
木材の製造方法を実施することによって、新建築基準法
に適合した開口部の部材として、或いは建築内装材や外
装材としても使用し得る難燃化された木材を大量生産す
ることができる等の特徴を有するものである。
【0024】
【実施例】次に、実施例と比較例を挙げて本発明の内容
を詳しく説明するが、本発明は以下に示す実施例に限定
されるものではない。
【0025】〔実施例1〕アセトン及び水によりそれぞ
れ24時間ソックスレー抽出したベイツガ辺材(50m
m×100mm、厚さ1mm)の単板を試験片として用
いた。この試験片の含水率は25%であった。亜リン酸
トリメチル[P(OCH 33]、エチルアルコール[C
25OH]、酢酸からなる反応溶液(モル比1:1:
0.01)に2−ヘプタデカフルオロオクチルエチルト
リメトキシシランをモル比で0.01添加した反応溶液
を用い、この中にベイツガの試験片を室温で浸漬し、1
5mmHgの減圧下で3日間含浸処理した。その後、試
験片を65℃で24時間、105℃で24時間加熱処理
し、試験片中でのゲルの熟成を行って改質木材を得た。
この改質木材における金属酸化物等による重量増加率
(WPG)は10.4%であった。次に、300ml容
ビーカーに250mlの蒸留水を入れ、160±3rp
mで撹拌し、この中に調製した改質木材試験片を投入し
て4時間撹拌処理し、重量変化を調べた結果、金属酸化
物の6%が溶出した。この試験片を用い、熱重量測定装
置による測定を行った結果、発炎燃焼後の残存重量は6
7%であったが、溶出試験を行っていない別の試験片で
は68%であり、水による金属酸化物の溶出が抑えられ
ていることが明らかであった。また、無処理木材での同
一条件下での残存重量は27%であった。
【0026】なお、改質木材の物性測定は下記の方法で
行った。 (1)重量増加率(WPG) アセトン及び水によりそれぞれ24時間ソックスレー抽
出した未処理試験片の絶乾重量(Wu)を求める。次
に、この試験片を無機質複合化した後、105℃で24
時間乾燥して、改質木材の絶乾重量(Wt)を求めて、
以下の式から改質木材の重量増加率(WPG)を算出す
る。 WPG(%)=[(Wt−Wu)/Wu]×100(%) (2)金属酸化物の溶出率(%) 300ml容のビーカーに250mlの脱イオン水(水
温20〜24℃)を入れ、マグネチックスターラーで撹
拌(160±3回/分)する。この中に改質木材試験片
を投入し、4時間撹拌後、試験片を取り出し、その乾燥
後の絶乾重量(Wt’)を求める。溶出試験4時間後の
改質木材の重量増加率を(WPG’)とすると、金属酸
化物の溶出率は以下の式から算出できる。 溶出率(%)=[(WPG−WPG’)/WPG]×100(%) (3)熱重量測定による残存率(%) 熱重量測定装置により、改質木材の昇温過程での重量変
化のTG曲線を得る。ここで170℃での重量を100
%とし、重量変化が示される。例えば、無処理木材にお
いて発炎燃焼は350℃前後での急激な重量減少に対応
し、370〜550℃の領域では表面燃焼が起こる。熱
重量測定による残存率(%)は発炎燃焼終了時のそれに
対応して算出される。
【0027】〔実施例2〕実施例1において2−ヘプタ
デカフルオロオクチルエチルトリメトキシシランの代わ
りにデシルトリメトキシシランを用いて同様の操作法に
より無機質複合化改質木材を得た。得られた結果は表1
の通りである。
【0028】〔実施例3〕実施例1において2−ヘプタ
デカフルオロオクチルエチルトリメトキシシランの代わ
りにトリフルオロプロピルトリメトキシシランを用いて
同様の操作法により無機質複合化改質木材を得た。得ら
れた結果は表1の通りである。
【0029】〔比較例1〕アセトン及び水によりそれぞ
れ24時間ソックスレー抽出したベイツガ辺材(50m
m×100mm、厚さ1mm)の単板を調湿して得られ
た含水率25%の試験片に、亜リン酸トリメチル、エタ
ノール、酢酸からなる反応溶液(モル比1:1:0.0
1)を減圧下で3日間、室温にて含浸した。その後、試
験片を65℃で24時間、105℃で24時間処理し、
ゲルの熟成を行って無機質複合化木材を得た。この複合
化木材の金属酸化物による重量増加率(WPG)は9.
