JP2951610B2 - 欠陥検査方法 - Google Patents
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ビームを用いて、
例えば、絶縁膜、半導体膜、金属膜等の種々の薄膜の欠
陥を検査する欠陥検査方法に関する。 【0002】 【従来の技術】図1(イ)は検査すべき絶縁膜を有する
試料の断面図で、1は金属または半導体からなる基板、
2は絶縁膜、3は絶縁膜2上に任意の形状に孤立して形
成された金属または半導体である。図示のような試料
は、いわば半導体集積回路等の製造プロセスの途中にあ
る試料である。 【0003】図1(ロ)は図1(イ)で示したような試
料の絶縁膜2の欠陥を検査する装置の概略斜視図で、4
は先端の直径が20μm程度の金属探針、5は電圧計、
6は電流計、7は直流電源である。このような構成の検
査装置において、直流電源7により絶縁膜2の耐圧電圧
未満の電圧を印加し、金属探針4を金属または半導体3
に接触させて、絶縁膜2の絶縁性を電圧計5および電流
計6によって測定する。なお、本発明に関連する公開公
報として、特開昭55−161344号公報、特開昭5
7−191950号公報、特開昭54−134570号
公報、特開昭55−68629号公報が挙げられる。上
記特開昭55−161344号公報には、試料をグラン
ドにして電子光学系に高電圧をかけて電子源からの電子
線を減速する構成が開示されている。しかし、この公開
公報には、加速された二次電子線を検出する工程と、検
出された二次電子線を画像化する工程と、該画像化する
工程での二次電子像により薄膜の欠陥を判別する工程を
有する欠陥検査方法については記載されていない。ま
た、上記特開昭57−191950号公報には、荷電粒
子源に負の電圧が印加されたときは電界放射陰極(電子
源)、正の電圧が印加されたときは電界電離型イオン源
として両用に機能する荷電粒子源が開示されている。し
かし、この公開公報には、収束された電子ビームを、表
面に薄膜を形成した試料直前で1keVより小さいエネ
ルギーに減速する工程と、減速された電子ビームを前記
試料上の薄膜に照射する工程と、照射された電子ビーム
により前記薄膜から二次電子を出射させ、加速する工程
と、加速された二次電子線を検出する工程と、検出され
た二次電子線を画像化する工程と、該画像化する工程で
の二次電子像により前記薄膜の欠陥を判別する工程を有
する欠陥検査方法については記載されていない。また、
上記特開昭54−134570号公報には、一次電子線
が断続され、この一次電子線のエネルギーが集積回路内
の測定箇所の電位により定められる二次電子を、該測定
箇所で放出される電位経過を測定する装置、いわゆるス
トロボ方式のEBテスタが開示されている。しかし、こ
の公開公報には、加速された二次電子線を検出する工程
と、検出された二次電子線を画像化する工程と、該画像
化する工程での二次電子像により薄膜の欠陥を判別する
工程を 有する欠陥検査方法については記載されていな
い。さらに、上記特開昭55−68629号公報には、
走査電子顕微鏡を利用して集積回路等の微細パターンを
検査する装置において、基本パターンと比較することが
開示されている。しかし、この公開公報には、収束され
た電子ビームを、表面に薄膜を形成した試料直前で1k
eVより小さいエネルギーに減速する工程と、減速され
た電子ビームを前記試料上の薄膜に照射する工程と、照
射された電子ビームにより前記薄膜から二次電子を出射
させ、加速する工程と、加速された二次電子線を検出す
る工程と、検出された二次電子線を画像化する工程と、
該画像化する工程での二次電子像により前記薄膜の欠陥
を判別する工程を有する欠陥検査方法については記載さ
れていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】第1図(ロ)に示した
ような検査装置にあっては、金属探針4の機械的接触に
よる限界から、金属または半導体3の二次的大きさはお
よそ100μm四方以上に制限される。すなわち、金属
または半導体3の大きさが金属探針4の先端直径の20
μm以下では、測定はまったく不可能である。 【0005】図1(ハ)は、金属または半導体からなる
基板1に絶縁膜2のみが形成された試料の絶縁膜2の欠
陥検査装置を示す断面図で、この検査装置においては、
(Ga、In)合金などの融点が低い金属8を絶縁膜2
上に押え付け、直流電源7により電圧を印加し、電圧計
5、電流計6によって絶縁膜2の絶縁性を測定する。し
かし、この検査装置は、絶縁膜2の平均的な絶縁性を検
査するものであり、絶縁膜2の欠陥の大きさ、数等を知
ることはできない。 【0006】なお、半導体集積回路等の内部に形成され
る個々の素子、配線パターン形状は、現在すでにミクロ
ンオーダーに達しており、これらの微細化はさらに進行
しつつある。 【0007】しかしながら、前述のように、従来の絶縁
膜の欠陥検査装置においては、欠陥の大きさ、数等の微
細な欠陥は摘出することはできない。したがって、この
ことは素子完成後の歩留りを悪くする一因になってい
る。 【0008】本発明は、上記のような従来技術の実情に
鑑みてなされたもので、その目的は、絶縁膜、半導体
膜、金属膜等の種々の薄膜の欠陥の大きさ、数を検査す
ることができる欠陥検査方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】金属探針を用いて絶縁性
を検査するのは、前述のように限界にあり、他の方法に
よらなければならない。 【0010】ところで、細く収束した電子ビームを検査
すべき試料上で走査し、この照射される電子ビームによ
り該試料から発生する二次電子によって、ブラウン管画
面上に像を表示する走査形電子顕微鏡(以下SEMと称
す;Scanning Electron Microscope)がある。このSE
Mは、試料の微細な表面形状の観察をするもので、通常
のSEMで上記目的を達成することは不可能である。一
般に、SEMの試料への入射電子エネルギーとしては1
0〜30keV程度が用いられ、特に低いものでも3k
eV程度である。このように高いエネルギーの電子を絶
縁膜に照射すると、後で詳しく述べるように該絶縁膜上
にチャージ・アップが起きて電子ビームが振られてしま
い、正確な像を得ることができない。また、単純にSE
Mの電子ビームエネルギーをもつと低下させた場合は、
上記チャージ・アップ現象を低減することはできるにし
ても本質的には該現象が生ずること、および、一般に加
速電圧を下げると電子光学的理由により電子線源の輝度
が低下するため、二次電子像のS−N比が悪くなり、表
示画面を鮮明に観察することが困難となること、などの
理由によって、従来絶縁膜の欠陥に対応した情報を得る
ことはできていない。 【0011】一方、SEMによって半導体試料を観察す
ると、高エネルギー電子の照射により半導体の損傷が起
きることが知られており、試料を破壊しないで観察する
ために、電子ビームの低エネルギー化が望まれている。 【0012】前述の目的を達成するために、本発明によ
る欠陥検査方法は、電界放射陰極から放射する電子ビー
ムを1keV以上のエネルギーに加速する工程と、加速
された前記電界放射陰極からの電子ビームを収束する工
程と、収束された電子ビームを、表面に薄膜を形成した
試料に負の電圧を印加して1keVより小さいエネルギ
ーに減速する工程と、減速された電子ビームを前記試料
上の薄膜に照射する工程と、照射された電子ビームによ
り前記薄膜から二次電子を出射させ、加速する工程と、
加速された二次電子線を検出する工程と、検出された二
次電子線を画像化する工程と、前記画像化する工程での
二次電子像により前記薄膜の欠陥を判別する工程を有す
ることを特徴とする。 【0013】 【0014】 【0015】 【0016】 【作用】本発明は、低エネルギーの電子ビームを用い
て、微細な絶縁膜、半導体膜、金属膜等の種々の薄膜の
欠陥の大きさ、数等に対応する情報を得るもので、以
下、その原理について説明する。 【0017】まず、例えば、絶縁膜の厚さおよび入射電
