JP2939251B1 - 窒化ホウ素膜の成膜装置 - Google Patents

窒化ホウ素膜の成膜装置

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JP2939251B1 JP24319398A JP24319398A JP2939251B1 JP 2939251 B1 JP2939251 B1 JP 2939251B1 JP 24319398 A JP24319398 A JP 24319398A JP 24319398 A JP24319398 A JP 24319398A JP 2939251 B1 JP2939251 B1 JP 2939251B1
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Abstract

【要約】 【課題】 超硬合金や高速度鋼を材料とした先端部が特
殊な形状を呈する工具部材の表面に、全面に亘って均一
な窒化ホウ素膜を成膜できる装置を提供する。 【解決手段】 真空槽21内の下方に蒸発材料23を充
填した坩堝24と電子銃25を備えた蒸発源22を有
し、この蒸発源22と所定距離を隔てた真空槽21の上
方に基板ホルダー32に支持された基板1と、上記蒸発
源22と基板1との間で上記基板1の近傍の左右にマグ
ネットケース46a、46bに収容されて配置されてい
る一対の磁石45a、45bと、この磁石と同一平面内
に配置されている熱電子放出用カソード41およびアノ
ード43とを具備している成膜装置に、上記基板1の先
端部よりやや離れた位置に金属板33を配置し、上記マ
グネットケース上面と基板との間にメッシュ板48を設
け、さらに上記左右のマグネットケースの背面にヨーク
47a、47を取り付けた構造の成膜装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、立方晶窒化ホウ
素膜の成膜装置に関し、詳しくは高硬度、低摩擦係数、
耐熱性等の物性が他の物質よりすぐれている立方晶窒化
ホウ素膜を切削工具や耐摩耗工具などの工具部材表面に
付与して、これら部材の長寿命化を達成することを目的
として、立方晶窒化ホウ素膜を再現性よく成膜すること
のできる成膜装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】立方晶窒化ホウ素(cBN)は、ダイヤ
モンドに次ぐ硬度を持ち、しかも熱的および化学的安定
性にすぐれており、鉄系材料との反応性がダイヤモンド
に比べて低いなどの特性を有することから、超高圧、高
温下で焼結して得られたcBN焼結体はワイヤ放電加工
機等で適当な大きさに切断し、超硬チップ、エンドミル
等に蝋付けして切削用工具としたり、耐摩耗性用品の材
料として用いられている。
【0003】しかしながら、cBN成形体の製造には上
述のように、超高圧、高温による合成を必要とすること
から、複雑な形状のものが得難く、また量産性が低く、
かつ製造コストが非常に高くつくなどから、この成形体
の使用範囲は著しく限定されている。また、処理工程の
煩雑さと処理温度が高温であるため、量産工具であるハ
イス材小型工具への適応が行えないこともあって大幅な
普及には至っていない。
【0004】そこで、上記したcBNが持っている特性
を活かすべく、基材表面にcBNからなる被覆層を形成
することにより、低コストで基材の耐摩耗性、耐食性を
向上させた成形体を得る試みが広く行われている。この
ようなcBNによる被覆はCVD法やPVD法などによ
り、cBNを基材表面に析出させることが試みられ、c
BNの気相合成による被覆が工業的に可能になってきて
いる。
【0005】上記の気相合成法によって得たcBN皮膜
は、その製法の如何に係わらず大きな内部応力を持って
いるため成膜後に剥離を起こしやすく、cBN膜のみで
は0.1μm以上になると剥離してしまう。このような
cBN膜の剥離を防止するために、例えば特開平8−6
0339号公報には基材界面に中間層としてTi膜を形
