JP2946579B2 - ハイブリッドプロモーター - Google Patents

ハイブリッドプロモーター

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、大腸菌内で下流(3′側)に連結された遺
伝子を強力に発現させることの可能なハイブリッドプロ
モーターに関するものである。
(従来の技術) 原核又は真核細胞を宿主とした組換DNA技術による蛋
白質の発現において、蛋白質の生産性は特に蛋白質を暗
号化する構造遺伝子のmRNAへの転写効率に大きく影響さ
れる。
転写効率とはRNAポリメラーゼがmRNAの合成を開始す
る効率のことであり、いわゆる『プロモーター強度』に
依存するものであり、プロモーターの塩基配列により支
配されているものである。遺伝子の転写は、遺伝子の発
現(即ち蛋白質の発現)の第1のステップであり、所望
の蛋白質又はペプチドを遺伝子組換技術により大量に得
ようとする場合にはより効率の良い転写を実現できる強
力なプロモータを使用することが必要である。
ところで、単にベクター上で構造遺伝子の上流(5′
側)に強力なプロモーターを導入したのみでは、該ベク
ターにより形質転換された宿主細胞は所望の蛋白質を製
造し続ける結果、その増殖に悪影響を及ぼし、ひいては
蛋白質の生産性が低下したり、場合によっては継代培養
された宿主において蛋白質の生産性が低下するという事
態が生じる。従って、従来から一定期間プロモーターの
発現を抑制し、ある条件下で抑制を解除する等の操作が
行われている。
(従来技術の課題) 従来から、一定の条件下でのみ発現するプロモーター
として、大腸菌のトリプトファンプロモーター(trp;Em
tage,J.S.ら、Nature 283巻、171頁、1983年)、ラクト
ースプロモーター(lac;Itakura,K.Science 198巻、105
6頁、1977年)又は大腸菌ファージのPLプロモーター(P
L;Bernard,H.、Gene5巻59頁、1979年)が知られてい
る。
例えばlacでは、リプレッサー蛋白質がプロモーター
の−10領域より下流に位置するDNA部分(オペレータ
ー)に結合することによりその発現が抑制されるから、
抑制を解除しようとする場合には該リプレッサー蛋白質
と前記DNA部分の結合を妨害する様な、ラクトースアナ
ログ等を添加すれば良い。
しかしながら、非常に簡単な操作により発現を制御可
能なlac等では、その発現力が比較的弱い、という欠点
があり、また発現力の強力なtrp等ではその発現の制御
が困難であるという課題がある。
一方、特開昭57−194790号に記載された様に、比較的
強力な発現力を有するプロモーターの5′フランキング
領域、−35コンセンサス領域を有する第1のDNA断片
と、第1のプロモーターよりもその発現力は劣るもの
の、発現の制御が比較的容易であるプロモーターの−10
コンセンサス領域及び該領域の下流を結合させた、人工
なプロモーターも知られている。
なかでも『tac』と呼ばれる、trpとlacUV5プロモータ
ーのハイブリッドプロモーターは、trpに由来する強力
な発現力とlacUV5に由来する制御の容易性を兼ね備えて
おり、遺伝子組換による蛋白質の製造に際しては特に有
効なプロモーターである(前記公報の他、Natl.Acad.Sc
i.USA 80.21−25,1983年)。
しかしながら、近年になってtrpを上回る発現力を有
するプロモーターが知られる様になり、tacを越えた性
能を有するプロモーターの出現が望まれている。また、
プロモーター系等は、発現させようとする蛋白質に応じ
て種々の系を保持し、必要に応じて使い分けることが望
ましい。
(発明の構成) 本発明者らは、大腸菌ファージT3の初期遺伝子群を誘
導するプロモーターがtrpよりも強力な発現力を有する
こと、また、このプロモーターの5′フランキング領
域、−35領域及からなるDNA断片を第1のDNA断片として
他のプロモーターの−10領域からなる第2のDNA断片と
結合させた後、更にこの第1のDNA断片と第2のDNA断片
が結合したプロモーター部分の発現を制御し得る第3の
DNA断片を結合させることで発現力を有し、かつその発
現を制御し得るハイブリッドプロモーターを調製できる
ことを見出し本発明を完成させた。
すなわち本発明は、従来知られたプロモーターと同等
又はより強力な発現力を有する新規のプロモーターを提
供するものであり、大腸菌T3ファージ初期遺伝子群の発
現を誘導するプロモーターの5′フランキング領域及び
−35領域からなる第1のDNA断片、他のプロモーターの
−10領域からなる第2のDNA断片及び第1のDNA断片と第
2のDNA断片から形成されるプロモーター部分の発現を
制御し得る第3のDNA断片が結合してなるハイブリッド
プロモーターである。以下本発明を更に詳細に説明す
る。
大腸菌T3ファージ初期遺伝子群の発現を誘導するプロ
モーターとは、大腸菌ファージT3群のゲノム中に存在す
るプロモーター機能を有するDNA配列を意味し、例えば
該機能を損なわない範囲で一部の塩基を欠失、置換、挿
入されたものであっても同様である。天然に存在するT3
