JP2944249B2 - 摩擦処理装置 - Google Patents

摩擦処理装置

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JP2944249B2
JP2944249B2 JP10149791A JP10149791A JP2944249B2 JP 2944249 B2 JP2944249 B2 JP 2944249B2 JP 10149791 A JP10149791 A JP 10149791A JP 10149791 A JP10149791 A JP 10149791A JP 2944249 B2 JP2944249 B2 JP 2944249B2
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重久 小林
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Sekisui Chemical Co Ltd
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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、最外層にポリオレフィ
ン層を有し、所望により中間層を介して、粘着層が積層
された粘着シート(粘着テープを含む)において、該ポ
リオレフィン層の背面に剪断力を与えて表面加工するこ
とにより、巻重体とした場合の巻戻し性(展開力)を改
善するための摩擦処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリオレフィンからなる基材上に粘着層
を形成した粘着シートは、公知のものである。これらの
粘着シートの製品形態は、コイル状に巻き上げて巻重体
とするのが通常である。ところで、この巻重体において
は、上段の粘着層と下段の基材層の背面とが比較的強い
粘着力で密着することになり、このままでは使用時にシ
ートを巻戻したり、引き剥したりするのが困難である。
そこで、シートを巻戻すときに、粘着剤の反対面(基材
層背面)への移行やブロッキング、基材の層割れ等を起
こすことなく、容易に巻戻しができるように、一般に、
基材層背面には、いわゆる離型処理(剥離処理)が施さ
れている。
【0003】この離型処理としては、従来、基材層背面
に予め剥離剤を塗布する方法が汎用されているが、剥離
剤を基材層としっかり接着させ、粘着層とは適当に離れ
易くするという矛盾した性質を制御するのは困難であ
り、特殊な剥離剤を用いたり、下塗を施したり、あるい
は剥離剤を塗布する前にコロナ処理を行なうことなどが
必要である。
【0004】剥離剤としては、一般に、直鎖アルキル基
含有ポリマー(例えばポリビニルエステルアリルカルバ
メート)、シリコーン系ポリマー、パーフロロ系ポリマ
ー等が用いられているが、これらの剥離剤は、材料費が
嵩む原因となり、また、煩雑な塗布工程を必要とするの
で、生産費も嵩み、さらには製品とした後においても、
剥離剤が粘着層に移行して、粘着力が低下する原因にな
るという品質上の問題もはらんでいる。
【0005】ところで、表面保護フィルムにおいてでは
あるが、特開昭61−103975号公報には、基材層
と粘着層とを共押出法により同時に成形積層する方法が
提案されており、工程の簡略化や基材層と粘着剤との密
着性が改善され、品質面でも優れた技術として注目され
るものの一つである。しかし、この場合も、粘着層の基
材層に対する粘着力が強いため、良好な巻戻し性を得る
には、やはり基材層背面に剥離処理を施す必要がある。
しかしながら、共押出法の場合、予め基材層背面に剥離
処理を施すことはできず、剥離処理の時機的な制約があ
る点だけ、問題がより深刻である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、剥離
剤を使用することなく、簡単な工程で、良好な巻戻し性
(展開力)を有するとともに、長期にわたって良好な展
開力を維持し、品質面にも悪影響を及ぼすことのない粘
着シートを製造するための摩擦処理装置を提供すること
にある。
【0007】本発明者らは、前記従来技術の有する問題
点を克服するために鋭意研究した結果、粘着シートのポ