成し、その後に窒素組成を変化させながらホウ素のイオ
ンプレーティングを行って、ホウ素と窒素の傾斜層を形
成させ、この傾斜層を介してcBN層を形成することで
0.5μm程度のcBN膜を得る方法とそれに用いるイ
オンプレーティング装置が提案されている。
【0006】その装置の構成は概略図4に示すものであ
る。このイオンプレーティング装置は、真空槽61の内
部下方に蒸発材料を収容する坩堝70と、これを加熱し
て蒸発させる電子銃71を備えた蒸発源62が設置され
ている。そして、真空槽の内部上方にワークTがホルダ
ー63に取り付けられている。ホルダー63は、外部の
高周波バイアス電源69に接続されている。基板ホルダ
ー63の下方に熱電子放射用のカソード66とそれに対
向するアノード67が設けられ、このカソード66とア
ノード67と同一水平面内の位置にカソード66とアノ
ード67で形成される電界と同じ向きに平行磁界が形成
されるように一対の磁石68a、68bが配置されてい
る。64は、外部に伸びている導入管に設けた流量調整
弁72によって調節されたArガス、N2 ガスあるいは
混合ガスを真空槽61内に送り込むガスノズルである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようなイオンプレ
ーティング装置を用いて、圧力:3〜10×10-2
a、基板温度:250℃以上、アノード電圧、電流:4
0〜70V、2〜20A、カソード加熱電流:30〜5
0A、バイアス電源パワー:500W以下、電子銃電
力:1.7〜2.3kWの条件から適宜選択した成膜条
件で基板の成膜を行う場合、特に基板が工具のようなエ
ッジ部(刃部)など鋭利な部分を有する場合、その成膜
工程でイオン源近傍の基板には基板バイアスを印加して
いるため、このエッジ部にはエッチングにより成膜され
ない領域が生じるという問題がある。
【0008】そこで、上述の特開平8−60339号に
おいては、導電性、多孔性材料からなるバイアスコント
ロール治具65を、その基部をホルダー63に嵌合ある
いは溶接により取り付けることを提案している。そし
て、このバイアスコントロール治具65により、ガスイ
オンはバイアスコントロール治具65に衝突して加速が
解かれ、慣性力で多孔部分から内部空間に進入するため
イオン密度が均一化され、基板の鋭利部分に対するスパ
ッタ作用が生じず、鋭利部分にも適切に成膜される、と
している。
【0009】しかしながら、上記のバイアスコントロー
ル治具は、成膜しようとするそれぞれの基板の形状に対
応するように導電性、多孔性の材料を加工する必要があ
り、また基板と治具との距離を夫々の形状に応じて調整
しなければならず、多種類の基板に成膜を行う場合には
非常な手間がかかってコスト上昇を招くと共に、再現性
にも問題を有している。
【0010】上記に鑑みて、この発明は基材へcBN膜
を成膜する装置において、特殊な形状の基板であっても
均一な成膜を可能とし、さらに成膜範囲を拡大すること
のできる装置を提供するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、内部が排気される真空槽内の下方に配置されて蒸発
材料が充填されている坩堝と電子銃とを備えた蒸発源
と、この蒸発源と所定距離を隔てて上記真空槽の上方に
基板ホルダーに支持された基板と、この基板の先端部よ
りやや離れた位置に配置されている金属板と、上記蒸発
源と上記基板との間における上記基板の近傍の左右にマ
グネットケースに収容されて配置されている一対の磁石
と、この一対の磁石と同一平面内に配置される熱電子放
出用カソードおよびこれと対向するアノードと、上記マ
グネットケース上面と基板との間に配置されたメッシュ
板とを、具備している窒化ホウ素膜の成膜装置である。
【0012】請求項2に記載の発明は、内部が排気され
る真空槽内の下方に配置されて蒸発材料が充填されてい
る坩堝と電子銃とを備えた蒸発源と、この蒸発源と所定
距離を隔てて上記真空槽の上方に基板ホルダーに支持さ
