JP2957766B2 - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気テープ、磁気カー
ド等の磁気記録媒体に関するものであり、特には強磁性
微粉末の結合剤としてすぐれた性能を示す特殊な単量体
を過硫酸塩重合開始剤の存在下に共重合して得られるア
クリル系共重合体を用いてなる改良された磁気記録媒体
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁気テープや磁気カード等の磁気記録媒
体は、一般にポリエステルフィルムなどの支持体表面に
磁性粉末と結合剤(合成樹脂)とからなる塗膜(磁性
層)を設けることによりつくられている。近年磁気記録
媒体の記録密度の向上やS/N、C/N比の改良要求に
伴って磁性粉末はより微細化、高抗磁力化してきている
ので、磁性粉末を均一に塗料中に分散させ平滑で充填度
の高い磁性層を形成させて磁気記録媒体としての性能の
向上を達成するためには結合剤の分散性能が決定的に重
要な要因となる。
【0003】このような強磁性粉末の素材は酸化鉄から
コバルトイオンを吸着もしくはドープした酸化鉄へと移
行しており、さらには鉄、ニッケル、コバルトのような
強磁性の金属あるいはこれらを含む合金が使用されるよ
うになってきた。一方、強磁性粉末の分散性向上を目的
とした合成樹脂結合剤としては、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル系共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、
アクリル系共重合体等が知られており、これら高分子に
−OH、−COOH、−SO3 M、−OSO3 M、−P
32 、−OPO32 、−N<、−CON<(ただ
しMは水素原子またはアルカリ金属)等の親水性官能基
を1つ以上併せもつことにより、磁性粉末の分散に有利
となることが先行技術に開示されている。
【0004】しかし、これらの良好とされる結合剤を選
んでも、高密度記録のために強磁性粉末の粒子サイズを
微細にすればするほど分散が困難になり、磁性塗料を調
製する際の混練分散工程は長時間を要している。この混
練分散工程では強磁性粉末と合成樹脂結合剤にも高い剪
断力がかかり、長時間過酷な条件にさらされるため、強
磁性粉末の特性が損なわれることがあり、また結合剤か
らの分解生成物特に塩化ビニル系共重合体においては脱
塩酸により生成した塩酸が磁性粉末の劣化を引き起こし
ている。
【0005】上記のような塩化ビニル系共重合体の有す
る欠点をもたないものとしてポリアクリル酸エステル、
(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合
体、カルボキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル共
重合体等のアクリル系共重合体樹脂が提案されており、
特公昭55−2648号公報には、10モル%以下のN
−メチロール(メタ)アクリルアミドとアクリル酸エス
テルとアクリロニトリルからなる共重合体および表面に
硫酸基を有する磁性粉末を混練した磁性塗料が開示さ
れ、良好な分散性を示すと共に、得られた塗膜は良好な
耐候性および良好な耐摩耗性を示すと述べられている。
【0006】特公昭56−23211号公報には、磁性
層の結合剤成分としてカルボキシル基含有メタクリル酸
エステル−アクリル酸エステル共重合体とカルボキシル
基含有スチレン−ブタジエン共重合体とを含むものが開
示され、分散性が良好であると述べられている。
【0007】特公昭56−12935号公報には、カチ
オン性単量体とメタクリル酸エステルとアクリル酸エス
テルとからなる共重合体の乳化分散液に磁性粉末を加え
た塗料が開示され、分散性が良好であると共に得られた
磁性層の耐摩耗性も良好であると述べられている。
【0008】特公昭58−42524号公報には、磁性
層の結合剤成分としてカルボキシル基含有メタクリル酸
エステル−アクリル酸エステル共重合体とエチレン−酢
酸ビニル共重合体とを含むものが開示され、分散性が良
好であると共に得られた磁性層の基体に対する接着性も
良好であると述べられている。
【0009】特公昭56−15047号公報には、磁性
層の結合剤成分として重合性カルボン酸−酢酸ビニル−
アクリル酸エステル共重合体を含むものが開示され、分
散性が改善されると述べられている。
【0010】特公昭56−37608号公報には、磁性
層の結合剤成分としてアクリル酸エステル、アクリロニ
トリル、スチレン共重合体またはこの共重合体にメタク
リル酸メチルを共重合した共重合体を含むものが開示さ
れ、分散性が良好であると共に得られた磁性層は耐摩耗