リオレフィン層の表面(粘着シートの背面)に、例え
ば、固体物質との接触による滑り摩擦を生じさせて剪断
力を与えることにより、表面の微細な形状および/また
は結晶形態等が変化し、その結果、該表面加工処理され
た面を背面とする粘着シートを巻重体とした場合、展開
力が顕著に改善され、しかもその展開力や粘着層の初期
粘着力の経時変化がないことを見出した。
【0008】この表面加工処理は、粘着シートを巻重体
に巻き取る前に行なえばよいため、共押出法による粘着
シートに対しても容易に実施することができる。そし
て、この表面加工処理のための摩擦処理装置は、摩擦ロ
ールを含むロール群で構成することができ、該ロール群
に粘着シートを通して、粘着シートのポリオレフィン層
の外表面(背面)に滑り摩擦を生じさせて剪断力を加え
ることにより、展開力を改善するための表面加工処理を
行なうことができる。本発明は、これらの知見に基づい
て完成するに至ったものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】かくして本発明によれ
ば、最外層にポリオレフィン層を有する粘着シートの該
ポリオレフィン層の背面に剪断力を与えて表面加工する
ための摩擦処理装置であって、該装置が摩擦ロールを含
むロール群からなることを特徴とする摩擦処理装置が提
供される。
【0010】以下、本発明について詳述する。本発明に
おいて、最外層を形成するポリオレフィンとしては、例
えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレー
ト共重合体等の如き共重合体、およびこれらの混合物が
挙げられる。ポリオレフィンシート(テープを含む)
は、未延伸であるか、あるいは一軸または多軸に延伸さ
れていてもよい。
【0011】本発明において、粘着層は粘着性を有する
層であって、粘着剤もくは粘着性を有する接着剤、ある
いは粘着性を有する重合体から本質的に構成される。粘
着剤もしくは接着剤としては、従来から粘着剤として知
られているゴム系(熱可塑性エラストマーを含む)、ア
クリル系、ウレタン系、シリコン系粘着剤やエチレン−
酢酸ビニル共重合体系の接着剤等が使用できる。これら
の粘着剤の組成は、通常、弾性体に、粘着付与樹脂、軟
化剤、充填剤、老化防止剤などを適宜配合したものであ
る。
【0012】本発明においては、ポリオレフィン層と粘
着層との間に中間層を設けてもよく、中間層の材料とし
ては、従来粘着シートの基材として用いられているクラ
フト紙、布、合成樹脂シートなどが好適に使用できる。
したがって、これらの中間層は、ポリオレフィン層とと
もに基材層を構成する。なお、基材層と粘着層には、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料などを適宜添
加してもよい。
【0013】各層の厚みは、使用目的に応じて適宜設定
できるが、ポリオレフィン層の厚みは、通常、10〜5
00μm程度であり、粘着層の厚みは、通常、5〜10
0μm程度である。
【0014】ポリオレフィン層の背面に剪断力を与える
表面加工の時機は、特に限定されないが、粘着シートを
巻重体に巻取るより以前に表面加工を行なう必要があ
る。生産性等を考えると、ポリオレフィン層と粘着層
(さらに所望により中間層)を積層する前に、予めポリ
オレフィン層単独で表面加工するか、もしくは、積層し
た後であって、粘着シートを巻き取るより前にポリオレ
フィン層の背面を表面加工することが望ましい。特に、
共押出法を用いる場合は、ポリオレフィン層と粘着層と
を共押出により成形積層した後に、ポリオレフィン層背
面の表面加工を行なうことが好ましい。
【0015】ポリオレフィン層の背面に剪断力を与える
表面加工は、例えば、ポリオレフィン層の表面を固体物
質で物理的に摩擦する方法で、粘着シートの流れ方向に
対して、平行または垂直に剪断力を付与する方法が挙げ
られる。
【0016】粘着シートを製造する工程は、一連のロー
ル群を通過する工程を含むので、本発明では、固体物質
としてロール状の固体物質(摩擦ロール)を用いる。摩
擦ロールの材質は、特に限定されないが、例えば、金属
製のロールの表面に繊維または繊維成形体(例えば、ガ
ーゼ、布)を巻き付けた物、金属製のロールの表面層と
ポリオレフィン層との間の滑り摩擦係数が0.3〜0.
