JP2937084B2 - ゴルフボール用金型の製造方法 - Google Patents

ゴルフボール用金型の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、赤道面にディンプ
ルを有するゴルフボールを成形するためのゴルフボール
用金型の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】通常、
ゴルフボールを成形する金型は、互いに分離可能に接合
される複数の割金型から構成され、これら割金型を接合
することにより内部に形成されたキャビティにゴルフボ
ール成形用材料を供給して、ゴルフボールを製造するも
のであるが、この場合上記割金型の分割部(パーティン
グライン)は、金型製作の簡略化のため、凹凸を有さな
い直線状とされ、赤道線と一致するものである。このよ
うな金型の製造方法としては、例えば特開平4−849
78号公報に記載された方法が知られている。
【0003】このような金型により成形されたゴルフボ
ールは、上記パーティングラインに対応する赤道線には
ディンプルが形成されず、若干幅広の大円線が形成され
たものになる。
【0004】しかし、かかる赤道線に幅広の大円線を有
するゴルフボールは、ショット箇所による飛び性能にバ
ラツキがあり、このため赤道線上の幅広大円線をなくす
と共に、赤道線上にディンプルを有するゴルフボールが
望まれる。
【0005】このようなゴルフボールを成形するための
金型を製造する方法としては、従来、切削により割金型
のパーティングラインを凹凸状に形成する方法(特開昭
62−47379号公報)、更に割金型の分割面に半円
状溝を径方向に沿って形成し、この溝に先端面がディン
プル形成用凸部をなす円柱状部材(ピン)を嵌め込む方
法(特開昭61−173907号公報)が知られてい
る。
【0006】しかし、前者の方法は、割金型の分割面を
全体的に加工する方法であり、金型の製造が非常に面倒
であった。また、後者の方法は、割金型の分割面への加
工が溝形成だけであるため、前者の方法より面倒さは少
ないものの、この方法も金型製造に面倒さを伴うことは
同じであり、量産性に欠けるものであった。また、この
方法は、ピンの取り付けにより、強度の点で不十分さが
あった。
【0007】本発明は、上記事情に鑑みなされたもの
で、赤道線上にディンプルを有するゴルフボールを成形
する金型を簡単にかつ安価に量産することができるゴル
フボール用金型の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するため、パーティングラインが凹凸を有し、かつ赤
道線上にディンプル形成用凸部を設けた複数の割型を分
離可能に接合することにより内部に形成されたキャビテ
ィ内にゴルフボール成形用材料を供給して、赤道線上に
ディンプルを有するゴルフボールを成形するゴルフボー
ル用金型を形成する方法において、パーティングライン
が凹凸を有し、かつ赤道線上にディンプル形成用凸部を
設けた割金型のキャビティ面を覆って液状ゴム組成物を
コーティングし、これを硬化させることにより、この硬
化物からなるマスター型を成形し、次いでこのマスター
型の上記キャビティ面と対向する面を複製した電鋳型を
作製することを特徴とするゴルフボール用金型の製造方
法を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明によれば、パーティングラ
インが凹凸を有し、かつこの赤道線上にディンプル形成
用凸部を設けた、それ自体ゴルフボールを成形し得る割
金型を原型とするもので、これは上述した特開昭62−
47379号公報、特開昭61−173907号公報等
の方法により得られた割金型を原型とすることができる
が、この場合、これらの方法は上述したように面倒であ
るとしても、これらの方法によって得られる金型を量産
してゴルフボール成形に使用するものではなく、原型と
して使用するものであるから、上記不利は問題とならな
いものである。
【0010】また、かかる原型のキャビティ面を覆って
シリコーンゴム組成物等の液状ゴム組成物をコーティン
グし、硬化させたものをマスター型とし、これを電鋳法
により複製したものをゴルフボール成形用の金型とする
ので、上記のようにパーティングラインが凹凸を有し、
かつ赤道線上にディンプル形成用凸部が設けられた、パ
ーティングライン近傍が複雑な割金型であっても、かか
るパーティングライン近傍の形状を簡単に複製、再現し
得、同一の金型を簡単かつ確実に量産し得るものであ
る。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例につき図面を参照し
て説明する。
【0012】図1〜3は、それぞれ原型となる割金型1
の例を示すもので、この割金型1は、半球状凹部2が形
成され、この凹部面がキャビティ面3をなしていると共
に、このキャビティ面3上にはディンプル形成用凸部4
が形成されているものである。なお、図中Aは赤道線を
示す。ここで、図1の割金型1は、特開昭61−173
907号公報に記載の方法によって得ることができ、そ
のパーティングライン5における分割面6には、互いに
等間隔ずつ離間して複数個(図面では6個)の半円柱状
溝7が径方向に沿って形成されていると共に、先端面が
ディンプル形成用凸部4をなす円柱状のピン8が上記溝
7に1つ置きに固定されているものである。また、図
2,3はそれぞれ分割面6を凹凸状に加工したもので、
その凸部9の内面にそれぞれディンプル形成用凸部4が
形成されたものである。
【0013】従って、上記割金型1は、いずれもパーテ
ィングライン5が凹凸を有し、また、赤道線A上にディ
ンプル形成用凸部4が設けられたものである。
【0014】図4は、上記割金型1(原型)からマスタ
ー型10を成形する方法を示すものである。なお、図4
の割金型1は図1の割金型を示すが、図2,3の割金型
を用いた場合も以下の説明は妥当する。
【0015】このマスター型10を成形する場合は、割
金型1を筒体11内に収容した状態で液状ゴム組成物を
