JP2939390B2 - エミュレータ - Google Patents

エミュレータ

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Description

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】この発明は、例えば、「ハンディターミナ
ル」と呼ばれる携帯可能なコンピュータ用のアプリケー
ションプログラム開発に用いて好適なエミュレータに関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、「ハンディターミナル」と呼ばれ
る携帯可能なコンピュータが各種実用化されている。こ
の種のコンピュータは、ポータブルに構成されており、
携行先で種々のデータ処理が可能になるため、様々な分
野で使用されている。図7は、このようなハンディター
ミナル1の一構成例を示すブロック図である。
【0003】この図において、1aはハンディターミナ
ル1の各部を制御するCPUである。1bは、CPU1
aの基本的な動作を制御するオペレーティングシステム
プログラム(以下、これをOSと略す)が記憶されるR
OMである。1cは対応業務用のアプリケーションプロ
グラムがロードされると共に、該プログラムのワークエ
リアとして各種レジスタ値が一時記憶されるRAMであ
る。1dは、LCD(液晶表示素子)等から構成される
表示回路であり、内部バスを介してCPU1aから供給
される各種データを表示する。1eはLCD(液晶表示
素子)上に設けられた透明タッチパネル、あるいは本体
パネルに配置されるテンキーやファンクションキー等か
ら構成される操作子であり、それぞれ各操作に応じた操
作子信号を発生する。
【0004】1fは本体から着脱自在に構成されるメモ
リカードである。このメモリカード1fには、上述した
アプリケーションプログラム、あるいは当該プログラム
によって参照される各種データが記憶される。なお、こ
のメモリカード1fが本体に装着されていない場合に
は、上述したRAM1cの一部をRAMディスクとして
使用し、ここにアプリケーションプログラムや各種デー
タを記憶することも可能である。また、メモリカード1
fに記憶されるデータは、図示されていない上位コンピ
ュータからダウンロードされるものである。1gは、例
えば、モデム等から構成され、シリアルデータ通信を制
御する通信制御回路である。このような構成によるハン
ディターミナル1は、周知のコンピュータと同様に動作
する。つまり、電源投入後にOSが立上がると共に、こ
のOS上で対応業務用のアプリケーションプログラムが
データ処理を実行する。
【0005】ところで、ハンディターミナル1で動作す
るアプリケーションプログラムは、「C言語」と呼ばれ
る構造化プログラミング言語で記述される場合が多い。
図8は、「C言語」によるプログラム開発手順を示す図
である。この図に示すように、プログラム開発は、コー
ディング、コンパイルおよびリンクの各作業からなり、
実機デバッグを経て当該プログラムの動作が検証され
る。なお、このコーディング、コンパイルおよびリンク
の各作業は、通常、開発マシン(例えば、パーソナルコ
ンピュータ)上で行われる。
【0006】コーディングにおいては、予め定められた
システム仕様に基づき、ソースプログラムをC言語で記
述する。このソースプログラムは、ソースファイルsf
として開発マシン上に登録される。ソースファイルsf
は、コンパイラCCの入力ファイルとなる。コンパイラ
CCでは、C言語で記述されたソースプログラムを語彙
解析、構造解析および意味解析し、この結果をリロケー
タブルな中間コードで記述されたオブジェクトプログラ
ムに変換する。このオブジェクトプログラムは、開発マ
シン上でオブジェクトファイルofとして登録される。
【0007】リンカLKでは、オブジェクトファイルo
fに対し、標準関数ライブラリSLと、ターミナル専用
関数ライブラリTLとを結合させ、マシン語で記述され
た実行ファイルEfを生成する。ここで、標準関数ライ
ブラリSLは、C言語において定義される各種の制御関
数ルーチンプログラムから構成されている。また、ター
ミナル専用関数ライブラリTLは、ハンディターミナル
1のハードウェア環境で動作するように定義された専用
