JP2951368B2 - 鉄道用軸ばね - Google Patents

鉄道用軸ばね

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JP2951368B2 JP15663690A JP15663690A JP2951368B2 JP 2951368 B2 JP2951368 B2 JP 2951368B2 JP 15663690 A JP15663690 A JP 15663690A JP 15663690 A JP15663690 A JP 15663690A JP 2951368 B2 JP2951368 B2 JP 2951368B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、鉄道車両の輪軸を軸受けする軸箱を、台
車枠に連結すべく機能する鉄道用軸ばねに関するもので
あり、とくには、車両への乗心地の一層の向上をもたら
すものである。
(従来の技術) 鉄道車両の軸箱を、ゴムその他の弾性体だけを用いて
台車枠に連結する従来既知の鉄道用軸ばねとしては、い
わゆるシェブロン式のものの他、実公昭60−33084号公
報に開示されたものがある。
これらの装置はいずれも、軸箱を弾性体のみにて支持
して、上下方向の他、車両の前後および左右方向の防振
機能を発揮することから、装置の全体を、小型かつ軽量
ならしめることができる他、装置から摩損部分を取り除
き、併せて、装置の部品点数を低減できるという利点を
有する。
(発明が解決しようとする課題) ところが、これらの従来技術にあっては、弾性体の変
形に基づいて防振機能を発揮することはできるも、弾性
体それのみにては、いずれの方向の振動に対しても、十
分な振動減衰機能を発揮し得ないことから、車両への乗
心地および安定性については、未だ満足し得るものでは
なかった。
また、上記公報に記載された装置では、車両の前後方
向のばね定数と、左右方向のばね定数とを異ならせるこ
ととしているも、装置のばね定数は、方向に応じて変化
させるだけではなく、経時的にも変化させることが好ま
しい場合もあり、たとえは、車両の発進および停止時に
は前後方向のばね定数を大きくし、定常走行時にはそれ
を小さくすることが、車両への乗心地および安定性を高
める上で好ましい。
しかしながら、弾性体のみからなるこの従来技術で
は、ばね定数を経時的に可変ならしめることは実質的に
不可能である。
この発明は、従来技術のかかる問題を有利に解決する
ものであり、水平面内、たとえば車両の前後方向での振
動を有効に減衰させて、車両への乗心地を高めた鉄道用
軸ばねおよび、水平面内の特定方向への変形に対してば
ね定数を経時的に変化させて、車両への乗心地の一層の
向上および車両の走行安定性をもたらすことができる鉄
道用軸ばねを提供するものである。
(課題を解決するための手段) この発明の鉄道用軸ばねは、とくに、剛性材料からな
る内外筒間に、ゴム、合成樹脂材料などからなるそれぞ
れの弾性体を直径方向に対抗させて配設し、それらの内
外筒の両弾性体との間に中空スペースを区画するととも
にそれぞれの弾性体の配設個所に、周方向に離隔して位
置する複数の液室を設け、また、それらの液室の相互の
連通をもたらす絞り通路を設けて、その絞り通路および
各液室内に所要の液体を封入したものであり、他の軸ば
ねは、これらのことに加え、内外筒の軸線と直交する方
向のばね定数を、外部操作によって経時的に可変ならし
めるばね定数変更手段を設けたものである。
(作 用) かかる鉄道用軸ばねでは、水平面での振動に対し、液
室内の液体を、絞り通路を経て流動させて、振動エネル
ギーを熱エネルギーに変換することにより、十分な振動
減衰機能を発揮することができ、車両への乗心地を大き
く改善することができる。
また、ばね定数変更手段を設けた他の軸ばねでは、そ
のばね定数変更手段の外部操作によって、軸ばねの、た
とえば車両の前後方向のばね定数を適宜に増減させるこ
とにより、前述したように、車両の発進および停止時の
ばね定数と、定常走行時のばね定数とを所要に応じて変
化させて、乗心地および安定性をより一層向上させるこ
とができる。
なお、軸ばねのばね定数のこのような変更は、はね定
数変更手段を、絞り通路に設けた通路径変更手段とした
場合は、それによって絞り通路の寸法を変更して振動エ
ネルギーの損失量を変化させることにより行うことがで
き、また、ばね定数変更手段を、絞り通路に設けた電極
と、その電極への電圧印加手段とで構成した場合は、電
極への印加電圧を変化させることで、電気粘性流体の粘
度を変化させ、このことによって、電気粘性流体が絞り
通路から受ける流動抵抗を変化されることにより行うこ
とができる。
従って、この発明の鉄道用軸ばねによれば、弾性体の
作用下で、各方向の振動を有効に絶縁できることはもち
