JP2949190B2 - 布団カバー・シーツ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、布団カバー・シー
ツに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の布団カバーやシーツは一般に通常
の糸を使用した織物又は編物からなっていて肌触りや風
合いは良好であるが、抗菌性はなく、清潔さが十分では
なかった。そこで、これを改善するため、織物又は編物
の表面に抗菌性の樹脂をコーティングしたものが提案さ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、織物又は編物
の表面に抗菌性の樹脂をコーティングした布団カバーや
シーツは、出来上がった織物又は編物の上から全面に抗
菌性の樹脂をコーティングしたものであるので、洗濯等
で該樹脂が剥がれやすい。また、樹脂がコーティング時
に織物又は編物に浸透するので、樹脂の抗菌性が分散し
て弱くなり、抗菌性が不十分であった。本発明は上記の
欠点を除去するもので、大腸菌や黄色ブドウ球菌等に対
する抗菌性を十分に有していて、清潔さが十分であると
ともに、洗濯等で抗菌層が容易に剥がれることもなく、
また、抗菌性が分散して弱くならずに抗菌性を十分に有
している布団カバー・シーツを提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、織物又は編物
からなる布団カバー・シーツにおいて、織物又は編物
が、プラスチックフイルム上に抗菌層を設けた偏平糸を
そのまま又は該偏平糸を他の糸と丸撚り、たすき撚り等
適宜撚った撚り糸を使用した織物又は編物であることを
特徴とする、抗菌性布団カバー・シーツである。本発明
は、大腸菌や黄色ブドウ球菌等に対する抗菌性を十分に
有していて、清潔さが十分である。

【０００５】本発明は、プラスチックフイルム上に抗菌
層を設けた偏平糸をそのまま織物又は編物に使用するこ
とができるが、該偏平糸を他の糸例えば通常のポリエス
テル糸、ナイロン糸等と丸撚り、たすき撚り等適宜撚っ
た撚り糸として織物又は編物に使用することもできる。
プラスチックフイルム上に抗菌層を設けた偏平糸を丸撚
り、たすき撚り等の撚り糸として織物又は編物に使用し
た場合には、該偏平糸をそのまま使用した場合に比べて
織物又は編物の感触が柔らかくなるので、抗菌性布団カ
バー・シーツの肌触りや風合いが非常に良好になる。

【０００６】本発明のプラスチックフイルム上に抗菌層
を設けた偏平糸は、抗菌層としてＣｕ又はＡｇからなる
抗菌性を有する金属薄膜層又は抗菌性を有する樹脂層を
設けることができるが、Ｃｕ又はＡｇからなる抗菌性を
有する金属薄膜層を設けるのが好ましい。抗菌層として
Ｃｕ又はＡｇからなる抗菌性を有する金属薄膜層を設け
た場合には、抗菌性を十分に有しているのみならず、虫
の忌避効果もある。抗菌性を有する樹脂層は、適宜の抗
菌剤を混入した適宜の樹脂による層である。

【０００７】本発明のプラスチックフイルム上に抗菌層
を設けた偏平糸は、偏平糸のエッジ部分及び抗菌層の表
面部分で抗菌層が露出しているので、抗菌性を十分に有
している。

【０００８】本発明のプラスチックフイルム上に抗菌層
を設けた偏平糸は、抗菌層上に適宜の樹脂により保護層
を設けることもできる。抗菌層上に保護層を設けた場合
には、抗菌層の耐侯性が向上する。また、この場合、偏
平糸のエッジ部分で抗菌層が露出しているので、抗菌性
は十分に有している。抗菌層上に保護層を設ける場合に
は、保護層に抗菌剤を混入して抗菌性を有する保護層と
することもできる。保護層を抗菌剤を有する保護層とし
た場合には、偏平糸のエッジ部分で抗菌層が露出してい
るのみならず、保護層の表面が露出していてしかも抗菌
性を有しているので、抗菌性はさらに十分に有してい
る。

