JP2936962B2 - 車両の後輪舵角制御装置 - Google Patents

車両の後輪舵角制御装置

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JP2936962B2 JP15915593A JP15915593A JP2936962B2 JP 2936962 B2 JP2936962 B2 JP 2936962B2 JP 15915593 A JP15915593 A JP 15915593A JP 15915593 A JP15915593 A JP 15915593A JP 2936962 B2 JP2936962 B2 JP 2936962B2
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  • Steering-Linkage Mechanisms And Four-Wheel Steering (AREA)
  • Steering Control In Accordance With Driving Conditions (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両のヨー運動を検出
してフィードバックしつつ、これに基づき後輪舵角を制
御するための後輪舵角制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種ヨーレイトフィードバック式後輪
舵角制御装置としては従来、特開昭57−44568号
公報に記載の如きものが知られている。
【0003】これに代表される従来の後輪舵角制御装置
においては、車両のヨーレイトを検出し、この検出値に
基づき後輪舵角をフィードバック制御するが、このフィ
ードバック制御に当たっては、前輪操舵に対する後輪操
舵の応答遅れを改善する等の目的に照らして、この目的
が達成されるようフィードバック係数を決定していた。
【0004】しかし車両はもともと、ヨーレイト運動を
生ずると、これに伴って横滑り運動が発生するのを免れ
ず、また横滑り運動を生ずると、これに伴ってヨー運動
が発生するのを免れないが、従来はこれらの実情を考慮
してフィードバック係数を決定しておらず、以下の問題
を生じていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】即ち、図6に示す2輪
車両モデルにおいて、車両の運動方程式は次式の如くに
表される。但し、図6においてδf は前輪舵角、δr
後輪舵角、aは前輪・重心点間距離、bは後輪・重心点
間距離、Vは車速、(d/dt)yは横滑り速度、(d
/dt)φはヨーレイトを夫々示す。
【数1】 m〔V(d/dt)φ+(d2 /dt2 )y〕= Cf {δf −〔a(d/dt)φ+(d/dt)y〕/V} +Cr {δr −〔(d/dt)y−b(d/dt)φ〕/V} +F0 ・・・・(1)
【数2】 I(d2 /dt2 )φ= aCf {δf −〔a(d/dt)φ+(d/dt)y〕/V} −bCr {δr −〔(d/dt)y−b(d/dt)φ〕/V} +M0 ・・・・(2) 但し:m ・・・車両質量 Cf ・・・前輪コーナリングパワー Cr ・・・後輪コーナリングパワー I ・・・ヨー慣性モーメント F0 ・・・外乱横力 M0 ・・・外乱モーメント
【0006】上記(1),(2)式から、ヨー運動(d
/dt)φ,(d2 /dt2 )φ、および横滑り運動
(d/dt)y,(d2 /dt2 )y、並びに外乱F
0 ,M0の関係は次式のように書き表すことができる。
【数3】m(d2 /dt2 )y= −〔mV+(aCf −bCr )/V〕(d/dt)φ −〔(Cf +Cr )/V〕(d/dt)y +Cf δf +Cr δr +F0 ・・・(3)
【数4】I(d2 /dt2 )φ= −〔(a2 f −b2 r )/V〕(d/dt)φ〕 −〔(aCf −bCr )/V〕(d/dt)y +aCf δf +bCr δr +M0 ・・・(4)
【0007】これら(3),(4)式により表現される
車両の固有系を模式図により表すと、図7の如くにな
り、この図中Sは微分演算子d/dtである。図7から
明かなように一般の車両においては、ヨーレイト(d/
