JP2946566B2 - ハイブリッドプロモーター - Google Patents

ハイブリッドプロモーター

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、大腸菌内で下流(3´側)に連結された遺
伝子を強力に発現させることの可能なハイブリッドプロ
モーターに関するものである。
(従来の技術) 原核又は真核細胞を宿主とした、組換DNA技術による
蛋白質の発現において、蛋白質の生産性は特に蛋白質を
暗号化する構造遺伝子のmRNAへの転写効率に大きく影響
される。
転写効率とはRNAポリメラーゼがmRNAの合成を開始す
る効率のことであり、いわゆる『プロモーター強度』に
依存するものであり、プロモーターの塩基配列により支
配されているものである。遺伝子の転写は、遺伝子の発
現(即ち蛋白質の発現)の第1のステップであり、所望
の蛋白質又はペプチドを遺伝子組換技術により大量に得
ようとする場合にはより効率の良い転写を実現できる強
力なプロモーターを使用することが必要である。
ところで、単にベクター上で構造遺伝子の上流(5´
側)に強力なプロモーターを導入したのみでは、該ベク
ターにより形質転換された宿主細胞は所望の蛋白質を製
造し続ける結果、その増殖に悪影響を及ぼし、ひいては
蛋白質の生産性が低下したり、場合によっては継代培養
された宿主において蛋白質の生産性が低下するという事
態が生じる。従って、従来から一定期間プロモーターの
発現を抑制し、ある条件下で抑制を解除する等の操作が
行われている。
(従来技術の課題) 従来から、一定の条件下でのみ発現するプロモーター
として、大腸菌のトリプトファンプロモーター(trp;Em
tage,J.S.ら、Nature 283巻、171頁、1983年)、ラク
トースプロモーター(lac;Itakura,K.Science 198巻、
1056頁、1977年)又は大腸菌ファージのPLプロモーター
(PL;Bernard,H.、Gene5巻、59頁、1979年)が知られて
いる。
例えばlacでは、リプレッサー蛋白質がプルモーター
の−10領域より下流に位置するDNA部分(オペレータ
ー)に結合することによりその発現が抑制されるから、
抑制を解除しようとする場合には該リプレッサー蛋白質
と前記DNA部分の結合を妨害する様な、ラクトースアナ
ログ等を添加すれば良い。
しかしながら、非常に簡単な操作により発現を制御可
能なlac等では、その発現力が比較的弱い、という欠点
があり、また発現力の強力なtrp等ではその発現の制御
が困難であるという課題がある。
一方、特開昭57−194790号に記載された様に、比較的
強力な発現力を有するプロモーターの5´フランキング
領域、−35コンセンサス領域を有する第1のDNA断片
と、第1のプロモーターよりもその発現力は劣るもの
の、発現の制御が比較的容易であるプロモーターの−10
コンセンサス領域及び該領域の下流を結合させた、人工
のプロモーターを知られている。
なかでも『tac』と呼ばれる、trpとlacUV5プロモータ
ーのハイブリッドプロモーターは、trpに由来する強力
な発現力とlacUV5に由来する制御の容易性を兼ね備えて
おり、遺伝子組換による蛋白質の製造に際しては特に有
効なプロモーターである(前記公報の他、Natl.Acad.Sc
i.USA 80.21−25,1983年)。
しかしながら、近年になってtrpを上回る発現力を有
するプロモーターが知られる様になり、tacを越えた性
能を有するプロモーターの出現が望まれている。また、
tac等の特開昭57−194790号に記載されたプロモーター
は、2つのプロモーターをその−35コンセンサス領域と
−10コンセンサス領域の間にて結合させるため、容易に
は製造できない、という課題がある。なぜなら、プロモ
ーターの発現力は、−35及び−10領域の高度に保存され
た塩基配列以外にもそれら領域間の距離によっても影響
を受けるからである。従って、このようなプロモーター
を製造する時には、−35と−10の領域間の塩基数を変化
させたものを多数調製し、その強度を確認する必要があ
る。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、大腸菌ファージT3の初期遺伝子群を誘
導するプロモーターがtrpよりも強力な発現力を有する
こと、また、このプロモーターの5´フランキング領
域、35領域及び−10領域を含むDNA断片を第1のDNA断片
とし、この断片に該断片の発現を制御し得るDNA断片を
結合させることで、従来のプロモーターに比較してより