性、耐熱性、耐油性に優れると述べられている。
【0011】特開昭54−46512号公報には、磁性
層の結合剤成分としてスチレンおよびアクリロニトリル
とアクリル酸エステルとジメチルアミノエチルメタクリ
レートの共重合体を含むものが開示され、分散性が改善
されると述べられている。
【0012】特開昭60−35321号公報には、磁性
層の結合剤成分としてアクリル酸またはメタクリル酸の
エステル、アクリロニトリル、エポキシ基含有モノマ
ー、重合性不飽和カルボン酸からなる共重合体を含むも
のが開示され、分散性が改善されると共に得られた磁性
層は耐溶剤性、耐摩耗性、柔軟性に優れると述べられて
いる。
【0013】特開昭60−219628号公報には、磁
性層の結合剤成分としてアクリル酸エステルと無水マレ
イン酸とより導かれる共重合体を含むものが開示され、
分散性が良好であると共に得られた磁性層は機械的強度
に優れると述べられている。
【0014】特開昭61−278019号公報には、磁
性層の結合剤成分としてアクリル酸高級アルキルエステ
ルの重合体、メタクリル酸高級アルキルエステルの重合
体およびアクリル酸高級アルキルエステルの重合体とメ
タクリル酸高級アルキルエステルとの共重合体から選ば
れた1種を含むものが開示され、分散性が良好であると
共に得られた磁性層は良好な角型比、優れた表面特性と
耐久性を有すると述べられている。
【0015】特開昭62−139118号公報には、磁
性層の結合剤成分として分子中に第3級アミンを有する
アクリル酸エステル共重合体を含むものが開示され、分
散性が良好であると共に得られた磁性層は表面性、塗膜
特性が改善されると述べられている。
【0016】しかし、これらのアクリル系共重合体樹脂
は微細な磁性粉末に対しては分散性が不充分であり、ま
た、この共重合体樹脂を用いた磁性塗料の粘度は高く、
しかも粘度の経時変化が大きいので作業面でも問題が多
い。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術が有するような問題点がなく、微細な磁性粉末に
対して分散性が良好で塗工作業が容易な磁性塗料を与え
る結合剤用樹脂を開発し、特性の優れた磁性層をもつ磁
気記録媒体を提供するためになされたものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決したものであり、非磁性支持体上に強磁性微粉末を結
合剤中に分散せしめた磁性層を設けてなる磁気記録媒体
において、該結合剤が全単量体中1〜50重量%のラジ
カル重合性基を有するエーテル化合物系単量体を過硫酸
塩重合開始剤の存在下にエーテル結合を有しないアクリ
ル系単量体と共重合して得られるアクリル系共重合体を
主剤とすることを特徴とする磁気記録媒体、を要旨とす
るものである。すなわち、本発明者らは前記の課題を解
決するため鋭意検討の結果、エーテル結合と重合開始剤
に由来する硫酸根とを有するアクリル系共重合体を結合
剤の主剤に用いると、強磁性微粉末の分散が良くなり特
性が向上することを見出して本発明に至った。
【0019】以下に本発明について詳しく説明する。本
発明で使用するラジカル重合性基を有するエーテル化合
物系単量体の例としてはアリル基、ビニル基、(メタ)
アクリル基等のエチレン性不飽和基を有する下記のもの
をあげることができる。アリル−2−ヒドロキシエチル
エーテル、アリル−2−ヒドロキシプロピルエーテル、
アリル−3−ヒドロキシプロピルエーテル、アリル−2
−ヒドロキシブチルエーテル、アリル−3−ヒドロキシ
ブチルエーテル、アリル−4−ヒドロキシブチルエーテ
ル、アリル−6−ヒドロキシヘキシルエーテルなどのア
ルキレングリコールのモノアリルエーテル類、ジエチレ
ングリコールモノアリルエーテル、ジプロピレングリコ
ールモノアリルエーテルなどのポリオキシアルキレング
リコールのモノアリルエーテル類、グリセリンモノアリ
ルエーテル、アリルグリシジルエーテル、
【0020】メチルビニルエーテル、エチルビニルエー
テル、イソブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエ
ーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−オク
チルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、セチル
ビニルエーテル、ステアリルビニルエーテルなどのアル
キルビニルエーテル類、ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシ
アルキルビニルエーテル類、
【0021】メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブ
トキシエチル(メタ)アクリレートなどのアルコキシア
ルキル(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコー
ルモノ(メタ)アクリレートなどのポリオキシアルキレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート類、グリシジル
(メタ)アクリレート、N−ブトキシメチル(メタ)ア
クリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルア
ミド、
【0022】このエーテル化合物系単量体は1種類のみ
用いても2種類以上を併用してもよいが、その量が少な
すぎると分散性が低下し、多すぎる場合にも分散性が低
下するほか物理的強度も低下して耐久性が悪くなる。し
たがって、このエーテル化合物系単量体は全単量体中の
1〜50重量%とするが、好ましくは2〜30重量%で
ある。
【0023】本発明で使用するアクリル系単量体にはア
クリルとメタクリルの両者が包含され、その例としては
下記のものをあげることができる。メチル(メタ)アク
リレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メ
タ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソ
ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリ
レート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル
(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレ
ート類、
【0024】(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アク
リルアミドなどの(メタ)アクリルアミド類、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、
【0025】このアクリル系単量体は1種類のみ用いて
も2種類以上を併用してもよいが、本発明の効果を発揮
させるのにより好ましい組み合せは、エーテル化合物系
単量体またはこれと共重合させるアクリル系単量体の少
なくともどちらかに水酸基を有することである。ただし
水酸基を有する単量体の量は1〜50重量%とすること
が好ましい。
【0026】前記のエーテル化合物系単量体とアクリル
系単量体に対し、必要に応じてその他のラジカル重合性
単量体を共重合させることができる。このような単量体
の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、アクリ
ロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、無水マ
レイン酸、クロトン酸、イタコン酸などがあげられる。
これらの単量体は本発明の効果を損わないかぎり、10
重量%以下の範囲で使用することができる。本発明で使
用する単量体の種類と量は、得られる共重合体のガラス
転移温度および磁気記録媒体に使用する他の樹脂、一般
にはポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニ
トリル−ブタジエン共重合体などとの相溶性を考慮し、
塗膜の物性に応じて選定される。
【0027】以上に説明した各単量体の組み合せから構
成される共重合体は、分子量が低すぎると磁性塗膜がも
ろくなるなど物理的強度が低下し、また磁気テープ等の
耐久性も低下するし、逆に分子量が高すぎると所定濃度
における塗料粘度が高くなって作業性が悪くなり取扱が
困難となってくるので、その平均分子量は5,000〜
100,000であることが好ましく、より好ましくは
10,000〜60,000の範囲である。分子量の調
整にはn−ドデシルメルカプタン、チオグリコール、ト
リクロルエチレンなどの分子量調整剤を用いることもで
きる。
【0028】共重合体の製造には過硫酸塩重合開始剤を
使用するが、これには過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、過硫酸アンモニウム等があげられる。この重合開始
剤の使用量は単量体に対して通常は0.1〜10.0重
量%であるが、好ましくは0.5〜5.0重量%であ
る。
【0029】この共重合体は公知の乳化重合法により製
造することができる。重合後には公知の塩析法により共
重合体樹脂を得ることが経済的にも有利である。乳化剤
としては、アルキルまたはアルキルアリル硫酸塩、アル
キルまたはアルキルアリルスルホン酸塩、アルキルアリ
ルコハク酸塩などのアニオン性乳化剤、アルキルトリメ
