JP2946882B2 - アルミニウム缶およびその製造方法 - Google Patents

アルミニウム缶およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、清涼飲料水等が充填さ
れるアルミニウム缶およびその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】このようなアルミニウム缶としては、例
えば図5に示すような缶本体1の胴周部2と缶底部3と
が一体に成形され、これに缶蓋4が装着された、いわゆ
る2ピース陽圧充填用のアルミニウム缶が広く用いられ
ている。
【0003】この缶本体1は、図6に示すような工程を
経て製造される。すなわち、アルミニウムを主成分とす
る合金の板材から有底円筒状に成形された上記缶本体1
は、脱脂された後に化成処理されてその外面に化成被膜
5が形成され、200℃程度で乾燥されてから外面塗装
工程に回送されて上記胴周部2外面に樹脂被膜6が形成
される。次いで内面塗装工程において、その内面にも樹
脂被膜6が形成されて200℃程度で焼き付けられる。
この缶本体1は、さらに上記胴周部2外面に印刷による
印刷層7が形成され、再び200℃程度で焼き付けられ
る。しかる後、当該缶本体1は、上記缶蓋4が装着され
る開口部8がネッキングおよびフランジングされて所定
の形状に成形され、検査を経てから上記清涼飲料水等の
充填される内容物の製造工場に出荷される。そして、こ
こで内容物が充填されてから上記缶蓋4が装着され、市
場に流通することになる。
【0004】ところで、このような2ピース陽圧充填用
のアルミニウム缶は、元来、充填物自体が過飽和のガス
を含有しているもの、すなわち炭酸ガスを含んだソフト
ドリンクやビール等に用いられてきたものである。しか
し、近年、その金属の地の色を生かしたデザインが可能
であり、また耐腐食性、フレーバー性などにも優れた特
性を有することなど、従来の3ピース陰圧缶に比べ有利
な点が多いことから、コーヒー飲料、紅茶やウーロン茶
等の茶類、スポーツドリンク等の非炭酸性の飲料におい
てもその用途の拡大が図られるようになってきた。
【0005】このような非炭酸性のコーヒー飲料、ある
いは茶類などにおいては充填された内容物の腐敗を防ぐ
ため、缶本体1に内容物が充填され、缶蓋が取り付けら
れた後、当該缶本体1ごと内容物を加圧水蒸気雰囲気中
において約120℃で30分程加熱する、レトルト殺菌
を行わなければならない。ところが上述したようなアル
ミニウム缶は、このようなレトルト殺菌工程を経る際
に、内容物が充填された缶本体1の外面のうち、塗膜6
の形成されていない缶底部3の外面が腐食されて白変色
してしまうことが知られている。このため従来は、上記
アルミニウム缶の製造工程において、缶本体1の胴周部
2に樹脂被膜6を形成する外面塗装とは別に、図7に示
すように缶底部3外面にも外面塗装を施して樹脂被膜9
を形成し、レトルト殺菌工程におけるアルミニウム缶の
缶底部3の腐食による白変色を防ぐ手段が採られてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このように
アルミニウム缶の缶底部3外面の耐食性を向上させる手
段として缶底部3外面にも外面塗装を施す場合には、当
該缶底部3に樹脂被膜9を形成するのにスプレー塗装を
用い、塗料を高い噴出圧で瞬時に吹き付けて塗布する方
法が採られている。しかしながら、このような方法によ
れば、樹脂被膜9を形成する際に缶本体1を一缶ずつ、
その缶底部3外面が上記スプレーのノズルに対向するよ
うに位置決めしてから塗料を噴出させなければならな
い。このため、一定時間の間に樹脂被膜9の形成が可能
な缶本体1の数は自ずと限られたものとなってしまい、
また搬送の点においても高速搬送を行うと缶本体1が変
形して傷を生ずるという問題もあり、生産能力に限界が
