JP2959912B2 - 放電被覆複合体 - Google Patents

放電被覆複合体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は硼化物系セラミックスの
脆いという欠陥を補い、しかも、硼化物系セラミックス
の持つ高硬度で、耐摩耗性に優れ、かつ溶融金属や溶液
に対する耐食性に優れるという特長を活かした放電被覆
法による複合構造用部材に関する。特に、硼化物が高温
特性に優れ、かつアルミニウムをはじめとする低融点非
鉄金属と濡れ難くかつ耐食性に優れているという特長を
活かして、低融点非鉄金属の鋳造機や加工機械に用いら
れる材料に関する。
【0002】
【従来の技術】硼化物系セラミックスは一般に、高硬度
で、耐摩耗性に優れ、溶融金属や溶液に対する耐食性に
も優れ、しかも炭化物系と比較して高温特性にも優れて
いる。このために硼化物系セラミックスを、構造用耐食
耐摩耗部材として実用化する多くの試みがなされてき
た。その多くは粉末冶金法によるもので、成形方法に関
しては、熱間静水圧プレス(HIP)やホットプレスの
利用、焼結方法に関しては焼結助材の開発などが行われ
てきた。このようにして、例えば、特公昭61−195
93、特公昭61−50909などのようなTiB2
ZrB2などを主成分とした高耐摩耗性超硬質材料をは
じめとして、数多くの硼化物系セラミックスが提案され
ている。
【0003】このように粉末冶金法で作られた硼化物系
セラミックスも鋼材と比較すれば、強度、靱性、耐熱衝
撃性などの点でまだ充分とはいえず、通常の工具鋼、高
速度鋼、ステンレス鋼などが用いられているような構造
用部材に広く適用することは難しいとされている。
【0004】一方、硼化物セラミックスは一般に溶融金
属との濡れ性が小さいことから、ダイカスト機械部品と
しての利用が考えられる。例えば、アルミニウムのダイ
カスト部品にはSKD61などの鋼材にガス窒化やイオ
ン窒化などの窒化処理を施した材料が主に使用されてい
る。しかし、これらの材料は鋼材が溶融金属と反応しや
すく長期間使用すると次第に浸食されるため、焼き付き
が起こったり、さらに鋼材の成分がダイカスト製品中に
混入して品質低下を招いたりする。また、溶融金属を押
し出すプランジャースリーブとチップの場合、摺動部に
溶融金属が強固に付着して剥がれず、焼き付きやかじり
といった事故が発生することがある。そこで、潤滑剤や
離型剤を大量に塗布したり、短期間で部品を交換しなが
ら使うなど作業性や経済性が非常に悪い。また潤滑剤や
離型剤を使用すると、これらが製品中へ混入して製品の
品質低下を招くばかりでなく作業環境を著しく損なうこ
とにもなる。
【0005】そこで溶融金属に対する耐食性に優れたセ
ラミックスの焼結体で低融点金属ダイカスト機用部材を
作成するという試みがなされているが、セラミックスは
焼結や機械加工が困難で、複雑形状品や大型の部材の製
造が難しく、部品形状によってその適用が大きく制約さ
れている。また、このためにコストがかさむことにもな
る。さらに靱性や耐熱衝撃性が低いために作業中に割
れ、欠けが発生するということも起こる。
【0006】セラミックスの持つ耐食性と鋼材の持つ靱
性、経済性を活かし、鋼材の表面上にTiC,TiN,
TiCNなどのセラミックスをPVD法やCVD法によ
って形成する被覆が行われているが、膜厚が薄いと効果
が少なく、厚くすると剥離をおこし易くなり、また製造
費用もかさむなどの問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
のように優れた特長を持つ硼化物系セラミックスを電極
にして鋼材などに放電被覆層を形成し、硼化物の持つ本
来の特長を活かした耐食耐摩耗部材を提供することにあ
る。特に、溶融金属との濡れ性や耐食性に優れている特
長を活用し、ダイカスト機械部材や非鉄工具をはじめと
する構造用機械部材として利用できるようにすることで
ある。
【0008】硼化物系セラミックスの焼結は、他のセラ
ミックスと同様、金属やサーメットなどに比べて、より
高温が必要であるし、しかも、高強度焼結体を得るため
には、上述のように、焼結助材の量と種類を厳密に選択
