JP2953663B2 - 熱間加工用工具鋼 - Google Patents
熱間加工用工具鋼Info
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Description
【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は常温強度、高温強度に優れ、かつ十分な焼入
性を備えており、実用上十分な靭性を備えていることを
特徴とする熱間加工用工具鋼に関するものである。さら
に詳しくは、近年のアルミダイカスト技術における鋳造
合金溶湯温度の上昇または、寸法精度向上のための熱間
鍛造型のシャープコーナー化など使用条件の過酷化に耐
えるための高温域の強度が優れ、かつ大割れを生ぜず長
寿命の金型に代表される熱間加工用工具鋼に関する。
性を備えており、実用上十分な靭性を備えていることを
特徴とする熱間加工用工具鋼に関するものである。さら
に詳しくは、近年のアルミダイカスト技術における鋳造
合金溶湯温度の上昇または、寸法精度向上のための熱間
鍛造型のシャープコーナー化など使用条件の過酷化に耐
えるための高温域の強度が優れ、かつ大割れを生ぜず長
寿命の金型に代表される熱間加工用工具鋼に関する。
従来、アルミダイカスト型材としては、SKD61が広く
使用されてきた。しかし近年、ダイカスト製品が複雑形
状化し、寸法精度、耐摩耗性も向上させたいという製品
側からの要請に応じて、鋳造合金の溶湯温度を上昇させ
たり、成形圧力を高めるなど型材に負荷される応力が過
酷化している。このため、SKD61では高温域での強度や
軟化抵抗が不足し、ヒートクラックが発生し易く早期に
型寿命に至るので、SKD61での対応は困難であった。
使用されてきた。しかし近年、ダイカスト製品が複雑形
状化し、寸法精度、耐摩耗性も向上させたいという製品
側からの要請に応じて、鋳造合金の溶湯温度を上昇させ
たり、成形圧力を高めるなど型材に負荷される応力が過
酷化している。このため、SKD61では高温域での強度や
軟化抵抗が不足し、ヒートクラックが発生し易く早期に
型寿命に至るので、SKD61での対応は困難であった。
また、熱間鍛造技術の分野でも、成形品の歩留向上の
ため、成形品の寸法精度の高い閉塞鍛造の技術が進み、
金型に対する負荷が増し、やはりSKD61での対応は困難
である。
ため、成形品の寸法精度の高い閉塞鍛造の技術が進み、
金型に対する負荷が増し、やはりSKD61での対応は困難
である。
これらの分野には、SKD61より強度の優れたSKD7、SKD
8が使用されてきたが、焼入性の不足に伴う靭性面や、
鋼材の熱間加工方向に整列する炭化物の紐状分布に沿う
縦方向の耐割れ性に問題があった。
8が使用されてきたが、焼入性の不足に伴う靭性面や、
鋼材の熱間加工方向に整列する炭化物の紐状分布に沿う
縦方向の耐割れ性に問題があった。
これらの従来鋼SKD7、SKD8の問題点の改善について特
公昭56−54379号、特開昭54−50421号、特開昭62−1498
52号等、種々提案がなされ、一定の改善効果が得られて
いるものの、未だ、型寿命を十分満たしたものではなか
った。これらの問題点は主に高温下で強度、耐力および
軟化抵抗が十分でないため、ヒートクラックが発生しや
すいことにあった(具体的には後述の実施例で示す)。
公昭56−54379号、特開昭54−50421号、特開昭62−1498
52号等、種々提案がなされ、一定の改善効果が得られて
いるものの、未だ、型寿命を十分満たしたものではなか
った。これらの問題点は主に高温下で強度、耐力および
軟化抵抗が十分でないため、ヒートクラックが発生しや
すいことにあった(具体的には後述の実施例で示す)。
本発明は従来鋼の問題点である高温強度、靭性を改善
し、かつ炭化物の紐状分布を少なくし、高温でのヒート
クラックの発生伸展を抑え、かつクラックが熱間加工方
向へ伸展しにくい型材を提供しようとするものである。
し、かつ炭化物の紐状分布を少なくし、高温でのヒート
クラックの発生伸展を抑え、かつクラックが熱間加工方
向へ伸展しにくい型材を提供しようとするものである。
