JP2959764B1 - プレキャストコンクリート構造体およびその施工方法 - Google Patents

プレキャストコンクリート構造体およびその施工方法

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JP2959764B1 JP20994398A JP20994398A JP2959764B1 JP 2959764 B1 JP2959764 B1 JP 2959764B1 JP 20994398 A JP20994398 A JP 20994398A JP 20994398 A JP20994398 A JP 20994398A JP 2959764 B1 JP2959764 B1 JP 2959764B1
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Abstract

【要約】 【課題】 騒音や振動を抑えた上で工期の大幅な短縮化
を図るとともに、構造的に頑丈であり、特に市街地の狭
隘な敷地での複数階建ての木造住宅の基礎として利用し
得るとともに住居の1階部分としても利用し得るように
する。 【解決手段】 複数階建ての住宅の基礎として使用され
る住宅建設用のプレキャストコンクリート構造体であっ
て、内部に鉄筋Fの配筋された基礎床11と、この基礎
床11を取り囲むように基礎床11の周縁部から立設さ
れた壁部とを備えて形成された6面構造体10によって
構成されている。6面構造体10は、有底の下部構造体
1に、無蓋または天井を備えた上部構造体2を積み重ね
ることによって形成され、下部構造体1の上縁部と、上
部構造体2の下縁部との間には、シール部材が介設され
ている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複数階建ての住宅
の基礎として好適に使用し得る住宅建設用のプレキャス
トコンクリート構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、3階建て住宅については、防災上
や安全上の観点から鉄筋コンクリート造りのものしか法
的に許可されなかったが、建築技術の向上による防災性
能の改善によって、木造建築でも3階建ての住宅が解禁
になって久しく、これが原動力になって、近年、主に都
市部の住宅地において土地の有効利用を図るべく3階建
ての住宅建築が急増している。
【0003】通常、住宅の基礎は、敷地を整地した後に
構築物の重量を受ける部分に敷き詰められたこぶし大の
栗石と、この栗石の上に形成された捨てコンクリート層
と、この捨てコンクリート層の上に形成された布基礎と
から構成され、布基礎の上にツーバイフォー工法や軸組
み工法による木造の建物が構築されているが、3階建て
住宅の場合、平屋建てや2階建てに比べて基礎が支持す
る重量が大きくなり、これに対応して支持重量の分散を
図るために布基礎の底面積を大きくしたり、布基礎に囲
繞された敷地の全域に亘って所定厚みでコンクリートを
敷設する、いわゆるべた基礎が採用される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、住宅が密集
した都市部の狭い敷地にあっては、可能な限り隣家との
敷地境界に接近した状態で建物が建築されるため、布基
礎を断面視で左右対称に形成することができず、足の部
分が敷地の中央部に突出して重心が偏った、いわゆる偏
心布基礎が採用されることが多いが、かかる偏心布基礎
の場合バランスが悪く、地震発生時に倒壊する可能性が
大きいことから、3階建て住宅の場合べた基礎の採用が
一般的になっている。
【0005】また、木造建築であっても、1階部分につ
いてはべた基礎の周縁の布基礎上に現地施工である、い
わゆる場所打ちで鉄筋コンクリート製の基礎構造物を構
築し、この基礎構造物を1階部分として例えばガレージ
等に利用するとともに、この構造物の上に木造の建家を
構築する方式も一般化している。
【0006】しかしながら、都市部の家屋が密集した狭
隘な敷地で布基礎やべた基礎を施工したり、場所打ちの
鉄筋コンクリート工事を施工するとなると、騒音や振動
等で近隣住民に対して多大の迷惑をかけることになると
いう問題点を有している。かかる問題点を抑えるため
に、工事が慎重に進められるが、これによって工期が長
引きくという新たな問題点が提起される。
【0007】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、騒音や振動を抑えた上で工
期の大幅な短縮化を図ることができるとともに、構造的
に頑丈であり、特に市街地の狭隘な敷地での複数階建て
の木造住宅の基礎と1階部分との兼用に適したプレキャ
ストコンクリート構造体およびその施工方法を提供する
ことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
内部に配筋された底部と、この底部を取り囲むように底
部の周縁部から立設された壁部とを備えて形成された6
面構造体からなる、複数階建ての住宅の基礎として使用
される住宅建設用のプレキャストコンクリート構造体で
あって、上記6面構造体は、有底の下部構造体に、無蓋
または天井を備えた上部構造体を積み重ねることによっ
て形成され、下部構造体の上縁部と、上部構造体の下縁
部との間には、シール部材が介設され、上記下部構造体
は、上縁部に階段状上縁部を有している一方、上記上部
構造体は、下縁部に上記階段状上縁部に対応した階段状
下縁部を有し、上記各縁部の角部には表面を覆うように
山形鋼が付設され、この山形鋼は、各構造体に配筋され
た鉄筋に溶接されていることを特徴とするものである。
【0009】この発明によれば、プレキャストコンクリ
ート構造体からなる6面構造体は、直方体状を呈して少
なくとも5面が壁面であり、構造的に頑丈であるため、
所定の敷地の基礎上に載置するだけでそのままその上に
構築される複数階建ての木造家屋の基礎としての利用が
可能になるとともに、その容量を適切に設定することに
より、6面構造体そのものが住宅の1階部分として利用
し得るようになる。
【0010】また、6面構造体を工場で大量生産すれ
ば、これを工事現場に運び込んで予め敷設された所定の
基盤の上に吊り降ろすという簡単な施工を行うことによ
って、従来の場所打ちで鉄筋コンクリート製の構築物を
施工する場合に比較して、大幅に工期が短縮化されると
