JP2960668B2 - コークス炉の炉体膨張測定方法およびそれに用いる測定治具 - Google Patents

コークス炉の炉体膨張測定方法およびそれに用いる測定治具

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JP2960668B2
JP2960668B2 JP20977395A JP20977395A JP2960668B2 JP 2960668 B2 JP2960668 B2 JP 2960668B2 JP 20977395 A JP20977395 A JP 20977395A JP 20977395 A JP20977395 A JP 20977395A JP 2960668 B2 JP2960668 B2 JP 2960668B2
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拓也 高平
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、特に、コークス
炉における炉体寸法を簡易、且つ、迅速に測定すること
ができるコークス炉の炉体膨張測定方法およびそれに用
いる測定治具に関する。
【0002】
【従来の技術】コークス炉には、一般的に炉体保護のた
めに炉団方向両端のケイ石煉瓦と粘度室煉瓦とからなる
擁壁に沿って所定間隔で垂直に鉄骨部材からなるバック
ステーが配設してある。しかし、長年に亘って繰り返し
行われるコークス炉の乾留および冷却による熱変動とと
もに、この擁壁およびバックステーの上端部が外側に撓
むように変形して炉体が膨張し、この膨張量が大きくな
って炉体寸法の約3%以上膨張すると、周辺の機械設備
等と干渉することになり、これにより、操業が行えなく
なる等の支障をきたすという不具合が発生する。
【0003】そこで、定期的にコークス炉の炉体寸法を
測定して、炉体の膨張量を測定することにより、炉体が
周辺の機械設備等に干渉する前に補修または交換作業を
タイミング良く行う必要がある。このため、従来、コー
クス炉の炉体膨張量を測定するための種々の方法が開発
されており、例えば、図4に示すように、コークス炉1
の炉団方向両側に並設されているバックステー9と平行
に2本のピアノ線30を所定間隔をあけて緊張した状態
で張設し、各ピアノ線30とバックステー9との間L1,
2 を実測して、予め設定された2本のピアノ線30,
30間の距離L3 を加算することによりコークス炉1の
炉体寸法を算出し、この炉体寸法と設計寸法とを比較す
ることにより炉体の膨張量を測定している。
【0004】また、特開平6−174646号公報に開
示されたコークス炉の炉体膨張測定方法によれば、燃焼
室または炭化室内の2か所にカメラまたは距離計内蔵の
ランスを炉上部より挿入し、鉛直方向に移動させながら
炉長方向または炉団方向の炉上部および炉下部の煉瓦の
縦目地の変位量をモニター画面等により測定し、燃焼室
または炭化室の2か所のランス間距離を別途測定し、こ
れらの測定値と設計値とに基づいて炉体膨張量を求めて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のコークス炉の炉体膨張測定方法のうち、第1の炉体
膨張測定方法にあっては、炉体内部の温度等の影響によ
り、炉体内部に張設されたピアノ線が撓んで実測するバ
ックステーとピアノ線との間の距離の測定誤差が大きく
なり、正確な測定データが得られないという問題があっ
た。
【0006】また、ピアノ線の取り付け位置である両端
部が、擁壁内部のタイロッドに締め付けてあるために、
撓んだピアノ線を再び緊張させるためには、擁壁内部を
掘削する必要があり、この作業に非常に手間がかかって
いた。さらに、ピアノ線を取り付ける位置がタイロッド
の埋設してある位置に限定されるために、実測するバッ
クステーとピアノ線との間隔が広くなって一人の作業者
によって容易に測定することができないという問題があ
った。
【0007】また、上記、第2の炉体膨張測定方法にあ
っては、炉体測定に使用するカメラやモニター等が高コ
ストになり、加えて炉体内部にカメラ等を挿入するため
の設置作業やカメラと外部のモニターとの配線作業等が
煩雑となるという問題があった。そこで、この発明は、
上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであ
り、コークス炉の炉体膨張量を簡易な方法により高精度
で且つ迅速に測定することができるコークス炉の炉体膨
張測定方法およびそれに用いる測定治具を提供すること
を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明にかかるコークス炉の炉体膨張測定方法
は、コークス炉の炉体寸法を測定して炉体設計寸法と比
較することにより、炉体の膨張量を測定するコークス炉
の炉体膨張測定方法において、コークス炉の測定方向の
炉壁面と垂直に架設された走行レール上で基準尺を有す
る測定治具を適宜走行させて、測定位置の前記炉壁面と
前記基準尺との間隔を実測し、さらに基準尺の基準長を
加算することにより、コークス炉の炉体寸法を算出する
ことを特徴としている。
【0009】従って、測定を行う際には、測定する位置
まで基準尺を手押しする等してレール上で走行させるこ
とにより、基準尺の基準寸法が測定位置によって変化す
ることなく正確な測定を行うことができる。また、基準
尺端部を測定位置の前記炉壁面近傍まで近づけることが
できるので実測する際に、基準尺端部と炉壁面との間を
一人の作業者によって、容易に測定することができる。
【0010】前記走行レールは、装炭車の走行レールを
