JP2938667B2 - 液晶表示素子の駆動装置 - Google Patents

液晶表示素子の駆動装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マトリックス型のLC
D(液晶ディスプレイ)等の液晶表示素子を電圧平均化
法で駆動する液晶表示素子の駆動装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】LCDを電圧平均化法で駆動する場合、
横方向に延びた複数の走査電極に順次走査電圧を印加
し、これに同期して縦方向に延びた複数の信号電極に信
号電圧を印加している。これにより、走査電極と信号電
極の交差部にある各ピクセルに、走査電圧と信号電圧の
差電圧である駆動電圧が印加され、LCDに所望の文字
や図形が表示される。
【0003】ピクセルをON状態(光学的点灯状態)に
するためには、 Von =Vop /BIAS×((BIAS2 +DUTY−1)/DUTY)1/2 の実効電圧を印加する必要がある。
【0004】同様に、ピクセルをOFF状態(光学的非
点灯状態)にするためには、 Voff=Vop /BIAS×(((BIAS−2)2 +DUTY−1)/DUTY)1/2 の実効電圧を印加する必要がある。
【0005】ここで、Vop は液晶材料に応じて予め設定
された一定電圧であり、BIAS(バイアス)はDUTY1/2
1に等しい値である。DUTY(デューティー)はLCDの
ピクセル数に応じて設定されており、例えば、LCDが
縦方向に400ドットのピクセルを有する場合、DUTYは
通常200に設定され、480ドットのピクセルを有す
る場合、DUTYは通常240に設定される。
【0006】ところで、液晶表示素子は容量性の素子で
あるので、走査電圧および信号電圧の電圧レベルの反転
によって、駆動電圧の波形に歪みが生じる。したがっ
て、実効電圧であるVon またはVoffが低下または上昇す
る。この結果、ピクセルによって輝度むらが生じる。す
なわち、シャドーイングが発生する。
【0007】液晶表示素子の容量をCとし、ループ抵抗
をRとすると、シャドーイングによる実効電圧の低下
は、 Vop /BIAS×(1−(1−1.5C・R・N・F)1/2 ) に比例する。ここで、Nは信号電圧の電圧レベルの反転
回数であり、Fはフレーム時間の逆数、すなわち、走査
周波数である。
【0008】そこで、BIASを大きく設定することによ
り、実効電圧の低下量を小さくし、シャドーイング防止
を図っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
構成では、図5に示すように、LCD20の中央下部
に、縦方向に延びた棒グラフ21を黒(OFF状態)で
表示すると、棒グラフ21の延長上の白(ON状態)の
領域22の輝度が、棒グラフ21の両側の白の領域23
・23の輝度よりも高くなるという問題点を有してい
る。
【0010】以下、図6および図7に基づいて、このシ
ャドーイングの発生原因について説明する。
【0011】走査電極には、図6(a)のクロック信号
24のパルス毎に、走査電圧が順次印加されており、走
査電圧のレベルは、交流化信号25(同図(b))に基
づいて所定の周期で反転されている。一方、各信号電極
には、上記のクロックパルスに同期して信号電圧(同図
(c))が印加されており、信号電圧のレベルも、走査
電圧のレベルと同様に、交流化信号に基づいて反転され
ている。
【0012】図中、電圧レベルV0 とV5 はピクセルを
ON状態にするための信号電圧(以下、これを点灯電圧
と呼ぶ)を示しており、電圧レベルV2 とV3 はピクセ
ルをOFF状態にするための信号電圧(以下、これを非
点灯電圧と呼ぶ)を示している。なお、電圧レベルV1
とV4 は、選択されていない走査電極に印加される走査
電圧(以下、これを非選択電圧と呼ぶ)である。
【0013】交流化信号が反転したとき、走査電圧のレ
ベルおよび信号電圧のレベルが反転するので、全ピクセ
ルで充放電が起こる。このとき、図7に示すように、非
選択電圧の波形27が過渡現象によって大きく歪む。
【0014】図5のように、LCD20の各ピクセルの
大半がON状態になっている場合、非選択電圧の波形2
7は、点灯電圧側(図では電圧レベルV0 側)に歪む。
逆に、LCD20の各ピクセルの大半がOFF状態にな
っている場合、非選択電圧の波形27は、非点灯電圧側
(図では電圧レベルV2 側)に歪む(図7)。
【0015】このため、領域22のように非点灯電圧が
印加されている時間が長い信号電極上のピクセルでは、
駆動電圧の実効値が増大する。一方、領域23・23の
ように点灯電圧が常時印加されている信号電極上のピク
セルでは、駆動電圧の実効値が減少する。これにより、
領域22の輝度が両側の領域23・23の輝度よりも増
大するタイプのシャドーイングが発生する。
【0016】このようなシャドーイングは、BIASを増大
