JP2940692B2 - シボ模様付熱可塑性エラストマー成形物およびその製造方法 - Google Patents

シボ模様付熱可塑性エラストマー成形物およびその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 発明の技術分野 本発明は、シボ模様付熱可塑性エラストマー成形物お
よびその製造方法に関し、さらに詳しくは、表面に細か
い凹凸からなるシボ模様、特に深いシボ模様を有する機
械的物性に優れた熱可塑性エラストマー成形物、および
その製造方法に関する。
発明の技術的背景 従来、自動車用ダッシュボード、人形などの成形物の
塩化ビニル樹脂(PVC)が広く用いられている。特にシ
ボ模様を有する、たとえば自動車用ダッシュボードなど
は、高級イメージが強いため需要が多い。
ところで、上記のような自動車用ダッシュボード、人
形などのシボ模様付塩化ビニル樹脂成形物を製造する方
法としては、ジオクチルフタレートなどの可塑剤を加え
たプラスチゾル用の塩化ビニル樹脂パウダーを金型に注
入するか、または上記パウダー中に金型を浸漬して金型
表面に上記パウダーを付着させて加熱して成形する、い
わゆるスラッシュ成形法、塩化ビニル樹脂シート(PVC
シート)を真空成形する方法が知られている。
しかしながら、塩化ビニル樹脂は、耐熱性、耐熱老化
性、耐寒性、耐光性に劣るという問題点があった。ま
た、塩化ビニル樹脂を用いて上記のようなスラッシュ成
形あるいは真空成形を行なってシボ模様付の成形物を製
造してもシボの深さは90μm程度であり、したがって、
より深いシボ模様を有する合成樹脂成形物の出現が望ま
れていた。
本発明者らは、上記のようなシボ模様付塩化ビニル樹
脂成形物に代わる、より深いシボ模様を有する合成樹脂
成形物を得るべく鋭意研究したところ、ポリオレフィン
系樹脂とα−オレフィン系共重合体ゴムとの混合物パウ
ダーを、架橋剤の存在下で用いてパウダースラッシュ成
形すれば、機械的物性の低下がないとともに、シボ深さ
が深く、しかもシボ模様の転写性に優れた成形物が得ら
れることを見出し、本発明を完成するに至った。
発明の目的 本発明は、上記のような従来技術に伴う問題点を解決
しようとするものであって、シボ模様付塩化ビニル樹脂
成形物に代わる、よりシボ深さが深く、かつ機械的物性
の低下がないようなシボ模様付熱可塑性エラストマー成
形物を提供することを目的としている。
また、本発明は、上記のようなシボ模様付熱可塑性エ
ラストマー成形物の製造方法を提供することを目的とし
ている。
発明の概要 本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物
は、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系共重合体
ゴムとの混合物パウダーが、架橋剤の存在下で、シボ模
様転写用金型の内表面に溶融付着することにより、表面
にシボ模様が形成されてなることを特徴としている。
また、本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー
成形物の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂とα−オレ
フィン系共重合体ゴムとの混合物パウダーを、架橋剤の
存在下で、あらかじめ加熱したシボ模様転写用金型の内
表面に溶融付着させた後、該金型を冷却するパウダース
ラッシュ成形法にて表面にシボ模様を有する熱可塑性エ
ラストマー成形物を得ることを特徴としている。
発明の具体的説明 以下、本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー
成形物およびその製造方法を具体的に説明する。
まず、本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー
成形物について説明する。
本発明に係るシボ模様付着熱可塑性エラストマー成形
物は、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系共重合
体ゴムとを必須成分として含有する混合物パウダーから
なる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂としては、
たとえばエチレンまたはプロピレンの単独重合体、また
はエチレンもしくはプロピレンと少量の他の重合性単量
体との共重合体、たとえばプロピレン−エチレン共重合
体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1
−ヘキセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペ
ンテン共重合体などが挙げられる。上記の少量の他の重
