JP2956507B2 - 浸珪処理法による高珪素鋼帯の製造方法 - Google Patents

浸珪処理法による高珪素鋼帯の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、浸珪処理法による高珪
素鋼帯の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】Si含有量が4wt%以上の高珪素鋼帯
を工業的に製造する方法として、特開昭62−2270
78号等に示される浸珪処理法が知られている。この製
造方法は、加熱されたSi:4wt%未満の薄鋼帯を浸
珪処理炉に導き、SiCl4を含む処理ガスを鋼帯面に
吹き付けることによりSiを鋼帯に浸透させ、次いで、
拡散均熱炉において熱処理することで鋼帯表面に浸透し
たSiを板厚方向に拡散させることにより高珪素鋼帯を
連続的に製造する方法であり、通常、浸珪処理炉では炉
長方向で間隔をおいて複数のスリットノズルが配置さ
れ、これらのスリットノズルから通板する鋼帯の両面に
処理ガスが吹き付けられる。
【0003】しかし、このようにスリットノズルから処
理ガスを吹き付ける方式の浸珪処理では、スリットノズ
ルから吹き出される処理ガスの流速分布に起因して、浸
珪処理後の鋼帯幅方向でのSi濃度が不均一になるとい
う問題がある。このような板幅方向でのSi濃度の不均
一化は、Si量の差による格子定数差よって板形状不良
を引き起こしたり、Si量の違いによる磁気特性のむら
を生じさせたりする。このような問題を解決するため特
開平5−9704号では、炉長方向で間隔をおいて配さ
れたスリットノズルに対してその片側端部から処理ガス
を供給するとともに、炉長方向で隣接するスリットノズ
ルに対して交互に異なる端部側から処理ガスを供給する
ことで、板幅方向でのSi濃度の均一化を図るようにし
た高珪素鋼帯の製造方法が提案されている。
【0004】この製造方法は、片側端部から処理ガスを
供給するタイプのスリットノズルを使用した場合、ノズ
ルのスリットから吹き出される処理ガスの流速分布が鋼
帯幅方向の浸珪量分布にほぼ一致することに着目し、隣
接するスリットノズルに対し交互に異なる端部側から処
理ガスを供給することで、それぞれの浸珪量分布を重ね
合せ、板幅方向にほぼ均一なSi濃度分布を得ようとす
るものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、本発明者らの
検討によれば、上記の方法で鋼帯面に処理ガスを供給し
ても板幅方向のSi濃度の均一化は必ずしも十分ではな
く、場合によっては板幅方向でのSi濃度のバラツキが
0.5wt%以上にも達する山形状の濃度分布を生じて
しまうことが判明した。
【0006】本発明者らはこのようなSi濃度分布を解
消する方法について検討を重ね、その結果、板幅方向で
のSi濃度を均一化させるためには、スリットノズルか
らのガス吹き出し角度の適正化が重要であること、ま
た、このガス吹き出し角度はスリットノズルのスリット
開口面積とスリット内側におけるガス流路のノズル管径
方向断面積との比を特定の範囲に規制することにより適
正化できることが判った。すなわち、図1および図2に
示すようにスリット2を備えたスリットノズル1に対し
てその片側端部から処理ガスを供給した場合、スリット
2からのガス吹き出し角度θ(ノズル長手方向に対する
ガスの吹き出し角度)は90°よりも小さく、特に、ガ
ス供給側のスリット端部に近い位置でのガス吹き出し角
度θが極端に小さくなる。そして、この部分でガス吹き
出し角度θが極端に小さくなると、鋼帯の一方のエッジ
部側でのガス流速が小さくなり、この結果、当該エッジ
部側の浸珪量が板幅中央部側の浸珪量よりも少なくなる
ため板幅方向でのSi濃度分布が生じる。
【0007】したがって、スリットからのガス吹き出し
角度θを適正化すること、特に、ガス供給側のスリット
端部に近い位置でのガス吹き出し角度θを大きくするこ
とにより板幅方向Si濃度を均一化することができる。
そして、ガス吹き出し角度θはスリットノズルのスリッ
ト開口面積とスリット内側におけるガス流路のノズル管
径方向断面積との比に依存しており、この面積比を特定
の範囲とすることにより、ガス吹き出し角度θを適正化
して板幅方向Si濃度を均一化することができる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明はこのような知見
に基づきなされたもので、その特徴とする構成は以下の
通りである。 (1) 浸珪処理炉内に炉長方向で間隔をおいて複数の