ともに、施工時の騒音や振動等をほとんどなくすことが
可能になり、近隣住民にかかる迷惑を最小限に抑えた上
で、低コストで住宅を提供し得るようになる。
【0011】また、6面構造体は、有底の下部構造体
に、無蓋または天井を備えた上部構造体を積み重ねるこ
とによって形成され、下部構造体の上縁部と、上部構造
体の下縁部との間には、シール部材が介設されているた
め、6面構造体を上下に2分割した状態で工場から施工
現場まで運搬することが可能であり、公道を使って運搬
する上で有利である。そして、工事現場に運び込んだ上
下の構造体の内、まず下部構造体を予め施工された基盤
の上に吊り降ろし、ついで上部構造体を吊り降ろしてシ
ール部材を介して下部構造体の上に積み重ねることによ
って防水状態の6面構造体が敷地内に施工される。
【0012】さらに、下部構造体は、上縁部に階段状上
縁部を有している一方、上記上部構造体は、下縁部に上
記階段状上縁部に対応した階段状下縁部を有し、上記各
縁部の角部には表面を覆うように山形鋼が付設され、こ
の山形鋼は、各構造体に配筋された鉄筋に溶接されてい
るため、下部構造体の上に上部構造体を吊り降ろすこと
によって、下部構造体の上縁部に形成された階段状上縁
部の凹凸に上部構造体の下縁部に形成された階段状下縁
部の凸凹がシール部材を介して嵌まり込み、これによっ
て上下の構造体は、横方向への相対移動が規制された構
造的に頑丈な6面構造体になる。
【0013】そして、上下の階段状縁部の角部には、表
面を覆うように構造体の鉄筋と一体の山形鋼が敷設され
ているため、この山形鋼によって、衝撃等で欠け易いコ
ンクリート製の角の部分が保護される。
【0014】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、上記下部構造体の山形鋼と、上記上部構造
体の山形鋼とは、下部構造体の上に上部構造体が積み重
ねられた状態で当接部分が溶接されていることを特徴と
するものである。
【0015】この発明によれば、上部構造体が下部構造
体の上に積み重ねられた状態で、互いに当接した上下の
山形鋼が互いに溶接されているため、上下の構造体から
なる6面構造体は一体化が確実に行われて構造的に非常
に頑丈なものになる。
【0016】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明の施工方法であって、敷地を整地した後に整
地の全面に栗石を敷設して栗石地業を形成し、この栗石
地業の上にコンクリートを打設して捨てコンクリート基
盤を形成し、この捨てコンクリート基盤の上面に所定個
数のスペーサーを略均等に配設した後、セメントと砂と
の混合物である空練りモルタルを厚み寸法が上記スペー
サーの上下寸法より若干厚くなるように散布して空練り
基層を形成し、この空練り基層の上に上記下部構造体を
吊り降ろした後、下部構造体の上に上記シール部材を介
して上部構造体を吊り降ろすことを特徴とするものであ
る。
【0017】請求項3記載の発明によれば、空練り基層
の上に構造体を吊り降ろすことにより、構造体の底部が
複数個のスペーサーに支持された状態で捨てコンクリー
ト基盤の上面と構造体の底面との間に空練りモルタルが
押圧挟持される。この空練りモルタルは、空気中の水分
や降雨時の雨滴を吸収し、化学反応が進行して固化す
る。そして、固化した空練り基礎は、構造体の底面およ
び捨てコンクリート基盤の上面の凹凸に沿った状態で底
面および上面に密着しているため、6面構造体およびそ
の上に構築された木造家屋の重量が基礎によって均等に
分散支持され、基礎に部分的に大きな荷重が加わること
による部分的な基礎の沈下が確実に防止される。
【0018】本発明の請求項4記載の発明は、請求項3
記載の発明において、上記スペーサーとして弾性体によ
って形成されたものを用いることを特徴とするものであ
る。
【0019】このプレキャストコンクリート構造体の施
工方法によれば、下部構造体がコンクリート基盤上に吊
り降ろされると、コンクリート基盤と下部構造体との間
に介設されている弾性体からなる複数個のスペーサーは
下部構造体の重量によってそれぞれ弾性変形し、コンク
リート基盤や下部構造体の寸法誤差がこのスペーサーの
弾性変形で吸収され、かつ、下部構造体は全てのスペー
サーによって支持された状態になり、引いては構造体本
体が全てのスペーサーにより支持された状態になる。
【0020】
【発明の実施の形態】図1および図2は、本発明の係る
プレキャストコンクリート構造体の一実施形態を示す一
部切欠き斜視図であり、図1は、下部構造体と上部構造
体とが分離した状態、図2は上部構造体が下部構造体に
積み重ねられた状態をそれぞれ示している。これらの図
に示すように、プレキャストコンクリート構造体は、直
方体状を呈した6面構造体10によって形成されてい
る。6面構造体10は、下半分を形成する下部構造体1
と、同上半分を形成する上部構造体2とを備えた基本構
成を有している。上記下部構造体1は、平面視で長方形
状に形成され、底部に形成された長方形状の基礎床(底
部)11と、この基礎床11の周縁部から上方に向かっ
て延設された周壁12とからなっている。
【0021】上記周壁12は、基礎床11の短辺側に互
いに対向するように立設された一対の短辺側壁13と、
同長辺側に互いに対向するように立設された一対の長辺
側壁14とからなっている。また、下部構造体1の周壁
12は、その上縁部に外方が低くレベル設定された低縁
部15aと、この低縁部15aの内方に低縁部15aよ
り高くレベル設定された高縁部15bとからなる階段状
上縁部15を有している。
【0022】上記上部構造体2は、下部構造体1に対応
して同一平面形状に形成され、上記下部構造体1の短辺
側壁13に対応した短辺側壁22と、同長辺側壁14に
対応した長辺側壁23とからなる周壁21を有してい
る。上部構造体2の周壁21の下縁部には、下部構造体
1の周壁12の低縁部15aに対応する低縁部24a
と、この低縁部24aの内側に形成された上記周壁12
の高縁部15bに対応する高縁部24bとを備えた階段
状下縁部24が形成されている。
【0023】また、上部構造体2の上部には、周壁21
に支持された天井床20が設けられている。この天井床
20の適所には、矩形状の通過口20aが設けられ、上
部構造体2が下部構造体1上に積み重ねられた状態(図
2)で、上位階からこの通過口20aを介して6面構造