dt)φが発生すると、ブロックA,B,C,Dのうち
のブロックCが横滑り速度(d/dt)yを生起させ、
横滑り速度(d/dt)yが発生すると、ブロックDが
ヨーレイト(d/dt)φを生起させるという固有系と
なっている。従って、これらヨーレイト(d/dt)φ
および横滑り速度(d/dt)yは、上記のブロック
C,Dで表される関数をもって相互に影響し合う。
【0008】これがため従来のように、かかる車両固有
系を考慮せず、単にヨーレイト(d/dt)φをフィー
ドバックし、これに基づいて後輪舵角δr を決定するの
では、例えば比例定数K1 によって後輪舵角δr をδr
=K1 ・(d/dt)φのように決定する場合について
説明すると、前記(3),(4)式が次の(5),
(6)式のように変化して、以下の問題を生ずる。
【数5】 m(d2 /dt2 )y= −{mV+〔(aCf −bCr )/V〕−Cr 1 }(d/dt)φ −〔(Cf +Cr )/V〕(d/dt)y +Cf δf +F0 ・・・(5)
【数6】 I(d2 /dt2 )φ= −{〔(a2 f −b2 r )/V〕+bCr 1 }(d/dt)φ〕 −〔(aCf −bCr )/V〕(d/dt)y +aCf δf +M0 ・・・(6)
【0009】これら(5),(6)式から明かなよう
に、ヨーレイト(d/dt)φをフィードバックした場
合、図7のブロックAおよびCが変化する。そして、ブ
ロックCが大きくなるよう変化した場合、これを経由し
てヨーレイト(d/dt)φに起因する横滑り速度(d
/dt)yの成分が大きくなり、後輪操舵による所期の
作用効果を十分に奏し得なくなっていた。
【0010】また、ブロックCは、上記のヨーレイトフ
ィードバックにより、(3),(5)式の比較から明ら
かなように〔V+(aCf −bCr )/mV〕から{V
+〔(aCf −bCr )/mV〕−Cr 1 }へと変化
し、定数K1 を大きくすると、ブロックCが負の値にな
ってしまう。この場合、ヨーレイト(d/dt)φが正
に発生した時、横滑り速度(d/dt)yも正に変化
し、これがブロックDを経由して正のヨーモーメントを
車両に生起させることとなり、車両の系を不安定な系に
してしまう。このような状態のもとで車両に外乱モーメ
ントが入ると、車両のヨーレイト(d/dt)φが発散
するといった問題を生ずる。
【0011】本発明は、上記のフィードバック制御に当
り、その制御関数を、上述した問題の原因となっていた
ブロックCの影響が小さくなるようなものに決定するこ
とで、当該問題の解消を図ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】この目的のため本発明の
車両用後輪舵角制御装置は、請求項1に記載の如く、車
両のヨー運動に関する物理量を検出し、該検出された物
理量に基づくフィードバック制御により後輪舵角を決定
するようにした車両の後輪操舵装置において、前記ヨー
運動によって生ずる車両横滑り運動の発生量を決定する
車両固有の影響関数を打ち消すような、前記フィードバ
ック制御のための制御関数を求めるフィードバック関数
演算手段と、該制御関数により得られる値以下のフィー
ドバック係数を用いて、ヨー運動に伴う横滑り運動が最
小となるような後輪舵角を求める後輪舵角演算手段とを
具えた構成に特徴づけられる。
【0013】なお、上記フィードバック係数の限界値は
請求項2に記載の如く、上記制御関数により得られる値
の70%以下にするのが良い。
【0014】なお、ヨー運動に関する検出物理量のフィ
ードバックに当たっては、これをそのままフィードバッ
クする代わりに、請求項3に記載の如く、目標とする車
両モデルに基づく演算によりヨー運動目標値を求める目
標ヨー運動演算手段と、このヨー運動目標値および上記
検出されたヨー運動に関する物理量間の偏差を算出する
ヨー運動偏差算出手段とを付加し、この偏差をフィード
バックして、これに基づき後輪舵角を決定するようにな
すのが良い。
【0015】
【作用】請求項1において後輪操舵装置は、車両のヨー
運動に関する物理量を検出し、これに基づくフィードバ
ック制御により後輪舵角を決定する。
【0016】ところでこの際、フィードバック関数演算