プログラム群から構成されるものである。
【0008】すなわち、リンカLKでは、オブジェクト
プログラムにおいてコールされる種々のルーチンプログ
ラムや専用プログラムが上述した各ライブラリSL,T
Lから引用され、これらをオブジェクトプログラムに結
合させる。これにより、リロケータブルな中間コードで
記述されたプログラムが実行形式に変換され、実行ファ
イルEfとして生成される。このようにして生成される
実行形式のアプリケーションプログラムは、絶対アドレ
ス上に展開可能な形態となる。
【0009】次に、実行ファイルEfは、例えば、開発
マシンから前述したメモリカード1fに書き込まれ、該
メモリカード1fを介してCPU1aにダウンロードD
Lされる。これにより、ハンディターミナル1上で実機
デバッグDG1が施される。実機デバッグDG1におい
ては、予め策定された検査項目に従ってアプリケーショ
ンプログラムの動作を検証する。この実機デバッグDG
1でバグが露見した場合には、ソースプログラムの対応
箇所を修正する。そして、修正されたソースプログラム
は、再びコンパイル、リンク作業を経て実行ファイル化
されて実機デバッグDG1が繰り返される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】さて、上述したプログ
ラム開発手順においては、ハンディターミナル1上でバ
グが露見する度毎に、当該バグに対応するソースプログ
ラム部分を修正し、これを再度実行ファイル化してハン
ディターミナル1にダウンロードしなければならない。
このため、実機デバッグDG1には多大な工数が費やさ
れ、結果的に開発コスト上昇を招致するという弊害があ
る。
【0011】さらに、実機デバッグDG1では、ハンデ
ィターミナル1の動作状態を直接的に確認できない検証
項目が多々ある。例えば、タッチパネルのキー分割動作
を検証するには、該タッチパネルを縦/横に複数分割し
たキー領域を実際に押下し、このキー操作に応じた動作
が適正か否かを調べる以外にない。
【0012】通常、こうしたキー分割は、アプリケーシ
ョンプログラム毎にその分割態様が異なる。キー分割数
が多い時には、設定ミスにより誤ったキーコードを割り
当ててしまうこともあり、これが原因でアプリケーショ
ンプログラムが異常動作することも起こり得る。したが
って、このような場合には、キー分割状態と各キーが発
生するキーコードとを検出する検査プログラムを新たに
作成し、該プログラムに基づいてデバッグ作業を行わな
ければならない。結局、この実機デバッグ作業は、上述
したダウンロードに関する弊害とあいまって、プログラ
ム開発効率の向上を阻む要因になっている。
【0013】そこで、こうした欠点を解決するには、上
述したコーディング、コンパイル、リンクおよびデバッ
グからなる一連の作業を全て開発マシン上で行い、か
つ、デバッグ作業時には、特に、開発マシン上でハンデ
ィターミナル1の動作状態を全て把握できる形態になる
ことが要求される。これを換言すれば、開発マシン上で
アプリケーションプログラムを実行し、ハンディターミ
ナル1の動作をエミュレートできれば、上述した欠点が
解消され、効率良いプログラム開発が可能になる訳であ
る。
【0014】しかしながら、ハンディターミナル1と開
発マシンとは、殆どの場合、ハードウェア環境が全く異
なるため、ハンディターミナル1用に作成されたアプリ
ケーションプログラムを開発マシン上で動作させること
ができず、特に、上述したタッチパネル分割状態や、こ
れに対応するキーコード割り当て状態を開発マシン上で
表示させることは、全く期待できない現状にある。この
発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、ハンディ
ターミナル1のタッチパネル分割状態を開発マシン上で
表示することができるエミュレータを提供することを目
的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】この発明は、互いにハー
ドウェア構成が異なるコンピュータの内、いずれか一方
のコンピュータ用に作成したプログラムを、他方のコン
ピュータ上で動作可能にするエミュレータにおいて、前
記プログラムがコールする複数のルーチンから形成され
るライブラリであって、前記プログラムと同一の引数で
