JP2950070B2 - 車両用差動制限制御装置 - Google Patents
車両用差動制限制御装置Info
- Publication number
- JP2950070B2 JP2950070B2 JP32995392A JP32995392A JP2950070B2 JP 2950070 B2 JP2950070 B2 JP 2950070B2 JP 32995392 A JP32995392 A JP 32995392A JP 32995392 A JP32995392 A JP 32995392A JP 2950070 B2 JP2950070 B2 JP 2950070B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- differential limiting
- differential
- detecting
- limiting force
- road surface
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Landscapes
- Arrangement And Mounting Of Devices That Control Transmission Of Motive Force (AREA)
- Arrangement And Driving Of Transmission Devices (AREA)
Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、左右の車輪の差動回
転を制限する差動制限装置に関し、特にその差動制限力
を制御する差動制限制御装置に関するものである。
転を制限する差動制限装置に関し、特にその差動制限力
を制御する差動制限制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】動力を伝達される左右の後輪などの駆動
輪は、円滑な旋回を可能にするために、差動装置を介し
てプロペラシャフトに連結されている。この差動装置に
おける差動作用を摩擦クラッチなどの制限手段で制限す
れば、その制限の度合いに応じて左右輪へのトルクの配
分状態が変化し、泥寧路等からの脱出が容易になるなど
のほかに、旋回性や加速性等が変化する。すなわち差動
制限の仕方によっては、車両の挙動安定性を向上させ、
また旋回加速性を向上させることができるので、例えば
実開平2−38332号公報に記載された装置では、差
動制限力の基準値を車速および舵角に基づいて決めてお
き、これにスロットル開度に応じた補正値を加え、この
基準値および補正値で決まる差動制限力による左右輪の
差動制限を行うこととしている。この装置によれば、ス
ロットル開度が大きくなることに従って差動制限を強く
することになるから、高速直進性や旋回加速性などを向
上させることができる。
輪は、円滑な旋回を可能にするために、差動装置を介し
てプロペラシャフトに連結されている。この差動装置に
おける差動作用を摩擦クラッチなどの制限手段で制限す
れば、その制限の度合いに応じて左右輪へのトルクの配
分状態が変化し、泥寧路等からの脱出が容易になるなど
のほかに、旋回性や加速性等が変化する。すなわち差動
制限の仕方によっては、車両の挙動安定性を向上させ、
また旋回加速性を向上させることができるので、例えば
実開平2−38332号公報に記載された装置では、差
動制限力の基準値を車速および舵角に基づいて決めてお
き、これにスロットル開度に応じた補正値を加え、この
基準値および補正値で決まる差動制限力による左右輪の
差動制限を行うこととしている。この装置によれば、ス
ロットル開度が大きくなることに従って差動制限を強く
することになるから、高速直進性や旋回加速性などを向
上させることができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述した制御装置で
は、アクセルペダルを踏み込むことにより差動制限力が
大きくなるが、スロットル開度に対する差動制限力の補
正値が一定であるために、旋回性が不充分となり、ある
いは旋回加速性が不充分になるなどの問題があった。す
なわち路面摩擦係数が充分大きいことを前提として基準
値および補正値を定めた場合、路面摩擦係数の大きいい
わゆる高μ路での旋回加速性が良好になるが、路面摩擦
係数の小さいいわゆる低μ路ではアンダーステア傾向が
強くなって旋回性が悪くなり、前記基準値および補正値
を小さく設定すれば、これとは反対の状況が生じる。こ
のように上記従来の装置では、路面状況に応じた制御を
