JP2947983B2 - 光ファイバ増幅器 - Google Patents

光ファイバ増幅器

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真也 稲垣
憲治 田川
修 尾山
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は光信号を電気信号に変換
することなく直接光領域のみで光信号の増幅を行う光フ
ァイバ増幅器に関する。
【0002】現在実用化されている光ファイバ通信シス
テムにおいては、光ファイバの損失による光信号の減衰
を補償するために、一定距離毎に中継器を挿入してい
る。中継器は、光信号をフォトダイオードにより電気信
号に変換して、電子増幅器により信号を増幅した後、半
導体レーザ等により光信号に再変換し、光ファイバ伝送
路に再び送り出すという構成をとっている。もし、この
光信号を低雑音で直接光信号のまま増幅することができ
れば、光中継器の小型化、経済化を図ることができる。
【0003】そこで、光信号を直接増幅できる光増幅器
の研究が盛んに進められており、研究の対象とされてい
る光増幅器を大別すると、(a)希土類元素(Er,N
d,Yb等)をドープした光ファイバと励起光を組み合
わせたもの、(b)希土類元素をドープした半導体レー
ザによるもの、(c)光ファイバ中の非線形効果を利用
したものの3つがある。
【0004】このうち(a)の希土類ドープ光ファイバ
と励起光を組み合わせた光ファイバ増幅器は、偏波依存
性がないこと、低雑音であること、伝送路との結合損失
が小さいといった優れた特徴があり、光ファイバ伝送シ
ステムにおける伝送中継距離の飛躍的増大、光信号の多
数への分配を可能にすると期待されている。
【0005】
【従来の技術】現在希土類ドープ光ファイバ増幅器の中
でも実用化が最も近いと考えられる1.55μm帯光増
幅器用エルビウム(Er)ドープ光ファイバの開発が盛
んに行われている。また、信号光波長の多重化に対応す
るため、Erと共にアルミニウム(Al)をコア中にド
ープすることにより、1.55μm帯の広い波長範囲で
高利得を得るようにできることが知られている。
【0006】Er−Alドープ光ファイバを用いた従来
の光ファイバ増幅器の概略構成を図4に示す。2はその
コア中にエルビウム(Er)及びアルミニウム(Al)
をドープしたEr−Alドープ光ファイバであり、該ド
ープ光ファイバ2の上流側及び下流側に設けられた励起
光源4,6より波長1.48μmの励起光が合分波器
8,10を介してEr−Alドープ光ファイバ2内に導
入され、Er原子を高いエネルギー準位に励起する。
【0007】このように高いエネルギー準位に励起され
たEr−Alドープ光ファイバ2中に、信号光入力端1
2より入力された信号光が、光アイソレータ14及び合
分波器8を介して導入されると、信号光と同一波長の光
が誘導放出され、信号光のパワーが光ファイバに沿って
次第に大きくなり信号光の増幅が行われる。増幅された
信号光は、合分波器10及び光アイソレータ16を介し
て信号光出力端18から出力される。
【0008】図5はコアにErのみをドープしたErド
ープ光ファイバの吸収・蛍光特性を示す図であり、実線
が吸収特性を、破線が蛍光特性をそれぞれ示している。
この図から明らかなように、Erドープ光ファイバは吸
収及び蛍光特性とも波長が1.536μmと1.55μ
mに急峻なピークがある。
【0009】コア中にErと共にアルミニウムをドープ
すると、図6に示すように吸収及び蛍光特性とも緩やか
な曲線となり、1.55μm帯の広い波長範囲で高利得
を得るの適している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】Er−Alドープ光フ
ァイバによる光増幅作用を、図7のエネルギー準位図を
参照して説明する。Er原子は、波長1.48μmの励
起光のエネルギーで基底準位(415/2)から励起準位に
あがり、励起準位内で遷移して1.55μm帯準位(4
13/2)に落ちる。このとき波長1.55μmの信号光が
入射すると、矢印Aで示すように、1.55μm帯準位
に留まっていたEr原子の誘導放出が起こり、信号光が
増幅される。
【0011】これと同時に、1.55μm帯準位の拡が
りのため、矢印Bで示すように1.53〜1.57μm
の自然放出光も発生する。Er−Alドープ光ファイバ
内で発生した自然放出光はEr−Alドープ光ファイバ