体10内に対して出入りし得るようになっている。な
お、通過口20aは、上位階との間で行き来する必要が
ある6面構造体10を対象として設けられるものであ
り、従って、上位階との間で行き来する必要のない6面
構造体10にあっては特に天井床20に通過口20aを
設けなくてもよい。
【0024】また、下部構造体1の周壁12の適所に
は、階段状上縁部15から下方に向かって所定幅で切り
欠かれて形成した上部開放切欠き部201が設けられて
いるとともに、上部構造体2の周壁21には、上記上部
開放切欠き部201に対応して階段状下縁部24から上
方に向かって切り欠かれて形成した下部開放切欠き部2
02が設けられている。そして、上部構造体2が下部構
造体1に積み重ねられた状態で、図2に示すように、上
部開放切欠き部201と下部開放切欠き部202とで出
入口200が形成されるようにしている。本実施形態で
は、短辺側壁13,22と、長辺側壁14,23とにそ
れぞれ一つずつで合計二つの出入口200が設けられて
いるが、一つの6面構造体10当り出入口200が二つ
設けられることに限定されるものではなく、一つであっ
てもよいし、三つ以上であってもよく、またその大きさ
も任意に設定することができる。
【0025】そして、下部構造体1の周壁12の上縁部
に、上部構造体2の周壁21の下縁部を当接させるよう
に上部構造体2を下部構造体1上に積み重ねることによ
って、下部構造体1の階段状上縁部15と上部構造体2
の階段状下縁部24とが互いに嵌まり合い、これによっ
て下部構造体1と上部構造体2とが合体した6面構造体
10が得られるようにしている。
【0026】図3は、下部構造体1および上部構造体2
の階段状縁部15,24を示す断面図であり、(イ)は
上部構造体2が下部構造体1に積み重ねられる直前の状
態、(ロ)は上部構造体2が下部構造体1に積み重ねら
れた状態をそれぞれ示している。図3の(イ)に示すよ
うに、下部構造体1の階段状上縁部15と、上部構造体
2の階段状下縁部24とを対向させた状態で、上部構造
体2の低縁部24aが下部構造体1の低縁部15aに対
向しているとともに、上部構造体2の高縁部24bが下
部構造体1の高縁部15bに対向し、図3の(ロ)に示
すように、上部構造体2を下降させて上部構造体2の階
段状下縁部24を下部構造体1の階段状上縁部15に当
接させた状態で、下部構造体1の階段状上縁部15と上
部構造体2の階段状下縁部24とが互いに嵌まり合うよ
うに各低縁部15a,24aおよび各高縁部15b,2
4bの幅寸法が設定されている。これによって、下部構
造体1に積み重ねられた上部構造体2の下部構造体1に
対する横ずれが確実に阻止されるようにしている。
【0027】そして、階段状上縁部15の低縁部15a
の角部には、長手方向の全長に亘って角部を保護するよ
うに山形鋼L1が被せられているとともに、高縁部15
bの外方側の角部にも同様に山形鋼L2が被せられ、こ
れによって階段状上縁部15の角部が欠けるのを防止す
るようにしている。また、階段状下縁部24の低縁部2
4aおよび高縁部24bにも同様に山形鋼L3,L4が
被せられている。各山形鋼L1,L2,L3,L4は、
それぞれの構造体1,2に内装され、かつ、縦方向に延
びた後述する鉄筋Fに溶接止めで固定され、これによっ
て各構造体1,2への装着状態が確実なものになるよう
にしている。
【0028】また、各山形鋼L1,L2,L3,L4
は、各周壁12,21の表面から若干内部に凹んだ部分
に設けられ、これによって周壁12,21の表面と山形
鋼L1,L2,L3,L4との間に僅かな寸法の段差部
10aが形成されている。
【0029】このような各構造体1,2は、縦横に配筋
された鉄筋Fの周りがコンクリートで囲われた、いわゆ
る鉄筋コンクリート製で形成されている。そして、下部
構造体1の階段状上縁部15には、図3の(イ)に示す
ように、上部構造体2が積み重ねられる前に柔軟性およ
び防水性を備えた材料からなるシール部材3が配設さ
れ、上部構造体2が下部構造体1上に積み重ねられた状
態で、図3の(ロ)に示すように、両階段状縁部15,
24間にシール部材3が上部構造体2の自重で押圧挟持
され、これによって6面構造体10が敷地に敷設された
状態で、階段状縁部15,24の当接部分からの雨水等
の室内への侵入を防止するようにしている。本実施形態
においては、シール部材3として合成ゴムが採用されて
いる。
【0030】また、上部構造体2の階段状下縁部24が
シール部材3を介して下部構造体1の階段状上縁部15
に嵌め合わされた状態で、下部構造体1の山形鋼L1と
上部構造体2の山形鋼L3との対向部分が溶接止めされ
るとともに、同山形鋼L2,L4同士が溶接止めされ、
これによって下部構造体1と上部構造体2との結合状態
が確実なものになるようにしている。さらに、上下の山
形鋼(山形鋼L1と山形鋼L3、および山形鋼L2と山
形鋼L4)同士が溶接止めされた後に、上下の段差部1
0a間にモルタルグラウトMが施工され、これによって
周壁12,21の見栄えがよくなるとともに、防水効果
が向上するようにしている。
【0031】そして、本実施形態においては、各構造体
1,2の周壁12,21、上部構造体2の天井床20、
および下部構造体1の基礎床11の厚み寸法は、それぞ
れ少なくとも120mmを越えるように寸法設定され、
これによって6面構造体10が埋設された状態で、地上
に露出している上部構造体2の天井床20が、地上建造
物の基礎として利用し得るようにしている。
【0032】上記鉄筋Fは、本実施形態においては、直
径13mmのものが使用されている。この鉄筋Fが、柱
軸方向に延びるように配筋される軸方向主鉄筋、および
これに直交するように配筋される背力鉄筋の双方に用い
られ、これらが常法によって縦横に組み合わされて配筋
されている。そして、軸方向主鉄筋および背力鉄筋の双
方は、6面構造体10の用途(例えば地上建造物の基礎
として使用されるのか、この場合地上建造物は何階建て
であるのは、あるいは地下室として適用されるのか等)
に応じて配置間隔が設定されている。
【0033】ところで、6面構造体10が地下室として
使用される場合には、基礎床11が地表から1.8〜
2.0mの深さになるように下部構造体1を地下に埋設
した状態で、底から0.6mの位置の下部構造体1の周
壁12に作用する土圧は、裏込め土が水分飽和の通常の
普通土である場合、内部摩擦角が30°、地震時の水平