手段は、ヨー運動によって生ずる車両横滑り運動の発生
量を決定する車両固有の影響関数を打ち消すような、フ
ィードバック制御のための制御関数を求め、後輪舵角演
算手段は、この制御関数により得られる値以下のフィー
ドバック係数を用いて、上記の後輪舵角を算出する。
【0017】かようにして算出した後輪舵角は、ヨー運
動に伴う横滑り運動が最小となるようなものであり、ヨ
ー運動および横滑り運動が相互に影響し合う車両固有系
にも係わらず、この影響を最小にして、後輪操舵による
作用効果を狙い通りに達成することができる。
【0018】また、同様の理由から車両の系が不安定な
系になることが決してなく、外乱モーメントの入力時に
ヨーレイトが発散するといった弊害を完全になくすこと
ができる
【0019】なお、上記フィードバック係数の限界値を
請求項2に記載の如く、上記制御関数により得られる値
の70%以下にする場合、一般的なタイヤの路面摩擦係
数変化幅の全域において上記ヨーレイトの発散を防止す
ることができる。
【0020】なお、ヨー運動に関する検出物理量のフィ
ードバックに当たって、これをそのままフィードバック
する代わりに、請求項3に記載の如く、目標ヨー運動演
算手段で目標車両モデルに基づく演算によりヨー運動目
標値を求め、このヨー運動目標値および検出されたヨー
運動に関する物理量間の偏差をヨー運動偏差算出手段に
より算出し、この偏差をフィードバックして、これに基
づき後輪舵角を決定する場合、当該偏差があった時のみ
フィードバック制御がなされることとなり、フィードバ
ック制御とフィードフォワード制御との分離が可能とな
って、外乱に対する車両挙動の抑制と、操舵入力に対す
る高応答とを両立させることができる。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に
説明する。図1は本発明後輪舵角制御装置の一実施例を
示す車両用操舵系のシステム図である。1は左右前輪、
2は左右後輪で、前輪1はステアリングホイール3によ
りステアリングギヤ4を介して主操舵(舵角は、ステア
リングギヤ比をNとした時、θ/N)されると共に、ア
クチュエータ5によりステアリングギヤ4を車幅方向に
変位させることで、δF のように切り増し方向または切
り戻し方向に補助操舵可能とする。また、後輪2はアク
チュエータ6によりδr のように操舵可能とする。
【0022】なお、前輪補助操舵用アクチュエータ5
は、常態で内蔵スプリングにより中立位置に弾支され
て、前輪補助舵角δF を0に保ち、何れか一方のシリン
ダ室に圧力を印加される時、前輪1を対応する方向にδ
F だけ補助操舵するものとする。また、後輪操舵用アク
チュエータ6も、常態で内蔵スプリングにより中立位置
に弾支されて、後輪舵角δr を0に保ち、何れか一方の
シリンダ室に圧力を印加される時、後輪2を対応する方
向にδr だけ操舵するものとする。
【0023】アクチュエータ5,6の各シリンダ室に対
する圧力供給は、夫々の電磁弁7,8によりこれを行
い、これがため該電磁弁7,8に、ポンプ9および分流
弁10よりなる圧力源から液圧回路11,12を接続す
ると共に、共通なドレン回路13を接続する。
【0024】電磁弁7は3位置弁とし、ソレノイド7
L,7Rを共にOFFする常態でアクチュエータ5の両
側シリンダ室を回路13よりドレンして前輪補助舵角δ
F を0にし、ソレノイド7LをONする時その通電量に
応じた圧力を回路11からアクチュエータ5の対応する
シリンダ室に供給して該アクチュエータ5を対応する方
向に対応距離だけストロークさせ、これにより前輪1を
左に対応舵角だけ補助操舵し、ソレノイド7RをONす
る時その通電量に応じた圧力をアクチュエータ5の対応
するシリンダ室に供給して該アクチュエータ5を対応す
る方向に対応距離だけストロークさせ、これにより前輪
1を右に対応舵角だけ補助操舵するものとする。
【0025】電磁弁8も3位置弁とし、ソレノイド8
L,8Rを共にOFFする常態でアクチュエータ6の両
側シリンダ室を回路13よりドレンして後輪舵角δr
0にし、ソレノイド8LをONする時その通電量に応じ
た圧力を回路12からアクチュエータ6の対応するシリ
ンダ室に供給して該アクチュエータ6を対応する方向に