合性単量体としては、具体的には、酢酸ビニル、アクリ
ル酸エチル、メタクリル酸などが挙げられる。本発明に
おいては、ポリオレフィン系樹脂のメルトインデックス
(ASTM−D−1238−65T,230℃)は、0.1〜100、特に5
〜50の範囲内にあることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂としては、成形性、シートの耐
傷付き性などを向上させる目的で、ポリエチレン、特に
低密度ポリエチレンとポリプロピレンとを10/90〜70/30
の重量比で混合して用いることができる。
本発明で用いられるα−オレフィン系共重合体ゴム
は、たとえばエチレン−プロピレン共重合体ゴム、プロ
ピレン−エチレン共重合体ゴム、エチレン−プロピレン
非共役ジエンゴム、プロピレン−エチレン非共役ジエン
ゴム、エチレン−ブタジエン共重合体ゴム、プロピレン
−ブタジエン共重合体ゴムのようなオレフィンを主成分
とする無定形の弾性共重合体であって、勇気ペルオキシ
ドと混合し、加熱下に混練することにより架橋して流動
性が低下し、あるいは流動しなくなるゴムである。な
お、非共役ジエンとは、ジシクロペンタジエン、1,4−
ヘキサジエン、ジシクロオクタジエン、メチレンノルボ
ルネン、エチリデンノルボルネンなどを指称する。
本発明では、これらの共重合体ゴムの中でも、エチレ
ン−プロピレン非共役ジエン共重合体ゴム、特にエチレ
ン−プロピレン−エチリデンノルボルネン共重合体ゴム
が、耐熱性、引張特性および反撥弾性に優れた熱可塑性
エラストマー成形物が得られる点で好ましい。
また、上記共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4(100
℃)]、10〜120、特に40〜80が好ましい。ムーニー粘
度がこの範囲内にある上記共重合体ゴムを用いることに
より、引張特性に優れた熱可塑性エラストマー成形物が
得られる。
さらに、上記共重合体ゴムのヨウ素価(不飽和度)は
16以下であることが好ましい。
本発明においては、ポリオレフィン系樹脂とα−オレ
フィン系共重合体ゴムは、通常90/10〜10/90、好ましく
は80/20〜20/80の重量比(ポリオレフィン系樹脂/α−
オレフィン系共重合体ゴム)となるような割合で用いら
れる。
本発明で用いられるポリオレフィン系樹脂とα−オレ
フィン系共重合体との混合物パウダーは、20〜400メッ
シュ、好ましくは42〜200メッシュ、さらに好ましくは6
5〜150メッシュであり、たとえば下記のような方法で得
ることができる。
(1)ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系共重合
体ゴムとの混合物を、−60℃の雰囲気下で粉砕して混合
物パウダーを得る方法。
(2)製造時にパウダーとして取出したポリオレフィン
系樹脂パウダーまたは冷凍粉砕して得られたポリオレフ
ィン系樹脂パウダーと、α−オレフィン系共重合体ゴム
との混合物を粉砕して混合物パウダーを得る方法。
(3)上記(2)におけるポリオレフィン系樹脂パウダ
ーまたは冷凍粉砕して得られたポリオレフィン系樹脂パ
ウダーと、冷凍粉砕して得られたα−オレフィン系共重
合体ゴムパウダーとを混合して混合物パウダーを得る方
法。
本発明では、上記のようなポリオレフィン系樹脂とα
−オレフィン系共重合体ゴムとの混合物パウダーを、架
橋剤の存在下で、あらかじめ加熱したシボ模様転写用金
型の内表面に溶融付着させた後、該金型を冷却するパウ
ダースラッシュ成形法にて表面にシボ模様を有する熱可
塑性エラストマー成形物を得るが、上記溶融の際に架橋
反応が行なわれて熱可塑性エラストマーが製造され、そ
の製造と同時に成形が行なわれる。
上記架橋剤としては、有機ペルオキシド、硫黄、フェ
ノール系加硫剤、オキシム類、ポリアミンなどが用いら
れるが、これらのうちでは、得られる熱可塑性エラスト
マーの物性の面から、有機ペルオキシドおよびフェノー
ル系加硫剤が好ましい。特に有機ペルオキシドが好まし
い。
フェノール系加硫剤としては、具体的には、アルキル
フェノールホルムアルデヒド樹脂、トリアジン−ホルム
アルデヒド樹脂、メラミン−ホルムアルデヒド樹脂が用
いられる。
また、有機ペルオキシドとしては、具体的には、ジク
ミルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、2,
5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペルオキシ)ヘ
キサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルペル
オキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(tert−ブチルペル
オキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブ
チルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキ
シ)バレラート、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブ
チルペルオキシベンゾアートなどが用いられる。このう
ち、架橋反応時間、臭気、スコーチ安定性の観点からジ
ベンゾイルペルオキシド、1,3−ビス(tert−ブチルペ
ルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましい。
本発明においては、架橋剤は、上記のような混合物パ
ウダー100重量部に対し、約0.01〜2重量部、好ましく
は0.03〜1.0重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部
の量で用いられる。
また、架橋反応を均一かつ緩和に実現するため、架橋
助剤を配合することが好ましい。架橋助剤としては、具
体的には、硫黄、p−キノンジオキシム、p,p′−ジベ
ンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N,4−ジニト
ロソアニリン、ニトロベンゼン、ジフェニルグアニジ
ン、トリメチロールプロパン−N,N′−m−フェニレン
ジマレイミドなどのペルオキシ架橋助剤あるいは、ジビ
ニルベンセン、トリアリルシアヌレート、エチレングリ
コールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタ
クリレート、ポリエチレグリコールジメタクリレート、
トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメ
タクリレートなどの多官能性メタクリレートモノマー、
ビニルブチラートまたはビニルステアレートなどの多官
能性ビニルモノマーなどが用いられる。このような化合
物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待
できる。とくにジビニルベンゼンは、取扱いやすく、し
かも重合体粒子への相溶性が良好であり、かつ有機ペル
オキシド可溶化作用を有し、ペルオキシドの分散助剤と
しても働くため、架橋反応が均質に行なわれ、流動性と
物性のバランスのとれた熱可塑性エラストマーの成形物
が得られるため最も好ましい。
本発明においては、このような架橋助剤は、上記の混
合物パウダー100重量部に対し、0.1〜2重量部、とくに
0.3〜1重量部の量で用いられ、この範囲で配合するこ
とにより、流動性に優れた熱可塑性エラストマーが得ら
れ、加工成形する際の熱履歴による物性の変化のない熱
可塑性エラストマー成形物が得られる。
本発明において、熱可塑性エラストマー成形物を製造
するに際して、上記の混合物パウダー、架橋剤および架
橋助剤以外に、必要に応じてポリイソブチレン、ブチル
ゴムなどによって代表されるペルオキシド非架橋型炭化
水素系ゴム状物質および/または鉱物油系軟化剤の存在
下に混合物パウダーの架橋反応を行なうこともできる。
鉱物油系軟化剤は、通常、ゴムをロール加工する際に
ゴムの分子間作用力を弱め、加工を容易にするととも
に、カーボンブラック、ホワイトカーボン等の分散を助
けたり、あるいは加硫ゴムの硬さを低下せしめて、柔軟
性あるいは弾性を増す目的で使用されている高沸点の石
油留分であって、具体的には、パラフィン系、ナフテン
系、あるいは芳香族系鉱物油などが用いられる。
このような鉱物油系軟化剤は、熱可塑性エラストマー
の流れ特性すなわち成形加工性を一層向上させるため、
混合物パウダー100重量部に対し、1〜100重量部、好ま
しくは3〜90重量部、さらに好ましくは5〜80重量部と
なるような量で配合される。
また本発明で用いられる混合物パウダー、あるいは混
合物パウダーと架橋剤とを含む混合物には、安定剤を配
合しておくこともできる。このような安定剤としては、
具体的には、フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオ
ウ系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤、高級脂肪酸系
安定剤などが用いられる。
上記のような安定剤は、混合物パウダー100重量部に
対して、0.01〜10重量部好ましくは0.05〜5重量部の量
で用いられることが望ましい。
また本発明で用いられる混合物パウダー、あるいは混
合物パウダーと架橋剤とを含む混合物には、充填剤たと
えば炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオ
リン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベス
ト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸
カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデ
ン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバル
ーン、カーボン繊維あるいは着色剤たとえばカーボンブ
ラック、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、群青、紺青、
アゾ染色、ニトロソ染料、レーキ顔料、フタロシアニン
顔料などを配合することもできる。
本発明では、上記のような混合物パウダーが、架橋剤
の存在下で、シボ模様転写用金型の内表面に溶融付着し
て架橋することにより、得られる熱可塑性エラストマー
成形物の表面にシボ模様が形成される。
本発明においては、上記のような混合物パウダーは、
細かい凹凸が施されているシボ模様転写用金型のシボの
内部まで奥深く食い込んで金型内表面に溶融付着するた
め、従来の塩化ビニル樹脂製のシボ模様付成形物と比較
して深いシボが得られる。ちなみに、本発明では、シボ
の深さが150μm以上のシボ模様付熱可塑性エラストマ
ー成形物が得られるのに対し、従来の塩化ビニル樹脂で
は、シボの深さが90μm程度の成形物を得るのが限度で
あった。
次に、本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー
成形物の製造方法について説明する。
本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物
の製造方法は、上記混合物パウダーを、架橋剤の存在下
で、パウダースラッシュ成形法にて表面にシボ模様を有
する成形物を製造する方法である。
上記のパウダースラッシュ成形法としては、たとえば
以下のような成形法がある。
(1)上記の混合物パウダーと架橋剤との混合物のパウ
ダーを、あらかじめ加熱した金型の内表面に吹き付けて
金型の内表面に溶融付着させ、次いで、この金型を冷却
して成形物を得る成形法。
(2)あらかじめ加熱した金型の内表面に、上記の混合
物パウダーと架橋剤をそれぞれ別個に吹き付けて金型の
内表面に溶融付着させ、次いで、この金型を冷却して成
形物を得る成形法。
(3)上記の混合物パウダーと架橋剤とを含む混合物の
パウダーを、あらかじめ加熱した金型の内に投入し、次
いで、余剰の未溶融パウダーを回収した後、金型を冷却
して溶融物を固定させ、これを製品として脱型する表皮
成形法(「自動車技術」Vol.43,NO.5,1989,p74〜80)。
本発明においては、内表面に細かい凹凸が施されてい
るシボ模様転写用金型を用いてパウダースラッシュ成形
を行なう。
ここで、上記(1)のパウダースラッシュ成形法を図
を用いて説明する。
第1図は、本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラスト
マー成形物を製造する際に用いられるシボ模様転写用金
型の内表面に、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン
系共重合体ゴムとの混合物パウダーと、架橋剤と、必要
に応じて架橋助剤とを含む混合物のパウダーを吹き付け
る状態を示す一概略図である。
本発明では、まずシボ模様転写用金型1を加熱してお
く。
この加熱の温度は、通常150〜210℃である。
次に、あらかじめ加熱したシボ模様転写用金型1の内
表面に、上記混合物のパウダーを吹き付けてこの金型1
の内表面にパウダーを溶融付着させ、架橋させる。混合
物のパウダーを吹き付ける際に、窒素または炭酸ガス等
の不活性ガス雰囲気下で行なってもよい。
上記吹き付けの方法としては、従来公知の方法、たと
えばスプレーガンを用いる方法がある。
上記(1)のパウダースラッシュ成形法では、シボ模
様転写用金型1の内表面に、上記混合物のパウダーを吹
き付けるので、このパウダーは、金型1の内表面に施さ
れているシボの内部まで奥深く食い込み、あらかじめ加
熱されている金型1の熱を受けて金型1の内表面に溶融
付着する。したがって、この成形法においては、シボの
深いシボ模様付熱可塑性エラスマー成形物を得ることが
できる。また上記(2)のパウダースラッシュ成形法に
ついても、同様のことが言える。
本発明では、上記溶融の際に架橋反応が行なわれて熱
可塑性エラストマーが製造され、その製造と同時に成形
が行なわれる。
次に、上記シボ模様転写用金型1を冷却して表面にシ
ボ模様を有する熱可塑性エラストマー成形物を得る。
上記冷却の方法としては、空冷による方法、水冷によ