震度kが0.3と仮定して、周壁12に加わる外力は常
時で1.0tf/mであり、地震時で1.7〜2.0t
f/mであることから、上記直径(13mm)の鉄筋F
を用い、かつ、配筋を適切に施すことにより、6面構造
体10は、普段は勿論のこと、地震時にも十分に対応し
得るものになる。
【0034】上記6面構造体10の幅寸法(各構造体
1,2の短辺側壁13,22の水平方向の寸法)および
長さ寸法(長辺側壁14,23の水平方向の寸法)は、
日本家屋の実情に合うように、外寸法が0.9mの倍数
になるように寸法設定されている。また、各構造体1,
2の高さ寸法は1.2mまたは1.3mに設定され、従
って各構造体1,2が合体された6面構造体10の高さ
寸法は2.4mまたは2.6mになっている。本実施形
態においては、6面構造体10は、4畳半用、6畳用、
8畳用および10畳用のものをユニット製品として工場
生産するようにしている。表1に、本実施形態の6面構
造体10の寸法を規模別に示す。
【0035】
【表1】
【0036】そして、本実施例において、上記のような
サイズの6面構造体10を採用したのは、このようなサ
イズが日本家屋の実情に合うことや、工場生産が容易な
ことの他、6面構造体10を二分割した状態の下部構造
体1および上部構造体2を横転させることにより、道路
運送車両法等の交通法規に抵触することなく構造体1,
2を公道を利用して運送車両で搬送することができるか
らである。
【0037】以下図4を基に本発明に係るプレキャスト
コンクリート構造体の製造方法について説明する。図4
は、6面構造体10の製造方法を説明するための断面視
の説明図であり、(イ)は下部構造体1用の配筋が施さ
れた型枠内に生コンクリートが充填された状態、(ロ)
は上部構造体2用の配筋が施された型枠内に生コンクリ
ートが充填された状態をそれぞれ示している。
【0038】下部構造体1を製造するには、図4の
(イ)に示すような第1型枠41を使用する。この第1
型枠41は、180°逆転させた下部構造体1の立体形
状に沿うキャビティ41aを有しており、このキャビテ
ィ41a内にまず鉄筋Fを配筋する。上記鉄筋Fの図4
における下端部には予め山形鋼L1,L2が溶接されて
いる。ついで、鉄筋Fの配筋されたキャビティ41a内
に生コンクリートを流し込み、図略の振動手段の駆動に
よるキャビティ41aへの振動付与によってキャビティ
41a内の生コンクリートの締め固めを行い、その後、
生コンクリートが固化するまで放置(養生)される。そ
して、生コンクリートが固まった後、キャビティ41a
内から抜き出されて下部構造体1が得られる。なお、生
コンクリートの養生中に第1型枠41に蒸気等を供給し
て加熱し、これによって生コンクリートの固化を促進さ
せることもある。
【0039】上部構造体2を製造するには、図4の
(ロ)に示すような第2型枠42が使用される。この第
2型枠42は、逆転させない状態の上部構造体2の立体
形状に沿うキャビティ42aを有しており、このキャビ
ティ42a内に配筋した後、生コンクリートを流し込ん
で上部構造体2が製造される。鉄筋Fの下端部には、上
記同様に予め山形鋼L3,L4が溶接されている。生コ
ンクリートを流し込んでからの処理は、先の下部構造体
1の場合と同様である。
【0040】図5および図6は、本発明に係るプレキャ
ストコンクリート構造体の施工方法を説明するための斜
視図であり、図5は、一の6面構造体10に対して他の
6面構造体10を隣接配置する直前の状態、図6は、一
の6面構造体10に対して他の6面構造体10を隣接配
置した状態をそれぞれ示している。また、図7は、図6
のT−T線断面図である。なお、図5および図6におい
て、X−X方向を横方向、Y−Y方向を縦方向という。
これらの図に示すように、第2実施形態においては、隣
接する6面構造体10同士が、所定厚み寸法を有する平
面視で長方形状の基盤(捨てコンクリート基盤)100
上に配置されている。
【0041】上記2体の6面構造体10は、いずれも下
部構造体1と、この下部構造体1に積み重ねられた上部
構造体2とからなっている。この例では、これら2体の
6面構造体10が、上記基盤100上で互いに隣接する
ように配置されることによって、2室からなるプレキャ
ストコンクリート構造体が形成されるようになってい
る。
【0042】6面構造体10の構造は、基本的に図1〜
図3に示すもの同様であるが、出入口200は、ローカ
ルコンディションに合わせて適所に設けられている。
【0043】上記基盤100は、敷地を整地した後に整
地の全面に栗石を敷設して栗石地業を形成し、この栗石
地業の上にコンクリートを打設することによって形成さ
れている。かかる基盤100は、コンクリート製で所定
厚み寸法を有する平板状に形成され、平面寸法は2体の
6面構造体10を合わせた平面寸法よりも若干大きく寸
法設定されている。このような基盤100の表面に、弾
性体としての耐圧性ゴムからなる多数のスペーサー10
1が基盤100上で均等に分布するように配置されてい
るとともに、基盤100上にスペーサー101の頂部が
僅かに隠れる程度の層厚みに設定された空練りモルタル
102(図5に点描で表示)が散布され、このような状
態の基盤100上に6面構造体10順次吊り降ろされる
ことによって各6面構造体10がスペーサー101およ
び空練りモルタル102を介して基盤100に支持され
るようになっている。
【0044】上記スペーサー101は、6面構造体10
を支持するのに十分な強度を有するように支持断面の大
きさや重量や形状が設定されており、複数のスペーサー
101を所定の密度分布で基盤100上に配置すること
により、6面構造体10が基盤100から一定間隔離間
した状態で基盤100上に据え付けられることになる。
【0045】上記空練りモルタル102は、水を加えな
いでセメントと砂とを混練したものである。かかる空練
りモルタル102を6面構造体10と基盤100との間
に介在させることにより、6面構造体10をスペーサー
101上に据え付けた直後には、空練りモルタル102
が基盤100の表面および6面構造体10の底面の凹凸
に追随して層厚みが上記凹凸に対応したものになるとと
もに、時間の経過に伴って空練りモルタル102は地中
の水分を吸収し、これによる化学反応の進行によって固
化するため、6面構造体10の重量が固化した空練りモ
ルタル102を介して均等に基盤100に加わることに
なり、基盤100による6面構造体10の支持状態が安