本発明鋼の化学組成は、炭化物形成元素の量、成分間
のバランスについて系統的な検討を行ない、高温強度、
靭性の両面からの最適化をはかり、かつ素材の炭化物の
紐状分布の形成傾向を減じ、適量の炭化物を分散分布さ
せることから決定されたものである。
のバランスについて系統的な検討を行ない、高温強度、
靭性の両面からの最適化をはかり、かつ素材の炭化物の
紐状分布の形成傾向を減じ、適量の炭化物を分散分布さ
せることから決定されたものである。
本発明鋼は、併せて、N添加による結晶粒の微細化効
果が、Ni添加による基地の本質的な靭性改善とあいまっ
て、特に優れた靭性が付与されている。
果が、Ni添加による基地の本質的な靭性改善とあいまっ
て、特に優れた靭性が付与されている。
また、熱間での耐摩耗性付与のためにCoを添加し、使
用時の昇温により型表面に緻密で固着性の大きい酸化皮
膜を形成させ、これによる潤滑作用および断熱効果によ
り母材の強度、適量の炭化物分布とあいまって、温間お
よび熱間での耐摩耗性、耐肌あれ性を大幅に改善したも
のである。
用時の昇温により型表面に緻密で固着性の大きい酸化皮
膜を形成させ、これによる潤滑作用および断熱効果によ
り母材の強度、適量の炭化物分布とあいまって、温間お
よび熱間での耐摩耗性、耐肌あれ性を大幅に改善したも
のである。
すなわち本発明は、重量%でC0.36〜0.43%、Si1.00
%以下、Mn1.00%以下、Cr2.60〜4.00%、WとMoの1種
または2種が1/2W+Moで2.60〜3.50%、V0.71〜1.5%、
Ni1.20%以下、および場合によっては、Co0.50〜5.00
%、N0.10%以下を適宜含有し、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、前記不可避的不純物のうちのSは0.00
5%以下であることを特徴とする熱間加工用工具鋼であ
る。
%以下、Mn1.00%以下、Cr2.60〜4.00%、WとMoの1種
または2種が1/2W+Moで2.60〜3.50%、V0.71〜1.5%、
Ni1.20%以下、および場合によっては、Co0.50〜5.00
%、N0.10%以下を適宜含有し、残部Feおよび不可避的
不純物からなり、前記不可避的不純物のうちのSは0.00
5%以下であることを特徴とする熱間加工用工具鋼であ
る。
次に本発明鋼の成分範囲の限定理由について述べる。
Cは、本発明鋼の優れた焼入性、焼もどし硬さ、およ
び高温硬さを維持し、またW、Mo、VおよびCrなどの炭
化物形成元素と結合して炭化物を形成し、結晶粒の微細
化、耐摩耗性、焼もどし軟化抵抗、高い高温硬さを与え
るために添加するものである。Cは多すぎると靭性を低
下させ、また紐状の炭化物分布を過度に生じさせるので
0.43%以下とし、少なすぎると上記添加の効果が得られ
ないので、含有量を0.36%以上とする。
び高温硬さを維持し、またW、Mo、VおよびCrなどの炭
化物形成元素と結合して炭化物を形成し、結晶粒の微細
化、耐摩耗性、焼もどし軟化抵抗、高い高温硬さを与え
るために添加するものである。Cは多すぎると靭性を低
下させ、また紐状の炭化物分布を過度に生じさせるので
0.43%以下とし、少なすぎると上記添加の効果が得られ
ないので、含有量を0.36%以上とする。
Siは、A3変態点を高めることと用途に応じた耐酸化性
を付与するために添加されるが、過剰の添加は、使用中
の昇温による保護性酸化皮膜を形成させにくくし、また
靭性、熱伝導性を低下させるので1.00%以下とする。
を付与するために添加されるが、過剰の添加は、使用中
の昇温による保護性酸化皮膜を形成させにくくし、また
靭性、熱伝導性を低下させるので1.00%以下とする。
Mnは、焼入性を向上させるが、多すぎるとA1変態点を
過度に低下させ、焼なまし硬さを過度に高くし、被切削
性を低下させるので1.00%以下とする。
過度に低下させ、焼なまし硬さを過度に高くし、被切削
性を低下させるので1.00%以下とする。
NiはC,Cr,Mn,Mo,Wなどとともに、本発明鋼に優れた焼
入性を付与し、緩やかな焼入冷却速度の場合にも、マル
テンサイト主体の組織を形成し、靭性の低下を防ぐため