対応距離だけストロークさせ、これにより後輪2を左に
対応舵角だけ操舵し、ソレノイド8RをONする時その
通電量に応じた圧力をアクチュエータ6の対応するシリ
ンダ室に供給して該アクチュエータ6を対応する方向に
対応距離だけストロークさせ、これにより後輪2を右に
対応舵角だけ操舵するものとする。
【0026】電磁弁ソレノイド7L,7R,8L,8R
のON,OFFおよび通電量、つまり前輪補助舵角およ
び後輪舵角はコントローラ14によってこれらを行い、
これがためコントローラ14には、ステアリングホイー
ル3の操舵角θを検出する操舵角センサ15からの信
号、および車速Vを検出する車速センサ16からの信号
を入力し、その他にヨーレイト(d/dt)φを検出す
るヨーレイトセンサ17からの信号、およびアクチュエ
ータ6のストローク、つまり実際の後輪舵角を検出する
ストロークセンサ18からの信号を入力する。
【0027】コントローラ14はこれら入力情報を基
に、前輪補助舵角δF および後輪舵角δr を演算し、こ
れら演算舵角が達成されるよう電磁弁7,8のソレノイ
ド7L,7R,8L,8RをON、OFF制御および通
電量制御して、アクチュエータ5,6をストロークさせ
る。但し、後輪2の舵角制御に当たっては、ストローク
センサ18で検出した実舵角と演算舵角δr との偏差が
0となるように電磁弁8の制御を実行するものとする。
【0028】ここで、前輪補助舵角δF は周知のよう
に、次式により決定することとし、
【数7】 δF =Kf ・θ+Tf ・(d/dt)θ・・・(7) 但し、Kf :車速Vに応じた比例定数 Tf :車速Vに応じた微分定数 その目的は、操舵量θが小さく、操舵速度(d/dt)
θが速い操舵過渡期においては、上式中の微分項Tf
(d/dt)θを効かして応答性を高め、操舵量θが大
きく、操舵速度(d/dt)θが遅い保舵期において
は、上式中の比例項Kf ・θを効かして安定性を高める
ことにある。
【0029】この意味合いにおいて、後輪舵角δR も同
様な考え方に基づき、
【数8】 δR =Kr ・θ+Tr ・(d/dt)θ・・・(8) 但し、Kr :車速Vに応じた比例定数 Tr :車速Vに応じた微分定数 により決定するところながら、本例においてはセンサ1
7で検出したヨーレイト(d/dt)φをフィードバッ
クし、これをも考慮した次式により表される後輪舵角δ
r を採用することとする。
【数9】 δr =Kr ・θ+Tr ・(d/dt)θ+K・(d/dt)φ・・・(9) 但し、K:フィードバック係数 (単純な比例定数でも良いし、動特性を持たせても良
い)
【0030】かかる後輪舵角δr の演算および出力に当
たっては、図2の制御プログラムを実行してこれを行
う。即ち、先ず車速Vおよび操舵角θを読み込み、次い
で制御定数Kr ,Tr ,Kを演算し、ヨーレイト(d/
dt)φを読み込む。そして、上記(9)式の演算によ
り後輪舵角δr を求め、これを電磁弁8に指令する。
【0031】上述した前輪補助舵角制御および後輪舵角
制御による車両の操舵系統を図面に表すと図3の如くに
なり、この図3において1点鎖線で囲んだ部分は、図7
に示したと同じ車両の固有系である。また、この図にお
いてAf は前記(7)式における前輪補助操舵の制御関
数、Ar は前記(8)式における後輪操舵の制御関数を
示し、また制御関数Af をバイパスするθ/Nはステア
リングギヤ4による前輪主舵角を示す。前輪舵角δf
主舵角θ/Nと補助舵角δF との和値で表され、後輪舵
角δr はδR とフィードバック係数Kを経由したK・
(d/dt)φとの和値で表される。
【0032】ところで本例においては、フィードバック
係数Kを以下の如くに決定する。ヨーレイト(d/d
t)φをフィードバックしてこれに基づき後輪舵角δr
を制御するに際し、前記した問題を解消するという本発
明の目的に照らして、図3のブロックCをできるだけ小
さくし、好ましくは0にする必要がある。ここで、ブロ
ックCを0にするための臨界値KOPを求めるに、この臨
界値は(5)式におけるヨーレイト(d/dt)φの係
数{mV+〔(aCf −bCr )/V〕−Cr 1 }を
0にする値に相当し、従って、臨界値KOPは次式で表さ
れる。