用いることにより、大規模な設備投資を行うことなく、
容易に炉体測定を行うことができる。一方、この発明に
かかるコークス炉の炉体膨張測定方法に用いる測定治具
は、基準長からなる基準尺と、この基準尺を支持してこ
れに転動自在に取り付けられた車輪とからなることを特
徴としている。
【0011】これにより、基準長からなる基準尺が測定
方向から逸脱することなく、走行レール上を手押しする
ことにより容易に走行させることができる。また、前記
基準尺の両端部をピアノ線等からなる引張材で緊張して
あることにより、基準尺が撓む等して基準寸法が変化す
るのを防止することができる。さらに、前記基準尺は、
複数の基準尺を継ぎ手して形成してあることにより、現
場への運搬作業を容易に行うことできる。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図1に示すように、1は、水平
室式のコークス炉を示しており、この水平方向に燃焼室
(図示せず。)および炭化室2が交互に複数配設されて
いる。また、このコークス炉1の炉団方向の擁壁21外
側には、この擁壁21の両側に沿って走行レール3,
4,5が夫々架設してあり、この一方の走行レール3上
には炭化室2のコークスを外部に排出するための押出し
機6が設けられ、他方の走行レール4,5上には、ガイ
ド車7および消火車8が設けられている。
【0013】この炭化室2は、その周囲を耐火煉瓦から
なる擁壁によって囲むようにして形成されている。ま
た、炭化室2には、炉団方向の擁壁21に沿って鉄骨材
からなるバックステー9を所定間隔をあけて複数垂直に
配設してあり、さらに、対向するバックステー9の所定
位置にタイロッド(図示せず。)を通してあることによ
り、これら対向する擁壁間の間隔を保持している。
【0014】また、コークス炉1の上部には炉団方向の
擁壁21と平行に図示しない装炭車を走行させるための
走行レール10が架設されている。この各走行レール1
0の幅は、ここでは10m程度となっている。そして、
この走行レール10上に測定治具11が設置してある。
この測定治具11は、炉団方向の擁壁21に設けられた
バックステー9,9間を測定するためのものである。
【0015】図2に示すように、この測定治具11は、
基準長Lb からなる基準尺12と、この基準尺12の下
側を支持してこれに転動自在に取り付けられた車輪13
とから構成されている。先ず、この基準尺12は、この
実施の形態においては全体で13.5m程度となってお
り、運搬可能な所定長の角形鋼管からなる3本の基準尺
12a〜12cを継ぎ手することにより形成してあり、
各基準尺12a〜12cの端部の継ぎ手部には、矩形の
鋼板14が接合してあり、この鋼板14を突き合わせて
ボルト締めすることによりフランジ継ぎ手されている。
【0016】また、基準尺12の両端部下側には測定方
向と垂直に延在する山形鋼からなるステー15が接合さ
れており、このステー15の一側面と、基準尺12端面
とは同一平面としてあることにより、基準尺12の測定
方向の延長線上にバックステー9がない場合にも、この
ステー15からバックステー9までの距離を実測すれ
ば、正確に基準尺12とバックステー9間を測定するこ
とができる。
【0017】一方、基準尺12の両端部の一側には、溝
形鋼からなるブラケット16が接合してあり、このウエ
ブ部に穿設されたねじ孔に調整ねじ17が螺合してあ
り、さらに、対向する調整ねじ17,17間にピアノ線
からなる所定長の引張材18を張設してある。従って、
この引張材18を調整ねじ17によって緊張させて、基
準尺12に圧縮力を付与することにより、基準尺12が
外力または自重によって撓んで基準長Lb が変化するの
を防止している。
【0018】車輪3は、基準尺12下側の夫々2か所に
連結部材19を介して転動自在に設けられており、この
車輪13には、走行レール10に案内されるための溝が
全周に設けられている。このように構成された測定治具
11を作業者が手押しすることにより走行レール10上
で走行させて所望の測定位置まで運搬し、そこで作業者
がスケール20を用いて押出機6側のバックステー9と
基準尺12との間A1 およびガイド車7側のバックステ
ー9と基準尺12との間B1 を測定方向に向けて実測す
る。
【0019】その後に、同様の方法によって測定治具1
1を所定距離走行させた後に、この押出機6側のバック
ステー9と基準尺12との間A2 およびガイド車7側の
バックステー9と基準尺12との間B2 を実測し、この
作業を炭化室2内の4〜5ヶ所で繰り返し行った後に炭
化室2内の測定を終了する。また、炭化室2に隣接され
た燃焼室を介してさらに隣の炭化室2も同様の方法で測
定する。
【0020】そして、このようにして測定された各バッ
クステー9と基準尺12との間と、基準尺12の基準長
b と設計炉長寸法La とに基づいて、炉長方向の対向
するバックステー9,9間の炉体膨張量Eは、下記
(1)式により求めることができる。 E=La −(AX +BX +Lb ) ・・・・(1) そして、コークス炉1の炉体膨張の進行は、操業時間と
相関性があるので、測定された炉体膨張量に基づいて、
容易に炉体膨張量の限界時期、すなわち、周辺設備と炉
体とが干渉して操業不能となる時期を予測することが可
能である。
【0021】このように、コークス炉1の炉体内部で基
準尺12を測定方向と垂直に走行させることにより、基
準長Lb が測定位置によって変化することなく、正確な
測定結果を得ることができる。また、基準尺12の基準
長Lb を適宜設定できるので、各バックステー9と基準
尺12との間隔を近接させることができ、一人の作業者
でも容易に測定作業を行うことができる。
【0022】また、測定治具11に車輪13が設けられ