内を伝搬するうちに信号光と同様に増幅される。このよ
うに自然放出光も増幅されるので、励起光の有効利用を
妨げるとともに雑音も増加するので、信号光の増幅に悪
影響を与えることになる。
【0012】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、その目的とするところは、Er−Alドープ
光ファイバ内で発生する自然放出光を除去し、自然放出
光が信号光に与える悪影響を無くすことによって、効率
よく適正な信号光の増幅を行うことのできる光ファイバ
増幅器を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上述した課題を
解決するために、エルビウム及びアルミニウムをドープ
したEr−Alドープ光ファイバに信号光及び励起光を
伝搬させて信号光の増幅を行うようにした光ファイバ増
幅器において、前記Er−Alドープ光ファイバ内にE
rドープ光ファイバを挿入接続して自然放出光の一部を
吸収により除去するようにしたことを特徴とする。
【0014】Erドープ光ファイバはコアの中心部を除
いたコア部分にErがドープされているか、又はコアの
中心部を除いたコア部分及びコアに隣接するクラッド部
分にErがドープされていることが望ましい。
【0015】
【作用】Erドープ光ファイバは図5に示すように波長
1.536μmと1.55μm付近に急峻な吸収のピー
クを有しているため、Er−Alドープ光ファイバ中で
発生した自然放出光の一部はErドープ光ファイバ内を
伝搬するうちに吸収されて除去される。これにより、A
lドープによる広帯域特性を維持しながらS/N特性の
よい光増幅を達成することができる。
【0016】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して詳細
に説明する。本実施例の説明において、図4に示した従
来構成と実質上同一構成部分については同一符号を付し
て説明する。本実施例は、図4と同様にEr−Alドー
プ光ファイバの上流側及び下流側に設けた励起光源よ
り、大励起光パワーをEr−Alドープ光ファイバ内に
導入する両方向励起の実施例である。
【0017】本実施例では、自然放出光吸収用Erドー
プ光ファイバ20は、Er−Alドープ光ファイバの励
起光パワーが最も小さいと考えられるEr−Alドープ
光ファイバの中央部に融着接続されている。このように
Erドープ光ファイバ20をEr−Alドープ光ファイ
バ2の中央部分に挿入したのは、励起光パワーが小さい
程分布するEr原子により自然放出光が多く吸収される
ためである。また、Er−Alドープ光ファイバ2の中
央部にErドープ光ファイバ20を配置することによ
り、両方向に伝搬する自然放出光をErドープ光ファイ
バ20により吸収することが可能である。
【0018】図2を参照して本発明に使用するのに適し
た自然放出光吸収用Erドープ光ファイバの構成につい
て説明する。このErドープ光ファイバは励起光のしき
い値以下のパワーの部分にErが分布するようにするた
め、図2(A)に示すようにコアの中心部を除いたコア
中にErをドープしたErドープ光ファイバ20か、又
は図2(B)に示すようにコアの中心部を除いたコア部
分及びコアに隣接するクラッド部分にErをドープした
Erドープ光ファイバ20′の構成が望ましい。
【0019】再び図1を参照すると、信号光入力端12
から入力された波長1.55μm帯の信号光は、光アイ
ソレータ14及び合分波器8を介してEr−Alドープ
光ファイバ2内に導入される。また、励起光源4から出
射した波長1.48μmの励起光は、合分波器8により
信号光と共にEr−Alドープ光ファイバ2内に導入さ
れる。
【0020】信号光はEr−Alドープ光ファイバ2内
を伝搬するうちに誘導放出により増幅され、自然放出光
も同時に発生してこのファイバ中を伝搬する。Er−A
lドープ光ファイバ2の中央部に融着接続された自然放
出光吸収用Erドープ光ファイバ20を通過するときに
は、励起光は十分小さくなっているため信号光の増幅に
寄与することはなく、図5の吸収特性に示す如く特に波
長1.536μm及び1.55μmの自然放出光はEr
ドープ光ファイバ20内で十分吸収される。Erドープ
光ファイバ20内で信号光も若干損失するが、そのまま
再びEr−Alドープ光ファイバ2内を伝搬する。
【0021】一方、励起光源6から出射された波長1.