させる従来のシャドーイング防止方法では充分対応でき
ない。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明に係る液晶表示素
子の駆動装置は、上記の課題を解決するために、クロッ
ク信号に基づいて選択した走査電極に走査電圧を順次印
加すると共に、クロック信号に同期して信号電極に表示
データに応じた信号電圧を印加し、かつ、走査電圧の電
圧レベルおよび信号電圧の電圧レベルを所定の周期で反
転させることにより液晶表示素子に表示データを表示す
る液晶表示素子の駆動装置において、信号電圧の電圧レ
ベルの反転時から、少なくとも非選択状態の走査電極に
印加される電圧の波形歪みがなくなるまでの所定の期
間、すべての信号電極の信号電圧を一定に揃えるように
表示データのすべてのビットを0または1に揃える表示
データの変換手段が設けられていることを特徴としてい
る。
【0018】
【作用】上記の構成により、クロック信号に基づいて
択した走査電極に走査電圧を順次印加すると共に、クロ
ック信号に同期して信号電極に表示データに応じた信号
電圧を印加し、かつ、走査電圧の電圧レベルおよび信号
電圧の電圧レベルを所定の周期で反転させることにより
液晶表示素子に表示データを表示する液晶表示素子の駆
動装置において、信号電圧の電圧レベルの反転時から
少なくとも非選択状態の走査電極に印加される電圧の波
形歪みがなくなるまでの所定の期間、すべての信号電極
の信号電圧を一定に揃えるように表示データのすべての
ビットを0または1に揃える表示データの変換手段を設
けたので、すべての信号電極の信号電圧の実効値が低下
する。これにより、特定の信号電極の信号電圧の実効値
の上昇を防止できる。
【0019】
【実施例】本発明の一実施例について図1ないし図4に
基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0020】本実施例のマトリックス型のLCDの駆動
装置は、交流化信号4の反転を示す指示信号5をクロッ
ク信号3に基づいて出力する信号発生回路1(変換手
段)と、信号発生回路1からの指示信号5に基づいて交
流化信号4の反転時からの所定の期間、すべての信号電
極の信号電圧を点灯電圧あるいは非点灯電圧に揃えるよ
うに表示データ6を変換して新規表示データ7(LCD
に実際に表示されるデータ)として出力するデータセレ
クトスイッチ部2(変換手段)から構成されている。
【0021】上記の構成において、図2および図3に基
づいて、その動作を説明する。
【0022】信号発生回路1では、図2(a)のクロッ
ク信号3に基づいて交流化信号4(同図(b))の反転
タイミングが検出され、クロック信号3の周期をパルス
幅とする指示信号5(同図(c))が出力される。
【0023】LCDの走査電極には、クロック信号3に
基づいて走査電圧が順次印加されている。走査電圧のレ
ベルは、交流化信号4に基づいて反転される。一方、L
CDの各信号電極には、上記のクロック信号3に同期し
て信号電圧が印加されている。信号電圧のレベルも、走
査電圧のレベルと同様に、交流化信号4に基づいて反転
される(同図(d))。
【0024】図中、電圧レベルV0 とV5 はピクセルを
ON状態にするための点灯電圧を示しており、電圧レベ
ルV2 とV3 はピクセルをOFF状態にするための非点
灯電圧を示している。なお、電圧レベルV1 とV4 は、
選択されていない走査電極に印加される非選択電圧であ
る。
【0025】データセレクトスイッチ部2では、表示デ
ータ6が新規表示データ7に変換される。新規表示デー
タ7は、指示信号5のパルスが出力されている期間、す
べての信号電極の信号電圧が点灯電圧あるいは非点灯電
圧に揃うように、すべてのビットが0または1に設定さ
れている。指示信号5のパルスが出力されていない期間
の新規表示データ7は表示データ6と同一である。
【0026】例えば、交流化信号4の反転時にすべての
信号電極の信号電圧が非点灯電圧に揃うようにした場
合、非選択電圧の波形8は、図3に示すように、非点灯
電圧側(図では電圧レベルV2 側)に歪む。これによ
り、すべての信号電極の信号電圧の実効値が低下するの
で、交流化信号4の反転時における特定の信号電極の信
号電圧の実効値の上昇を防止できる。
【0027】クロック信号3の1周期の期間が過ぎる
と、非選択電圧の波形8がほぼ元に戻るので、指示信号
5を“L”レベルにし、表示データ6と同一の新規表示
データ7に応じて信号電極に点灯電圧または非点灯電圧
を印加する。これにより、シャドーイングの少ない文字
や図形の表示を実現できる。
【0028】信号発生回路1およびデータセレクトスイ
ッチ部2は、具体的には例えば、図4の回路によって容
易に実現される。
【0029】信号発生回路1は、フリップフロップ11
とExORゲート12から構成されている。フリップフ
ロップ11のクロック入力端子(>)にはクロック信号
3が入力されており、データ入力端子(D)には交流化
