JP2936983B2 - 摩擦車式無段変速型トランスアクスル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、摩擦車式無段変速型ト
ランスアクスルの、車両への搭載性に関する改良提案に
係わる。

【０００２】

【従来の技術】摩擦車式無段変速機は通常、例えば実開
平１−１７３５５２号公報に記載の如く、主軸上に対向
配置した入出力ディスクと、これら入出力ディスク間で
摩擦係合により動力の受渡しを行うよう、該入出力ディ
スクの回転軸線周りに配置された２個の摩擦車と、各摩
擦車を回転自在に支持した摩擦車支持部材を個々に、変
速用に、摩擦車の回転軸線と直交する首振り軸線方向へ
同期してストロークさせるためのピストンとからなる無
段変速ユニットを、変速機ケース内に収納して構成され
る。

【０００３】ところで、かかる摩擦車式無段変速機を、
エンジン横置き式前輪駆動車等に用いる場合、通常のマ
ニュアルトランスアクスルやオートマチックトランスア
クスルと同じように、上記の無段変速ユニットと、出力
ディスクからの回転を入力されて車輪を駆動するよう前
記主軸に平行な軸線上に配置されたディファレンシャル
ギヤ装置とを、変速機ケース内に、単一ユニットとなる
よう収納して、所謂摩擦車式無段変速型トランスアクス
ルとなす。

【０００４】そして、この摩擦車式無段変速型トランス
アクスルを車両に搭載するに際しては、通常のマニュア
ルトランスアクスルやオートマチックトランスアクスル
と同じように、例えば、日産自動車新型車解説書Ｆ０１
０６４０「ＮＩＳＳＡＮサニーＮＸクーペＢ１３型車」
第Ｂ−１７１頁〜第Ｂ−１７７頁に記載の考え方を採用
して、エンジンをその軸線が摩擦車伝動ユニットの主軸
と同軸となるようタンデム配置した状態で結合し、この
結合体を車両のエンジンルーム内に横置きにし、エンジ
ンの３箇所と、摩擦車式無段変速型トランスアクスルの
１箇所とを、エンジンマウントにより車体に取り付ける
のが常套である。

【０００５】この場合の搭載レイアウトを図４に示す。
図中ａが変速機ケース、ｂが主軸、ｃが、主軸ｂ上に対
向配置した図示せざる入出力ディスク間で摩擦係合によ
り動力の受渡しを行う摩擦車、ｄがこれら摩擦車を個々
に回転自在に支持する摩擦車支持部材、ｅがこれら摩擦
車支持部材をストロークさせて変速を行うためのピスト
ンである。変速機ケースａ内には、これらにより構成さ
れる無段変速ユニットの他に更に、出力ディスクからの
回転を伝達する歯車組ｆと、この歯車組により駆動され
て車輪（前輪）を回転させるためのディファレンシャル
ギヤ装置ｈとを収納する。かかる摩擦車式無段変速型ト
ランスアクスルは、エンジンルーム内に横置きにして、
変速機ケースａの車両前方側における上部をエンジンマ
ウントｉにより車体に取り付ける。かかるエンジンマウ
ントｉの位置は、車両の設計上ディファレンシャルギヤ
装置ｈが変速機ケースａの車両後方側における下部に位
置することから、必然的にエンジンマウントｉが変速機
ケースａの車両前方側になるためと、エンジンが駆動力
によって発生するロール振動を、車体に伝達し難くする
上で、エンジンマウントｉと主軸ｂとの間の距離を最短
にする必要があることから選択されるものである。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上記に代表さ
れる従来の摩擦車式無段変速ユニットを用いた、摩擦車
式無段変速型トランスアクスルにあっては、主軸ｂを挟
んでその両側に摩擦車支持部材ｄが立設されており、こ
れを挟んで主軸ｂから遠い変速機ケースａの外側にエン
ジンマウントｉを設置せざるを得ず、主軸ｂとエンジン
マウントｉとの間の間隔が大きくなるのを免れなかっ
た。従って、エンジンマウントｉがエンジン振動を十分
に遮断することができず、車両の商品価値を低下させる
ことが懸念される。