ファージ初期遺伝子プロモーターとしては、ファージゲ
ノムの左端に位置しクラスターを形成する3個のプロモ
ーター(A1、A2、A3)が知られている(Nucleic Acids
Research 14巻 No.11、第4696頁、1986年)。
本発明では、これら3個の天然に存在するプロモータ
ー以外でも、先に説明した様にこれらプロモーターに由
来し、人工的に変異を受けたものの他、天然に変異した
ものであってプローモーターとしての機能を有している
ものであれば良い。
以下、天然に存在するプロモーター中の、A3と呼ばれ
るプロモーター(以下A3プロモーターとする)を一例と
して説明するが、以下の説明はA1及びA2プロモーターに
も適用されることは言うまでも無い。
A3プロモーターは、詳しくは次式で示される塩基配
列からなるものである。
(ただし、式中の信号は通常の遺伝子学の分野で使用さ
れるものと同じ意味である) 本発明のハイブリッドプロモーターにおいてその強力
な発現力を提供する第1のDNA断片は以上説明したT3フ
ァージの初期遺伝子群を誘導するプロモーター、例えば
前式で示される塩基配列からなるA3プロモーターに由
来する。
第1のDNA断片は、これらプロモーターの全部を含む
必要はなく、その5′フランキング領域、−35領域及び
−10領域からなるものであれば良い。ここで、各領域に
ついて、前記式中に下線を引いて示す。詳しくは、
5′フランキング領域は『TTAAACAAAGTGG』であり、−3
5領域は『TTGACA』である。
本発明では、第1DNA断片は天然のT3ファージから実施
例に示す様に、既知の方法により極めて容易に取得する
ことが出来る。また、この配列は人工的に合成しても良
い。
第1のDNA断片は、その5′フランキング領域上流又
は−35領域下流側に付加的な塩基を有していても良い
が、特に−35領域下流の付加的な塩基が多いと結果とし
て第2のDNA断片に由来する−10領域との距離が遠くな
り、プロモーターの発現力に影響する恐れがある。この
ため、−35領域の下流の塩基は、最終的に本発明のハイ
ブリッドプロモーターが構築された時に、その−35領域
と−10領域間の距離が天然のA3プロモーターのそれと同
一となる様にすることが好ましい。
他のプロモーターの−10領域からなる第2のDNA断片
としては、例えばlac、PL、trp、rec A等のプロモータ
ーに由来する断片を使用すれば良い。これらのプロモー
ターにおける−10領域は、一般にコンセンサス領域とし
て公知であり、天然に存在するプロモーターから調製し
ても良いし人工的に合成しても良い。
第3のDNA断片は、前記した第1のDNA断片と第2のDN
A断片から形成されるプロモーター部分の発現を制御し
得るものであれば何等制限はない。一般に、プロモータ
ー部分の発現を制御し得る部分としては、オペレーター
が知られている。中でも、lacに由来するオペレーター
はプロモーター部分と明確に区別可能な部分に存在し、
しかも例えばIPTG等の化学物質の添加により簡単に制御
状態を解除し得るため、本発明の第3のDNA断片として
好ましい。しかも、第2及び第3のDNA断片をlacから調
製する場合には、lacの−10領域及びその下流部分を調
製することでこれらが連結した状態で調整できる。
例えばlacプロモーターは、具体的には次式で示さ
れる塩基配列からなるものである。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) 前記配列は従来公知の配列であって、その−10領域
は『TATAATG』であり、そのオペレーター部分は『AATTG
TGAGCGGATAACAATTTCACACA』である(例えば特開昭57−1
94790号等参照)。
以上の様な配列以外にも、lacとしては例えば、A.Sim
onsら(Proc.Natl.Sci.USA、第81巻、1624頁、1984年)
に報告されたものがある。従って、これらを参考にする
ことで前記配列は調製することが可能であり、又は人工
的に合成することによっても調製することが出来る。
本発明のプロモーターは、強力な発現力を有するT3プ
ロオーターに由来する第1のDNA断片及び他のプロモー
ターに由来する第2のDNA断片から形成されるプロモー
ター部分とこのプロモーター部分の発現を制御し得る第
3のDNA断片が結合してなるものである。これまで説明
した様に、第1のDNA断片としてはT3プロモーター(A
1、A2又はA3プロモーター)に由来する断片が使用で
き、第2又は第3のDNA断片としてはlac、PL、trp、rec
Aに由来する断片が使用できる。具体的には、A3プロモ
ーターに由来する第1のDNA断片と、lacに由来する第2
及び第3のDNA断片とが結合したプロモーターとして、
次式で示されるものを例示できる。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) 前記式においては前記式に由来する5′フランキ
ング領域及び−35領域からなる第1のDNA断片が、前記
式に由来する−10領域及びその下流に位置するオペレ
ーター部分からなる第2及び第3のDNA部分と結合した