【数10】 KOP={mV+〔(aCf −bCr )/V〕}1/Cr ・・・(10)
【0033】この時のブロックAは、ホイールベースa
+bをLと置くと、
【数11】 A=(aLCf /VI)+(bmV/I)・・・(11) となり、ヨーレイト(d/dt)φのフィードバックを
かけない車両よりも大きい。ちなみに、このような車両
に外乱モーメントM0 が入力された時の応答は、
【数12】 (d/dt)φ=(1/I){(1/A)/〔1+(1/A)S〕}M0 ・・・(12) で表される1次遅れ系となり、振動しない。
【0034】基本的には、フィードバック係数Kを上記
の臨界値KOPに決定するのが理論上の最適値で、この場
合ヨーレイト(d/dt)φによって生ずる車両横滑り
速度yの発生量を決定する車両固有の影響関数、つまり
ブロックCによる影響を理論上完全になくすことができ
る。従って、K=KOPにするのが良いが、実際には、K
OPの決めてであるCf ,Cr が路面状態に応じて種々に
変化し、またa,bも乗車人数に応じて変化し、そして
フィードバック係数Kが臨界値KOPを僅かでも越える
と、前述したように車両系が発散してしまうため、フィ
ードバック係数Kを決めるに当たってはKが決してKOP
を越えることのないような或る幅を持たせる必要があ
る。
【0035】次ぎに、この幅について考察するに、上記
の条件を満たすためにフィードバック係数Kは、(1
0)式から
【数13】 K≦{mV+〔(aCf −bCr )/V〕}1/Cr ・・・(13) である必要がある。ところで、路面状態に応じてCf
r が同じように変化すると考えられることから、上式
における〔(aCf −bCr )/V〕}1/Cr
f ,Cr の変化に影響されないと考えて差し支えな
い。また、a,bによる上式右項の変化は、制御による
挙動変化が大きい高車速では極めて小さくなるため、考
慮しなくてもよいと考えられる。以上のことから、(1
3)式においてはmV/Cr のみを考慮するだけでよい
ことになる。
【0036】摩擦係数の高い乾燥路を想定してCr を大
きく見積った場合、実際の路面摩擦係数がそれより小さ
く、この状態での制御時は、制御の効果は小さくなる
が、発散の危険はない。危険なのは、Cr を小さく見積
って実際の路面摩擦係数が見込みよりも大きかった場合
である。一般に、乾燥路でのタイヤの摩擦係数は0.7
〜1.0程度である。実際はμ=0.7の路面であるに
もかかわらず、μ=1であると思い込んで後輪コーナリ
ングパワーCr を見積りながら、実際にμ=1.0の路
面を走行した場合、1/Cr =1/0.7=143%と
なり、発散してしまう。従って、前記の幅は臨界値KOP
の70%〜100%の幅をマージンとして確保して設定
するのが良く、フィードバック係数Kは図4に示すよう
に、臨界値KOPと、該臨界値の70%に相当する限界値
DLとの間の、斜線領域をマージンとして確保して設定
するのが良い。つまり、フィードバック係数Kは、臨界
値kopの70%以下の値に設定するのがよい。
【0037】上述の例では図3から明かなように、ヨー
レイト(d/dt)φをそのまま常時フィードバックす
るため、外乱に対する車両挙動を確実に抑制しようとす
ると、操舵入力θに対する応答も鈍くなるのを免れな
い。図5は、この問題を解消し得るようにした例を示
し、本例では希望する車両挙動を発揮する車両規範モデ
ルを用意し、これを基に前輪主舵角から目標ヨーレイト
(d/dt)φm を求める。そして、この目標ヨーレイ
ト(d/dt)φm と、センサ17で検出した実測ヨー
レイト(d/dt)φとの偏差△(d/dt)φを算出
し、これに応じて後輪舵角をフィードバック制御するこ
ととする。
【0038】かかる本例の構成においては、フィードフ
ォワード制御と、フィードバック制御とが完全に分離さ
れることとなり、操舵入力に対する応答を高く保ったま
ま、これとは別に、外乱に対する車両挙動の抑制を確実
なものにすることができる。また、フィードフォワード
のチューニングと、フィードバックのチューニングとを
単独に行うことができ、開発段階での効率を向上させる
ことができる。更に、操舵角センサ15やヨーレイトセ
ンサ17が故障して、これらからの情報が得られなくな
