JPH1027835A - 欠陥検査方法および装置 - Google Patents

欠陥検査方法および装置

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JPH1027835A
JPH1027835A JP9075716A JP7571697A JPH1027835A JP H1027835 A JPH1027835 A JP H1027835A JP 9075716 A JP9075716 A JP 9075716A JP 7571697 A JP7571697 A JP 7571697A JP H1027835 A JPH1027835 A JP H1027835A
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sample
electron beam
insulating film
charged particles
primary electron
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JP9075716A
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English (en)
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Shigeyuki Hosoki
茂行 細木
Mikio Ichihashi
幹雄 市橋
Yasuo Wada
恭雄 和田
Tadasuke Munakata
忠輔 棟方
Yukio Honda
幸雄 本多
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】金属または半導体の基板上に形成された絶縁
膜、あるいは該絶縁膜上に微細な任意の形状に形成され
た金属または半導体の表面で前記絶縁膜の欠陥の大き
さ、数を検査する。 【解決手段】一次電子ビームを得る電界放射陰極11
と、前記一次電子ビームを微小なスポット径に絞り試料
32上を走査して照射する電子光学手段と、前記一次電
子ビームのエネルギーを少なくとも試料32の一部の二
次荷電粒子の発生効率が1より大きくなるような値に設
定する設定手段と、試料32を保持する試料台43と、
試料32から放出される二次荷電粒子を検出する検出器
22と、検出器22と試料台43との間に配置された所
定の荷電粒子を通過させる補助電極9と、検出した二次
荷電粒子の像から欠陥を判定する欠陥判定手段を有す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ビームを用いて、
金属または半導体からなる基板上に絶縁膜を有する試
料、あるいは該絶縁膜上に任意の形状の金属または半導
体が孤立して形成された試料の、前記絶縁膜の欠陥を検
査する電子ビーム検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図1イは検査すべき絶縁膜を有する試料
の断面図で、1は金属または半導体からなる基板、2は
絶縁膜、3は絶縁膜2上に任意の形状に孤立して形成さ
れた金属または半導体である。図示のような試料は、い
わば半導体集積回路等の製造プロセスの途中にある試料
である。
【0003】図1ロは図1イで示したような試料の絶縁
膜2の欠陥を検査する装置の概略斜視図で、4は先端の
直径が20μm程度の金属探針、5は電圧計、6は電流
計、7は直流電源である。このような構成の検査装置に
おいて、直流電源7により絶縁膜2の耐圧電圧未満の電
圧を印加し、金属探針4を金属または半導体3に接触さ
せて、絶縁膜2の絶縁性を電圧計5および電流計6によ
って測定する。しかし、このような検査装置にあって
は、金属探針4の機械的接触による限界から、金属また
は半導体3の二次的大きさはおよそ100μm四方以上
に制限される。すなわち、金属または半導体3の大きさ
が金属探針4の先端直径の20μm以下では、測定はま
ったく不可能である。
