JP2958359B2 - 遅効性抗菌剤 - Google Patents

遅効性抗菌剤

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JP2958359B2 JP2108367A JP10836790A JP2958359B2 JP 2958359 B2 JP2958359 B2 JP 2958359B2 JP 2108367 A JP2108367 A JP 2108367A JP 10836790 A JP10836790 A JP 10836790A JP 2958359 B2 JP2958359 B2 JP 2958359B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (技術分野) 本発明は、遅効性抗菌剤に係り、特にキチン質(キチ
ン、キトサン)を微生物培養処理することにより得られ
る固形の培養材料からなる抗菌剤、または該固形の培養
材料を更に培養して得られる固形の抗菌剤、或いは前記
培養材料に、水を加えて、固液分離して得られる固形分
を、更に培養して得られる固形の抗菌剤に関するもので
ある。
(背景技術) 近年、キチンやキトサンの如きキチン質を微生物によ
って分解処理する手法が、種々検討されてきている。こ
れは、昆虫類や甲殻類の外殻の処理の一つの手段として
は勿論のこと、そのような微生物処理によって得られる
培養物や培養生成物に有用な薬理活性が存することが認
められたことによるものである。
かかる状況下、本発明者にあっても、キチンやキトサ
ンの如きキチン質をよく分解し、またそれらの分解酵素
類の生産能力の高い微生物を広く自然界から検索してい
るうち、pHに応じて特異な挙動を示す菌株を見い出し、
そしてそのような菌株(微生物)をキチン培地乃至はキ
トサン培地にて培養して得られた培養体が、優れた抗菌
作用を有することを見い出したのである。
(解決課題) ここにおいて、本発明は、かかる知見に基づいて完成
されたものであって、その解決課題とするところは、遅
効性の抗菌作用を有し、且つその効果を長期に亘って持
続させ得る薬剤を、微生物の培養体から得ることにあ
る。
(解決手段) そして、本発明は、かかる課題解決のために、コリネ
バクテリウム属のバイネ−A株(微工研菌寄第10702
号)若しくはアクロモバクタ属のバイネ−B株(微工研
菌寄第10703号)またはそれら菌株を含む混合微生物
を、キチン培地またはキトサン培地にて培養して得られ
た固形の培養材料からなる遅効性抗菌剤を、その要旨と
するものである。
また、本発明は、この得られた固形の培養材料に対し
て、更に燐源資材及び窒素源資材を配合せしめ、熟成さ
せて得られる固形の遅効性抗菌剤をも、その特徴とする
ものである。
さらに、本発明にあっては、前記固形の培養材料に対
して、水を加えて、固液分離して得られる固形分に、更
に燐源資材、窒素源資材及びキトサンを配合せしめ、熟
成させて得られる固形の遅効性抗菌剤をも、その特徴と
するものである。
(具体的構成) ところで、かかる本発明に用いられる微生物は、コリ
ネバクテリウム属に属する菌株であって、コリネバクテ
リウム・バイネ−Aと称されるもの、若しくはアクロモ
バクタ属に属する菌株であって、アクロモバクタ・バイ
ネ−Bと称されるものである。これらの菌株は、滋賀県
内のじゃがいもを原料とする食品(コロッケ)工場の水
処理廃水汚泥から採取され、そのような汚泥にモミ殻を
混ぜて発酵させ、そしてその発酵終了前に更にキトサン
を配合して好気的に発酵培養させたものから単離された
ものであって、それぞれ、工業技術院微生物工業技術研
究所に、平成元年5月1日に、前者は「微工研菌寄第10
702号(FERM P−10702)」として、また後者は「微工研
菌寄第10703号(FERM P−10703)」として受託されてお
り、それぞれの菌学的性質は、以下の通りである。
(I)形態学的性質 a)バイネ−A株 本菌株は、グラム陽性の短桿菌(1.5〜2.0μm×1.0
〜1.5μm)である。
b)バイネ−B株 本菌株は、グラム陰性の桿菌(1.5〜2.0μm×0.5〜
0.7μm)で、胞子は形成しない。
(II)各種培地上の性質 a)バイネ−A株 (1)ブイヨン寒天培地 殆ど生育が観られない。
(2)コロイダルキチン寒天培地 コロニーの色は白色で、周辺は少々波打っており、隆
起はあまりない。30℃で2日培養後、微かにコロニーの