の重要な添加元素である。また基地の本質的な靭性改善
を与える。
入性を付与し、緩やかな焼入冷却速度の場合にも、マル
テンサイト主体の組織を形成し、靭性の低下を防ぐため
の重要な添加元素である。また基地の本質的な靭性改善
を与える。
Niは上記効果を得るために添加されるが、多すぎると
A1変態点を過度に高くして機械加工性を低下させるの
で、1.20%以下とする。
A1変態点を過度に高くして機械加工性を低下させるの
で、1.20%以下とする。
Crは、適正な添加量の設定により焼もどし軟化抵抗、
および高温強度、Cと結合して炭化物を形成することに
よる耐摩耗性および焼入性をそれぞれ向上させ、また迅
速窒化性を付与する効果を有するものである。Crは低す
ぎると耐酸化性が不足し、使用時に肌あれを生じやす
く、上記の添加効果と共に本発明鋼の特徴である優れた
靭性を得るために2.60%以上添加する。高すぎると昇温
時凝集しやすい炭化物を形成し、軟化抵抗、高温強度を
低下させるので4.00%以下とする。
および高温強度、Cと結合して炭化物を形成することに
よる耐摩耗性および焼入性をそれぞれ向上させ、また迅
速窒化性を付与する効果を有するものである。Crは低す
ぎると耐酸化性が不足し、使用時に肌あれを生じやす
く、上記の添加効果と共に本発明鋼の特徴である優れた
靭性を得るために2.60%以上添加する。高すぎると昇温
時凝集しやすい炭化物を形成し、軟化抵抗、高温強度を
低下させるので4.00%以下とする。
W、Moは、焼入加熱時、基地に固溶しにくい炭化物を
形成して耐摩耗性向上に効果をもたらすものであり、ま
た焼もどし時に微細な炭化物を析出して軟化抵抗、高温
強度を増加させる効果を有するものである。
形成して耐摩耗性向上に効果をもたらすものであり、ま
た焼もどし時に微細な炭化物を析出して軟化抵抗、高温
強度を増加させる効果を有するものである。
W、Moは上記の効果を得るために添加されるものであ
り、WとMoは1種または2種から選ばれて添加できる。
これは1/2WとMoの量がその添加効果において等価である
からである。Wおよび/またはMoの添加量は多すぎる
と、C量の関係において、炭化物量が多くなりすぎて、
これが熱間加工方向に紐状に整列し、熱間加工方向への
クラックが伸展しやすくなり、また焼もどし時析出する
微細炭化物量が過度に増え靭性を低下させるため、1/2W
+Moで3.50%以下とし、低すぎると上記添加の効果が得
られないので2.60%以上とする。
り、WとMoは1種または2種から選ばれて添加できる。
これは1/2WとMoの量がその添加効果において等価である
からである。Wおよび/またはMoの添加量は多すぎる
と、C量の関係において、炭化物量が多くなりすぎて、
これが熱間加工方向に紐状に整列し、熱間加工方向への
クラックが伸展しやすくなり、また焼もどし時析出する
微細炭化物量が過度に増え靭性を低下させるため、1/2W
+Moで3.50%以下とし、低すぎると上記添加の効果が得
られないので2.60%以上とする。
Vは昇温時にも固溶しにくい炭化物を形成して耐摩耗
性および耐焼付性の向上に効果を有するものであり、焼
入加熱時に基地に固溶して焼もどし時に微細な凝集しに
くい炭化物を析出し、高い温度域における軟化抵抗を大
とし、大きな高温耐力を与えるための重要な元素であ
る。
性および耐焼付性の向上に効果を有するものであり、焼
入加熱時に基地に固溶して焼もどし時に微細な凝集しに
くい炭化物を析出し、高い温度域における軟化抵抗を大
とし、大きな高温耐力を与えるための重要な元素であ
る。
また、Vは結晶粒を微細化して靭性を向上させるとと
もに、A1変態点を上げるので、優れた高温耐力とあいま
って耐ヒートクラック性を向上させる効果をもたらすも
のである。
もに、A1変態点を上げるので、優れた高温耐力とあいま
って耐ヒートクラック性を向上させる効果をもたらすも
のである。
本発明鋼の特徴である優れた靭性と高温強度の兼備の
ためにV量の適量の設定は非常に重要である。Vは多す
ぎると巨大な炭化物を生成し、熱間加工方向に沿う紐状
炭化物の分布傾向を増大させ、熱間加工方向に沿うクラ