ものである。
前期式で示される塩基配列からなる本発明のプロモ
ーターは、第3のDNA断片としてlacオペレーター領域を
有することから、その発現は、例えばlacI、lacIq等の
リプレッサ−蛋白をコードする遺伝子をベクターに導入
するか、それを宿主のゲノムに導入するか又は宿主が有
する天然のlacI(lacIq)を利用することにより抑制さ
れ、IPTG等を添加することにより解除、即ち発現を開始
するようになる。
(発明の効果) 本発明のハイブリッドプロモーターは、下流(3′
側)に接続されたDNA(通常は構造遺伝子であるが…)
を強力に発現させるものである。従って、遺伝子学的手
法を用いて工業的に蛋白質又はペプチドを製造する場合
には好適なものである。しかも本発明のプロモーター
は、その発現を容易に制御し得るという特徴を有するた
め、特に発現する蛋白質が宿主の成育を妨げる様な場合
にも有効である。
本発明は、従来知られていない新規のプロモーターを
提供するものである。種々の蛋白質の発現に際し、最も
適当な発現系を探索し使用することが要求される遺伝子
工学の分野において、発現力においては従来知られたも
の以上に強力であり制御性においても従来のものと同等
である本発明のプロモーターは、この様な要求に答える
ものである。
(実施例) 以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を
記載するが、これは本発明の一例であって本発明を制限
するものではない。
実施例1 人工的に合成されたA3プロモーターの発現強度(プロ
モーター強度)を検定するためのプラスミド、pA3−P1
を構築した。
プラスミドpKK232−8(クロラムフェニコール耐性遺
伝子(以下CATとする)を発現するプロモーター強度検
定用ベクター、ファルマシア社製、cat no.27−4925−0
1)のDNA2μgを50μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH
7.5、50mM NaCl、1mMジチオスレイトール)中でSal I
(5ユニット)、Hind III(5ユニット)により37℃で
1時間消化した。
反応後、反応液を等量のフェノール/クロロフォルム
で抽出し、2倍量のエタノールを添加して消化されたプ
ラスミドDNAを沈殿させ、回収した。回収したプラスミ
ドDNAを10μlのTE緩衝液(10mMトリス−塩酸pH8.0、1m
M EDTA)に溶解した。以後、この溶解液をDNA溶液Aと
する。
一方、次式の合成DNA(1.8μg;100pmole)と合成DN
A(1.8μg;100pmole)を50μlの50mM MgCl2溶液中、
70℃で10分間加温した後、さらに37℃で30分間加温して
アニーリングさせた。このアニーリングした合成DNA
とを含む溶液を以後DNA溶液Bとする。
(ただし、式中の記号は通常の遺伝子学の分野で使用さ
れるものと同じ) 2μlのDNA溶液Aと10μlのDNA溶液Bを50μlの緩
衝液(66mMトリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジチオ
スレイトール−、0.6mM ATP)に添加し、更に該溶液にT
4DNAリガーゼ(50ユニット)を添加した後、16℃で20時
間反応させた。
この反応液10μlを使用して、既知の手法に従って大
腸菌(JM109株)を形質転換し、クロラムフェニコール
を50μg/mlの濃度で含むLBプレートに塗布し、37℃で一
晩放置した。出現した大腸菌のコロニーをクロラムフェ
ニコールを50μg/mlの濃度で含むLB培地に接種し、37℃
で一晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAは、Sal I、Hind
IIIでの消化によって55塩基対のDNA断片が生じることか
ら目的のプラスミド(pA3−P1)が得られたことが確認
された。
本実施例での手順を図1に示す。
実施例2 A3プロモーターに由来する5′フランキング領域及び
−35領域からなる第1のDNA断片、とlacに由来する−10
領域及びその下流のオペレーター部分からなる第2及び
第3のDNA断片が結合した本発明のハイブリッドプロモ
ーターを含むプラスミドpA3−L2を構築した。
2μgの合成DNA(200pmole)を100μlの緩衝液
(50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM MgCl2、10mMメルカプ
トエタノール、0.3mM ATP)に添加し、更にT4DNAキナー
ゼ(30ユニット)を添加して37℃で1時間反応させて
5′末端をリン酸化した。この反応液に3μgの合成DN
A(200pmole)を含むTE緩衝液(10μl)を添加し、7
0℃で30分間加温し、更に37℃で加温してアニーリング
させた。この、アニーリングした合成DNAとを含む
溶液を以後DNA溶液Cとする。
(ただし、式中の記号は前記に同じであり、合成DNA
中の『P』はリン酸基を示すものである) 2.4μg(200pmole)の合成DNAを100μlの緩衝液
