JP2939799B2 - 13n−アンモニアの製造方法及び装置 - Google Patents
13n−アンモニアの製造方法及び装置Info
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- JP2939799B2 JP2939799B2 JP13304396A JP13304396A JP2939799B2 JP 2939799 B2 JP2939799 B2 JP 2939799B2 JP 13304396 A JP13304396 A JP 13304396A JP 13304396 A JP13304396 A JP 13304396A JP 2939799 B2 JP2939799 B2 JP 2939799B2
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,医療用の標識化合
物である13N−NH3 (以下,13N−アンモニアと呼
ぶ)の製造方法及び装置に関する。
物である13N−NH3 (以下,13N−アンモニアと呼
ぶ)の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来,注射剤としての13N−アンモニ
アを製造するには,一般に,注射用蒸留水に陽子(プロ
トンビーム)を照射して,16O(p,α)13Nの核反応
により生成した13N化合物,例えば,13N−NO,13N
−NO2 ,13N−NO3 や13N2 ガス等を回収し,三塩
化チタンと12N(規定)−水酸化ナトリウム等の強ア
ルカリを加えて,加熱還元し,13N−アンモニアを蒸
留回収し,メンブランフィルターを通過させることが行
われている。
アを製造するには,一般に,注射用蒸留水に陽子(プロ
トンビーム)を照射して,16O(p,α)13Nの核反応
により生成した13N化合物,例えば,13N−NO,13N
−NO2 ,13N−NO3 や13N2 ガス等を回収し,三塩
化チタンと12N(規定)−水酸化ナトリウム等の強ア
ルカリを加えて,加熱還元し,13N−アンモニアを蒸
留回収し,メンブランフィルターを通過させることが行
われている。
【0003】この従来の方法では,13N−アンモニア
は,自動合成装置を使用して製造されている。しかし,
これらの原料のバルブの詰まりや強熱するために,定期
的なヒータの断線交換や製造後の廃液の処理及び装置の
メンテナンスなどが作業者の負担になっていた。また,
合成装置の構成が複雑になり小型化が困難であるという
欠点を有した。
は,自動合成装置を使用して製造されている。しかし,
これらの原料のバルブの詰まりや強熱するために,定期
的なヒータの断線交換や製造後の廃液の処理及び装置の
メンテナンスなどが作業者の負担になっていた。また,
合成装置の構成が複雑になり小型化が困難であるという
欠点を有した。
【0004】また,従来の還元法において,製造工程で
キャリアーとして,14N−アンモニアも多量に製造され
ているので,アンモニアの比放射能(13N同位体アンモ
ニアと14Nアンモニアの濃度比)としては,かなり低い
値となることが知られている。
キャリアーとして,14N−アンモニアも多量に製造され
ているので,アンモニアの比放射能(13N同位体アンモ
ニアと14Nアンモニアの濃度比)としては,かなり低い
値となることが知られている。
【0005】近年,上述の従来の方法に代わる方法とし
て,インターゲット法が提案されている(Wieland B.,
Bida G., Padgett H., Hendry G., Zippi E., Kabalka
G.,Morelle J.-L., Verbruggen R., and GHYOOT M.:"In
-target Production of[13N]Ammonia via Proton Irrad
iation of dilute Aqueous Ethanol andAcetic Acid Mi
xtures", Appl. Radiat. Isot. Vol. 42, No. 11. pp.