ックの伸展を助長するため、1.50%以下とし、低すぎる
と型表面部の早期軟化をまねくなど上記添加の効果が得
られないので0.71%以上とする。
ためにV量の適量の設定は非常に重要である。Vは多す
ぎると巨大な炭化物を生成し、熱間加工方向に沿う紐状
炭化物の分布傾向を増大させ、熱間加工方向に沿うクラ
ックの伸展を助長するため、1.50%以下とし、低すぎる
と型表面部の早期軟化をまねくなど上記添加の効果が得
られないので0.71%以上とする。
Coは、使用中の昇温時、極めて緻密で密着性の良い保
護酸化皮膜を形成し、これにより金型表面と相手材との
間の金属接触がなくなり、金型表面の温度上昇を防ぐと
共に優れた耐摩耗性をもたらすものである。
護酸化皮膜を形成し、これにより金型表面と相手材との
間の金属接触がなくなり、金型表面の温度上昇を防ぐと
共に優れた耐摩耗性をもたらすものである。
また、この保護酸化皮膜形成により断熱効果が高ま
り、面と相手材との間の金属接触がなくなり、金型表面
を保護することによる耐ヒートクラック性の向上および
クラック発生の起点の生成の抑制などの効果が得られる
ものである。
り、面と相手材との間の金属接触がなくなり、金型表面
を保護することによる耐ヒートクラック性の向上および
クラック発生の起点の生成の抑制などの効果が得られる
ものである。
Coは上記効果を付与するために添加するが、多すぎる
と靭性を低下させるので5.00%以下とし、低すぎると上
記添加の効果が得られないので0.50%以上とする。
と靭性を低下させるので5.00%以下とし、低すぎると上
記添加の効果が得られないので0.50%以上とする。
Nは結晶粒の微細化効果をもたらし、本発明鋼の靭性
向上をもたらすもので、この目的のために添加を行な
う。
向上をもたらすもので、この目的のために添加を行な
う。
多量の添加は必要なく、溶製、造塊時の製造性を考慮
して、0.10%以下とする。
して、0.10%以下とする。
SはMnと硫化物を形成し、熱間加工方向に伸びて分布
し、熱間加工方向の靭性を低下させるので少ない方がよ
い。これに及ぼすSの影響は、0.005%以下でその効果
が大きくなり、さらにS0.003%以下でその効果が際立っ
て大きくなることを見出したものでSの上限を0.005%
とし、一層望ましい範囲を0.003%以下とする。
し、熱間加工方向の靭性を低下させるので少ない方がよ
い。これに及ぼすSの影響は、0.005%以下でその効果
が大きくなり、さらにS0.003%以下でその効果が際立っ
て大きくなることを見出したものでSの上限を0.005%
とし、一層望ましい範囲を0.003%以下とする。
以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明する。
第1表に本発明鋼および従来鋼の化学組成を示す。
第2表に本発明鋼および従来鋼の標準的な熱処理条件
における高温強度を示す。
における高温強度を示す。
高温強度は650℃、700℃における引張強さで示す。
本発明鋼(A〜F)は従来鋼G(SKD61)に対し高温
強度が明らかに優れている。
強度が明らかに優れている。
また、本発明鋼を従来鋼J(特公昭56−54379号に開
示される鋼)、従来鋼L(特開昭62−149852号に開示さ
れる鋼)と比較すると650℃では強度の差は比較的小さ
いが、700℃で比較すると強度が明らかに優れている。
これは本発明鋼の大きな特徴であり、金型表面が650℃
以上に昇温する用途の金型に本発明鋼が使用されると
き、金型表面のヒートクラックや塑性流動が起こりにく
いことを示している。
示される鋼)、従来鋼L(特開昭62−149852号に開示さ
れる鋼)と比較すると650℃では強度の差は比較的小さ
いが、700℃で比較すると強度が明らかに優れている。
これは本発明鋼の大きな特徴であり、金型表面が650℃
以上に昇温する用途の金型に本発明鋼が使用されると
き、金型表面のヒートクラックや塑性流動が起こりにく
いことを示している。
次に、本発明鋼の高温強度と従来鋼H(SKD7)、従来
鋼I(SKD8)、従来鋼K(特開昭54−50421号)の高温