周辺にクリアーゾーンが見られるが、10日以上培養を続
けると、コロニーの周りに大きなクリアーゾーンを形成
する。生育速度はバイネ−B株に比べると遅い。
b)バイネ−B株 (1)ブイヨン寒天培地 コロニーは、半透明で、やや白色を呈し、培地上を無
秩序に広がっていく。30℃で1日培養後には、生育が認
められる。
(2)コロイダルキチン寒天培地 コロニーは、最初透明で、クリアーゾーンが形成され
ていることで、生育が確認出来る。培養を続けると、ど
んどん広がり、菌が良く生育した所は半透明で白色に見
える。コロニーとクリアーゾーンの面積は略同じである
か、多少クリアーゾーンの方が大きい。
(III)生理的性質 a)バイネ−A株 (1) 各温度におけるコロイダルキチン寒天培地(pH
=7.0)でのクリアーゾーンの状態(大きさ)は、下表
の通りである。
(2) 生育pH LB(Luria Bertani)培地(pH7.8,6.9,5.9,5.0,4.0,
3.0,1.9,1.0) 何れも3週間培養したが、生育は観られなかった。
キチン培地(pH7.9,7.2,6.3,5.5,5.2,3.9,2.3,1.3) 各培地でのOD660値(660nmの波長で測定された光学密
度:生存菌体の数を表わす)は下表の通りである。
pH7.9〜6.3で生育。
上記,で生育が観られなかった培養液(LB培
地:pH7.8〜1.0のもの,キチン培地:pH5.5〜1.3のもの)
を、pH7.0のキチン培地に1ml移し、生育を観た。なお、
のLB培地pH7.8〜1.0の培養液は3週間振盪培養後のも
のであり、のキチン培地pH5.5〜1.3の培養液は、同様
に、2週間培養後のものである。
生育結果(OD660値)は下表の通りである。
以上の結果より、本菌株は、中性付近で良く生育し、
酸性条件下では休暇状態にあると考えられる。
(3) 硝酸塩の還元・・・・・陰性 (4) 硫化水素の発生・・・・陰性 (5) インドールの生成・・・陰性 (6) V−Pテスト・・・・・陰性 (7) O−Fテスト・・・・・陰性 (8) メチルレッドテスト・・陰性 (9) カタラーゼ・・・・・・陽性 (10) オキシダーゼ・・・・・陰性 (11) ウレアーゼ・・・・・・陰性 (12) 糖からの酸とガスの生成試験酸も、ガスも生成
しない: グルコース,サッカロース,ラムノース,ソルビトー
ル,キシロース,ラクトース,ガラクトース,マルトー
ス,マンノース,アラビノース,フラクトース,マンニ
トール (13) 嫌気培養・・・・・・生育しない。
b)バイネ−B株 (1) 各温度におけるコロイダルキチン寒天培地(pH
=7.0)でのクリアーゾーンの直径(大きさ)は、下表
の通りである。
(2) 生育pH(30℃) LB培地(pH7.8,6.9,5.9,5.0,4.0,3.0,1.9,1.0) 生育結果(OD660値)は下表の通りである。pH7.8〜5.
9で生育(24時間後には完全に定常期に達する)。
上記の図で生育が観られなかった培養液(pH5.0,4.
0,3.0,1.9,1.0)を、7日後に、pH7.0のLB培地に移す。
その結果、元のpHが5.0〜3.0のものは生育した。
これらの結果から、本菌株は、中性付近で良く生育す
るが、酸性条件下では休眠状態であると考えられる。
(3) 硝酸塩の還元・・・・・陰性 (4) 硫化水素の発生・・・・陽性 (5) インドールの生成・・・陰性 (6) V−Pテスト・・・・・陰性 (7) O−Fテスト・・・・・陰性 (8) メチルレッドテスト・・陽性 (9) カタラーゼ・・・・・・陽性 (10) オキシダーゼ・・・・・陽性 (11) ウレアーゼ・・・・・・陰性 (12) 糖からの酸及びガスの生成試験酸もガスも生成
しない: グルコース,サッカロース,ラムノース,ソルビトー
ル,キシロース,ラクトース,ガラクトース,マルトー
ス,マンノース,アラビノース,フラクトース,マンニ
トール (13) 嫌気培養・・・・・・生育する。
(IV)同定 a)バイネ−A株 以上の諸性質から、本菌株は、「微生物の分類と同定
(下)」(長谷川武治編著、学芸出版センター)及び
「バージーズ・マニュアル・オブ・システマチック・バ
イオテクノロジー(Bergey's Manual of Systematic Bi
otechnology)」から検索すると、コリネバクテリウム
属の1菌株と考えられるが、既知菌株の何れにも完全に
一致しないので、コリネバクテリウム・バイネ−A(Co