ろん、振動減衰作用に基づく、車両への乗心地の改善を
実現することができ、また、ばね定数の経時的な変更に
よる、乗心地のより一層の向上および走行安定性をそれ
ぞれ実現することができる。
(実施例) 以下にこの発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図はこの発明の一実施例を示す側面図であり、図
中1は台車枠、2は、この台車枠1の前後方向の中央部
に取付けた空気ばねをそれぞれ示し、3は輪軸、4は、
この輪軸3をその軸端部で軸受けする軸箱をそれぞれ示
す。
また、5は、軸箱4と、その上方に位置する台車枠1
とのそれぞれに連結したこの発明に係る軸ばねを示し、
この軸ばね5は、軸箱4の、前後方向へ突出するそれぞ
れのアーム6を台車枠1に連結して、台車枠1に対する
輪軸3の相対変位を弾性体に規制するとともに、台車枠
1、車体その他の重量を輪軸3に負担させるべく機能す
る。
これがため、ここでは、第2図に、拡大断面図で示す
ように、アーム6に固定される剛性内筒7と、台車枠1
に固定される剛性外筒8とを、それらの間で、周方向に
間隔をおいて直径方向に対抗させて配設したそれぞれの
弾性体9によって相互連結するとともに、それらの内外
筒間の両弾性体9の配設個所に、周方向に離隔して、図
では直径方向に対抗して位置する、外筒8と弾性体9と
で囲まれた二個の液室10を区画し、これらの両液室を、
外筒8の外側に設けた絞り通路11を介して相互接続し、
そこで、その絞り通路12および両液室10のそれぞれに、
エチレングリコールその他とすることができる液体12を
充填封入することによって軸ばね5を構成する。
ここで、内外筒7、8と周方向に間隔をおく二個の弾
性体9との間に区画されて、直径方向に対抗して位置す
る二箇所の中空スペース13は、直交する二次元方向の水
平外力の一方に対してばね定数を十分小さくするべく機
能し、また、各弾性体内に、内外筒の軸線方向へ延在さ
せて埋設した複数枚の剛性板14は、二次元方向の水平外
力の他方および上下方向の外力に対して、弾性体9とと
もに、ばね定数を十分大ならしめるべく機能し、さら
に、液室内に封入した液体12は、それぞれの弾性体9が
半径方向の圧縮および引張外力を受けるに際し、長さお
よび内径を適宜に選択された絞り通路11に介して、ばね
定数のより一層の増加と、振動エネルギーの効果的な低
減とをもたらすべく機能する。
なお、弾性体9の高さを、第2図(a)に縦断面図で
示すように、外筒から内筒に向けて次第に高くした場合
には、弾性体9の、剛性板14への接着面積を、その半径
方向の内外にわたってほぼ等しくすることができ、これ
により弾性体9の各部分に生じる歪を十分均等ならしめ
て、弾性体9の耐久性を高めることができる。
このようにして構成してなる鉄道用軸ばね5によれ
ば、直交する二次元方向の水平外力の一方を、直径方向
に対抗するそれぞれの中空スペース13を拡縮する方向に
作用させることによって、前述したように、ばね定数を
十分小ならしめることができ、また、その水平外力の他
方を、それぞれの弾性体9が半径方向の圧縮および引張
りを受ける方向に作用させることによって、これもまた
前述したように、ばね定数を十分大ならしめることがで
きる他、液体12の流動に基づく、ばね定数のより一層の
増加およびすぐれた振動減衰機能をもたらすことができ
る。
ところで、このような軸ばねにおいては、液体12また
は、その流動条件を変えることによって、ばね特性およ
び振動減衰特性を所要に応じて適宜に選択することがで
き、このことは、車両の走行中に、その走行条件に応じ
て流動条件を変更するばね定数変更手段を設けた場合
に、極めて容易に、かつ効果的に行うことができる。
すなわち、鉄道用車両にあっては、車両の発進および
停止時には硬く、定常走行時には柔かく、そして、急旋
回時にはとくに柔かいばね特性を有することが好ましい
ことから、第2図に示すところでは、それぞれの液室10
を車両の前後方向に向けて配設した状態で、前後方向の
水平外力に対するばね定数の、所要に応じた変更を可能
ならしめるべく、両液室10の連通をもたらす一の絞り通
路11の途中に、ばね定数変更手段の一例として一の電磁
弁15を配設し、この電磁弁15の開閉作動に基づく絞り通
路11の開放および閉止によってそれぞれ、所要に応じた
低ばね定数および高ばね定数をもたらすことにより、走
行状態に応じたばね特性を実現することができる。
なおここで、一本もしくは二本の絞り通路に、一個も
しくは二個電磁弁を配設することによって、たとえば、
その通路を閉止、中開および全開の三段階に変更可能な
らしめた場合には、車両の発進および停止時には、絞り
通路12を閉止し、また、定常走行時にはそれを中開と
し、さらに、急旋回時には全開とすることにより、一の
軸ばねで、各走行状態に応じた三種類のばね特性をもた