定義された各関数ルーチンが、それぞれ前記他方のコン
ピュータ側のハードウェア構成に対応した各機能を模倣
する模倣手段と、前記模倣手段によって模倣される前記
一方のコンピュータ側の入力動作状態を、抽出して前記
他方のコンピュータ上に表示する入力動作表示手段とを
具備することを特徴としている。
【0016】
【作用】上記構成によれば、模倣手段が他方のコンピュ
ータ側のハードウェア構成に対応した各機能を模倣し、
入力動作表示手段がこの模倣手段によって模倣される一
方のコンピュータ側の入力動作状態を抽出して表示す
る。この結果、互いにハードウェア構成が異なるコンピ
ュータ間において、一方のコンピュータ用に作成された
プログラムを他方のコンピュータ上で動作可能とし、か
つ、一方のコンピュータ側の入力動作状態を他方のコン
ピュータ上で表示することが可能になる。
【0017】
【実施例】以下、図面を参照してこの発明の実施例につ
いて説明する。図1はこの発明の一実施例を適用したプ
ログラム開発手順の概要を示す図である。この図におい
て、図8に示す各部と共通する部分には、同一の符号を
付し、その説明を省略する。図1に示す手順が図8に示
した従来例と異なる点は、ターミナル専用関数ライブラ
リTL(図5参照)を後述するエミュレータEMに置き
換え、これにより、開発マシン(パーソナルコンピュー
タ)上でハンディターミナル1用に作成されたアプリケ
ーションプログラムのデバッグDG2を行うようにした
点にある。すなわち、この実施例が意図するところは、
エミュレータEMを用いたことにより、従来必要とされ
ていた実行ファイルEfのダウンロードDLと、これに
応じてなされるハンディターミナル1上の実機デバッグ
DG1とを省略し、特に、開発マシン上でハンディター
ミナル1のタッチパネル分割状態を表示可能にしたこと
にある。
【0018】次に、図1のプログラム開発手順を実現す
るエミュレータEMの機能概要について説明する。ま
ず、エミュレータEMは、ハンディターミナル1のハー
ドウェア環境で動作するよう定義された各種関数を、開
発マシン(例えば、パーソナルコンピュータ)のハード
ウェア環境で動作するように定義し直したプログラム群
から構成されている。
【0019】エミュレータEMの機能は、図2に示すよ
うに、ターミナル専用関数ライブラリTL(図5参照)
と同一である。つまり、このエミュレータEMでは、タ
ーミナル専用関数ライブラリTLと同様の引数で各関数
の外部仕様を規定し、かつ、各関数内部は、開発マシン
(パーソナルコンピュータ)上でハンディターミナル1
の動作をエミュレートするよう定義し直している。
【0020】図2において、f1はエミュレータ初期化
機能である。このエミュレータ初期化機能f1は、ソー
スプログラムの先頭に「emu_start()」なる
関数が記述されている場合、エミュレータEMの初期設
定を行うものである。したがって、図1に示すように、
オブジェクトファイルofとエミュレータEMとをリン
クさせる場合には、この「emu_start()」な
る関数が必要になる。なお、この関数は、ターミナル専
用関数ライブラリTLとリンクする際には、何等実行に
影響されないものである。したがって、エミュレータ用
に作成されたソースファイルsfは、そのままハンディ
ターミナル1用の実行ファイルに変換可能になる。
【0021】次に、f2は画面表示制御機能である。こ
の画面表示制御機能f2では、ハンディターミナル1用
に定義された各関数、例えば、表示モードの設定、カー
ソル形状あるいは表示文字のアトリビュート設定等を行
う関数を、それぞれ開発マシン(パーソナルコンピュー
タ)のハードウェア環境に対応して動作させる機能であ
る。f3はキー入力制御機能であり、ハンディターミナ
ル1でなされるタッチパネル入力やテンキー入力を、開
発マシン上におけるマウス入力やテンキー入力に置き換
える機能である。f4はエスケープシーケンス制御機能
であり、カーソル位置指定、全画面消去あるいはスクロ
ールアップ/ダウンなどを指定するコード出力関数を、
開発マシン(パーソナルコンピュータ)のハードウェア
環境に対応して動作させる機能である。
【0022】f5は、メインメモリ容量、ドライバ登録
情報、外字登録情報等のシステム情報を取得して出力す
る関数を開発マシンに対応させた機能である。f6は主