れた基板と、この基板の先端部よりやや離れた位置に配
置されている金属板と、上記蒸発源と上記基板との間に
おける上記基板の近傍の左右にマグネットケースに収容
されて配置されている一対の磁石と、この一対の磁石と
同一平面内に配置される熱電子放出用カソードおよびこ
れと対向するアノードと、上記マグネットケースと基板
との間に配置されたメッシュ板と、さらに上記左右のマ
グネットケースの背面に設置したヨークとを、具備して
いる窒化ホウ素膜の成膜装置である。
【0013】上記の請求項1の発明は、真空槽内におい
て、蒸発源と所定距離を隔てて真空槽の上方に基板ホル
ダーに支持されて基板が取り付けられ、この基板と同電
位で基板より大きなエッチング防止板(金属板)が基板
先端部より5〜20mmの位置に配置されている。さら
にマグネットケース上面と基板との間に開口率30〜8
0%の鉄系メッシュ板を設けることによって、この真空
槽での成膜中に特殊形状の基板や、先端が刃先等の形状
の違い、位置の違いによる成膜薄膜のエッチングを防止
できることで、均一なる成膜が可能となり、基板の材
質、形状に成膜条件が左右されなくなって、真空槽内へ
の基板の設置を容易とすることができる。
【0014】請求項2の発明は、請求項1の発明に加え
て、磁石を収容しているマグネットケースの背面にヨー
クを設置したことであり、これによって成膜範囲を拡大
させることができるのである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、この発明の窒化ホウ素膜成
膜装置の構成について図を参照して説明する。図1に示
すように、11は下部に排気口27が設けられている真
空槽である。この排気口27は、図示していないが真空
ポンプに接続されており、この真空ポンプによって真空
槽21が排気される。
【0016】22は、真空槽21の内部下方に設けられ
た蒸発源であり、ホウ素、チタンなどの蒸発材料23を
収容する坩堝24と、この蒸発材料23を加熱して蒸発
させる電子銃25とを備えている。上記の蒸発源22は
1つしか図示していないが、これを多点ハース、または
多元蒸発機構としてもよい。
【0017】真空槽21内の上記蒸発源22と対面する
上方位置には、回転可能な基板ホルダー32に支持され
て被覆される基板ないしワーク(例えば工具)1が配置
されている。さらに、上記基板1の先端部より5〜20
mm離れた位置にエッチング防止の役目を果たすべく、
基板1と同電位で基板より大きな金属板(エッチング防
止板)が取り付けられている。上記基板1は真空槽21
の外部に設けられたバイアス電源34にマッチングボッ
クス35を介して接続されており、負の直流電源または
高周波電圧が印加される。バイアス電源34の他端は接
地されている。
【0018】真空槽21内に配置されている上記基板1
と上記蒸発源22との間隔は、ホウ素やチタンを安定に
0.2〜3.0nm/secの成膜速度で蒸発させるた
めに、一般に250〜700mmである。
【0019】38は、Arガス、N2 ガス、H2 ガスあ
るいはそれらの2種以上の混合ガスを真空槽21内に導
入するためのガスノズルであり、その下方の真空槽21
外に伸びる導入管に設けた流量調整弁39によって、そ
の流量が調整されて導入される。41は、熱電子放出用
カソードであり、この熱電子放出用カソード41と対向
するようにアノード43が設けられている。
【0020】そして、上記熱電子放出用カソード41と
対向するアノード43と同一水平面内の位置に、一対の
磁石45a、45bが配置されており、これによってカ
ソード41とアノード43が形成する電界の方向と同じ
向きに平行磁界が形成されるようになっている。この一
対の磁石45a、45bは、それぞれ平行磁界発生用マ
グネットケース46a、46bに収容されている。ま
た、47a、47bは、基板付近で磁束密度均一分布を
大とするために、この平行磁界発生用マグネットケース
46a、46bの背面に設置した逆L字型のヨークであ
る。さらに、基板1の下方で、上記マグネットケース4