4%であった。次に、この試験片を300ml容ビーカ
ーに250mlの蒸留水を入れ、160±3rpmで撹
拌し、この中に調製した試験片を投入して4時間撹拌処
理し、重量変化を調べた結果、金属酸化物の76%が溶
出した。この試験片を用い、熱重量測定装置による熱重
量測定を行った結果、発炎燃焼後の残存重量は55%で
あったが、溶出試験を行っていない別の試験片では67
%であった。
【0030】〔実施例4〜9〕上記実施例1〜3と同様
の操作法で金属アルコキシドのみを変化させて無機質複
合化改質木材を得た。得られた結果は表1の通りであ
る。
【0031】〔比較例2,3〕上記比較例1と同様の操
作法で金属アルコキシドのみを変化させて無機質複合化
改質木材を得た。得られた結果は表1の通りである。
【0032】〔実施例10〜15〕上記実施例1と同様
の操作法で二種の金属アルコキシドの組み合わせを変化
させて無機質複合化改質木材を得た。得られた結果は表
1の通りである。
【0033】〔比較例4,5〕上記比較例1と同様の操
作法で二種の金属アルコキシドの組み合わせを変化させ
て無機質複合化改質木材を得た。得られた結果は表1の
通りである。
【0034】
【表1】
【0035】上記実施例及び比較例の結果から明らかな
ように、金属アルコキシド単独からの改質木材では、生
成した金属酸化物の大部分が溶出するのに対し、有機ケ
イ素化合物を併用した改質木材はいずれも生成金属酸化
物を木材中に保持し、非常に低い溶出率を示すことがわ
かった。更に、熱重量測定による発炎燃焼後の炭化残存
率を溶出試験前後で比較すると、金属アルコキシドのみ
の含浸系(比較例)に比べ、有機ケイ素化合物添加系
(実施例)でその減少割合が著しく小さく、有機ケイ素
化合物添加が難燃性に大きく寄与していることがわかっ
た。
【0036】また、改質前の木材と比べ得られた改質木
材はいずれも外観、触感はほとんど変わっていなかっ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 昭 群馬県碓氷郡松井田町大字人見1番地10 信越化学工業株式会社 シリコーン電 子材料技術研究所内 (72)発明者 田中 正喜 東京都千代田区大手町二丁目6番1号 信越化学工業株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B27K 3/15 B27K 3/52

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材中に1種又は2種以上の金属アルコ
    キシドの溶液を含浸させる際に、加水分解性アルコキシ
    シリル基含有有機ケイ素化合物を添加して木材細胞空隙
    内でこれらを加水分解又は加熱分解し、重縮合させるこ
    とを特徴とする改質木材の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属アルコキシドが、下記一般式(1) M(OR)n …(1) (式中、Mは金属原子、nは該金属原子の価数を示し、
    Rは炭素数1〜12の非置換又は置換一価炭化水素基を
    示す。)で示されるものであり、有機ケイ素化合物が下
    記一般式(2) R1 mSi(OR24-m …(2) (式中、R1は炭素数1〜18の非置換又は置換一価炭
    化水素基、R2は炭素数1〜5の一価炭化水素基を示
    し、mは1,2又は3である。)で示されるものである
    請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記一般式(1)において、MがB,P
    及びSiの少なくとも1種である請求項2記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 上記一般式(2)において、Rの少なく
    とも1個が炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部
    がフッ素原子で置換された基である請求項2又は3記載
    の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属アルコキシド1モルに対して有機ケ
    イ素化合物を0.0001〜0.5モル使用した請求項
    1乃至4のいずれか1項記載の製造方法。
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