したり、焼結雰囲気の緻密な制御と焼結と同時に加圧し
たりする成形方法の工夫が必要である。中でも硼化物系
セラミックスは特に難焼結性であることが知られてお
り、肉厚の大きな物や複雑な形状をしたものは製造が極
めて困難である。
【0009】さらに、それらの機械加工は鋼材など従来
の材料に比較して著しく難しい。このために、製造コス
トはかさみ、従来材とコスト/パフォーマンスの点で太
刀打ちできないのが実状である。これらのことが、数々
の優れた固有の特性をもちながら、セラミックスが工業
的に構造用材料として広く用いられていない大きな理由
である。
【0010】一方、材料を利用する側から見れば、耐摩
耗部材、耐食性部材、耐熱性部材の多くはその表面層の
みがそれらの機能を満たせばよい場合が大多数である。
このために、ろう付けをはじめとする接合、溶射、肉盛
り、めっきなどが行われ、それぞれ目的に応じた利用が
なされている。
【0011】しかし、セラミックス単体では、その融点
が高ために、肉盛りは困難であるし、一般にセラミック
スそのもののめっきは非常に難しい。また、熱源と雰囲
気を改良した溶射法が開発されているが、空孔が残留し
たり、接着部や被覆物の特性がセラミックス本来の値よ
り大幅に低下するなどの問題点がある。
【0012】そこでごく一般的には、セラミックス焼結
体を鋼材などにろう付けで接合して用いられることが多
いが、使用時に温度が上昇すると、ろう材の軟化による
強度の低下が免れず、セラミックス独自の特性を十分引
き出すことができない。高温での強度を確保するために
は高融点のろう材を用いればよいが、基材とセラミック
スとをそのろう材の融点以上に加熱するために、接合
後、大きな熱膨張差に起因する残留歪が避けられず、使
用中に欠けや割れなどが発生することが多い。
【0013】放電被覆法は被加工物を陰極にし、電極を
陽極としてこの電極を振動または回転させながら被加工
物の表面で放電と短絡を繰り返して、電極材料を被加工
物に移行させて被覆する方法である。この電極としては
種々の純金属、合金鋼、非鉄合金や炭化物などが提案さ
れている。しかし、これらは溶融金属に対しては充分な
耐食性を有していない。
【0014】Ti,Zr,Ta等の硼化物の電極による
被覆も報告されているが、工業的に広く採用されるに至
っていない。これは、硼化物の焼結が難しく、放電被覆
用としては強度が充分でなく、電極がその取扱い中や被
覆作業中に折損したりすることが多く、実質的な作業が
できないためである。
【0015】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、2元系硼化物を40%以上含んだ高強度の硼化物
焼結体を電極とし、放電被覆法により、構造材料として
充分な強度を持った鉄鋼などの基材上に被覆を行うこと
により、硼化物の持つ耐食性、耐摩耗性などの機能を損
なうことなく、高い機械的強度と耐熱衝撃性に優れた被
覆複合体を得ることができる。
【0016】すなわち、硼化物皮膜を形成するための電
極を、MxBy(ただしMはTi,Zr,Ta,Nb,
Cr,Vを表し、x=1〜2、y=1〜4である)で表
せる2元系硼化物の中から選ばれた少なくとも1種以上
を40〜98%と、Mo2FeB2,Mo2CoB2,Mo
2NiB2,W2FeB2,W2CoB2,W2NiB2,Mo
CoB,WFeB,WCoBの中から選ばれた1種以上
の3元系複硼化物を2〜60%と、これらの合金中に含
まれる不可避的不純物からなる焼結体とすることによ
り、放電被覆の際の衝撃に充分耐えられる電極が得られ
る。
【0017】また、皮膜を形成するための電極が、Mx
Byで表せる2元系硼化物の中から選ばれた少なくとも
1種以上を30〜78%、Mo2FeB2,Mo2Co
2,Mo2NiB2,W2FeB2,W2CoB2,W2Ni
2,MoCoB,WFeB,WCoBの中から選ばれ
た1種以上の3元系複硼化物を2〜30%、TiC,T
iN,および、C/Nの原子比が0.25〜4.0であ
るTiCNの中から選ばれた少なくとも1種以上を10
〜55%と、これらの合金中に含まれる不可避的不純物
からなる焼結体としても同様の効果が認められる。