6a、46bとヨーク47a、47bの中間には鉄系材
料よりなるメッシュ板48が設置されている。なお、4
9は、真空槽21内上方の基板1およびプラズマ発生機
構に係わる部位と下方の蒸発源との間に設けた摺動可能
なシャッターである。
【0021】上記した成膜装置において、プラズマ発生
機構に係わる部位の全体は、真空槽21内の基板1と蒸
発源22との間の中間、例えば少なくとも蒸発源22か
ら150mm離れた位置に設けられる。カソード41と
アノード43の間隔は、プラズマ空間を広くするため
に、120〜500mmとすることが好ましい。
【0022】カソード41は、W、Ta、W/Thなど
の熱陰極材料で作られたフィラメントからなり、電源4
2により通電加熱されることで熱電子を放出する。
【0023】アノード43は、カソード41と対向する
側の磁石45aに結線して磁石そのものを電極としても
よいし、磁石45aの前面側に電極を別に設置すること
で構成してもよく、いずれの場合も、アノード43には
接地電位に対して正の直流電圧、例えば30〜70Vの
直流電圧が電源44によって印加される。
【0024】磁石45a、45bは正対しており、その
磁束密度の強さは、高密度のプラズマを形成させるた
め、両磁石の中間地点で3〜12mTとすることが好ま
しい。
【0025】この発明の磁界励起型イオンプレーティン
グ成膜装置による成膜の一例を説明すると、まず基板1
を基板ホルダー32にセットし、真空槽21を真空排気
する。その後、真空槽21内にガスノズル38からAr
ガス等を導入しイオンボンバードを所定時間行ったの
ち、成膜を行うものである。
【0026】この成膜工程では、ガスノズル38により
真空槽21内に所定成分のArガス、窒素ガスを導入
し、カソード41を通電するとともに、アノード43に
正電圧を印加する。これにより磁石45a、45bの平
行磁場と相まってプラズマが形成される。この状態で蒸
発源22の電子ビーム26を作動して蒸発材料23とし
てホウ素Bを蒸発させる。これにより、ホウ素Bの蒸発
粒子は上昇し、プラズマを通過して基板1に付着させら
れる一方、基板1に印加した負の電圧又は高周波により
生じるセルフバイアス電圧によりプラズマ内で生成した
Ar、窒素ガスイオンが引きつけられ、基板1に衝突さ
れる。これにより、基板1に反応生成膜として立方晶窒
化ホウ素膜が堆積されるのである。
【0027】次に、図2、3を参照してこの装置の特徴
とする点を説明する。図2は、図1における基板1近傍
の部分拡大図であり、aは側面図、bは上面図である。
この発明の第1の特徴は、窒化ホウ素膜の成膜時に、基
板1に印加する負の電圧または高周波によるイオンの基
板1への衝突が原因して、基板薄膜がエッチングされる
ことを防止する目的から、基板1の先端部より5〜20
mm離れた位置にエッチング防止の役目を果たす基板1
と同電位で基板より大きな金属板(エッチング防止板)
33を取り付け、さらにマグネットケース46a、46
b間の上面で基板1との間に鉄系材料(例えばSUS
製)からなる開口率30〜80%のメッシュ板48を設
置したものである。
【0028】このエッチング防止板33としては、基板
1断面より5mm以上の大きさのSUS製で厚み2〜5
mmの基板1と同電位の金属板が好ましく、基板先端
部、例えばドリル等の先端の刃先部から5〜20mmの
位置に設置することにより、そしてさらにマグネットケ
ース46a、46b間の上面で基板1との間にSUS製
の開口率30〜80%のメッシュ板48を設置すること
により、ドリル等の刃先部から5mm程度が非成膜領域
(エッチング)となるのを解消して、基板全体に亘って
均一な成膜を施すことができるのである。
【0029】次に、この発明の第2の特徴は、cBN成
膜可能範囲の拡大である。このために、磁石45a、4
5bを収容しているマグネットケース46a、46bの
背面にヨーク47a、47bをそれぞれ設置したもので
あり、これによってcBN膜の成膜範囲を拡大させるこ
とができるのである。図3に見られるように、cBNの
