JP2945258B2 - 非線形光学材料の製造方法 - Google Patents

非線形光学材料の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は非線形光学効果を利用し
た光デバイスの基礎をなす非線形光学材料の製造方法に
関するもので、とくに金属微粒子または半導体微粒子分
散薄膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の技術としては例えばジャーナル
オブ オプティカル ソサエティ オブ アメリカ第7
3巻第647頁(Journal of Optica
l Society of America 73,
647(1983))に記載されているCdSx Se
1-x (0≦X≦1)をホウケイ酸ガラスにドープしたカ
ットオフフィルタガラスを非線形光学材料に用いるもの
がある。このガラスは、CdSx Se1-x とホウケイ酸
ガラスを溶融し、Cd、S、Seのイオン状態でクエン
チを行い、ホウケイ酸ガラス中に分散させる。その後
に、600〜700℃程度の再熱処理過程を通して、ガ
ラス中にCdSx Se1-x 微粒子として析出させる。
【0003】また、微粒子の平均粒径は、再熱処理過程
の温度と時間によって制御され、平均粒径と熱処理時間
との関係は、平均粒径が熱処理時間の1/3乗に比例し
ている。
【0004】また、ジャーナル オブ アプライド フ
ィジックス 第63巻 第957頁(Journal
of Applied Physics 63, 95
7(1988))に開示されているようなCdS微粒子
分散薄膜ガラスがある。まず、この薄膜ガラスはターゲ
ットにコーニング社製“7059ガラス”(Ba含有の
ホウケイ酸系ガラス)と、CdSとを用い高周波マグネ
トロンスパッタリング法により、CdSを“7059ガ
ラス”中に2〜4重量%分散させている。ついで、薄膜
を400〜500℃で24時間程度熱処理を行うこと
で、CdS微粒子をガラス中に析出している。このと
き、微粒子の粒径と熱処理時間との関係は、上で示した
のと同じく1/3乗則になっている。
【0005】一方、金属微粒子をガラス中に分散する場
合の従来の技術としては、オプティクス レターズ第1
0巻第511頁(Optics Letters,1
0,p.511(1985))に記載されている。金属
微粒子としては、Au、Agが用いられており、金属微
粒子分散ガラスの製造方法としては、金属塩の還元法が
使用されている。また、溶融法を用いる場合、金属微粒
子をガラスの原料に混入して成形し、その後熱処理して
特定の金属を析出させて、金、銀、銅などの金属コロイ
ドが析出した着色ガラスと呼ばれる金属微粒子分散ガラ
スを製造していた。このとき、微粒子の粒径と熱処理時
間との関係は、上で示したのと同じく1/3乗則になっ
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】半導体微粒子または金
属微粒子を含有する非線形光学効果を利用した非線形光
学材料においては、微粒子がマトリックスのガラス中に
均一に分散し粒径分布の小さいものほど、良好な非線形
光学効果が期待できる。さらに含有量が多く、組成ずれ
の少ないものが優れていることも重要である。
【0007】しかしながら、従来の半導体または金属微
粒子分散ガラスからなる非線形光学材料ないしその製造
方法においては、次のような課題があった。半導体微粒
子の場合、CdSx Se1-x とホウケイ酸ガラスを高温
で溶融し、その後再熱処理を加えて作製するために、粒
径制御が容易でなく半導体微粒子の粒径分布が大きくな
る。また、半導体の含有量を2〜4重量%以上にする
と、粒径が大きくなりすぎて微粒子として存在し得なく