生じることは避けられなかった。さらにこの方法によれ
ば、缶本体1を正確に位置決めするとともに、これと同
期してスプレーノズルから塗料を噴出させるという複雑
な装置および工程を新たに設けなければならず、結果的
に製造コストの増大につながってしまうという問題もあ
った。
【0007】さらにまた、上記の方法によって缶底部3
に耐食処理が施されたアルミニウム缶では、当該缶底部
3の滑り摩擦抵抗が大きくなって滑り性が損なわれてし
まうという新たな問題が生じることが分かった。このよ
うに缶本体1の缶底部3の滑り性が悪いと、上記製造工
程内や内容物の製造工場内において缶本体1を給送する
際、上記缶底部3を接地させた状態で缶本体1を滑らせ
て送る場合に缶本体1が転倒したり、流れが滞ったりし
て円滑な給送動作が阻害されてしまうおそれがある。こ
れを避けるためには、上記缶底部3にワックス剤などを
塗布してその滑りを良くしてやらなければならず、さら
に新たな工程が必要となって作業の繁雑化を招く結果と
なっていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】ここで、本発明の発明者
らはこれらの問題を解決するために種々の研究・試験を
重ねた結果、このようなアルミニウムを主成分とする缶
本体の缶底部外面に金属アルコキシド溶液を塗布した
後、加熱処理を施して金属アルコキシドの反応生成物よ
りなるセラミックス被膜を形成することにより、上記缶
底部に高い耐食性と十分な滑り性を備えた被膜を比較的
簡易な方法で形成することが可能であるという知見を得
るに至った。そして、さらに研究を重ねたところ、上記
缶底部に加熱酸化処理あるいは水蒸気酸化処理等によっ
て酸化アルミニウム被膜を、その膜厚が一定範囲になる
ように制御しつつ形成し、この酸化アルミニウム被膜の
上に上記セラミックス被膜を形成することにより、この
セラミックス被膜の上記缶底部への付着性を大幅に向上
させることが可能であるという知見をも得ることができ
た。
【0009】本発明は、このような知見に基づき、上記
課題を解決するためになされたもので、アルミニウムを
主成分とする缶本体を脱脂した後、この缶本体の少なく
とも缶底部外面に酸化アルミニウム被膜を形成し、さら
に、この酸化アルミニウム被膜上に金属アルコキシド溶
液を塗布した後に加熱処理を施して、上記金属アルコキ
シドの反応生成物よりなるセラミックス被膜を形成する
ことを特徴とする。
【0010】ここで、上記酸化アルミニウム被膜を形成
するには、当該アルミニウム缶の製造工程を鑑みて熱酸
化処理あるいは水蒸気酸化処理による方法が有効であ
り、その膜厚は平均して50Å〜500Åの範囲に制御
されるべきである。この膜厚が50Åを下回ると、後に
形成されるセラミックス被膜の缶底部への良好な付着性
が損なわれるおそれがある。また、この膜厚が500Å
を越えると酸化アルミニウム被膜の靱性が低下し、内容
物が充填されたアルミニウム缶を落としたりすると酸化
アルミニウム被膜の割れ損傷が大きくなってその後の市
場での耐食性が低下したり、当該アルミニウム缶の缶底
部の強度向上のためのリフォーム成形において酸化アル
ミニウム被膜に亀裂を生じて耐食性が低下したりすると
いう問題を生ずる。
【0011】さらに、上記膜厚が500Åを越えるよう
な厚い酸化アルミニウム被膜を形成するには多大な時間
と労力を要するとともに、これ以上当該酸化アルミニウ
ム被膜の膜厚を厚くしても上記セラミックス被膜の付着
性に顕著な向上を認めることはできない。このような事
情を鑑みると、上記酸化アルミニウム被膜の膜厚はより
望ましくは100〜300Åの範囲に制御されるべきで
ある。
【0012】また、上記酸化アルミニウム被膜の形成は
100℃〜250℃の大気、水蒸気を含む大気、あるい
は水蒸気で行うのが好ましい。この温度が100℃を下
回る場合には酸化アルミニウム被膜(水和アルミニウム
酸化被膜も含む)の生成速度が遅く、生産性上問題があ