1095-1098, 1991,以下,Wieland と呼ぶ)。図2はWiel
and の方法を概略的に示す図である。図2を参照する
と,プロトンビーム(陽子)を照射されたターゲット溶
液は,バルブ52を備えたターゲット液導入管51を介
して,陰イオン交換樹脂を充填したカラム53に導入さ
れる。このカラム53内で,陰イオン不純物を吸着さ
せ,13N−アンモニアを選択的に回収し,不純物と分離
して,生成物回収容器(バイアル)54に回収される。
要約すれば,このWieland の方法は,注射用蒸留水に少
量のエタノールを添加することによって,生成する13N
化合物の97%程度が13N−アンモニアとして得られ
るというものである。このインターゲット法では,陰イ
オン交換以前の問題として,14Nのキャリアーアンモニ
アが極少量しかできず,結果的に高比放射能値の13N
−アンモニアが得られることが分かっているが,キャリ
アーが無い事が原因で,通常の蒸留動作では,13N−
アンモニアが回収されない現象が起き,回収効率が低い
ことが知られている。
て,インターゲット法が提案されている(Wieland B.,
Bida G., Padgett H., Hendry G., Zippi E., Kabalka
G.,Morelle J.-L., Verbruggen R., and GHYOOT M.:"In
-target Production of[13N]Ammonia via Proton Irrad
iation of dilute Aqueous Ethanol andAcetic Acid Mi
xtures", Appl. Radiat. Isot. Vol. 42, No. 11. pp.
1095-1098, 1991,以下,Wieland と呼ぶ)。図2はWiel
and の方法を概略的に示す図である。図2を参照する
と,プロトンビーム(陽子)を照射されたターゲット溶
液は,バルブ52を備えたターゲット液導入管51を介
して,陰イオン交換樹脂を充填したカラム53に導入さ
れる。このカラム53内で,陰イオン不純物を吸着さ
せ,13N−アンモニアを選択的に回収し,不純物と分離
して,生成物回収容器(バイアル)54に回収される。
要約すれば,このWieland の方法は,注射用蒸留水に少
量のエタノールを添加することによって,生成する13N
化合物の97%程度が13N−アンモニアとして得られ
るというものである。このインターゲット法では,陰イ
オン交換以前の問題として,14Nのキャリアーアンモニ
アが極少量しかできず,結果的に高比放射能値の13N
−アンモニアが得られることが分かっているが,キャリ
アーが無い事が原因で,通常の蒸留動作では,13N−
アンモニアが回収されない現象が起き,回収効率が低い
ことが知られている。
【0006】また,前述したWieland の方法の他に,陽
イオン交換樹脂を用いて,13N−アンモニアを吸着さ
せ,13NOxを中心とする陰イオン不純物を通し,生理
食塩水を流して,13N−アンモニアを回収し,メンブ
ランフィルターを通し,注射液として製する方法もあ
る。
イオン交換樹脂を用いて,13N−アンモニアを吸着さ
せ,13NOxを中心とする陰イオン不純物を通し,生理
食塩水を流して,13N−アンモニアを回収し,メンブ
ランフィルターを通し,注射液として製する方法もあ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述したイオン交換樹
脂を使用する方法は,装置の小型化には有利ではある
が,次のような欠点を有することが指摘されている。
脂を使用する方法は,装置の小型化には有利ではある
が,次のような欠点を有することが指摘されている。
【0008】まず,第1に,イオン交換樹脂は,それ自
体発熱性物質(パイロジェン)を多量に含み,使用の前
において,大量の水で長時間に渡り洗浄する必要があ
る。実際に,イオン交換樹脂を用いた場合,5ミリリッ
トル以下を充填したカラムに,1リットル以上の注射用
蒸留水を3時間以上に渡って洗浄しなければならない。
体発熱性物質(パイロジェン)を多量に含み,使用の前