【０００９】本発明の織物又は編物からなる抗菌性布団
カバー・シーツは、織物又は編物が、偏平糸又は撚り糸
を、本数にして５〜８０％、好ましくは１０〜７５％、
最も好ましくは２０〜７０％使用した織物又は編物であ
るのが望ましい。偏平糸又は撚り糸を使用する本数の割
合は、編物の場合は全体に使用する本数中での割合であ
り、織物の場合は偏平糸又は撚り糸を、縦糸に使用する
ときは縦糸全体に使用する本数中での割合、横糸に使用
するときは横糸全体に使用する本数中での割合、縦糸と
横糸両方に使用するときはそれぞれ全体に使用する本数
中での割合である。織物と編物とでは組織が異なるの
で、偏平糸又は撚り糸の使用量も適する割合が異なるか
らである

【００１０】

【発明の実施の形態】本発明におけるプラスチックフイ
ルムとしては、偏平糸に通常使用されるプラスチックフ
イルムが使用でき、例えば、ポリエステルフイルム、ナ
イロンフイルム等が挙げられる。プラスチックフイルム
の厚さは５〜５０μｍ、好ましくは６〜２５μｍ、さら
に好ましくは６〜１２μｍが適当である。プラスチック
フイルムの厚さが６〜１２μｍである場合には、プラス
チックフイルムが非常に薄いので柔らかくなり、抗菌性
布団カバー・シーツの肌触りや風合いが非常に良好にな
る。

【００１１】プラスチックフイルムの上、すなわちプラ
スチックフイルムの片面又は両面に抗菌層を設ける。抗
菌層としてＣｕ又はＡｇからなる抗菌性を有する金属薄
膜層を設ける場合には、真空蒸着、スパッタリング、イ
オンプレーティング等の従来公知の薄膜生成法によりプ
ラスチックフイルム上に設けることができる。Ｃｕ又は
Ａｇからなる抗菌性を有する金属薄膜層は、４００〜１
２００Å程度の厚さに設ける。抗菌性を有する金属薄膜
層を設けるに先立ち、アクリル系樹脂、メラミン系樹
脂、ウレタン系樹脂等適宜の樹脂によりアンダーコート
層を形成しておいてもよい。

【００１２】抗菌層として抗菌性を有する樹脂層を設け
る場合には、適宜の抗菌剤を混入した適宜の樹脂による
層をプラスチックフイルム上に設ける。抗菌剤は、無機
系の抗菌剤及び有機系の抗菌剤のいずれも使用でき、抗
菌剤として具体的には、抗菌セラ・パウダー（商品名：
新東Ｖセラックス株式会社製）、アメニトップ（商品
名：松下電器産業株式会社製）等の市販品の抗菌剤が使
用できる。抗菌性を有する樹脂層に使用する樹脂として
は、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂
等適宜の樹脂が挙げられる。抗菌剤は抗菌性を有する樹
脂層中に０．０５〜２％程度混入すればよい。抗菌性を
有する樹脂層はグラビアコーティング、リバースコーテ
ィング等の従来公知の樹脂コーティング法によりプラス
チックフイルム上に設けることができる。抗菌性を有す
る樹脂層の厚さは、０．５〜１０μｍ程度が適当であ
る。抗菌性を有する樹脂層は適宜着色してもよい。

【００１３】抗菌層としてＣｕ又はＡｇからなる抗菌性
を有する金属薄膜層を設ける場合には、抗菌性を有する
金属薄膜層上には、アクリル系樹脂、メラミン系樹脂、
ウレタン系樹脂等適宜の樹脂により厚さ０．５〜３μｍ
程度の保護層を設けることができる。