強度とを比較すると同等ないしは従来鋼の方が若干優れ
た値を示す。
鋼I(SKD8)、従来鋼K(特開昭54−50421号)の高温
強度とを比較すると同等ないしは従来鋼の方が若干優れ
た値を示す。
第3表は、第1表に示す本発明鋼および従来鋼の試料
を半冷時間30min(焼入温度と室温との中間温度まで降
温するまでの所要時間が30minとなるような冷却速度)
で焼入後、HRC45に焼もどした場合の破壊靭性値(KIC)
を示す。
を半冷時間30min(焼入温度と室温との中間温度まで降
温するまでの所要時間が30minとなるような冷却速度)
で焼入後、HRC45に焼もどした場合の破壊靭性値(KIC)
を示す。
従来鋼H(SKD7)、従来鋼K(特開昭54−50421号に
開示される鋼)の場合は、半冷時間30minの焼入で上部
ベイナイト主体の組織となるため、焼もどし後十分な靭
性が得られない。また従来鋼I(SKD8)の場合は、組織
中に存在する炭化物が多すぎ靭性が低い。そのうえ、金
型でテスト使用した結果では紐状に分布した炭化物にそ
った大割れが早期に起こる頻度が多かった。
開示される鋼)の場合は、半冷時間30minの焼入で上部
ベイナイト主体の組織となるため、焼もどし後十分な靭
性が得られない。また従来鋼I(SKD8)の場合は、組織
中に存在する炭化物が多すぎ靭性が低い。そのうえ、金
型でテスト使用した結果では紐状に分布した炭化物にそ
った大割れが早期に起こる頻度が多かった。
これに対し、本発明鋼は従来鋼Jに準ずる靭性値を備
えている。
えている。
すなわち、従来鋼(G〜L)は高温強度が優れる場合
には、靭性が劣り(従来鋼H,I,K)、逆に靭性が優れる
場合には、高温強度が劣る(従来鋼G,J,L)のに対し、
本発明鋼は高温強度、靭性の両者を兼備していることが
わかる。
には、靭性が劣り(従来鋼H,I,K)、逆に靭性が優れる
場合には、高温強度が劣る(従来鋼G,J,L)のに対し、
本発明鋼は高温強度、靭性の両者を兼備していることが
わかる。
第4表に本発明鋼の耐ヒートクラック性試験結果を示
す。この試験は、15mmφ×25mmの試験片の表面を680℃
に急熱し、水中で20℃に急冷する操作を1500回繰り返し
た結果である。
す。この試験は、15mmφ×25mmの試験片の表面を680℃
に急熱し、水中で20℃に急冷する操作を1500回繰り返し
た結果である。
本発明鋼は、従来鋼G、Jに比べヒートクラック個数
が少ない。これは本発明鋼の大きな特色の一つであり、
ヒートクラックが発生しにくいことを示すものである。
ヒートクラックの深さは従来鋼と大差がない。
が少ない。これは本発明鋼の大きな特色の一つであり、
ヒートクラックが発生しにくいことを示すものである。
ヒートクラックの深さは従来鋼と大差がない。
第5表は、本発明鋼の高温焼付試験における焼付臨界
荷重(比)を示す。この試験は、試料を円柱状試料と
し、熱処理、研磨仕上後あらかじめ550℃における空気
酸化処理を行なったのち、700℃に加熱した鋼材(相手
材)に高速で回転しながら端面を押しつけた場合の焼付
が起こらない最大荷重(臨界荷重)を求め、従来鋼H
(SKD7)の焼付臨界荷重を100として指数で示したもの
である。
荷重(比)を示す。この試験は、試料を円柱状試料と
し、熱処理、研磨仕上後あらかじめ550℃における空気
酸化処理を行なったのち、700℃に加熱した鋼材(相手
材)に高速で回転しながら端面を押しつけた場合の焼付
が起こらない最大荷重(臨界荷重)を求め、従来鋼H
(SKD7)の焼付臨界荷重を100として指数で示したもの
である。
本発明鋼は、従来鋼より明らかに焼付臨界荷重が高い
ことがわかる。
ことがわかる。
これは、本発明鋼は高温強度が高く、炭化物の適正な
分布などによる耐摩耗性付与効果に加えて、上記酸化処
理により本発明鋼の試料表面に形成された緻密で剥離し
にくい酸化皮膜による保護作用、ならびに潤滑作用によ
るものであり、本発明鋼の大きな特色の一つである。
分布などによる耐摩耗性付与効果に加えて、上記酸化処
理により本発明鋼の試料表面に形成された緻密で剥離し
にくい酸化皮膜による保護作用、ならびに潤滑作用によ