子エネルギーを具体的に示すため、金属または半導体の
基板1(図1)としてSi単結晶板、絶縁膜2としてこ
のSi単結晶板を熱酸化して得られるSiO2膜を考え
る。 【0018】図2は、この絶縁膜としてのSiO2膜へ
入射する電子ビームエネルギー(eV)と、電子の最大
侵入深さRmax(Å)との関係を示すグラフである
(引用文献:H.J.Fitting,Phys.Status Solidi 226,p.5
25(1974)。この電子の最大侵入深さとは、絶縁膜への
入射電子すなわち一次電子が多重散乱をしてエネルギー
損失し、エネルギーまたは速度的に拡散領域に達するま
での電子の侵入領域(深さ)すなわち等価的な透過領域
のことである。この等価的というのは、ある一つの入射
電子が絶縁膜をそのまま通り抜ける意味での透過のみを
指すのではなく、複数電子との衝突により入射電子その
ものではなく他の電子が透過することを含める。図2の
グラフにおいて、例えば、電子が100ÅのSiO2膜
を透過してSi基板1に達するには300eV以上のエ
ネルギーで電子ビームを照射しなければならないことが
わかる。 【0019】一方、試料表面で入射電子ビームすなわち
一次電子により励起される二次電子の放射効率も一次電
子エネルギーに依存している。なお、二次電子放射効率
δ(E)は、一次電子数NPに対する二次電子数NSの比
で示される(δ(E)=NS/NP)。図3は一次電子ビ
ームエネルギーE(eV)と二次電子放射効率δ(E)
との関係を示すグラフで、AはSiO2、BはPoly
−Siに対する値を示す(引用文献:R.Kouath,Handbuc
h der Physik XXIp.232(1956)。 【0020】図4(イ)〜(ホ)は、Si基板1上にS
iO2絶縁膜2が形成された試料について、一次電子eP
に対する二次電子eSおよび該試料内部への散乱電子ed
の振舞いを模型的に示す図である。 【0021】図4(イ)に示すように、例えば100Å
の厚さのSiO2絶縁膜2を考えるとき、一次電子ePが
300eV以上で加速された電子であれば、基板1へ到
達する散乱電子edが存在するため、いわゆる“電子ビ
ーム誘起電導性(Electronbeam induced conductivit
y)”の現象に基づき、SiO2絶縁膜2表面の電位は基
板1の電位にほとんど等しくなり、絶縁膜2の表面にチ
ャージ・アップは起きない。 【0022】図4(ロ)は、一次電子ePが300eV
以下でかつ二次電子放射効率δ(E)が1以上となる3
0eV以上で加速された電子の場合を示す。NP(一次
電子ePの個数)よりもNS(二次電子eSの個数)の方
が多いため、図4(イ)の場合のように散乱電子edの
リークがないので、絶縁膜2の表面は正の電荷が増大し
チャージ・アップの状態となる。なお、このチャージ・
アップは時間の経過とともに増大する。 【0023】図4(ロ)におけるチャージ・アップを防
止するには、図4(ハ)に示すように、試料上の空間の
該試料の電子ビーム照射面に対向して、金属メッシュ等
からなる補助電極9を設け、この補助電極9と基板1と
の間に直流電源10を接続し、補助電極9に電位を与え
る。発生した二次電子のうち比較的エネルギーの高いも
のは、補助電極9に入射するか、補助電極9を通過して
試料表面の情報を持って二次電子検出器(図示せず)に
到達する。また、エネルギーの非常に低い電子は試料表
面へ逆戻りする。このような構成では、絶縁膜2の表面
と基板1との間には等価回路的にわずかなリーク電流が
あることになり、絶縁膜2の表面の電位は、平衡状態と
して基板1よりも僅かに正の側の電位を持つ。なお、図
示のように、直流電源10は基板1の側を負、補助電極
9の側を正としてあるが、直流電源10の電位の比較的
小さい場合は、正負が逆でも良く、また直流電源10は
抵抗と置き換えても原理的には等しい。しかし、実用上
は図示のような接続が、二次電子の補集量を高める上で
都合良い。 【0024】図4(ニ)に示すように、図4(ロ)また
は(ハ)と同じ条件で、絶縁膜2に欠陥がある場合、具
体的には絶縁膜2にピン・ホールがあるか、もしくは完
全な孔となっていなくても、絶縁膜2が一部薄い場合
は、その欠陥部分では等価的に図4(イ)と同様にな
る。すなわち、欠陥部分の表面電位は基板1と同電位に
なる。 【0025】上記図4(ロ)〜(ニ)は、二次電子放射
効率δ(E)が1以上の場合であったが、δ(E)<1
の場合について図4(ホ)に示す。図3においては、一
次電子ビームエネルギーが2300eV以上かあるいは
30eV以下で加速された場合である。まず2300e
V以上の場合、散乱電子edが基板1に達するときはδ
(E)が異なることによる発生二次電子数の割合が少な
いだけで図4(イ)と同様である。しかし、絶縁膜2が
厚くて、散乱電子edが基板1に到達することができな
い場合、入射する一次電子数NPが、放出される二次電
子数NSよりも大なので、図4(ロ)とは逆に、絶縁膜
2の表面は負の電荷が増してチャージ・アップを起こ
す。しかし、この場合には、図4(ハ)のように補助電
極9を付加しても、このチャージ・アップは負電位なの
で防止することはできず、したがって絶縁膜2の表面電
位を一定値に保つことは不可能である。また、後者の3
0eV以下でも、絶縁膜2の厚さが異なるだけで、現象
は上記と同様である。その厚さとは、図2の外挿によれ
ば10Å以下という極めて薄いものであり、通常絶縁膜
としては用いることのない領域である。 【0026】以上を整理して記すと次のようになる。 【0027】(1)入射する一次電子ePのエネルギー
が高く、散乱電子edが絶縁膜2を等価的に透過して基
板1に達する場合、絶縁膜2の表面電位は基板1の電位
にほぼ等しい(図4(イ))。 【0028】(2)一次電子ePのエネルギーが低く、
散乱電子edが基板1を等価的に透過しない程度で、か
つ絶縁膜2からの二次電子発生効率δ(E)が1より大
である場合、絶縁膜2の表面電位は補助電極9を用いる
ことによって、基板1の電位より正である平衡状態に保
たれた電位を示す(図4(ロ)、(ハ))。 【0029】(3)上記(2)の場合において絶縁膜2
にピンホール等の欠陥があれば、その欠陥箇所の表面電
位は、基板1の電位か、該電位にほぼ等しい電位を示す
(図4(ニ))。 【0030】(4)一次電子ePが絶縁膜2を等価的に
透過せず、かつ絶縁膜2からの二次電子発生効率δ
(E)が1より小である場合、絶縁膜2の表面電位は負
の側に変化し平衡状態に達することができない(図4
(ホ))。 【0031】このような試料表面に、一次電子ePが絶
縁膜2を等価的に透過しないエネルギーの一次電子ビー
ムを走査し、それにより発生する二次電子信号を検出す
ると、表面電位の差に基づく二次電子収量の差が敏感に
反映されるため、上記(2)および(3)の原理を利用
することにより、絶縁膜2の欠陥箇所と正常な部分を表
面電位の差として検出して区別することができる。 【0032】図5は、絶縁膜2の上に孤立して金属また
は半導体3、例えばPoly−Siが形成されている試
料を検査する場合の本発明の原理を示す図で、9は補助
電極、10は直流電源である。このような試料におい
て、絶縁膜2上の金属または半導体3の電位は、近傍の
絶縁膜2の表面電位と等しくなるため、金属または半導
体3の表面電位を表わす二次電子を検出することによっ
て、その絶縁性を知ることができる。ただし、二次電子
の収量そのものは、金属または半導体3に対するものと
なる(図3参照)。 【0033】なお、上記の説明では、検査すべき薄膜と
して絶縁膜を例に挙げて説明したが、抵抗が約1MΩ以
下の導体を除く、基体上に設けた絶縁膜、金属膜、半導
体膜等、種々の薄膜を検査することができる。また、表
面に存在する薄膜のみならず、中間に存在する薄膜をも
検査することができる。また、基体も、該基体表面に設
ける薄膜との組み合わせによるが、半導体、金属、絶縁
物等何でもよい。例えば、絶縁物基板の場合は、表面薄
膜は半導体、金属となる。 【0034】 【実施例】以下、本発明の実施例を図6〜9に基づいて
説明する。 【0035】図6は、本発明の一実施例の電子ビーム検