なり、さらにガラスを失透させたり、半導体の光吸収端
近傍の発光スペクトル強度を低下させたりして、非線形
光学効果の発現に悪影響を及ぼす。
【0008】また、高周波マグネトロンスパッタリング
法を用いて作製した場合、作製中にプラズマ中のイオン
の基板表面への照射により加熱されて基板の表面温度が
上昇してしまう。このために非晶質薄膜中の一部の半導
体、金属が島状の微粒子となって、膜中に遍在する。そ
の後長時間の熱処理を行なうために、遍在した島状の微
粒子が核となって大きく成長する。一方、熱処理時に微
粒子化したものもあり、これらが薄膜中に混在して、粒
径分布を大きくしてしまう。また、スパッタリング法で
は、作製中に半導体の再蒸発等により、半導体の組成ず
れがある。すなわち、半導体構成元素のうち蒸発や昇華
しやすい元素が蒸発したり、昇華することにより、当初
の組成から外れてくる恐れがある。
【0009】一方、金属微粒子分散の薄膜の場合も半導
体微粒子分散薄膜の場合と同様な課題がある。さらに、
従来法で製造したAu微粒子分散ガラスの3次の非線形
感受率は10-13 〜10-12 esuの値であり、他の非
線形光学材料に比べて非常に小さい。これは、金属微粒
子の分散量が5ppm以下なので3次の非線形感受率の
値が小さくなったと考えられる。このために従来の製造
方法で分散量を増加させると、均一に分散することがで
きなかった。
【0010】本発明は、前記課題を解決するために、半
導体微粒子または金属微粒子を薄膜中に多量に分散さ
せ、かつ微粒子の粒径分布を小さくした非線形光学材料
を製造する方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の非線形光学材料の製造方法は、金属または
半導体を非晶質材料に含有した非晶質薄膜を基板上に形
成する工程と、前記非晶質薄膜を形成した基板の温度を
上昇させて、前記非晶質薄膜に熱処理を行うことにより
金属微粒子または半導体微粒子を非晶質薄膜中に分散さ
せる工程とを有する非線形光学材料の製造方法であっ
て、前記金属が、金(Au)、銀(Ag)、銅(C
u)、白金(Pt)及び錫(Sn)から選ばれる少なく
とも一つの金属であり、前記半導体がCuCl(I―V
II族化合物半導体)、GaAs、InP、GaAlAs
(以上、III―V族化合物半導体)、ZnSe、ZnS、
ZnTe、CdSe、CdS、CdTe、ZnO、Mn
O、ZnCdSe、ZnSSe(以上、II―VI族化合物
半導体)、Si、Ge、Si及びGe(以上、IV族半導
体)から選ばれる少なくとも一つの半導体であり、前記
非晶質材料が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化亜
鉛、酸化チタン、酸化インジウム及びホウケイ酸ガラス
から選ばれるガラス材料、若しくは、窒化珪素、窒化ア
ルミニウム、窒化チタン及び窒化硼素から選ばれる窒化
物、若しくは、炭化珪素及び炭化硼素から選ばれる炭化
物の少なくとも一種類を含み前記非晶質薄膜を基板上
に形成する際の基板温度が室温以上200℃以下であ
り、 熱処理を行う際の温度が600℃以上1000℃以
下であるとともに、 前記非晶質薄膜を形成した基板の温
度を上昇させる際の昇温速度を、1℃/秒以上250℃
/秒以下に制御することを特徴とする
【0012】前記製造方法においては、非晶質薄膜を基
板上に形成する手段が、スパッタリング法、CVD法
(化学的気相蒸着法)及び真空蒸着法から選ばれる少な
くとも一つの方法であることが好ましい。
【0013】
【作用】前記本発明の非線形光学材料の製造方法によれ
、非線形光学特性に優れた非線形光学材料を容易に製
造できる。すなわち、金属または半導体が微粒子化する