において,大量の水で長時間に渡り洗浄する必要があ
る。実際に,イオン交換樹脂を用いた場合,5ミリリッ
トル以下を充填したカラムに,1リットル以上の注射用
蒸留水を3時間以上に渡って洗浄しなければならない。
【0009】また,第2の欠点として次のことが挙げら
れる。発熱性物質は,ターゲット容器や移送配管など常
時水分を含む環境下にも存在する。従って,プロトンビ
ームを照射された水溶液は,常に発熱性物質を含んでい
る可能性がある。したがって,イオン交換樹脂を通過さ
せるだけの製造方法は,注射剤に発熱性物質を含んでい
る可能性が高いということである。
れる。発熱性物質は,ターゲット容器や移送配管など常
時水分を含む環境下にも存在する。従って,プロトンビ
ームを照射された水溶液は,常に発熱性物質を含んでい
る可能性がある。したがって,イオン交換樹脂を通過さ
せるだけの製造方法は,注射剤に発熱性物質を含んでい
る可能性が高いということである。
【0010】第3の欠点として,次のことが挙げられ
る。13N−アンモニアは,半減期が10分と短く,4
0分程度の間隔で,同一被験者や,別の被験者に投与す
るため,繰り返し製造が行われている。イオン交換樹脂
法では,発熱性物質が発生し易く,常に使用直前に調整
する必要があり,繰り返し製造する場合,長時間放置を
余儀なくされるため,困難と考えられている。従って,
1回毎に,交換することが望まれ,作業者の被爆防止の
観点から好ましくない。
る。13N−アンモニアは,半減期が10分と短く,4
0分程度の間隔で,同一被験者や,別の被験者に投与す
るため,繰り返し製造が行われている。イオン交換樹脂
法では,発熱性物質が発生し易く,常に使用直前に調整
する必要があり,繰り返し製造する場合,長時間放置を
余儀なくされるため,困難と考えられている。従って,
1回毎に,交換することが望まれ,作業者の被爆防止の
観点から好ましくない。
【0011】さらに,第4の欠点として,次のことが挙
げられる。プロトンビームを照射し,13N化合物を製造
する際に,注射用蒸留水を入れる容器であるターゲット
容器の材質からも,放射性核種が製造される。また,注
射用蒸留水には,微量であるが,PO4 3-,SO4 2-,
Al3+,Ca2+,Fe2+,Fe3+等の色々なイオンが存
在している。
げられる。プロトンビームを照射し,13N化合物を製造
する際に,注射用蒸留水を入れる容器であるターゲット
容器の材質からも,放射性核種が製造される。また,注
射用蒸留水には,微量であるが,PO4 3-,SO4 2-,
Al3+,Ca2+,Fe2+,Fe3+等の色々なイオンが存
在している。
【0012】例えば,ターゲット容器にTiを採用し,
陽子を照射すると,48Ti(p,xn) 48Vの核反応
で,バナジウム48(半減期15.98日)が生成され
る。金属イオンは,13N−アンモニアと同様の挙動を
し,陰イオン交換樹脂を素通りして,13N−アンモニ
ア回収液に含まれることになる。その他の陽イオン高交
換樹脂法においても,各種イオンの中から,13N−ア
ンモニアにみを選択的に回収することは困難と考えら
れ,簡便なインターゲット法があるにも係わらず,従来
からの還元法が多く採用されているのが現状である。
陽子を照射すると,48Ti(p,xn) 48Vの核反応
で,バナジウム48(半減期15.98日)が生成され
る。金属イオンは,13N−アンモニアと同様の挙動を
し,陰イオン交換樹脂を素通りして,13N−アンモニ
ア回収液に含まれることになる。その他の陽イオン高交
換樹脂法においても,各種イオンの中から,13N−ア
ンモニアにみを選択的に回収することは困難と考えら
れ,簡便なインターゲット法があるにも係わらず,従来
からの還元法が多く採用されているのが現状である。
【0013】そこで,本発明の技術的課題は,インター
ゲット法がより広く使用されるように,その欠点である
イオン交換樹脂の使用を行わず,13N−アンモニアを
簡便に製造できる13N−アンモニアの製造方法と装置
とを提供することにある。
ゲット法がより広く使用されるように,その欠点である
イオン交換樹脂の使用を行わず,13N−アンモニアを