チルアンモニウムクロライド、アルキルベンジルアンモ
ニウムクロライド等のカチオン性乳化剤、ポリオキシエ
チレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンカルボン酸エス
テル等のノニオン性乳化剤などが例示される。重合に際
しては、以上に記した単量体、重合開始剤、乳化剤、分
子量調整剤などを重合開始時に一括して重合系に添加し
てもよいし、重合中に分割して添加することもできる。
重合は通常35〜80℃の温度で攪拌下に行うとよい。
重合後には公知の塩析法にしたがい硫酸ナトリウム、塩
化カルシウムのような無機塩の水溶液を加えるか、水溶
性有機溶剤などを加えるかして粒子を凝集させたのち、
ろ過、水洗し乾燥すればよい。
【0030】磁性塗料液製造時、上記共重合体を結合剤
樹脂として使用する際、必要に応じ他の樹脂が等量以下
の量で併用されてもよく、この併用し得る樹脂としては
ポリウレタン樹脂、ニトロセルローズ、ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、
アルキッド樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等の重合体
または共重合体等の各種重合体が例示される。これらの
うちでは特にポリウレタン樹脂が好適である。
【0031】この他にポリイソシアネート系硬化剤を併
用することは望ましいことであり、この硬化剤としては
コロネートL(日本ポリウレタン工業(株)製商品
名)、ディスモジュールL(バイエル社製商品名)等の
3官能性イソシアネート、両末端にイソシアネート基を
有するウレタンプレポリマーなどが例示される。なお、
これら硬化剤の使用量は結合剤樹脂100重量部当り5
〜40重量部とするのが好ましい。
【0032】本発明に使用される強磁性粉末としては、
γ−Fe23 、Fe34 およびこれらにコバルトイ
オンを吸着もしくはドープしたもの、CrO2 、さらに
Fe、Co、Fe−Co、Ni等を含有させた金属また
は合金の針状微粒子などをはじめ、その他の従来公知の
各種磁性粉末が例示される。強磁性微粉末と結合剤樹脂
との混合割合は、強磁性微粉末100重量部当り結合剤
樹脂8〜50重量部とすることが望ましい。
【0033】なお、強磁性粉末と結合剤樹脂とを均一に
分散させるに当り、従来一般に使用されている潤滑剤、
研磨剤、帯電防止剤、分散助剤、防錆剤等を添加するこ
と、さらに塗布媒体としてメチルエチルケトン、メチル
イソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン等のほ
か各種の有機溶剤を使用することは従来と同様でよく、
これらの点に特別の制限はない。
【0034】支持体としてはポリエステル、ポリオレフ
ィン、セルロースアセテート、ポリカーボネート等の合
成樹脂類、非磁性金属類、セラミック類などが使用さ
れ、形態はフィルム、テープ、シート、板状体等で使用
される。
【0035】支持体上に磁性層を形成するための塗布手
段としては従来公知の方法を用いればよく、適宜カレン
ダリング処理等の平滑化処理を施すことにより、本発明
の目的とする高性能磁気記録媒体が得られる。
【0036】
【実施例】つぎに、結合剤樹脂の合成例および結合剤樹
脂を用いた具体的実施例ならびに比較例をあげるが、本
発明はこの実施例の範囲に限定されるものではない。な
お例中の部および%はそれぞれ重量部と重量%を示す。
【0037】合成例1(ポリマー1の合成) 攪拌機、コンデンサー、温度計および窒素ガス導入口を
備えた重合容器に、脱イオン水750部、過硫酸カリウ
ム5部、炭酸ソーダ1.6部を仕込み、窒素置換後57
℃に昇温した。一方、あらかじめ脱イオン水500部、
メタクリル酸メチル300部、ブチルメタクリレート1
30部、アリル−2−ヒドロキシエチルエーテル70
部、ラウリル硫酸ナトリウム10部、n−ドデシルメル
カプタン1.25部をホモミキサーで混合乳化したもの
を上記重合容器中へ9時間を要して均一に滴下させ、さ
らに57℃で2時間反応させ重合を完結させた後、メタ
ノール500部、硫酸ナトリウム10部を添加しポリマ
ーを析出させた。析出したポリマーをメタノール500
0部で2回、次いで脱イオン水5000部/回で4回洗
浄し、ろ過、乾燥してポリマー1を得た。このポリマー
の平均分子量は29,000であった。
【0038】合成例2(ポリマー2の合成) 過硫酸カリウム5部に代えて過硫酸ナトリウム5部、ア
リル−2−ヒドロキシエチルエーテル70部に代えてア
リル−2−ヒドロキシエチルエーテル40部、アリルグ
リシジルエーテル30部を使用した以外は合成例1と同
様にしてポリマー2を得た。このポリマーの平均分子量
は30,000であった。