スリットノズルを配し、このスリットノズルから通板す
る鋼帯の両面に処理ガスを吹き付けることにより、鋼帯
にその表面からSiを浸透させる浸珪処理を施し、次い
で拡散均熱炉においてSiを板厚方向に拡散させる熱処
理を施すことで高珪素鋼帯を連続的に製造する方法にお
いて、浸珪処理炉内に、スリットの開口面積a1とスリ
ット内側におけるガス流路のノズル管径方向断面積a2
との比a1/a2を0.55以下としたスリットノズルを
配し、各スリットノズルに対してその片側端部から処理
ガスを供給することを特徴とする浸珪処理法による高珪
素鋼帯の製造方法。
【0009】(2) 上記(1)の製造方法において、
スリットを有する外管と一端側から処理ガスが供給さ
れ、他端側が外管内部で開放した内管とからなる二重管
構造であって、ガス流路のノズル管径方向断面積a2
内管と外管間のガス流路断面積であるスリットノズルを
用いることを特徴とする浸珪処理法による高珪素鋼帯の
製造方法。 (3) 上記(1)または(2)の製造方法において、
炉長方向で隣接するスリットノズルまたはスリットノズ
ル群に対して交互に異なる端部側から処理ガスを供給す
ることを特徴とする浸珪処理法による高珪素鋼帯の製造
方法。
【0010】
【作用】以下本発明の詳細と限定理由について説明す
る。図3および図4は浸珪処理炉内に配される単管構造
のスリットノズルの一構造例を示しており、このような
スリットノズル1が浸珪処理炉内の炉長方向で間隔をお
いて配置され、図1に示すように各スリットノズル1の
スリット2から通板する鋼帯の両面に処理ガスが吹き付
けられる。図3および図4において、3はノズル管内の
ガス流路、Lはスリット長さ、Wはスリット幅、Dはノ
ズル管内径を示し、したがって、スリット2の開口面積
1はa1=L×Wにより、また、スリット内側における
ガス流路3のノズル管径方向断面積a2は、a2=π(D
/2)2によりそれぞれ求められる。
【0011】また、図5および図6は二重管構造のスリ
ットノズルの一構造例を示しており、スリットノズル1
はスリット2を有する外管10と、一端側から処理ガス
が供給され、他端側が外管10の内部で開放110した
内管11とから構成されている。図において、D1は外
管10の内径、D2は内管11の外径であり、この場合
のスリット内側におけるガス流路3は内管11と外管1
0との間の空間部である。したがって、この二重管構造
のスリットノズルの場合には、スリットの開口面積a1
はa1=L×Wにより、また、スリット内側におけるガ
ス流路3のノズル管径方向断面積a2は、a2=π(D1
/2)2−π(D2/2)2によりそれぞれ求められる。
【0012】本発明では上記スリットの開口面積a1
スリット内側におけるガス流路3のノズル管径方向断面
積a2との面積比a1/a2を0.55以下とし、スリッ
トノズル1に対してその片側端部から処理ガスを供給す
る。スリット2からのガス吹き出し角度θとガス流速分
布は上記面積比a1/a2に依存しており、この面積比a
1/a2が0.55を超えると、ガス供給側のスリット端
部に近い位置でのガス吹き出し角度θが80°未満とな
ってガス流速が小さくなり、この部分を通板する鋼帯エ
ッジ部の浸珪量が板幅中央部に較べて極端に低くなる。
なお、図5および図6に示す二重管構造のスリットノズ
ルの場合には、ガス供給側のスリット端部とは内管11
の開放端110側のスリット端部である。
【0013】図7は上記面積比a1/a2が0.55超の
場合における、スリット2からのガス吹き出し角度θお
よびガス流速分布と鋼帯幅方向における浸珪量分布を示
すもので、この場合には同図(イ)に示すようにガス供
給側のスリット端部に近い位置でのガス吹き出し角度θ
が80°未満となるため、この部分でガス流速が極端に
小さくなり、Xcで示すようなガス流速分布となる。ガ
ス流速分布と浸珪量分布とは略比例関係にあるため、ガ
ス流速分布Xcによって鋼帯幅方向の浸珪量分布はYc
1となる。また、スリットノズル1に対して図7(イ)
に示す場合と反対側の端部から処理ガスを供給した場合
には、浸珪量分布はYc2となる。先に述べた特開平5
−9704号の製造方法はこのような対称的な浸珪量分
布を交互に生じさせ、これらを重ね合わせることにより
板幅方向での浸珪量を均一化させることを狙いとしてい
るが、図7(イ)のYc1とYc2の浸珪量分布を重ね合
せても、同図(ロ)のZcで示されるような鋼帯エッジ
部のSi量が低い浸珪量分布しか得られない。
【0014】図8は面積比a1/a2が0.55以下の場
合における、スリット2からのガス吹き出し角度θおよ