らすことができる。
かくして、ここでは、鉄道車両の前後方向のばね定数
を変更する電磁弁を設け、その電磁弁を車両の走行状態
に応じて作動させることにより、各種の走行状態に適合
する、所期した通りのばね特性をもたらすことができ、
併せて、軸ばねの振動減衰特性も適宜に変更することが
できる。
以上この発明の図示例に基づいて説明したが、液室内
へ封入する液体を電気粘性流体とするとともに、ばね定
数変更手段を、絞り通路に設けた電極およびその電極へ
の電圧印加手段によって構成することもでき、この場合
には、電極、ひいては電気粘性流体への印加電圧を変化
させて、電気粘性流体の粘度を変更することにより、軸
ばねのばね定数および振動減衰特性を無段階に調整する
ことができる。
また、この発明によれば、絞り通路を介して相互に連
通される複数個の液室を、上述したところに加え、上下
方向に間隔をおいて形成することによって、上下方向の
ばね定数も同様にして適宜に変更することができる。
(発明の効果) 以上に述べたところから明らかなように、この軸ばね
によれば、液室内へ封入した液体の、絞り通路を通る流
動に基づき、すぐれた振動減衰機能を発揮して車両への
乗心地およびそれの安定性を大きく向上させることがで
きる。
加えて、この発明の、ばね定数変更手段を設けた軸ば
ねでは、そのばね定数変更手段の作用下で、車両の走行
状態に応じた、ばね特性および振動減衰特性をもたらす
ことによって、上記作用効果のより一層の向上を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施例を示す側面図、 第2図は、要部を拡大して示す断面図である。 1……台車枠、3……輪軸 4……軸箱、5……軸ばね 6……アーム、7……剛性内筒 8……剛性外筒、9……弾性体 10……液室、11……絞り通路 12……液体、15……電磁弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 実開 昭58−92168(JP,U) 実開 昭60−67274(JP,U) 実開 昭63−80205(JP,U) 実開 平2−53542(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B61F 5/30 F16F 13/00 B60G 17/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鉄道車両の輪軸を支持する軸箱と、この軸
    箱の上方に位置する台車枠とを相互連結する鉄道用軸ば
    ねであって、 内筒および外筒と、これらの内外筒間に、直径方向に対
    抗させて配設したそれぞれの弾性体と、内外筒と両弾性
    体との間に区画した中空スペースと、それぞれの弾性体
    の配設個所に形成されて、周方向に離隔して位置する複
    数の液室と、これらの液室の相互の連通をもたらす絞り
    通路と、液室および絞り通路に封入した液体とを具えて
    なる鉄道用軸ばね。
  2. 【請求項2】絞り通路を、外筒の外側に設けてなる請求
    項1に記載の鉄道用軸ばね。
  3. 【請求項3】弾性体内に剛性板を配設してなる請求項1
    もしくは2に記載の鉄道用軸ばね。
  4. 【請求項4】弾性体の高さを外筒から内筒に向けて次第
    に高くしてなる請求項1〜3のいずれかに記載の鉄道用
    軸ばね。
  5. 【請求項5】鉄道車両の輪軸を支持する軸箱と、この軸
    箱の上方に位置する台車枠とを相互連結する鉄道用軸ば
    ねであって、 内筒および外筒と、これらの内外筒間に、直径方向に対
    抗させて配設したそれぞれの弾性体と、内外筒と両弾性
    体との間に区画した中空スペースと、それぞれの弾性体
    の配設個所に形成されて、周方向に離隔して位置する複
    数の液室と、これらの液室の相互の連通をもたらす絞り
    通路と、液室および絞り通路に封入した液体と、内外筒
    の軸線と直交する方向のばね定数を可変ならしめるばね
    定数変更手段とを具えてなる鉄道用軸ばね。
  6. 【請求項6】前記ばね定数変更手段を、鉄道車両の前後
    方向のばね定数を変更する手段としてなる請求項5に記
    載の鉄道用軸ばね。
  7. 【請求項7】前記ばね定数変更手段を、前記絞り通路に
    設けた、通路径変更手段としてなる請求項5もしくは6
    に記載の鉄道用軸ばね。
  8. 【請求項8】前記液体を電気粘性流体とするとともに、
    ばね定数変更手段を、絞り通路内に設けた電極およびそ
    の電極への電圧印加手段にて構成してなる請求項5もし
    くは6記載の鉄道用軸ばね。
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