高い発現力を有し、かつその発現を制御し得るハイブリ
ッドプロモーターを調製できることを見出し本発明を完
成させた。
すなわち本発明は、大腸菌T3ファージ初期遺伝子群の
発現を誘導するプロモーターの5´フランキング領域、
−35領域及び−10領域を含む第1のDNA断片と該断片の
発現を制御し得る第2のDNA断片が結合してなるハイブ
リッドプロモーターである。以下本発明を更に詳細に説
明する。
大腸菌T3ファージ初期遺伝子群の発現を誘導するプロ
モーターとは、大腸菌ファージT3群のゲノム中に存在す
るプロモーター機能を有するDNA配列を意味し、例えば
該機能を損なわない範囲で一部の塩基を欠失、置換、挿
入されたものであっても同様である。天然に存在するT3
ファージ初期遺伝子プロモーターとしては、ファージゲ
ノムの左端に位置しクラスターを形成する3個のプロモ
ーター(A1、A2、A3)が知られている(Nucleic Acids
Research 14巻 No.11、第4696頁、1986年)。
本発明では、これら3個の天然に存在するプロモータ
ー以外でも、先に説明した様にこれらプロモーターに由
来し、人工的に変異を受けたものの他、天然に変異した
ものであってプロモーターとしての機能を有しているも
のであれば良い。
以下、天然に存在するプロモーター中の、A3と呼ばれ
るプロモーター(以下A3プロモーターとする)を一例と
して説明するが、以下の説明はA1及びA2プロモーターに
も適用されることは言うまでも無い。
A3プロモーターは、詳しくは次式で示される塩基配
列からなるものである。
(ただし、式中の記号は通常の遺伝子学の分野で使用さ
れるものと同じ意味である) 本発明のハイブリッドプロモーターにおいてその強力
な発現力を提供する第1のDNA断片は以上説明したT3フ
ァージの初期遺伝子群を誘導するプロモーター、例えば
前式で示される塩基配列からなるA3プロモーターに由
来する。
第1のDNA断片は、これらプロモーターの全部を含む
必要はなく、その5´フランキング領域、−35領域及び
−10領域からなるものであれば良い。ここで、各領域に
ついて、前記式中に下線を引いて示す。詳しくは、5
´フランキング領域は『TTAAACAAAGTGG』であり、−35
領域は『TTGACA』であり、−10領域は『TACGAT』であ
る。
本発明では、第1のDNA断片は天然のT3ファージから
実施例を示す様に、既知の方法により極めて容易に取得
することが出来る。また、この配列は人工的に合成して
も良い。
第1のDNA断片は、その5´フランキング領域上流又
は−10領域下流側に付加的な塩基を有していても良い
が、特に−10領域下流の付加的な塩基が多いとプロモー
ターの発現に影響する恐れがあるため、この場合には適
当に長さを調節すると良い。この長さは適当で良く、厳
密に調整する必要はない。
第1のDAN断片の発現を制御し得る第2のDNA断片とし
ては、例えばlac、PL、trp、rec Aに由来する断片を
使用すれば良い。なかでも、lacの−10領域の下流側に
位置する部分、即ち−10領域を含まないラクトースオペ
レーター部分は、第1のDNA断片の発現を制御する操作
が容易であることから好ましい。
このラクトースオペレーター部分は、具体的には次式
又はで示される塩基配列からなるものである。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) 前記配列は、例えばA.Simonsら(Proc.Natl.Sci.US
A、第81巻、1624頁、1984年)に報告されたものであ
り、前記配列は従来公知の配列であって、例えば特開
昭57−194790号に記載されている。従って、これらを参
考にすることで前記配列は調製することが可能であり、
または、必要な部分、即ちオペレーター部分のみを人工
的に合成することによっても調製することが出来る。
本発明のプロモーターは、例えば強力な発現力を有す
るT3プロオーターに由来する第1のDNA断片と該第1のD
NA断片の発現を制御し得る第2のDNA断片が結合してな
るものである。これまで説明した様に、第1のDNA断片
としてはT3プロモーター(A1、A2又はA3プロモーター)
に由来する断片が使用でき、第2のDNA断片としてはla
c、PL、trp、rec Aに由来する断片が使用できる。具
体的には、A3プロモーターに由来する断片と、lacに由
来する断片とが結合したプロモーターとして、次式又
はで示されるものを例示できる。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) 前記式においては前記式に由来する5´フランキ