9である物が挙げられる。金属製としては、例えば、ス
テンレンス、あるいはメッキ処理を施したものなどを挙
げることができる。また、摩擦ロールの表面層を、例え
ば、紙、ゴム、合成樹脂フィルムなどとすることができ
る。この場合、重要なのは、摩擦ロールの表面層の材質
であり、それ以外の部分の材質に関しては、特に限定さ
れない。
【0017】摩擦ロールを用いてポリオレフィン層の背
面に剪断力を与える方法としては、特に限定されない
が、例えば、粘着シートの流れ方向に対して、摩擦ロー
ルを逆回転させるか、順回転させる、あるいは固定(停
止)させることでポリオレフィン層の背面に剪断力を与
えることができる。
【0018】ポリオレフィン層の背面に剪断力を与える
具体的な方法および装置に関し、図面を参照しながら説
明する。
【0019】(1)図1は、粘着シートの基材層の背面
に剪断力を付与するための摩擦処理装置の1実施例を示
す断面略図である。図1の符合1は、ポリオレフィン層
の片面に、粘着層が積層された粘着シートであって、矢
印の方向(上面)は背面(ポリオレフィン層の外表面)
を示す。前工程で作成された粘着シート1は、コイル状
に巻き上げて巻重体とされるが、その前の段階で、一連
のロール群を通過させる。粘着シート1は、案内ロール
2を経て、ロール4上に配置した逆回転ロール5に巻き
付けた繊維または繊維成形体6と接触させることによ
り、背面と繊維または繊維成形体6との間に滑り摩擦を
生じさせ、背面に剪断力を付与する。逆回転ロールの前
後にロール3、7を配置して、粘着シートに張力を付与
する。かくして表面加工された粘着シートは、ピンチロ
ール8および9の間を通して、巻重体とされる。
【0020】ロール5は、回転方向を粘着シートの流れ
方向と同じにして、順回転としてもよい。ロール5を順
回転させる場合には、通常、粘着テープの流れ速度(ラ
インスピード)よりも回転速度(ロールスピード)を早
くする。また、ロール5は、固定(停止)してもよい。
さらに、ロール表面層は、金属、紙、ゴム、合成樹脂フ
ィルムなどとしてもよい。
【0021】(2)図2は、図1と同様、前工程で作成
された粘着シート1を摩擦ロールを含む一連のロール群
を通過させて、ポリオレフィン層の背面に剪断力を付与
する摩擦処理装置の別の実施例を示す断面略図である。
【0022】粘着シート1は、ピンチロール21、22
の間を通過させて、左右のターンロール23、24で張
力を加えつつ、逆回転ロール(または順回転ロール)2
5と接触させて、粘着テープの背面と逆回転ロール25
の表面との間に滑り摩擦を生じさせる。ついで、ピンチ
ロール26、27を通過させて、巻重体に捲回する。最
初のピンチロール21、22は、必ずしも設ける必要は
ないが、摩擦ロール25を逆回転ロールとして使用する
場合、粘着シートの流れ方向とは逆方向の摩擦力が加わ
るため、粘着シートがたるんだり、所望の張力を加える
ことが困難となるので、通常は、設けることが好まし
い。また、ピンチロール21、22の粘着テープ送り出
し速度を、実際の粘着シート流れ速度より若干遅くし
て、粘着テープに張力がかかるようにすることが望まし
い。あるいは、ピンチロール21、22を、粘着シート
に一定の張力がかかるようなダンサーロールとすること
も可能である。
【0023】ターンロール23、24は、上下に平行移
動可能なようにして、粘着シートにかかる張力あるいは
摩擦ロール25と粘着シートの基材層背面との接触面積
を調節する。摩擦ロール25は、順回転ロールまたは固
定ロールとして用いてもよい。また、摩擦ロール25
は、金属製とするか、あるいはその表面に繊維または繊
維成形体、紙、ゴム、合成樹脂フィルムなどの層を設け
てもよい。
【0024】図2の符合28は、気体(空気など)の吹
き出し口を示す。ポリオレフィン層の背面に剪断力を与
える部分に、所望によって、1〜50kg/cm2の気
体流を当てることにより、張力と回転力によって生じる
滑り摩擦力に加えて、さらに気体圧による滑り摩擦力を
加えることができる。
【0025】(3)図3は、本発明の摩擦処理装置の別
の実施例を示すものである。別の工程で作成された粘着
シート1は、摩擦ロール35を含むロール群を通過させ