るものであり、本発明鋼の大きな特色の一つである。
以上説明したように本願発明鋼は、ダイカスト型、熱
間鍛造型などの熱間加工用工具に使用されるのに十分な
焼入性を備えつつ、高温域の強度に優れた特性を有し、
また優れた酸化皮膜特性を備えている。そのため、工具
のへたり、ヒートクラック、大割れ、摩耗が生じにくく
工具寿命を延ばすことができるので、その効果は非常に
大きい。
間鍛造型などの熱間加工用工具に使用されるのに十分な
焼入性を備えつつ、高温域の強度に優れた特性を有し、
また優れた酸化皮膜特性を備えている。そのため、工具
のへたり、ヒートクラック、大割れ、摩耗が生じにくく
工具寿命を延ばすことができるので、その効果は非常に
大きい。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 - 38/56
Claims (4)
- 【請求項1】重量%でC0.36〜0.43%、Si1.00%以下、M
n1.00%以下、Cr2.60〜4.00%、WとMoの1種または2
種が1/2W+Moで2.60〜3.50%、V0.71〜1.5%、Ni1.20%
以下、残部Feおよび不可避的不純物からなり、前記不可
避的不純物のうちのSは0.005%以下であることを特徴
とする熱間加工用工具鋼。 - 【請求項2】重量%でC0.36〜0.43%、Si1.00%以下、M
n1.00%以下、Cr2.60〜4.00%、WとMoの1種または2
種が1/2W+Moで2.60〜3.50%、V0.71〜1.5%、Ni1.20%
以下、Co0.50〜5.00%、残部Feおよび不可避的不純物か
らなり、前記不可避的不純物のうちのSは0.005%以下
であることを特徴とする熱間加工用工具鋼。 - 【請求項3】重量%でC0.36〜0.43%、Si1.00%以下、M
n1.00%以下、Cr2.60〜4.00%、WとMoの1種または2
種が1/2W+Moで2.60〜3.50%、V0.71〜1.5%、Ni1.20%
以下、N0.10%以下、残部Feおよび不可避的不純物から
なり、前記不可避的不純物のうちのSは0.005%以下で
あることを特徴とする熱間加工用工具鋼。 - 【請求項4】重量%でC0.36〜0.43%、Si1.00%以下、M
n1.00%以下、Cr2.60〜4.00%、WとMoの1種または2
種が1/2W+Moで2.60〜3.50%、V0.71〜1.5%、Ni1.20%
以下、Co0.50〜5.00%、N0.10%以下、残部Feおよび不
可避的不純物からなり、前記不可避的不純物のうちのS
は0.005%以下であることを特徴とする熱間加工用工具
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63194194A JP2953663B2 (ja) | 1988-08-03 | 1988-08-03 | 熱間加工用工具鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63194194A JP2953663B2 (ja) | 1988-08-03 | 1988-08-03 | 熱間加工用工具鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0243346A JPH0243346A (ja) | 1990-02-13 |
JP2953663B2 true JP2953663B2 (ja) | 1999-09-27 |
Family
ID=16320515
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP63194194A Expired - Fee Related JP2953663B2 (ja) | 1988-08-03 | 1988-08-03 | 熱間加工用工具鋼 |
Country Status (1)
Country | Link |
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-
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