48μmの励起光は、合分波器10を通過して信号光の
伝搬方向と反対方向にEr−Alドープ光ファイバ内に
導入される。この励起光もEr−Alドープ光ファイバ
2の中央部に配置された自然放出光吸収用Erドープ光
ファイバ20を通過するときには、そのパワーが十分小
さくなっておりこの部分で信号光の増幅に寄与すること
はない。
【0022】Erドープ光ファイバ20の下流側のEr
−Alドープ光ファイバ2内で発生し、Er−Alドー
プ光ファイバ2内を上流側に向かって伝搬する自然放出
光は、自然放出光吸収用Erドープ光ファイバ20を通
過する際に殆ど吸収され、さらに上流側のEr−Alド
ープ光ファイバ2へ伝搬されることはない。
【0023】Er−Alドープ光ファイバ2を伝搬する
うちに増幅された信号光は、合分波器10及び光アイソ
レータ16を介して信号光出力端18から出力される。
自然放出光吸収用Erドープ光ファイバ2により自然放
出光の伝搬が妨げられるため、自然放出光の増幅に関与
していた励起光のエネルギーが信号光の増幅に有効に利
用できるため、増幅効率が向上する。また、信号光と共
に伝搬して雑音となる自然放出光が大幅に減少するた
め、増幅された信号光のS/N特性を向上できる。
【0024】本実施例によれば、自然放出光吸収用Er
ドープ光ファイバ20の下流側で発生して信号光出力側
へ伝搬する自然放出光のみが雑音となるため、雑音が従
来の1割以下になることが期待される。また、Erドー
プ光ファイバ2で吸収されないで伝搬する自然放出光は
十分小さくなるため、励起光が自然放出光の増幅に関与
する割合もかなり低減され、増幅効率が向上する。
【0025】Er−Alドープ光ファイバ2とErドー
プ光ファイバ20のモードフィールド径を同じにすれ
ば、自然放出光吸収用Erドープ光ファイバ20を融着
接続する際の損失は殆ど零となり、同じ光ファイバで構
造を変えただけで自然放出光の吸収機能を持たせたのと
同様な効果がある。
【0026】上述した実施例では波長1.55μmの信
号光を用いているが、信号光に波長1.54μmの光を
用いると、自然放出光吸収用Erドープ光ファイバの吸
収が波長1.536μmと1.55μmに急峻なピーク
があるため、両方の波長の自然放出光を十分に吸収除去
できる。このため、図3に示すように波長1.54μm
の利得が大きくなり、従来1.54μmの波長のところ
にあった谷が改善され、利得の平坦化を図ることができ
る。図3において、実線が本発明の実施例による利得の
波長特性、破線が従来例による利得の波長特性を示して
いる。
【0027】上述した実施例は、励起光をEr−Alド
ープ光ファイバの上流側及び下流側の両方向から入力す
る、両方向励起の場合について説明したが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、前方励起又は後方励起で
あっても同様に適用可能である。
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
自然放出光の増幅に関与していた励起光のエネルギーを
信号光の増幅に有効に利用できるため、信号光の増幅効
率が向上し、さらに信号光と共に伝搬して雑音となる自
然放出光が大幅に減少するため増幅された信号光のS/
N特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例に係る光ファイバ増幅器の概略構
成図である。
【図2】自然放出光吸収用Erドープ光ファイバの縦断
面図である。
【図3】本発明実施例と従来例の増幅特性を示す図であ
る。
【図4】従来例の概略構成図である。
【図5】Erドープ光ファイバの吸収・蛍光特性を示す
図である。
【図6】Er−Alドープ光ファイバの吸収・蛍光特性
を示す図である。
【図7】Erドープ光ファイバのエネルギー準位図であ
る。
【符号の説明】
2 Er−Alドープ光ファイバ 4,6 励起光源 8,10 合分波器 14,16 光アイソレータ 20 自然放出光吸収用Erドープ光ファイバ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 尾山 修 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 佐々木 和哉 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (56)参考文献 特開 平5−80230(JP,A) 特開 平3−235924(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01S 3/06 - 3/07 H01S 3/10 H01S 3/17 G02F 1/35

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エルビウム及びアルミニウムをドープし
    たEr−Alドープ光ファイバ(2) に信号光及び励起光
    を伝搬させて信号光の増幅を行うようにした光ファイバ
    増幅器において、 前記Er−Alドープ光ファイバ(2) 内にErドープ光
    ファイバ(20)を挿入接続して自然放出光の一部を吸収に
    より除去するようにしたことを特徴とする光ファイバ増
    幅器。
  2. 【請求項2】 前記Erドープ光ファイバ(20)はコアの
    中心部を除いたコア部分にErがドープされているか、
    又はコアの中心部を除いたコア部分及びコアに隣接する
    クラッド部分にErがドープされていることを特徴とす
    る請求項1記載の光ファイバ増幅器。
  3. 【請求項3】 前記Er−Alドープ光ファイバ(2) の
    両側から励起光を入力する手段(4,6) を設け、前記Er
    ドープ光ファイバ(20)が前記Er−Alドープ光ファイ
    バ(2) の中央部に挿入接続されていることを特徴とする
    請求項1又は2記載の光ファイバ増幅器。
  4. 【請求項4】 前記Er−Alドープ光ファイバ(2) 内
    に前記Erドープ光ファイバ(20)を融着接続により挿入
    したことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の
    光ファイバ増幅器。
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JP3556379B2 (ja) 1996-03-07 2004-08-18 富士通株式会社 光伝送システム
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