【0004】図1ハは、金属または半導体からなる基板
1に絶縁膜2のみが形成された試料の絶縁膜2の欠陥検
査装置を示す断面図で、この検査装置においては、(C
a、In)合金などの融点が低い金属8を絶縁膜2上に
押え付け、直流電源7により電圧を印加し、電圧計5、
電流計6によって絶縁膜2の絶縁性を測定する。しか
し、この検査装置は、絶縁膜2の平均的な絶縁性を検査
するものであり、絶縁膜2の欠陥の大きさ、数等を知る
ことはできない。
【0005】なお、半導体集積回路等の内部に形成され
る個々の素子、配線パターン形状は、現在すでにミクロ
ンオーダーに達しており、これらの微細化はさらに進行
しつつある。
【0006】しかしながら、前述のように、従来の絶縁
膜の欠陥検査装置においては、欠陥の大きさ、数等の微
細な欠陥は摘出することはできない。したがって、この
ことは素子完成後の歩留りを悪くする一因になってい
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的
は、金属または半導体の基板上に形成された絶縁膜、あ
るいは該絶縁膜上に微細な任意の形状に形成された金属
または半導体の表面で前記絶縁膜の欠陥の大きさ、数を
検査することができる検査装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】金属探針を用いて絶縁性
を検査するのは、前述のように限界にあり、他の方法に
よらなければならない。
【0009】ところで、細く収束した電子ビームを検査
すべき試料上で走査し、この照射される電子ビームによ
り該試料から発生する二次電子によって、ブラウン管画
面上に像を表示する走査形電子顕微鏡(以下SEMと称
す;Scanning Electron Microscope)がある。このSE
Mは、試料の微細な表面形状の観察をするもので、通常
のSEMで上記目的を達成することは不可能である。一
般に、SEMの試料への入射電子エネルギーとしては1
0〜30keV程度が用いられ、特に低いものでも3k
eV程度である。このように高いエネルギーの電子を絶
縁膜に照射すると、後で詳しく述べるように該絶縁膜上
にチャージ・アップが起きて電子ビームが振られてしま
い、正確な像を得ることができない。また、単純にSE
Mの電子ビームエネルギーをもつと低下させた場合は、
上記チャージ・アップ現象を低減することはできるにし
ても本質的には該現象が生ずること、および、一般に加
速電圧を下げると電子光学的理由により電子線源の輝度
が低下するため、二次電子像のS−N比が悪くなり、表
示画面を鮮明に観察することが困難となること、などの
理由によって、従来絶縁膜の欠陥に対応した情報を得る
ことはできていない。
【0010】一方、SEMによって半導体試料を観察す
ると、高エネルギー電子の照射により半導体の損傷が起
きることが知られており、試料を破壊しないで観察する
ために、電子ビームの低エネルギー化が望まれている。
【0011】本発明は、低エネルギーの電子ビームを用
いて、微細な絶縁膜の欠陥の大きさ、数等に対応する情
報を得るもので、以下、その原理について説明する。
【0012】まず、絶縁膜の厚さおよび入射電子エネル
ギーを具体的に示すため、金属または半導体の基板1
(図1)としてSi単結晶板、絶縁膜2としてこのSi
単結晶板を熱酸化して得られるSiO2膜を考える。
【0013】図2は、この絶縁膜としてのSiO2膜へ
入射する電子ビームエネルギー(eV)と、電子の最大
侵入深さRmax(Å)との関係を示すグラフである
(引用文献:H.J.Fitting,Phys.Status Solidi 226,p.5
25(1974)。この電子の最大侵入深さとは、絶縁膜への
入射電子すなわち一次電子が多重散乱をしてエネルギー
損失し、エネルギーまたは速度的に拡散領域に達するま
での電子の侵入領域(深さ)すなわち等価的な透過領域
のことである。この等価的というのは、ある一つの入射
電子が絶縁膜をそのまま通り抜ける意味での透過のみを
