JP2949756B2 - 脱臭器及び脱臭方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はコロナ放電によって発生したオゾンを利用す
る脱臭器及び脱臭方法に関する。

（従来の技術） オゾン発生器を用いた脱臭器として実開平１−128822
号に開示されるものが知られている。このオゾン発生器
は第５図に示すように、ケース100内に形成される空気
の流通路の上流側をオゾン発生部101、下流側を脱臭部1
02とし、オゾン発生部101にはコロナ放電器103を、脱臭
部102にはオゾン分解触媒層104を配置し、コロナ放電器
103の電極間に高周波電圧を印加することでオゾンO₃を
発生せしめ、このオゾンO₃と臭成分を含む空気とを混合
して脱臭部102に送り込み、オゾンを触媒層104に接触さ
せて酸素分子と活性な酸素原子に分解し、この活性な酸
素原子と臭成分とを反応せしめて脱臭するようにしてい
る。

（発明が解決しようとする課題） 上述した従来の脱臭器にあっては、空気の流通路の一
部のみがオゾン発生部となっているため、臭成分を含む
空気とオゾンとの混合が不十分なまま脱臭部に入り、脱
臭を効果的に行なえなかったり、オゾンが発生する位置
と分解する位置とが離れているため、脱臭器自体のサイ
ズが大型化し、また発生したオゾンによって脱臭器のケ
ース内壁等が腐食しやすい。

（課題を解決するための手段） 上記課題を解決すべく本発明は、脱臭器のケース内に
誘電体基板を設け、この誘電体基板に高周波が印加され
る少なくとも一対の電極を埋設し、更に誘電体基板の表
面に放電電極として機能するオゾン分解触媒層を形成し
た。

（作用） 誘電体内に埋設した対をなす電極間に高周波を印加す
ることでオゾン分解触媒層内にコロナ放電が生じ、この
コロナ放電によってオゾンが発生し、発生したオゾンは
触媒に接触することでただちに酸素分子と活性な酸素原
子に分解され、活性な酸素原子が空気中の臭成分と反応
して脱臭する。

（実施例） 以下に本発明の実施例を添付図面に基いて説明する。

第１図は本発明に係る脱臭器の断面図、第２図は同脱
臭器の構造を示す部分破断図、第３図は同脱臭器を組込
んだ脱臭装置の断面図、第４図（Ａ）乃至（Ｃ）は電極
パターンの別実施例を示す図である。

脱臭装置は吸気口1aと排気口1bを形成したケース１内
に複数の脱臭器２……を千鳥状に配置し、ファン３にて
吸気口1aから吸込んだ臭成分を含んだ空気を脱臭器２の
表面に接触させつつ排気口1bから排出するようにしてい
る。

脱臭器２は第２図及び第３図に示すように誘電体基板
４内に一対の面状電極５、６を埋設し、これら電極５、
６を高周波電源７に接続している。また誘電体基板４の
表面にはオゾン分解触媒層８を形成している。

斯かる脱臭器２を製作するには例えばAl₂O₃等を主成
分とするセラミックグリーンシート表面にタングステン
ペースト等の導電性ペーストにより電極パターンをプリ
ントし、このセラミックグリーンシート上に別のセラミ
ックグリーンシートを重ねて焼成することで内部に電極
５、６を埋設した誘電体基板４を得る。尚、電極５、６
の形状は単純な矩形状に限らず、第４図（Ａ）に示すよ
うに電極５の周囲に電極６を配置した形状、第４図
（Ｂ）に示すような櫛歯状、第４図（Ｃ）に示すような
複数対の電極５、６としてもよい。

またオゾン分解触媒層８は誘電体基板４の表面に厚膜
ペーストとして焼成時に焼き付けるか焼成後に接合する
ものとし、このオゾン分解触媒層８はコロナ放電器にお
ける放電電極として作用するものとする。つまりオゾン
分解触媒層８は電気的に導体又は半導体の性質を持つも
の、具体的にはオゾン分解触媒層８の体積抵抗は10¹³Ω
・cm以下とする。