キャビティ面3を覆ってコーティングし、これを硬化し
てゴム硬化物12を形成するものである。ここで、液状
ゴム組成物としては、この種のマスター型を形成するた
めの公知のゴム組成物、典型的にはシリコーンゴム組成
物が用いられる。
【0016】このような方法で得られたマスター型10
は、外面が半球状面をなし、上記割金型1のキャビティ
面3の形状が反転複製されたものであり、上記ディンプ
ル形成用凸部4に対応した凹部4’が形成されており、
上記分割面6の形状が反転されたものである。
【0017】図5は、この反転型(マスター型10)を
取り出し、補強体13を取り付けた状態を示す。このマ
スター型10の半球状外面に金属薄膜を真空蒸着等の方
法によって形成し、その後、このように金属薄膜が形成
されることにより導電性が付与されたマスター型10
は、常法によりニッケル等の電鋳14を行い、次いで外
周及び底部加工を行った後、マスター型10をはずすこ
とにより、図6に示したような割金型15が得られるも
ので、この割金型15は上記割金型1のキャビティ面3
の形状が精密に写し取られたものである。
【0018】なお、このようにして複製された割金型1
5は、ゴルフボール用金型を構成する一方の割金型であ
るが、他方の割金型も上記と同様に製造することができ
る。
【0019】従って、上記の方法によれば、最初の原型
である割金型1を少数製造すれば、これを精密に複製し
た割金型15、即ち、パーティングラインが凹凸を有
し、かつ赤道線上にディンプル形成用凸部を設けた複雑
な形状の割金型を簡単かつ確実に、しかも安価に量産、
製造し得るものである。それ故、かかる金型を用いるこ
とで、赤道線上にディンプルを有し、このためディンプ
ル配置上の制限もなく、飛び性能がショット箇所によら
ず均一なゴルフボールをコスト的に有利に成形すること
ができる。図7乃至図13は、上記のような方法で得ら
れた金型を用いて成形したゴルフボールの数例を示すも
のである。
【0020】
【発明の効果】本発明によれば、赤道線上にディンプル
を有するゴルフボールを成形する金型を簡単かつ安価に
量産することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】原型となる割金型の一例を示し(A)は側面断
面端面図、(B)は平面図である。
【図2】原型となる割金型の他の例を示し(A)は側面
断面端面図、(B)は側面端面図である。
【図3】原型となる割金型の別の例を示し(A)は側面
断面端面図、(B)は側面端面図である。
【図4】割金型からマスター型を成形した状態の側面断
面図である。
【図5】マスター型に補強体を取り付けた状態の側面断
面図である。
【図6】得られた割金型の側面断面端面図である。
【図7】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を用
いて成形されたゴルフボールの第1の例を示す正面図で
ある。
【図8】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を用
いて成形されたゴルフボールの第2の例を示す正面図で
ある。
【図9】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を用
いて成形されたゴルフボールの第3の例を示す正面図で
ある。
【図10】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を
用いて成形されたゴルフボールの第4の例を示す正面図
である。
【図11】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を
用いて成形されたゴルフボールの第5の例を示す正面図
である。
【図12】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を
用いて成形されたゴルフボールの第6の例を示す正面図
である。
【図13】本発明で得られたゴルフボール成形用金型を
用いて成形されたゴルフボールの第7の例を示す正面図
である。
【符号の説明】
1 割金型 2 半球状凹部 3 キャビティ面 4 ディンプル形成用凸部 4’凹部 5 パーティングライン 6 分割面 7 溝 8 ピン 9 凸部 10 マスター型 11 筒体 12 ゴム硬化物 13 補強体 14 電鋳 15 割金型 A 赤道線
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 笠嶋 厚紀 埼玉県秩父市大野原20番地 ブリヂスト ンスポーツ株式会社内 (56)参考文献 特開 昭61−173907(JP,A) 特開 平4−84978(JP,A) 特開 平4−218689(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B29C 33/00 - 33/76

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パーティングライン(5)が凹凸を有
    し、かつ赤道線(A)上にディンプル形成用凸部(4)
    を設けた複数の割型(1)を分離可能に接合することに
    より内部に形成されたキャビティ内にゴルフボール成形
    用材料を供給して、赤道線上にディンプルを有するゴル
    フボールを成形するゴルフボール用金型を形成する方法
    において、パーティングライン(5)が凹凸を有し、か
    つ赤道線(A)上にディンプル形成用凸部(4)を設け
    た割金型(1)のキャビティ面(3)を覆って液状ゴム
    組成物をコーティングし、これを硬化させることによ
    り、この硬化物からなるマスター型(10)を成形し、
    次いでこのマスター型(10)の上記キャビティ面
    (3)と対向する面を複製した電鋳型を作製することを
    特徴とするゴルフボール用金型の製造方法。
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