る。3図中、31および37はシリコンゴムロールであ
り、駆動するようになっている。32および38はクロ
ムメッキロールであり、空気圧または油圧により上下動
が可能である。ロール31と32、また、ロール37と
38でピンチロールを構成する。33および36は、シ
リコンゴムロールであり、軸受けに張力検出装置を備え
たエキスパンダロール(中心部に近づくにしたがって、
ロール径が大きいロール)である。
【0026】35は摩擦ロールであり、例えば、(株)
光陽社製の綿バフ、研磨不織布バフ等を複数枚重ね合わ
せて所望の綿長になるようにして、ロール状としたもの
などが使用できる。さらに、所望により摩擦ロール35
と粘着シート1が接触している部分を包囲する形状の空
気流吹き付け部34を設けることができる。この部分
に、空気流を吹き付けることにより、摩擦処理中に粘着
テープにしわが発生したり、気泡が入ることを防止でき
る。
【0027】(4)図4は、本発明の摩擦処理装置の別
の実施例を示すものである。別の工程で作成された粘着
シート1は、摩擦ロール44および46を含むロール群
を通過させる。ピンチロール41と42および48と4
9は、図3のピンチロールと同様のものである。43お
よび47は、クロムメッキロールであり、しわ伸ばしの
作用効果を持つ。44および46は、バフロール(摩擦
ロール)であり、任意の回転方向に駆動または静止でき
るようにしてある。搬送ロール45は、超高分子量ポリ
エチレンロールまたは熱硬化性フェノール樹脂ロールで
ある。
【0028】図4に示すように、搬送ロール45に、バ
フロール44および46を当接するようにして、粘着テ
ープの背面に摩擦力を加えて剪断力を付与すると、剪断
力が張力をかけずに得られるため、粘着テープが変形し
ない。また、搬送ロールは、超高分子量ポリエチレンま
たは熱硬化性フェノール樹脂製であるため、ロールの摩
耗が抑制される。
【0029】(5)図5は、本発明の摩擦処理装置の別
の実施例を示すものである。この摩擦処理装置は、粘着
シートの流れに沿って、上流側から、ピンチロール51
と52、テンションロール53、ターンロール54、摩
擦ロール55、ターンロール56、テンションロール5
7、ピンチロール58と59からなるロール群で構成さ
れる。摩擦ロールの回転方向は、粘着シートの流れ方向
に順方向、逆方向または静止のいずれでもよい。
【0030】摩擦ロールの表面層は、ガーゼ、布、紙、
ゴム、鉄などで構成され、粘着シート背面との摩擦係数
が0.30以上のものが使用される。また、摩擦ロール
の回転速度(周速)は、通常、−500m/min(a
方向)〜0〜500m/min(b方向)の範囲で選択
される。また、テンションロールは、摩擦による剪断力
のため、摩擦ロールの前後で粘着シートのテンションが
変わるので、それを一定に保つ役割を果たす。
【0031】(6)図6は、本発明の摩擦処理装置の別
の実施例を示すものである。搬送ロール65に当接する
ように、ピンチロール61、摩擦ロール62、ピンチロ
ール63が配置されており、粘着テープ1の粘着層は搬
送ロールに接している。摩擦ロール62は、粘着テープ
背面との摩擦係数が0.30以上の材質のものを用い、
その回転方向は、順・逆または静止のいずれでもよい。
ピンチロール61および63は、粘着シートが搬送ロー
ル65から浮き上がるのを押えるために設けてあり、必
ずしも設置する必要はない。
【0032】また、摩擦ロールおよびピンチロールは、
所望によりその設置個数を増減することができる。例え
ば、図7に示すように、3個のピンチロール71、7
3、76と、2個の摩擦ロール72、74を設置しても
よい。
【0033】これらの摩擦処理装置は、1種または2種
以上を適宜組合わせてもよい。また、摩擦ロールの構造
は、必ずしも円筒形である必要はなく、例えば、固定し
て用いる場合などには、断面が半円形であるなど、粘着
テープの背面が接触する部分に突起等がなく、引っ掛か
ることなく粘着シートが滑るような構造のものであれば
よい。、摩擦ロールの形状は、必ずしも円筒状に限定さ
れず、粘着シートと接する面に粘着シートが引っ掛かっ
て破れるような突起などのないものであればよい。
【0034】本発明において、ポリオレフィン層の背面