り、一方250℃を超える場合には、酸化アルミニウム
被膜の生成速度は高まり好ましいが、当該アルミニウム
缶を構成しているアルミニウム合金自体の強度等の機械
的特性が低下して好ましくなく、従って上記範囲に限定
されるのである。
【0013】さらに、上記セラミックス被膜を形成する
際の加熱処理温度は100℃〜250℃の範囲で設定す
るのが適当である。上記加熱処理温度が100℃を下回
ると、後述する金属アルコキシドの脱水縮合の進行が著
しく阻害されるおそれがあるからであり、他方上記加熱
処理温度を250℃以下とすることにより、缶底部外面
に塗布された金属アルコキシド溶液の急激な蒸発を制御
でき、当該セラミックス被膜におけるピンホールの発生
を抑えることができる。また上記加熱処理温度が250
℃を越えると、母材のアルミニウム合金の強靱化のため
に施された調質効果がなくなり、アルミニウム缶として
の強度が不足するという問題が生じる。ここで、より望
ましい加熱処理温度としては、形成されるセラミックス
被膜の靱性より、150℃〜250℃が挙げられる。
【0014】さらに上記金属アルコキシド溶液は、S
i,Ti,Zr,Al,およびSnのうち、少なくとも
いずれか一種の金属アルコキシドを含むアルコール溶液
とするのが適当である。また、形成される上記金属アル
コキシドの反応生成物よりなるセラミックス被膜の厚さ
は、100Å〜500Åが好ましい。このセラミックス
被膜の厚さが100Åを下回ると該セラミックス被膜の
完全性が乏しくなって耐食性が充分でなくなるおそれが
あり、逆にこの厚さが500Åを越えるとセラミックス
被膜の靱性が低下し、アルミニウム缶の缶底部のリフォ
ーム成形や内容物充填後に落下させたりすると、缶底部
外面のセラミックス被膜が損傷を受けてその後の耐食性
が低下するおそれがある。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。本
実施例では、図1に示す構成のアルミニウム缶を図2に
示すような工程によって製造した。
【0016】すなわち、厚さ0.3mmのアルミニウムを
主成分とする合金の板材より成形した缶本体11を、硫
酸系あるいは硫酸−酸化物系等の酸性脱脂液で脱脂した
後に乾燥し、次に上記缶本体11を加熱して熱酸化処理
による酸化アルミニウム被膜12を形成した。ここで本
実施例では、この熱酸化処理における加熱温度および加
熱時間を表1に示すように種々に変化させ、上記酸化ア
ルミニウム被膜12の膜厚が50Å〜500Åの範囲と
なるように制御した。
【0017】さらに、この酸化アルミニウム被膜12の
形成された缶本体11を、缶底部13外面を上向きにし
た状態でコンベアによって移送しつつ、金属アルコキシ
ドのアルコール溶液をスプレーで缶底部13外面に均一
に噴霧して塗布し、上記酸化アルミニウム被膜12上に
被覆した。ただし、上記金属アルコキシドの組成は表1
に示すとおりであり、また希釈溶媒となるアルコールに
はエチルアルコールを使用した。さらに、この時の当該
アルコール溶液の噴霧液滴の粒径は略20μm以下であ
り、上記缶底部13への塗布厚さは概ね100μmであ
った。
【0018】そして、この缶本体11を100℃〜25
0℃に制御されたオーブン内を2分で通過させて加熱処
理し、上記金属アルコキシドの反応生成物よりなるセラ
ミックス被膜14を形成した。ただし、この時の各アル
ミニウム缶の熱処理温度、セラミックス被膜14の組成
および膜厚は表1に示すとおりである。しかる後、外面
塗装を施して200℃で焼付けを行い、缶本体11の胴
周部15外面に樹脂被膜16を形成し、次いで該胴周部
15外面に有機塗料による印刷を施して印刷層17を形
成した。さらにこの後、内面塗装を行い、同じく200
℃で焼付けて缶本体11の内面に樹脂被膜16を形成し
た。こうして製造されたアルミニウム缶を実施例1〜7
とする。