指すのではなく、複数電子との衝突により入射電子その
ものではなく他の電子が透過することを含める。図2の
グラフにおいて、例えば、電子が100ÅのSiO2
を透過してSi基板1に達するには300eV以上のエ
ネルギーで電子ビームを照射しなければならないことが
わかる。
【0014】一方、試料表面で入射電子ビームすなわち
一次電子により励起される二次電子の放射効率も一次電
子エネルギーに依存している。なお、二次電子放射効率
δ(E)は、一次電子数NPに対する二次電子数NSの比
で示される(δ(E)=NS/NP)。図3は一次電子ビ
ームエネルギーE(eV)と二次電子放射効率δ(E)
との関係を示すグラフで、AはSiO2、BはSoly
−Siに対する値を示す(引用文献:R.Kouath,Handbuc
h der Physik XXIp.232(1956)。
【0015】図4イ〜ホは、Si基板1上にSiO2
縁膜2が形成された試料について、一次電子ePに対す
る二次電子eSおよび該試料内部への散乱電子edの振舞
いを模型的に示す図である。
【0016】図4イに示すように、例えば100Åの厚
さのSiO2絶縁膜2を考えるとき、一次電子ePが30
0eV以上で加速された電子であれば、基板1へ到達す
る散乱電子edが存在するため、いわゆる“電子ビーム
誘起電導性(Electron beaminduced conductivity)”
の現象に基づき、SiO2絶縁膜2表面の電位は基板1
の電位にほとんど等しくなり、絶縁膜2の表面にチャー
ジ・アップは起きない。
【0017】図4ロは、一次電子ePが300eV以下
でかつ二次電子放射効率δ(E)が1以上となる30e
V以上で加速された電子の場合を示す。NP(一次電子
Pの個数)よりもNS(二次電子eSの個数)の方が多
いため、図4イの場合のように散乱電子edのリークが
ないので、絶縁膜2の表面は正の電荷が増大しチャージ
・アップの状態となる。なお、このチャージ・アップは
時間の経過とともに増大する。
【0018】図4ロにおけるチャージ・アップを防止す
るには、図4ハに示すように、試料上の空間の該試料の
電子ビーム照射面に対向して、金属メッシュ等からなる
補助電極9を設け、この補助電極9と基板1との間に直
流電源10を接続し、補助電極9に電位を与える。発生
した二次電子のうち比較的エネルギーの高いものは、補
助電極9に入射するか、補助電極9を通過して試料表面
の情報を持って二次電子検出器(図示せず)に到達す
る。また、エネルギーの非常に低い電子は試料表面へ逆
戻りする。このような構成では、絶縁膜2の表面と基板
1との間には等価回路的にわずかなリーク電流があるこ
とになり、絶縁膜2の表面の電位は、平衡状態として基
板1よりも僅かに正の側の電位を持つ。なお、図示のよ
うに、直流電源10は基板1の側を負、補助電極9の側
を正としてあるが、直流電源10の電位の比較的小さい
場合は、正負が逆でも良く、また直流電源10は抵抗と
置き換えても原理的には等しい。しかし、実用上は図示
のような接続が、二次電子の補集量を高める上で都合良
い。
【0019】図4ニに示すように、図4ロまたはハと同
じ条件で、絶縁膜2に欠陥がある場合、具体的には絶縁
膜2にピン・ホールがあるか、もしくは完全な孔となっ
ていなくても、絶縁膜2が一部薄い場合は、その欠陥部
分では等価的に図4イと同様になる。すなわち、欠陥部
分の表面電位は基板1と同電位になる。
【0020】上記図4ロ〜ニは、二次電子放射効率δ
(E)が1以上の場合であったが、δ(E)<1の場合
について図4ホに示す。図3においては、一次電子ビー
ムエネルギーが2300eV以上かあるいは30eV以
下で加速された場合である。まず2300eV以上の場
合、散乱電子edが基板1に達するときはδ(E)が異
なることによる発生二次電子数の割合が少ないだけで図
4イと同様である。しかし、絶縁膜2が厚くて、散乱電
子edが基板1に到達することができない場合、入射す
る一次電子数NPが、放出される二次電子数NSよりも大
なので、図4ロとは逆に、絶縁膜2の表面は負の電荷が