【０００７】更に従来の摩擦車式無段変速ユニットを用
いた摩擦車式無段変速型トランスアクスルにあっては、
ピストンｅが何れも変速機ケースａの下部に、摩擦車支
持部材ｄと同軸となるよう配置されているため、これと
の干渉を避けて配置することになるディファレンシャル
ギヤ装置ｈが、他のマニュアルトランスアクスル搭載車
やオートマチックトランスアクスル搭載車のディファレ
ンシャルギヤ装置と同じ仕様であり得ず、別の設計に基
づく専用のディファレンシャルギヤ装置を準備する必要
が生じて、不経済であった。

【０００８】本発明は、摩擦車式無段変速型トランスア
クスルを、かかる搭載性に関する問題が生ずることのな
いよう改良することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】この目的のため第１発明
は、エンジンと同軸の主軸上に対向させて配置した入出
力ディスクと、これら入出力ディスク間で摩擦係合によ
り動力の受渡しを行うよう、該入出力ディスクの回転軸
線周りに配置された２個の摩擦車と、各摩擦車を回転自
在に支持した摩擦車支持部材を個々に、変速用に、摩擦
車の回転軸線と直交する首振り軸線方向へ同期してスト
ロークさせるためのピストンとよりなる無段変速ユニッ
ト、および前記出力ディスクからの回転を入力されて車
輪を駆動するよう、前記主軸に平行な軸線上に配置され
たディファレンシャルギヤ装置を、変速機ケース内に、
単一ユニットとなるよう収納し、該変速機ケースを車両
のエンジンルーム内に横置きにして、エンジンマウント
により車体に取り付けた摩擦車式無段変速型トランスア
クスルにおいて、前記２個の摩擦車および摩擦車支持部
材を、首振り軸線が車体前後方向へ延在するよう上下に
配置し、上方の摩擦車および摩擦車支持部材に係わるピ
ストンを、該摩擦車支持部材の後方に配置し、下方の摩
擦車および摩擦車支持部材に係わるピストンを、該摩擦
車支持部材の前方に配置し、上方の摩擦車支持部材の前
方に前記エンジンマウントを配置し、下方の摩擦車支持
部材の後方に前記ディファレンシャルギヤ装置の軸線を
配置したものである。

【００１０】また第２発明は、上記の第１発明におい
て、上記ピストンをストローク制御する変速制御用のコ
ントロールバルブを、下方の摩擦車支持部材の下側に配
置したものである。

【００１１】

【作用】第１発明において、２個の摩擦車は入出力ディ
スク間で摩擦係合により動力の受渡しを行う。また、各
摩擦車を回転自在に支持した摩擦車支持部材を個々に、
ピストンで摩擦車の回転軸線と直交する首振り軸線方向
へストロークさせると、摩擦車は首振りを生起されて入
出力ディスク間の伝動比を無段階に変化させることがで
きる。出力ディスクからの回転は、ディファレンシャル
ギヤ装置を経て車輪に伝達され、これら車輪を駆動す
る。

【００１２】ところで、上記の摩擦車式無段変速型トラ
ンスアクスルを、その主軸に同軸配置して結合したエン
ジンと共に、エンジンルーム内に横置きにして、エンジ
ンマウントにより車体に取り付けるに際し、上記２個の
摩擦車および摩擦車支持部材を、首振り軸線が車体前後
方向へ延在するよう上下に配置し、上方の摩擦車および
摩擦車支持部材に係わるピストンを、該摩擦車支持部材
の後方に配置し、該摩擦車支持部材の前方にトランスア
クスル用のエンジンマウントを配置したから、このエン
ジンマウントおよびエンジン軸線間の間隔を、摩擦車お
よび摩擦車支持部材に妨げられることなく小さくするこ
とができ、エンジン振動の遮断効果を大いに高めること
ができる。

【００１３】また、下方の摩擦車および摩擦車支持部材
に係わるピストンを、該摩擦車支持部材の前方に配置
し、該摩擦車支持部材の後方に上記のディファレンシャ
ルギヤ装置の軸線を配置したから、ディファレンシャル
ギヤ装置の仕様がピストンによって制約を受けることが
なくなり、他のマニュアルトランスアクスル搭載車やオ
ートマチックトランスアクスル搭載車のディファレンシ
ャルギヤ装置と同じ仕様にすることができ、別の設計に
基づく専用のディファレンシャルギヤ装置を準備する必
要がないため、大いに経済的である。