電源オン/オフ制御や、電源電圧低下状態検出などの動
作を開発マシン上で表示させる機能である。f7は、ハ
ンディターミナル1用に定義されたシリアルデータ通信
制御を、開発マシン上でエミュレートさせる通信制御機
能である。f8はプリンタ制御機能であり、ハンディタ
ーミナル1用に定義された印字フォント、改行ピッチな
どを開発マシン上で制御するものである。f9は、エミ
ュレータ終了機能であり、ソースプログラムの最後、あ
るいは途中に「emu_exit(n)」なる関数が記
述されている場合、エミュレータEMを終了させる機能
である。
【0023】次に、上記エミュレータEMを用いたプロ
グラム開発手順と、この手順に基づき作成されたアプリ
ケーションプログラムのエミュレート動作とについて順
次説明する。 プログラム開発手順 アプリケーションプログラムを開発する際には、まず、
コーディング段階でソースプログラムの先頭に「emu
start()」なる関数を記述し、かつ、該プログ
ラムの最後に「emu exit(n)」なる関数を記
述しておく。そして、図1に示すように、ソースファイ
ルsfをコンパイルccにかけ、オブジェクトファイル
ofを生成する。次に、このオブジェクトファイルof
に対して標準関数ライブラリSLおよびエミュレータE
Mをリンクさせる。これにより、ソースプログラムでコ
ールされるハンディターミナル固有の各種関数がパーソ
ナルコンピュータ上で動作する形で実行ファイル化され
る。実行ファイル化されたアプリケーションプログラム
は、パーソナルコンピュータの主メモリ上にロードされ
てハンディターミナル1の動作をエミュレートする。
【0024】アプリケーションプログラムのエミュレ
ート動作 上記手順により作成されたアプリケーションプログラム
が起動すると、パーソナルコンピュータの処理は、図3
に示すステップS1に進む。ステップS1では、プログ
ラム先頭に定義された「emu start()」なる
関数に対応して上述したエミュレータ初期化機能f1が
初期設定を行う。この初期設定とは、ハンディターミナ
ル1の起動状態をエミュレートするものであり、例え
ば、バックライトのオン/オフ状態、液晶パネルのコン
トラスト状態あるいはスピーカ音量などを設定するもの
である。
【0025】こうしてパーソナルコンピュータ上でハン
ディターミナル1の初期状態がエミュレートされると、
例えば、図4に示すように、パーソナルコンピュータの
ディスプレイDSPにハンディターミナル1の表示画面
TDが表示される。ここで、同図(イ)は、ハンディタ
ーミナル1に電源が投入された時に表示される表示画面
の一例を示す図である。一方、同図(ロ)はエミュレー
タ初期化機能f1に基づきハンディターミナル1の初期
状態がエミュレートされた表示例である。この図に示す
ように、ディスプレイDSPは、表示エリアE1,E
2,E3に分割されており、この内、表示エリアE1に
はハンディターミナル1の表示画面TDと同一の内容が
表示される。また、表示エリアE2には、後述するタッ
チパネル分割動作に基づいてハンディターミナル1のタ
ッチパネル分割状態が表示され、さらに、表示エリアE
3にはハンディターミナル1の動作状態が表示される。
【0026】次いで、このような初期設定がなされる
と、パーソナルコンピュータの処理はステップS2に進
む。ステップS2では、与えられたイベントに応じてア
プリケーションプログラムが各関数を実行する。このス
テップS2においては、ハンディターミナル1のタッチ
パネル入力をマウス入力するようキー入力制御機能f3
が動作しており、これに対応してマウスカーソルを移動
させる割込み処理が行われる。
【0027】したがって、図4(イ)に示したように、
実際のタッチパネルをエミュレートした表示エリアE1
上の所定位置をクリックしてマウス入力を行うと、この
入力イベントに対応したアプリケーションプログラムが
起動し、該プログラム中で定義された関数が実行され
る。これにより、ハンディターミナル1の動作がパーソ
ナルコンピュータ上でエミュレートされる。例えば、マ
ウスカーソルMCが図6に示す表示エリアE1上に置か
れ、マウス入力がなされると、「データ伝送」処理がコ
ンピュータ上でエミュレートされる。
【0028】そして、アプリケーションプログラム完了
の旨を表わす入力がなされると、ステップS3の判断結