簡便に製造できる13N−アンモニアの製造方法と装置
とを提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、ターゲ
ット容器に充填された実質的に純水にエタノール又は水
素を添加したものからなるターゲット原料液に、プロト
ンビームを照射して、13N−アンモニアを含むターゲ
ット液を生成し、前記ターゲット液から、前記13N−
アンモニアを回収する13N−アンモニアの製造方法に
おいて、前記ターゲット液に、0.1規定以上の非揮発
性のアルカリ溶液を供給して加熱することにより、水及
び13N−アンモニアを蒸発させて分離精製することを
特徴とする13N−アンモニアの製造方法が得られる。
ット容器に充填された実質的に純水にエタノール又は水
素を添加したものからなるターゲット原料液に、プロト
ンビームを照射して、13N−アンモニアを含むターゲ
ット液を生成し、前記ターゲット液から、前記13N−
アンモニアを回収する13N−アンモニアの製造方法に
おいて、前記ターゲット液に、0.1規定以上の非揮発
性のアルカリ溶液を供給して加熱することにより、水及
び13N−アンモニアを蒸発させて分離精製することを
特徴とする13N−アンモニアの製造方法が得られる。
【0015】また,本発明によれば,前記13N−アン
モニアの製造方法において,前記アルカリ溶液として,
0.1〜2NのNaOH又はKOHを含む水溶液を添加
することを特徴とする13N−アンモニアの製造方法が
得られる。
モニアの製造方法において,前記アルカリ溶液として,
0.1〜2NのNaOH又はKOHを含む水溶液を添加
することを特徴とする13N−アンモニアの製造方法が
得られる。
【0016】また、本発明によれば、ターゲット容器内
に充填された実質的に純水にエタノール又は水素を添加
したものからなるターゲット原料液にプロトンビームを
照射し、13N−アンモニアを含むターゲット液を生成
して、前記ターゲット液から前記13N−アンモニアを
回収する13N−アンモニアの製造装置において、生成
したターゲット液を収容し加熱するための反応容器と、
前記ターゲット容器から前記反応容器に前記ターゲット
液を導入する導入手段と、前記13N−アンモニアを水
分とともに前記ターゲット液から分離するように、前記
反応容器に0.1規定の非揮発性のアルカリ溶液を供給
するアルカリ供給手段と、前記反応容器から、分離精製
した13N−アンモニアを搬送する搬送手段と、前記分
離精製後に前記反応容器から残り溶液を排出する溶液排
出手段とを具備したことを特徴とする13N−アンモニ
アの製造装置が得られる。
に充填された実質的に純水にエタノール又は水素を添加
したものからなるターゲット原料液にプロトンビームを
照射し、13N−アンモニアを含むターゲット液を生成
して、前記ターゲット液から前記13N−アンモニアを
回収する13N−アンモニアの製造装置において、生成
したターゲット液を収容し加熱するための反応容器と、
前記ターゲット容器から前記反応容器に前記ターゲット
液を導入する導入手段と、前記13N−アンモニアを水
分とともに前記ターゲット液から分離するように、前記
反応容器に0.1規定の非揮発性のアルカリ溶液を供給
するアルカリ供給手段と、前記反応容器から、分離精製
した13N−アンモニアを搬送する搬送手段と、前記分
離精製後に前記反応容器から残り溶液を排出する溶液排
出手段とを具備したことを特徴とする13N−アンモニ
アの製造装置が得られる。
【0017】さらに,本発明によれば,前記13N−ア
ンモニアの製造装置において,前記アルカリ溶液は,
0.1〜2NのNaOH又はKOHを含む水溶液である
ことを特徴とする13N−アンモニアの製造装置が得ら
れる。
ンモニアの製造装置において,前記アルカリ溶液は,
0.1〜2NのNaOH又はKOHを含む水溶液である
ことを特徴とする13N−アンモニアの製造装置が得ら
れる。
【0018】ここで,本発明において,前記ターゲット
液は,ターゲット容器内で,純水または注射用蒸留水に
エタノールまたは水素などを添加し,プロトンビームを