ング領域、−35領域及び−10領域からなる第1のDNA断
片が、前記式に由来する−10領域下流に位置する部分
(オペレーター部分)を有する第2のDNA部分と結合し
たものである。また、前記式においては、前記式に
由来する5´フランキング領域、−35領域及び−10領域
からなる第1のDNA断片が前記式に由来する−10領域
下流に位置する部分(オペレーター部分)を有する第2
のDNA部分と結合したものである。
前期式又はで示される塩基配列からなる本発明の
プロモーターは、第2のDNA断片としてlacオペレーター
領域を有することから、その発現は、例えばlacI、lacI
q等のリプレッサー蛋白をコードする遺伝子をベクター
に導入するか、又は宿主のゲノムに導入することにより
抑制され、IPTG等を添加することにより解除、即ち発現
を開始するようになる。
(発明の効果) 本発明のハイブリッドプロモーターは、下流(3´
側)に接続されたDNA(通常は構造遺伝子であるが…)
を強力に発現させるものである。従って、遺伝子学的手
法を用いて工業的に蛋白質又はペプチドを製造する場合
には好適なものである。しかも本発明のプロモーター
は、その発現を容易に制御し得るという特徴を有するた
め、特に発現する蛋白質が宿主の成育を妨げる様な場合
にも有効である。
本発明は、従来知られていない新規のプロモーターを
提供するものである。種々の蛋白質の発現に際し、最も
適当な発現系を探索し使用することが要求される遺伝子
工学の分野において、発現力においては従来知られたも
の以上に強力であり制御性においても従来のものと同等
である本発明のプロモーターは、この様な要求に答える
ものである。
更に本発明のハイブリッドプロモーターでは、5´フ
ランキング領域、−35領域及び−10領域からなる第1の
DNA断片を同一のプロモーターから調製できるから、こ
の断片を第2のDNA断片と結合させる際には−35領域と
−10領域の間隔を調節する必要がない等、従来のハイブ
リッドプロモーターと比較しても優れた特徴を有するも
のである。
(実施例) 以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を
記載するが、これらは本発明の一例であって本発明を制
限するものではない。
実施例1 人工的に合成されたA3プロモーターの発現強度(プロ
モーター強度)を検定するためのプラスミド、pA3−P1
を構築した。
プラスミドpKK232−8(クロラムフェニコール耐性遺
伝子(以下CATとする)を発現するプロモーター強度検
定用ベクター、ファルマシア社製、cat no.27−4925−
01)のDNA2μgを50μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH
7.5、50mM NaCl、1mMジチオスレイトール)中でSal
I(5ユニット)、Hind III(5ユニット)により37
℃で1時間消化した。
反応後、反応液を等量のフェノール/クロロフォルム
で抽出し、2倍量のエタノールを添加して消化されたプ
ラスミドDNAを沈殿させ、回収した。回収したプラスミ
ドDNAを10μlのTE緩衝液(10mMトリス−塩酸pH8.0、1m
M EDTA)に溶解した。以後、この溶解液をDNA溶液Aと
する。
一方、次式の合成DNA(1.8μg;100pmole)と合成DN
A(1.8μg;100pmole)を50μlの5mM MgC12溶液中、
70℃で10分間加温した後、さらに37℃で30分間加温して
アニーリングさせた。このアニーリングした合成DNA
とを含む溶液を以後DNA溶液Bとする。
(ただし、式中の記号は通常の遺伝子学の分野で使用さ
れるものと同じ) 2μlのDNA溶液Aと10μlのDNA溶液Bを50μlの緩
衝液(66mMトリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジチオ
スレイトール、0.6mM ATP)に添加し、更に該四液にT4
DNAリガーゼ(50ユニット)を添加した後、16℃で20時
間反応させた。
この反応液10μlを使用して、既知の手法に従って大
腸菌(JM109株)を形質転換し、クロラムフェニコール
を50μg/mlの濃度で含むLBプレートに塗布し、37℃で一
晩放置した。出現した大腸菌のコロニーをクロラムフェ
ニコールを50μg/mlの濃度で含むLB培地に接種し、37℃
で一晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAは、Sal I、Hin