果が「YES」となり、該プログラムの処理がステップ
S4に進む。ステップS4では、プログラム最後に定義
された「emu exit(n)」なる関数に基づき、
エミュレート動作を終了する。
【0029】タッチパネル分割動作 次に、図5および図6を参照し、上記ステップS2でな
されるタッチパネル分割動作について説明する。まず、
上述したステップS2において、キー入力制御機能f3
が実行されると、図5に示すタッチキー分割設定ルーチ
ンが起動する。これにより、パーソナルコンピュータの
処理がステップSa1に進む。ステップSa1では、機
能f3の内、タッチキー分割モード関数を実行し、タッ
チパネルを複数行/複数列のキー領域に分割する。
【0030】例えば、表示エリアE2(図6参照)の分
割態様とするには、当該分割モード関数において「3行
12列」のキー分割を行う旨を宣言しておく。次いで、
ステップSa2に進むと、マウス入力用キーテーブルを
キーテーブルファイルから読み出す。ここで、マウス入
力用キーテーブルとは、実際のタッチキー分割領域と、
表示エリアE1(図6参照)上のマウス入力領域との対
応関係を表わしたテーブルである。このキーテーブル
は、予めキーテーブルファイルに登録されており、これ
を読み出し、パーソナルコンピュータ内部の表示データ
用レジスタにセットする。
【0031】次いで、パーソナルコンピュータの処理が
ステップSa3に進むと、ハンディターミナル用キーテ
ーブルを対応するファイルから読み出し、これを表示デ
ータ用のレジスタにセットする。このハンディターミナ
ル用キーテーブルには、上記マウス入力領域に相当する
タッチキー分割領域の位置と、各タッチキーに割り当て
るべきキーコードとが登録されている。
【0032】以上のようにして内部レジスタにセットさ
れたマウス入力用キーテーブルとハンディターミナル用
キーテーブルとは、次のステップSa4においてパーソ
ナルコンピュータのディスプレイDSPに表示される。
すなわち、マウス入力用キーテーブルは、実際のタッチ
キー分割領域に相当するマウス入力領域として表示エリ
アE1(図6参照)に表示される。一方、ハンディター
ミナル用キーテーブルは、表示エリアE2(図6参照)
に表示される。
【0033】例えば、図6に示す表示エリアE1には、
ハンディターミナル1のタッチキー分割領域に対応させ
たマウス入力領域R1〜R7が設けられており、これら
領域R1〜R7にマウスカーソルMCを指示してクリッ
ク操作することで、実際のタッチパネル入力をエミュレ
ートしている。すなわち、マウス入力領域R1〜R4の
いずれかをクリックすることで処理選択がなされ、マウ
ス入力領域R5〜R7では画面選択と終了指示とが行わ
れるようになっている。
【0034】また、表示エリアE2には、上記マウス入
力領域に対応するタッチキー分割状態が表示されてい
る。この場合、前述したように、タッチパネルを「3行
12列」に分割しており、この内、タッチキー分割領域
KR1〜KR4をマウス入力領域R1〜R4に対応さ
せ、タッチキー分割領域KR5〜KR7をマウス入力領
域R5〜R7に対応させている。そして、各タッチキー
分割領域KR1〜KR7には、各々割り当てられたキー
コードが16進数で表示される。すなわち、タッチキー
分割領域KR1〜KR4に「41」〜「44」が、タッ
チキー分割領域KR5〜KR7に「61」〜「63」が
表示される。
【0035】したがって、パーソナルコンピュータ上に
おいて、キー入力制御機能f3が実行されると、表示エ
リアE1にはハンディターミナル1のタッチキー分割領
域に対応させたマウス入力領域が設定され、一方、表示
エリアE2にはこのマウス入力領域に対応させたタッチ
キー分割状態が表示されると共に、各タッチキー領域に
割り当てられたキーコードデータが表示される。この結
果、従来、直接的に動作状態を検証できなかったタッチ
パネル分割状態が一目瞭然になる。
【0036】以上のように、エミュレータEMは、ハン
ディターミナル1のハードウェア環境に対応させた専用
関数ライブラリTLと同一の引数を備え、かつ、各専用
関数の機能f1〜f9を開発マシン(パーソナルコンピ
ュータ)のハードウェア環境に対応させている。このた
め、ソースプログラムにエミュレータEMをリンクして
生成した実行ファイルEfをパーソナルコンピュータに