行っていないので、必ずしも充分な走行性能を得ること
ができず、未だ改善すべき課題があった。
は、アクセルペダルを踏み込むことにより差動制限力が
大きくなるが、スロットル開度に対する差動制限力の補
正値が一定であるために、旋回性が不充分となり、ある
いは旋回加速性が不充分になるなどの問題があった。す
なわち路面摩擦係数が充分大きいことを前提として基準
値および補正値を定めた場合、路面摩擦係数の大きいい
わゆる高μ路での旋回加速性が良好になるが、路面摩擦
係数の小さいいわゆる低μ路ではアンダーステア傾向が
強くなって旋回性が悪くなり、前記基準値および補正値
を小さく設定すれば、これとは反対の状況が生じる。こ
のように上記従来の装置では、路面状況に応じた制御を
行っていないので、必ずしも充分な走行性能を得ること
ができず、未だ改善すべき課題があった。
【0004】この発明は上記の事情を背景としてなされ
たもので、高μ路での旋回加速性を低下させずに低μ路
での旋回性を向上させることのできる差動制限制御装置
を提供することを目的とするものである。
たもので、高μ路での旋回加速性を低下させずに低μ路
での旋回性を向上させることのできる差動制限制御装置
を提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の目的
を達成するために、図1に示す構成としたことを特徴と
するものである。すなわちこの発明は、左右輪1,2の
差動回転を制限する差動制限装置3による差動制限力を
制御する車両用差動制限制御装置において、車速を検出
する車速検出手段4と、舵角を検出する舵角検出手段5
と、路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段6
と、機関の出力の大きさを検出する機関出力検出手段7
と、車両の旋回時における差動制限力を、車速および舵
角ならびに機関出力に基づきかつ機関出力が大きいほど
大きい値に決定するとともに機関出力の増大に対する差
動制限力の増大の程度を路面摩擦係数が小さいほど小さ
くする差動制限力決定手段8と、前記差動制限力決定手
段8で決定された差動制限力を達成するよう前記差動制
限装置3に指示信号を出力する出力手段9とを備えてい
ることを特徴とするものである。
を達成するために、図1に示す構成としたことを特徴と
するものである。すなわちこの発明は、左右輪1,2の
差動回転を制限する差動制限装置3による差動制限力を
制御する車両用差動制限制御装置において、車速を検出
する車速検出手段4と、舵角を検出する舵角検出手段5
と、路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出手段6
と、機関の出力の大きさを検出する機関出力検出手段7
と、車両の旋回時における差動制限力を、車速および舵
角ならびに機関出力に基づきかつ機関出力が大きいほど
大きい値に決定するとともに機関出力の増大に対する差
動制限力の増大の程度を路面摩擦係数が小さいほど小さ
くする差動制限力決定手段8と、前記差動制限力決定手
段8で決定された差動制限力を達成するよう前記差動制
限装置3に指示信号を出力する出力手段9とを備えてい
ることを特徴とするものである。
【0006】
【作用】この発明における差動制限制御装置は、差動制
限装置3による左右輪1,2の差動制限力を、車速検出
手段4で検出した車速および舵角検出手段5で検出した
舵角ならびに機関出力検出手段7で検出した機関出力に
基づいて差動制限力決定手段8が決定し、その場合、基
本的には、機関出力が大きいほど差動制限力を大きくす
る。一方、路面の摩擦係数を路面摩擦係数検出手段6が
直接もしくは間接的に検出しており、路面摩擦係数が小
さい場合には、大きい場合に比較して、機関出力に対す
る差動制限力の増大の程度を小さくする。したがって低
μ路では、旋回時にアクセルペダルを踏み込んで加速し
ようとした場合に、左右輪1,2の差動制限力が小さく
抑えられるので、アンダーステア特性が特には強くなら
ず、旋回性を確保でき、また高μ路では、旋回時にアク
セルぺダルを踏み込むことにより左右輪1,2の差動制
限力が大きくなって、旋回外輪が充分な駆動力を発揮す
るので、旋回加速性が確保される。
限装置3による左右輪1,2の差動制限力を、車速検出
手段4で検出した車速および舵角検出手段5で検出した
舵角ならびに機関出力検出手段7で検出した機関出力に
基づいて差動制限力決定手段8が決定し、その場合、基
本的には、機関出力が大きいほど差動制限力を大きくす
る。一方、路面の摩擦係数を路面摩擦係数検出手段6が