【0019】また本発明の他の実施例として、酸化アル
ミニウム被膜12の形成に水蒸気酸化処理を用いて、図
3に示す構成のアルミニウム缶を図4に示す工程に従っ
て製造した。ただし、この実施例において水蒸気酸化条
件は、水蒸気室に水蒸気を充満し、大気開放型とした。
また、酸化アルミニウム被膜12およびセラミックス被
膜14の形成条件は表1に示すとおりであり、その他の
工程についての条件は上記実施例1〜7の場合と同様で
ある。こうして得られたアルミニウム缶を実施例8〜1
0とする。
【0020】一方、これらの実施例に対する比較例とし
て、図7に示したような缶底部3外面に有機塗料による
樹脂被膜9が形成された構成の従来のアルミニウム缶を
製造した。これを比較例1とする。ただし、この比較例
1では缶底部3に形成される樹脂被膜9の膜厚は1μm
である。また同じく上記実施例に対する比較例として、
図2に示した製造工程に基づいて図1に示すような缶底
部13にセラミックス被膜14が形成されたアルミニウ
ム缶を製造する際、熱酸化処理を行わずに酸化アルミニ
ウム被膜12を形成せず、上記缶底部13に直接金属ア
ルコキシドのアルコール溶液を塗布して加熱し、セラミ
ックス被膜14を形成したアルミニウム缶を製造した。
これを比較例2とする。
【0021】さらに、図2に示した製造工程に基づき、
上記熱酸化処理における加熱温度および加熱時間を表1
に示すように種々に変化させて、膜厚が30Åおよび4
0Åの酸化アルミニウム被膜12を缶本体11に形成
し、これらの缶本体11の缶底部13外面の酸化アルミ
ニウム被膜12上に金属アルコキシドのアルコール溶液
を塗布して加熱し、セラミックス被膜14を形成したア
ルミニウム缶を製造した。これらをそれぞれ比較例3お
よび4とする。ただし、これら比較例2〜4において金
属アルコキシドの組成、セラミックス被膜14を形成す
る際のアルミニウム缶の熱処理温度、および形成された
セラミックス被膜14の組成は表1に示すとおりであ
る。また溶媒となるアルコール、当該アルコール溶液の
噴霧液滴の粒径、および上記缶底部13への被覆厚さ
は、上述した実施例と同じである。
【0022】そして、これら実施例1〜10および比較
例1〜4のアルミニウム缶において、120℃・30分
のレトルト殺菌における缶底部3,13外面の耐食性、
セラミックス被膜14の缶底部13への密着性、および
缶底部3,13を接地させての当該アルミニウム缶の滑
り性について試験を行った。この結果を表2に示す。た
だし各試験の結果に対する評価は、耐食性については水
蒸気殺菌器にて120℃×30分の加熱を行い、外観を
目視判定した。また、これらの実施例および比較例の缶
底部3,13外面のセラミックス被膜14や樹脂被膜9
の密着性については、中性洗剤を3%含む水溶液にアル
ミニウム缶を30分間、沸騰条件で浸漬し、その後セロ
テープによるピーリング試験を行って評価した。さらに
滑り性については静摩擦係数測定を行い、20缶の平均
値によって静摩擦係数μがμ<0.213のものを○、
0.213<μ<0.240のものを△、0.240<
μのものを×として3種に分類し、評価した。
【0023】
【表1】
【0024】
【表2】
【0025】表2に示した結果より、まずレトルト殺菌
での耐食性については、本実施例1〜10のアルミニウ
ム缶では全く白変色が認められなかったのに対し、比較
例2〜4のアルミニウム缶では、缶底部13外面におい
て部分的な白変色が認められた。また、セラミックス被
膜14の缶底部13への密着性については、本実施例1
〜10のアルミニウム缶では当該セラミックス被膜14
の剥離等は認められなかったのに対し、比較例1〜4の
アルミニウム缶では缶底部3,13外面において樹脂被
膜9またはセラミックス被膜14の剥離やピンホールの
発生が認められ、これは特に酸化アルミニウム被膜12
の膜厚が薄くなるほど顕著であった。
【0026】さらに当該アルミニウム缶の滑り性につい