ことなく、均質にイオン状態または原子状態で薄膜中に
分散するので、薄膜中に多量に分散させることが可能で
ある。
【0014】また、金属または半導体を含む非晶質薄膜
を基板上に形成し、その後昇温速度を1℃/秒〜250
℃/秒で加熱して熱処理を行うという本発明の好ましい
構成によれば、非線形光学特性に優れた非線形光学材料
を容易に製造できる。すなわち、薄膜中にイオン状また
は原子状で分散している金属または半導体が急速に微粒
子化して、均質に微粒子ができ、粒径分布を小さくでき
る。
【0015】
【実施例】本実施例の非晶質材料としては、用いる半導
体の種類によって好適な非晶質材料の種類は異なるが、
例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、酸
化チタン、酸化インジウムおよびホウケイ酸ガラスなど
のガラス材料、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チ
タン、窒化ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化ホウ
素などの炭化物を用いると半導体の分散性が良好となり
より好ましい。
【0016】本実施例の半導体としては、用いる非晶質
材料の種類によって異なるが、例えば、I−VII族化合
物半導体のCuClなど,III−V族化合物半導体のG
aAs、InP、GaAlAsなど、II−VI族化合物
半導体のZnSe、ZnS、ZnTe、CdSe、Cd
S、CdTe、ZnO、MnO、ZnCdSe,ZnS
Seなど、IV族半導体のSi、Ge、SiGeなどを
用いると良好な非線形光学特性を示し好ましい。
【0017】本実施例の金属としては、用いる非晶質材
料の種類によって異なるが、例えば、金(Au)、銀
(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)、錫(Sn)など
を用いると良好な非線形光学特性を示し好ましい。
【0018】本実施例において非晶質薄膜を作製する手
段として、スパッタリング法やCVD法(Chemical Vap
or Deposition 法、すなわち化学的気相蒸着法)、真空
蒸着法などがある。本実施例の基板温度は、用いる金
属、半導体および非晶質材料の種類によって異なるの
で、一概に規定しがたいが、上記の方法における通常の
実施可能な温度、例えば室温(約20℃)程度から、2
00℃以下である。
【0019】スパッタリング法を採用した場合には、不
活性ガスとしてアルゴンガスが好ましく用いられる。ス
パッタリングの圧力条件も特に制限するものではない
が、通常1〜20Pa程度の圧力範囲で適当な圧力を採
用すればよい。ターゲットへの印加電力は、ターゲット
材料の種類と、目的とする非晶質材料への金属または半
導体微粒子の分散割合などによって異なるので、一概に
規定しがたいが、例えば、20〜500W程度である。
また、スパッタリング法の種類としては高周波スパッタ
リング法が一般的だが、ターゲットの種類によって直流
スパッタリング法、電子サイクロトロン共鳴スパッタリ
ング法を用いてもよい。
【0020】また、半導体、金属および非晶質材料の作
製手段として、CVD法を採用した場合、用いる金属、
半導体および非晶質材料の種類によって異なるので、一
概に規定しがたいが、例えば酸化アルミニウム中にZn
Seを高周波プラズマCVD法によって容易に作製する
ことができる。そのほかの作製手段としては、熱CVD
法、レーザCVD法などによってもよい。
【0021】高周波プラズマCVD法を採用する場合の
原料ガスとしては、非晶質材料として好適な金属、半導
体を高周波プラズマCVD法により合成できる公知の原
料ガスを用いればよく、III−V族化合物半導体を合成