に剪断力を与えて表面加工することで、該背面に剥離効
果(展開力改善効果)が与えられる理由については、次
のように推定できる。
【0035】通常、ポリオレフィン層の製造は、ポリオ
レフィンを材料とし、押出機を用いて、インフレーショ
ン法またはTダイ法で押出成形することによってなされ
るが、このとき、チューブ状またはシート状に押出され
た溶融樹脂が冷却される過程で、表面に結晶が生成し、
結晶化した部分とそうでない部分ができることが一般に
知られている。結晶化した部分の割合を結晶化度として
表わすことができる。ポリエチレン、ポリプロピレンの
表面に剪断力を与えると、その表面の結晶学的な形態が
変化することが甲本らの報告により知られている(We
ar,173〜182(1982))。
【0036】ところで、粘着シートの巻重体の巻戻し力
(展開力)が大きい場合、つまり、例えば展開力が10
00gf/50mm(巻戻し速度30m/分で測定)で
ある場合に、巻戻した後のポリオレフィン層の表面がど
のようになっているかを観察したところ、表面の形態が
冷却直後と比べて大きく変化していることが確認され
た。この形態の変化は、ポリオレフィン層の表面に剪断
力を与えたときと非常に酷似している。
【0037】このように、巻重体の展開力が大きい理由
の一つとして、巻き戻しに際し、ポリオレフィン層の表
面における形態を変化させる力が必要であることが挙げ
られる。ポリオレフィン層の表面に剪断力を与え、予
め、表面の形態を変えておくことで、その変化に必要な
力が要らなくなり、結果として展開力が軽くなると推定
できる。
【0038】ポリオレフィン層の背面に加えるべき剪断
力は、通常、ポリオレフィンシートがネックイン等の変
形をしない範囲にとどめるべきである。ポリオレフィン
層の表面加工において、剪断力によってなされる仕事量
は10J以上である。10J未満であると展開力の低減
が不十分であり、温度、時間の変化によって展開力が上
昇することがある。
【0039】ポリオレフィン層の背面に、例えば、表面
層にナイロン製布を巻いたロールと接触させて剪断力を
加えた場合などに、結果として流れ方向(長手方向)に
平行にスジがつくことがある。この場合、平行なスジの
間隔は、通常、5〜20μm、好ましくは7〜15μm
程度である。
【0040】摩擦ロールを用いて粘着シートの背面に剪
断力を与える場合、その剪断力の調整は、粘着シートに
かける張力によって行なうことができる。摩擦ロールと
粘着シートとの間の抗力による滑り摩擦力が剪断力とな
る。しかし、一般的に、粘着シートにかける張力が大き
すぎる場合は、シートが変形することになる。そこで、
基材層の背面に剪断力を与える部分に1〜50kg/c
2の気体流、一般的には空気流を当てることにより、
張力によって生じる滑り摩擦力に加えて、さらに空気圧
による滑り摩擦力を得ることができ、粘着シートを変形
させることなく剪断力を得ることができる。空気圧が1
kg/cm2未満の場合、得られる滑り摩擦力が小さす
ぎる。50kg/cm2を越えるとテープまたはシート
が変形してしまう。好ましくは3〜20kg/cm2
さらに好ましくは5〜15kg/cm2である。もちろ
ん、図4などに示した如く、張力をかけずに剪断力を付
与することもできる。なお、摩擦ロールを含むロール群
の組み合わせは、前記実施態様に限定されるものではな
く、当業者であれば各種の変形または組合わせにより、
摩擦処理を行なうことができることは明らかである。
【0041】
【実施例】以下、本発明の実施例を具体的に説明する
が、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものでは
ない。なお、物性の測定方法は、次のとおりである。
【0042】<巻き取り後の養生>粘着シートを巻重体
とした後、温度と時間について、表1〜2に示した3種
類の組合わせ条件下に放置し、展開力および初期粘着力
を測定した。
【0043】<展開力> 巻重体からの展開力は、30m/分の速度で粘着シート
を巻重体から巻戻したときに要する力をg/50mm幅
換算値で示す。
【0044】<初期粘着力> 巻重体から巻戻した粘着シートをラミネーターでJIS
Z0237に規定するステンレス板に貼付け、23℃
