JP2960572B2 - バルコニー等の張り出し部分の手摺先付け工法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、高層集合住宅等の建築
において採用するのに好適な、バルコニー等の張り出し
部分の手摺先付け工法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、建築物から張り出して形成される
バルコニー等に手摺を取り付ける場合は、取付現場にお
ける溶接作業、モルタル仕上げ作業等が必要であった。

【０００３】これらの作業は熟練を要するものであり、
また専用の足場を組んで作業を行っていた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の工法では手摺取り付け工事のための足場等の組
み立て、及び手摺の取付作業を各階毎に行う必要があ
る。したがって数十階の高層集合住宅等の建築物では、
これらの組立、解体が大変な回数に及ぶので、かかる作
業には非常に多くの労力と時間が必要であり、施工コス
トも上昇する問題があった。

【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてされたも
のであり、工事の手間を大幅に軽減したバルコニー等の
張り出し部分の手摺先付け工法を提供することを目的と
する。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するために以下のような構成としている。すなわち、
バルコニー等の取付階の階床版に張り出し部分を設け、
前記張り出し部分に手摺を設けるバルコニー等の張り出
し部分の手摺先付け工法において、前記取付階の階床版
の端部には梁のコンクリート型枠を有し、前記バルコニ
ー等の張り出し部分用のコンクリート版に手摺を取り付
ける工程と、前記コンクリート版の手摺の反対側の端部
を前記梁のコンクリート型枠に載置する工程と、前記階
床版、前記コンクリート型枠、及び前記コンクリート版
上にコンクリートを打設して一体化する工程とを含むも
のである前記コンクリート版の手摺の反対側の端部に係
止手段を設け、前記係止手段を前記コンクリート型枠に
係止して位置決めすることができる。

【０００７】また、これは梁を介して取付階床版１８と
一体化する張り出し部分用コンクリート版を作業架台２
上に設置し、その外部面を塗装して所定位置に手摺８を
取り付けた後に、手摺８を取り付けた側と反対側底面
に、取付階において階下と着脱自在に仮連結するための
連結手段を設けることができる。

【０００８】

【作用】本発明では、梁を介して取付階床版１８と一体
化してバルコニーとなる前記コンクリート版について、
取り付け前に手摺８等の所要部分を作業架台２上におい
て予め仕上げるので、取付階の現場での作業が省略され
る。

【０００９】

【実施例】次に本発明の実施例について図面を参照しな
がら説明する。

【００１０】先ず、バルコニー用ＰＣ版１を平板状に形
成し、一端部を垂直に立ち上げて、その上面には手摺８
を取り付けるための穴７を設ける。この穴７は、手摺８
の脚部８ａの間隔に合致するように設ける。

【００１１】このようなバルコニー用ＰＣ版１を、作業
架台２上に設置する。このバルコニー用ＰＣ版１は、所
定の取付階において梁を介して取付階床版１８と一体化
するものである。

【００１２】一方、作業架台２は、地上に平行に設置し
た２枚の長板状の足場板３、３上に高さの調整が可能な
ジャッキ４をそれぞれ２個ずつ、互いに向き合うように
４個載せたものであり、これらにより大引受５を支持
し、この上部に、端太角６を介して前記バルコニー用Ｐ
Ｃ版１を載置する。

【００１３】バルコニー用ＰＣ版１を、ジャッキ４によ
り、適当な高さに調整して設置した後、先ず、その手摺
取付側の立ち上がり面１ａと、この立ち上がり面１ａの
両側面について塗装をする。このように最初に手摺付近
の塗装を行うのは、手摺８の取り付け後では、これらの
部分の塗装は困難だからである。

【００１４】前記塗装の終了後、前記穴７に、アルミ製
のバルコニー用の手摺８の脚部８ａの下端を挿入する。
挿入した脚部８ａをモルタルにより穴７内に固定し、手
摺８をバルコニー用ＰＣ版１の一側に取り付ける。

【００１５】他方、前記手摺８を取り付けた側と反対側
の裏面１ｂには、所定の距離をおいて両端部にアイボル
ト９、９を固定する。このアイボルト９、９のそれぞれ
には、ベランダの取付階の下階のバルコニー面に達する
長さのチェーン１０を連結している。