査装置の概略ブロック図である。この図において、11
は電子ビーム源となる電界放射陰極で、尖針11aとこ
れに接合されたWフィラメント11bからなる。18は
−1kV程度の直流高電圧の電源で、電界放射陰極11
に電界放射のための電位を与える。19はフィラメント
11bを通電加熱し1100℃近傍に保つための電源で
ある。12はアノード、12aはアノード12の絞り孔
で、電界放射陰極11からは電子が放射角1/4rad
程度で絞り孔12aに放射される。13はアノード12
の絞り孔12aを通過した電子ビーム束を収束するため
の収束手段すなわち磁気収束レンズ、21は磁気収束レ
ンズの電源である。14は非点収差補正コイル、20は
非点収差補正コイル14の電源、15は電子ビームを走
査するための偏向手段すなわち偏向コイル、23は偏向
コイル15の電源、16は電子光学系鏡体、17はイオ
ンポンプを含む排気手段、32は磁気収束レンズ13に
より収束された電子ビームが照射される絶縁膜2を持つ
試料(ここでは図5に示した試料)、43は試料台、9
は試料32の上方周囲に配置された金属メッシュからな
る補助電極、26、27は電源で、試料32と補助電極
9との間に電圧を与えることにより、電界放射陰極11
から照射される電子ビームの速度を所定の値まで減速す
る減速手段となる。なお、電源26、27は、それぞれ
スイッチAおよびBによって切換え可能になっている。 【0036】22は電子ビームの照射により試料32か
ら発生する二次電子を捕集する二次電子検出器、28は
増幅器、29は絶縁膜2の欠陥に対応する情報信号を表
示するブラウン管を含む表示器である。 【0037】24は発振器、25は倍率補正器、30は
比較器、31はパターン発生器であり、これらについて
は後で詳述する。なお、二次電子検出器22、電源2
3、発振器24、倍率補正器25、増幅器28、表示器
29、比較器30、パターン発生器31により表示手段
が構成されている。 【0038】以上、本発明の実施例の各構成部分につい
て一とおり説明したが、次に上記電界放射陰極11につ
いてさらに説明を加える。つまり、本発明を実施するに
当って一つの重要な点は、前述のように、絶縁膜2を透
過しない程度のエネルギーの電子ビームを用いることで
ある。絶縁膜2が薄い程、エネルギーの低い電子ビーム
を用いなければならない。ところが、前述のごとく電子
光学の原則によって、一般にエネルギーが低ければ電子
ビームの輝度は低くなる。低速電子ビームにおいて、で
きる限り小さい電子ビームのスポット径を得るには、電
子ビーム源となる陰極に高輝度のものを用いる必要があ
る。 【0039】本実施例の電界放射陰極11は、軸方位<
100>の単結晶タングステンW線から電界研摩して尖
針11aを形成したもので、酸素を介してチタンTiの
単原子層の吸着状態を長時間加熱状態で維持できる熱電
界放射陰極である。この陰極は尖針表面において仕事関
数がWより低いため、同じ曲率半径のW尖針と比較し
て、低い電圧で同様の電子ビーム電流が得られる。な
お、通常のW尖針では、尖針の表面清浄化のためにフラ
ッシングという瞬間高温加熱を行なうが、この操作のた
めに尖針の先端曲率半径を当初非常に小さくしても、加
熱による影響で先端が鈍化してしまう。これに対して、
本実施例のTi吸着型の電界放射陰極11は、高温のフ
ラッシング操作が不要であり、前述の尖針表面の仕事関
数が小さいことと合わせて、1kV程度の低い電圧で電
界放射が可能であり、また低い加速電圧にもかかわらず
電界放射であるために高輝度である。なお、このような
理由により、電源18は−1kV程度の直流高電圧電源
を用いる。 【0040】次に、本実施例において試料32に入射す
る電子ビームのエネルギー(速度)が必要な値すなわ
ち、電子が試料32の絶縁膜2を等価的に透過しない値
に減速する原理について説明する。すなわち、電源18
の電圧が前述のように−1kVであり、かつ試料32の
電位が鏡体16と同じ接地電位である場合、電界放射陰
極11からは1keVのエネルギーの電子ビームが試料
32に入射する。ところが、試料32に図示のように設
けた電子ビームの減速手段である電源26によって減速
電位、例えば−900Vを与えると、試料32に入射す
る電子のエネルギーは100eVとなる。すなわち、電
源26は減速電圧として例えば前述の−900Vに設定
してあり、スイッチAを操作することにより電子が試料
32の絶縁膜2を等価的に透過しない値まで電子エネル
ギーの速度を減速する。また、電源27は電子が絶縁膜
2を透過する電圧例えば−200Vに設定してあり、し
たがって試料32に入射する電子ビームのエネルギーは
800eVとなる。 【0041】上記のように構成した本実施例の電子ビー
ム検査装置において、その動作を説明する。減速手段で
ある電源26により必要な速度まで減速された電子ビー
ムが試料32上に照射されると、二次電子が発生する
が、そのうち補助電極9を通過したものの一部または大
部分は二次電子検出器22に捕集される。それにより二
次電子検出器22から出力する検出電流は、増幅器28
によって増幅され、表示器29に入力される。また、発
振器24によって作られる偏向信号は、電源23により
増幅され、電子ビームを走査する偏向コイル15に与え
られる。なお、発振器24の偏向信号は、表示器29に
も同期して与えられ、後に詳しく述べる二次元輝度変調
表示、あるいは線状表示等の絶縁膜2の欠陥に対応する
情報信号が表示器29に表示される。 【0042】次に、本実施例の表示手段による一つの表
示例(上記二次元輝度変調表示)およびその表示による
測定結果を図7(イ)に基づいて説明する。図7(イ)
は、図6で示した本発明の実施例の電子ビーム検査装置
の表示器29の画面に表示された二次電子像を示す図で
ある。試料32の断面構造は図5に示したものと同様で
あり、基板1はSi単結晶板、絶縁膜2は膜厚200Å
のSiO2、金属または半導体3は膜厚3500ÅのP
oly−Siである。さらに詳しくいえば、この試料は
Poly−Siが幅1μmの線状に3μm間隔で、いわ
ゆるライン・アンド・スペースで構成された試料であ
る。図2にもとづいて200ÅのSiO2膜を透過しな
い電子ビームのエネルギーは500eV以下であるの
で、100eVの電子ビームを用いる。図7(イ)は、
試料32aへの入射エネルギーが100eV(スイッチ
A)の場合に表示器29の画面に表示された二次電子像
で、前に図3をもとに説明した二次電子発生効率の差か
ら、Poly−Siの部分が黒く(二次電子信号が弱
い)、バックグラウンドである絶縁膜SiO2の部分が
白く(二次電子信号が強い)見える。なお、この図7
(イ)では、矢印で示した他と較べて白っぽいラインの
箇所があり、その部分の絶縁膜に欠陥があることを明白
にしている。なお、図7(ロ)については、後で述べ
る。 【0043】なお、絶縁膜2の欠陥箇所の解析は、図7
(イ)の表示例で示した試料のようにパターンの単純な
もの、あるいは予めパターンが明確にわかっているもの
については、表示器29の画面を目視することによって
判断できるが、複雑なパターンの場合には、図6に示し
たように予め入力されたパターンを発生するパターン発
生器31および比較器30を用いて、表示器29に現わ
れる情報と比較することにより、欠陥箇所を知ることが
できる。 【0044】また、パターン未知の試料における絶縁膜
の欠陥箇所の解析方法について図7(ロ)をもとに説明
する。すなわち、図6においてスイッチBを操作するこ
とにより、例えば−200Vに設定された電源27によ
り試料32に減速電圧を与える。すると、この試料32
に入射する電子ビームのエネルギーは800eVとな
り、図2に基づいて500eV以上であるので電子は試
料32の絶縁膜2を透過する。ただし、図3に基づいて
2300V以下であるのでチャージ・アップは起こさな
い。図7(ロ)は、電子ビームの減速電圧が電源27に
より上記のように設定された場合に、表示器29の画面
に表示された二次電子像を示す図であり、前述の図7
(イ)と同一試料の同一部分の二次電子像を示す。すな
わち、図7(ロ)において、欠陥箇所は見えず、試料に