するためのガスとしては、例えば、AR3 (ただしAは
III族またはV族元素を表し、Rはメチル基、エチル基
などの低級アルキル基を表す。)やPH3 、AsH3
などがあげられる。またII−VI族化合物半導体を合成
するためのガスとしては、例えば、DR2 (ただしDは
II族またはVI族元素を表し、Rはメチル基、エチル基
などの低級アルキル基を表す。)やH2 S、H2 Se等
などがあげられる。また、IV族半導体を合成するため
のガスとしては、例えば、SiH4 、GeH4 、SiC
4 、GeCl4 等があげられる。
【0022】非晶質材料として酸化物を採用した場合、
酸素以外の構成ガスとしては、たとえば、TiCl4
及び上述のIV族半導体のガス、III 族元素のガス、V
I族元素のガスがあげられ、酸素としては酸素ガスがあ
げられる。
【0023】また、非晶質材料として窒化物を採用した
場合、窒素以外の原料ガスとしては、酸化物を作製する
場合と同様の原料ガスが使用できる。また、窒素を含む
ガスとしては、NH3 または窒素ガスがあげられる。
【0024】また、非線形光学材料の作製手段として高
周波プラズマCVD法を採用した場合には、上述のガス
を、13〜1330Pa程度の圧力範囲で用いればよ
い。高周波電力は、用いるガスの種類などによって異な
るので、一概に規定しがたいが、例えば、20〜200
W程度である。
【0025】本実施例の熱処理温度としては、用いる金
属、半導体および非晶質材料の種類によって異なるの
で、一概に規定しがたいが、例えば、600〜1000
℃程度である。
【0026】本実施例の非線形光学材料を堆積するため
に用いられる基板は、この種の基板として用いられる固
体状の基板であればよく、耐熱性の点では無機材料から
なる基板が好ましい。基板が透明であることは必ずしも
必要ではないが、基板に光を透過させる必要があるよう
な用途に使用する場合や、または、得られた非線形光学
材料の評価、測定のために基板に光を透過させる必要が
ある評価、測定方法を採用する場合などには、基板が例
えば可視領域で透明であることが好ましく、例えばガラ
ス、石英、アルミナ、MgOその他の透明基板などが使
用できる。
【0027】半導体微粒子の酸化物層への分散量は特に
制限するものではないが、例えば10〜50原子%程度
の範囲が好ましい。もちろん用途や目的、必要とする性
能などに応じて10原子%以下で用いてもさしつかえな
い。
【0028】以下具体的実施例をあげて本発明を説明す
る。 実施例1 図1は本実施例で用いたスパッタ装置の概略構成図であ
る。スパッタ装置7は、金属のターゲット1、非晶質材
料のターゲット2、基板3、基板ホルダー4およびそれ
ぞれのターゲットに高周波電力を供給する高周波電源
5、6によって構成されている。
【0029】ターゲット1、2に高周波電力を供給して
スパッタリングを行い、金属が分散した非晶質薄膜を形
成した。ターゲット1に用いる金属はAu、ターゲット
2に用いる非晶質材料はAlO2 、基板3は石英ガラス
を用いた。スパッタガスとしては、アルゴンガスを用
い、圧力を2Paとした。ターゲット1に20W、ター
ゲット2に200Wの高周波電力を供給しスパッタリン
グを行った。基板温度は150℃にした。得られた金を
含む非晶質薄膜の膜厚は2μmであった。
【0030】基板上に堆積した薄膜中の一構成成分であ
るAuと、非晶質材料であるAlO 2 に存在するAlを
マイクロビームナライザーで測定すると、AuとAl原
子の比が原子数でほぼ1:4であった。非晶質薄膜中の
Auの含有量は20原子%であった。
【0031】その後、得られた非晶質薄膜を900℃で
1時間熱処理して非線形光学材料を得た。このとき90
0℃に達するための昇温速度を250℃/秒にした。熱