直接もしくは間接的に検出しており、路面摩擦係数が小
さい場合には、大きい場合に比較して、機関出力に対す
る差動制限力の増大の程度を小さくする。したがって低
μ路では、旋回時にアクセルペダルを踏み込んで加速し
ようとした場合に、左右輪1,2の差動制限力が小さく
抑えられるので、アンダーステア特性が特には強くなら
ず、旋回性を確保でき、また高μ路では、旋回時にアク
セルぺダルを踏み込むことにより左右輪1,2の差動制
限力が大きくなって、旋回外輪が充分な駆動力を発揮す
るので、旋回加速性が確保される。
【0007】
【実施例】つぎにこの発明を実施例に基づいてより具体
的に説明する。図2はこの発明の一実施例を示すブロッ
ク図であり、ここに示す例は、左右の後輪10,11を
フロント側に搭載したエンジン12によって駆動するF
R(フロントエンジン・リヤドライブ)車にこの発明を
適用した例であり、プロペラシャフト13は差動制限機
構を内蔵した差動装置14を介して、左右の後輪車軸1
5,16に連結されている。
的に説明する。図2はこの発明の一実施例を示すブロッ
ク図であり、ここに示す例は、左右の後輪10,11を
フロント側に搭載したエンジン12によって駆動するF
R(フロントエンジン・リヤドライブ)車にこの発明を
適用した例であり、プロペラシャフト13は差動制限機
構を内蔵した差動装置14を介して、左右の後輪車軸1
5,16に連結されている。
【0008】その差動装置14としては、従来知られて
いる差動装置を使用することができ、その一例を図示す
れば図3のとおりであって、プロペラシャフト13から
動力を伝達するためのリングギヤ17を取付けたデフケ
ース18の内部に、リングギヤ17の軸線に対して直交
する方向に軸線を向けて配置したピニオンギヤ19が保
持されており、さらにこのピニオンギヤ19に噛合する
左右一対のサイドギヤ(図では一方のサイドギヤのみを
示す)20が設けられている。このサイドギヤ20に
は、シャフト21の一端部がスプライン嵌合し、またそ
のシャフト21の他端部にはスリーブ22がスプライン
嵌合しており、さらにそのスリーブ22の外周部には、
複数の摩擦板23がスプライン嵌合している。
いる差動装置を使用することができ、その一例を図示す
れば図3のとおりであって、プロペラシャフト13から
動力を伝達するためのリングギヤ17を取付けたデフケ
ース18の内部に、リングギヤ17の軸線に対して直交
する方向に軸線を向けて配置したピニオンギヤ19が保
持されており、さらにこのピニオンギヤ19に噛合する
左右一対のサイドギヤ(図では一方のサイドギヤのみを
示す)20が設けられている。このサイドギヤ20に
は、シャフト21の一端部がスプライン嵌合し、またそ
のシャフト21の他端部にはスリーブ22がスプライン
嵌合しており、さらにそのスリーブ22の外周部には、
複数の摩擦板23がスプライン嵌合している。
【0009】一方、前記シャフト21の外周に伝達部材
24が相対回転自在に嵌合されており、その伝達部材2
4の一端部は、デフケース18にスプライン嵌合し、ま
た他方の端部は前記摩擦板23より大径の円筒状に形成
されるとともに、摩擦板23に対して交互に配列した他
の摩擦板25が、前記大径の円筒状部分の内周面にスプ
ライン嵌合されている。さらにこれらの摩擦板23,2
5と同一軸線上にピストン26が配置されており、その
ピストン26の背面側の油圧室27に差動制限油圧を供
給することにより、摩擦板23,25が押圧されて摩擦
接触し、その結果、デフケース18とサイドギヤ20と
の間でトルク伝達されて、差動制限が行われるようにな
っている。すなわちここに差動制限クラッチ28が形成
されている。
24が相対回転自在に嵌合されており、その伝達部材2
4の一端部は、デフケース18にスプライン嵌合し、ま
た他方の端部は前記摩擦板23より大径の円筒状に形成
されるとともに、摩擦板23に対して交互に配列した他
の摩擦板25が、前記大径の円筒状部分の内周面にスプ
ライン嵌合されている。さらにこれらの摩擦板23,2
5と同一軸線上にピストン26が配置されており、その
ピストン26の背面側の油圧室27に差動制限油圧を供
給することにより、摩擦板23,25が押圧されて摩擦
接触し、その結果、デフケース18とサイドギヤ20と
の間でトルク伝達されて、差動制限が行われるようにな
っている。すなわちここに差動制限クラッチ28が形成
されている。
【0010】上記の油圧室27に対して差動制限油圧を
給排するための油圧装置29と、その油圧を制御する油
圧制御装置30とが設けられている。図4は油圧装置2