rynebacterium Bine−A)と命名した。
b)バイネ−B株 以上の諸性質から、本菌株は、アクロモバクタ属の1
菌株と考えられるが、上記書籍に記載の既知菌株の何れ
にも一致しないので、アクロモバクタ・バイネ−B(Ac
hromobacter Bine−B)と命名した。
(V)微生物の培養 それぞれの菌株の培養には、通常の放線菌の培養方法
が用いられる。培養基の炭素源としては、菌に誘導され
たキチン質分解活性を喪失させないためにも、コロイダ
ルキチンやキトサン等のキチン質を主体とし、これに必
要に応じて公知の適当な炭素源を組み合わせて用いられ
ることとなる。また、窒素源としては、アンモニウム
塩、硝酸塩、酵母エキス、ペプトン等が単独でまたは組
み合わせて用いられ、更にP源としては燐酸塩等が用い
られることとなる。更にその他、必要に応じて、無機
塩、例えばアルカリ金属塩、硫酸マグネシウム、硫酸
鉄、硫酸亜鉛、塩化マンガン等が適宜に添加されること
となる。
なお、培養方法としては、固体培地上での培養も可能
であるが、一般の酵素生産の方法と同様に、液体培養を
採用することが好ましく、その際には、例えば次の如き
組成の液体培地が用いられる。コロイダルキチン:4g、K
2HPO4:0.7g、KH2PO4:0.3g、MgSO4・5H2O:0.5g、FeSO4
7H2O:0.01g、ZnSO4:0.001g、MnCl2:0.001g、酵母エキ
ス:0.25g、ペプトン:0.25g、寒天:15g、蒸溜水:1000m
l、pH:7.0。また、かかる培養は、バイネ−B株にあっ
ては、好気的条件下及び嫌気的条件下の何れにおいても
行なわれ得るが、バイネ−A株にあっては、好気的条件
下で行なわれる振盪培養法や攪拌と通気による深部培養
法などにて実施され、更にそれらの培養温度は、一般に
20〜40℃程度である。
そして、本発明は、上記のコリネバクテリウム・バイ
ネ−A若しくはアクロモバクタ・バイネ−Bを用いて、
更に好適にはそれら菌株を含む混合微生物を用いて、キ
チンやキトサンの如きキチン質を含む培地、即ちキチン
培地若しくはキトサン培地にて培養するものである。よ
り具体的には、先ず、それらの微生物を、キチンまたは
キトサンの如きキチン質に微生物用栄養剤を適当量配合
してなる混合培地に接種して、好気的条件下にて発酵を
行なう。この好気発酵は、大気中で所要日数放置するこ
とにより実施することが出来るか、また必要に応じて、
加温したり、攪拌或いは強制通気したりする等の公知の
好気発酵操作が採用される。また、キチン質に配合され
る栄養剤としては、米糠、糖蜜、油粕等があり、このよ
うな栄養剤は、キチン質の1重量部に対して、一般に0.
05〜20重量部程度配合される。更に、このキチン質と栄
養剤からなる混合培地には、適当量の水分が加えられ、
発酵可能な水分量(40〜60%)程度に調整されることと
なる。
次いで、このようにして得られた好気発酵材料(生成
物)には、更にキチン質(キチン乃至はキトサン)、過
リン酸石灰、塩化カリ、微生物用栄養剤(米糠や糖蜜
等)が適宜に配合され、熟成が行なわれる。なお、この
熟成のための培地は、一般に、上記好気発酵材料の1重
量部当たり、キチン乃至はキトサンを0.1〜1重量部、
過リン酸石灰を15〜25重量部、塩化カリを8〜12重量
部、米糠を0.5〜1.5重量部、糖蜜を0.5〜1.5重量部程
度、配合せしめることにより調整され、また水分率が40
〜60%程度の湿潤状態において、10〜40日程度、熟成さ
れる。更に、この熟成のための培地内には、必要に応じ
て、空気が通気せしめられたり、加温が施される。而し
て、このように熟成されることにより、本発明に係る固
形の培養材料、即ち遅効性抗菌剤が得られるのである。
また、本発明にあっては、上記の如く得られた培養材
料に対して、米糠等の燐源資材、油粕等の窒素源資材を
配合し、それらを均一に混合した後、15〜30日程度、堆
積して、空気を供給し、自然に熟成させることにより、
目的とする固形の遅効性抗菌剤を得ることも出来る。
なお、かかる窒素源資材としては、油粕等の有機物が
用いられるが、特に好適には豆科の植物が用いられ、ま
たその発酵が50〜70%済んだものが好ましい。また、か
かる熟成のための栄養剤の配合量としては、固形の培養
材料100重量部に対して、燐源資材が2〜20重量部、窒
素源資材が200〜600重量部、特に好ましくは400重量部
程度において、配合されることが望ましい。
