JP2943749B2 - 指固定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、指固定装置に係
り、特に、指紋認証装置で指紋を読み取る時に指を固定
する指固定装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】人の指紋は、人それぞれに固有のもので
ある。そこで、この指紋を画像に取り込み、その特徴量
を予め登録された複数人の指紋特徴量と比較して個人の
認証を行う装置の開発が進められている。一般には、基
台面に指紋読み取り窓があって、その内部に窓から指紋
を読み取るスキャナ部が装備されている。そして、認証
希望者が窓に指先を載置すると、窓から覗いた指先の指
紋画像がスキャナ部によって読み取られる。読取画像か
らは所定の特徴量が抽出され、この特徴量が、予め登録
された各個人の指紋特徴量と比較され、この比較結果の
一致により認証希望者が本人であることを判別するよう
になっている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例にあっては、コストや部材配置上の限定により読取
窓の面積とスキャナ部の読取可能領域を広く確保するこ
とができなかったので、認証希望者の指の置き位置や置
き方向によっては有効な指紋画像を撮像することができ
ず、本人であっても認証に失敗するケースが多いという
不都合があった。

【０００４】

【発明の目的】そこで本発明は、かかる従来例の有する
不都合を改善し、特に、有効な指紋画像を容易に撮像で
きるようにする指固定装置を提供することを、その目的
とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項１記載の発明では、基台面に設けられた指紋
読取窓との間に指１本分以上の間隔を隔てて当該指紋読
取窓の上方に掛け渡され，少なくとも一端部が基台面に
設けられた貫通穴を通って当該基台面の面下で移動子に
固定されると共に他端部が基台面又は当該基台面の面下
にて所定位置に固定された絞め手段と、少なくとも一部
が絞め手段と指紋読取窓との間に配置されかつ絞め手段
に装備された軟性の当たり手段と、基台面上にある絞め
手段が指紋読取窓と近づく方向に移動子を移動させる駆
動機構とを備えた、という構成を採っている。

【０００６】本発明では、指を当たり手段と指紋読取窓
との間に挿入する。続いて、駆動機構を作動すると、移
動子の移動により絞め手段が指紋読取窓に近づき、軟性
の当たり手段を介して指が締め付けられ固定される。

【０００７】請求項２記載の発明では、指紋読取窓と当
たり手段との間の指の存在を検出する指センサと、当た
り手段と指との間の圧力を検出する圧力センサと、指セ
ンサで指の存在が検出されると駆動機構を起動し圧力セ
ンサの検出値が予め設定された閾値を超えると駆動機構
を停止する制御部とを備えた、という構成を採ってい
る。

【０００８】本発明では、指センサにより指の挿入が検
出されると制御部により駆動機構が作動され、指が締め
付けられてゆく。このとき、圧力センサの出力値が徐々
に上昇する。制御部は、圧力センサの出力が予め設定さ
れた閾値を超えると駆動機構を停止し、そのときの指の
固定状態を保持する。

【０００９】請求項３記載の発明では、絞め手段は、所
定幅を有する帯状に形成した、という構成を採ってい
る。本発明では、帯状の絞め手段が帯幅全体をもって指
を均等に絞めてゆく。

【００１０】これらにより、前述した目的を達成しよう
とするものである。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図１
乃至図４に基づいて説明する。

【００１２】図１において、平坦な基台１上には当たり
手段２が配置されている。符号Ｆは指を示す。この図１
におけるI-I断面図を図２に示す。

【００１３】当たり手段２は、軟性カバー２ａの内部に
軟性部材２ｂを封入することにより構成されている。例
えば、軟性カバー２ａは布製であり、内部の軟性部材は
綿である。いわば縫いぐるみの感触を呈している。この
当たり手段２の外観形状は、図１で示すように基台１に
当接する両袖よりも指を覆う中央部の方が指挿入方向の
幅が狭くなっている。このため、当たり手段２と基台１
との間への指の挿入が比較的容易となっている。本実施
形態において、この当たり手段２は基台１に固定されて
はいない。図２に示すように、当たり手段２の内部に絞
め手段３を挿通し、この絞め手段３の配設位置をある程
度制限することにより、当たり手段２の位置決めがなさ
れている。当たり手段２は、本実施形態によらず基台１
に接着等により固定されていても良い。符号４は、当た
り手段２の内部において指Ｆの挿入位置の上方に装備さ
れた圧力センサ（圧電素子等）を示す。当たり手段２が
指Ｆに当接し圧力センサ４に負荷がかかると、圧力セン
サ４から圧力に応じた出力が得られるようになってい
る。