【0018】2元系硼化物としては、TiB2,Zr
2,TaB2,CrB2などが耐摩耗性や溶融金属との
濡れ性の点で好適であり、添加する3元系の硼化物は結
合相的な役割をするものであり、2%以上含まないと、
焼結体の強度が充分ではなく、また、98%を越える
と、耐摩耗性が低下したり溶融金属と濡れやすくなる。
また3元系硼化物に加えて、TiC,TiN,およびT
iCNを添加するのは粒成長を抑制し、焼結体の強度を
向上させる効果があり、これらの量は10%以上ないと
充分な効果が得られない。また、55%を越えると、焼
結体の強度が低下したり、耐摩耗性が低下する。
【0019】このような硼化物セラミックスの電極は特
公昭61−19593あるいは特公昭61−50909
などに開示されている粉末冶金法によって製造すること
ができる。例えば、2元系硼化物TiB2 粉末にMo2
NiB2粉末を所定の組成となるように配合し、ボール
ミル等で湿式粉砕混合したのち乾燥する。この混合粉末
を黒鉛型に充填し、真空中またはアルゴンガス、窒素ガ
ス、水素ガスなどの中性または還元性雰囲気中、100
kg/cm2 以上の圧力下において1400℃〜190
0℃の温度で加熱するホットプレスによるか、あるい
は、前記混合粉末を油圧プレスや静水圧プレスで予め圧
粉成形した後上記の真空中や不活性または還元性雰囲気
中で1500℃〜2000℃の温度で加熱する普通焼結
を行うことによって製造することができる。なお、ホッ
トプレスや普通焼結によって得られた焼結体は、強度と
その信頼性を高めるため熱間静水圧プレスをかけてもよ
い。また、混合粉末をキャンニングしたのち直接、熱間
静水圧プレスやシンターヒップで成形して焼結体を得る
こともできる。
【0020】この電極の形状は被覆する対称物によって
種々の形状があるが、通常は丸棒や円盤状の簡単な形状
のものでよく、成形や焼結も容易である。しかも、焼結
後の機械加工は、特殊な場合を除き不要である。
【0021】これらの硼化物電極を用いて放電被覆を行
うが、被覆は通常用いられる放電被覆装置を用いて行え
ばよく、上記の焼結体を用いれば、被覆加工中に電極の
折損や破壊はなく、作業性は極めて優れている。また、
形成された皮膜は焼結体と同様、高硬度で耐摩耗性に優
れているばかりでなく、溶融金属との濡れ性や耐食性も
焼結体と同様に優れている。
【0022】さらに、形成された皮膜の基材との密着性
は特に優れており、例えば、厚さ3mmの低炭素鋼板の
上に被覆した皮膜は約180゜の折り曲げでも剥離は見
られない。また、熱衝撃に対する抵抗を、試片温度をT
℃に加熱した後直ちにt℃の水中に投入してクラックの
有無で判定し、クラックを生じない温度差Δθ=T−t
(℃)で評価すると、焼結体ではΔθが200〜400
℃であるに対して、本発明の被覆複合体ではΔθが10
00℃以上もある。
【0023】被覆の厚さは5〜300μmが好適であ
る。すなわち、5μmより薄いと耐摩耗性や耐食性が充
分ではなくまた、300μmを越えても耐摩耗性や耐食
性に対する効果はあまり向上しないし、経済的ではな
い。
【0024】被覆する基材は鋼材などが一般的である
が、導電性があればどんなものでもよく、使用目的によ
って選択できる。
【0025】本発明の被覆複合体は、特別な離型剤や潤
滑剤を用いなくても溶融アルミニウムとはほとんど濡れ
ないので、ダイカスト用の金型やプランジャーチップや
スリーブにも無潤滑または減量潤滑下で使用できる。潤
滑剤や離型剤はミストとなって散布されるため、これら
が無くなるか、あるいは少なくなれば作業環境の大幅な
改善にもつながるし、さらにメンテナンスの必要がなく
長寿命化が可能であるためコストの低減もできる。
【0026】その他に本発明の硼化物被覆複合体は、低
融点金属の鋳造に用いられるストーク、ランナープレー
ト、押出ピン、中子、溶解坩堝、ラドル、攪拌棒、温度
測定用保護管、浸漬ヒーター用保護管にも適用でき、長
寿命化が期待できる。さらにこの被覆はアルミニウムだ
けでなく、亜鉛、マグネシウム、鉛、すずなどの低融点
金属やその合金のダイカスト機械や鋳造機械用部材にも
適用できる。