9の主要部分を示しており、リザーバタンク31からオ
イルを汲み上げて加圧するポンプ32の吐出口にはリリ
ーフ弁33が接続されている。またこの吐出口には逆止
弁34を介して電流制御減圧弁35が接続され、さらに
逆止弁34と電流制御減圧弁35との間にアキュームレ
ータ36が接続されている。したがってリリーフ弁33
とアキュームレータ36とによって定まる一定油圧が電
流制御減圧弁35に供給されるようになっている。
給排するための油圧装置29と、その油圧を制御する油
圧制御装置30とが設けられている。図4は油圧装置2
9の主要部分を示しており、リザーバタンク31からオ
イルを汲み上げて加圧するポンプ32の吐出口にはリリ
ーフ弁33が接続されている。またこの吐出口には逆止
弁34を介して電流制御減圧弁35が接続され、さらに
逆止弁34と電流制御減圧弁35との間にアキュームレ
ータ36が接続されている。したがってリリーフ弁33
とアキュームレータ36とによって定まる一定油圧が電
流制御減圧弁35に供給されるようになっている。
【0011】電流制御減圧弁35は、電流値に応じて出
力圧を変えるものであって、電流値に比例して出力圧を
増大させるよう構成されており、その出力ポートが前記
油圧室27に接続されている。したがって差動制限クラ
ッチ28の付加油圧は制御電流Iに比例し、その特性の
一例を図示すれば図5のとおりである。また油圧制御装
置30は、この電流制御減圧弁35の電流を制御するも
のであって、中央演算処理装置(CPU)および記憶装
置(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェース
を主体に構成されている。そして油圧制御装置30に
は、左右の前輪37,38および左右の後輪10,11
のそれぞれに取り付けた回転数センサー39,40,4
1,42と、操舵角センサー43と、スロットル開度セ
ンサー44とその他の図示しない各種のセンサーが接続
されている。油圧制御装置30はこれらのセンサーなど
から入力されるデータに基づいて、設定するべき付加油
圧Pを演算し、その油圧Pとなる電流値をマップとして
記憶してある図5の特性線から求めて、前述した電流制
御減圧弁35に出力するようになっている。
力圧を変えるものであって、電流値に比例して出力圧を
増大させるよう構成されており、その出力ポートが前記
油圧室27に接続されている。したがって差動制限クラ
ッチ28の付加油圧は制御電流Iに比例し、その特性の
一例を図示すれば図5のとおりである。また油圧制御装
置30は、この電流制御減圧弁35の電流を制御するも
のであって、中央演算処理装置(CPU)および記憶装
置(ROM,RAM)ならびに入出力インターフェース
を主体に構成されている。そして油圧制御装置30に
は、左右の前輪37,38および左右の後輪10,11
のそれぞれに取り付けた回転数センサー39,40,4
1,42と、操舵角センサー43と、スロットル開度セ
ンサー44とその他の図示しない各種のセンサーが接続
されている。油圧制御装置30はこれらのセンサーなど
から入力されるデータに基づいて、設定するべき付加油
圧Pを演算し、その油圧Pとなる電流値をマップとして
記憶してある図5の特性線から求めて、前述した電流制
御減圧弁35に出力するようになっている。
【0012】つぎに上述した装置の作用を図6のフロー
チャートに従って説明する。まず制動中か否かの判断を
行い(ステップ100)、その判断結果が“ノー”であ
れば駆動輪である後2輪の回転速度ωRR,ωRLを読み込
み(ステップ101)、その読み込んだ回転速度ωRR,
ωRLの平均値として車速Vを算出する(ステップ10
2)。つぎに操舵角から求めた舵角δおよびスロットル
開度θを順次読み込み(ステップ103,104)、こ
れらの読み込んだデータのうち車速Vおよび舵角に基づ
いてマップから基準付加油圧P1 を算出する(ステップ
105)。このマップは、予め油圧制御装置30に記憶
させてあるものであって、その一例を示せば図7のとお
りである。すなわち基準付加油圧P1 は、一般的な傾向
として、低車速および高車速の領域では中車速の領域に
比較して高い油圧に設定され、また舵角δが所定角度以
上になると舵角δの増大に応じて低圧になるよう設定さ
れている。したがって低速域では、所定の舵角まで比較
的強めの差動制限を行うことのなるので、泥濘路からの
脱出性や左右の駆動輪が接触している路面の摩擦係数が
異なっている場合の発進加速性を確保でき、また舵角が
大きい場合には、差動制限を解除することによりタイト