【００１６】また前記バルコニー用ＰＣ版１には、その
梁側端部１ｃから下方に突出して引掛プレート１１を取
り付ける。これは取付階において、バルコニー用ＰＣ版
１と取付階床版１８との間に設けた梁のコンクリート型
枠に対する、このバルコニー用ＰＣ版１の位置決め等を
するためのものである。

【００１７】以上の作業が完了した後、図３に示すよう
に、クレーン１２により、前記バルコニー用ＰＣ版１を
取付階まで吊り上げる。この場合、バルコニー用ＰＣ版
１にはクレーンフック（図示せず）を掛止する孔１９を
設けておく。

【００１８】吊り上げ後、図４に示すように、梁のコン
クリート型枠１３の内側に梁側端部１ｃ側がわずかに突
出するように、バルコニー用ＰＣ版１をこのコンクリー
ト型枠１３上に載せる。そして引掛プレート１１を前記
コンクリート型枠１３の内側端部１３ａに当接させ、バ
ルコニー用ＰＣ版１の位置決めをすると共に、これが水
平方向に移動して脱落することを防止する。

【００１９】またバルコニー用ＰＣ版１の反対側は、そ
の手摺側底面１４が支持手段により支持される。これは
図４のように、パイプサポート１５により、端太角１６
を介して、下方から支持するものである。

【００２０】他方、バルコニー用ＰＣ版１の反対側は、
前記アイボルト９に連結したチェーン１０の一端を、下
階のバルコニー１７上に設けたアンカー２０に、ターン
バックル２１を介して連結する連結手段により、階下の
バルコニー１７に連結される。

【００２１】その後、梁のコンクリート型枠１３内と、
前記バルコニー用ＰＣ版１と、取付階床版１８との間
に、点線Ａまでコンクリートを打設する。

【００２２】打設したコンクリートの養生後、これが所
定の硬化度に達したらパイプサポート１５を取り外し、
またチェーン１０による連結を解除して、バルコニーＰ
Ｃ版１が取付階床版１８と一体化した状態となり工事が
完成する。

【００２３】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、取
付階床版と一体化するバルコニーとなるコンクリート版
の手摺取付等の所要部分を、予め地上において仕上げる
ので、手摺の取付工事において、これを水平に維持する
添木、角材等がコンクリート打設や配筋の作業において
邪魔にならない。またコンクリート打設前に手摺が付け
られているので、取付階で行う各種工事の際に、手摺を
安全柵及びパイプサポートの支柱として使用して作業が
できる。更に、バルコニー用のコンクリート版の端部を
コンクリート型枠に載せるので、コンクリート版を安定
良く支持することができ、また、コンクリート版、梁、
及び取付階床の上にコンクリートを打設してこれらを一
体化するので、バルコニーの強度を上げることができる
と共に、外観を良好に仕上げることができる。

【００２４】また取付現場における溶接作業、モルタル
仕上げ作用が不要である。したがって手摺取付用の足場
を組む必要がなく、取付費が削減できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明のバルコニー用ＰＣ版を架設台に載置し
た状態を示す斜視図

【図２】これに手摺等を取り付け、塗装を施した状態を
示す斜視図

【図３】これをクレーンにより吊り上げる状態を示す斜
視図

【図４】バルコニー用ＰＣ版を取付階に支持した状態を
示す側面図

【符号の説明】

１ バルコニー用ＰＣ版 ２ 作業架台 ８ 手摺 １１ 引掛プレート １３ 梁のコンクリート型枠 １８ 取付階の床版

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) E04G 21/14 E04B 1/00 501 E04F 11/18

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 バルコニー等の取付階の階床版に張り出
   し部分を設け、前記張り出し部分に手摺を設けるバルコ
   ニー等の張り出し部分の手摺先付け工法において、 前記取付階の階床版の端部には梁のコンクリート型枠を
   有し、 前記バルコニー等の張り出し部分用のコンクリート版に
   手摺を取り付ける工程と、 前記コンクリート版の手摺の反対側の端部を前記梁のコ
   ンクリート型枠に載置する工程と、 前記階床版、前記コンクリート型枠、及び前記コンクリ
   ート版上にコンクリートを打設して一体化する工程とを
   含む ことを特徴とするバルコニー等の張り出し部分の手
   摺先付け工法。
2. 【請求項２】 前記コンクリート版の手摺の反対側の端
   部に係止手段を設け、前記係止手段を前記コンクリート
   型枠に係止して位置決めすることを特徴とする請求項１
   に記載のバルコニー等の張り出し部分の手摺先付け工
   法。