d IIIでの消化によって55塩基対のDNA断片が生じるこ
とから目的のプラスミド(pA3−P1)が得られたことが
確認された。
本実施例での手順を図1に示す。
実施例2 A3プロモーターに由来するDNA部分とlacの−10領域よ
り下流のDNA部分からなるプラスミドpA3−L1を構築し
た。
2μgの合成DNA(200pmole)を100μlの緩衝液
(50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM MgCl2、10mMメルカプ
トエタノール、0.3mM ATP)に添加し、更にT4DNキナー
ゼ(30ユニット)を添加して37℃で1時間反応させて5
´末端をリン酸化した。この反応液に3μgの合成DNA
(200pmole)を含むTE緩衝液(10μl)を添加し、70
℃で30分間加温し、更に37℃で加温してアニーリングさ
せた。この、アニーリングした合成DNAとを含む溶
液を以後DNA溶液Cとする。
(ただし、式中の記号は前記に同じであり、合成DNA
中の『P』はリン酸基を示すものである) 2.4μg(200pmole)の合成DNAを100μlの緩衝液
(50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM MgCl2、10mMメルカプ
トエタノール、0.3mM ATP)に添加し、更にT4DNAキナ
ーゼ(30ユニット)を添加して37℃で1時間反応させて
5´末端をリン酸化した。この反応液に3.3μgの合成D
NA(200pmole)を含むTE緩衝液10μlを添加して70℃で
30分間加温してアニーリングさせた。このアニーリング
した合成DNAとを含む溶液を以後DNA溶液Dとする。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) DNA溶液C(10μl)、DNA溶液D(10μl)及びDNA
溶液A(2μl)を含む100μlの緩衝液(66mMトリス
−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジチオスレイトール、0.
6mM ATP)に、T4DNAリガーゼ(50ユニット)を添加
し、16℃で12時間反応させた。この反応液10μlを使用
して、既知の方法により大腸菌(JM109株)を形質転換
した後、50μg/mlのクロラムフェニロールを含むLBプレ
ートに塗布し、37℃で一晩静置して生じたコロニーを50
μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地に接種して
一晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAは、Sal I、Hin
d IIIでの消化によって81塩基対のDNA断片が生じるこ
とから目的のプラスミド(pA3−L1)が得られたことが
確認された。
本実施例での手順を図2に示す。
実施例 3 tacプロモーターの制御下でCAT遺伝子を発現するプラ
スミド(pKKtac)を構築した。
tacプロモーターを有するプラスミドpKK 233−3
(ファルマシア社製、cat.no.27−4935−01)のDNA2μ
gを50μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.5、50mM N
aCl、1mMジチオスレイトール)に添加し、Bam HI(5
ユニット)により37℃で1時間消化し、生じた約350塩
基対のtacプロモーターを含むDNA断片を電気泳導によっ
て精製した。精製したDNAを10μlのTE緩衝液(10mMト
リス−塩酸pH8.0、1mM EDTA)に溶解した。このDNA溶
液を以後DNA溶液Eとする。
一方、プラスミドpKK232−8を発現すプロモーター強
度検定用ベクターのDNA2μgを、50μlの緩衝液(10mM
トリス−塩酸pH7.5、50mM NaCl、1mMジチオスレイトー
ル)中でBam HI(5ユニット)により37℃で1時間消
化した。反応液を等量のフェノール/クロロフォルムで
抽出した後、2倍量のエタノールを添加して消化された
プラスミドDNAを沈殿させ回収した。回収したDNAは10μ
lのTE緩衝液に溶解した。以後、このDNA溶液をDNA溶液
Fとする。
5μlのDNA溶液Eと5μlのDNA溶液Fを含む50μl
の緩衝液(66mMトリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジ
チオスレイトール、0.6mM ATP)にT4DNAリガーゼ(50
ユニット)を添加し、16℃で12時間反応させた。
10μlの反応溶液を使用して、既知の方法に従って大
腸菌(JM109株)を形質転換し、50μg/mlのクロラムフ
ェニコールを含むLBプレートに塗布して37℃で一晩静置
した。生じたコロニーを、50μg/mlのクロラムフェニコ
ールを含むLB培地に接種し、37℃で一晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAの、Bam HI、Eco
RIでの消化による消化パターンから目的のプラスミド
(pKKtac)が得られたことが確認された。
本実施例での手順を図3に示す。
実施例4 A3プロモーターに由来するDNA部分と、野生型のlacオ
ペレーターよりもlacリプレッサーとの結合能の高いオ
ペレーター部分からなるプラスミドpA3−L3を構築し
た。
2μgの合成DNA(200pmole)を100μlの緩衝液
(50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM MgCl2、10mMメルカプ
トエタノール、0.3mM ATP)に添加し、更にT4DNAキナ
ーゼ(30ユニット)を添加して37℃で1時間反応させて
5´末端をリン酸化した。この反応液に3μgの合成DN
A(200pmole)を含むTE緩衝液(10μl)を添加し、7
0℃で30分間加温し、更に37℃で加温してアニーリング
させた。この、アニーリングした合成DNAとを含む
溶液を以後DNA溶液Cとする。
(ただし、式中の記号は前記に同じであり、合成DNA
中の『P』はリン酸基を示すものである) 2.4μg(200pmole)の合成DNAを100μlの緩衝液
(50mMトリス−塩酸pH7.6、10mM MgCl2、10mMメルカプ
トエタノール、0.3mM ATP)に添加し、更にT4DNAキナ
ーゼ(30ユニット)を添加して37℃で1時間反応させて
5´末端をリン酸化した。この反応液に3.3μgの合成D
NA(200pmole)を含むTE緩衝液10μlを添加し70℃で30
分間加温してアニーリングさせた。このアニーリングし
た合成DNAとを含む溶液を以後DNA溶液Gとする。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) DNA溶液C(10μl)、DNA溶液G(10μl)及びDNA
溶液A(2μl)を含む100μlの緩衝液(66mMトリス
−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、5mMジチオスレイトール、0.
6mM ATP)に、T4DNAリガーゼ(50ユニット)を添加
し、16℃で1時間反応させた。この反応液10μlを使用
して、既知の方法により大腸菌(JM109株)を形質転換
した後、50μg/mlのクロラムフェニロールを含むLBプレ
ートに塗布し、37℃で一晩静置して生じたコロニーを50
μg/mlのクロラムフェニコールを含むLB培地に接種して
一晩振盪培養した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAは、Sal I、Hin
d IIIでの消化によって70塩基対のDNA断片が生じるこ
とから目的のプラスミド(pA3−L3)が得られたことが
確認された。
本実施例での手順を図4に示す。
実施例 5 実施例1〜3で構築したプラスミドのプロモーター強
度を、CAT遺伝子の発現を指標として検定した。
大腸菌(JM109株)をプラスミドpA3−P1、pA3−L1、p
KKtacによって形質転換した。これらの形質転換菌を、
以後JM109/pA3−P1、JM109/pA3−L1、JM109/pKKtacとす
る。
それぞれの形質転換菌を、50μg/mlのアンピシリンを
含むLB培地(以後、LB−Amp培地とする)に接種し、37
℃で一晩振盪培養した。100μlの培養液を、5mlのLB−
Amp培地が入った試験官2本に接種し、37℃で振盪培養
した。
培養液の濃度がOD600=0.4となったときに、一方には
IPTGを最終濃度が0.5mMとなるように添加し、更に2時
間振盪培養を続けた。
培養終了後、10D菌体を遠心分離によって集菌し、500
μlのTE緩衝液で洗浄した後、再び100μlの緩衝液
(0.25Mトリス−塩酸pH7.8)に懸濁した。懸濁液をドラ
イアイス−エタノール中に急凍結した後、37℃の温浴に
て解凍する操作を3回行って細胞を破壊した。
55μlの細胞抽出液に70μlの1Mトリス−塩酸(pH7.