増してチャージ・アップを起こす。しかし、この場合に
は、図4ハのように補助電極9を付加しても、このチャ
ージ・アップは負電位なので防止することはできず、し
たがって絶縁膜2の表面電位を一定値に保つことは不可
能である。また、後者の30eV以下でも、絶縁膜2の
厚さが異なるだけで、現象は上記と同様である。その厚
さとは、図2の外挿によれば10Å以下という極めて薄
いものであり、通常絶縁膜としては用いることのない領
域である。
【0021】以上を整理して記すと次のようになる。
【0022】(1)入射する一次電子ePのエネルギー
が高く、散乱電子edが絶縁膜2を等価的に透過して基
板1に達する場合、絶縁膜2の表面電位は基板1の電位
にほぼ等しい(図4イ)。
【0023】(2)一次電子ePのエネルギーが低く、
散乱電子edが基板1を等価的に透過しない程度で、お
つ絶縁膜2からの二次電子発生効率δ(E)が1より大
である場合、絶縁膜2の表面電位は補助電極9を用いる
ことによって、基板1の電位より正である平衡状態に保
たれた電位を示す(図4ロ、ハ)。
【0024】(3)上記(2)の場合において絶縁膜2
にピンホール等の欠陥があれば、その欠陥箇所の表面電
位は、基板1の電位か、該電位にほぼ等しい電位を示す
(図4ニ)。
【0025】(4)一次電子ePが絶縁膜2を等価的に
透過せず、かつ絶縁膜2からの二次電子発生効率δ
(E)が1より小である場合、絶縁膜2の表面電位は負
の側に変化し平衡状態に達することができない(図4
ホ)。
【0026】このような試料表面に、一次電子ePが絶
縁膜2を等価的に透過しないエネルギーの一次電子ビー
ムを走査し、それにより発生する二次電子信号を検出す
ると、表面電位の差に基づく二次電子収量の差が敏感に
反映されるため、上記(2)および(3)の原理を利用
することにより、絶縁膜2の欠陥箇所と正常な部分を表
面電位の差として検出して区別することができる。
【0027】図5は、絶縁膜2の上に孤立して金属また
は半導体3、例えばPoly−Siが形成されている試
料を検査する場合の本発明の原理を示す図で、9は補助
電極、10は直流電源である。このような試料におい
て、絶縁膜2上の金属または半導体3の電位は、近傍の
絶縁膜2の表面電位と等しくなるため、金属または半導
体3の表面電位を表わす二次電子を検出することによっ
て、その絶縁性を知ることができる。ただし、二次電子
の収量そのものは、金属または半導体3に対するものと
なる(図3参照)。
【0028】前述の目的を達成するために、上記の原理
に基づいてなされた本発明の電子ビーム検査装置の構成
上の特徴は、電子ビームを収束する収束手段と、検査す
べき絶縁膜を有する試料上に前記電子ビームを走査する
偏向手段と、前記電子ビームの前記試料への入射速度
を、電子が前記絶縁膜を等価的に透過しない値まで減速
する減速手段と、前記試料の前記電子ビームの照射面に
対向して配置した補助電極と、前記絶縁膜の欠陥に対応
する情報信号を表示する表示手段とを具備することであ
る。
【0029】
【実施例】以下、本発明の実施例を図6〜9に基づいて
説明する。
【0030】図6は、本発明の第1の実施例の電子ビー
ム検査装置の概略ブロック図である。この図において、
11は電子ビーム源となる電界放射陰極で、尖針11a
とこれに接合されたWフィラメント11bからなる。1
8は−1kV程度の直流高電圧の電源で、電界放射陰極
11に電界放射のための電位を与える。19はフィラメ
ント11bを通電加熱し1100℃近傍に保つための電
源である。12はアノード、12aはアノード12の絞
り孔で、電界放射陰極11からは電子が放射角1/4r
ad程度で絞り孔12aに放射される。13はアノード
12の絞り孔12aを通過した電子ビーム束を収束する
ための収束手段すなわち磁気収束レンズ、21は磁気収
束レンズの電源である。14は非点収差補正コイル、2
0は非点収差補正コイル14の電源、15は電子ビーム
を走査するための偏向手段すなわち偏向コイル、23は
偏向コイル15の電源、16は電子光学系鏡体、17は