ロードすれば、該コンピュータ上でハンディターミナル
1の動作がエミュレートされることになる。さらに、こ
のエミュレート動作では、ハンディターミナル1の動作
状態がディスプレイDSPに逐一表示されるため、アプ
リケーションプログラムのデバック作業が極めて効率良
く行える。
【0037】また、上記実施例によれば、エミュレータ
用に開発したソースプログラムがそのままハンディター
ミナル1用のソースファイルとなり、完全互換性を備え
るので、プログラム開発が全て同一のマシン上で行うこ
とが可能になる。この結果、従来必要とされていた実行
ファイルEfのダウンロードDLと、これに応じてなさ
れる実機デバッグDG1とが省略されるから、極めて効
率良いプログラム開発環境が実現できる。しかも、この
場合、タッチパネル分割状態や、これに対応するキーコ
ード割り当て状態が一目瞭然になるから、キーコード設
定ミス等を容易に発見でき、デバッグ作業の効率も向上
する。
【0038】さらに、ハンディターミナル用に作成した
プログラムを顧客向けにデモンストレーションする場
合、従来では、ハンディターミナル1そのものを使用し
て行っていた。この場合、表示面積が小さい液晶ディス
プレイでその動作を表示するため、多人数へのデモンス
トレーションには不都合であった。しかしながら、これ
に替えて、上述した実施例のように、パーソナルコンピ
ュータでハンディターミナル1の動作をエミュレートす
れば、大型のディスプレイによる多人数へのデモンスト
レーションが可能になる。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、模倣手段が他方のコンピュータ側のハードウェア構
成に対応した各機能を模倣し、この模倣手段によって模
倣される一方のコンピュータ側の入力動作状態が入力動
作表示手段によって抽出されて表示される。この結果、
互いにハードウェア構成が異なるコンピュータ間におい
て、一方のコンピュータ用に作成されたプログラムを他
方のコンピュータ上で動作可能とし、かつ、一方のコン
ピュータ側の入力動作状態を他方のコンピュータ上で表
示することができる。これにより、ハンディターミナル
1のタッチパネル分割状態や、これに対応するキーコー
ド割り当て状態がパーソナルコンピュータ上で表示さ
れ、該ハンディターミナル1の入力動作状態が一目瞭然
になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を適用したプログラム開発
手順の概要を示す図。
【図2】同実施例におけるエミュレータEMの機能構成
を示す図。
【図3】同実施例により作成されたアプリケーションプ
ログラムの概略動作を示すフローチャート。
【図4】同実施例により作成されたアプリケーションプ
ログラムの概略動作を説明するための図。
【図5】同実施例におけるタッチキー分割設定ルーチン
の動作を示すフローチャート。
【図6】同実施例における表示エリアE1,E2の表示
例を示す図。
【図7】ハンディターミナル1の一構成例を示すブロッ
ク図。
【図8】従来のプログラム開発手順を説明するための
図。
【符号の説明】
sf…ソースファイル、 cc…コンパイル、 of…オブジェクトファイル、 LK…リンカ、 EM…エミュレータ(模倣手段)、 SL…標準関数ライブラリ、 Ef…実行ファイル。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いにハードウェア構成が異なるコンピ
    ュータの内、いずれか一方のコンピュータ用に作成した
    プログラムを、他方のコンピュータ上で動作可能にする
    エミュレータにおいて、 前記プログラムがコールする複数のルーチンから形成さ
    れるライブラリであって、前記プログラムと同一の引数
    で定義された各関数ルーチンが、それぞれ前記他方のコ
    ンピュータ側のハードウェア構成に対応した各機能を模
    倣する模倣手段と、 前記模倣手段によって模倣される前記一方のコンピュー
    タ側の入力動作状態を、抽出して前記他方のコンピュー
    タ上に表示する入力動作表示手段とを具備することを特
    徴とするエミュレータ。
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