【００１４】なお第２発明は、上記の第１発明におい
て、上記両ピストンをストローク制御する変速制御用の
コントロールバルブを、下方の摩擦車支持部材の下側に
配置したから、従来のようにコントロールバルブとピス
トンとが積層されるようなことがないため、その分コン
トロールバルブを上方に配置することができることとな
って、車両の最低地上高をかせぐことができる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図１乃至図３は、本発明による摩擦車式無段
変速型トランスアクスルの一実施例を示し、１は変速機
ケース、２はその前端開口に合体させたコンバータハウ
ジング、３は後端開口に合体させたリヤカバーである。

【００１６】図１に明示するように変速機ケース１内
に、その中央に配して孔空き中間壁１ａを一体成形し、
この中間壁１ａを挟んで前方の変速機ケース内に前後進
切換え歯車装置４を、また後方の変速機ケース内に摩擦
車式の無段変速ユニット５を、それぞれ収納する。な
お、コンバータハウジング２内にはトルクコンバータ６
を収納する。

【００１７】前後進切換え歯車装置４は、中心に入力軸
７を具え、無段変速ユニット５は、中心に主軸８を具え
る。これら入力軸７および主軸８は、隣接端を同軸、相
対回転可能に嵌合し、主軸８を中間壁１ａ上のラジアル
兼スラスト軸受９、およびリヤカバー３上のラジアルニ
ードルベアリング１０により、変速機ケース１内に回転
自在に支持し、入力軸７を主軸８との嵌合部において、
および変速機ケース１に結合した中空固定軸１１内にお
いて、回転自在に支持する。なお入力軸７は、トルクコ
ンバータ６を介して図示せざるエンジンに駆動結合し、
このエンジンおよび本例のトランスアクスルは、エンジ
ンルーム内に横置きにして、エンジンマウント（詳しく
は後述するが、図３にトランスアクスル用の１個のエン
ジンマウントのみを４５で示す）により取り付ける。

【００１８】前後進切換え歯車装置４は、単純遊星歯車
組１２、前進クラッチ１３、および後進ブレーキ１４よ
りなる周知のもので、前進クラッチ１３の締結により入
力軸７の回転をそのまま主軸８に伝達し、後進ブレーキ
１４の締結により入力軸７の回転を逆転させて主軸８に
伝達するものとする。

【００１９】摩擦車式無段変速ユニット５はトロイダル
型無段変速ユニットとし、主軸８上に同軸に対向させて
回転自在に支持した入出力コーンディスク１５，１６を
具え、これら入出力コーンディスク間で摩擦係合により
動力伝達を行うよう、該入出力コーンディスクの回転軸
線Ｏ₁ の周りに等間隔に配置した２個のパワーローラ
（摩擦車）１７，１８を有する。

【００２０】パワーローラ１７，１８は図３に明示する
ように上下に配置すると共に、個々のトラニオン（摩擦
車支持部材）１９，２０に回転自在に支持し、これらト
ラニオンを同図に示すように、パワーローラ回転軸線Ｏ
₂ と直交する首振り軸線Ｏ₃の方向、つまり車体前後方
向に延在させる。そして、トラニオン１９，２０の隣合
った一端同士をリンク２１により、またトラニオン１
９，２０の隣合った他端同士をリンク２２により、ボー
ルジョイント２３を介して、回転自在および傾動自在に
連結する。

【００２１】リンク２１，２２は中央に角孔２１ａ，２
２ａを有し、これに共通なリンクサポート２４を挿通し
た状態で、リンク２１，２２の中央をピン２５，２６に
よりリンクサポート２４に枢支する。そして、リンクサ
ポート２４は図３に示す如く変速機ケース１の軸線Ｏ₁
に対し軸直角のまま、変速機ケース１の後端開口より挿
入し得る大きさとし、この挿入状態でリンクサポート２
４の４隅角をボルト２７により変速機ケース１に取着す
る。かくて、リンク２１，２２は変速機ケース１に間接
的に中央を回動自在に枢支されることとなり、この回動
を介してトラニオン１９，２０の首振り軸線Ｏ₃ 方向へ
のストロークを同期させる用をなす。なお、リンクサポ
ート２４は更に中央に、主軸８を挿通させるための丸孔
２４ａを有する。