【００１４】絞め手段３は、帯状の金属性材料（銅な
ど）から成り、長さ方向の伸縮性はほとんど無いが曲げ
変形は容易にできるようになっている。この絞め手段３
の中央部は、指の挿入方向とは直交する方向に沿って当
たり手段２の一方から他方に挿通されている。帯面は当
たり手段２の指との当接方向に向けられている。また、
当たり手段２に挿通された絞め手段３の一端部と他端部
は、当該当たり手段２の両袖にある基台１との当接部分
において該当たり手段２の外部に導かれ、基台１に形成
された２つの貫通穴１ａ，１ａを通ってそれぞれ基台面
の面下に引き込まれている。

【００１５】基台面には、ちょうど貫通穴１ａ，１ａの
間に指紋読取窓１ｃが設けられ、その下方に指紋を撮像
するスキャナ部５が装備されている。このため、指紋読
取窓１ｃの上方に当たり手段２及び絞め手段３が掛け渡
された状態になっている。指紋読取窓１ｃと絞め手段３
との間には指一本分以上の空間が確保されている。図２
において、符号１ｂはスキャナ部５に絞め手段３が触れ
ないようにするためのガイドを示す。このガイド１ｂ
は、スキャナ部５の両脇に基台１から突設され、絞め手
段３と当接し得る外面が円弧状に形成されている。上述
した基台１の貫通穴１ａ，１ａは、それぞれこのガイド
１ｂ，１ｂの裾野から図２の左右方向に一定幅をとって
形成されている。

【００１６】この貫通穴１ａ，１ａを通った帯状の絞め
手段３は、その一端部と他端部とがスキャナ部５の下方
において接触しないように交差され、それぞれ移動子
６，６に固定されている。これら移動子６，６は、駆動
機構７，７との連係により図２の左右方向、即ち、基台
面に沿って移動可能となっている。例えば、移動子６，
６がラック状のギアを備え、駆動機構７，７が、このラ
ック状ギアと噛み合うピニオンギアとその駆動モータと
を備えていても良い。符号８は、駆動機構７，７が固定
された固定台を示す。

【００１７】続いて、図１のII-II断面図を図３に示
す。上述したように、当たり手段２の内部には帯状の絞
め手段３が挿通されている。また、基台１の指Ｆの挿入
方向の先端部には、指の挿入を検出する指センサ９が設
けられている。この指センサ９は、例えば、入射光の明
暗に応じて指の存在の有無を検出する光センサである。
この指センサ９は、指の先端がセンサに感知されたとき
に指の指紋が丁度指紋読取窓１ｃの上方に来る位置に配
置する。

【００１８】図４は、本実施形態にかかる指固定装置の
制御系の構成を示すブロック図である。制御部１０は、
指センサ９の出力及び圧力センサ４の出力に基づいて駆
動機構７の駆動停止を行うと共にスキャナ部５を作動す
る。

【００１９】次に、本実施形態の全体動作を説明する。

【００２０】認証希望者は、基台１と当たり手段２との
間に指を挿入する。この挿入した指が指センサ９で検出
されると、制御部１０は、駆動機構７を作動させる。こ
れにより、移動子６，６が図２の左右方向に開き、絞め
手段３の一端と他端が引っ張られるところ、当たり手段
２が指Ｆに押しつけられ、変形しながら指Ｆを固定して
ゆく。このとき、基台１の貫通穴１ａ，１ａは、ガイド
１ｂ，１ｂの根元まで設けられ、また、当たり手段２が
基台１に固定されていないので、当たり手段２の両袖は
基台１上をすべり、指Ｆを上方からのみならず両脇から
も固定してゆく。

【００２１】このとき、当たり手段２の内部において、
絞め手段３と指Ｆとの間に位置する圧力センサ４の負荷
が徐々に増して行き、圧力センサ４の出力が徐々に変化
する。制御部１０は、この圧力センサ４の出力を監視
し、圧力センサ４の出力が予め設定された閾値以上にな
ると、即ち、指Ｆが一定以上絞めつけられると、駆動機
構７を停止する。これにより、指Ｆが一定の圧力をもっ
て固定された状態に保持される。

【００２２】この状態で、制御部１０はスキャナ部５を
作動させ、指紋読取窓１ｃから覗く指紋の画像を撮像さ
せる。そして、スキャナ部５から撮像終了の信号を受信
すると、再び駆動機構７，７を作動させ、今度は、移動
子６，６の間を狭めてゆき、初期位置まで復帰させる。
これにより絞め手段３が緩められ、指Ｆの固定が解除さ
れる。