処理後の薄膜を透過電子顕微鏡で金属微粒子の粒径、吸
収スペクトル等を調べた。図2に本実施例の薄膜の吸収
スペクトルを示す。図2中の(a)は400nmないし
800nm間の吸収スペクトルであり、金のプラズモン
共鳴吸収と金自体のバンド吸収が観測された。図2
(b)は(a)からバンド吸収スペクトルを除いたプラ
ズモン共鳴吸収のみを示す。この吸収スペクトルが左右
対称になるほど粒径分布が小さい。
【0032】比較のために、昇温速度を90℃/秒、
0.5℃/秒の場合を図3、4に示す。図3(b)、図
4(b)において、それぞれの薄膜のプラズモン共鳴吸
収を比較すると、昇温速度が速いほど、左右対称となっ
ている。特に0.5℃/秒の場合、800nm付近まで
プラズモン共鳴吸収の裾が延びている。これらの結果よ
り、昇温速度として1℃/秒以上にする効果が生じてい
ると考えられる。また、昇温速度を250℃/秒より速
くしても、薄膜への熱の拡散限界が生じるために顕著な
効果を見いだすことができなかった。
【0033】また、図2の吸収スペクトルの場合、基板
温度が150℃で非晶質薄膜を作成した。基板温度の効
果をみるために基板温度250℃の場合を図5に示す。
as−depo状態でも、プラズモン共鳴吸収を観測し
たが、長波長側に吸収の裾があり、粒径分布が大きいこ
とがわかる。さらに、図5の薄膜を昇温速度の速い熱処
理を行っても、この吸収スペクトルの変化は無かった。
【0034】図6に昇温速度が250℃/秒、0.5℃
/秒の薄膜の粒径分布のヒストグラムを示す。どちら
も、粒径が10nmでピークを持つが、0.5℃/秒の
薄膜では、粒径が16nmに至る分布があった。一方、
本実施例の薄膜では、粒径は12nm程度まで分布した
が、粒径16nmはほとんど無かった。これは、図2、
3、4の結果と同様に昇温速度が速いために生じたと考
えられる。
【0035】これらの結果から、基板温度を200℃以
下で薄膜形成と、熱処理の昇温速度を1℃/秒から25
0℃/秒にする効果が認められた。さらに、窒素レー
ザ励起色素レーザを用いた縮退四光波混合法による3次
非線形感受率測定の結果、昇温速度0.5℃/秒の薄膜
の3次非線形感受率は1×10-7esuであり、一方本
実施例の非線形光学材料の3次非線形感受率は1×10
-6esuであった。
【0036】実施例2 実施例1で用いたスパッタ装置7と同一構成の装置を用
い、ターゲット1を半導体ターゲットとした。半導体タ
ーゲット1、非晶質材料ターゲット2に高周波電力を供
給してスパッタリングを行って、半導体が分散した非晶
質薄膜を形成した。ターゲット1に用いる半導体はZn
Te、ターゲット2に用いる非晶質材料はSiO2 、基
板3は石英ガラスを用いた。スパッタガスとしては、ア
ルゴンガスを用い、圧力を2Paとした。ターゲット1
に50W、ターゲット2に300Wの高周波電力を供給
しスパッタリングを行った。基板温度は100℃にし
た。得られたZnTeを含む非晶質薄膜の膜厚は、0.
5μmであった。
【0037】石英ガラス基板上に堆積した薄膜中の微粒
子の一構成成分であるZn、非晶質材料SiO2 中のS
iをマイクロビームナライザーで測定するとZn原子、
Si原子の比が原子数でほぼ1:3であった。非線形光
学材料中のZnTe微粒子の含有量は25原子%であっ
た。
【0038】その後、得られた非晶質薄膜を600℃で
1時間熱処理して非線形光学材料を得た。このとき60
0℃に達するための昇温速度を100℃/秒にした。熱
処理後の薄膜を透過電子顕微鏡で半導体微粒子の粒径分
布等を調べた。
【0039】図7に昇温速度が100℃/秒、比較例の
0.5℃/秒の薄膜の粒径分布のヒストグラムを示す。
どちらも、粒径が8nmところでピークを持つが、0.