イオンポンプを含む排気手段、32は磁気収束レンズ1
3により収束された電子ビームが照射される絶縁膜2を
持つ試料(ここでは図5に示した試料)、43は試料
台、9は試料32の上方周囲に配置された金属メッシュ
からなる補助電極、26、27は電源で、試料32およ
び補助電極9に電圧を与えることにより、電界放射陰極
11から照射される電子ビームの速度を所定の値まで減
速する減速手段となる。なお、電源26、27は、それ
ぞれスイッチAおよびBによって切換え可能になってい
る。
【0031】22は電子ビームの照射により試料32か
ら発生する二次電子を捕集する二次電子検出器、28は
増幅器、29は絶縁膜2の欠陥に対応する情報信号を表
示するブラウン管を含む表示器である。
【0032】24は発振器、25は倍率補正器、30は
比較器、31はパターン発生器であり、これらについて
は後で詳述する。なお、二次電子検出器22、電源2
3、発振器24、倍率補正器25、増幅器28、表示器
29、比較器30、パターン発生器31により表示手段
が構成されている。
【0033】以上、本発明の第1の実施例の各構成部分
について一とおり説明したが、次に上記電界放射陰極1
1についてさらに説明を加える。つまり、本発明を実施
するに当って一つの重要な点は、前述のように、絶縁膜
2を透過しない程度のエネルギーの電子ビームを用いる
ことである。絶縁膜2が薄い程、エネルギーの低い電子
ビームを用いなければならない。ところが、前述のごと
く電子光学の原則によって、一般にエネルギーが低けれ
ば電子ビームの輝度は低くなる。低速電子ビームにおい
て、できる限り小さい電子ビームのスポット径を得るに
は、電子ビーム源となる陰極に高輝度のものを用いる必
要がある。
【0034】本実施例の電界放射陰極11は、軸方位<
100>の単結晶タングステンW線から電界研摩して尖
針11aを形成したもので、酸素を介してチタンTiの
単原子層の吸着状態を長時間加熱状態で維持できる熱電
界放射陰極である。この陰極は尖針表面において仕事関
数がWより低いため、同じ曲率半径のW尖針と比較し
て、低い電圧で同様の電子ビーム電流が得られる。な
お、通常のW尖針では、尖針の表面清浄化のためにフラ
ッシングという瞬間高温加熱を行なうが、この操作のた
めに尖針の先端曲率半径を当初非常に小さくしても、加
熱による影響で先端が鈍化してしまう。これに対して、
本実施例のTi吸着型の電界放射陰極11は、高温のフ
ラッシング操作が不要であり、前述の尖針表面の仕事関
数が小さいことと合わせて、1kV程度の低い電圧で電
界放射が可能であり、また低い加速電圧にもかかわらず
電界放射であるために高輝度である。なお、このような
理由により、電源18は−1kV程度の直流高電圧電源
を用いる。
【0035】次に、本実施例において試料32に入射す
る電子ビームのエネルギー(速度)が必要な値すなわ
ち、電子が試料32の絶縁膜2を等価的に透過しない値
に減速する原理について説明する。すなわち、電源18
の電圧が前述のように−1kVであり、かつ試料32の
電位が鏡体16と同じ接地電位である場合、電界放射陰
極11からは1keVのエネルギーの電子ビームが試料
32に入射する。ところが、試料32に図示のように設
けた電子ビームの減速手段である電源26によって減速
電位、例えば−900Vを与えると、試料32に入射す
る電子のエネルギーは100eVとなる。すなわち、電
源26は減速電圧として例えば前述の−900Vに設定
してあり、スイッチAを操作することにより電子が試料
32の絶縁膜2を等価的に透過しない値まで電子エネル
ギーの速度を減速する。また、電源27は電子が絶縁膜
2を透過する電圧例えば−200Vに設定してあり、し
たがって試料32に入射する電子ビームのエネルギーは
800eVとなる。
【0036】上記のように構成した本発明の第1の実施
例の電子ビーム検査装置において、その動作を説明す
る。減速手段である電源26により必要な速度まで減速
された電子ビームが試料32上に照射されると、二次電