びガス流速分布と鋼帯幅方向における浸珪量分布を示す
もので、この場合には同図(イ)に示すようにガス供給
側のスリット端部に近い位置でもガス吹き出し角度θが
80°以上となるため、この部分もガス流速は十分に大
きく、このためXiで示すようなガス流速分布となる。
したがって、鋼帯幅方向の浸珪量分布はYi1となり、
また、スリットノズル1に対して図8(イ)に示す場合
と反対側の端部から処理ガスを供給した場合には、浸珪
量分布はYi2となる。このため特開平5−9704号
の製造方法に従ってYi1,Yi2の浸珪量分布を重ね合
せると、同図(ロ)のZiで示されるような板幅方向で
均一な浸珪量分布が得られる。
【0015】本発明者らによる試験結果では、面積比a
1/a2を0.55以下とし、上記のYi1,Yi2のよう
な対称的な浸珪量分布を重ね合わせることにより、鋼帯
幅方向のSi量のバラツキを略0.2wt%以下に抑え
ることができた。これに対し、面積比a1/a2が0.7
の場合には、鋼帯幅方向のSi量のバラツキは0.5w
t%以上にも達した。面積比a1/a2の下限は特に限定
しないが、面積比a1/a2を0.1程度とすれば85°
以上のガス吹き出し角度θが得られること、また、面積
比a1/a2を0.1未満とするためにはノズル径を大き
くする必要があり、設備コストが高く且つスリットノズ
ルが不必要に炉内スペースを占領する結果となること等
の観点から、面積比a1/a2は0.1以上とすることが
好ましい。
【0016】また、図5および図6に示されるようにス
リットノズル1を二重管構造とすることにより、鋼帯幅
方向のSi量のバラツキをより均一化することができ
る。すなわち、図5および図6に示されるような二重管
構造のスリットノズル1では、処理ガスが内管11を通
過する過程で予熱される。一般に、処理ガスは炉外であ
る程度の温度まで予熱されてから炉内に供給されるが、
このように炉外で予熱された処理ガスであっても内管1
1を通過する過程でさらに昇温する。そして、このよう
に処理ガスが効果的にすることが、鋼帯幅方向のSi量
の均一化に次のように寄与する。
【0017】まず内管11内での昇温により処理ガスの
体積が増すため、スリットノズル1のスリット2から吹
き出される際の見かけ上のガス流速が増大する。そし
て、後に説明する図13に示されるように、ガス流速が
高い程、吹き出し角度θは高位安定化するとともに、ガ
ス流速が比較的高い領域の中でも、微増ではあるがガス
流速の増加に応じてガス吹き出し角度θが増大する。こ
の結果、図8に示すガス流速分布Xiの傾きがより小さ
くなるため、鋼帯幅方向での浸珪量分布がより均一化す
る。
【0018】次に、スリットノズル1から吹き出される
処理ガスの温度が相対的に低い場合、処理ガスと鋼板と
の反応性は低くなる。特に鋼帯のエッジ部は温度が低下
し易いため板中央部に較べて処理ガスとの反応量が小さ
くなる傾向があり、このことも鋼帯幅方向での浸珪量分
布の不均一化に拍車をかける要因となっている。したが
って、内管11内で処理ガスを十分に昇温させることが
できる図5および図6のスリットノズルでは、相対的に
高い温度の処理ガスを鋼帯に吹き付けることができるた
め、特に鋼帯エッジ部での反応性の低下を防止し、鋼帯
幅方向での反応性を均一化させることができる。
【0019】したがって、以上の2つの作用により、図
5および図6のスリットノズルは、鋼帯幅方向でのSi
量の均一化により効果的に実現することができる。ま
た、このように処理ガスを内管内で昇温させて炉温(通
常、約1200℃)に近付けた状態で炉内に供給できる
ことにより、ガス密度差による鋼帯上下での対流の非対
称性を緩和することができる。
【0020】上述したように本発明の基本的な作用は、
ガス供給側のスリット端部に近い位置でのガス流速を高
めることで、鋼帯エッジ部における浸珪量の極端な低下
を改善することにあるが、このような基本的な作用を利
用して鋼帯幅方向でのSi濃度の均一化を実現する最も
合理的な方法は、炉長方向で隣接するスリットノズルま
たはスリットノズル群に対して交互に異なる端部側から
処理ガスを供給することである。
【0021】図9は炉長方向で隣接するスリットノズル
1に対して交互に異なる端部側から処理ガスを供給する
場合を示しており、図8に示した対称的な浸珪量分布の
重ね合わせにより、最終的に板幅方向で均一なSi濃度
分布を有する高珪素鋼帯が得られる。また、図10は炉
長方向で隣接するスリットノズル群Iに対して交互に異
なる端部側から処理ガスを供給する場合を示しており、
この場合でも各スリットノズル群Iにより得られる浸珪