照射することによって,生成されることが好ましい。
液は,ターゲット容器内で,純水または注射用蒸留水に
エタノールまたは水素などを添加し,プロトンビームを
照射することによって,生成されることが好ましい。
【0019】
【発明の実施の形態】以下,本発明の実施の形態につい
て図面を参照して説明する。
て図面を参照して説明する。
【0020】図1は本発明の実施の形態による13N−
アンモニアの製造装置の概略構成図である。
アンモニアの製造装置の概略構成図である。
【0021】図1を参照すると,13N−アンモニア製
造装置10は,生成したターゲット液を収容する加熱反
応容器1と,この加熱反応容器1に,図示しないターゲ
ット容器からのターゲット液を導入する導入手段である
ターゲット液導入管2と,加熱反応容器1にアルカリ溶
液を供給するアルカリ供給管3を備えたアルカリ供給手
段を備えている。
造装置10は,生成したターゲット液を収容する加熱反
応容器1と,この加熱反応容器1に,図示しないターゲ
ット容器からのターゲット液を導入する導入手段である
ターゲット液導入管2と,加熱反応容器1にアルカリ溶
液を供給するアルカリ供給管3を備えたアルカリ供給手
段を備えている。
【0022】また,13N−アンモニア製造装置10
は,加熱反応容器1において,精製された13N−アン
モニアを生成物収容容器7に搬送する搬送管4を備えた
搬送手段と,13N−アンモニアを搬送するために同伴
ガス,例えば,窒素などの不活性ガスを導入するガス導
入管5と,13N−アンモニアを精製後に反応容器1か
ら残溶液を排出して廃液回収容器8に回収するための溶
液排出管6を有する溶液排出手段とを備えている。
は,加熱反応容器1において,精製された13N−アン
モニアを生成物収容容器7に搬送する搬送管4を備えた
搬送手段と,13N−アンモニアを搬送するために同伴
ガス,例えば,窒素などの不活性ガスを導入するガス導
入管5と,13N−アンモニアを精製後に反応容器1か
ら残溶液を排出して廃液回収容器8に回収するための溶
液排出管6を有する溶液排出手段とを備えている。
【0023】ターゲット液導入管2,アルカリ供給管
3,搬送管4,ガス導入管5,及び溶液排出管6の夫々
には,バルブ12,13,14,15,及び16が設け
られ,仕切ることができるように構成されている。
3,搬送管4,ガス導入管5,及び溶液排出管6の夫々
には,バルブ12,13,14,15,及び16が設け
られ,仕切ることができるように構成されている。
【0024】尚,ターゲット液導入管2のバルブ12
は,ターゲット側にあれば良く,装置側に取り付ける必
要はない。
は,ターゲット側にあれば良く,装置側に取り付ける必
要はない。
【0025】また,加熱反応容器1の底部には,加熱反
応容器1を収容し支持する支持部材18と一体のヒータ
9が設けられ,このヒータ9は,バルブ17を備えた空
気導入管11の一端に接続されている。そして,ヒータ
9は,バルブ17を開放して空気を導入することによっ
て,加熱反応容器1に収容された溶液を加熱する空気加
熱式である。しかし,加熱反応容器1が加熱できれば,
他の方式であっても良い。
応容器1を収容し支持する支持部材18と一体のヒータ
9が設けられ,このヒータ9は,バルブ17を備えた空
気導入管11の一端に接続されている。そして,ヒータ
9は,バルブ17を開放して空気を導入することによっ
て,加熱反応容器1に収容された溶液を加熱する空気加
熱式である。しかし,加熱反応容器1が加熱できれば,
他の方式であっても良い。
【0026】また,ガス導入管5を介して加熱反応容器
1に導入される同伴ガスは,導入されなくとも,生成し
た13N−アンモニアガスは回収することができるが,
同伴ガスを導入した方が短時間で回収できる。
1に導入される同伴ガスは,導入されなくとも,生成し
た13N−アンモニアガスは回収することができるが,
同伴ガスを導入した方が短時間で回収できる。
【0027】また,アルカリ供給管3を介して加熱反応
容器1内のターゲット液に,13N−アンモニアの回収
を促進するために,アルカリ溶液が添加される。
容器1内のターゲット液に,13N−アンモニアの回収