信号4が入力されている。セット入力端子(バーS)と
リセット入力端子(バーR)には電源VDDが接続されて
おり、“H”レベルに固定されている。ExORゲート
12には、フリップフロップ11の出力端子(Q)から
の信号と交流化信号4がそれぞれに入力されている。
【0030】これにより、交流化信号4の反転時に、E
xORゲート12の出力が“H”レベルとなると共に、
この状態が次のクロック信号3のパルスが入力されるま
で保持された指示信号5が得られる。
【0031】データセレクトスイッチ部2は、8個のマ
ルチプレクサー13…から構成されている。各マルチプ
レクサー13の入力端子(A)には、抵抗14を介して
電源VDDが接続されている。また、入力端子(A)とグ
ランドとの間にはスイッチ15が接続されており、スイ
ッチ15の開閉によって入力端子(A)を“H”レベル
または“L”レベルにセットできるようになっている。
各入力端子(B)には8ビットの表示データ6の内のい
ずれか1ビットの信号線が入力されており、各セレクト
端子(S)には上記のExORゲート12からの指示信
号5が入力されている。各ストローブ信号入力端子(バ
ーST)には電源VDDが接続されており、“H”レベル
に固定されている。
【0032】これにより、指示信号5が“H”レベルに
なると、入力端子(A)の信号が選択され、8ビットの
新規表示データ7として出力端子(Y)から出力され
る。すなわち、スイッチ15がONにセットされている
場合、新規表示データ7のすべてのビットが“L”レベ
ルに統一され、スイッチ15がOFFにセットされてい
る場合、新規表示データ7のすべてのビットが“H”レ
ベルに統一される。
【0033】一方、指示信号5が“L”レベルになる
と、入力端子(B)の信号が選択されるので、表示デー
タ6がそのまま新規表示データ7として出力端子(Y)
から出力される。
【0034】以上のように、本実施例のLCDの駆動装
置によれば、従来の駆動装置に簡単な回路を追加するだ
けで、交流化信号4の反転に起因するシャドーイングを
防止することができる。
【0035】なお、以上の実施例では、指示信号5のパ
ルス幅をクロック信号3の1周期に等しくなるように設
定しているが、これに限る必要はなく、交流化信号4の
反転時に発生した非選択電圧の波形8の歪みが元に戻る
ために要する期間よりも少し長めに設定しておけばよ
い。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る液晶表示素子の駆動装置
は、以上のように、信号電圧の電圧レベルの反転時か
、少なくとも非選択状態の走査電極に印加される電圧
の波形歪みがなくなるまでの所定の期間、すべての信号
電極の信号電圧を一定に揃えるように表示データのすべ
てのビットを0または1に揃える表示データの変換手段
が設けられているので、すべての信号電極の信号電圧の
実効値が低下する。これにより、特定の信号電極の信号
電圧の実効値が上昇することがなくなるので、シャドー
イングが発生しにくくなるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の駆動装置の主要部の構
成を示すブロック図である。
【図2】図1の液晶表示素子の駆動装置の動作を説明す
るための波形図である。
【図3】図2の波形(d)の反転時の部分拡大図であ
る。
【図4】図1の液晶表示素子の駆動装置の具体例を示す
回路図である。
【図5】従来のLCDにおけるシャドーイングを示す説
明図である。
【図6】図5のシャドーイングの発生原因を説明するた
めの波形図である。
【図7】図3の波形(c)の反転時の部分拡大図であ
る。
【符号の説明】
1 信号発生回路(変換回路) 2 データセレクトスイッチ部(変換回路) 3 クロック信号 4 交流化信号 5 指示信号 6 表示データ 7 新規表示データ

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】クロック信号に基づいて選択した走査電極
    に走査電圧を順次印加すると共に、クロック信号に同期
    して信号電極に表示データに応じた信号電圧を印加し、
    かつ、走査電圧の電圧レベルおよび信号電圧の電圧レベ
    ルを所定の周期で反転させることにより液晶表示素子に
    表示データを表示する液晶表示素子の駆動装置におい
    て、 信号電圧の電圧レベルの反転時から、少なくとも非選択
    状態の走査電極に印加される電圧の波形歪みがなくなる
    までの所定の期間、すべての信号電極の信号電圧を一定
    に揃えるように表示データのすべてのビットを0または
    1に揃える表示データの変換手段が設けられていること
    を特徴とする液晶表示素子の駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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