コーナーブレーキング現象の発生を防止できる。また中
速域では、比較的早めに差動制限を解除することになる
ので、直進から旋回に入る際の回頭性を向上することが
できる。さらに高速域では、広い舵角範囲で差動制限を
強めることになるで、車線変更性能や舵の手応え感ある
いは差動制限力の変化によるステア特性の変化を防止す
ることができる。
チャートに従って説明する。まず制動中か否かの判断を
行い(ステップ100)、その判断結果が“ノー”であ
れば駆動輪である後2輪の回転速度ωRR,ωRLを読み込
み(ステップ101)、その読み込んだ回転速度ωRR,
ωRLの平均値として車速Vを算出する(ステップ10
2)。つぎに操舵角から求めた舵角δおよびスロットル
開度θを順次読み込み(ステップ103,104)、こ
れらの読み込んだデータのうち車速Vおよび舵角に基づ
いてマップから基準付加油圧P1 を算出する(ステップ
105)。このマップは、予め油圧制御装置30に記憶
させてあるものであって、その一例を示せば図7のとお
りである。すなわち基準付加油圧P1 は、一般的な傾向
として、低車速および高車速の領域では中車速の領域に
比較して高い油圧に設定され、また舵角δが所定角度以
上になると舵角δの増大に応じて低圧になるよう設定さ
れている。したがって低速域では、所定の舵角まで比較
的強めの差動制限を行うことのなるので、泥濘路からの
脱出性や左右の駆動輪が接触している路面の摩擦係数が
異なっている場合の発進加速性を確保でき、また舵角が
大きい場合には、差動制限を解除することによりタイト
コーナーブレーキング現象の発生を防止できる。また中
速域では、比較的早めに差動制限を解除することになる
ので、直進から旋回に入る際の回頭性を向上することが
できる。さらに高速域では、広い舵角範囲で差動制限を
強めることになるで、車線変更性能や舵の手応え感ある
いは差動制限力の変化によるステア特性の変化を防止す
ることができる。
【0013】基準付加油圧P1 の算出に続くステップ1
06では、車速Vおよび舵角δに基づいて目標横加速度
Gy0(=|V2 ・δ/L|:Lはホイールベース)を算
出する。これに対して実際に生じている横加速度Gy
は、左右の前輪39,40の回転速度ωFR,ωFLおよび
車速Vに基づいて推定する(ステップ107)。その演
算式は、Gy =|(ωFR−ωFL)・V/T|:Tは車両
のトレッド)である。このようにして求めた目標横加速
度Gy0と推定された実横加速度Gy とを比較する(ステ
ップ108)。
06では、車速Vおよび舵角δに基づいて目標横加速度
Gy0(=|V2 ・δ/L|:Lはホイールベース)を算
出する。これに対して実際に生じている横加速度Gy
は、左右の前輪39,40の回転速度ωFR,ωFLおよび
車速Vに基づいて推定する(ステップ107)。その演
算式は、Gy =|(ωFR−ωFL)・V/T|:Tは車両
のトレッド)である。このようにして求めた目標横加速
度Gy0と推定された実横加速度Gy とを比較する(ステ
ップ108)。
【0014】実横加速度Gy が目標横加速度Gy0以上の
場合、すなわちステップ108の判断結果が“ノー”の
場合には、実横加速度Gy とスロットル開度θとに基づ
いてマップから目標付加油圧Pを求める(ステップ10
9)。この目標付加油圧Pは、前記の基準付加油圧P1
とこれに加える補正油圧P2 とからなり、その補正油圧
P2 は以下のようにして求められる。図8は実横加速度
Gy と補正係数Kθとの関係を示すマップであり、実横
加速度Gy が所定の小さい値の場合には補正係数Kθは
一定値に維持され、実横加速度Gy がそれ以上の値にな
ると、実横加速度Gy の増大に応じて補正係数Kθが増
大し,さらに実横加速度Gy が所定の大きい値以上では
一定値になるよう設定されている。したがって前述した
ステップ107で実横加速度Gy が推定されると、図8
のマップに基づいて補正係数Kθが求められる。また図
9はスロットル開度θに応じて補正油圧P2 を定めたマ
ップであり、その特性線の勾配は、上記の補正係数Kθ
によって定められ、補正係数Kθが大きいほど勾配が大
きくなるように設定されている。したがって補正油圧P
2 は、実横加速度Gy とスロットル開度θとに基づいて
求められ、これらの値が大きいほど補正油圧P2 が高い
油圧に設定される。ここで実横加速度Gy は、路面摩擦
係数にほぼ対応した値になるので、補正油圧P2 はスロ
ットル開度θが大きくても路面摩擦係数が小さければ小
さい値に設定されることになる。目標付加油圧Pは、こ
のようにして求められた補正油圧P2 と前記の基準付加