る方法などが挙げられる。
本発明に係る製造方法により得られたシボ模様付熱可
塑性エラストマー成形物は、耐傷付き性、外観、肌ざわ
りに優れている、本願の出願人が既に出願して特願昭62
−331718号明細書中に記載した表面処理を成形物の表面
に施すことにより、さらに優れた耐傷付き性、外観、肌
ざわりを有するシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物
が得られる。
すなわち、上記表面処理として、まずシボ模様付熱可
塑性エラストマー成形物の表面上に、飽和ポリエステ
ル、塩素化ポリオレフィンから選ばれた少なくとも1種
の化合物を含むプライマー層を形成し、さらに、このプ
ライマー層上に飽和ポリエステル、アクリル酸エステル
樹脂およびイソシアネート樹脂から選ばれた少なくとも
1種の化合物を含むトップコート層を形成する。ただ
し、プライマー層が、飽和ポリエステルおよび塩素化ポ
リオレフィンから選ばれた少なくとも1種の化合物のう
ちで飽和ポリエステルのみを含んでなる場合には、トッ
プコート層は少なくともアクリル酸エステル樹脂を含ん
でいなければならない。
成形物の表面上にプライマー層を形成するには、飽和
ポリエステルおよび塩素化ポリオレフィンから選ばれた
少なくとも1種の化合物を有機溶剤に溶解させ、得られ
たプライマー層形成用塗布液を常法に従って成形物の表
面上に塗布すればよい。
また、プライマー層上にトップコート層を形成するに
は、飽和ポリエステル、アクリル酸エステル樹脂および
イソシアネート樹脂から選ばれた少なくとも1種の化合
物を有機溶剤に溶解させ、得られたトップコート層形成
用塗布液を常法に従ってプライマー層上に塗布すればよ
い。
発明の効果 本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物
は、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系共重合体
ゴムとの混合物パウダーが、架橋剤の存在下で、シボ模
様転写用金型の内表面に溶融付着することにより、表面
にシボ模様が形成されてなるため、シボ深さの浅いシボ
模様だけでなく、従来のシボ模様付塩化ビニル樹脂成形
物と比較して、シボ深さのより深いシボ模様が形成され
得るという効果があり、また機械的物性の低下がないと
いう効果がある。
また、本発明に係る製造方法によれば、熱可塑性エラ
ストマーの製造工程およびそのパウダー化工程を省略す
ることができ、しかも、上記のような効果を有するシボ
模様付熱可塑性エラストマー成形物が得られる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、
これら実施例に限定されるものではない。
実施例1 [ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系共重合体ゴ
ムとの混合物パウダーの製造方法] 下記の各成分を用いて、下記のようにして混合パウダ
ーを製造した。
(A成分)エチレン・プロピレン・エチリデンノルボル
ネン3元共重合体ゴム;エチレン単位/プロピレン単位
(モル比):78/22、ヨウ素価15、ムーニー粘度(M
L1+4、121℃)61 (B成分)ポリプロピレン樹脂:メルトインデックス
(ASTM D 1238,230℃)13g/10分、密度0.91g/cm3 (C成分)ナフテン系プロセスオイル 上記(A成分)60重量部、(B成分)40重量部および
(C成分)25重量部をバンバリーミキサーで窒素雰囲気
下、180℃で5分間混練した後、得られた混練物をシー
トカッターで角ペレット状とした。
このようにして得られた角ペレットを、−60℃雰囲気
下で粉砕して42〜100メッシュの混合物パウダーを得
た。
[成形物の製造] まず、自動車ダッシュボード用の金型であって、内表
面にシボ深さ150μmのシボ模様を施したシボ模様転写
用金型をあらかじめ210℃に加熱し、次いで、この金型
の内表面に上記混合物パウダー100重量部に対して下記
の(D)成分1重量部をヘンシェルミキサーで混合して
得たパウダーを窒素雰囲気下で吹き付けて溶融密着させ
る。
(D成分)1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプ
ロピル)ベンゼン40重量%、ジビニルベンゼン40重量%
およびパフィン系鉱油20重量%よりなる混合物。
最後に、この金型を冷却してシボ模様付熱可塑性エラ
ストマー成形物を得た。
得られたシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物のサ
イズは、長さ1200mm、幅500mm、厚さ1.0mmであった。
得られたシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物につ