もともと形成されているパターンの外形の情報のみを示
している。このように、欠陥箇所を見るには、電子が絶
縁膜を等価的に透過しないように設定された電源26を
用い、試料のパターンを見るには、電子が絶縁膜を透過
するように設定された電源27を用いる。したがって、
パターン未知の試料に対しては、スイッチAとBを切換
えることによって表示器29に現われる2つの二次電子
像を比較することによって、欠陥箇所の判定が可能であ
る。なお、この際、100eVと800eVの試料32
の入射エネルギーの差によって表示器29の画面に現わ
れる像の倍率が異なってくる。したがって、同一倍率で
比較ができるように倍率補正器25を用い、それぞれス
イッチCとDを電源26および27の切り換えに合わせ
て切り換える。このようにすることにより、図7
(イ)、(ロ)の像を表示器29の画面において、等し
い倍率で比較することができる。 【0045】さらに、上記のパターン発生器31の代り
に、電子ビームエネルギーの高い場合と低い場合のいず
れかのパターン情報を記憶する記憶装置31を設置し、
記憶装置31および比較器30を用いて表示器29に欠
陥箇所の表示を行なうことができる。 【0046】図8は、本発明の参考例を示す電子ビーム
検査装置の概略ブロック図である。図において、33は
熱陰極、34はウェーネルト電極、35は電源、26は
電子ビームの減速手段である電源、その他図6で示した
実施例と同符号のものは同一部材を示す。熱陰極33
は、第1の実施例の電界放射陰極11と比較して輝度が
低いが、低加速電圧を印加して用いるとさらに輝度が低
下する。ここで、輝度の値を重視するのは、収束された
電子ビームのスポット径をできるだけ小さくし、しかも
できるだけ大きい電流を得るためである。したがって、
このことを考慮すると、目的によっては熱陰極も低加速
電圧で使用できるといえる。すなわち、スポット径がそ
れ程小さくなくても欠陥検査の機能を果す場合は充分に
ある。本参考例では熱陰極の中で最も高い輝度を持つ直
熱型の六硼化ランタン(LaB6)陰極を使用してい
る。 【0047】このような構成の参考例の電子ビーム検出
装置において、熱陰極33を電源19によって加熱し、
1600℃程度に保つ。そして、ウェーネルト電極34
に電源35により熱陰極33の電位に対して負電位を印
加し、かつ直流高電圧の電源18によって熱陰極33に
電圧を印加すると、ウェーネルト電極34とアノード1
2間に図示のようなクロスオーバーEを作って電子ビー
ムが放射される。なお、電源18に−1kV程度の電源
を用いると試料に印加される電位は、図6で示した実施
例と同様になる。また、この参考例も図示は省略したが
上記実施例と同様の表示手段等が接続されるものであ
り、その機能も同様であるので説明は省略する。 【0048】 【0049】なお、本発明の原理の説明および実施例に
おいて、基板1としてはSi単結晶板、絶縁膜2として
はSiO2、また絶縁膜2上に孤立して形成される金属
または半導体3としてはPoly−Siを用いて説明し
たが、他の物質の場合でも本発明の効果は変りない。 【0050】 【0051】 【0052】 【発明の効果】本発明によれば、絶縁膜、半導体膜、金
属膜等の種々の試料について、従来検査することができ
なかった薄膜の欠陥の大きさ、数等を検知することがで
きる。また、従来は機械的接触により検査していたもの
を本発明は検査すべき薄膜を電子が等価的に透過しない
電子ビームを用いて非接触で検査を行なうので、脆弱な
半導体試料に対しても無損傷で検査することができる。
したがって、製造プロセスの途中で検査すべき素子の検
査を行なうことができ、検査終了後後続の製造プロセス
を継続することが可能である。さらに、本発明は電子ビ
ームの微小なスポット径に対応する0.1μm程度の微
細な欠陥箇所をも検知することができる。このように、
本発明の効果は顕著である。
例えば、絶縁膜、半導体膜、金属膜等の種々の薄膜の欠
陥を検査する欠陥検査方法に関する。 【0002】 【従来の技術】図1(イ)は検査すべき絶縁膜を有する
試料の断面図で、1は金属または半導体からなる基板、
2は絶縁膜、3は絶縁膜2上に任意の形状に孤立して形
成された金属または半導体である。図示のような試料
は、いわば半導体集積回路等の製造プロセスの途中にあ
る試料である。 【0003】図1(ロ)は図1(イ)で示したような試
料の絶縁膜2の欠陥を検査する装置の概略斜視図で、4
は先端の直径が20μm程度の金属探針、5は電圧計、
6は電流計、7は直流電源である。このような構成の検
査装置において、直流電源7により絶縁膜2の耐圧電圧
未満の電圧を印加し、金属探針4を金属または半導体3
に接触させて、絶縁膜2の絶縁性を電圧計5および電流
計6によって測定する。なお、本発明に関連する公開公
報として、特開昭55−161344号公報、特開昭5
7−191950号公報、特開昭54−134570号
公報、特開昭55−68629号公報が挙げられる。上
記特開昭55−161344号公報には、試料をグラン
ドにして電子光学系に高電圧をかけて電子源からの電子
線を減速する構成が開示されている。しかし、この公開
公報には、加速された二次電子線を検出する工程と、検
出された二次電子線を画像化する工程と、該画像化する
工程での二次電子像により薄膜の欠陥を判別する工程を
有する欠陥検査方法については記載されていない。ま
た、上記特開昭57−191950号公報には、荷電粒
子源に負の電圧が印加されたときは電界放射陰極(電子
源)、正の電圧が印加されたときは電界電離型イオン源
として両用に機能する荷電粒子源が開示されている。し
かし、この公開公報には、収束された電子ビームを、表
面に薄膜を形成した試料直前で1keVより小さいエネ
ルギーに減速する工程と、減速された電子ビームを前記
試料上の薄膜に照射する工程と、照射された電子ビーム
により前記薄膜から二次電子を出射させ、加速する工程
と、加速された二次電子線を検出する工程と、検出され
た二次電子線を画像化する工程と、該画像化する工程で
の二次電子像により前記薄膜の欠陥を判別する工程を有
する欠陥検査方法については記載されていない。また、
上記特開昭54−134570号公報には、一次電子線
が断続され、この一次電子線のエネルギーが集積回路内
の測定箇所の電位により定められる二次電子を、該測定
箇所で放出される電位経過を測定する装置、いわゆるス
トロボ方式のEBテスタが開示されている。しかし、こ
の公開公報には、加速された二次電子線を検出する工程
と、検出された二次電子線を画像化する工程と、該画像
化する工程での二次電子像により薄膜の欠陥を判別する
工程を 有する欠陥検査方法については記載されていな
い。さらに、上記特開昭55−68629号公報には、
走査電子顕微鏡を利用して集積回路等の微細パターンを
検査する装置において、基本パターンと比較することが
開示されている。しかし、この公開公報には、収束され
た電子ビームを、表面に薄膜を形成した試料直前で1k
eVより小さいエネルギーに減速する工程と、減速され
た電子ビームを前記試料上の薄膜に照射する工程と、照
射された電子ビームにより前記薄膜から二次電子を出射
させ、加速する工程と、加速された二次電子線を検出す
る工程と、検出された二次電子線を画像化する工程と、
該画像化する工程での二次電子像により前記薄膜の欠陥
を判別する工程を有する欠陥検査方法については記載さ
れていない。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】第1図(ロ)に示した
ような検査装置にあっては、金属探針4の機械的接触に
よる限界から、金属または半導体3の二次的大きさはお
よそ100μm四方以上に制限される。すなわち、金属
または半導体3の大きさが金属探針4の先端直径の20
μm以下では、測定はまったく不可能である。 【0005】図1(ハ)は、金属または半導体からなる
基板1に絶縁膜2のみが形成された試料の絶縁膜2の欠
陥検査装置を示す断面図で、この検査装置においては、
(Ga、In)合金などの融点が低い金属8を絶縁膜2
上に押え付け、直流電源7により電圧を印加し、電圧計