を促進するために,アルカリ溶液が添加される。
【0028】本発明の実施の形態において,アルカリ溶
液を調整するためのアルカリ剤としては,NaOHの他
に,KOHなどの非揮発性のものが適する。しかし,ア
ルカリであっても,揮発性のアンモニアやアミン化合物
溶液などは,本発明の主旨から当然適用できない。ま
た,アルカリ溶液のアルカリ濃度は,強アルカリでもよ
いが,取扱いの面から,0.1N(規定)から2N(規
定)が好ましい。
液を調整するためのアルカリ剤としては,NaOHの他
に,KOHなどの非揮発性のものが適する。しかし,ア
ルカリであっても,揮発性のアンモニアやアミン化合物
溶液などは,本発明の主旨から当然適用できない。ま
た,アルカリ溶液のアルカリ濃度は,強アルカリでもよ
いが,取扱いの面から,0.1N(規定)から2N(規
定)が好ましい。
【0029】次に、図1の13N−アンモニア製造装置
の操作について説明する。純水又は注射用蒸留水にエタ
ノール又は水素等を添加して、ターゲット液の原料液
(以下、ターゲット原料液と呼ぶ)とし、図示しないタ
ーゲット容器に充填し、このターゲット原料液に陽子を
照射することによって、ターゲット容器内で13N−ア
ンモニアが製造され、これを含むターゲット液が、バル
ブ12の開放操作によってターゲット液導入管2を介し
て、加熱反応容器1に導入される。加熱反応容器1内の
ターゲット液に、アルカリ供給管3からバルブ13を介
して少量の弱アルカリ溶液を加えた後、ヒータ9で、加
熱反応容器1を加熱し、搬送管7のバルブ14を開け水
及び13N−アンモニアを蒸発させ、生成物収容容器
(バイアル)7に移送する。この時、ガス導入管5のバ
ルブ15を介して、同伴ガスである窒素ガスを供給す
る。
の操作について説明する。純水又は注射用蒸留水にエタ
ノール又は水素等を添加して、ターゲット液の原料液
(以下、ターゲット原料液と呼ぶ)とし、図示しないタ
ーゲット容器に充填し、このターゲット原料液に陽子を
照射することによって、ターゲット容器内で13N−ア
ンモニアが製造され、これを含むターゲット液が、バル
ブ12の開放操作によってターゲット液導入管2を介し
て、加熱反応容器1に導入される。加熱反応容器1内の
ターゲット液に、アルカリ供給管3からバルブ13を介
して少量の弱アルカリ溶液を加えた後、ヒータ9で、加
熱反応容器1を加熱し、搬送管7のバルブ14を開け水
及び13N−アンモニアを蒸発させ、生成物収容容器
(バイアル)7に移送する。この時、ガス導入管5のバ
ルブ15を介して、同伴ガスである窒素ガスを供給す
る。
【0030】13N−アンモニアは,生成物収容容器7
内に予め用意してある注射用蒸留水又は生理用食塩水に
バブリングされた後,生成物収容容器7に回収した後,
フィルターを通して注射剤を製する。13N−アンモニ
ア回収後,再びバルブ15を介して窒素ガスを導入し,
溶液排出管6のバルブ16を開け,加熱反応容器16内
に残った水溶液を排出し,廃液回収容器8に回収する。
この一連の操作によって,13N−アンモニアの製造
は,繰り返して行うことができる。
内に予め用意してある注射用蒸留水又は生理用食塩水に
バブリングされた後,生成物収容容器7に回収した後,
フィルターを通して注射剤を製する。13N−アンモニ
ア回収後,再びバルブ15を介して窒素ガスを導入し,
溶液排出管6のバルブ16を開け,加熱反応容器16内
に残った水溶液を排出し,廃液回収容器8に回収する。
この一連の操作によって,13N−アンモニアの製造
は,繰り返して行うことができる。
【0031】次に,本発明の実施の形態による製造の具
体例について説明する。
体例について説明する。
【0032】18MeVの加速エネルギーを持つサイク
ロトロンに取り付けられている容積1.3ミリリットル
のターゲット容器に,180−同位体水を充填し,陽子を
照射した。15μAで10分間照射し,照射終了後のタ
ーゲット水溶液とリンス液とを合わせて1.8ミリリッ
トルをHeガスで加熱反応容器1に移送した。移送終了
後,1N(規定)−NaOHの1ミリリットルを加熱反
応容器1に加え,130℃に加熱し,同伴ガスとして窒