ては、缶底部13にセラミックス被膜14を形成した実
施例1〜10および比較例2〜4では略良好な結果が得
られ、実際に工場内で給送経路を滑走させた場合でも転
倒や滞留が生じることはなかった。しかしながら、これ
に対して比較例1のアルミニウム缶では、上記缶底部3
の摩擦抵抗が大きく、実際に工場内で給送した場合には
転倒や滞留が頻発する事態となった。
【0027】このように、上記比較例1〜4のアルミニ
ウム缶ではレトルト殺菌後の耐食性、セラミックス被膜
14の缶底部13への密着性、およびアルミニウム缶の
滑り性のすべてについて満足するものは得られなかった
のに対し、本実施例1〜10のアルミニウム缶では全評
価項目について良好な評価を得ることができた。さらに
酸化アルミニウム被膜12の厚さとセラミックス被膜1
4の厚さとの和である全被膜厚さについては、これらの
被膜12,14の形成されたアルミニウム缶のボトムリ
フォーム加工を行って調べたところ、全被膜厚さが55
0Å以下のものは、その後レトルト試験においても変色
を生じなかったが、これを越えたものでは筋状の白変色
を生じた。
【0028】一方、上記構成のアルミニウム缶の製造方
法によれば、セラミックス被膜14は、上述したように
酸化アルミニウム被膜12が形成された缶本体11をコ
ンベアによって移送しつつ、金属アルコキシドのアルコ
ール溶液をスプレーで均一に噴霧して上記缶底部13に
塗布し、この缶本体11を焼成炉内を通過させて加熱す
ることにより形成することができる。すなわち、コンベ
アによって移動するアルミニウム缶に連続的にセラミッ
クス被膜14を形成することが可能であり、従来のよう
に缶底部にも塗装による塗膜を形成する場合に比べ、缶
本体を一缶ごとに位置決めする必要や、これに同期して
塗料を噴出させる複雑な装置等を設ける必要がない。ま
た良好な滑り性が得られることから、缶底部にワックス
等を塗布する工程も省略することができる。このように
上記製造方法では、当該アルミニウム缶の製造工程の大
幅な簡略化および省力化を図ることができ、この結果、
生産性の向上と製造コストの低減をなすことが可能とな
る。
【0029】なお、本発明は図2あるいは図4に示した
製造工程にのみに限定されることはなく、例えば酸化ア
ルミニウム被膜12とセラミックス被膜14の形成工程
を外面塗装と内面塗装との間で行っても構わない。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、レ
トルト殺菌時の耐食性、セラミックス被膜の密着性、お
よび滑り性に優れたアルミニウム缶を提供することが可
能である。また本発明の製造方法によれば、このような
アルミニウム缶を簡略な設備・工程で製造することがで
き、生産性の向上を図るとともに製造コストの低減をな
すことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示すアルミニウム缶の一部
破断側面図である。ただし、缶本体11の肉厚や、酸化
アルミニウム被膜12、セラミックス被膜14、および
樹脂被膜16の膜厚は拡大されている。
【図2】本発明の製造方法の一実施例を示す工程図であ
る。
【図3】本発明の他の実施例を示す一部破断側面図であ
る。
【図4】本発明の製造方法の他の実施例を示す工程図で
ある。
【図5】従来のアルミニウム缶の一例を示す一部破断側
面図である。
【図6】従来のアルミニウム缶の製造方法の一例を示す
工程図である。
【図7】従来のアルミニウム缶の他の例を示す断面図で
ある。
【符号の説明】
11 缶本体 12 酸化アルミニウム被膜 13 缶底部 14 セラミックス被膜 15 胴周部 16 樹脂被膜 17 印刷層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B65D 6/00 - 13/02 B65D 23/00 - 25/56