5、電流計6によって絶縁膜2の絶縁性を測定する。し
かし、この検査装置は、絶縁膜2の平均的な絶縁性を検
査するものであり、絶縁膜2の欠陥の大きさ、数等を知
ることはできない。 【0006】なお、半導体集積回路等の内部に形成され
る個々の素子、配線パターン形状は、現在すでにミクロ
ンオーダーに達しており、これらの微細化はさらに進行
しつつある。 【0007】しかしながら、前述のように、従来の絶縁
膜の欠陥検査装置においては、欠陥の大きさ、数等の微
細な欠陥は摘出することはできない。したがって、この
ことは素子完成後の歩留りを悪くする一因になってい
る。 【0008】本発明は、上記のような従来技術の実情に
鑑みてなされたもので、その目的は、絶縁膜、半導体
膜、金属膜等の種々の薄膜の欠陥の大きさ、数を検査す
ることができる欠陥検査方法を提供することにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】金属探針を用いて絶縁性
を検査するのは、前述のように限界にあり、他の方法に
よらなければならない。 【0010】ところで、細く収束した電子ビームを検査
すべき試料上で走査し、この照射される電子ビームによ
り該試料から発生する二次電子によって、ブラウン管画
面上に像を表示する走査形電子顕微鏡(以下SEMと称
す;Scanning Electron Microscope)がある。このSE
Mは、試料の微細な表面形状の観察をするもので、通常
のSEMで上記目的を達成することは不可能である。一
般に、SEMの試料への入射電子エネルギーとしては1
0〜30keV程度が用いられ、特に低いものでも3k
eV程度である。このように高いエネルギーの電子を絶
縁膜に照射すると、後で詳しく述べるように該絶縁膜上
にチャージ・アップが起きて電子ビームが振られてしま
い、正確な像を得ることができない。また、単純にSE
Mの電子ビームエネルギーをもつと低下させた場合は、
上記チャージ・アップ現象を低減することはできるにし
ても本質的には該現象が生ずること、および、一般に加
速電圧を下げると電子光学的理由により電子線源の輝度
が低下するため、二次電子像のS−N比が悪くなり、表
示画面を鮮明に観察することが困難となること、などの
理由によって、従来絶縁膜の欠陥に対応した情報を得る
ことはできていない。 【0011】一方、SEMによって半導体試料を観察す
ると、高エネルギー電子の照射により半導体の損傷が起
きることが知られており、試料を破壊しないで観察する
ために、電子ビームの低エネルギー化が望まれている。 【0012】前述の目的を達成するために、本発明によ
る欠陥検査方法は、電界放射陰極から放射する電子ビー
ムを1keV以上のエネルギーに加速する工程と、加速
された前記電界放射陰極からの電子ビームを収束する工
程と、収束された電子ビームを、表面に薄膜を形成した
試料に負の電圧を印加して1keVより小さいエネルギ
ーに減速する工程と、減速された電子ビームを前記試料
上の薄膜に照射する工程と、照射された電子ビームによ
り前記薄膜から二次電子を出射させ、加速する工程と、
加速された二次電子線を検出する工程と、検出された二
次電子線を画像化する工程と、前記画像化する工程での
二次電子像により前記薄膜の欠陥を判別する工程を有す
ることを特徴とする。 【0013】 【0014】 【0015】 【0016】 【作用】本発明は、低エネルギーの電子ビームを用い
て、微細な絶縁膜、半導体膜、金属膜等の種々の薄膜の
欠陥の大きさ、数等に対応する情報を得るもので、以
下、その原理について説明する。 【0017】まず、例えば、絶縁膜の厚さおよび入射電
子エネルギーを具体的に示すため、金属または半導体の
基板1(図1)としてSi単結晶板、絶縁膜2としてこ
のSi単結晶板を熱酸化して得られるSiO2膜を考え
る。 【0018】図2は、この絶縁膜としてのSiO2膜へ
入射する電子ビームエネルギー(eV)と、電子の最大
侵入深さRmax(Å)との関係を示すグラフである
(引用文献:H.J.Fitting,Phys.Status Solidi 226,p.5
25(1974)。この電子の最大侵入深さとは、絶縁膜への
入射電子すなわち一次電子が多重散乱をしてエネルギー
損失し、エネルギーまたは速度的に拡散領域に達するま
での電子の侵入領域(深さ)すなわち等価的な透過領域
のことである。この等価的というのは、ある一つの入射
電子が絶縁膜をそのまま通り抜ける意味での透過のみを
指すのではなく、複数電子との衝突により入射電子その
ものではなく他の電子が透過することを含める。図2の
グラフにおいて、例えば、電子が100ÅのSiO2膜
を透過してSi基板1に達するには300eV以上のエ
ネルギーで電子ビームを照射しなければならないことが
わかる。 【0019】一方、試料表面で入射電子ビームすなわち
一次電子により励起される二次電子の放射効率も一次電
子エネルギーに依存している。なお、二次電子放射効率
δ(E)は、一次電子数NPに対する二次電子数NSの比
で示される(δ(E)=NS/NP)。図3は一次電子ビ
ームエネルギーE(eV)と二次電子放射効率δ(E)
との関係を示すグラフで、AはSiO2、BはPoly
−Siに対する値を示す(引用文献:R.Kouath,Handbuc
h der Physik XXIp.232(1956)。 【0020】図4(イ)〜(ホ)は、Si基板1上にS
iO2絶縁膜2が形成された試料について、一次電子eP
に対する二次電子eSおよび該試料内部への散乱電子ed
の振舞いを模型的に示す図である。 【0021】図4(イ)に示すように、例えば100Å
の厚さのSiO2絶縁膜2を考えるとき、一次電子ePが
300eV以上で加速された電子であれば、基板1へ到
達する散乱電子edが存在するため、いわゆる“電子ビ
ーム誘起電導性(Electronbeam induced conductivit
y)”の現象に基づき、SiO2絶縁膜2表面の電位は基
板1の電位にほとんど等しくなり、絶縁膜2の表面にチ
ャージ・アップは起きない。 【0022】図4(ロ)は、一次電子ePが300eV
以下でかつ二次電子放射効率δ(E)が1以上となる3
0eV以上で加速された電子の場合を示す。NP(一次
電子ePの個数)よりもNS(二次電子eSの個数)の方
が多いため、図4(イ)の場合のように散乱電子edの
リークがないので、絶縁膜2の表面は正の電荷が増大し
チャージ・アップの状態となる。なお、このチャージ・
アップは時間の経過とともに増大する。 【0023】図4(ロ)におけるチャージ・アップを防
止するには、図4(ハ)に示すように、試料上の空間の
該試料の電子ビーム照射面に対向して、金属メッシュ等
からなる補助電極9を設け、この補助電極9と基板1と
の間に直流電源10を接続し、補助電極9に電位を与え
る。発生した二次電子のうち比較的エネルギーの高いも
のは、補助電極9に入射するか、補助電極9を通過して
試料表面の情報を持って二次電子検出器(図示せず)に
到達する。また、エネルギーの非常に低い電子は試料表
面へ逆戻りする。このような構成では、絶縁膜2の表面
と基板1との間には等価回路的にわずかなリーク電流が
あることになり、絶縁膜2の表面の電位は、平衡状態と
して基板1よりも僅かに正の側の電位を持つ。なお、図
示のように、直流電源10は基板1の側を負、補助電極
9の側を正としてあるが、直流電源10の電位の比較的
小さい場合は、正負が逆でも良く、また直流電源10は
抵抗と置き換えても原理的には等しい。しかし、実用上
は図示のような接続が、二次電子の補集量を高める上で
都合良い。 【0024】図4(ニ)に示すように、図4(ロ)また
は(ハ)と同じ条件で、絶縁膜2に欠陥がある場合、具
体的には絶縁膜2にピン・ホールがあるか、もしくは完
全な孔となっていなくても、絶縁膜2が一部薄い場合
は、その欠陥部分では等価的に図4(イ)と同様にな
る。すなわち、欠陥部分の表面電位は基板1と同電位に
なる。 【0025】上記図4(ロ)〜(ニ)は、二次電子放射
効率δ(E)が1以上の場合であったが、δ(E)<1
の場合について図4(ホ)に示す。図3においては、一