(50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM MgCl2、10mMメルカプ
トエタノール、0.3mM ATP)に添加し、更にT4DNAキナー
ゼ(30ユニット)を添加して37℃で1時間反応させて
5′末端をリン酸化した。この反応液に3.3μgの合成D
NA(200pmole)を含むTE緩衝液10μlを添加し70℃で30
分間加温してアニーリングさせた。このアニーリングし
た合成DNAとを含む溶液を以後DNA溶液Dとする。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) DNA溶液C(10μl)、DNA溶液D(10μl)及びDNA
溶液A(2μl)を含む100μlの緩衝液(66mMトリス
−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジチオスレイトール、0.6
mM ATP)に、T4DNAリガーゼ(50ユニット)を添加し、1
6℃で12時間反応させた。この反応液10μlを使用し
て、既知の方法により大腸菌(JM109株)を形質転換し
た後、50μg/mlのクロラムフェニロールを含むLBプレー
トに塗布し、37℃で一晩静置して生じたコロニーを50μ
g/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地に接種して一
晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAは、Sal I、Hind
IIIでの消化によって81塩基対のDNA断片が生じることか
ら目的のプラスミド(pA3−L2)が得られたことが確認
された。
本実施例での手順を図2に示す。
実施例 3 tacプロモーターの制御下でCAT遺伝子を発現するプラ
スミド(pKKtac)を構築した。
tacプロモーターを有するプラスミドpKK 233−3(フ
ァルマシア社製、cat.no.27−4935−01)のDNA2μgを5
0μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.5、50mM NaCl、1
mMジチオスレイトール)に添加し、Bam HI(5ユニッ
ト)により37℃で1時間消化し、生じた約350塩基対のt
acプロモーターを含むDNA断片を電気泳導によって精製
した。精製したDNAを10μlのTE緩衝液(10mMトリス−
塩酸pH8.0、1mM EDTA)に溶解した。このDNA溶液を以後
DNA溶液Eとする。
一方、プラスミドpKK232−8を発現すプロモーター強
度検定用ベクターのDNA2μgを、50μlの緩衝液(10mM
トリス−塩酸pH7.5、50mM NaCl、1mMジチオスレイトー
ル)中でBam HI(5ユニット)により37℃で1時間消化
した。反応液を等量のフェノール/クロロフォルムで抽
出した後、2倍量のエタノールを添加して消化されたプ
ラスミドDNAを沈殿させ回収した。回収したDNAは10μl
のTE緩衝液に溶解した。以後、このDNA溶液をDNA溶液F
とする。
5μlのDNA溶液Eと5μlのDNA溶液Fを含む50μl
の緩衝液(60mMトリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジ
チオスレイトール、0.6mM ATP)にT4DNAリガーゼ(50ユ
ニット)を添加し、16℃で12時間反応させた。
10μlの反応溶液を使用して、既知の方法に従って大
腸菌(JM109株)を形質転換し、50μg/mlのクロラムフ
ェニコールを含むLBプレートに塗布して37℃で一晩静置
した。生じたコロニーを、50μg/mlのクロラムフェニコ
ールを含むLB培地に接種し、37℃で一晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAの、Bam HI、Eco
RIでの消化による消化パターンから目液のプラスミド
(pKKtac)が得られたことが確認された。
本実施例での手順を図3に示す。
実施例4 実施例1〜3で構築したプラスミドのプロモーター強
度を、CAT遺伝子の発現を指標として検定した。
大腸菌(JM109株)をプラスミドpKK232−8、pA3−L
2、pKKtacによって形質転換した。
それぞれの形質転換菌を、50μg/mlのアンピシリンを
含むLB培地(以後、LB−Amp培地とする)に接種し、37
℃で一晩振盪培養した。100μlの培養液を、5mlのLB−
Amp培地が入った試験官2本に接種し、37℃で振盪培養
した。
培養液の濃度がOD600=0.4となったときに、一方には
IPTGを最終濃度が0.5mMとなるように添加し、更に2時
間振盪培養を続けた。
培養終了後、1OD菌体を遠心分離によって集菌し、500
μlのTE緩衝液で洗浄した後、再び100μlの緩衝液
(0.25Mトリス−塩酸pH7.8)に懸濁した。懸濁液をドラ
イアイス−エタノール中で急凍結した後、37℃の温浴に
て解凍する操作を3回行って細胞を破壊した。
55μlの細胞抽出液に70μlの1Mトリス−塩酸(pH7.