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウムを主成分とする缶本体の缶
    底部外面に酸化アルミニウム被膜が形成され、この酸化
    アルミニウム被膜上には金属アルコキシドの反応生成物
    よりなるセラミックス被膜が形成されていることを特徴
    とするアルミニウム缶。
  2. 【請求項2】 上記酸化アルミニウム被膜の膜厚が50
    Å〜500Åであることを特徴とする請求項1記載のア
    ルミニウム缶。
  3. 【請求項3】 上記金属アルコキシドが、Si,Ti,
    Zr,Al,およびSnのうち、少なくともいずれか一
    種の金属アルコキシドであることを特徴とする請求項1
    または2記載のアルミニウム缶。
  4. 【請求項4】 上記金属アルコキシドの反応生成物より
    なるセラミックス被膜の厚さが、100Å〜500Åで
    あることを特徴とする請求項1、2または3記載のアル
    ミニウム缶。
  5. 【請求項5】 上記酸化アルミニウム被膜の厚さと、上
    記セラミックス被膜の厚さとの和が、200Å〜550
    Åであることを特徴とする請求項1、2、3または4記
    載のアルミニウム缶。
  6. 【請求項6】 上記缶本体には、その内面に酸化アルミ
    ニウム被膜が形成され、この酸化アルミニウム被膜の上
    には樹脂被膜が形成されるとともに、該缶本体の胴周部
    外面には上記缶底部外面に形成された酸化アルミニウム
    被膜に連続して酸化アルミニウム被膜が形成され、この
    缶本体胴周部外面に形成された酸化アルミニウム被膜上
    には樹脂被膜が形成され、さらにこの樹脂被膜の上には
    印刷層が形成されていることを特徴とする請求項1、
    2、3、4または5記載のアルミニウム缶。
  7. 【請求項7】 アルミニウムを主成分とする缶本体を脱
    脂した後、この缶本体の少なくとも缶底部外面に酸化ア
    ルミニウム被膜を形成し、さらに、この酸化アルミニウ
    ム被膜上に金属アルコキシド溶液を塗布した後に加熱処
    理を施して、上記金属アルコキシドの反応生成物よりな
    るセラミックス被膜を形成することを特徴とするアルミ
    ニウム缶の製造方法。
  8. 【請求項8】 上記酸化アルミニウム被膜を、熱酸化処
    理および水蒸気酸化処理のうち少なくともいずれか一方
    の方法によって形成することを特徴とする請求項7記載
    のアルミニウム缶の製造方法。
  9. 【請求項9】 上記酸化アルミニウム被膜の膜厚を、5
    0Å〜500Åとすることを特徴とする請求項7または
    8記載のアルミニウム缶の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記セラミックス被膜を形成する際の
    加熱処理を、100℃〜250℃の温度で行うことを特
    徴とする請求項7、8、または9記載のアルミニウム缶
    の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記金属アルコキシド溶液が、Si,
    Ti,Zr,Al,およびSnのうち、少なくともいず
    れか一種の金属アルコキシドを含むアルコール溶液であ
    ることを特徴とする請求項7、8、9または10記載の
    アルミニウム缶の製造方法。
  12. 【請求項12】 上記セラミックス被膜の厚さを100
    Å〜500Åとすることを特徴とする請求項7、8、
    9、10または11記載のアルミニウム缶の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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