次電子ビームエネルギーが2300eV以上かあるいは
30eV以下で加速された場合である。まず2300e
V以上の場合、散乱電子edが基板1に達するときはδ
(E)が異なることによる発生二次電子数の割合が少な
いだけで図4(イ)と同様である。しかし、絶縁膜2が
厚くて、散乱電子edが基板1に到達することができな
い場合、入射する一次電子数NPが、放出される二次電
子数NSよりも大なので、図4(ロ)とは逆に、絶縁膜
2の表面は負の電荷が増してチャージ・アップを起こ
す。しかし、この場合には、図4(ハ)のように補助電
極9を付加しても、このチャージ・アップは負電位なの
で防止することはできず、したがって絶縁膜2の表面電
位を一定値に保つことは不可能である。また、後者の3
0eV以下でも、絶縁膜2の厚さが異なるだけで、現象
は上記と同様である。その厚さとは、図2の外挿によれ
ば10Å以下という極めて薄いものであり、通常絶縁膜
としては用いることのない領域である。 【0026】以上を整理して記すと次のようになる。 【0027】(1)入射する一次電子ePのエネルギー
が高く、散乱電子edが絶縁膜2を等価的に透過して基
板1に達する場合、絶縁膜2の表面電位は基板1の電位
にほぼ等しい(図4(イ))。 【0028】(2)一次電子ePのエネルギーが低く、
散乱電子edが基板1を等価的に透過しない程度で、か
つ絶縁膜2からの二次電子発生効率δ(E)が1より大
である場合、絶縁膜2の表面電位は補助電極9を用いる
ことによって、基板1の電位より正である平衡状態に保
たれた電位を示す(図4(ロ)、(ハ))。 【0029】(3)上記(2)の場合において絶縁膜2
にピンホール等の欠陥があれば、その欠陥箇所の表面電
位は、基板1の電位か、該電位にほぼ等しい電位を示す
(図4(ニ))。 【0030】(4)一次電子ePが絶縁膜2を等価的に
透過せず、かつ絶縁膜2からの二次電子発生効率δ
(E)が1より小である場合、絶縁膜2の表面電位は負
の側に変化し平衡状態に達することができない(図4
(ホ))。 【0031】このような試料表面に、一次電子ePが絶
縁膜2を等価的に透過しないエネルギーの一次電子ビー
ムを走査し、それにより発生する二次電子信号を検出す
ると、表面電位の差に基づく二次電子収量の差が敏感に
反映されるため、上記(2)および(3)の原理を利用
することにより、絶縁膜2の欠陥箇所と正常な部分を表
面電位の差として検出して区別することができる。 【0032】図5は、絶縁膜2の上に孤立して金属また
は半導体3、例えばPoly−Siが形成されている試
料を検査する場合の本発明の原理を示す図で、9は補助
電極、10は直流電源である。このような試料におい
て、絶縁膜2上の金属または半導体3の電位は、近傍の
絶縁膜2の表面電位と等しくなるため、金属または半導
体3の表面電位を表わす二次電子を検出することによっ
て、その絶縁性を知ることができる。ただし、二次電子
の収量そのものは、金属または半導体3に対するものと
なる(図3参照)。 【0033】なお、上記の説明では、検査すべき薄膜と
して絶縁膜を例に挙げて説明したが、抵抗が約1MΩ以
下の導体を除く、基体上に設けた絶縁膜、金属膜、半導
体膜等、種々の薄膜を検査することができる。また、表
面に存在する薄膜のみならず、中間に存在する薄膜をも
検査することができる。また、基体も、該基体表面に設
ける薄膜との組み合わせによるが、半導体、金属、絶縁
物等何でもよい。例えば、絶縁物基板の場合は、表面薄
膜は半導体、金属となる。 【0034】 【実施例】以下、本発明の実施例を図6〜9に基づいて
説明する。 【0035】図6は、本発明の一実施例の電子ビーム検
査装置の概略ブロック図である。この図において、11
は電子ビーム源となる電界放射陰極で、尖針11aとこ
れに接合されたWフィラメント11bからなる。18は
−1kV程度の直流高電圧の電源で、電界放射陰極11
に電界放射のための電位を与える。19はフィラメント
11bを通電加熱し1100℃近傍に保つための電源で
ある。12はアノード、12aはアノード12の絞り孔
で、電界放射陰極11からは電子が放射角1/4rad
程度で絞り孔12aに放射される。13はアノード12
の絞り孔12aを通過した電子ビーム束を収束するため
の収束手段すなわち磁気収束レンズ、21は磁気収束レ
ンズの電源である。14は非点収差補正コイル、20は
非点収差補正コイル14の電源、15は電子ビームを走
査するための偏向手段すなわち偏向コイル、23は偏向
コイル15の電源、16は電子光学系鏡体、17はイオ
ンポンプを含む排気手段、32は磁気収束レンズ13に
より収束された電子ビームが照射される絶縁膜2を持つ
試料(ここでは図5に示した試料)、43は試料台、9
は試料32の上方周囲に配置された金属メッシュからな
る補助電極、26、27は電源で、試料32と補助電極
9との間に電圧を与えることにより、電界放射陰極11
から照射される電子ビームの速度を所定の値まで減速す
る減速手段となる。なお、電源26、27は、それぞれ
スイッチAおよびBによって切換え可能になっている。 【0036】22は電子ビームの照射により試料32か
ら発生する二次電子を捕集する二次電子検出器、28は
増幅器、29は絶縁膜2の欠陥に対応する情報信号を表
示するブラウン管を含む表示器である。 【0037】24は発振器、25は倍率補正器、30は
比較器、31はパターン発生器であり、これらについて
は後で詳述する。なお、二次電子検出器22、電源2
3、発振器24、倍率補正器25、増幅器28、表示器
29、比較器30、パターン発生器31により表示手段
が構成されている。 【0038】以上、本発明の実施例の各構成部分につい
て一とおり説明したが、次に上記電界放射陰極11につ
いてさらに説明を加える。つまり、本発明を実施するに
当って一つの重要な点は、前述のように、絶縁膜2を透
過しない程度のエネルギーの電子ビームを用いることで
ある。絶縁膜2が薄い程、エネルギーの低い電子ビーム
を用いなければならない。ところが、前述のごとく電子
光学の原則によって、一般にエネルギーが低ければ電子
ビームの輝度は低くなる。低速電子ビームにおいて、で
きる限り小さい電子ビームのスポット径を得るには、電
子ビーム源となる陰極に高輝度のものを用いる必要があ
る。 【0039】本実施例の電界放射陰極11は、軸方位<
100>の単結晶タングステンW線から電界研摩して尖
針11aを形成したもので、酸素を介してチタンTiの
単原子層の吸着状態を長時間加熱状態で維持できる熱電
界放射陰極である。この陰極は尖針表面において仕事関
数がWより低いため、同じ曲率半径のW尖針と比較し
て、低い電圧で同様の電子ビーム電流が得られる。な
お、通常のW尖針では、尖針の表面清浄化のためにフラ
ッシングという瞬間高温加熱を行なうが、この操作のた
めに尖針の先端曲率半径を当初非常に小さくしても、加
熱による影響で先端が鈍化してしまう。これに対して、
本実施例のTi吸着型の電界放射陰極11は、高温のフ
ラッシング操作が不要であり、前述の尖針表面の仕事関
数が小さいことと合わせて、1kV程度の低い電圧で電
界放射が可能であり、また低い加速電圧にもかかわらず
電界放射であるために高輝度である。なお、このような
理由により、電源18は−1kV程度の直流高電圧電源
を用いる。 【0040】次に、本実施例において試料32に入射す
る電子ビームのエネルギー(速度)が必要な値すなわ
ち、電子が試料32の絶縁膜2を等価的に透過しない値
に減速する原理について説明する。すなわち、電源18
の電圧が前述のように−1kVであり、かつ試料32の
電位が鏡体16と同じ接地電位である場合、電界放射陰
極11からは1keVのエネルギーの電子ビームが試料
32に入射する。ところが、試料32に図示のように設
けた電子ビームの減速手段である電源26によって減速
電位、例えば−900Vを与えると、試料32に入射す
る電子のエネルギーは100eVとなる。すなわち、電
源26は減速電圧として例えば前述の−900Vに設定
してあり、スイッチAを操作することにより電子が試料
32の絶縁膜2を等価的に透過しない値まで電子エネル