子が発生するが、そのうち補助電極9を通過したものの
一部または大部分は二次電子検出器22に捕集される。
それにより二次電子検出器22から出力する検出電流
は、増幅器28によって増幅され、表示器29に入力さ
れる。また、発振器24によって作られる偏向信号は、
電源23により増幅され、電子ビームを走査する偏向コ
イル15に与えられる。なお、発振器24の偏向信号
は、表示器29にも同期して与えられ、後に詳しく述べ
る二次元輝度変調表示、あるいは線状表示等の絶縁膜2
の欠陥に対応する情報信号が表示器29に表示される。
【0037】次に、本実施例の表示手段による一つの表
示例(上記二次元輝度変調表示)およびその表示による
測定結果を図7イに基づいて説明する。図7イは、図6
で示した本発明の第1の実施例の電子ビーム検査装置の
表示器29の画面に表示された二次電子像の写真であ
る。試料32の断面構造は図5に示したものと同様であ
り、基板1はSi単結晶板、絶縁膜2は膜厚200Åの
SiO2、金属または半導体3は膜厚3500ÅのPo
ly−Siである。さらに詳しくいえば、この試料はP
oly−Siが幅1μmの線状に3μm間隔で、いわゆ
るライン・アンド・スペースで構成された試料である。
図2にもとづいて200ÅのSiO2膜を透過しない電
子ビームのエネルギーは500eV以下であるので、1
00eVの電子ビームを用いる。図7イは、試料32a
への入射エネルギーが100eV(スイッチA)の場合
に表示器29の画面に表示された二次電子像で、前に図
3をもとに説明した二次電子発生効率の差から、Pol
y−Siの部分が黒く(二次電子信号が弱い)、バック
グラウンドである絶縁膜SiO2の部分が白く(二次電
子信号が強い)見える。なお、この図7イでは、矢印で
示した他と較べて白っぽいラインの箇所があり、その部
分の絶縁膜に欠陥があることを明白にしている。なお、
図7ロについては、後で述べる。
【0038】なお、絶縁膜2の欠陥箇所の解析は、図7
イの写真例で示した試料のようにパターンの単純なも
の、あるいは予めパターンが明確にわかっているものに
ついては、表示器29の画面を目視することによって判
断できるが、複雑なパターンの場合には、図6に示した
ように予め入力されたパターンを発生するパターン発生
器31および比較器30を用いて、表示器29に現われ
る情報と比較することにより、欠陥箇所を知ることがで
きる。
【0039】また、パターン未知の試料における絶縁膜
の欠陥箇所の解析方法について図7ロをもとに説明す
る。すなわち、図6においてスイッチBを操作すること
により、例えば−200Vに設定された電源27により
試料32に減速電圧を与える。すると、この試料32に
入射する電子ビームのエネルギーは800eVとなり、
図2に基づいて500eV以上であるので電子は試料3
2の絶縁膜2を透過する。ただし、図3に基づいて23
00V以下であるのでチャージ・アップは起こさない。
図7ロは、電子ビームの減速電圧が電源27により上記
のように設定された場合に、表示器29の画面に表示さ
れた二次電子像の写真であり、前述の図7イと同一試料
の同一部分の二次電子像を示す。すなわち、図7ロにお
いて、欠陥箇所は見えず、試料にもともと形成されてい
るパターンの外形の情報のみを示している。このよう
に、欠陥箇所を見るには、電子が絶縁膜を等価的に透過
しないように設定された電源26を用い、試料のパター
ンを見るには、電子が絶縁膜を透過するように設定され
た電源27を用いる。したがって、パターン未知の試料
に対しては、スイッチAとBを切換えることによって表
示器29に現われる2つの二次電子像を比較することに
よって、欠陥箇所の判定が可能である。なお、この際、
100eVと800eVの試料32の入射エネルギーの
差によって表示器29の画面に現われる像の倍率が異な
ってくる。したがって、同一倍率で比較ができるように
倍率補正器25を用い、それぞれスイッチCとDを電源
26および27の切り換えに合わせて切り換える。この
ようにすることにより、図7イ、ロの像を表示器29の