さらに、本発明においては、前記培養材料に対して、
所定量(一般に等量乃至は2倍量程度)の水を加え、か
かる材料中の可溶成分を溶出せしめた後、通常の固液分
離操作を施して、その固相を採取し、そしてこの得られ
た固形分に対して、前記と同様な燐源資材及び窒素源資
材を配合し、更にキトサンを均一に混合攪拌せしめて、
同様に熟成を行なうことによっても、本発明に係る固形
の抗菌剤を得ることが出来る。
かかる熟成に際しての栄養剤の配合量は、固液分離し
て得られた固形の材料100重量部に対して、燐源資材は
1〜10重量部、窒素源資材は100〜300重量部、特に好ま
しくは200重量部程度、及びキトサンは1〜5重量部が
それぞれ好適に採用される。
かくして得られる目的とする固形の抗菌剤中には、上
記の微生物培養によって生成する有効成分の他、微生物
そのものも存在し、例えばキトサン培地を用いた場合に
あっては、未分解のキトサンを始め、低分子キトサン、
キトサナーゼ、オリゴ糖、キトサン分解微生物(バイネ
−A菌、バイネ−B菌)等の有効成分が含まれ、以て優
れた抗菌作用が奏され得るのである。また、キチン培地
を用いた場合にあっても、キチンの分解によってキトサ
ンが生成されるものであるところから、上記と同様な有
効成分を含む培養材料が得られることとなる。
また、この培養材料中に存在する微生物(バイネ−A
菌、バイネ−B菌)は、種培養菌として有利に利用する
ことが出来、例えばこの培養材料の一部を、前述の如
く、キチン質培地に配合して好気発酵を行ない、更に熟
成させることによって、目的とする培養材料を得るサイ
クルを確立することが出来る。
ところが、かくの如き培養材料が病原微生物の増殖を
阻害する機構については、未だ充分に解明されていない
が、現時点では、そのメカニズムは、次のように考えら
れている。先ず、培養材料中に存在するキトサン、低分
子キトサン、そのオリゴ糖成分は、植物に吸収され、細
胞を刺激、活性化して、DNAからRNAへの転写を促進し
て、キトサン分解酵素(キトサナーゼ)やキチン分解酵
素(キチナーゼ)を誘導生合成する。また、β−グルカ
ナーゼ、抗菌性物質:ファイトアレキシンやリグニン形
成に関与するフェニルアンモニアリアーゼの生産を促
す。そして、活性化された細胞は、植物生産(蛋白質,
炭水化物,脂質)を増加させると共に、耐病性を獲得す
る。培養材料中に存在し、また植物細胞により誘導生合
成されたキチナーゼ、キトサナーゼは、病原性微生物の
細胞壁のキチン、キトサンを分解して崩壊させ、障害を
与え、そこへ抗菌性物質:ファイトアレキシン等が侵入
して、病原性微生物の生育を阻害する。また、キトサン
オリゴ糖は、病原性微生物の細胞内に侵入して、その増
殖を抑制する。更に、キトサン分解微生物(バイネ−A
菌、バイネ−B菌)は植物の根圏に付着し、接近する病
害微生物の細胞壁をキチナーゼ、キトサナーゼで溶解し
て、植物の根を病原微生物から守る。要するに、本発明
に従う培養材料中に存在する有効成分によって、溶菌作
用が直接的に或いは間接的に惹起され、それにより病原
菌の生育を阻害して、優れた抗菌作用が発揮されるよう
になるのである。
そして、その結果、本発明に従う培養材料からなる薬
剤は、極めて優れた抗菌作用を奏し得るのであり、特に
キチン質で構成された病原菌に起因する病害の予防及び
防除効果に優れており、例えばモモ,リンゴ,ナシ,ブ
ドウ,ビワ等の白モンパ病等に対して、優れた抗菌作用
を示すと共に、かかる抗菌剤は、固形状であるところか
ら、その効果はゆっくりと現れ、且つ長期において維持
されることとなる。
なお、このような本発明に係る固形の抗菌剤を植物に
施用するに際しては、従来の固形状薬剤の施用方法と同
様な手法が採用され、例えば、そのような抗菌剤にて植
物の羅患した患部を直接に被包したり、施用すべき植物
が植え付けられている土壌の該植物の周囲、特に病根の
上に相当する部位に、所定深さの穴を数箇所堀り、その
中に本発明の抗菌剤の所定量を入れて、埋め込んだりす
る方法等が、適宜に採用されることとなる。
(実施例) 以下に、本発明の実施例を示し、本発明を更に具体的
に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実
施例の記載によって何等の制約をも受けるものでないこ
とは、言うまでもないところである。
また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上