8)及び0.1μCi クロラムフェニコール(NEN社製)を
添加し、37℃で5分間加温した後20μlの4mMアセチルC
oA・リチウム塩(シグマ社製)を添加し、37℃で60分間
反応させた。次に、1mlの酢酸エチルを添加して反応を
停止させた後、有機溶媒層を抽出して乾燥させた。
20μlの酢酸エチルに乾燥物を懸濁した後、TLC(薄
層クロマトグラフィー)に1μlずつ5回スポットし、
クロロフォルム/酢酸エチル(v/v=75/25)の展開溶媒
で展開した。TLCペーパーを乾燥後、X線フィルム(KOD
AK X−RAYフィルム)、増感紙を使用して−80℃で一
晩オートラジオグラフィーを実施した。結果を図5に示
す。
第5図によれば、プロモーターを有していないプラス
ミドpKK232−8により形質転換されたM109株ではCAT活
性は検出されず(第1のカラム)、tacプロモーターを
有するJM109/pKKtacではIPTGを添加した場合にのみ強い
CAT活性が検出されている(第2、第3のカラム)。本
発明の、A3プロモーターの5´フランキング領域、−35
領域及び−10領域からなる第1のDNA断片とlacの−10コ
ンセンサス領域下流に位置する部分(オペレーター部
分)からなる第2のDNA断片が結合したプロモーターを
有するJM109/pA3−L1では、IPTGを添加した場合にのみJ
M109/pKKtacを上回るCAT活性が検出された。
これらの結果は、JM109/pA3−L1がtacプロモーター以
上に強い発現力を有し、また、tacと同様にIPTGの添加
により制御可能なプロモーターであることを示してい
る。
実施例6 1μgのプラスミドpUK02pm4(ヒト変異型プロウロキ
ナーゼ)DNAを50μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH8.
0、50mM NaCl、10mM MgCl2)に添加し、更にDra III
(10ユニット)とAat II(10ユニット)を添加して37
℃で2時間反応させた。この反応液をフェノール処理し
た後、エタノール沈殿を行ってDNA断片を回収した。
なお、プラスミドpUK02pm4は、寄託番号『DSM4257
号』として西ドイツDSMに寄託されている。
一方、合成遺伝子を、それぞれ74塩基、73塩基から
なる2種の一本鎖DNAオリゴマーをフォスフォアミダイ
ト法により合成し、1μgずつを10μlの反応液(66mM
トリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2)に添加して65℃で5
分間加熱処理した後室温で放置することでアニーリング
させて調製した。
(ただし、式中の記号は前記に同じ) 合成遺伝子は、両末端がDra III及びAat IIによ
る消化末端と同一であり、内部にSal I及びHind III
による認識部位及びメタピロカテカーゼ遺伝子のSD配列
(以後、C230SDとする)を有するものである。
先にpUK02pm4から調製したDNA断片と合成遺伝子を2
0μlの緩衝液(66mMトリス−塩酸pH7.6、5mM MgCl2、
5mMジチオスレイトール、0.1mM ATP)に添加し、更にT
4DNAリガーゼ(10ユニット)を添加して15℃で5時間反
応させて連結した後、この反応液5μlを使用して大腸
菌(JM109株)を形質転換した。
得られた菌体溶液からアルカリ溶解法によってプラス
ミドDNAを回収した。該プラスミドDNAについて種々の制
限酵素の消化パターンを調査した結果目的のプラスミド
(pUKΔtac)が得られたことが確認された。
本実施例での手順を図6に示す。
実施例7 先に調製したプラスミドpA3−L1及びpA3−L3をそれぞ
れ50μg含む200μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.