油圧P1 との和として求められる。これに続くステップ
110では、目標付加油圧Pを設定するための制御電流
Iを前述した図5のマップから求め、ステップ111で
はその制御電流Iを出力する。
場合、すなわちステップ108の判断結果が“ノー”の
場合には、実横加速度Gy とスロットル開度θとに基づ
いてマップから目標付加油圧Pを求める(ステップ10
9)。この目標付加油圧Pは、前記の基準付加油圧P1
とこれに加える補正油圧P2 とからなり、その補正油圧
P2 は以下のようにして求められる。図8は実横加速度
Gy と補正係数Kθとの関係を示すマップであり、実横
加速度Gy が所定の小さい値の場合には補正係数Kθは
一定値に維持され、実横加速度Gy がそれ以上の値にな
ると、実横加速度Gy の増大に応じて補正係数Kθが増
大し,さらに実横加速度Gy が所定の大きい値以上では
一定値になるよう設定されている。したがって前述した
ステップ107で実横加速度Gy が推定されると、図8
のマップに基づいて補正係数Kθが求められる。また図
9はスロットル開度θに応じて補正油圧P2 を定めたマ
ップであり、その特性線の勾配は、上記の補正係数Kθ
によって定められ、補正係数Kθが大きいほど勾配が大
きくなるように設定されている。したがって補正油圧P
2 は、実横加速度Gy とスロットル開度θとに基づいて
求められ、これらの値が大きいほど補正油圧P2 が高い
油圧に設定される。ここで実横加速度Gy は、路面摩擦
係数にほぼ対応した値になるので、補正油圧P2 はスロ
ットル開度θが大きくても路面摩擦係数が小さければ小
さい値に設定されることになる。目標付加油圧Pは、こ
のようにして求められた補正油圧P2 と前記の基準付加
油圧P1 との和として求められる。これに続くステップ
110では、目標付加油圧Pを設定するための制御電流
Iを前述した図5のマップから求め、ステップ111で
はその制御電流Iを出力する。
【0015】すなわち上記の制御装置では、基準付加油
圧P1 に加えられる補正油圧P2 が、スロットル開度θ
に応じて大きくなるものの、路面摩擦係数が小さい場合
には、その補正油圧P2 が低圧になるため、低μ路では
付加油圧Pが相対的に低い圧力に設定され、その結果、
旋回加速時にアンダーステア傾向が強くなることを防止
することができる。また実横加速度Gy が大きくなる高
μ路では、スロットル開度θの増大に応じて補正油圧P
2 が大きくなるとともに、その増加傾向が相対的に大き
くなり、しかも基準付加油圧P1 が図7に示すように設
定されているから、旋回加速性が増し、あるいはパワー
ドリフトが可能になるなど、パワーコントロール性が良
好になる。
圧P1 に加えられる補正油圧P2 が、スロットル開度θ
に応じて大きくなるものの、路面摩擦係数が小さい場合
には、その補正油圧P2 が低圧になるため、低μ路では
付加油圧Pが相対的に低い圧力に設定され、その結果、
旋回加速時にアンダーステア傾向が強くなることを防止
することができる。また実横加速度Gy が大きくなる高
μ路では、スロットル開度θの増大に応じて補正油圧P
2 が大きくなるとともに、その増加傾向が相対的に大き
くなり、しかも基準付加油圧P1 が図7に示すように設
定されているから、旋回加速性が増し、あるいはパワー
ドリフトが可能になるなど、パワーコントロール性が良
好になる。
【0016】なお、前述したステップ100の判断結果
が“イエス”の場合、すなわち制動中の場合には、ステ
ップ112に進んで目標付加油圧Pを“0”に設定し、
ついでステップ110に進む。すなわちこの実施例で
は、非駆動輪である前2輪の車輪速度から旋回の強さを
推定することとしているので、制動による影響が車輪速
度差に出ることを避ける必要があり、そのため制動時に
は差動制限を行わないこととしたのである。
が“イエス”の場合、すなわち制動中の場合には、ステ
ップ112に進んで目標付加油圧Pを“0”に設定し、
ついでステップ110に進む。すなわちこの実施例で
は、非駆動輪である前2輪の車輪速度から旋回の強さを
推定することとしているので、制動による影響が車輪速
度差に出ることを避ける必要があり、そのため制動時に
は差動制限を行わないこととしたのである。
【0017】また実横加速度Gy が目標横加速度Gy0よ
り小さいためにステップ108の判断結果が“イエス”
となった場合には、ステップ113に進んで、基準付加
油圧P1 を目標付加油圧Pとし、あるいは基準付加油圧
P1 から目標横加速度Gy0と実横加速度Gy との差に応
じた圧力をひいた圧力(P1 −Kp ・( Gy0−Gy):K