5℃/秒の薄膜では、粒径が12nmに至る分布があっ
た。一方、本実施例の薄膜では、粒径は10nm程度ま
で分布したが、粒径12nmはほとんど無かった。これ
は、昇温速度が速いために粒径分布が少なくなったと考
えられる。
【0040】また、200℃を越える基板温度で作製す
ると、ZnTe微粒子による吸収スペクトルのピークが
観測されたが、透過電子顕微鏡観察によるZnTe微粒
子の粒径を調べると、本実施例の薄膜に比べて粒径分布
は大きかった。
【0041】これらの結果から、基板温度を200℃以
下で薄膜を形成し、熱処理の昇温速度を1℃/秒から2
50℃/秒にする効果が認められた。さらに、窒素レ
ーザ励起色素レーザを用いた縮退四光波混合法による3
次非線形感受率測定の結果、昇温速度0.5℃/秒の薄
膜の3次非線形感受率は5×10-7esuであり、一方
本実施例の非線形光学材料の3次非線形感受率は2×1
-6esuであった。
【0042】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の非線形光学
材料の製造方法によれば、金属または半導体が微粒子化
せずに均質に非晶質薄膜中に分散し、熱処理による微粒
子化において粒径分布を小さくすることができ、大きな
非線形光学効果を有する非線形光学材料を製造できる。
【0043】また、金属または半導体を含む非晶質薄膜
を基板上に形成し、その後熱処理の昇温速度を1℃/秒
〜250℃/秒で加熱して熱処理を行うと、薄膜中にイ
オン状または原子状で分散している金属または半導体が
急速に微粒子化して、均質に微粒子ができ、粒径分布を
小さくすることができるので、大きな非線形光学効果を
有する非線形光学材料を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例で用いたスパッタ装置の概略
構成図である。
【図2】本発明の一実施例で得られた非線形光学材料の
吸収スペクトルを示す図である。
【図3】本発明の一実施例で得られた非線形光学材料の
吸収スペクトルを示す図である。
【図4】比較例で得られた金微粒子分散AlO2 の薄膜
の吸収スペクトルを示す図である。
【図5】比較例で得られた金微粒子分散AlO2 の薄膜
の吸収スペクトルを示す図である。
【図6】本発明の一実施例で得られた非線形光学材料
と、比較例で得られた金微粒子分散AlO2 薄膜におけ
る金微粒子の粒径分布のヒストグラムである。
【図7】本発明の一実施例で得られた非線形光学材料
と、比較例で得られたZnTe微粒子分散SiO2 薄膜
におけるZnTe微粒子の粒径分布のヒストグラムであ
る。
【符号の説明】
1 金属または半導体のターゲット 2 非晶質材料のターゲット 3 基板 4 基板ホルダー 5 高周波電源 6 高周波電源 7 スパッタ装置

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属または半導体を非晶質材料に含有
    た非晶質薄膜を基板上に形成する工程と、前記非晶質薄
    膜を形成した基板の温度を上昇させて、前記非晶質薄膜
    に熱処理を行うことにより金属微粒子または半導体微粒
    子を非晶質薄膜中に分散させる工程とを有する非線形光
    学材料の製造方法であって、前記金属が、金(Au)、
    銀(Ag)、銅(Cu)、白金(Pt)及び錫(Sn)
    から選ばれる少なくとも一つの金属であり、 前記半導体がCuCl(I―VII族化合物半導体)、
    aAs、InP、GaAlAs(以上、II―V族化合物
    半導体)、ZnSe、ZnS、ZnTe、CdSe、C
    dS、CdTe、ZnO、MnO、ZnCdSe、Zn
    SSe(以上、II―VI族化合物半導体)、Si、Ge、
    Si及びGe(以上、IV族半導体)から選ばれる少なく
    とも一つの半導体であり、 前記非晶質材料が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化
    亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム及びホウケイ酸ガラ
    スから選ばれるガラス材料、若しくは、窒化珪素、窒化
    アルミニウム、窒化チタン及び窒化硼素から選ばれる窒
    化物、若しくは、炭化珪素及び炭化硼素から選ばれる炭
    化物の少なくとも一種類を含み前記非晶質薄膜を基板
    上に形成する際の基板温度が室温以上200℃以下であ
    り、 熱処理を行う際の温度が600℃以上1000℃以下で
    あるとともに、 前記非晶質薄膜を形成した基板の温度を
    上昇させる際の昇温速度を、1℃/秒以上250℃/秒
    以下に制御することを特徴とする 非線形光学材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 非晶質薄膜を基板上に形成する手段が、
    スパッタリング法、CVD法(化学的気相蒸着法)及び
    真空蒸着法から選ばれる少なくとも一つの方法である請
    求項1に記載の非線形光学材料の製造方法。
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