成膜可能範囲の成膜条件は、基板上でX方向での磁束密
度は1〜3mTである。従って、磁石45a、45b、
マグネットケース46a、46bの大きさ、強さ、形状
により磁束密度分布が変化する。
【0030】図3に示す方位で説明すると、Z方向、蒸
発源−基板方向でマグネットケース46a、46bの上
面より一定の高さ30〜200mmの間の面内でのY方
向成膜可能範囲は、磁石45a、45b、マグネットケ
ース46a、46bの長さを拡大すれば成膜面積は大き
くなる。X方向は、固定であるので成膜範囲はあまり影
響しない。従って、この面内の成膜可能面積の拡大は図
3aの本発明装置によるものも、図3bの従来の装置に
よるものも変化は同じである。
【0031】基板上での磁束密度のX方向の強さが1〜
3mTであるこの発明の装置でcBN成膜条件を大面積
に適応させるため、この発明では、対向しているマグネ
ットケース46a、46bのそれぞれの背面側に鉄系材
料からなる逆L字型のヨーク47a、47bを設置し
た。これにより、基板付近のX方向の磁束密度はマグネ
ットケース46a、46bの対向面でのX方向の磁束密
度の方向と逆の方向となるが、マグネットケース46
a、46b上面より30〜200mmの範囲でX方向の
磁束密度の強さが1〜3mTの大きさとなるので、これ
によって、マグネットケース46a、46bの上面より
Z軸方向でのcBN成膜可能範囲は、図3aのA1で示
すように30〜200mmまで拡大させることができる
のである。これに対して、この発明のようなヨークを設
けていない従来の装置によるものは、図3bのA2のよ
うにマグネットケース46a、46bの上面より30〜
50mmの成膜可能範囲しか有しないのである。このよ
うに、この発明では対向しているマグネットケース46
a、46bのそれぞれの背面側に鉄系材料からなるヨー
ク47a、47bを設置したことがcBN成膜可能範囲
の拡大に大きく寄与しているのである。
【0032】この成膜装置によって、基材として3.4
mmφの高速度鋼製ストレートドリルを用い、このドリ
ルにcBN成膜を施す動作について説明すると、上記ド
リルを基材1として真空槽21内の基材ホルダー22に
取付け、槽内を2×10-4Paまで真空排気し、基材温
度を250℃に保持したのち、まず基材クリーニングと
して(1)2.5〜40PaのArガスを導入し、基材
に印加した100〜200Wの高周波電力により基材−
真空壁間でグロー放電を起こさせて20分間基板表面の
クリーニングするグロー放電ボンバード、(2)6.7
×10-2PaのArガスを槽内に導入し、平行磁界中に
65V印加されたアノード電圧と、300Wのカソード
間でアノード電流15Aとなる放電をさせ、この放電に
よって生成したArイオンにより基材に印加した200
W〜300Wの高周波電力で基材表面をクリーニングす
る高真空ボンバード、(3)Tiを5.5kWの電子銃
にて加熱蒸発させ、2.0×10-2PaのArガスを導
入し、平行磁界中に65V印加されたアノード電圧と、
300Wのカソード間でアノード電流15Aとなる放電
によってイオン化したTiイオンにより、基材1に36
0Wの高周波バイアスを印加して2分間のクリーニング
を行うTiボンバードを続けて実施した。
【0033】次いで、上記でクリーニングした基材1表
面に、Tiを5.5kWの電子銃25にて加熱蒸発さ
せ、2.0×10-2PaのArガスをガスノズル38か
ら導入し、平行磁界中に50V印加されたアノード43
と、300Wのカソード41間でアノード電流20Aと
なる放電によってイオン化したTiイオンにより、基材
1に200Wの高周波バイアス(RF)34を印加し、
2 ガスを3分間導入して0.3〜0.7μmのTiN
膜を成膜した。
【0034】上記でTiN膜を形成した基材上に、Ti
の電子銃出力5.5kW、アノード電圧50V、アノー
ド電流10A、カソード電流300W、導入Arガス圧
力2.0×10-2Pa、RF出力200W、成膜時間1
5秒の条件でTi膜を形成した後、Bの電子銃出力6.