p は比例定数)を目標付加油圧Pとして採用する。すな
わちアンダーステア傾向となっていれば、これを是正す
るために補正油圧P2 を加えず、もしくは基準付加油圧
P1 を横加速度に応じて低圧に制御する。そしてこの場
合も、ステップ110に進む。
り小さいためにステップ108の判断結果が“イエス”
となった場合には、ステップ113に進んで、基準付加
油圧P1 を目標付加油圧Pとし、あるいは基準付加油圧
P1 から目標横加速度Gy0と実横加速度Gy との差に応
じた圧力をひいた圧力(P1 −Kp ・( Gy0−Gy):K
p は比例定数)を目標付加油圧Pとして採用する。すな
わちアンダーステア傾向となっていれば、これを是正す
るために補正油圧P2 を加えず、もしくは基準付加油圧
P1 を横加速度に応じて低圧に制御する。そしてこの場
合も、ステップ110に進む。
【0018】なお、この発明は上記の実施例に限定され
ないのであって、スロットル開度θに基づいて機関出力
を検出する替わりに、吸気管負圧等の他のパラメータに
基づいて機関出力を検出してもよい。さらに路面の摩擦
係数は、横加速度と前後加速度とのベクトル和等の横加
速度以外のパラメータに基づいて検出することとしても
よい。さらに上記の実施例では、基準付加油圧に加える
補正油圧をスロットル開度に応じて変更するよう構成し
たが、これは必要演算量を少なくして制御装置の小型低
廉化を図るためであり、したがってこの発明では、情況
が許せば目標付加油圧を直接演算して求めることとして
もよい。
ないのであって、スロットル開度θに基づいて機関出力
を検出する替わりに、吸気管負圧等の他のパラメータに
基づいて機関出力を検出してもよい。さらに路面の摩擦
係数は、横加速度と前後加速度とのベクトル和等の横加
速度以外のパラメータに基づいて検出することとしても
よい。さらに上記の実施例では、基準付加油圧に加える
補正油圧をスロットル開度に応じて変更するよう構成し
たが、これは必要演算量を少なくして制御装置の小型低
廉化を図るためであり、したがってこの発明では、情況
が許せば目標付加油圧を直接演算して求めることとして
もよい。
【0019】
【発明の効果】以上の説明から明らかなようにこの発明
の差動制限制御装置は、機関出力に基づく差動制限力を
低μ路では高μ路に対して小さくするので、低μ路走行
時にアンダーステア傾向が強くなることを防止し、旋回
性を良好なものとすることができる。またこの発明で
は、基本的には、機関出力に応じて差動制限力を強くす
るので、高μ路での加速旋回性を良好にものとすること
ができる。総じてこの発明によれば、路面状態に応じて
車両安定性や加速性を向上させることができる。
の差動制限制御装置は、機関出力に基づく差動制限力を
低μ路では高μ路に対して小さくするので、低μ路走行
時にアンダーステア傾向が強くなることを防止し、旋回
性を良好なものとすることができる。またこの発明で
は、基本的には、機関出力に応じて差動制限力を強くす
るので、高μ路での加速旋回性を良好にものとすること
ができる。総じてこの発明によれば、路面状態に応じて
車両安定性や加速性を向上させることができる。
【図1】この発明の基本的な構成を示すブロック図であ
る。
る。
【図2】この発明の一実施例を概略的に示すブロック図
である。
である。
【図3】差動装置の断面図である。
【図4】差動制限クラッチ圧を制御するための油圧回路
図である。
図である。
【図5】差動制限クラッチ油圧と制御電流との関係を示
すマップである。
すマップである。
【図6】差動制限クラッチ油圧を制御するためのルーチ
ンを示すフローチャートである。
ンを示すフローチャートである。
【図7】車速および舵角に基づいて基準付加油圧を求め
るマップである。
るマップである。
【図8】実横加速度に基づいて補正係数を求めるマップ
である。
である。
【図9】補正係数をパラメータとしたスロットル開度と
補正油圧との関係を示すマップである。
補正油圧との関係を示すマップである。
1,2 車輪 3 差動制限装置 4 車速検出手段 5 舵角検出手段 6 路面摩擦係数検出手段 7 機関出力検出手段 8 差動制限力決定手段 9 出力手段
Claims (1)
- 【請求項1】 左右輪の差動回転を制限する差動制限装
置による差動制限力を制御する車両用差動制限制御装置
において、 車速を検出する車速検出手段と、舵角を検出する舵角検
出手段と、路面の摩擦係数を検出する路面摩擦係数検出
手段と、機関の出力の大きさを検出する機関出力検出手
段と、車両の旋回時における差動制限力を、車速および