【００１４】保護層には抗菌剤を混入して抗菌性を有す
る保護層とすることもできる。保護層を抗菌性を有する
保護層とした場合には、抗菌性布団カバー・シーツを構
成する織物又は編物の表面がそのまま抗菌性を有するも
のとなるとともに、仮に抗菌性を有する保護層が剥離し
ても、該保護層の下には抗菌層すなわちＣｕ又はＡｇか
らなる抗菌性を有する金属薄膜層があるので、大腸菌や
黄色ブドウ球菌等に対する抗菌性と清潔さは十分に保た
れる。保護層には適宜着色してもよい。

【００１５】本発明の偏平糸は、プラスチックフイルム
の抗菌層を設けていない面側等、適宜の位置に、適宜の
着色層を設けてもよい。

【００１６】プラスチックフイルム上に抗菌層としてＣ
ｕ又はＡｇからなる抗菌性を有する金属薄膜層又は抗菌
性を有する樹脂層を設け、該抗菌層上に保護層を設けて
いない偏平糸は、偏平糸のエッジ部分及び抗菌層の表面
部分で抗菌層が露出しているので、抗菌性を十分に有し
ている。

【００１７】プラスチックフイルム上に抗菌層としてＣ
ｕ又はＡｇからなる抗菌性を有する金属薄膜層を設け、
該抗菌層上に保護層を設けた偏平糸は、偏平糸のエッジ
部分で抗菌層が露出しているので、抗菌性を十分に有し
ている。また、保護層を抗菌層を有する保護層とした場
合には、偏平糸のエッジ部分で抗菌層が露出しているの
みならず、保護層の表面が露出していてしかも抗菌性を
有しているので、抗菌性はさらに十分に有している。

【００１８】プラスチックフイルム上に抗菌層を設けた
偏平糸のエッジ部分で抗菌層を露出させるには、後に実
施例で説明するように、抗菌層を設けた広幅長尺なプラ
スチックフイルムを縦長に裁断すればよい。

【００１９】本発明の織物又は編物からなる抗菌性布団
カバー・シーツは、織物又は編物が、偏平糸又は撚り糸
を、本数にして５〜８０％、好ましくは１０〜７５％、
最も好ましくは２０〜７０％使用した織物又は編物であ
るのが望ましい。偏平糸又は撚り糸が５％より少ないと
抗菌性が弱くなる。また、偏平糸又は撚り糸が８０％よ
り多いと抗菌性は十分に有しているが、肌触りや風合い
が低下する。偏平糸を２０〜７０％使用した場合には、
抗菌性を十分に有しており、清潔さが十分であるのはも
ちろんのこと、洗濯等で抗菌層が容易に剥がれることも
なく、また、抗菌性が分散して弱くならずに抗菌性を十
分に有しており、さらに、肌触りや風合いも非常に良好
である。

【００２０】本発明のプラスチックフイルム上に抗菌層
を設けた偏平糸をそのまま又は該偏平糸を他の糸と丸撚
り、たすき撚り等適宜撚った撚り糸を使用した織物又は
編物は、抗菌性布団カバー・シーツに使用できるほか、
布巾、雑巾、各種のシートなど、織物又は編物を使用し
た種々の用途に使用できる。