【0039】合成例3〜11(ポリマー3〜11の合
成) 合成例1と同様にして表1に示されるエーテル結合を有
する単量体およびその他のアクリル系単量体等の種類、
量で共重合し、同様の方法で塩析してポリマー3〜11
を得た。
【表1】
【0040】合成例12(ポリマー12の合成) 過硫酸カリウム5部に代えてアスコルビン酸7.8部を
重合容器に仕込み、30%過酸化水素水10部を脱イオ
ン水50部で希釈したものをモノマーの乳化液の滴下と
は別にこの滴下と平行して均一滴下使用した以外は合成
例1と同様にしてポリマー12を得た。このポリマーの
平均分子量は28,000であった。
【0041】実施例1〜6、比較例1〜7 A液 結合剤樹脂(ポリマー1〜13) 18部 金属磁性粉 100部 ポリウレタン樹脂(N−2304: 日本ポリウレタン工業(株)製) 7部 カーボンブラック 5部 レシチン 2部 メチルエチルケトン 75部 シクロヘキサノン 75部 トルエン 75部 上記成分をラボミキサーで90分間混合しさらにガラス
ビーズの入ったアイガーミルで3時間混練し塗料A液を
得た。なお、ポリマー13として従来一般に用いられて
いる塩化ビニル91%酢酸ビニル3%ビニルアルコール
6%、平均分子量42,000の塩化ビニル共重合体を
用いた。
【0042】 B液 A液 355部 ポリイソシアネート(コロネートL: 日本ポリウレタン工業(株)製) 5部 シクロヘキサノン 30部 上記成分をラボミキサーで90分間混合分散させ塗料B
液を得た。
【0043】ポリエステルフィルム上に上記塗料B液を
6μm厚に塗布し、磁場配向処理を行なって乾燥し、つ
いでスーパーカレンダーにて表面処理して磁気テープを
作った。上記のようにして得た塗料A液の粘度安定性、
磁気テープの塗膜特性および磁性特性を調べた。結果は
表2に示すとおりであった。
【表2】
【0044】なお、各特性の測定は下記のようにして行
なった。 a.塗料A液の粘度安定性 混練調整したA液の粘度をE型粘度計で測定(初期粘
度)し、残液を密栓下に25℃で48時間放置後再度粘
度を測定した。初期粘度を100としたときの48時間
後の粘度の比率をもとに4段階で評価した。 ◎:粘度変化のほとんどないもの(110%以下) ○:少し増粘(120〜200%) △:増粘大(200%以上) ×:ゲル化
【0045】b.光沢 グロスメーター(村上色彩技研製)によりカレンダー処
理前の60度反射率を標準ガラス板と比較した。 c.残留磁束密度(Br)および角型比 振動試料型磁力計(東栄工業製)を用いて測定した。 d.耐久性 作成した磁気テープを65℃、相対湿度90%の恒温恒
湿室で168時間放置後、荷重100gをかけ、研磨紙
を貼りつけた回転ドラムに接触させて、150rpmで
1000回回転させ、磁性塗膜が研磨紙に付着した程度
を目視により4段階評価した。 ◎:研磨紙の汚れなし ○:ごく僅かに汚れあり △:汚れ少しあり ×:汚れ多い e.走行性 耐久性評価と同じ方法で塗膜と回転ドラム間に発生する
力を、65℃、相対湿度80%の雰囲気でUゲージによ
り測定し、走行抵抗が低い方から順に3段階評価した。 ○:低、△:中、×:高
【0046】
【発明の効果】本発明により、新規に開発された結合剤
用樹脂を用いた、特性の優れた磁性層をもつ磁気記録媒
体が提供された。この新規に開発された結合剤用樹脂は
磁性粉に対し優れた分散性を示し、得られた磁性塗料の
粘度は塗布作業に適したもので、粘度の経時変化も小さ
い。塩化ビニル系樹脂の場合の脱塩酸による性能低下の
ような現象はない。磁性粉の分散性が向上したことによ
り、塗膜表面の平滑性が良くなり、耐摩耗性が向上し、
さらに樹脂の耐熱性が加わり、磁気記録媒体の耐久性、
走行性が優れたものとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−28659(JP,A) 特開 平7−169038(JP,A) 特開 平7−169039(JP,A) 特開 平7−220263(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/702

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】非磁性支持体上に強磁性微粉末を結合剤中
    に分散せしめた磁性層を設けてなる磁気記録媒体におい
    て、該結合剤が全単量体中1〜50重量%のラジカル重
    合性基を有するエーテル化合物系単量体を過硫酸塩重合
    開始剤の存在下にエーテル結合を有しないアクリル系単
    量体と共重合して得られるアクリル系共重合体を主剤と
    することを特徴とする磁気記録媒体。
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