量分布の重ね合わせにより、最終的に板幅方向で均一な
Si濃度分布を有する高珪素鋼帯が得られる。なお、1
つのスリットノズル群Iを構成するスリットノズル数は
任意である。
【0022】板幅方向で均一なSi濃度分布を得る方法
としては、図9や図10に示すように炉長方向で隣接す
るスリットノズル1またはスリットノズル群Iに対して
交互に異なる端部側から処理ガスを供給することが最も
好ましい。この理由は、処理ガスの供給方向が同じであ
るスリットノズルを何本も連続して配置した場合、板幅
方向でのSi濃度分布の度合いが累積的に増大し、浸珪
処理中の板変形の原因となり易いからである。しかし、
スリットノズル1本当りの浸珪量が比較的少ない場合に
は、このような問題は生じにくく、したがって、本発明
では処理ガスの供給方向が異なるスリットノズル1また
はスリットノズル群Iを炉長方向でランダムに配置する
場合を排除するものではない。この場合には、浸珪処理
炉内に配される複数のスリットノズル1またはスリット
ノズル群Iについて、略半数づつ異なる端部側から処理
ガスを供給するようにすることが好ましい。なお、本発
明では図1に示すように鋼帯両側にスリットノズル1を
配置する場合において、この1対のスリットノズルに対
してそれぞれ異なる端部側から処理ガスを供給すること
を妨げない。
【0023】
【実施例】
〔実施例1〕図3および図4に示すような単管構造であ
って、表1に示すような面積比a1/a2が異なる種々の
スリットノズルを、浸珪処理炉内に炉長方向で間隔をお
いて8本配置し、これらスリットノズルに対して交互に
異なる端部側から処理ガス(SiCl4:15mol
%,残部実質的にN2)を5Nm3/h/本の供給量で供
給しつつ、板厚0.1mm、板幅600mmの3%Si
鋼板に浸珪処理を施し、次いで、Siを板厚方向に拡散
させる拡散熱処理を施すことにより、板幅方向の平均S
i濃度が6.5wt%の高珪素鋼板を製造した。
【0024】得られた高珪素鋼板の板幅方向でのSi濃
度最大偏差ΔSiを表1に示す。これによれば、面積比
1/a2が0.55以下の場合には、ΔSiは0.20
wt%以下に抑えられているのに対し、面積比a1/a2
が0.55を超えるとエッジ部のSi量が極端に少なく
なり、特に、面積比a1/a2が0.70ではΔSiは
0.5wt%を超えている。
【0025】
【表1】
【0026】〔実施例2〕図5および図6に示すような
二重管構造であって、表2に示すような面積比a1/a2
が異なる種々のスリットノズルを、浸珪処理炉内に炉長
方向で間隔をおいて8本配置し、これらスリットノズル
に対して交互に異なる端部側から処理ガス(SiC
4:15mol%,残部実質的にN2)を5Nm3/h
/本の供給量で供給しつつ、板厚0.1mm、板幅60
0mmの3%Si鋼板に浸珪処理を施し、次いで、Si
を板厚方向に拡散させる拡散熱処理を施すことにより、
板幅方向の平均Si濃度が6.5wt%の高珪素鋼板を
製造した。
【0027】得られた高珪素鋼板の板幅方向でのSi濃
度最大偏差ΔSiを表2に示す。また、図11に各高珪
素鋼板の板幅方向でのSi濃度分布を示す。この実施例
では面積比a1/a2が0.55以下の場合には、ΔSi
は0.15wt%以下に抑えられているのに対し、面積
比a1/a2が0.55を超えるとエッジ部のSi量が極
端に少なくなり、面積比a1/a2が0.68ではΔSi
は0.40wt%となっている。
【0028】
【表2】
【0029】〔実施例3〕実施例2と同様のスリットノ
ズルを用い、スリット長手方向各位置におけるガス吹き
出し角度θを測定した。その結果を図12に示す。同図
によれば、断面積比a1/a2が0.55以下のものは、
ガス供給側のスリット端部の極く一部分を除きガス吹き
出し角度θは80°以上であり、ガス吹き出し角度θの
分布も略単一勾配であり、したがって、例えば、図中A
の範囲を鋼帯の通板部とすれば、所望の浸珪量分布が得
られることになる。これに対し、断面積比が0.68の
ものでは、ガス供給側におけるガス吹き出し角度θが極
めて小さく、また、ガス吹き出し角度θの分布は2段階
の勾配をもっており、図中Aの範囲を鋼帯の通板部とし
ても図7に示すような浸珪量分布しか得られないことが
判る。
【0030】〔実施例4〕スリットから吹き出されるガ
ス流速がガス吹き出し角度θに及ぼす影響を調べた。こ
の実施例では、図5および図6に示すような二重管構造
であって、表3に示すような面積比a1/a2のスリット
ノズルを用い、スリットから吹き出されるガスの流速を
変化させて、ガス供給側のスリット端部からスリット中