【００２２】更に図３に明示するように、上方のトラニ
オン１９には、車体後方の端部にピストン２８を同軸に
突き合わせて結合し、下方のトラニオン２０には、車体
前方の端部にピストン２９を同軸に突き合わせて結合
し、これらの突き合わせ結合を変速機ケース１の内側で
行わせると共に、該突き合わせ結合状態をボルト３０，
３１により保持する。なおピストン２８，２９は、変速
機ケース１の外側に開口させてこれに一体成形したシリ
ンダ３２，３３内に摺動自在に嵌合する。

【００２３】図１に示すように、ラジアル兼スラスト軸
受９は主軸８の段差部８ａにより抜け止めすると共に、
ボルト３４により中間壁１ａに結合し、このラジアル兼
スラスト軸受９と出力コーンディスク１６との間に出力
歯車３５を介在させる。この出力歯車３５は出力コーン
ディスク１６にスプライン結合して、主軸８上に回転自
在に支持する。そして、前記のリンクサポート２４は、
当然入出力コーンディスク１５，１６間に介装する。

【００２４】出力コーンディスク１６から遠い入力コー
ンディスク１５の側に、ローディングカム３６を配置
し、このローディングカムをドライブプレート３７によ
り主軸８に駆動結合する。ドライブプレート３７は主軸
８にねじ込んだローディングナット３８で抜け止めし、
これにより無段変速ユニット５を、段差部８ａおよびロ
ーディングナット３８間で軸線方向に締め上げて、予備
組み立てし得るようにする。

【００２５】出力歯車３５に噛合するカウンター歯車３
９を第１カウンターシャフト４０に設け、このカウンタ
ーシャフトには更にカウンター歯車４１を一体に成形す
る。図２および図３に示す如く、歯車４１に噛合する歯
車４２およびこれに同軸の歯車４３を第２カウンターシ
ャフト４４に一体回転可能に設け、歯車４３にディファ
レンシャルギヤ装置４５のドライブリングギヤ４６を噛
合させる。カウンターシャフト４０，４４およびディフ
ァレンシャルギヤ装置４５は夫々、軸線が主軸８に平行
に延在するよう配置して、図２に明示する如く変速機ケ
ース１およびコンバータハウジング２間に回転自在に軸
承する。

【００２６】以上の摩擦車式無段変速型トランスアクス
ルは、図３に示すようにピストン２８から遠いトラニオ
ン１９の車体前方側端部近くにおいて、つまり変速機ケ
ース１の車両前方側上部において、エンジンマウント４
７により車体４８に搭載し、実用に供する。また、ドラ
イブリングギヤ４６およびディファレンシャルギヤ装置
４５は、回転軸線がピストン２９から遠いトラニオン２
０の車体後方側端部近くにおいて、つまり変速機ケース
１の車両後方側下部において、主軸８と平行な方向に延
在するよう配置する。

【００２７】ピストン２８，２９は図３に示すコントロ
ールバルブ４９により周知の如くにストロークさせて変
速制御を行うが、本例においてはこのコントロールバル
ブ４９を同図に示す如く、下方のトラニオン２０の下側
に配置する。

【００２８】上記実施例の作用を次に説明する。図１に
おいて、トルクコンバータ６を経て入力軸７に伝達され
た回転は、前後進切換え歯車装置４により、そのまま又
は逆転されて主軸８に至る。主軸８の回転は、ドライブ
プレート３７およびローディングカム３６を経て入力コ
ーンディスク１５に伝達され、その後回転は、入力コー
ンディスク１５からパワーローラ１７，１８の軸線Ｏ₂
周りの回転を介して出力コーンディスク１６に達する。
ここで、ローディングカム３６は伝達トルクに応じたス
ラストを生起して、入力コーンディスク１５を出力コー
ンディスク１６に向け付勢し、これら入出力コーンディ
スクとパワーローラ１７，１８との間の摩擦係合を確実
にして、上記の伝動を可能ならしめる。そして出力コー
ンディスク１６の回転は、図２および図３に示す順次の
歯車３５，３９，４１，４２，４３，４６を経てディフ
ァレンシャルギヤ装置４５に伝達され、このディファレ
ンシャルギヤ装置により車輪（前輪）を回転駆動するこ
とができる。