いて、引張特性、表面硬度、ねじり剛性率、永久伸び、
熱老化特性、シボ深さ、ソフト感およびグロスを下記の
方法により評価した。なお、評価用のサンプルは、得ら
れた上記成形物から打ち抜き採取した。
[評価方法] (1)引張特性 JIS K−6301の方法による。
(2)表面硬度 JIS K−6301に記載されているJIS Aタ
イプの方法による。
(3)ねじり剛性率 ASTM 1043の方法による。
(4)永久伸び JIS K−6301の方法による。
(5)熱老化特性 サンプルを120℃のエアーオーブン
中に1000時間放置した後、このサンプルを取り出してJI
S K−6301の引張試験法にて測定した。
(6)シボ深さ 成形物の表面に転写されたエンボスの
山頂から谷底までの距離を測定した。
(7)ソフト感 成形物の表面を手で触れてその感触を
5段階表示した。
5…非常に柔らかい 4…柔らかい 3…普通 2…硬い 1…非常に硬い (8)グロス シボの施された成形物の表面に光を60度
の入射角で照射し、その反射率を%表示した(JIS Z 87
41)。
結果を表1に示す。
実施例2 実施例1において、(A成分)を80重量部、(B成
分)を20重量部とし、さらに(E成分)ブチルゴム(エ
ッソ製IIR 065)10重量部を添加した以外は、実施例1
と同様にして成形物を得、得られた成形物について、実
施例1と同じ評価を行なった。
結果を表1に示す。
実施例3 実施例2において、(C成分)および(E)成分を用
いなかったこと以外は、実施例2と同様にして成形物を
得、得られた成形物について、実施例2と同じ評価を行
なった。
結果を表1に示す。
実施例4 実施例1において、(B成分)の代わりに、パウダー
化されたポリプロピレン樹脂(メルトインデックス13g/
10分,密度0.81g/cm3)を用いた以外は、実施例1と同
様にして行なった。
結果を表1に示す。
実施例5 実施例3において、(A成分)および(B成分)をそ
れぞれ別個に、−60℃雰囲気下で粉砕して得た42〜100
メッシュのパウダーを混合し、さらにこの混合パウダー
100重量部に対し(D成分)1重量部をヘンシェルミキ
サーで混合して得たパウダーを用いて成形物を得た以外
は、実施例3と同様にして行なった。
結果を表1に示す。
実施例6 実施例1において、ヘンシェルミキサーで混合して得
られたパウダーをあらかじめ210℃に加熱された金型に
窒素雰囲気下で吹き付けて溶融密着させる代わりに、ヘ
ンシェルミキサーで混合して得たパウダーを金型に投入
し、窒素雰囲気下で溶融付着させ、余剰の未溶融パウダ
ーを回収する方法を採用した以外は、実施例1と同様に
行ない、表1の結果を得た。
実施例7 実施例1において、42〜100メッシュの混合物パウダ
ー100重量部と(D成分)1重量部とを混合することな
く、別個に吹き付けた以外は、実施例1と同様に行な
い、表1の結果を得た。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明に係るシボ模様付熱可塑性エラストマ
ー成形物を製造する際に用いられるシボ模様転写用金型
の内表面に、ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系
共重合体ゴムとの混合物パウダーと、架橋剤と、必要に
応じて架橋助剤とを含む混合物のパウダーを吹き付ける
状態を示す一概略図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 31:52 31:58 C08L 19:00 23:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 41/00 - 41/52 C08J 3/24 C08L 23/00 - 23/36

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系
    共重合体ゴムとの混合物パウダーが、架橋剤の存在下
    で、シボ模様転写用金型の内表面に溶融付着することに
    より、表面にシボ模様が形成されてなることを特徴とす
    るシボ模様付熱可塑性エラストマー成形物。
  2. 【請求項2】ポリオレフィン系樹脂とα−オレフィン系
    共重合体ゴムとの混合物パウダーを、架橋剤の存在下
    で、あらかじめ加熱したシボ模様転写用金型の内表面に
    溶融付着させた後、該金型を冷却するパウダースラッシ
    ュ成形法にて表面にシボ模様を有する熱可塑性エラスト
    マー成形物を得ることを特徴とするシボ模様付熱可塑性
    エラストマー成形物の製造方法。
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