8)及び0.1μCiクロラムフェニコール(NEN社製)を添
加し、37℃で5分間加温した後20μlの4mMアセチルCoA
・リチウム塩(シグマ社製)を添加し、37℃で60分間反
応させた。次に、1mlの酢酸エチルを添加して反応を停
止させた後、有機溶媒層を抽出して乾燥させた。
20μlの酢酸エチルに乾燥物を懸濁した後、TLC(薄
層クロマトグラフィー)に1μlずつ5回スポットし、
クロロフォルム/酢酸エチル(v/v=75/25)の展開溶媒
で展開した。TLCペーパーを乾燥後、X線フィルム(KOD
AK X−RAYフィルム)、増感紙を使用して−80℃で一晩
オートラジオグラフィーを実施した。結果を図4に示
す。
第4図によれば、プロモーターを有していないプラス
ミドpKK232−8により形質転換されたM109株ではCAT活
性は検出されず(第2のカラム)、tacプロモーターを
有するJM109/pKKtacではIPTGを添加した場合に強いCAT
活性が検出されている(第3、第4のカラム)。本発明
の、A3プロモーターの5′フランキング領域及び−35領
域からなる第1のDNA断片、lacの−10領域からなる第2
のDNA断片及びlacの−10領域の下流に位置するオペレー
ター部分からなる第3のDNA断片が結合したハイブリッ
ドプロモーターを有するJM109/pA3−L1では、IPTGを添
加した場合にJM109/pKKtacを上回るCAT活性が検出され
た(第5、第6のカラム)。
これらの結果は、JM109/pA3−L1がtacプロモーター以
上に強い発現力を有し、また、tacと同様にIPTGの添加
により制御可能なプロモーターであることを示してい
る。
実施例5 1μgのプラスミドpUK02pm4(ヒト変異型プロウロキ
ナーゼ)DNAを50μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH8.
0、0.50mM NaCl、10mM MgCl2)に添加し、更にDra III
(10ユニット)とAat II(10ユニット)を添加して37℃
で2時間反応させた。この反応液をフェノール処理した
後、エタノール沈殿を行ってDNA断片を回収した。
なお、プラスミドpUK02pm4は、寄託番号『DSM4257
号』として西ドイツDSMに寄託されている。
一方、合成遺伝子を、それぞれ74塩基、73塩基から
なる2種の一本鎖DNAオリゴマーをフォスフォアミダイ
ト法により合成し、1μgずつを10μlの反応液(60mM
トリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2)に添加して65℃で5分
間加熱処理した後室温で放置することでアニーリングさ
せた調製した。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) 合成遺伝子は、両末端がDra III及びAat IIによる
消化末端と同一であり、内部にSal I及びHind IIIによ
る認識部位及びメタピロカテカーゼ遺伝子のSD配列(以
後、C230SDとする)を有するものである。
先にpUK02pm4から調製したDNA断片と合成遺伝子を2
0μlの緩衝液(66mMトリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5
mMジチオスレイトール、0.1mM ATP)に添加し、更にT4D
NAリガーゼ(10ユニット)を添加して15℃で5時間反応
させて連結した後、この反応液を5μlを使用して大腸
菌(JM109株)を形質転換した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAについて種々の制
限酵素の消化パターンを調査した結果目的のプラスミド
が得られたことが確認された。以後、このプラスミドを
pUKΔtacとする。
本実施例での手順を図5に示す。
実施例6 先に調製したプラスミドpA3−L2を50μg含む200μl
の緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.6、MgCl2、60mM NaC
l)にSal I(100ユニット)及びHind III(100ユニッ
ト)を添加して37℃で2時間消化させた。この反応によ
って生じた81塩基対のDNA断片を常法に従って単離し
た。
一方、5μgのプラスミドpUKΔtacDNAを含む50μl
の緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.6、MgCl2、60mM NaC
l)にSal I(100ユニット)及びHing III(100ユニッ
ト)を添加して37℃で2時間消化させ、反応によって生
じた6千塩基対のDNA断片をアガロース電気泳導により
回収した。
81塩基対のDNA断片を各々1μg含む20μlの緩衝液
(10mMトリス−塩酸pH7.6、7mM MgCl2、60mM NaCl)にS
al I及びHind IIIで切断したpUKΔtacDNA1μgを添加
し、更にT4DNAリガーゼ(10ユニット)を添加して15℃
で15時間反応させて連結した。得られた反応液5μlを
使用して、既知の方法により大腸菌(JM109株)を形質
転換した。
得られた転換菌からアルカリ溶菌法により本発明のハ
イブリッドプロモーターを有するプラスミドDNAを単離
した。以後、得られたDNAを各々pUK02−A2とする。
本実施例の手順を第5図に示す。
実施例7 大腸菌によるヒト変異型プロウロキナーゼの生産性を
測定した。
プラスミドpUK02pm4及びpUK02−A2を使用して、大腸
菌(KY1436株)を既知の方法により形質転換し、得られ
た形質転換菌をM9mE培地(M9salt、0.1%イーストエキ
ストラクト、0.2%グリセロール、2μg/mlチアミン)
で30分間振盪培養した。
対数増殖期において、最終濃度が1mMとなる様にIPTG
を添加し、更に4時間培養を行った。培養終了後、10OD
ユニット相当の菌体を遠心分離により回収し、1mlの100
mMトリス−塩酸(pH8.0)に懸濁し、超音波により菌体
を破砕した。
破砕液を1mlの50mMトリス−塩酸(pH8.9)及び4Mグア
ニジン塩酸を含む溶液に懸濁し、60℃で60分間放置する
ことにより可溶化した。該液に、3mlの可溶化液(50mM
トリス−塩酸pH8.0、0.2mMグルタチオン(還元型)、5m
M EDTA)を添加し、室温で16時間放置してリフォールデ
ィングを行った。
溶液中のプロウロキナーゼを活性型のウロキナーゼに
する目的で、95μlの活性化液(100mMトリス−塩酸pH
8.0、0.01%トリトンX−100、5μgプラスミン)を添
加し、37℃にて30分間放置した。
プラスミンの反応を停止させるために25μgの大豆ト
リプシンインヒビターを添加した後、700μlのウロキ
ナーゼの基質液(50mMトリス−塩酸pH8.0、0.2mMウロキ
ナーゼ合成基質(S−2444、第一化学薬品製)、0.01%
トリトンX−100)を添加し、37℃にて30分間反応させ
た。
1000μlの酢酸を添加して反応を停止させた後、405n
mの吸光度を測定して標準ウロキナーゼ(緑十字(株)
社製)の合成基質(S−2444)の分解活性と比較した。
結果を次表に示す。この結果、tacプロモーターを有
するプラスミド(pUK−02)に比較して、本発明のプロ
モーターを有するプラスミド(pUK02−A2)では、約1.2
倍のプロウロキナーゼが発現していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1、2、3及び第5図は、本発明の実施例で構築した
プラスミドの構築手順を示すのもである。ただし、図中
の記号等は通常の遺伝子工学の使用されるものと同一で
ある。 第4図は、実施例5におけるオートラジオグラフィーの
結果を示すものである。図中、IPTG+の記号はIPTGを添
加してプロモーターの発現を解除させたもの、IPTG−は
IPTGを添加することなしに培養を続けたものを示してい
る。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) REGISTRY(STN) CA(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大腸菌T3ファージ初期遺伝子群の発現を誘
    導するプロモーターの5′フランキング領域及び−35領
    域を含む第1のDNA断片、ラクトースプロモーターの−1
    0領域からなる第2のDNA断片及び前記第1のDNA断片と
    第2のDNA断片から形成されるプロモーター部分の発現
    を制御し得る第3のDNA断片が結合してなる、下記式1
    で示される塩基配列のハイブリッドプロモーター。
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