画面において、等しい倍率で比較することができる。
【0040】さらに、上記のパターン発生器31の代り
に、電子ビームエネルギーの高い場合と低い場合のいず
れかのパターン情報を記憶する記憶装置31を設置し、
記憶装置31および比較器30を用いて表示器29に欠
陥箇所の表示を行なうことができる。
【0041】図8は、本発明の第2の実施例の電子ビー
ム検査装置の概略ブロック図である。図において、33
は熱陰極、34はウェーネルト電極、35は電源、26
は電子ビームの減速手段である電源、その他図6で示し
た第1の実施例同符号のものは同一部材を示す。熱陰極
33は、第1の実施例の電界放射陰極11と比較して輝
度が低いが、低加速電圧を印加して用いるとさらに輝度
が低下する。ここで、輝度の値を重視するのは、収束さ
れた電子ビームのスポット径をできるだけ小さくし、し
かもできるだけ大きい電流を得るためである。したがっ
て、このことを考慮すると、目的によっては熱陰極も低
加速電圧で使用できるといえる。すなわち、スポット径
がそれ程小さくなくても欠陥検査の機能を果す場合は充
分にある。本実施例では熱陰極の中で最も高い輝度を持
つ直熱型の六硼化ランタン(LaB6)陰極を使用して
いる。
【0042】このような構成の第2の実施例の電子ビー
ム検出装置において、熱陰極33を電源19によって加
熱し、1600℃程度に保つ。そして、ウェーネルト電
極34に電源35により熱陰極33の電位に対して負電
位を印加し、かつ直流高電圧の電源18によって熱陰極
33に電圧を印加すると、ウェーネルト電極34とアノ
ード12間に図示のようなクロスオーバーEを作って電
子ビームが放射される。なお、電源18に−1kV程度
の電源を用いると試料に印加される電位は、図6で示し
た第1の実施例と同様になる。また、この第2の実施例
も図示は省略したが第1の実施例と同様の表示手段等が
接続されるものであり、その機能も同様であるので説明
は省略する。
【0043】図9は本発明の第3の実施例の電子ビーム
検査装置の概略ブロック図である。図において、11は
電界放射陰極、37は第1アノード、38は第2アノー
ド、39は第3アノード、40、41、42、36は電
源で41、42が電子ビームの減速手段の電源、その他
図6、図8と同符号のものは同一部材を示す。なお、本
実施例は、陰極として軸方位<310>のW電界放射陰
極を用いた場合である。この電界放射陰極11は、電界
放射電圧として3〜6kV程度であり、第1アノード3
7との間に電源40によって印加される電圧によって電
子ビームを放射する。なお、本実施例において試料32
に入射するエネルギーは、(電源41の電圧)で定めら
れる。すなわち、本実施例は、第1アノード37、第2
アノード38および第3アノード39の組み合わせで、
電子ビームの減速作用と静電レンズ作用を行なわせるも
のである。なお、試料32は接地電位とし、補助電極9
には電源36によって最適な電位を与える。他の構成お
よび機能は図6の第1の実施医と同様なので説明は省略
する。
【0044】なお、本発明の原理の説明および実施例に
おいて、基板1としてはSi単結晶板、絶縁膜2として
はSiO2、また絶縁膜2上に孤立して形成される金属
または半導体3としてはPoly−Siを用いて説明し
たが、他の物質の場合でも本発明の効果は変りない。
【0045】
【発明の効果】本発明によれば、金属または半導体基板
上の絶縁膜を持つ試料、あるいはその絶縁膜上に孤立し
て形成された任意の形状の金属または半導体を持つ試料
について、従来検査することができなかった絶縁膜の欠
陥の大きさ、数等を検知することができる。また、従来
は機械的接触により検査していたものを本発明は電子ビ
ームを用いて非接触で検査を行なうので、脆弱な半導体
試料に対しても無損傷で検査することができる。したが
って、製造プロセスの途中で検査すべき素子の検査を行
なうことができ、検査終了後後続の製造プロセスを継続
することが可能である。さらに、本発明は電子ビームの