【００２１】

【実施例】

実施例１ 厚さ１２μｍの広幅長尺なポリエステルフイルムの片面
にアクリル樹脂を使用して厚さ０．５μｍのアンダーコ
ート層を形成し、該アンダーコート層の上に真空蒸着に
よりＣｕ蒸着層を形成して厚さ１０００Åの抗菌性を有
する金属薄膜層を設けた。次に、抗菌性を有する金属薄
膜層上に、抗菌剤として抗菌セラ・パウダー（商品名：
新東Ｖセラックス株式会社製）を０．３％混入したメラ
ミン系樹脂を使用してグラビアコーティング法により厚
さ１．０μｍの抗菌性を有する保護層を設け、さらに、
このようにしたものを縦長に裁断して、エッジ部分で抗
菌性を有する金属薄膜層が露出しているとともに、表面
に抗菌性を有する保護層を設けた偏平糸を得た。得られ
た偏平糸をポリエステル糸を芯糸として丸撚りし、撚り
糸を作製し、該撚り糸をポリエステル繊維糸とともに織
成して、縦糸に偏平糸が本数で５０％交織された織物を
得て、該織物により布団カバーを作製した。また、同様
の織物によりシーツを作製した。作製したシーツ上で、
黄色ブドウ球菌と大腸菌をそれぞれ培養（３７℃×２４
時間×湿度９０％）して生残菌数を調べたところ、黄色
ブドウ球菌は当初添加菌数３．４×１０⁵ であったのが
１００以下となり、大腸菌は当初添加菌数６．５×１０
⁵ であったのが１００以下となった。また、市販品のポ
リエステルの生地上で同様にして生残菌数を調べたとこ
ろ、黄色ブドウ球菌は４．６×１０⁵ となり、大腸菌は
８．１×１０⁵ となった。

【００２２】

【発明の効果】本発明は上記のように構成したから、本
発明に係る抗菌性布団カバー・シーツは抗菌性を十分に
有していて、清潔さが十分である。本発明は織物又は編
物の上から全面に抗菌性の樹脂をコーティングしたもの
のように洗濯等で抗菌層が容易に剥がれることがない。
また、織物又は編物の上から全面に抗菌性の樹脂をコー
ティングしたもののように樹脂がコーティング時に織物
又は編物に浸透するということもないので、抗菌層の抗
菌性が分散して弱くなることもなく抗菌性を十分に有し
ている。本発明において偏平糸又は撚り糸を、本数にし
て２０〜７０％使用した場合には、抗菌性を十分に有し
ており、清潔さが十分であるのはもちろんのこと、洗濯
等で抗菌層が容易に剥がれることもなく、また、抗菌性
が分散して弱くならずに抗菌性を十分に有しており、さ
らに、肌触りや風合いも非常に良好である。また、本発
明において保護層を抗菌性を有する保護層とした場合に
は、抗菌性布団カバー・シーツを構成する織物又は編物
の表面がそのまま抗菌性を有するものとなるとともに、
仮に抗菌性を有する保護層が剥離しても、該保護層の下
には抗菌層すなわちＣｕ又はＡｇからなる抗菌性を有す
る金属薄膜層があるので、大腸菌や黄色ブドウ球菌等に
対する抗菌性と清潔さは十分に保たれる。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】織物又は編物からなる布団カバー・シーツ
   において、織物又は編物が、プラスチックフイルム上に
   抗菌層を設けた偏平糸をそのまま又は該偏平糸を他の糸
   と丸撚り、たすき撚り等適宜撚った撚り糸を使用した織
   物又は編物であることを特徴とする、抗菌性布団カバー
   ・シーツ。
2. 【請求項２】偏平糸が、抗菌層としてＣｕ又はＡｇから
   なる抗菌性を有する金属薄膜層を設けたものであり、か
   つ、偏平糸のエッジ部分及び抗菌層の表面部分で抗菌層
   が露出しているものである、請求項１記載の抗菌性布団
   カバー・シーツ。
3. 【請求項３】偏平糸が、抗菌層としてＣｕ又はＡｇから
   なる抗菌性を有する金属薄膜層を設け該抗菌層上に保護
   層を設けたものであり、かつ、偏平糸のエッジ部分で抗
   菌層が露出しているものである、請求項１記載の抗菌性
   布団カバー・シーツ。
4. 【請求項４】保護層が抗菌性を有するものである、請求
   項３記載の抗菌性布団カバー・シーツ。
5. 【請求項５】織物又は編物からなる布団カバー・シーツ
   において、織物又は編物が、偏平糸又は撚り糸を、本数
   にして２０〜７０％使用した織物又は編物である、請求
   項１〜４のいずれかの項に記載の抗菌性布団カバー・シ
   ーツ。