記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限
りにおいて、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修
正、改良等を加え得るものであることが、理解されるべ
きである。
培養材料の調製 先ず、キトサン粉末1kgと米糠0.2kgと糖蜜0.2kgと油
粕0.6kgからなる混合培地を用い、これに、コリネバク
テリウム・バイネ−A株及びアクロモバクタ・バイネ−
B株の種培養菌を含む培養液を接種し、培地の水分量を
約50%に調整して、大気中で10日間放置することによ
り、好気発酵せしめた。
次いで、この得られた好気発酵材料の1重量部に対し
て、過リン酸石灰20重量部、塩化カリ10重量部、米糠1
重量部、糖蜜1重量部及びキトサン0.5重量部を配合し
て、室温下において、1ヶ月間熟成せしめ、固形の培養
材料を得た。
さらに、かくして得られた培養材料に対して、等量の
水を添加して、通常の固液分離操作を施し、この固形分
を採取した。この固形分100重量部に対して、米糠5重
量部及び油粕200重量部及びキトサン3重量部を配合し
て、均一に混合攪拌した後、30日間堆積して、空気を供
給し、自然に熟成するようにして、目的とする固形の熟
成物(薬剤)を得た。
ナシの白モンパ病防除試験 ナシの白モンパ病に対する上記熟成物の効果について
調べるために、先ず、新植後7年を経過し、羅病してい
るナシ(品種:幸水)の20本(そのうち枯死寸前のもの
4本)に対して、それぞれの樹の周囲の土壌、特に病根
の上に相当する部位に、深さ20〜30cmの穴を1本につき
6ヵ所ずつ堀り、各穴の中に、上記で得られた薬剤の0.
7kgを入れて、その上を覆土することにより、施用し
た。
その結果、全病木において、徐々に、葉の黄変が解消
し、枝の伸張も正常となり、芽の出も正常となる等の効
果が認められ、最終的に、3ヶ月後には全病木が回復し
た。また、ナシの糖度も、羅病中には、8度以下であっ
たものが、12度以上に回復して、出荷可能となった。
(発明の効果) 以上の説明から明らかなように、本発明には、コリネ
バクテリウム・バイネ−A株若しくはアクロモバクタ・
バイネ−B株、またはそれら菌株を含む混合微生物を、
キサン培地やキトサン培地にて培養することにより得ら
れた固形の培養材料からなり、またはそれを更に培養せ
しめることにより、或いは前記培養材料に水を加えて、
固液分離して得られる固形分を更に培養せしめることに
より、得られた固形の熟成物からなるものであるところ
から、かかる抗菌剤が、施用されることによって、各種
の病原菌、例えばモモ,ナシ等の白モンパ病等に対し
て、優れた遅効性の抗菌作用を示すと共に、そのような
作用を長期に亘って与えるという極めて有利な効果を奏
するのである。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コリネバクテリウム属のバイネ−A株(微
    工研菌寄第10702号)若しくはアクロモバクタ属のバイ
    ネ−B株(微工研菌寄第10703号)またはそれら菌株を
    含む混合微生物を、キチン培地またはキトサン培地にて
    培養して得られた固形の培養材料からなる遅効性抗菌
    剤。
  2. 【請求項2】コリネバクテリウム属のバイネ−A株(微
    工研菌寄第10702号)若しくはアクロモバクタ属のバイ
    ネ−B株(微工研菌寄第10703号)またはそれら菌株を
    含む混合微生物を、キチン培地またはキトサン培地にて
    培養して得られた固形の培養材料に対して、更に燐源資
    材及び窒素源資材を配合せしめ、熟成させて得られる固
    形の遅効性抗菌剤。
  3. 【請求項3】コリネバクテリウム属のバイネ−A株(微
    工研菌寄第10702号)若しくはアクロモバクタ属のバイ
    ネ−B株(微工研菌寄第10703号)またはそれら菌株を
    含む混合微生物を、キチン培地またはキトサン培地にて
    培養して得られた固形の培養材料に対して、水を加え
    て、固液分離して得られる固形分に、更に燐源資材、窒
    素源資材及びキトサンを配合せしめ、熟成させて得られ
    る固形の遅効性抗菌剤。
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