定したものになる。
【0046】上記各6面構造体10の出入口200(す
なわち上部構造体2の下部開放切欠き部201および下
部構造体1の上部開放切欠き部202の双方)には、周
壁の外面側に向かって開放した第1環状隅部203が凹
設され、さらにこの第1環状隅部203の内周面には、
周壁の外面側に向かって開放した第2環状隅部204が
凹設され、これによって出入口200は内周面が階段状
になっている。
【0047】そして、2体の6面構造体10が、それぞ
れの出入口200を対向させた状態で互いに当接される
ことにより、各6面構造体10の出入口200の内周面
には、それぞれの第1環状隅部203が合わさった環状
広幅溝205が形成されるとともに、この環状広幅溝2
05の溝底部分にそれぞれの第2環状隅部204が合わ
さった環状狭幅溝206が形成されるようにしている。
【0048】上記環状狭幅溝206には、図7に示すよ
うに、ゴム等の弾性部材からなるシール部材31が詰め
込まれている。このシール部材31は、吸水することに
よって膨張し、これによってシール効果を向上させるよ
うな性質を有するものが好適に使用される。
【0049】環状狭幅溝206にシール部材31が充填
された後、上記環状広幅溝205には、図7に示すよう
に、水練り状の止水モルタル32を流し込む、いわゆる
グラウティング処理が施され、これによって出入口20
0からの6面構造体10内への雨水等の侵入が確実に防
止されるようになっている。
【0050】このようなプレキャストコンクリート構造
体の施工方法によれば、6面構造体10は、固化した空
練りモルタル102を介して基盤100と一体化してい
るため、地震時の横揺れに起因した水平方向に向かう力
が6面構造体10に加わっても、6面構造体10が基盤
100に対して横ずれするような不都合の発生を有効に
防止することができる。
【0051】以上詳述したように、本発明のプレキャス
トコンクリート構造体によれば、6面構造体10を、内
部に鉄筋Fの配筋された基礎床11と、この基礎床11
を取り囲むように基礎床11の周縁部から立設された壁
部とを備えて形成された、鉄筋コンクリート製の6面体
によって構成するため、6面構造体10は、直方体状を
呈して少なくとも5面が壁面あるいは床面であり、構造
的に極めて頑丈であり、所定の敷地の基礎上に載置する
だけでそのままその上に構築される複数階建ての木造家
屋の基礎としての利用が可能になるとともに、その容量
を適切に設定することにより、6面構造体10そのもの
が住宅の1階部分として利用し得るようになり、例えば
都市部における狭い敷地を有効に利用する上で有効であ
る。
【0052】また、6面構造体10を工場で大量生産す
れば、これを工事現場に運び込んで予め敷設された所定
の基礎の上に吊り降ろすという簡単な施工を行うことに
よって、従来の場所打ちで鉄筋コンクリート製の構築物
を施工する場合に比較して、大幅に工期が短縮化される
とともに、施工時の騒音や振動等をほとんどなくすこと
が可能になり、近隣住民にかかる迷惑を最小限に抑えた
上で、低コストで住宅を提供することができる。
【0053】また、6面構造体10を、基礎床11を備
えた有底の下部構造体1に、天井床20を備えた上部構
造体2を積み重ねることによって形成するようにし、し
かも、下部構造体1の上縁部と、上部構造体2の下縁部
との間にシール部材3を介設することにより、6面構造
体10を上下に2分割した状態で工場から施工現場まで
運搬することが可能であり、公道を使っての運搬上で有
利である。そして、工事現場に運び込んだ上下の構造体
の内、まず下部構造体1を予め施工された基礎の上に吊
り降ろし、ついで上部構造体2を吊り降ろしてシール部
材3を介して下部構造体1の上に積み重ねることによっ
て防水状態の6面構造体10を敷地内に容易に施工する
ことができる。
【0054】また、下部構造体1の上縁部に内側から外
側に向かって下るように形成された階段状上縁部15を
設ける一方、上部構造体2の下縁部に階段状上縁部15
に対応し、かつ、内側から外側に向かって上るように形
成された階段状下縁部24を設けることにより、下部構
造体1の上に上部構造体2を吊り降ろすことによって、
下部構造体1の上縁部に形成された階段状上縁部15の
凹凸に上部構造体2の下縁部に形成された階段状下縁部
24の凸凹がシール部材3を介して嵌まり込み、これに
よって上下の構造体からなる6面構造体10を、横方向
への相対移動が規制された構造的に頑丈ものにすること
ができる。
【0055】この場合、上下の階段状縁部の角部に表面
を覆うように構造体の鉄筋Fと一体の山形鋼L1,L
2,L3,L4を予め設けておくことにより、衝撃等で
欠け易い下部構造体1および上部構造体2のコンクリー
ト製の角の部分を確実に保護することができる。
【0056】そして、下部構造体1の上に上部構造体2
が積み重ねられた状態で、下部構造体1の山形鋼L1,
L2と、上部構造体2の山形鋼L3,L4との当接部分
を溶接することにより、上下の構造体からなる6面構造
体10は確実に一体化し、6面構造体10を構造的に非
常に頑丈なものにすることができる。
【0057】また、本発明のコンクリート構造体の施工
方法は、上記のような6面構造体10を用いることを前
提とし、敷地を整地した後に整地の全面に栗石を敷設し
て栗石地業を形成し、この栗石地業の上にコンクリート
を打設して基盤100(捨てコンクリート基盤)を形成
し、この捨てコンクリート基盤の上面に所定個数のスペ
ーサー101を略均等に配設した後、空練りモルタル1
02を厚み寸法がスペーサー101の上下寸法より若干
厚くなるように散布し、この空練りモルタル102の上
に6面構造体10を吊り降ろすようにしているため、空
練りモルタル102の上に構造体を吊り降ろすことによ
り、構造体の基礎床11が複数個のスペーサー101に
支持された状態で基盤100の上面と構造体の底面との
間に空練りモルタル102が押圧挟持された状態にする
ことができる。この押圧挟持された空練りモルタル10
2は、空気中の水分や降雨時の雨滴を吸収し、化学反応
が進行して固化するため、固化した空練りモルタル10
2は、構造体の底面および基盤100の上面の凹凸に沿
った状態で底面および上面に密着し、6面構造体10お
よびその上に構築された木造家屋の重量が基礎によって
均等に分散支持され、基礎に部分的に大きな荷重が加わ