で30分放置後、23℃下で300mm/分の速度で1
80°の角度で引き剥すのに要する力をg/50mm幅
換算値で示す。
【0045】[実施例1] インフレーション法で成形された厚み100μmのポリ
エチレン(商品名「ハイゼックス3300F」三井石油
化学工業社製)シートの一面に、スチレン−ブタジエン
−スチレンブロック共重合体(商品名「カリフレックス
TR1102」シェル化学社製)100重量部と粘着性
付与樹脂(商品名「クリアロンP100」安原油脂工業
社製)100重量部との混合物をトルエンにて均一溶液
(固形分濃度40%)とした粘着剤溶液を、固形分厚み
が40μmとなるように塗布乾燥した。
【0046】得られた粘着シートを、引続き図2に示す
摩擦処理装置を用いて、塗布面と反対側の表面(背面)
をナイロン製布を巻き付けた逆回転ロール24にて剪断
力を与える表面加工を行ない、ピンチロール26,27
を経て、内径3インチの紙芯に巻取り巻重体とした。
【0047】剪断力を与える条件としては、シートの流
れ速度(ラインスピード)は10m/分、逆回転ロール
24の表面速度(ロールスピード)は、90m/分、シ
ートにかけた張力は8kg/mであった。
【0048】[実施例2] 実施例1と同様のポリエチレンと実施例1と同様の粘着
剤成分(トルエンは使用せず)とを用い、両者をTダイ
法で共押出して粘着シートとしたこと以外は、実施例1
と同様に処理して巻重体とした。
【0049】[実施例3] クラフト紙の片面にポリエチレン(商品名「ミラソン1
6」三井石油化学工業社製)を15μmの厚みで押出し
ラミネートし、ポリエチレン面と反対側の面に実施例1
と同様の粘着剤成分(溶剤は使用せず)を加熱溶融塗布
して、厚さ40μmの粘着層とした。引続き、図2に示
すように粘着シートの背面を順回転金属ロール24にて
剪断力を与え、ピンチロール26,27を経て、内径3
インチの紙芯に巻取り巻重体とした。
【0050】剪断力を与える条件としては、シートのラ
インスピードは10m/分、順回転ロール24のロール
スピードは110m/分、シートにかけた張力は20k
g/m、金属ロールとシートのポリエチレンコート面と
の滑り摩擦係数は0.7であった。
【0051】[比較例1] 剪断力を与えないこと以外は実施例2と同様にして巻重
体を得た。
【0052】[実施例4]インフレーション法で成形さ
れた厚み60μmのポリエチレン(商品名「ミラソン1
6」三井石油化学工業社製)シートの一面にスチレン−
ブタジエン−スチレンブロック共重合体の水素添加物
(商品名「クレイトンG1652」シェル化学社製)1
00重量部と粘着性付与樹脂(商品名「クリアロンP1
00」安原油脂工業社製)20重量部との混合物をトル
エンにて均一溶液(固形分濃度20重量%)とした粘着
剤溶液を、固形分厚みが10μmとなるように塗布乾燥
し、引続き第2図に示すように粘着シートの背面をナイ
ロン製布を巻き付けた逆回転ロール24にて剪断力を与
え、ピンチロール26,27を経て、内径3インチの紙
芯に巻取り巻重体とした。剪断力を与える条件は、実施
例1と同様とした。
【0053】[実施例5] 実施例4と同様のポリエチレンと実施例4と同様の粘着
剤成分(トルエンは使用せず)とを用い、両者をTダイ
法で共押出したこと以外は実施例4と同様にして巻重体
とした。
【0054】[比較例2] 剪断力を与えないこと以外は実施例5と同様にして巻重
体を得た。
【0055】[実施例6] Tダイ法で共押出しするまでは実施例5と同様にした。
剪断力を与える条件は、シートのラインスピードは10
m/分、逆回転ロール24のロールスピードは40m/
分、シートにかけた張力は4kg/m、第2図の気体吹
き出し口28から、粘着シートの剪断力を与える部分に
垂直方向に10kg/cm2の空気流を吹き付けた。上
記の各実施例および比較例の測定結果を一括して表1に
示す。
【0056】
【表1】 *1:シートが伸長変形。*2:巻戻しできないために
測定できず。
【0057】本発明の実施例1〜6においては、巻重体
にした後、実用的な温度範囲で巻重体から引き剥す際に
粘着シートが伸長変形することがなく、引き剥し後の初
期粘着力も変化がないことがわかる。比較例1〜2で
は、経時的に展開力が高くなり粘着シートが伸長変形
し、事実上使用できないことがわかる。
【0058】[実施例7] インフレーション成形により作成した厚み60μmのポ
リエチレンシート(ポリエチレン;三井石油化学(株)
製、商品名ネオゼックス3510F)に、熱可塑性エラ
ストマーのスチレン・ブタジエン・スチレンのトリブロ
ックコポリマーの水添物(SEBS;シェル化学(株)
製、商品名クレイトンG1657)100重量部に対し
て、粘着付与樹脂(荒川化学(株)製、商品名アルコン
P100)40重量部を加え、トルエンにて均一溶液
(固型分濃度40重量%)とした粘着剤溶液を、固型分
厚みが10μmとなるように塗布し、乾燥して粘着シー
トを作成した。図1に示す摩擦処理装置であって、ロー
ル表面にガーゼを巻き付けた摩擦ロールを用い、実施例
1と同様に粘着シートの背面を摩擦処理し、3インチ紙
管に巻き付けて巻重体を得た。表2に結果を示す。
【0059】[実施例8] 実施例1と同じポリエチレンと、SEBS100重量部
および粘着付与樹脂(アルコンP100)40重量部か
らなる粘着剤を2層Tダイにより共押出して、ポリエチ
レン層60μm、粘着層10μmの粘着シートを作成し
た。この粘着シートを用いて、実施例7と同様に摩擦処
理を行なった。結果を表2に示す。
【0060】[比較例3] 実施例8と同様にして作成した粘着シートを、摩擦処理
することなくロール状に巻き取った。結果を表2に示
す。
【0061】
【表2】 *1:シートが伸長変形 *3:シートがカール *4:シートが変形(カール)したために測定せず
【0062】
【発明の効果】本発明の摩擦処理装置によれば、剥離剤
を使用することなく展開力が改善された粘着シート(テ
ープ)が得られるため、製造工程が簡略化され、剥離処
理に要する工程も簡単でインライン化することができ、
かつ、経時後も巻戻し性が良好で長期にわたってその剥
離性を維持することが出来、被着材料の表面を汚染する
等の品質面への悪影響がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【図2】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【図3】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【図4】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【図5】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【図6】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【図7】本発明の摩擦処理装置の1実施例を示す概念図
である。
【符合の説明】1 粘着シート、 2 案内ロール、 5 逆回転ロール(摩擦ロール)、 6 繊維または繊維成形体、 23 ターンロール、 24 ターンロール、 25 摩擦ロール、 28 気体(空気など)の吹き出し口、 34 気体(空気など)の吹き出し口、 35 摩擦ロール、 44 摩擦ロール、 45 搬送ロール、 46 摩擦ロール、 53 テンションロール、 54 ターンロール、 55 摩擦ロール、 56 ターンロール、 57 テンションロール、 61 ピンチロール、 62 摩擦ロール、 63 ピンチロール、 65 搬送ロール、 72 摩擦ロール、 74 摩擦ロール、 75 搬送ロール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09J 7/02 C08J 7/00 WPI/L(QUESTEL)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 最外層にポリオレフィン層を有する粘着
    シートの該ポリオレフィン層の背面に剪断力を与えて表
    面加工するための摩擦処理装置であって、該装置が摩擦
    ロールを含むロール群からなることを特徴とする摩擦処
    理装置。
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