【００２３】これによると、絞め手段により指紋の撮像
時に指を固定しておくことができるので、撮像時の指の
ぶれ等を防止することができ、有効な指紋画像を撮像す
る可能性を向上できる。また、指は軟性の当たり手段を
介して固定されるので指の痛みを防止することができ
る。

【００２４】また、制御部が、圧力センサの出力が一定
以上になると駆動機構を停止するので、常に一定の圧力
で指の固定を行うことができるところ、撮像される指紋
画像の安定化を図ることができ、有効な指紋画像を得易
くなる。

【００２５】更に、絞め手段は帯状に形成したので、比
較的広い面積をもって指に均一な圧力を付与することが
できるところ、指先を広範囲に固定することでより安定
した指紋画像が得られるようになると共に、指に局所的
な圧力が加わらないので指の痛みを防止することができ
る。

【００２６】これに加え、当たり手段は軟性部材を軟性
カバーで覆うことにより、見た目を美しく仕上げること
ができると共に、汚れなどの清掃を容易にし長寿命化を
図ることができる。また、スキャナ部の両脇にガイドを
突設し、絞め手段との当接面を円弧状に形成したので、
スキャナ部を保護できると共に絞め手段が傷つくのを防
止することができる。更に、指センサの取付位置を最適
位置に調整することで、指を挿入方向の最適位置に固定
することが可能となり、有効な指紋画像を容易に得るこ
とができるようになる。

【００２７】ここで、本実施形態によらず、絞め手段
は、いずれか一端が固定されていて動かなくても良い。
絞め手段は、複数の線状材料などの束から構成されてい
ても良い。移動子は、図２の上下方向やその他の方向に
移動しても良い。当たり手段はシリコン樹脂等の単一材
料で形成されても良い。この他、種々の変形が考えられ
る。

【００２８】

【発明の効果】本発明は、以上のように構成され機能す
るので、これによると、絞め手段により指紋の撮像時に
指を固定しておくことができるので、撮像時の指のぶれ
等を防止することができ、有効な指紋画像を撮像する可
能性を向上できる。また、指は軟性の当たり手段を介し
て固定されるので指の痛みを防止することができる。

【００２９】また、請求項２記載の発明では、制御部
が、圧力センサの出力が一定以上になると駆動機構を停
止するので、常に一定の圧力で指の固定を行うことがで
きるところ、撮像される指紋画像の安定化を図ることが
でき、有効な指紋画像を得易くなる。

【００３０】更に、請求項３記載の発明では、絞め手段
は帯状に形成したので、比較的広い面積をもって指に均
一な圧力を付与することができるところ、指先を広範囲
に固定することでより安定した指紋画像が得られるよう
になると共に、指に局所的な圧力が加わらないので指の
痛みを防止することができる、という従来にない優れた
指固定装置を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態を示す構成図である。

【図２】図１におけるI-I断面図である。

【図３】図１におけるII-II断面図である。

【図４】本発明の一実施形態における制御系の構成を示
すブロック図である。

【符号の説明】

１ 基台 ２ 当たり手段 ３ 絞め手段 ４ 圧力センサ ５ スキャナ部 ６ 移動子 ７ 駆動機構 ８ 固定台 ９ 指センサ １０ 制御部

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 基台面に設けられた指紋読取窓との間に
   指１本分以上の間隔を隔てて当該指紋読取窓の上方に掛
   け渡され，少なくとも一端部が前記基台面に設けられた
   貫通穴を通って当該基台面の面下で移動子に固定される
   と共に他端部が基台面又は当該基台面の面下にて所定位
   置に固定された絞め手段と、少なくとも一部が前記絞め
   手段と前記指紋読取窓との間に配置されかつ前記絞め手
   段に装備された軟性の当たり手段と、前記基台面上にあ
   る絞め手段が前記指紋読取窓と近づく方向に前記移動子
   を移動させる駆動機構とを備えたことを特徴とする指固
   定装置。
2. 【請求項２】 前記指紋読取窓と前記当たり手段との間
   の指の存在を検出する指センサと、前記当たり手段と前
   記指との間の圧力を検出する圧力センサと、前記指セン
   サで指の存在が検出されると前記駆動機構を起動し前記
   圧力センサの検出値が予め設定された閾値を超えると前
   記駆動機構を停止する制御部とを備えたことを特徴とす
   る請求項１記載の指固定装置。
3. 【請求項３】 前記絞め手段は、所定幅を有する帯状に
   形成したことを特徴とする請求項１又は２記載の指固定
   装置。