ることによる部分的な基礎の沈下を確実に防止すること
ができる。
【0058】本発明は、上記の実施形態に限定されるも
のではなく、以下の内容をも包含するものである。 (1)上記の実施形態においては、下部構造体1の上縁
面および上部構造体2の下縁面には、両者が接合した状
態で互いに噛合する階段状縁部15,24が設けられて
いるが、本発明は、上記両縁面にそれぞれ階段状縁部1
5,24を設けることに限定されるものではなく、下部
構造体1上縁面および上部構造体2下縁面のいずれか一
方に長手方向に延びる凹溝を設け、同他方に上記凹溝に
嵌まり込む突条が設けるようにしてもよい。上記凹溝お
よび突条の断面形状については、円弧状や三角形状等、
任意の形状を設定することが可能である。また、特に階
段状縁部15,24や凹溝・突条を設けずにフラットで
あってもよい。 (2)上記の実施形態においては、シール部材3として
板状のゴム製品が採用されているが、本発明はシール部
材3がゴム製品に限定されるものではなく、柔軟性およ
び耐水性に優れた合成樹脂を採用することも可能であ
り、さらに高粘度を有したゴムや合成樹脂を主成分にす
るエマルジョンを塗布することでシール部材3を形成さ
せるようにしてもよい。さらに例えばエポキシ系等の接
着剤をシール部材3として用いることも可能である。 (3)上記の実施形態において、構造体本体10の内壁
面および外壁面のいずれか一方または双方に防水処理を
施すようにしてもよい。こうすることによって周壁1
2,21を通した雨水等の室内への侵入が確実に防止さ
れる。 (4)上記の実施形態においては、構造体本体10は、
下部構造体1と上部構造体2との2層構造で形成されて
いるが、本発明は、構造体本体10が2層構造であるこ
とに限定されるものではなく、1層構造であってもよい
し、3層構造以上であってもよい。 (5)上記の実施形態においては、下部構造体1と基盤
100との間に介設される、弾性体からなるスペーサー
101として耐圧性ゴムが採用されているが、本発明
は、スペーサー101が耐圧性ゴムであることに限定さ
れるものではなく、所定の耐圧強度を備えた弾性体であ
ればどのようなものでもよく、例えば、合成樹脂や鋼片
であってもよい。合成樹脂としていわゆる廃プラスチッ
クを利用すると、資材コストの低減化に寄与することが
できるとともに、環境保全上も好都合である。また、鋼
片としては、弾性力を付与するためにコイルバネ状やU
字形状に成形したもの、あるいは皿ばね状に成形したも
のを好適に使用することができる。 (6)上記の実施形態においては、6面構造体10を複
数階建ての木造住宅の基礎兼1階部分として利用してい
るが、かかる6面構造体10を地下室として利用するこ
とも可能である。
【0059】
【実施例】以下、本発明が実際に適用された実施例につ
いて説明する。本実施例では、6面構造体10を構成す
るセメントは、JISR5710に規定されたポルトラ
ンドセメントが用いられている。このセメントに混合剤
としてのAE減水剤およびシリカヒュームと、軽量骨材
としての細骨材および粗骨材(MA317)とが混合さ
れ、これによってコンクリートの水密性および軽量性が
良好に発揮されるようにしている。また、構造体1,2
(図1)内に配筋される鉄筋Fとして、直径10mmお
よび13mmのものを採用した。さらに、下部構造体1
と上部構造体2との接続部分に介設されるシール部材3
(図3)として、ゴムアスファルトエマルジョンからな
るペーストタイプのものを使用した。上記各材料の諸元
を表2に示す。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示すような材料を用いたことによ
り、各構造体1,2を構成するコンクリートの圧縮強度
を210kgf/cm2以上にすることができるととも
に、水密性の指標である拡散係数を10×104cm2
/sec以下にすることが可能になる。また、本実施例
では、各構造体1,2を工場で製造するに際し、上記材
料を混合してなる生コンクリートを型枠41,42に流
し込み、3時間が経過してから蒸気を型枠に通して内部
の生コンクリートを20℃/hrで65℃にまで昇温
し、この温度を4時間継続して養生した。ついで生コン
クリートが常温になるまで自然放冷してから構造体1,
2を型枠41,42から取り出した。本実施例では、こ
のようにして得られた構造体1,2を使用している。構
造体1,2の一例(表2の6畳に該当するもの)につい
てその諸元を表3に示す。
【0062】
【表3】
【0063】つぎに、図8〜図11を基に、本発明に係
るプレキャストコンクリート構造体を適用した住宅の実
施例について説明する。この実施例は、市街地の、間口
が狭く奥行きの長いいわゆるうなぎの寝床といわれる狭
小敷地に3階建ての木造住宅を建築する場合のものであ
る。
【0064】図8は、木造住宅の基礎兼1階部分5のコ
ンクリート躯体Zを示す斜視図であり、図9は、その間
取り図である。なお、図8および図9において、X−X
方向を幅方向といい、Y−Y方向を前後方向という。そ
して特に−X方向を左方、+X方向を右方というととも
に、+Y方向を後方、−Y方向を前方という。これらの
図に示すように、木造住宅の1階部分に本発明に係る6
面構造体10の複数体が適用されている。6面構造体1
0としては、表4に示す5種類(第1ブロックA、第2
ブロックB、第3ブロックC、第4ブロックDおよび第
5ブロックE)が適用され、これらを組み合わすことに
よって縦長の狭小敷地に適応させている。基礎兼1階部
分5のコンクリート躯体Zにおける各ブロックA〜Eの
外寸法を表4に示した。
【0065】
【表4】
【0066】具体的には、第1ブロックAを、その出入
口200が道路Rに面するように敷地の最前方に配置
し、その後方の左方に第2ブロックBを配置するととも
に、この第2ブロックBの右方であって第1ブロックA
の後方に第3ブロックCを配置している。そして、第2
ブロックBの後方に第3ブロックCの後方半分の左方に
接するように第4ブロックDを配置し、さらにこの第4
ブロックDの後方に第5ブロックEを配置することによ
って3階建て住宅の基礎兼1階部分(コンクリート躯体
Z)が形成されている。
【0067】そして、第1ブロックAの右半分強は車庫
51として利用されるとともに、左側が玄関52として
利用されている。また、第2ブロックBは、玄関に続く
来客接待用等の共通スペース53として利用され、第3