微小なスポット径に対応する0.1μm程度の微細な欠
陥箇所をも検知することができる。このように、本発明
の効果は顕著である。
【図面の簡単な説明】
【図1】イは検査すべき試料の断面図、ロ、ハは従来の
検査装置の概略図。
【図2】SiO2絶縁膜への入射電子ビームエネルギー
と電子の最大侵入深さとの関係を示すグラフ。
【図3】電子ビームエネルギーと二次電子放射効率との
関係を示すグラフ。
【図4】イ〜ホは本発明の原理を説明する断面模型図。
【図5】本発明の原理を説明する断面模型図。
【図6】本発明の第1実施例の電子ビーム検査装置の概
略ブロック図。
【図7】イ、ロは本発明の電子ビーム検査装置のブラウ
ン管表示器の画面に写し出された試料の二次電子像の形
状を写した写真。
【図8】本発明の第2実施例の電子ビーム検査装置の概
略ブロック図。
【図9】本発明の第3実施例の電子ビーム検査装置の概
略ブロック図。
【符号の説明】
2…絶縁膜、9…補助電極、11、33…陰極(電子ビ
ーム源)、13…磁気収束レンズ(収束手段)、15…
偏向コイル(偏向手段)、26、27、41、42…電
源(減速手段)、29…表示器(表示手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 37/04 H01J 37/04 A 37/244 37/244 (72)発明者 棟方 忠輔 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 本多 幸雄 東京都国分寺市東恋ケ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一次電子ビームを微小なスポット径に絞り
    試料上を走査して照射し、前記一次電子ビームのエネル
    ギーを少なくとも前記試料の一部の二次荷電粒子の発生
    効率が1より大きくなるような値に設定し、前記試料か
    ら放出される二次荷電粒子を検出し、検出した二次荷電
    粒子の像から欠陥を判定することを特徴とする欠陥検査
    方法。
  2. 【請求項2】前記試料が、基板上に形成されたSiO2
    膜とその全面または一部上に形成されたポリシリコン膜
    を有することを特徴とする請求項1記載の欠陥検査方
    法。
  3. 【請求項3】一次電子ビームを得る電界放射陰極手段
    と、前記一次電子ビームを微小なスポット径に絞り試料
    上を走査して照射する電子光学手段と、前記一次電子ビ
    ームのエネルギーを少なくとも前記試料の一部の二次荷
    電粒子の発生効率が1より大きくなるような値に設定す
    る設定手段と、前記試料を保持する試料台と、前記試料
    から放出される二次荷電粒子を検出する検出手段と、前
    記検出手段と前記試料台との間に配置された所定の荷電
    粒子を通過させる補助電極と、検出した二次荷電粒子の
    像から欠陥を判定する欠陥判定手段を含むことを特徴と
    する欠陥検査装置。
  4. 【請求項4】前記設定手段が前記一次電子ビームを減速
    する減速手段を含むことを特徴とする請求項3記載の欠
    陥検査装置。
  5. 【請求項5】一次電子ビームを得る電界放射陰極手段
    と、前記一次電子ビームを微小なスポット径に絞り試料
    上を走査して照射する電子光学手段と、前記試料から放
    出される二次荷電粒子を検出する検出手段と、検出した
    二次荷電粒子の像から欠陥を判定する欠陥判定手段を含
    む欠陥検査装置であって、前記電子光学手段が静電レン
    ズ作用を有する減速電極部を備えたことを特徴とする欠
    陥検査装置。
  6. 【請求項6】前記電界放射陰極手段が熱電界放射陰極で
    あることを特徴とする請求項3または5記載の欠陥検査
    装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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