ギーの速度を減速する。また、電源27は電子が絶縁膜
2を透過する電圧例えば−200Vに設定してあり、し
たがって試料32に入射する電子ビームのエネルギーは
800eVとなる。 【0041】上記のように構成した本実施例の電子ビー
ム検査装置において、その動作を説明する。減速手段で
ある電源26により必要な速度まで減速された電子ビー
ムが試料32上に照射されると、二次電子が発生する
が、そのうち補助電極9を通過したものの一部または大
部分は二次電子検出器22に捕集される。それにより二
次電子検出器22から出力する検出電流は、増幅器28
によって増幅され、表示器29に入力される。また、発
振器24によって作られる偏向信号は、電源23により
増幅され、電子ビームを走査する偏向コイル15に与え
られる。なお、発振器24の偏向信号は、表示器29に
も同期して与えられ、後に詳しく述べる二次元輝度変調
表示、あるいは線状表示等の絶縁膜2の欠陥に対応する
情報信号が表示器29に表示される。 【0042】次に、本実施例の表示手段による一つの表
示例(上記二次元輝度変調表示)およびその表示による
測定結果を図7(イ)に基づいて説明する。図7(イ)
は、図6で示した本発明の実施例の電子ビーム検査装置
の表示器29の画面に表示された二次電子像を示す図で
ある。試料32の断面構造は図5に示したものと同様で
あり、基板1はSi単結晶板、絶縁膜2は膜厚200Å
のSiO2、金属または半導体3は膜厚3500ÅのP
oly−Siである。さらに詳しくいえば、この試料は
Poly−Siが幅1μmの線状に3μm間隔で、いわ
ゆるライン・アンド・スペースで構成された試料であ
る。図2にもとづいて200ÅのSiO2膜を透過しな
い電子ビームのエネルギーは500eV以下であるの
で、100eVの電子ビームを用いる。図7(イ)は、
試料32aへの入射エネルギーが100eV(スイッチ
A)の場合に表示器29の画面に表示された二次電子像
で、前に図3をもとに説明した二次電子発生効率の差か
ら、Poly−Siの部分が黒く(二次電子信号が弱
い)、バックグラウンドである絶縁膜SiO2の部分が
白く(二次電子信号が強い)見える。なお、この図7
(イ)では、矢印で示した他と較べて白っぽいラインの
箇所があり、その部分の絶縁膜に欠陥があることを明白
にしている。なお、図7(ロ)については、後で述べ
る。 【0043】なお、絶縁膜2の欠陥箇所の解析は、図7
(イ)の表示例で示した試料のようにパターンの単純な
もの、あるいは予めパターンが明確にわかっているもの
については、表示器29の画面を目視することによって
判断できるが、複雑なパターンの場合には、図6に示し
たように予め入力されたパターンを発生するパターン発
生器31および比較器30を用いて、表示器29に現わ
れる情報と比較することにより、欠陥箇所を知ることが
できる。 【0044】また、パターン未知の試料における絶縁膜
の欠陥箇所の解析方法について図7(ロ)をもとに説明
する。すなわち、図6においてスイッチBを操作するこ
とにより、例えば−200Vに設定された電源27によ
り試料32に減速電圧を与える。すると、この試料32
に入射する電子ビームのエネルギーは800eVとな
り、図2に基づいて500eV以上であるので電子は試
料32の絶縁膜2を透過する。ただし、図3に基づいて
2300V以下であるのでチャージ・アップは起こさな
い。図7(ロ)は、電子ビームの減速電圧が電源27に
より上記のように設定された場合に、表示器29の画面
に表示された二次電子像を示す図であり、前述の図7
(イ)と同一試料の同一部分の二次電子像を示す。すな
わち、図7(ロ)において、欠陥箇所は見えず、試料に
もともと形成されているパターンの外形の情報のみを示
している。このように、欠陥箇所を見るには、電子が絶
縁膜を等価的に透過しないように設定された電源26を
用い、試料のパターンを見るには、電子が絶縁膜を透過
するように設定された電源27を用いる。したがって、
パターン未知の試料に対しては、スイッチAとBを切換
えることによって表示器29に現われる2つの二次電子
像を比較することによって、欠陥箇所の判定が可能であ
る。なお、この際、100eVと800eVの試料32
の入射エネルギーの差によって表示器29の画面に現わ
れる像の倍率が異なってくる。したがって、同一倍率で
比較ができるように倍率補正器25を用い、それぞれス
イッチCとDを電源26および27の切り換えに合わせ
て切り換える。このようにすることにより、図7
(イ)、(ロ)の像を表示器29の画面において、等し
い倍率で比較することができる。 【0045】さらに、上記のパターン発生器31の代り
に、電子ビームエネルギーの高い場合と低い場合のいず
れかのパターン情報を記憶する記憶装置31を設置し、
記憶装置31および比較器30を用いて表示器29に欠
陥箇所の表示を行なうことができる。 【0046】図8は、本発明の参考例を示す電子ビーム
検査装置の概略ブロック図である。図において、33は
熱陰極、34はウェーネルト電極、35は電源、26は
電子ビームの減速手段である電源、その他図6で示した
実施例と同符号のものは同一部材を示す。熱陰極33
は、第1の実施例の電界放射陰極11と比較して輝度が
低いが、低加速電圧を印加して用いるとさらに輝度が低
下する。ここで、輝度の値を重視するのは、収束された
電子ビームのスポット径をできるだけ小さくし、しかも
できるだけ大きい電流を得るためである。したがって、
このことを考慮すると、目的によっては熱陰極も低加速
電圧で使用できるといえる。すなわち、スポット径がそ
れ程小さくなくても欠陥検査の機能を果す場合は充分に
ある。本参考例では熱陰極の中で最も高い輝度を持つ直
熱型の六硼化ランタン(LaB6)陰極を使用してい
る。 【0047】このような構成の参考例の電子ビーム検出
装置において、熱陰極33を電源19によって加熱し、
1600℃程度に保つ。そして、ウェーネルト電極34
に電源35により熱陰極33の電位に対して負電位を印
加し、かつ直流高電圧の電源18によって熱陰極33に
電圧を印加すると、ウェーネルト電極34とアノード1
2間に図示のようなクロスオーバーEを作って電子ビー
ムが放射される。なお、電源18に−1kV程度の電源
を用いると試料に印加される電位は、図6で示した実施
例と同様になる。また、この参考例も図示は省略したが
上記実施例と同様の表示手段等が接続されるものであ
り、その機能も同様であるので説明は省略する。 【0048】 【0049】なお、本発明の原理の説明および実施例に
おいて、基板1としてはSi単結晶板、絶縁膜2として
はSiO2、また絶縁膜2上に孤立して形成される金属
または半導体3としてはPoly−Siを用いて説明し
たが、他の物質の場合でも本発明の効果は変りない。 【0050】 【0051】 【0052】 【発明の効果】本発明によれば、絶縁膜、半導体膜、金
属膜等の種々の試料について、従来検査することができ
なかった薄膜の欠陥の大きさ、数等を検知することがで
きる。また、従来は機械的接触により検査していたもの
を本発明は検査すべき薄膜を電子が等価的に透過しない
電子ビームを用いて非接触で検査を行なうので、脆弱な
半導体試料に対しても無損傷で検査することができる。
したがって、製造プロセスの途中で検査すべき素子の検
査を行なうことができ、検査終了後後続の製造プロセス
を継続することが可能である。さらに、本発明は電子ビ
ームの微小なスポット径に対応する0.1μm程度の微
細な欠陥箇所をも検知することができる。このように、
本発明の効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(イ)は検査すべき試料の断面図、(ロ)、
(ハ)は従来の検査装置の概略図である。 【図2】SiO2絶縁膜への入射電子ビームエネルギー
と電子の最大侵入深さとの関係を示すグラフである。 【図3】電子ビームエネルギーと二次電子放射効率との
関係を示すグラフである。 【図4】(イ)〜(ホ)は本発明の原理を説明する断面
模型図である。 【図5】本発明の原理を説明する断面模型図である。 【図6】本発明の一実施例の電子ビーム検査装置の概略