ブロックCは、洗面所、浴室、便所等のユーティリティ
室54として利用されている。また、第4ブロックD
は、右半分が廊下55として利用されているとともに、
左半分に階段56が設けられ、この階段56によって通
過口20a(図8)を介して住宅の2階部分との間で行
き来し得るようになっている。
【0068】かかる第4ブロックDの後方に第5ブロッ
クEが配置されている。この第5ブロックEは和室57
として利用されている。第5ブロックEの右半分と、第
3ブロックCの後端面との間には、略正方形状の空間が
形成されているが、この部分は中庭として、あるいはテ
ラスとして利用されている。
【0069】そして、このようなコンクリート躯体Zが
3階建て住宅の基礎とし利用され、この天井部分にツー
バイフォー工法や軸組工法等の在来工法で2階部分およ
び3階部分6が構築されている。
【0070】このようなコンクリート躯体Zを用いて3
階建て住宅を建設するに当っては、予め先に図5〜図7
を用いて説明したような基礎工事が施工される。本実施
例においては、整地の上にまず栗石が200mm厚さに
敷き詰めて栗石地業110を形成し、この上に捨てコン
クリートによる厚み寸法が100mmの基盤100を積
層した(図8)。この基盤100の上に上下寸法が50
mm弱の所定個数のスペーサー101を均等に配置し
(図5参照)、引き続き空練りモルタル102を基盤1
00上に散布した。このような空練りモルタル102の
上に、図8および図9に示すレイアウトに従って第1〜
第5ブロックA〜Eを、下部構造体1および上部構造体
2の順に吊り降ろすことによってコンクリート躯体Zを
形成させた。
【0071】図10は、コンクリート躯体Zの上部に構
築された木造建家8の一例を示す間取り図であり、
(イ)は2階部分6、(ロ)は3階部分7をそれぞれ示
している。また、図11は、本実施例の3階建て住宅9
の正面視の外観図である。そして、2階部分6には、図
10の(イ)に示すように、リビングダイニングルーム
61、キッチン62、便所63および子供部屋64が設
けられ、3階部分7には、図10の(ロ)に示すよう
に、主寝室71、クローゼット72および子供部屋73
が設けられている。かかる間取りの3階建て住宅は、1
階に老人が、3階に若夫婦が、2階の一部および3階の
一部に子供が居住するようにするとともに、2階を共通
空間とすることによって、3世代同居用として好適に使
用することができる。
【0072】この実施例の3階建て住宅9によれば、敷
地面積が狭小な市街地であっても、空練りモルタル10
2を用いた基礎は、確実にコンクリート躯体Zの上部の
構築物(2階部分6および3階部分7)を支持し得るば
かりか、基礎工事が簡便であり、しかも1階部分は6面
構造体10を吊り降ろすという簡単な工法のみで済ませ
ることができ、これによって3階建て住宅建設の工期を
従来よりも大幅に短縮することが可能になり、これによ
って近隣にかける迷惑を最小限に留めることができ、市
街地での立て替え用の住宅として最適である。
【0073】
【発明の効果】本発明の請求項1記載のプレキャストコ
ンクリート構造体によれば、内部に配筋された底部と、
この底部を取り囲むように底部の周縁部から立設された
壁部とを備えて形成された6面構造体によって複数階建
ての住宅の基礎として使用される住宅建設用のプレキャ
ストコンクリート構造体を構成したため、プレキャスト
コンクリート構造体からなる6面構造体は、直方体状を
呈して少なくとも5面が壁面であり、構造的に頑丈であ
り、所定の敷地の基礎上に載置するだけでそのままその
上に構築される複数階建ての木造家屋の基礎としての利
用が可能になるとともに、その容量を適切に設定するこ
とにより、6面構造体そのものを住宅の1階部分として
利用することができる。
【0074】また、6面構造体を工場で大量生産すれ
ば、これを工事現場に運び込んで予め敷設された所定の
基礎の上に吊り降ろすという簡単な施工を行うことによ
って、従来の場所打ちで鉄筋コンクリート製の構築物を
施工する場合に比較して、大幅に工期を短縮することが
できるとともに、施工時の騒音や振動等をほとんどなく
すことが可能になり、近隣住民にかかる迷惑を最小限に
抑えた上で、低コストで住宅を提供することができる。
【0075】また、6面構造体を、有底の下部構造体
に、無蓋または天井を備えた上部構造体を積み重ねるこ
とによって形成し、下部構造体の上縁部と、上部構造体
の下縁部との間には、シール部材を介設したため、6面
構造体を上下に2分割した状態で工場から施工現場まで
運搬することが可能であり、公道を使っての運搬するこ
とができる。そして、工事現場に運び込んだ上下の構造
体の内、まず下部構造体を予め施工された基礎の上に吊
り降ろし、ついで上部構造体を吊り降ろしてシール部材
を介して下部構造体の上に積み重ねることによって防水
状態の6面構造体を敷地内に容易に施工することができ
る。
【0076】さらに、下部構造体に階段状上縁部を設け
る一方、上部構造体には下縁部に階段状上縁部に対応し
た階段状下縁部を設けたため、下部構造体の上に上部構
造体を吊り降ろすことによって、下部構造体の上縁部に
形成された階段状上縁部の凹凸に上部構造体の下縁部に
形成された階段状下縁部の凸凹がシール部材を介して嵌
まり込み、これによって上下の構造体を、横方向への相
対移動が規制された構造的に頑丈な6面構造体にするこ
とができる。
【0077】そして、上下の階段状縁部の角部には、表
面を覆うように構造体の鉄筋と一体の山形鋼を設けたた
め、この山形鋼によって、衝撃等で欠け易い構造体のコ
ンクリート製の角の部分を確実に保護することができ
る。
【0078】本発明の請求項2記載のプレキャストコン
クリート構造体によれば、下部構造体の山形鋼と上部構
造体の山形鋼とを、下部構造体の上に上部構造体が積み
重ねられた状態で溶接したため、上下の構造体からなる
6面構造体を、一体化が確実に行われた構造的に非常に
頑丈なものにすることができる。
【0079】本発明の請求項3記載のプレキャストコン
クリート構造体の施工方法によれば、敷地を整地した後
に整地の全面に栗石を敷設して栗石地業を形成し、この
栗石地業の上にコンクリートを打設して捨てコンクリー
ト基盤を形成し、この捨てコンクリート基盤の上面に所
定個数のスペーサーを略均等に配設した後、セメントと
砂との混合物である空練りモルタルを厚み寸法がスペー