舵角ならびに機関出力に基づきかつ機関出力が大きいほ
ど大きい値に決定するとともに機関出力の増大に対する
差動制限力の増大の程度を路面摩擦係数が小さいほど小
さくする差動制限力決定手段と、前記差動制限力決定手
段で決定された差動制限力を達成するよう前記差動制限
装置に指示信号を出力する出力手段とを備えていること
を特徴とする車両用差動制限制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32995392A JP2950070B2 (ja) | 1992-11-16 | 1992-11-16 | 車両用差動制限制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32995392A JP2950070B2 (ja) | 1992-11-16 | 1992-11-16 | 車両用差動制限制御装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH06144067A JPH06144067A (ja) | 1994-05-24 |
JP2950070B2 true JP2950070B2 (ja) | 1999-09-20 |
Family
ID=18227115
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32995392A Expired - Lifetime JP2950070B2 (ja) | 1992-11-16 | 1992-11-16 | 車両用差動制限制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2950070B2 (ja) |
-
1992
- 1992-11-16 JP JP32995392A patent/JP2950070B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH06144067A (ja) | 1994-05-24 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4267495B2 (ja) | 4輪駆動車両の駆動力制御方法 | |
JP2528485B2 (ja) | 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 | |
JP3272617B2 (ja) | 車両のヨーモーメント制御装置 | |
JPH0195938A (ja) | 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 | |
JPH08207607A (ja) | 4輪駆動車のトラクション制御装置 | |
JPH0729556B2 (ja) | 四輪駆動車の駆動力配分制御装置 | |
US20080215223A1 (en) | Braking control device of vehicle | |
WO2012005260A1 (ja) | 車両の左右輪駆動力配分制御装置 | |
JP5447670B2 (ja) | 車両の左右輪駆動力配分制御装置 | |
JP4443582B2 (ja) | アンダーステア抑制装置 | |
JP4662060B2 (ja) | 車両の駆動力分配制御装置 | |
JP2011126334A (ja) | 車両の旋回挙動制御装置 | |
JP2950070B2 (ja) | 車両用差動制限制御装置 | |
JP2000345876A (ja) | 車両用駆動力制御装置 | |
JP2882219B2 (ja) | 車両用差動制限制御装置 | |
JP2552327B2 (ja) | 差動制限装置付車両の4輪操舵制御装置 | |
JP5299368B2 (ja) | 車両の左右輪駆動力配分制御装置 | |
JP5640581B2 (ja) | 差動制限機構の制御装置 | |
JPH0635259B2 (ja) | 車両用駆動系クラツチ制御装置 | |
JP2910465B2 (ja) | 車両用差動制限制御装置 | |
JP2507608B2 (ja) | 駆動力配分制御装置 | |
JP2679302B2 (ja) | 車両用差動制限制御装置 | |
JP2630609B2 (ja) | 4輪駆動,4輪操舵自動車の駆動力配分及び後輪操舵角の制御方法 | |
JP2002029401A (ja) | 車両の差動制限装置 | |
JP5206990B2 (ja) | 車両の旋回挙動制御装置 |