【００２９】次に変速制御を説明するに、図３において
コントロールバルブ４９でストローク制御されるピスト
ン２８，２９によりトラニオン１９，２０を首振り軸線
Ｏ₃の方向に、同期して同位相でストロークさせると、
パワーローラ１７，１８がコーンディスク回転軸線Ｏ₁
からオフセットされて軸線Ｏ₃ の周りに分力を受け、当
該軸線周りに首振り回動される。これによりパワーロー
ラ１７，１８は入出力コーンディスク１５，１６に対す
る摩擦係合円径を連続的に変化され、入出力コーンディ
スク間の伝動比、つまり変速比を無段階に変化させるこ
とができる。そして、変速比が所定比に向かうにつれ周
知のフィードバック制御によりコントロールバルブ４９
は、ピストン２８，２９を原位置に戻し、トラニオン１
９，２０を介しパワーローラ１７，１８を、コーンディ
スク回転軸線Ｏ₁ からのオフセットが０となるようなス
トローク位置に復帰せしめ、当該所定変速比を保つ。

【００３０】ところで、上記実施例による摩擦車式無段
変速型トランスアクスルは、その主軸８に同軸配置して
結合したエンジンと共に、エンジンルーム内に横置きに
して、エンジンマウント４７により車体４８に取り付け
るに際し、２個の摩擦車１７，１８および摩擦車支持部
材１９，２０を図３に示す如く、首振り軸線Ｏ₃ が車体
前後方向へ延在するよう上下に配置し、上方の摩擦車１
７および摩擦車支持部材１９に係わるピストン２８を、
該摩擦車支持部材１９の後方に配置し、該摩擦車支持部
材１９の前方にトランスアクスル用のエンジンマウント
４７を配置したから、このエンジンマウント４７および
エンジン軸線Ｏ₁ 間の間隔を、摩擦車１７，１８および
摩擦車支持部材１９，２０に妨げられることなく小さく
することができ、エンジン振動の遮断効果を大いに高め
ることができる。

【００３１】また、下方の摩擦車１８および摩擦車支持
部材２０に係わるピストン２９を、該摩擦車支持部材２
０の前方に配置し、該摩擦車支持部材２０の後方にドラ
イブリンギギヤ４６およびディファレンシャルギヤ装置
４５の軸線を配置したから、ディファレンシャルギヤ装
置４５の仕様がピストン２９によって制約を受けること
がなくなり、他のマニュアルトランスアクスル搭載車や
オートマチックトランスアクスル搭載車のディファレン
シャルギヤ装置と同じ仕様にすることができ、別の設計
に基づく専用のディファレンシャルギヤ装置を準備する
必要がないため、大いに経済的である。

【００３２】更に、上記両ピストン２８，２９をストロ
ーク制御する変速制御用のコントロールバルブ４９を、
下方の摩擦車支持部材２０の下側に配置したから、従来
のようにコントロールバルブとピストンとが積層される
ことがないため、その分コントロールバルブ４９を上方
に配置することができることとなって、最低地上高をか
せぐことができる。

【００３３】

【発明の効果】かくして第１発明の車体に横置きして搭
載する摩擦車式無段変速型トランスアクスルは、請求項
１に記載の如く、２個の摩擦車および摩擦車支持部材
を、首振り軸線が車体前後方向へ延在するよう上下に配
置し、上方の摩擦車および摩擦車支持部材に係わるピス
トンを、該摩擦車支持部材の後方に配置し、該摩擦車支
持部材の前方にトランスアクスル用のエンジンマウント
を配置したから、このエンジンマウントおよびエンジン
軸線間の間隔を、摩擦車および摩擦車支持部材に妨げら
れることなく小さくすることができ、エンジン振動の遮
断効果を大いに高めることができる。

【００３４】また、下方の摩擦車および摩擦車支持部材
に係わるピストンを、該摩擦車支持部材の前方に配置
し、該摩擦車支持部材の後方にディファレンシャルギヤ
装置の軸線を配置したから、ディファレンシャルギヤ装
置の仕様がピストンによって制約を受けることがなくな
り、他のマニュアルトランスアクスル搭載車やオートマ
チックトランスアクスル搭載車のディファレンシャルギ
ヤ装置と同じ仕様にすることができ、別の設計に基づく
専用のディファレンシャルギヤ装置を準備する必要がな
いため、大いに経済的である。