ブロック図である。 【図7】(イ)、(ロ)は本発明の電子ビーム検査装置
のブラウン管表示器の画面に写し出された試料の二次電
子像の形状を示す図である。 【図8】本発明の参考例の電子ビーム検査装置の概略ブ
ロック図である。 【符号の説明】 2…絶縁膜、9…補助電極、11、33…陰極(電子ビ
ーム源)、13…磁気収束レンズ(収束手段)、15…
偏向コイル(偏向手段)、26、27…電源(減速手
段)、29…表示器(表示手段)。
(ハ)は従来の検査装置の概略図である。 【図2】SiO2絶縁膜への入射電子ビームエネルギー
と電子の最大侵入深さとの関係を示すグラフである。 【図3】電子ビームエネルギーと二次電子放射効率との
関係を示すグラフである。 【図4】(イ)〜(ホ)は本発明の原理を説明する断面
模型図である。 【図5】本発明の原理を説明する断面模型図である。 【図6】本発明の一実施例の電子ビーム検査装置の概略
ブロック図である。 【図7】(イ)、(ロ)は本発明の電子ビーム検査装置
のブラウン管表示器の画面に写し出された試料の二次電
子像の形状を示す図である。 【図8】本発明の参考例の電子ビーム検査装置の概略ブ
ロック図である。 【符号の説明】 2…絶縁膜、9…補助電極、11、33…陰極(電子ビ
ーム源)、13…磁気収束レンズ(収束手段)、15…
偏向コイル(偏向手段)、26、27…電源(減速手
段)、29…表示器(表示手段)。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(72)発明者 棟方 忠輔
東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地
株式会社日立製作所 中央研究所内
(72)発明者 本多 幸雄
東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地
株式会社日立製作所 中央研究所内
(56)参考文献 特開 昭57−165943(JP,A)
特開 昭54−161263(JP,A)
特開 昭47−24959(JP,A)
実開 昭58−10354(JP,U)
Hiroyoshi SOEZIM
A,”SOLID SURFACE O
BSERVATION AT VERY
LOW ACCELERATING
VOLTAGE(200V−1KV) B
Y SCANNING ELECTRO
N MICROSCOPE”,Surf
ace Science 85(1979),
pp.610−619
(58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名)
G01N 23/225
H01J 37/22 502
H01J 37/26
H01L 21/66
G01R 31/26
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 1.電界放射陰極から放射する電子ビームを1keV以
上のエネルギーに加速する工程と、 加速された前記電界放射陰極からの電子ビームを収束す
る工程と、 収束された電子ビームを、表面に薄膜を形成した試料に
負の電圧を印加して1keVより小さいエネルギーに減
速する工程と、 減速された電子ビームを前記試料上の薄膜に照射する工
程と、 照射された電子ビームにより前記薄膜から二次電子を出
射させ、加速する工程と、 加速された二次電子信号を検出する工程と、 検出された二次電子信号を画像化する工程と、 前記画像化する工程での二次電子像により前記薄膜の欠
陥を判別する工程を有することを特徴とする欠陥検査方
法。 2.前記電界放射陰極は軸方位〈100〉の単結晶の尖
針を具備することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査
方法。 3.前記電界放射陰極は軸方位〈310〉の単結晶の尖
針を具備することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査
方法。 4.前記電界放射陰極が熱電界放射陰極であることを特
徴とする請求項1記載の欠陥検査方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9007993A JP2951610B2 (ja) | 1997-01-20 | 1997-01-20 | 欠陥検査方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9007993A JP2951610B2 (ja) | 1997-01-20 | 1997-01-20 | 欠陥検査方法 |
Related Parent Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6210995A Division JP2635016B2 (ja) | 1994-09-05 | 1994-09-05 | 薄膜の観察方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09218171A JPH09218171A (ja) | 1997-08-19 |
JP2951610B2 true JP2951610B2 (ja) | 1999-09-20 |
Family
ID=11680939
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9007993A Expired - Lifetime JP2951610B2 (ja) | 1997-01-20 | 1997-01-20 | 欠陥検査方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2951610B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6282030B2 (ja) * | 2012-10-12 | 2018-02-21 | 株式会社日立ハイテクノロジーズ | イオンビーム装置 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US3809899A (en) * | 1972-08-17 | 1974-05-07 | Tektronix Inc | Electron-beam tube including a thermionic-field emission cathode for a scanning electron microscope |
JPS57165943A (en) * | 1981-04-02 | 1982-10-13 | Akashi Seisakusho Co Ltd | Acceleration controlling method for charged particle beams in electron microscope and similar device |
JPS5810354U (ja) * | 1981-07-15 | 1983-01-22 | 株式会社日立製作所 | 電界放射型陰極 |
-
1997
- 1997-01-20 JP JP9007993A patent/JP2951610B2/ja not_active Expired - Lifetime
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
Hiroyoshi SOEZIMA,"SOLID SURFACE OBSERVATION AT VERY LOW ACCELERATING VOLTAGE(200V−1KV) BY SCANNING ELECTRON MICROSCOPE",Surface Science 85(1979),pp.610−619 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09218171A (ja) | 1997-08-19 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |