JP2943090B2 - 薄膜el素子 - Google Patents
薄膜el素子Info
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、発光層が薄膜にて構成
される薄膜EL(エレクトロ ルミネッセンス)素子に
関するものである。
される薄膜EL(エレクトロ ルミネッセンス)素子に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から発光色の異なる2種類以上の発
光層を積層して薄膜EL素子を作製し、それらの発光色
の重ね合わせにより、新たに異なった発光色を得ようと
いう試みが種々なされている。例えば、「深尾隆三他、
電子情報通信学会技術研究報告、VoL86,No36
8,P5,1987」に、「2端子形チューナブルカラ
ーEL」としてZnS:TbF3 緑色発光層と、Zn
S:SnF3 赤色発光層を積層した薄膜EL素子が紹介
されている。そしてこの素子に電圧を印加すると、図1
1に示すように、この電圧増加により、赤色から黄緑に
変化することが報告されている。また「S.Tanak
a etal:Digest 1988 SID In
t. Symp,P293,1988」には青緑色発光
を示すSrS:Ce、Kと赤色発光を示すSrS:Eu
を積層した薄膜EL素子が紹介されており、これも電圧
により発光色が変化することが報告されている。
光層を積層して薄膜EL素子を作製し、それらの発光色
の重ね合わせにより、新たに異なった発光色を得ようと
いう試みが種々なされている。例えば、「深尾隆三他、
電子情報通信学会技術研究報告、VoL86,No36
8,P5,1987」に、「2端子形チューナブルカラ
ーEL」としてZnS:TbF3 緑色発光層と、Zn
S:SnF3 赤色発光層を積層した薄膜EL素子が紹介
されている。そしてこの素子に電圧を印加すると、図1
1に示すように、この電圧増加により、赤色から黄緑に
変化することが報告されている。また「S.Tanak
a etal:Digest 1988 SID In
t. Symp,P293,1988」には青緑色発光
を示すSrS:Ce、Kと赤色発光を示すSrS:Eu
を積層した薄膜EL素子が紹介されており、これも電圧
により発光色が変化することが報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記のような積層形の
薄膜EL素子を利用してドットマトリックスディスプレ
イ用のパネルを作製すると、発光層、絶縁層の膜厚分布
により、場所により発光層にかかる実効的な印加電圧が
異なり、それにより場所によって発光色が異なったり、
電極のライン抵抗による電圧降下により、電極の根元と
先端で発光色が異なるといった、いわゆる「色ムラ」の
問題が生じ、実用的なパネルを作製することができなか
った。
薄膜EL素子を利用してドットマトリックスディスプレ
イ用のパネルを作製すると、発光層、絶縁層の膜厚分布
により、場所により発光層にかかる実効的な印加電圧が
異なり、それにより場所によって発光色が異なったり、
電極のライン抵抗による電圧降下により、電極の根元と
先端で発光色が異なるといった、いわゆる「色ムラ」の
問題が生じ、実用的なパネルを作製することができなか
った。
【0004】上述の問題点は、発光層と発光層の界面
に、いわゆる「デッドレイヤー」と称される結晶性の悪
い高抵抗な層が1000〜2000オングストローム程
度の厚さで形成されているために起こると解釈される。
そしてこの「デッドレイヤー」は従来の発光層形成技術
であるEB(Electron Beam)蒸着法やス
パッタリング法で形成した発光層においては一般的に生
じることである(例えば、「H.Sasakura e
tal:J.Appl,Phys,52(11),69
01,1981」参照)。そのような従来の積層形発光
層を持つ薄膜EL素子に電圧を印加すると、各層が独立
した薄膜EL素子として機能する。そしてそれらの独立
したEL素子は独立した「輝度−電圧」特性を有するた
め、結果として電圧により発光色が変化した。これは、
例えば、発光層が2層の場合は、図12に示すように、
2つのツエナーダイオードa,bが逆向きに直列接続さ
れ、それらに1つのコンデンサcが並列接続されたもの
が2つ直列に接続され、それらに1つの他のコンデンサ
dが直列接続された回路と電気的に等価な構成になるた
めと言い換えることができる。
に、いわゆる「デッドレイヤー」と称される結晶性の悪
い高抵抗な層が1000〜2000オングストローム程
度の厚さで形成されているために起こると解釈される。
そしてこの「デッドレイヤー」は従来の発光層形成技術
であるEB(Electron Beam)蒸着法やス
パッタリング法で形成した発光層においては一般的に生
じることである(例えば、「H.Sasakura e
tal:J.Appl,Phys,52(11),69
01,1981」参照)。そのような従来の積層形発光
層を持つ薄膜EL素子に電圧を印加すると、各層が独立
した薄膜EL素子として機能する。そしてそれらの独立
したEL素子は独立した「輝度−電圧」特性を有するた
め、結果として電圧により発光色が変化した。これは、
例えば、発光層が2層の場合は、図12に示すように、
2つのツエナーダイオードa,bが逆向きに直列接続さ
れ、それらに1つのコンデンサcが並列接続されたもの
が2つ直列に接続され、それらに1つの他のコンデンサ
dが直列接続された回路と電気的に等価な構成になるた
めと言い換えることができる。
【0005】一方上記薄膜EL素子にはフルカラー表示
が可能にしたものがあるが、従来から、EL素子でフル
カラー表示を得るための方法として代表的なものでは図
13に示すように、赤色(R)、緑色(G)、青(B)
の三原色のそれぞれの発光が得られる材料を平面上にパ
ターニングするタイプと、図14に示すように、これら
の発光材料を積層し、混合色として得られる発光をフィ
ルタで分解するタイプとがある。なお図13において
は、eはガラス基板、dはこのガラス基板e上にパター
ニングされた透明電極、f,gは第1、第2の絶縁層、
hはこの両絶縁層f,g間にパターニングされた三原色
の発光層、iは背面電極である。また図14において、
kはカラーフィルタであり、他の部材は上記図13に示
したものと同一符号のものと同一部材である。なお発光
層hではR、G、Bの三原色の発光層が積層されてい
る。
が可能にしたものがあるが、従来から、EL素子でフル
カラー表示を得るための方法として代表的なものでは図
13に示すように、赤色(R)、緑色(G)、青(B)
の三原色のそれぞれの発光が得られる材料を平面上にパ
ターニングするタイプと、図14に示すように、これら
の発光材料を積層し、混合色として得られる発光をフィ
ルタで分解するタイプとがある。なお図13において
は、eはガラス基板、dはこのガラス基板e上にパター
ニングされた透明電極、f,gは第1、第2の絶縁層、
hはこの両絶縁層f,g間にパターニングされた三原色
の発光層、iは背面電極である。また図14において、
kはカラーフィルタであり、他の部材は上記図13に示
したものと同一符号のものと同一部材である。なお発光
層hではR、G、Bの三原色の発光層が積層されてい
る。
【0006】上記フルカラー表示が可能な従来の薄膜E
L素子での前者の発光層パターニングタイプでは、製作
プロセスが複雑になり、またパターニング時に発光層が
ダメージを受ける等の問題があった。また後者の発光層
積層タイプでは、製作プロセスがシンプルであるが、そ
れぞれの材料でL−V特性が異なり、また中央の層では
両側の層に比べて実質的にかかる電界が低いため、各層
からバランス良く光を取り出すのが難しい等の問題があ
る。なお、SrS:Ce.Euのように単一の発光層か
ら得られる幅広いスペクトルをもつ白色光をカラーフィ
ルタで分解する方法も考えられているが、SrS:C
e.Euでは十分な輝度が得られないことや、SrS母
材の化学的安定性の悪さが問題である。
L素子での前者の発光層パターニングタイプでは、製作
プロセスが複雑になり、またパターニング時に発光層が
ダメージを受ける等の問題があった。また後者の発光層
積層タイプでは、製作プロセスがシンプルであるが、そ
れぞれの材料でL−V特性が異なり、また中央の層では
両側の層に比べて実質的にかかる電界が低いため、各層
からバランス良く光を取り出すのが難しい等の問題があ
る。なお、SrS:Ce.Euのように単一の発光層か
ら得られる幅広いスペクトルをもつ白色光をカラーフィ
ルタで分解する方法も考えられているが、SrS:C
e.Euでは十分な輝度が得られないことや、SrS母
材の化学的安定性の悪さが問題である。
【0007】本発明は上記のことにかんがみなされたも
ので、発光色の異なる2種類以上の薄膜を積層して、発
光色の重ね合わせにより新たに異なった発光色を得るよ
うにした薄膜EL素子において、電圧変化による発光色
の変化が起こらないようにすると共に、高輝度の発光を
得ることができ、さらに化学的に安定した薄膜EL素子
を提供することを目的とするものである。また、発光を
示す薄膜と発光を示さない薄膜を積層した薄膜EL素子
において、低電圧で高輝度の発光を得ることができ、さ
らに化学的に安定した薄膜EL素子を提供することを目
的とするものである。
ので、発光色の異なる2種類以上の薄膜を積層して、発
光色の重ね合わせにより新たに異なった発光色を得るよ
うにした薄膜EL素子において、電圧変化による発光色
の変化が起こらないようにすると共に、高輝度の発光を
得ることができ、さらに化学的に安定した薄膜EL素子
を提供することを目的とするものである。また、発光を
示す薄膜と発光を示さない薄膜を積層した薄膜EL素子
において、低電圧で高輝度の発光を得ることができ、さ
らに化学的に安定した薄膜EL素子を提供することを目
的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る薄膜EL素子は、2層以上の薄膜から
なる発光層と1層以上の薄膜絶縁層により構成される薄
膜EL素子において、その素子の電気的な等価回路が、
2つのツエナーダイオードが逆向きに直列に結合し、そ
れらに1つのコンデンサが並列に結合したものに、さら
に1つのコンデンサが直列に結合したもので書き表わす
ことができる構成となっている。そして、上記構成にお
いて、発光層を形成する薄膜と薄膜の界面がエピタキシ
ャル成長で形成されている。さらに上記構成の薄膜EL
素子は、その発光層が、MSD(Multi−Sour
ce Deposition)法、CVD(Chemi
cal VaporDeposition)法等のよう
な、化合物薄膜を形成するときに、その化合物の構成元
素、あるいはその構成元素を含む化合物を原料として、
それらを別々に基板上に供給し、基板上で化学結合させ
て所望の化合物薄膜を成膜する方法により実現すること
ができる。そしてさらに、その発光層として、ZnS母
材にMnを発光中心不純物として導入したZnS:Mn
と、BaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCe
を発光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)
S:Ceを用いた。またさらに、上記発光層が、Zn
S:Mn/BaxSr(1−x)S:Ce/ZnS:M
nの3層構造になっている。
に、本発明に係る薄膜EL素子は、2層以上の薄膜から
なる発光層と1層以上の薄膜絶縁層により構成される薄
膜EL素子において、その素子の電気的な等価回路が、
2つのツエナーダイオードが逆向きに直列に結合し、そ
れらに1つのコンデンサが並列に結合したものに、さら
に1つのコンデンサが直列に結合したもので書き表わす
ことができる構成となっている。そして、上記構成にお
いて、発光層を形成する薄膜と薄膜の界面がエピタキシ
ャル成長で形成されている。さらに上記構成の薄膜EL
素子は、その発光層が、MSD(Multi−Sour
ce Deposition)法、CVD(Chemi
cal VaporDeposition)法等のよう
な、化合物薄膜を形成するときに、その化合物の構成元
素、あるいはその構成元素を含む化合物を原料として、
それらを別々に基板上に供給し、基板上で化学結合させ
て所望の化合物薄膜を成膜する方法により実現すること
ができる。そしてさらに、その発光層として、ZnS母
材にMnを発光中心不純物として導入したZnS:Mn
と、BaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCe
を発光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)
S:Ceを用いた。またさらに、上記発光層が、Zn
S:Mn/BaxSr(1−x)S:Ce/ZnS:M
nの3層構造になっている。
【0009】また発光層として、ZnS母材にTbとM
nを発光中心不純物として導入したZnS:Tb,Mn
とBaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCeを
発光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)
S:Ceを用いた構成となっている。そして、上記材料
からなる発光層を構成する薄膜のそれらが、ZnS:T
b,Mn/BaxSr(1−x)S:Ce/ZnS:T
b,Mnの3層構造になっている。また、発光層を構成
する薄膜として、ZnSとBaxSr(1−x)S(0
≦x≦1)母材に、CeとEuを発光中心不純物として
導入したBaxSr(1−x)S:Ce,Euを用いた
構成となっている。そして、上記材料からなる発光層を
構成する薄膜のそれらが、ZnS/BaxSr(1−
x)S:Ce,Eu/ZnSの3層構造になっている。
nを発光中心不純物として導入したZnS:Tb,Mn
とBaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCeを
発光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)
S:Ceを用いた構成となっている。そして、上記材料
からなる発光層を構成する薄膜のそれらが、ZnS:T
b,Mn/BaxSr(1−x)S:Ce/ZnS:T
b,Mnの3層構造になっている。また、発光層を構成
する薄膜として、ZnSとBaxSr(1−x)S(0
≦x≦1)母材に、CeとEuを発光中心不純物として
導入したBaxSr(1−x)S:Ce,Euを用いた
構成となっている。そして、上記材料からなる発光層を
構成する薄膜のそれらが、ZnS/BaxSr(1−
x)S:Ce,Eu/ZnSの3層構造になっている。
【0011】さらに、発光層を構成するZnS薄膜とB
axSr(1−x)S薄膜の少なくとも界面近傍におい
て、ZnS薄膜の結晶方位が閃亜鉛鉱型構造の〔11
1〕及び/またはウルツ鉱型の〔001〕に配向し、B
axSr(1−x)S薄膜の結晶方位が〔111〕及び
/または〔110〕に配向している。
axSr(1−x)S薄膜の少なくとも界面近傍におい
て、ZnS薄膜の結晶方位が閃亜鉛鉱型構造の〔11
1〕及び/またはウルツ鉱型の〔001〕に配向し、B
axSr(1−x)S薄膜の結晶方位が〔111〕及び
/または〔110〕に配向している。
【0012】また、発光層を構成する薄膜として、Zn
SとY2 O2 S母材にCeとEuあるいはCeとTbと
Euを発光中心不純物として導入したY2 O2 S:C
e,EuあるいはY2 O2 S:Ce,Tb,Euを用い
た構成となっている。そして上記発光層を構成する薄膜
のそれらが、ZnS/Y2 O2 S:Ce,Eu/ZnS
あるいはZnS/Y2 O2 S:Ce,Tb,Eu/Zn
Sの3層構造になっている。
SとY2 O2 S母材にCeとEuあるいはCeとTbと
Euを発光中心不純物として導入したY2 O2 S:C
e,EuあるいはY2 O2 S:Ce,Tb,Euを用い
た構成となっている。そして上記発光層を構成する薄膜
のそれらが、ZnS/Y2 O2 S:Ce,Eu/ZnS
あるいはZnS/Y2 O2 S:Ce,Tb,Eu/Zn
Sの3層構造になっている。
【0013】また、上記積層された発光層の下部あるい
は上部の一方にカラーフィルタを設置した構成となって
いる。そして上記カラーフィルタを用いた薄膜EL素子
において、基板側の電極と、基板と反対側の電極が互い
に直交するようにパターニングされており、それらが交
差する部分の下部あるいは上部の一方にカラーフィルタ
が設置されている構成となっている。さらに、上記カラ
ーフィルタとして光の3原色である赤色,緑色,青色の
それぞれの色の光だけを透過する3種類のフィルタを用
い、それらが周期的に配置されている。
は上部の一方にカラーフィルタを設置した構成となって
いる。そして上記カラーフィルタを用いた薄膜EL素子
において、基板側の電極と、基板と反対側の電極が互い
に直交するようにパターニングされており、それらが交
差する部分の下部あるいは上部の一方にカラーフィルタ
が設置されている構成となっている。さらに、上記カラ
ーフィルタとして光の3原色である赤色,緑色,青色の
それぞれの色の光だけを透過する3種類のフィルタを用
い、それらが周期的に配置されている。
【0014】
【作 用】素子の電気的な等価回路が上記したような
構成であることにより、単層の発光層を有する薄膜素子
の電気的な等価回路と同じになり、その結果、薄膜EL
素子の「輝度ー電圧」特性は、単層の発光層を有する薄
膜EL素子の「輝度ー電圧」特性と同じになり、発光色
の異なる2種類以上の薄膜の積層した薄膜EL素子にお
いては電圧による発光色の変化が起こらない。また、発
光を示す薄膜と発光を示さない薄膜を積層した薄膜EL
素子においては、化学的に安定で、低電圧で高輝度な発
光を示す。
構成であることにより、単層の発光層を有する薄膜素子
の電気的な等価回路と同じになり、その結果、薄膜EL
素子の「輝度ー電圧」特性は、単層の発光層を有する薄
膜EL素子の「輝度ー電圧」特性と同じになり、発光色
の異なる2種類以上の薄膜の積層した薄膜EL素子にお
いては電圧による発光色の変化が起こらない。また、発
光を示す薄膜と発光を示さない薄膜を積層した薄膜EL
素子においては、化学的に安定で、低電圧で高輝度な発
光を示す。
【0015】
【実 施 例】本発明の第1の実施例を図1から図4に
基づいて説明する。この実施例では、発光層がZnS:
Mn/Ba0.1Sr0.9S:Ce/ZnS:Mnの
3層構造になっている薄膜EL素子について説明する。
図1はこの構造の一例を示すもので、図中1はガラス基
板、2は透明電極からなる第1の電極、3はSiONか
らなる第1の絶縁層、4はZnS:Mnからなる第1の
発光層、5はBa0.1Sr0.9S:Ceからなる第
2の発光層、6はZnS:Mnからなる第3の発光層、
7はSiONからなる第2の絶縁層、8はAlよりなる
第2の電極であり、これらは図に示すように順次積層さ
れている。
基づいて説明する。この実施例では、発光層がZnS:
Mn/Ba0.1Sr0.9S:Ce/ZnS:Mnの
3層構造になっている薄膜EL素子について説明する。
図1はこの構造の一例を示すもので、図中1はガラス基
板、2は透明電極からなる第1の電極、3はSiONか
らなる第1の絶縁層、4はZnS:Mnからなる第1の
発光層、5はBa0.1Sr0.9S:Ceからなる第
2の発光層、6はZnS:Mnからなる第3の発光層、
7はSiONからなる第2の絶縁層、8はAlよりなる
第2の電極であり、これらは図に示すように順次積層さ
れている。
【0016】図2は上記積層構造を作製するためのMS
D装置を概念的に示すもので、真空チャンバ9の上部に
ガラス基板1が基板ホルダ10にて下向きに保持され、
これの下方部に発光層の構成元素がそれぞれ単独に蒸着
源11に入れられ対向配置されている。
D装置を概念的に示すもので、真空チャンバ9の上部に
ガラス基板1が基板ホルダ10にて下向きに保持され、
これの下方部に発光層の構成元素がそれぞれ単独に蒸着
源11に入れられ対向配置されている。
【0017】以下に本発明に係る薄膜EL素子の作製法
を説明する。まずガラス基板1上に第1の電極2として
ITO(Indium Tin Oxide)をスパッ
タリング法で0.1μm成膜し、その上に第1の絶縁層
3としてSiONをスパッタリング法で0.15μm成
膜しておく。このように前処理したガラス基板1を真空
チャンバ9内の基板ホルダ10に保持して発光層をMS
D法にて成膜する。すなわち、第1の発光層4は、真空
チャンバ9内の蒸着源11に、Zn、S、Mnをそれぞ
れ別々に入れ、独立に温度コントロールして上記ガラス
基板1の第1の絶縁層3の上にZn、S、Mnの蒸気を
供給し、そこで化学結合させることで得られる。また第
2の発光層5は上記第1の発光層4の成膜後、引き続き
同一チャンバ9内で、Ba、Sr、S、Ceをそれぞれ
別々に蒸着源11に入れ、それらを独立に温度コントロ
ールして、第1の発光層4の上にBa、Sr、S、Ce
の蒸気を供給して化学結合させることにより得られる。
ここで、BaとSrの蒸着源11の設定温度を変化させ
ることにより、BaxSr(1−x)S:CeのBa濃
度x、Sr濃度(1−x)を0〜1に自由に変えること
ができる。第3の発光層6は第1の発光層4と全く同様
にして第2の発光層5の上に成膜することにより得られ
る。次に上記発光層の成膜が終了したらその上に、第2
の絶縁層7としてSiONをスパッタリング法で0.1
5μm成膜し、最後に第2の電極8を構成するAlを電
子ビーム蒸着法にて成膜する。
を説明する。まずガラス基板1上に第1の電極2として
ITO(Indium Tin Oxide)をスパッ
タリング法で0.1μm成膜し、その上に第1の絶縁層
3としてSiONをスパッタリング法で0.15μm成
膜しておく。このように前処理したガラス基板1を真空
チャンバ9内の基板ホルダ10に保持して発光層をMS
D法にて成膜する。すなわち、第1の発光層4は、真空
チャンバ9内の蒸着源11に、Zn、S、Mnをそれぞ
れ別々に入れ、独立に温度コントロールして上記ガラス
基板1の第1の絶縁層3の上にZn、S、Mnの蒸気を
供給し、そこで化学結合させることで得られる。また第
2の発光層5は上記第1の発光層4の成膜後、引き続き
同一チャンバ9内で、Ba、Sr、S、Ceをそれぞれ
別々に蒸着源11に入れ、それらを独立に温度コントロ
ールして、第1の発光層4の上にBa、Sr、S、Ce
の蒸気を供給して化学結合させることにより得られる。
ここで、BaとSrの蒸着源11の設定温度を変化させ
ることにより、BaxSr(1−x)S:CeのBa濃
度x、Sr濃度(1−x)を0〜1に自由に変えること
ができる。第3の発光層6は第1の発光層4と全く同様
にして第2の発光層5の上に成膜することにより得られ
る。次に上記発光層の成膜が終了したらその上に、第2
の絶縁層7としてSiONをスパッタリング法で0.1
5μm成膜し、最後に第2の電極8を構成するAlを電
子ビーム蒸着法にて成膜する。
【0018】上記のようにして成膜された第1・第2・
第3の発光層4,5,6は、先に成膜された発光層上に
次の発光層が形成されるときにそれぞれの界面がエピタ
キシャル成長する。このことにより、積層した別々の発
光層4,5,6間で電子のやりとりが行なわれ、その結
果、これの電気的な等価回路は図3に示すようになり、
2つのツエナーダイオード12,13が逆向きに直列に
結合し、それらに1つのコンデンサ14が並列に結合し
たものに、さらに1つのコンデンサ15が直列に結合し
たもので書き表わされる。この構成は単層の発光層を有
する薄膜EL素子と同じ等価回路となる。なおこの場合
のエピタキシャル成長とは、多結晶薄膜上への多結晶薄
膜の成長において、下地多結晶薄膜を構成する結晶粒子
に上部多結晶薄膜を構成する結晶粒子が格子整合して成
長することを意味する。
第3の発光層4,5,6は、先に成膜された発光層上に
次の発光層が形成されるときにそれぞれの界面がエピタ
キシャル成長する。このことにより、積層した別々の発
光層4,5,6間で電子のやりとりが行なわれ、その結
果、これの電気的な等価回路は図3に示すようになり、
2つのツエナーダイオード12,13が逆向きに直列に
結合し、それらに1つのコンデンサ14が並列に結合し
たものに、さらに1つのコンデンサ15が直列に結合し
たもので書き表わされる。この構成は単層の発光層を有
する薄膜EL素子と同じ等価回路となる。なおこの場合
のエピタキシャル成長とは、多結晶薄膜上への多結晶薄
膜の成長において、下地多結晶薄膜を構成する結晶粒子
に上部多結晶薄膜を構成する結晶粒子が格子整合して成
長することを意味する。
【0019】図4は上記実施例にて作製された薄膜EL
素子の「輝度ー電圧」特性を示すもので、薄膜EL素子
から発光される白色光の輝度は、電圧の増加に従って単
調に増加する。これは電気的な等価回路が同じ単層の発
光層を有する薄膜EL素子と略同じである。従ってこの
実施例における薄膜EL素子の発光色は単層の発光層を
有する薄膜EL素子と同様に、電圧の変化にも係わらず
変化しない。
素子の「輝度ー電圧」特性を示すもので、薄膜EL素子
から発光される白色光の輝度は、電圧の増加に従って単
調に増加する。これは電気的な等価回路が同じ単層の発
光層を有する薄膜EL素子と略同じである。従ってこの
実施例における薄膜EL素子の発光色は単層の発光層を
有する薄膜EL素子と同様に、電圧の変化にも係わらず
変化しない。
【0020】一方上記3層構成の各発光層4,5,6に
おいて、第1、第2の発光層4,6を、ZnS母材にT
bとMnを発光中心不純物として導入してZnS:T
b,Mnとし、これの間に積層される第2の発光層5
を、BaxSr(1−x)S:Ce(0≦x≦1)にて
構成してもよい。
おいて、第1、第2の発光層4,6を、ZnS母材にT
bとMnを発光中心不純物として導入してZnS:T
b,Mnとし、これの間に積層される第2の発光層5
を、BaxSr(1−x)S:Ce(0≦x≦1)にて
構成してもよい。
【0021】この第1の実施例での上記中間層であるB
axSr(1−x)S:Ce層は両側のZnS:Mn及
びZnS:Tb,Mn層に比べて化学的に不安定であ
る。
axSr(1−x)S:Ce層は両側のZnS:Mn及
びZnS:Tb,Mn層に比べて化学的に不安定であ
る。
【0022】上記第1の実施例において、3層の発光層
4,5,6を構成する各層のうち、ZnS:Mnあるい
はZnS:Tb,Mnよりなる第1、第3の発光層4,
6では緑色〜赤までの高輝度な発光が得られる。また中
間のBaxSr(1−x)S:Ce、例えばx=0の場
合のSrS:Ceにて構成された第2の発光層5では高
輝度な青〜緑色の発光が得られる。このとき、化学的に
不安定なSrS:Ceからなる第2の発光層5を化学的
に安定したZnS:MnあるいはZnS:Tb,Mnよ
りなる第1、第3の発光層4,6ではさむ構造となって
いることにより、第1、第3の発光層4,6は第2の発
光層5のパッシベーションを兼ねることとなり、発光層
全体を化学的に安定したものにすることができる。
4,5,6を構成する各層のうち、ZnS:Mnあるい
はZnS:Tb,Mnよりなる第1、第3の発光層4,
6では緑色〜赤までの高輝度な発光が得られる。また中
間のBaxSr(1−x)S:Ce、例えばx=0の場
合のSrS:Ceにて構成された第2の発光層5では高
輝度な青〜緑色の発光が得られる。このとき、化学的に
不安定なSrS:Ceからなる第2の発光層5を化学的
に安定したZnS:MnあるいはZnS:Tb,Mnよ
りなる第1、第3の発光層4,6ではさむ構造となって
いることにより、第1、第3の発光層4,6は第2の発
光層5のパッシベーションを兼ねることとなり、発光層
全体を化学的に安定したものにすることができる。
【0023】次に本発明の第2の実施例について述べ
る。上記、第1の実施例に示した発光層の成膜法に従っ
て成膜され、かつ3層の各素子の電気的な等価回路が、
図3に示すように2つのツエナーダイオード12,13
が逆向きに直列に結合し、それらにコンデンサ14が並
列に結合したものに、さらに1つのコンデンサが直列に
結合したもので書き表わすことができるものであれば、
3層の発光層を構成する薄膜として、ZnSと、Bax
Sr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCeとEuを発
光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)S:
Ce、Euを用い、これらが、ZnS/BaxSr(1
−x)S:Ce,Eu/ZnSの3層構造にしてもよ
い。
る。上記、第1の実施例に示した発光層の成膜法に従っ
て成膜され、かつ3層の各素子の電気的な等価回路が、
図3に示すように2つのツエナーダイオード12,13
が逆向きに直列に結合し、それらにコンデンサ14が並
列に結合したものに、さらに1つのコンデンサが直列に
結合したもので書き表わすことができるものであれば、
3層の発光層を構成する薄膜として、ZnSと、Bax
Sr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCeとEuを発
光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)S:
Ce、Euを用い、これらが、ZnS/BaxSr(1
−x)S:Ce,Eu/ZnSの3層構造にしてもよ
い。
【0024】この構成の発光層で、かつZnS/Ba
0.1Sr0.9S:Ce,Eu/ZnSを用いた薄膜
EL素子と、図12に示したように、2つのツエナーダ
イオードa,bが逆向きに直列接続され、それらに1つ
のコンデンサcが並列に接続されたものが2つ直列に接
続され、それらに1つの他のコンデンサdが直列に接続
された回路と電気的に等価な構成になっている従来タイ
プのZnS/Ba0.1Sr0.9S:Ce,Eu/Z
nSを用いた薄膜EL素子Bを試作し、その特性を比較
評価した結果を以下に示す。
0.1Sr0.9S:Ce,Eu/ZnSを用いた薄膜
EL素子と、図12に示したように、2つのツエナーダ
イオードa,bが逆向きに直列接続され、それらに1つ
のコンデンサcが並列に接続されたものが2つ直列に接
続され、それらに1つの他のコンデンサdが直列に接続
された回路と電気的に等価な構成になっている従来タイ
プのZnS/Ba0.1Sr0.9S:Ce,Eu/Z
nSを用いた薄膜EL素子Bを試作し、その特性を比較
評価した結果を以下に示す。
【0025】本案の素子Aの試作方法は実施例の場合と
全く同じであり、従来の素子Bの発光層はEB(エレク
トロンビーム)法により形成した。素子A,素子Bとも
発光層以外は第1の実施例と全く同様のものである。図
5はその評価結果を示す。電気的特性として移動電荷量
(Transferred ChargeDensit
y dQ)の電圧依存性を評価した。本案による素子A
は約160Vから、電圧の増加に伴い略直線的にdQの
値も増加しているが、従来の素子Bの方は約200Vで
折れ曲がっている。これらは、本案による素子Aの電気
的等価回路が図3で表わされ、従来の素子Bが図12で
表わされることに対応している。また輝度(Lumin
ance)−電圧特性は図6に示すようになった。これ
は本案により、より低電圧で発光を開始し、その後、電
圧の上昇により輝度が増加するため、同じ電圧で比較す
ると、より高輝度のものが得られることを示す。
全く同じであり、従来の素子Bの発光層はEB(エレク
トロンビーム)法により形成した。素子A,素子Bとも
発光層以外は第1の実施例と全く同様のものである。図
5はその評価結果を示す。電気的特性として移動電荷量
(Transferred ChargeDensit
y dQ)の電圧依存性を評価した。本案による素子A
は約160Vから、電圧の増加に伴い略直線的にdQの
値も増加しているが、従来の素子Bの方は約200Vで
折れ曲がっている。これらは、本案による素子Aの電気
的等価回路が図3で表わされ、従来の素子Bが図12で
表わされることに対応している。また輝度(Lumin
ance)−電圧特性は図6に示すようになった。これ
は本案により、より低電圧で発光を開始し、その後、電
圧の上昇により輝度が増加するため、同じ電圧で比較す
ると、より高輝度のものが得られることを示す。
【0026】また上記実施例でのZnS/BaxSr
(1−x)S:ce,Eu/ZnSのうちの中間層の薄
膜構成をY2 O2 S母材にCeとEu、あるいはCeと
TbとEuを発光中心不純物として導入したY2O
2 S:Ce,EuあるいはY2 O2 S:Ce,Tb,E
uを用いても上記の場合と全く同様の評価を得ることが
できた。
(1−x)S:ce,Eu/ZnSのうちの中間層の薄
膜構成をY2 O2 S母材にCeとEu、あるいはCeと
TbとEuを発光中心不純物として導入したY2O
2 S:Ce,EuあるいはY2 O2 S:Ce,Tb,E
uを用いても上記の場合と全く同様の評価を得ることが
できた。
【0027】図7は第3の実施例を示すもので、ガラス
基板1と絶縁層3との間にカラーフィルタ16を介装し
た構成を示すもので、このカラーフィルタ16は赤色
(R)、緑色(G)、青色(B)のそれぞれのみの光を
透過する種類のフィルタ(R)、(G)、(B)を用
い、それらが周期的に配置されている。またこのカラー
フィルタ16を用いた薄膜EL素子において、ガラス基
板1側の電極2と反対側の電極8が互いに直交するよう
にパターニングされており、それらが交差する部分の下
部あるいは上部に上記カラーフィルタが設置されるよう
にしてもよい。
基板1と絶縁層3との間にカラーフィルタ16を介装し
た構成を示すもので、このカラーフィルタ16は赤色
(R)、緑色(G)、青色(B)のそれぞれのみの光を
透過する種類のフィルタ(R)、(G)、(B)を用
い、それらが周期的に配置されている。またこのカラー
フィルタ16を用いた薄膜EL素子において、ガラス基
板1側の電極2と反対側の電極8が互いに直交するよう
にパターニングされており、それらが交差する部分の下
部あるいは上部に上記カラーフィルタが設置されるよう
にしてもよい。
【0028】上記実施例のEL素子の輝度−電圧特性は
図8に示すようになり、またカラーフィルタ7を透過す
る前の発光スペクトルは図9に示すようになった。この
両図から、上記実施例のEL素子は高輝度で、しかも幅
広い発光スペクトルをもっていることがわかる。
図8に示すようになり、またカラーフィルタ7を透過す
る前の発光スペクトルは図9に示すようになった。この
両図から、上記実施例のEL素子は高輝度で、しかも幅
広い発光スペクトルをもっていることがわかる。
【0029】次に本発明の第4の実施例について説明す
る。上記第1の実施例で示される薄膜EL素子におい
て、この実施例での発光層を構成する薄膜として結晶方
位がウルツ鉱型の〔001〕に配向したZnS:Mn薄
膜に、結晶方位がそれぞれ〔100〕,〔110〕,
〔111〕に配向した3種類のBaxSr(1−x)
S:Ce薄膜を組合わせた3種類の薄膜EL素子を試作
し、その特性を比較した例を以下に示す。ウルツ鉱型の
〔001〕に配向したZnS:Mn薄膜は第1の実施例
で示したMSD法を用い、適当な条件で成膜することに
より得られる。
る。上記第1の実施例で示される薄膜EL素子におい
て、この実施例での発光層を構成する薄膜として結晶方
位がウルツ鉱型の〔001〕に配向したZnS:Mn薄
膜に、結晶方位がそれぞれ〔100〕,〔110〕,
〔111〕に配向した3種類のBaxSr(1−x)
S:Ce薄膜を組合わせた3種類の薄膜EL素子を試作
し、その特性を比較した例を以下に示す。ウルツ鉱型の
〔001〕に配向したZnS:Mn薄膜は第1の実施例
で示したMSD法を用い、適当な条件で成膜することに
より得られる。
【0030】またBaxSr(1−x)S:Ce薄膜の
結晶方位は同じMSD法により(Ba,Sr)とSの供
給量の比(Ba,Sr)/Sを変えることによって制御
できる(Conference Record of
the 1988International Dis
play Research Conference,
P122,S.Tanda,A.Miyakoshi
and T.Nire参照)。
結晶方位は同じMSD法により(Ba,Sr)とSの供
給量の比(Ba,Sr)/Sを変えることによって制御
できる(Conference Record of
the 1988International Dis
play Research Conference,
P122,S.Tanda,A.Miyakoshi
and T.Nire参照)。
【0031】この第4の実施例の素子の構造は第1の実
施例の構造と全く同様で、作成方法に関しても、発光層
の成膜条件以外は全く同様である。BaxSr(1−
x)S:Ce薄膜の結晶方位が〔100〕,〔11
0〕,〔111〕のものを用いた薄膜EL素子をそれぞ
れ、〔100〕,〔110〕,〔111〕としたときの
それらの輝度−電圧特性を図10に示す。
施例の構造と全く同様で、作成方法に関しても、発光層
の成膜条件以外は全く同様である。BaxSr(1−
x)S:Ce薄膜の結晶方位が〔100〕,〔11
0〕,〔111〕のものを用いた薄膜EL素子をそれぞ
れ、〔100〕,〔110〕,〔111〕としたときの
それらの輝度−電圧特性を図10に示す。
【0032】これらの素子〔100〕,〔110〕,
〔111〕の全ては電圧により発光色が変化しないが、
〔100〕に比べて〔110〕と〔111〕の方が輝度
が高いことがわかる。これは、ZnS薄膜の閃亜鉛鉱型
構造〔111〕面またはウルツ鉱型構造〔001〕面と
BaxSr(1−x)Sの〔111〕面または〔11
0〕面との格子整合性が良い(結合格子間距離のずれが
小さい)ため、界面近傍の結晶ひずみや格子欠陥が少な
くなり、結果としてさらに高輝度の薄膜EL素子が得ら
れるためである。
〔111〕の全ては電圧により発光色が変化しないが、
〔100〕に比べて〔110〕と〔111〕の方が輝度
が高いことがわかる。これは、ZnS薄膜の閃亜鉛鉱型
構造〔111〕面またはウルツ鉱型構造〔001〕面と
BaxSr(1−x)Sの〔111〕面または〔11
0〕面との格子整合性が良い(結合格子間距離のずれが
小さい)ため、界面近傍の結晶ひずみや格子欠陥が少な
くなり、結果としてさらに高輝度の薄膜EL素子が得ら
れるためである。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、発光色の異なる2種類
以上の薄膜を積層して、発光色の重ね合わせにより新た
に異なった発光色を得るようにした薄膜EL素子におい
て、電圧の変化による発光色の変化が生じることがな
く、従って、この薄膜EL素子を用いても、電圧降下に
よる色ムラの発生をなくすことができる。また本発明に
よる薄膜EL素子は高輝度の発光を得ることができる。
そしてさらに、積層される発光層は化学的に安定したも
のにすることができる。また、発光を示す薄膜と発光を
示さない薄膜を積層した薄膜ED素子においては、化学
的に安定で低電圧で高輝度な発光を示す。
以上の薄膜を積層して、発光色の重ね合わせにより新た
に異なった発光色を得るようにした薄膜EL素子におい
て、電圧の変化による発光色の変化が生じることがな
く、従って、この薄膜EL素子を用いても、電圧降下に
よる色ムラの発生をなくすことができる。また本発明に
よる薄膜EL素子は高輝度の発光を得ることができる。
そしてさらに、積層される発光層は化学的に安定したも
のにすることができる。また、発光を示す薄膜と発光を
示さない薄膜を積層した薄膜ED素子においては、化学
的に安定で低電圧で高輝度な発光を示す。
【図1】本発明に係る薄膜EL素子の第1の実施例を示
す断面図である。
す断面図である。
【図2】MSD法に用いる装置の概念図である。
【図3】本発明に係る薄膜EL素子の電気的な等価回路
図である。
図である。
【図4】本発明に係る薄膜EL素子の輝度−電圧特性図
である。
である。
【図5】本発明に係る薄膜EL素子の第2の実施例と従
来例での移動電荷量−電圧特性図である。
来例での移動電荷量−電圧特性図である。
【図6】本発明に係る薄膜EL素子の第2の実施例と従
来例での輝度−電圧特性図である。
来例での輝度−電圧特性図である。
【図7】本発明に係る薄膜EL素子の第3の実施例を示
す断面図である。
す断面図である。
【図8】本発明に係る薄膜EL素子の第3の実施例での
輝度−電圧特性図である。
輝度−電圧特性図である。
【図9】第3の実施例で得られた薄膜EL素子の発光ス
ペクトル線図である。
ペクトル線図である。
【図10】本発明に係る薄膜EL素子の第4の実施例で
の輝度−電圧特性図である。
の輝度−電圧特性図である。
【図11】従来の積層型の薄膜EL素子の輝度−電圧特
性図である。
性図である。
【図12】従来の積層型の薄膜EL素子の電気的等価回
路図である。
路図である。
【図13】第1の従来のEL素子を示す断面図である。
【図14】第2の従来のEL素子を示す断面図である。
1…ガラス基板、2,8…電極、3,7…絶縁層、4,
5,6…発光層、9…真空チャンバ、10…基板ホル
ダ、11…蒸着源、12,13…ツエナーダイオード、
14,15…コンデンサ、16…カラーフィルタ。
5,6…発光層、9…真空チャンバ、10…基板ホル
ダ、11…蒸着源、12,13…ツエナーダイオード、
14,15…コンデンサ、16…カラーフィルタ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−202285(JP,A) 特開 平4−71192(JP,A) 特開 平2−227990(JP,A) 特開 平1−279598(JP,A) 特開 昭59−181485(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 33/14 H05B 33/10
Claims (14)
- 【請求項1】 2層以上の多結晶薄膜からなる発光層
と、1層以上の薄膜絶縁層により構成される薄膜EL素
子において、発光層を構成する薄膜と薄膜の界面がエピ
タキシャル成長により形成され、素子の電気的特性が2
つのツェナーダイオードが直列に結合し、それらに1つ
のコンデンサが並列に結合したものに、さらに1つのコ
ンデンサが直列に結合したもので書き表わすことができ
る単一回路と等価であることを特徴とする薄膜EL素
子。 - 【請求項2】 発光層が、MSD(Multi−Sou
rce Deposition)法、CVD(Chem
ical Vapor Deposition)法等の
ような、化合物薄膜を形成するときに、その化合物の構
成元素、あるいはその構成元素を含む化合物を原料とし
て、それらを別々に基板上に供給し、基板上で化学結合
させて所望の化合物薄膜を成膜する方法により形成され
たことを特徴とする請求項1記載の薄膜EL素子。 - 【請求項3】 発光層を構成する薄膜として、ZnS母
材にMnを発光中心不純物として導入したZnS:Mn
と、BaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCe
を発光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)
S:Ceを用いたことを特徴とする請求項1記載の薄膜
EL素子。 - 【請求項4】 発光層が、上記請求項3記載の材料より
成っており、それらが、ZnS:Mn/BaxSr(1
−x)S:Ce/ZnS:Mnの3層構造になっている
ことを特徴とする請求項1記載の薄膜EL素子。 - 【請求項5】 発光層として、ZnS母材にTbとMn
を発光中心不純物として導入したZnS:Tb,Mnと
BaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材にCeを発
光中心不純物として導入したBaxSr(1−x)S:
Ceを用いたことを特徴とする請求項1記載の薄膜EL
素子。 - 【請求項6】 発光層が上記請求項5記載の材料から成
っており、それらがZnS:Tb,Mn/BaxSr
(1−x)S:Ce/ZnS:Tb,Mnの3層構造に
なっていることを特徴とする請求項1記載の薄膜EL素
子。 - 【請求項7】 発光層を構成する薄膜として、ZnSと
BaxSr(1−x)S(0≦x≦1)母材に、Ceと
Euを発光中心不純物として導入したBaxSr(1−
x)S:Ce,Euを用いたことを特徴とする請求項1
記載の薄膜EL素子。 - 【請求項8】 発光層が上記請求項7記載の材料から成
っており、それらがZnS/BaxSr(1−x)S:
Ce,Eu/ZnSの3層構造になっていることを特徴
とする請求項1記載の薄膜EL素子。 - 【請求項9】 発光層を構成するZnS薄膜とBaxS
r(1−x)S薄膜の少なくとも界面近傍において、Z
nS薄膜の結晶方位が閃亜鉛鉱型構造の〔111〕及び
/またはウルツ鉱型の〔001〕に配向し、BaxSr
(1−x)S薄膜の結晶方位が〔111〕及び/または
〔110〕に配向していることを特徴とする請求項3か
ら請求項8のいずれか1項記載の薄膜EL素子。 - 【請求項10】 発光層を構成する薄膜として、ZnS
とY2O2S母材にCeとEuあるいはCeとTbとE
uを発光中心不純物として導入したY2O2S:Ce,
EuあるいはY2O2S:Ce,Tb,Euを用いたこ
とを特徴とする請求項1記載の薄膜EL素子。 - 【請求項11】 発光層が上記請求項10記載の材料か
ら成っており、それらがZnS/Y2O2S:Ce,E
u/ZnSあるいはzns/Y2O2S:Ce,Tb,
Eu/ZnSの3層構造になっていることを特徴とする
薄膜EL素子。 - 【請求項12】 積層された発光層の下部あるいは上部
の一方にカラーフィルタを設置したことを特徴とする請
求項1記載のEL素子。 - 【請求項13】 請求項12記載の薄膜EL素子におい
て、基板側の電極と、基板と反対側の電極が互いに直交
するようにパターニングされており、それらが交差する
部分の下部あるいは上部の一方にカラーフィルタが設置
されていることを特徴とする薄膜EL素子。 - 【請求項14】 カラーフィルタとして光の3原色であ
る赤色,緑色,青色のそれぞれの色の光だけを透過する
3種類のフィルタを用い、それらが周期的に配置されて
いることを特徴とする請求項13記載の薄膜EL素子。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP4121137A JP2943090B2 (ja) | 1991-06-27 | 1992-04-16 | 薄膜el素子 |
US08/325,195 US5641582A (en) | 1992-04-16 | 1992-07-29 | Thin-film EL element |
PCT/JP1992/000958 WO1993021744A1 (en) | 1992-04-16 | 1992-07-29 | Thin-film el element |
FI944851A FI944851A (fi) | 1992-04-16 | 1994-10-14 | Ohutkalvoelektroluminesenssielementti |
US08/594,262 US5670207A (en) | 1992-04-16 | 1996-01-30 | Forming a thin-film EL element |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP18170091 | 1991-06-27 | ||
JP27639391 | 1991-09-30 | ||
JP3-181700 | 1991-09-30 | ||
JP3-276393 | 1991-09-30 | ||
JP4121137A JP2943090B2 (ja) | 1991-06-27 | 1992-04-16 | 薄膜el素子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05152074A JPH05152074A (ja) | 1993-06-18 |
JP2943090B2 true JP2943090B2 (ja) | 1999-08-30 |
Family
ID=27314189
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP4121137A Expired - Fee Related JP2943090B2 (ja) | 1991-06-27 | 1992-04-16 | 薄膜el素子 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2943090B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100435203B1 (ko) * | 2001-08-17 | 2004-06-09 | 주식회사 진우엔지니어링 | 백라이트용 백색 유기발광소자 및 이를 이용한 액정디스플레이 장치 |
-
1992
- 1992-04-16 JP JP4121137A patent/JP2943090B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH05152074A (ja) | 1993-06-18 |
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