素ガスを50ミリリットル/分で,ガス導入管5から導
入した。13N−アンモニアは,約2分で蒸発回収さ
れ,照射終了後,液体クロマトグラフィーで放射化学的
純度,化学的純度ともに98%以上,pH6〜7の注射
剤が得られた。
ロトロンに取り付けられている容積1.3ミリリットル
のターゲット容器に,180−同位体水を充填し,陽子を
照射した。15μAで10分間照射し,照射終了後のタ
ーゲット水溶液とリンス液とを合わせて1.8ミリリッ
トルをHeガスで加熱反応容器1に移送した。移送終了
後,1N(規定)−NaOHの1ミリリットルを加熱反
応容器1に加え,130℃に加熱し,同伴ガスとして窒
素ガスを50ミリリットル/分で,ガス導入管5から導
入した。13N−アンモニアは,約2分で蒸発回収さ
れ,照射終了後,液体クロマトグラフィーで放射化学的
純度,化学的純度ともに98%以上,pH6〜7の注射
剤が得られた。
【0033】
【発明の効果】以上,説明したように,本発明によれ
ば,イオン交換樹脂を使用しないためカラムの前処理な
どが不要で,作業者の負担が低減できるなど安全且つ簡
便な13N−アンモニアの製造方法及び装置を提供する
ことができる。
ば,イオン交換樹脂を使用しないためカラムの前処理な
どが不要で,作業者の負担が低減できるなど安全且つ簡
便な13N−アンモニアの製造方法及び装置を提供する
ことができる。
【0034】また,還元法では,安全性の面から還元用
原料が注射剤に混入しないよう加熱容器は大型で,ま
た,還元するためにヒーター容量が大きいものを採用し
ていたが,本発明では,反応容器が小型化され,アルカ
リ溶液を加えた蒸留操作のみのため,ヒータ容量も小さ
く装置をはるかに小型化することができる13N−アン
モニアの製造方法及び装置を提供することができる。
原料が注射剤に混入しないよう加熱容器は大型で,ま
た,還元するためにヒーター容量が大きいものを採用し
ていたが,本発明では,反応容器が小型化され,アルカ
リ溶液を加えた蒸留操作のみのため,ヒータ容量も小さ
く装置をはるかに小型化することができる13N−アン
モニアの製造方法及び装置を提供することができる。
【0035】また、本発明によれば、反応容器で加熱蒸
留することにより、照射された水溶液に含まれる発熱性
物質と分離することが可能となり、また、蒸留によって
分離できる純度の高い13N−アンモニアを製造する方
法及び装置を提供することができる。
留することにより、照射された水溶液に含まれる発熱性
物質と分離することが可能となり、また、蒸留によって
分離できる純度の高い13N−アンモニアを製造する方
法及び装置を提供することができる。
【0036】また,本発明によれば,反応容器以降の製
造ラインを市販されている滅菌済みディスポーザブル材
料を使用することによって,作業者は簡便に発熱性物質
の混入を抑えることができる13N−アンモニアの製造
方法及び装置を提供することができる。
造ラインを市販されている滅菌済みディスポーザブル材
料を使用することによって,作業者は簡便に発熱性物質
の混入を抑えることができる13N−アンモニアの製造
方法及び装置を提供することができる。
【図1】本発明の実施の形態による13N−アンモニア
の製造装置の概略構成を示す図である。
の製造装置の概略構成を示す図である。
【図2】従来技術による13N−アンモニアの製造装置
を示す図である。
を示す図である。
1 加熱反応容器 2,51 ターゲット液導入管 3 アルカリ供給管 4 搬送管 5 ガス導入管 6 廃液排出管 7 生成物収容容器 8 廃液回収容器 9 ヒータ 10 13N−アンモニアの製造装置 11 空気導入管 12,13,14,15,16,17,52 バルブ 18 支持部材 53 カラム 54 生成物回収容器
Claims (4)
- 【請求項1】 ターゲット容器に充填された実質的に純
水にエタノール又は水素を添加したものからなるターゲ
ット原料液に、プロトンビームを照射して、13N−ア
ンモニアを含むターゲット液を生成し、前記ターゲット
液から、前記13N−アンモニアを回収する13N−ア