ており、これを装炭車の走行レール10を用いて走行さ
せることにより、短時間で測定作業を行うことができ
る。なお、実測する各バックステー9と基準尺12との
間は、必ずしもスケール等を用いて測定する必要はな
く、これ以外にレーザ距離計、超音波距離計等を設置し
て測定することもできる。
【0023】そして、この測定治具11の車輪13を油
圧モータ等により駆動させれば、遠隔操作を行うことも
可能である。また、図3に示すように、基準尺12両端
部のステー15下部に巻尺22を取り付けて、この巻尺
の先端22aをバックステー9の壁面に当接して計測す
れば、スケール20を別途用いることが不要になり、さ
らに、スケール20の位置決めを行うことなく容易に計
測を行うことができる。
【0024】さらに、この実施の形態においては、炉長
方向の擁壁21の膨張量を測定する方法について説明し
たが、これに限らず炉長方向に走行レール10を架設し
て炉団方向の擁壁の膨張量を測定することもできるのは
勿論である。なおさらに、この実施の形態においては、
基準尺12に車輪13を設けた測定治具11で測定する
場合について説明したが、基準尺12を装炭車に搭載し
て装炭車の動力によって測定治具11を走行させること
ができる。
【0025】
【発明の効果】以上、説明したように、この発明のコー
クス炉の炉体膨張測定方法およびそれに用いる測定治具
によれば、簡易に製作された測定治具を用いて測定位置
までこれを手押しする等して走行レール上で走行させる
ことにより、基準長が測定位置によって変化することな
く低コストで正確な測定を行うことができる。
【0026】また、基準尺端部を測定位置の前記炉壁面
近傍まで近づけることができるので実測する際に、基準
尺端部と炉壁面との間を一人の作業者によって、容易且
つ迅速に測定を行うことができる。これにより、正確に
炉体膨張量を測定して的確な時期にコークス炉の炉体補
修作業を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態に適用したコークス炉を
示す概略構成図である。
【図2】この発明の炉体膨張測定方法に用いる測定治具
を示す図であり、同図(a)は上面図、同図(b)は側
面図である。
【図3】この発明の炉体膨張測定方法に用いる測定治具
の別の実施の形態を示す側面図である。
【図4】従来の炉体膨張測定方法を示す上面図である。
【符号の説明】
1はコークス炉 2は炭化室 3〜5は走行レール 6は押出し機 7はガイド車 8は消火車 9はバックステー 10は走行レール 11は測定治具 12は基準尺 13は車輪 18は引張材 19は連結部材 20はスケール 22は巻尺
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 脇本 隆三 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (56)参考文献 特開 平8−218072(JP,A) 特開 平6−174646(JP,A) 特開 平4−258687(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C10B 45/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コークス炉の炉体寸法を測定して炉体設
    計寸法と比較することにより、炉体の膨張量を測定する
    コークス炉の炉体膨張測定方法において、 コークス炉の測定方向と垂直に架設された走行レール上
    で基準尺を有する測定治具を適宜走行させて、測定位置
    の炉壁面と前記基準尺との間隔を実測し、さらに基準尺
    の基準長を加算することにより、コークス炉の炉体寸法
    を算出することを特徴とするコークス炉の炉体膨張測定
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のコークス炉の炉体膨張
    測定方法において、前記走行レールは、装炭車の走行レ
    ールを用いることを特徴とするコークス炉の炉体膨張測
    定方法。
  3. 【請求項3】 基準長からなる基準尺と、この基準尺を
    支持してこれに転動自在に取り付けられた車輪とからな
    ることを特徴とする測定治具。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の測定治具において、前
    記基準尺の両端部を引張材により緊張してあることを特
    徴とする測定治具。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の測定治具において、前
    記基準尺は、複数の基準尺を継ぎ手して形成してあるこ
    とを特徴とする測定治具。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR100403470B1 (ko) * 1999-12-07 2003-11-01 주식회사 포스코 코크스 오븐의 신축 측정장치
KR100399235B1 (ko) * 1999-12-21 2003-09-22 주식회사 포스코 코크스 시험로에서 석탄 건류시 오븐 벽이 받는 힘 측정방법
KR100797276B1 (ko) * 2001-12-26 2008-01-23 주식회사 포스코 코크스오븐의 팽창 측정장치
KR101482324B1 (ko) * 2012-11-26 2015-01-13 주식회사 포스코 구조물 지지장치

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