【0027】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。
【0028】実施例1 TiB2 粉末85%とMo2NiB2粉末15%を振動ミ
ルにより、アセトン中で52時間、混合粉砕を行った
後、窒素雰囲気中で乾燥造粒した。この混合粉末を黒鉛
型に充填し、アルゴンガス雰囲気中(大気圧)において
ホットプレスを行った。ホットプレス条件は、200k
g/cm2、1550℃で20分とした。得られた焼結
体は相対密度99.0%、抗折力120kg/cm2
ビッカース硬度2400であった。この焼結体からφ3
mmx100mmの丸棒を切り出して、これを電極にし
て、25mmx50mmx5mmの窒化処理をしたSK
D61の表面に35μmの厚さに放電被覆加工を行っ
た。放電被覆は市販の被覆装置を使用し、大気中で、周
波数300Hz、コンデンサー容量70μfで実施し
た。
【0029】実施例2 TiB2 粉末50%とTiC粉末45%、Mo2CoB2
粉末5%をアトライターにより、アセトン中で8時間、
混合粉砕を行った後、窒素雰囲気中で乾燥造粒した。こ
の混合粉末を油圧プレスを用いて1.5ton/cm2
で成形し、圧粉体を得た。この圧粉体をアルゴンガス雰
囲気中、1700℃の温度で30分間加熱して焼結体を
得た。これを1800℃、1500気圧で熱間静水圧プ
レスして、相対密度99.5%、抗折力96kg/cm
2、 ビッカース硬度2200の焼結体を得た。この焼結
体からφ3mmx100mmの丸棒を切り出して、これ
を電極にして、窒化処理をしたSKD61の表面に厚さ
20μmの放電被覆を行った。放電被覆条件は実施例1
と同様とし、厚さは作業時間で変えた。
【0030】実施例3 ZrB2 粉末70%とMo2NiB2粉末30%を振動ボ
ールミルにより、アセトン中で25時間、混合粉砕を行
った後、窒素雰囲気中で乾燥造粒した。この混合粉末を
黒鉛型に充填し、真空中でホットプレスを行った。ホッ
トプレス条件は、160kg/cm2、 1530℃で3
0分とした。得られた焼結体は相対密度99.2%、抗
折力93kg/cm2、 ビッカース硬度2150であっ
た。この焼結体からφ3mmx100mmの丸棒を切り
出して、これを電極にして、窒化処理をしたSKD61
の表面に厚さ20μmの放電被覆を行った。放電被覆条
件は実施例2と同様とした。
【0031】この被覆複合体を750℃の溶融アルミニ
ウム(ADC10:92%Al−10%Cu−8%S
i)に2.5時間浸漬し、腐食減量を測定した。また、
大越式の摩耗試験を実施した。摩擦条件は相手材として
SS41のリングを使用し、摩擦距離400m、摩擦速
度を4.39m/s、最終荷重を18.9kgとした。
試片の摩耗量は比摩耗量で示した。これらの結果をまと
めて表1に示す。
【0032】表1から分かるように、放電被覆複合体の
溶融アルミニウムによる腐食は電極とした焼結体よりや
や劣っているが、アルミダイカスト部品に多く用いられ
ているSKD61の窒化処理材と比較して格段に優れて
いる。また、硬度は皮膜の厚さが薄いため、下地の鋼材
の影響で低い値を示しているが、その比摩耗量は、いず
れも焼結体と同じ10ー9のオーダーにあり、SKD61
窒化材と比較すれば、はるかに優れているといえる。
【0033】
【表1】 比較例1:実施例1の焼結体 比較例2:実施例2の焼結体 比較例3:実施例3の焼結体
【0034】実施例4 窒化処理をしたSKD61で、図1に示すような外径8
0mm、内径60mm、深さ60mm、肉厚10mmの
注入容器1の内面に、実施例1〜3の焼結体を電極にし
て放電被覆を行った。被覆条件は実施例1と同様にし
た。
【0035】この注入容器1に3の溶融アルミニウム
(750℃、92%Al−10%Cu−8%Si)を注
湯し、押し型4で、P1=10kg/cm2 で押しなが
らアルミニウムを凝固させ、アルミニウムの温度が30
0℃になってから取り出し棒5によりP2の力を加えて
インゴットを取りだした。最初、溶融アルミニウムが容
器と反応せず、容易に剥離する間はP2の値は小さい
が、この操作を繰り返して、溶融アルミニウムが容器と
反応し始めると、P2は大きな値となってくる。そこで