央部側に100mm寄った位置でのガス吹き出し角度θ
の変化を調べた。その結果を図13に示す。同図によれ
ば、面積比a1/a2を0.55以下とすれば、0.25
m/sec以上のガス流速であればガス吹き出し角度を
80°以上にできることが判る。
【0031】
【表3】
【0032】
【発明の効果】以上述べた本発明によれば、浸珪処理法
により高珪素鋼帯を製造するに際し、各スリットノズル
による浸珪量分布を適正化することができ、このため板
幅方向でSi濃度が均一な高珪素鋼帯を安定して製造す
ることができる。また、スリットノズルを二重管構造と
することにより、処理ガスがノズル内を通過する過程で
予熱されるため、炉外における処理ガスの予熱温度を低
く抑え、また、予熱装置を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸珪処理炉内に配されるスリットノズルの構成
を示す説明図
【図2】図1に示すスリットノズルのスリットからのガ
ス吹き出し方向を示す説明図
【図3】本発明の実施に供される単管構造のスリットノ
ズルの一構造例を示す平面図
【図4】図3のIV−IV線に沿う断面図
【図5】本発明の実施に供される二重管構造のスリット
ノズルの一構造例を示す縦断面図
【図6】図5のVI−VI線に沿う断面図
【図7】面積比a1/a2が0.45超のスリットノズル
を用いた場合のガス吹き出し角度θおよびガス流速分布
と浸珪量分布を示す説明図
【図8】面積比a1/a2が0.45以下のスリットノズ
ルを用いた場合のガス吹き出し角度θおよびガス流速分
布と浸珪量分布を示す説明図
【図9】炉長方向で隣接したスリットノズルに対して交
互に異なる端部側から処理ガスを供給する場合を示す説
明図
【図10】炉長方向で隣接したスリットノズル群に対し
て交互に異なる端部側から処理ガスを供給する場合を示
す説明図
【図11】実施例2において得られた高珪素鋼帯の板幅
方向Si濃度分布を示すグラフ
【図12】実施例3において測定されたスリット長手方
向各位置におけるガス吹き出し角度θを示すグラフ
【図13】実施例4において得られた面積比a1/a2
よびガス流速とガス吹き出し角度θとの関係を示すグラ
【符号の説明】
1…スリットノズル、2…スリット、3…ガス流路、I
…スリットノズル群 10…外管、11…内管、110…開放端
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 拝司 裕久 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 岡田 和久 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 笠井 勝司 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 10/06,10/08 C23C 10/14,10/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 浸珪処理炉内に炉長方向で間隔をおいて
    複数のスリットノズルを配し、このスリットノズルから
    通板する鋼帯の両面に処理ガスを吹き付けることによ
    り、鋼帯にその表面からSiを浸透させる浸珪処理を施
    し、次いで拡散均熱炉においてSiを板厚方向に拡散さ
    せる熱処理を施すことで高珪素鋼帯を連続的に製造する
    方法において、浸珪処理炉内に、スリットの開口面積a
    1とスリット内側におけるガス流路のノズル管径方向断
    面積a2との比a1/a2を0.55以下としたスリット
    ノズルを配し、各スリットノズルに対してその片側端部
    から処理ガスを供給することを特徴とする浸珪処理法に
    よる高珪素鋼帯の製造方法。
  2. 【請求項2】 スリットを有する外管と一端側から処理
    ガスが供給され、他端側が外管内部で開放した内管とか
    らなる二重管構造であって、ガス流路のノズル管径方向
    断面積a2が内管と外管間のガス流路断面積であるスリ
    ットノズルを用いることを特徴とする請求項1に記載の
    浸珪処理法による高珪素鋼帯の製造方法。
  3. 【請求項3】 炉長方向で隣接するスリットノズルまた
    はスリットノズル群に対して交互に異なる端部側から処
    理ガスを供給することを特徴とする請求項1または2に
    記載の浸珪処理法による高珪素鋼帯の製造方法。
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