0kW、アノード電圧40V、アノード電流10A、カ
ソード電流300W、導入Arガス圧力6.7×10-2
Pa、導入Arガス量12mL/min、RF出力15
0W、成膜時間15秒でB膜を形成し、さらに上記B膜
を成膜したのち、Arガス圧力と同圧力でN2 ガスを同
時に導入し、この両者の流量比、RF出力、成膜時間
を、N2 :Ar=1:1、RF=220W、15秒、N
2 :Ar=1.5:1、RF=220W、15秒、
2 :Ar=1.5:1、 RF=250W、45秒、
2 :Ar=1.5:1、RF=300W、120秒の
条件で、B膜層上に形成させるBN層をその下層から上
層にいくに従って、N2 量を多くしてホウ素過剰なアモ
ルファスBNを形成していき、最終的には最表面がB/
N=1に近いBN層とした。
【0035】次いで、上記で形成したBN層の上に、B
の電子銃出力6.0kW、アノード電圧40V、アノー
ド電流10A、カソード電流300W、導入ガス圧力
6.7×10-2Pa、導入Arガス量12mL/mi
n、導入N2 ガス量18mL/min、RF出力360
W、成膜時間4分、の条件で0.3〜0.8μmのcB
N膜の被覆を行なって、窒化ホウ素膜を成膜したとこ
ろ、刃先部も含めてドリルの表面全体に均一な窒化ホウ
素膜が形成されていることが認められた。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、この発明の成膜装
置は、真空槽内の下方に蒸発材料が充填されている坩堝
と電子銃とを備えた蒸発源を有し、この蒸発源と所定距
離を隔てた真空槽の上方に基板ホルダーに支持された基
板と、上記蒸発源と上記基板との間における上記基板の
近傍の左右にマグネットケースに収容されて配置されて
いる一対の磁石と、この一対の磁石と同一平面内に配置
される熱電子放出用カソードおよびこれと対向するアノ
ードとを具備している成膜装置に、上記基板の先端部よ
りやや離れた位置に金属板を配置し、上記マグネットケ
ース上面と基板との間にメッシュ板を設け、さらに上記
左右のマグネットケースの背面にヨークを取り付けた構
造であり、これによって先端が鋭利な刃先部を有するよ
うな特殊形状の基板に対しても基板全体に亘って均一な
cBN膜の形成を可能とし、また成膜範囲の拡大を可能
とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の成膜装置の概略説明図である。
【図2】図1の基板近傍の拡大図であって、aは側面
図、bは上面図である。
【図3】この発明の装置によるcBNの成膜範囲を示す
説明図である。
【図4】従来の成膜装置の概略説明図である。
【符号の説明】
1 基板 21 真空槽 22 蒸発源 23 蒸発材料 25 電子銃 32 基板ホルダー 33 エッチング防止板 34 バイアス電源 38 ガスノズル 41 熱電子放出用カソード 43 アノード 45a、45b 磁石 46a、46b マグネットケース 47a、47b ヨーク 48 メッシュ板

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内部が排気される真空槽内の下方に配置
    されて蒸発材料が充填されている坩堝と電子銃とを備え
    た蒸発源と、この蒸発源と所定距離を隔てて上記真空槽
    の上方に基板ホルダーに支持された基板と、この基板の
    先端部よりやや離れた位置に配置されている金属板と、
    上記蒸発源と上記基板との間における上記基板の近傍の
    左右にマグネットケースに収容されて配置されている一
    対の磁石と、この一対の磁石と同一平面内に配置される
    熱電子放出用カソードおよびこれと対向するアノード
    と、上記マグネットケース上面と基板との間に配置され
    たメッシュ板とを、具備していることを特徴とする窒化
    ホウ素膜の成膜装置。
  2. 【請求項2】 内部が排気される真空槽内の下方に配置
    されて蒸発材料が充填されている坩堝と電子銃とを備え
    た蒸発源と、この蒸発源と所定距離を隔てて上記真空槽
    の上方に基板ホルダーに支持された基板と、この基板の
    先端部よりやや離れた位置に配置されている金属板と、
    上記蒸発源と上記基板との間における上記基板の近傍の
    左右にマグネットケースに収容されて配置されている一
    対の磁石と、この一対の磁石と同一平面内に配置される
    熱電子放出用カソードおよびこれと対向するアノード
    と、上記マグネットケースと基板との間に配置されたメ
    ッシュ板と、さらに上記左右のマグネットケースの背面
    に設置したヨークとを、具備していることを特徴とする
    窒化ホウ素膜の成膜装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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