6、MgCl2、60mM NaCl)にSal I(100ユニット)及び
Hind III(100ユニット)を添加して37℃で2時間消化
させた。この反応によって生じた各々81塩基対及び塩基
対のDNA断片を常法に従って単離した。
一方、5μgのプラスミドpUKΔtacDNAを含む50μl
の緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.6、MgCl2、60mM NaC
l)にSal I(100ユニット)及びHind III(100ユニ
ット)を添加して37℃で2時間消化させた。この反応液
をフェノール処理した後、エタノール沈殿を行ってDNA
断片を回収した。
81塩基対及び70塩基対のDNA断片を各々1μg含む20
μlの緩衝液(10mMトリス−塩酸pH7.6、7mM MgCl2、6
0mM NaCl)にSal I及びHind IIIで切断したpUKΔta
cDNA1μgを添加し、更にT4DNAリガーゼ(10ユニット)
を添加して15℃で15時間反応させて連結した。得られた
反応液5μlを使用して、既知の方法により大腸菌(JM
109株)の形質転換した。
得られた転換菌からアルカリ溶菌法によりプラスミド
DNAを単離した。以後、得られたDNAを各々pUK02−A1、p
UK02−A3とする。
本実施例の手順を第6図に示す。
実施例8 大腸菌によるヒト変異型プロウロキナーゼの生産性を
測定した。
プラスミドpUK02pm4及びpUK02−A1、pUK02−A3を使用
して、大腸菌(KY1436株)を既知の方法により形質転換
し、得られた形質転換菌をM9mE培地(M9salt、0.1%イ
ーストエキストラクト、0.2%グリセロール、2μg/ml
チアミン)で30分間振盪培養した。
対数増殖期において、最終濃度が1mMとなる様にIPTG
を添加し、更に4時間培養を行った。培養終了後、100D
ユニット相当の菌体を遠心分離により回収し、1mlの100
mMトリス−塩酸(pH8.0)に懸濁し、超音波により菌体
を破砕した。
破砕液を1mlの50mMトリス−塩酸(pH8.9)及び4Mグア
ニジン塩酸を含む溶液に懸濁し、60℃で60分間放置する
ことにより可溶化した。該液に、3mlの可溶化液(50mM
トリス−塩酸pH8.0、0.2mMグルタチオン(還元型)、5m
M EDTA)を添加し、室温で16時間放置してリフォール
ディングを行った。
溶液中のプロウロキナーゼを活性型のウロキナーゼに
する目的で、95μlの活性化液(100mMトリス−塩酸pH
8.0、0.01%トリトンX−100、5μgプラスミン)を添
加し、37℃にて30分間放置した。
プラスミンの反応を停止させるために25μgの大豆ト
リプシニンヒビターを添加した後、700μlのウロキナ
ーゼの基質液(50mMトリス−塩酸pH8.0、0.2mM ウロキ
ナーゼ合成基質(S−2444、第一化学薬品製)、0.01%
トリトンX−100)を添加し、37℃にて30分間反応させ
た。
1000μlの酢酸を添加して反応を停止させて後、405n
mの吸光度を測定して標準ウロキナーゼ(緑十字(株)
社製)の合成基質(S−2444)の分解活性と比較した。
結果を次表に示す。
この結果、tacプロモーターを有するプラスミド(pUK
−02)に比較して、本発明のプロモーターを有するプラ
スミド(pUK02−A1、pUK02−A3)では、約1.2倍のプロ
ウロキナーゼが発現していることがわかる。
【図面の簡単な説明】
第1、2、3、4及び第6図は、本発明の実施例で構築
したプラスミドの構築手順を示すものである。 第5図は、実施例5におけるオートラジオグラフィーの
結果を示すものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) REGISTRY(STN) CA(STN) BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】大腸菌T3ファージ初期遺伝子群の発現を誘
    導するプロモーターの5′フランキング領域、−35領域
    及び−10領域を含む第1のDNA断片とラクトースプロモ
    ーターの−10領域より下流に位置する部分である第2の
    DNA断片が結合してなる、下記式1又は下記式2で示さ
    れる塩基配列のハイブリッドプロモーター。
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