P2が2kg/cm2 以上の応力になった時点で測定を
中止し、それまでの回数を測定した。
【0036】結果を表2に示す。表から明らかなよう
に、本発明の被覆材は回数が約35,000回を越えて
も良好な特性を示すのに対し、SKD61は短い回数で
抜き出し力が所定の値を越えて、試験中止となった。
【0037】
【表2】
【0038】
【発明の効果】本発明の放電被覆複合体は、硼化物セラ
ミックスを放電被覆法を利用して鋼材などに被覆するこ
とによって、耐摩耗性や耐食性などの本来の機能を損な
うことなく、構造用材料として実用に供することができ
るものである。特に、アルミニウムなど低融点金属ダイ
カスト機用部材などはその部品全体をセラミックスで作
成すると寿命は向上するが、製作費が高価になるだけで
なく割れの心配が常にあり、このために作業性が著しく
低下する。さらに大型品や複雑形状品は製造が非常に困
難である。しかし、本発明の被覆複合体は従来用いられ
ている鋼材などをそのまま基材として用いるので、強度
上の問題もなく、大型品や複雑形状品の製作も容易であ
る。また、基材との密着性も高く、耐熱衝撃性にも優れ
ている。さらに、基材に対する熱などの影響もほとんど
なく、残留応力がかかることもない。しかも皮膜の耐摩
耗性や溶融アルミニウムに対する耐食性に関しても焼結
体と同様に優れている。
【0039】
【図面の簡単な説明】
【図1】硼化物を被覆した溶融アルミニウム容器の特性
評価試験方法の概略図。
【符号の説明】
1 注入容器(SKD61、イオン窒化材) 2 放電被覆層 3 750℃の溶融アルミニウム(92%Al−10%
Cu−8%Si) 4 押し型 5 アルミニウムインゴット取り出し棒

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放電被覆法で基材上に皮膜を形成した被
    覆複合体において、皮膜を形成するための電極が、Mx
    By(ただしMはTi,Zr,Ta,Nb,Cr,Vを
    表し、x=1〜2、y=1〜4である)で表せる2元系
    硼化物の中から選ばれた少なくとも1種以上を40〜9
    8重量%(以下%は重量%)と、Mo2FeB2,Mo2
    CoB2,Mo2NiB2,W2FeB2,W2CoB2,W2
    NiB2,MoCoB,WFeB,WCoBの中から選
    ばれた1種以上の3元系複硼化物を2〜60%と、これ
    らの化合物中に含まれる不可避的不純物からなり、形成
    される皮膜の厚さが5〜300μmであることを特徴と
    する放電被覆複合体。
  2. 【請求項2】 MxByをTiB2,ZrB2,Ta
    2,CrB2の中から選ばれた少なくとも1種以上の2
    元系硼化物とすることを特徴とする請求項1の放電被覆
    複合体。
  3. 【請求項3】 放電被覆法で基材上に皮膜を形成した被
    覆複合体において、皮膜を形成するための電極が、Mx
    Byで表せる2元系硼化物の中から選ばれた少なくとも
    1種以上を30〜78%、Mo2FeB2,Mo2Co
    2,Mo2NiB2,W2FeB2,W2CoB2,W2Ni
    2,MoCoB,WFeB,WCoBの中から選ばれ
    た1種以上の3元系複硼化物を2〜30%、TiC,T
    iN,および、C/Nの原子比が0.25〜4.0であ
    るTiCNの中から選ばれた少なくとも1種以上を10
    〜55%と、これらの化合物中に含まれる不可避的不純
    物からなり、形成される皮膜の厚さが5〜300μmで
    あることを特徴とする放電被覆複合体。
  4. 【請求項4】 MxByがTiB2,ZrB2,Ta
    2,CrB2の中から選ばれた少なくとも1種以上の2
    元系硼化物であることを特徴とする請求項3の放電被覆
    複合体。
  5. 【請求項5】 放電被覆法で基材上に硼化物皮膜を形成
    し、ダイカスト機械部材に使用することを特徴とする請
    求項1および請求項2の放電被覆複合体。
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