ンモニアの製造方法において、前記ターゲット液に、
0.1規定以上の非揮発性のアルカリ溶液を供給して加
熱することにより、水及び13N−アンモニアを蒸発さ
せて分離精製することを特徴とする13N−アンモニア
の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の13N−アンモニアの製
造方法において、前記アルカリ溶液として、0.1〜2
NのNaOH又はKOHを含む水溶液を添加することを
特徴とする13N−アンモニアの製造方法。 - 【請求項3】 ターゲット容器内に充填された実質的に
純水にエタノール又は水素を添加したものからなるター
ゲット原料液にプロトンビームを照射し、13N−アン
モニアを含むターゲット液を生成して、前記ターゲット
液から前記13N−アンモニアを回収する13N−アン
モニアの製造装置において、生成したターゲット液を収
容し加熱するための反応容器と、前記ターゲット容器か
ら前記反応容器に前記ターゲット液を導入する導入手段
と、前記13N−アンモニアを水分とともに前記ターゲ
ット液から分離するように、前記反応容器に0.1規定
以上の非揮発性のアルカリ溶液を供給するアルカリ供給
手段と、前記反応容器から、分離精製した13N−アン
モニアを搬送する搬送手段と、前記分離精製後に前記反
応容器から残り溶液を排出する溶液排出手段とを具備し
たことを特徴とする13N−アンモニアの製造装置。 - 【請求項4】 請求項3記載の13N−アンモニアの製
造装置において、前記アルカリ溶液は、0.1〜2Nの
NaOH又はKOHを含む水溶液であることを特徴とす
る13N−アンモニアの製造装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13304396A JP2939799B2 (ja) | 1996-05-28 | 1996-05-28 | 13n−アンモニアの製造方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP13304396A JP2939799B2 (ja) | 1996-05-28 | 1996-05-28 | 13n−アンモニアの製造方法及び装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH09318799A JPH09318799A (ja) | 1997-12-12 |
JP2939799B2 true JP2939799B2 (ja) | 1999-08-25 |
Family
ID=15095483
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP13304396A Expired - Lifetime JP2939799B2 (ja) | 1996-05-28 | 1996-05-28 | 13n−アンモニアの製造方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2939799B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4913938B2 (ja) * | 2000-09-27 | 2012-04-11 | 財団法人電力中央研究所 | 核反応の誘起方法および核反応誘起装置 |
EP3142709A4 (en) | 2014-05-15 | 2017-12-20 | Mayo Foundation for Medical Education and Research | Solution target for cyclotron production of radiometals |
-
1996
- 1996-05-28 JP JP13304396A patent/JP2939799B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH09318799A (ja) | 1997-12-12 |
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