【００３５】更に、上記両ピストンをストローク制御す
る変速制御用のコントロールバルブを、下方の摩擦車支
持部材の下側に配置したから、従来のようにコントロー
ルバルブとピストンとが積層されることがなくなり、そ
の分コントロールバルブを上方に配置することができる
こととなって、最低地上高をかせぐことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による摩擦車式無段変速型トランスアク
スルの一実施例を示す、主要部の展開縦断側面図であ
る。

【図２】同トランスアクスルの、主要部からディファレ
ンシャルギヤ装置に至る歯車組を示す展開縦断側面図で
ある。

【図３】同トランスアクスルを車体に搭載した状態で、
また図１のＡ−Ａ線上において断面として示す横断面図
である。

【図４】従来の摩擦車式無段変速型トランスアクスル
を、車体に搭載した状態で示す図３と同様な横断面図で
ある。

【符号の説明】

１ 変速機ケース ２ コンバータハウジング ３ リヤカバー ４ 前後進切換え歯車装置 ５ トロイダル伝動ユニット（無段変速ユニット） ６ トルクコンバータ ７ 入力軸 ８ 主軸 ９ ラジアル兼スラスト軸受 １０ ラジアルニードルベアリング １２ 単純遊星歯車組 １３ 前進クラッチ １４ 後進ブレーキ １５ 入力コーンディスク（入力ディスク) １６ 出力コーンディスク（出力ディスク) １７ パワーローラ（摩擦車) １８ パワーローラ（摩擦車) １９ トラニオン（摩擦車支持部材） ２０ トラニオン（摩擦車支持部材） ２２ リンク ２３ ボールジョイント ２４ リンクサポート ２７ ボルト ２８ ピストン ２９ ピストン ３０ ボルト ３１ ボルト ３２ シリンダ ３３ シリンダ ３４ ボルト ３５ 出力歯車 ３６ ローディングカム ３７ ドラインブプレート ３８ ローディングナット ３９ カウンター歯車 ４０ 第 1カウンターシャフト ４１ カウンター歯車 ４２ 歯車 ４３ 歯車 ４４ 第２カウンターシャフト ４５ ディファレンシャルギヤ装置 ４６ ドライブリングギヤ ４７ エンジンマウント ４８ 車体 ４９ コントロールバルブ

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エンジンと同軸の主軸上に対向させて配
   置した入出力ディスクと、 これら入出力ディスク間で摩擦係合により動力の受渡し
   を行うよう、該入出力ディスクの回転軸線周りに配置さ
   れた２個の摩擦車と、 各摩擦車を回転自在に支持した摩擦車支持部材を個々
   に、変速用に、摩擦車の回転軸線と直交する首振り軸線
   方向へ同期してストロークさせるためのピストンとより
   なる無段変速ユニット、および前記出力ディスクからの
   回転を入力されて車輪を駆動するよう、前記主軸に平行
   な軸線上に配置されたディファレンシャルギヤ装置を、
   変速機ケース内に、単一ユニットとなるよう収納し、 該変速機ケースを車両のエンジンルーム内に横置きにし
   て、エンジンマウントにより車体に取り付けた摩擦車式
   無段変速型トランスアクスルにおいて、 前記２個の摩擦車および摩擦車支持部材を、首振り軸線
   が車体前後方向へ延在するよう上下に配置し、 上方の摩擦車および摩擦車支持部材に係わるピストン
   を、該摩擦車支持部材の後方に配置し、 下方の摩擦車および摩擦車支持部材に係わるピストン
   を、該摩擦車支持部材の前方に配置し、 上方の摩擦車支持部材の前方に前記エンジンマウントを
   配置し、 下方の摩擦車支持部材の後方に前記ディファレンシャル
   ギヤ装置の軸線を配置したことを特徴とする摩擦車式無
   段変速型トランスアクスル。
2. 【請求項２】 請求項１において、前記ピストンをスト
   ローク制御する変速制御用のコントロールバルブを、下
   方の摩擦車支持部材の下側に配置したことを特徴とする
   摩擦車式無段変速型トランスアクスル。