サーの上下寸法より若干厚くなるように散布して空練り
基層を形成し、この空練り基層の上に6面構造体を吊り
降ろすようにしたため、空練り基層の上に構造体を吊り
降ろすことにより、構造体の底部が複数個のスペーサー
に支持された状態で捨てコンクリート基盤の上面と構造
体の底面との間に空練りモルタルが押圧挟持された状態
にすることができる。
【0080】そして、押圧挟持された状態の空練りモル
タルは、空気中の水分や降雨時の雨滴を吸収し、これに
よって化学反応が進行して固化するため、固化した空練
り基礎は、構造体の底面および捨てコンクリート基盤の
上面の凹凸に沿った状態で底面および上面に密着し、6
面構造体およびその上に構築された木造家屋の重量が基
礎によって均等に分散支持され、基礎に部分的に大きな
荷重が加わることによる部分的な基礎の沈下を確実に防
止することができる。
【0081】本発明の請求項4記載のプレキャストコン
クリート構造体の施工方法によれば、スペーサーとして
弾性体によって形成されたものを用いるようにしたた
め、下部構造体がコンクリート基盤上に吊り降ろされる
と、コンクリート基盤と下部構造体との間に介設されて
いる弾性体からなる複数個のスペーサーは下部構造体の
重量によってそれぞれ弾性変形し、コンクリート基盤や
下部構造体の寸法誤差がこのスペーサーの弾性変形で吸
収され、下部構造体を全てのスペーサーによって支持さ
れた状態にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の係るプレキャストコンクリート構造体
の一実施形態を示す一部切欠き斜視図であり、下部構造
体と上部構造体とが分離した状態を示している。
【図2】図1の上部構造体が下部構造体に積み重ねられ
た状態を示す斜視図である。
【図3】下部構造体および上部構造体の階段状縁部を示
す断面図であり、(イ)は上部構造体が下部構造体に積
み重ねられる直前の状態、(ロ)は上部構造体が下部構
造体に積み重ねられた状態をそれぞれ示している。
【図4】6面構造体の製造方法を説明するための断面視
の説明図であり、(イ)は下部構造体用の配筋が施され
た型枠内に生コンクリートが充填された状態、(ロ)は
上部構造体用の配筋が施された型枠内に生コンクリート
が充填された状態をそれぞれ示している。
【図5】本発明に係るプレキャストコンクリート構造体
の施工方法を説明するための斜視図であり、一の6面構
造体に対して他の6面構造体を隣接配置する直前の状態
を示している。
【図6】本発明に係るプレキャストコンクリート構造体
の施工方法を説明するための斜視図であり、一の6面構
造体に対して他の6面構造体を隣接配置した状態を示し
ている。
【図7】図6のT−T線断面図である。
【図8】木造住宅の基礎兼1階部分を示す斜視図であ
る。
【図9】図8の木造住宅の基礎兼1階部分の間取り図で
ある。
【図10】コンクリート躯体の上部に構築された木造建
家の一例を示す間取り図であり、(イ)は2階部分、
(ロ)は3階部分をそれぞれ示している。
【図11】実施例の3階建て住宅の正面視の外観図であ
る。
【符号の説明】
10 6面構造体 10a 段差部 1 下部構造体 11 基礎床 12 周壁 13 短辺側壁 14 長辺側壁 15 階段状上縁部 15a 低縁部 15b 高縁部 2 上部構造体 20 天井床 21 周壁 22 短辺側壁 23 長辺側壁 24 階段状下縁部 24a 低縁部 24b 高縁部 200 出入口 201 上部開放切欠き部 202 下部開放切欠き部 203 第1環状隅部 204 第2環状隅部 205 環状広幅溝 206 環状狭幅溝 3 シール部材 41 第1型枠 42 第2型枠 5 基礎兼1階部分 6 2階部分 7 3階部分 8 木造建家 9 3階建て住宅 A〜E 第1〜第5ブロック F 鉄筋 L1〜L4 山形鋼 Z コンクリート躯体

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部に配筋された底部と、この底部を取
    り囲むように底部の周縁部から立設された壁部とを備え
    て形成された6面構造体からなる、複数階建ての住宅の
    基礎として使用される住宅建設用のプレキャストコンク
    リート構造体であって、上記6面構造体は、有底の下部
    構造体に、無蓋または天井を備えた上部構造体を積み重
    ねることによって形成され、下部構造体の上縁部と、上
    部構造体の下縁部との間には、シール部材が介設され、
    上記下部構造体は、上縁部に階段状上縁部を有している
    一方、上記上部構造体は、下縁部に上記階段状上縁部に
    対応した階段状下縁部を有し、上記各縁部の角部には表
    面を覆うように山形鋼が付設され、この山形鋼は、各構
    造体に配筋された鉄筋に溶接されていることを特徴とす
    るプレキャストコンクリート構造体。
  2. 【請求項2】 上記下部構造体の山形鋼と、上記上部構
    造体の山形鋼とは、下部構造体の上に上部構造体が積み
    重ねられた状態で当接部分が溶接されていることを特徴
    とする請求項記載のプレキャストコンクリート構造
    体。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載のプレキャストコ
    ンクリート構造体の施工方法であって、敷地を整地した
    後に整地の全面に栗石を敷設して栗石地業を形成し、こ
    の栗石地業の上にコンクリートを打設して捨てコンクリ
    ート基盤を形成し、この捨てコンクリート基盤の上面に
    所定個数のスペーサーを略均等に配設した後、セメント
    と砂との混合物である空練りモルタルを厚み寸法が上記
    スペーサーの上下寸法より若干厚くなるように散布して
    空練り基層を形成し、この空練り基層の上に上記下部構
    造体を吊り降ろした後、下部構造体の上に上記シール部
    材を介して上部構造体を吊り降ろすことを特徴とするプ
    レキャストコンクリート構造体の施工方法。
  4. 【請求項4】 請求項記載のプレキャストコンクリー
    ト構造体の施工方法において、上記スペーサーとして弾
    性体によって形成されたものを用いることを特徴とする
    プレキャストコンクリート構造体の施工方法。
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