ここで、オゾン分解触媒層８は空気との接触面積が大
きい方が脱臭効果が高くなるので、多孔質状、網目状、
ペレット状或いはハニカム状とする。またオゾンを分解
する触媒の材質としては酸化チタン、酸化マンガン、酸
化コバルト、酸化ニッケルなどの金属酸化物、これらに
銀などの貴金属を担持させたもの、酸化銅と酸化マンガ
ンとの混合物などを用い、酸化チタンや酸化マンガンの
ようにそれ自体で体積抵抗が10¹³Ω・cm以下の場合は触
媒のみで触媒層８を形成し、体積抵抗が10¹³Ω・cm以上
の場合は金属製の担体に触媒を付着せしめて触媒層８を
形成する。更に触媒層８が使用につれて劣化する場合に
は、交換可能としてもよい。

以上において、電極５、６間に高周波を印加すると電
極５、６間に電界が生じ、この電界中に放電電極として
作用するオゾン分解触媒層８が存在するため、電界がオ
ゾン分解触媒層８に集中し、オゾン分解触媒層８と電極
５、６間に大きな電位差が生じ、オゾン分解触媒層８内
にコロナ放電が生じ、このコロナ放電によってオゾンO₃
が発生し、発生したオゾンO₃は触媒８に接触することで
酸素分子O₂と活性な酸素原子Ｏ^＊に分解（O₃→O₂＋
Ｏ^＊）され、活性な酸素原子が空気中の臭成分と反応し
て脱臭する。

尚、実施例にあっては誘電体基板をセラミックにて構
成したが、合成樹脂或いはガラス等の誘電体として使用
されるものであればよい。またオゾンの分解を効率よく
行なうため、ヒータを用いてもよい。このヒータとして
は誘電体基板内に発熱パターンとして形成するか、触媒
層を通電可能として発熱せしめるようにする。

（効果） 以上に説明したように本発明によれば、オゾンを発生
するコロナ放電器の放電電極を、オゾン分解触媒層にて
構成し、このオゾン分解触媒層に臭成分を含む空気を接
触せしめるようにしたので、発生したオゾンを全て臭成
分との反応に使用することとなり脱臭効果が大巾に向上
する。

また、オゾン発生部と脱臭部とが同一部分にあるた
め、脱臭器自体のコンパクト化が図れ、且つ放電電極と
してのオゾン分解触媒層にリード線を接続しないためオ
ゾンによる腐食が発生せず脱臭器の寿命が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る脱臭器の断面図、第２図は同脱臭
器の構造を示す部分破断図、第３図は同脱臭器を組込ん
だ脱臭装置の断面図、第４図（Ａ）乃至（Ｃ）は電極パ
ターンの別実施例を示す図、第５図は従来の脱臭器を示
す図である。 尚、図面中２は脱臭器、４は誘電体基板、５、６は電
極、７は高周波電源、８はオゾン分解触媒層である。

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】高周波が印加される少なくとも一対の電極
   を誘電体基板内に埋設し、この誘電体基板の表面に前記
   一対の電極に対向配置されるオゾン分解触媒層を設けた
   脱臭器において、前記オゾン分解触媒層は、放電電極と
   しての機能を発揮すべく電気的に導体又は半導体の性質
   を有し、それ自身の内部でオゾンを発生するものである
   ことを特徴とする脱臭器。
2. 【請求項２】前記オゾン分解触媒層は多孔質或いはハニ
   カム状等の空気との接触面積が大きくなる構造となって
   いることを特徴とする請求項（１）に記載の脱臭器。
3. 【請求項３】前記オゾン分解触媒層の体積抵抗値は10¹³
   Ω・cm以下としたことを特徴とする請求項（１）に記載
   の脱臭器。
4. 【請求項４】請求項１に記載の脱臭器を用いた脱臭方法
   において、前記一対の電極に高周波を印加し、放電電極
   としてのオゾン分解触媒層の内部でオゾンを発生させ、
   この発生したオゾンをオゾン分解触媒に接触せしめて酸
   素分子と活性な酸素原子に分解し、活性な酸素原子を臭
   成分と反応させるようにしたことを特徴とする脱臭方
   法。