っても、フィードフォワード制御か、フィードバック制
御の少なくとも一方は確保することができ、安全上大い
に有利である。
【0039】なお、上記何れの実施例においても、ヨー
レイトのフィードバック係数Kを比例係数としたが、ア
クチュエータ系の遅れを補償するための進み要素を加え
てもよいことはいうまでもない。
【0040】
【発明の効果】かくして本発明による車両の後輪舵角制
御装置は、請求項1に記載の如く、車両のヨー運動に関
する物理量に基づくフィードバック制御により後輪舵角
を決定するに際し、ヨー運動によって生ずる車両横滑り
運動の発生量を決定する車両固有の影響関数を打ち消す
ような、フィードバック制御のための制御関数を求め、
この制御関数により得られる値以下のフィードバック係
数を用いて、上記の後輪舵角を算出する構成としたか
ら、当該後輪舵角は、ヨー運動に伴う横滑り運動が最小
となるようなものとなり、ヨー運動および横滑り運動が
相互に影響し合う車両固有系にも係わらず、この影響を
最小にして、後輪操舵による作用効果を狙い通りに達成
することができる。
【0041】また、同様の理由から車両の系が不安定な
系になることが決してなく、外乱モーメントの入力時に
ヨーレイトが発散するといった弊害を完全になくすこと
ができる
【0042】なお、上記フィードバック係数の限界値を
請求項2に記載の如く、上記制御関数により得られる値
の70%以下にしたから、一般的なタイヤの路面摩擦係
数変化幅の全域において上記ヨーレイトの発散を防止す
ることができる。
【0043】なお、ヨー運動に関する検出物理量のフィ
ードバックに当たって、これをそのままフィードバック
する代わりに、請求項3に記載の如く、目標車両モデル
に基づく演算により求めたヨー運動目標値と、ヨー運動
に関する実測物理量との偏差をフィードバックして、こ
れに基づき後輪舵角を決定することとしたから、当該偏
差があった時のみフィードバック制御がなされることと
なり、フィードバック制御とフィードフォワード制御と
の分離が可能となって、外乱に対する車両挙動の抑制
と、操舵入力に対する高応答とを両立させることができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による車両用後輪舵角制御装置の一実施
例を示す操舵システムのハードウエア構成図である。
【図2】同例のコントローラが実行する後輪舵角制御プ
ログラムを示すフローチャートである。
【図3】同例における前後輪操舵制御の系統図である。
【図4】同例において用いるフィードバック係数の好適
な領域線図である。
【図5】本発明による後輪舵角制御装置の他の例を示す
図3と同様な制御系統図である。
【図6】車両の2輪モデル図である。
【図7】車両固有の系を示す系統図である。
【符号の説明】
1 前輪 2 後輪 3 ステアリングホイール 4 ステアリングギヤ 5 前輪補助操舵アクチュエータ 6 後輪操舵アクチュエータ 7 電磁弁 8 電磁弁 10 分流弁 14 コントローラ 15 操舵角センサ 16 車速センサ 17 ヨーレイトセンサ 18 ストロークセンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B62D 137:00 (56)参考文献 特開 平2−14973(JP,A) 特開 平2−106469(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 6/00 B62D 7/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両のヨー運動に関する物理量を検出
    し、該検出された物理量に基づくフィードバック制御に
    より後輪舵角を決定するようにした車両の後輪操舵装置
    において、 前記ヨー運動によって生ずる車両横滑り運動の発生量を
    決定する車両固有の影響関数を打ち消すような、前記フ
    ィードバック制御のための制御関数を求めるフィードバ
    ック関数演算手段と、 該制御関数により得られる値以下のフィードバック係数
    を用いて、ヨー運動に伴う横滑り運動が最小となるよう
    な後輪舵角を求める後輪舵角演算手段とを具えることを
    特徴とする車両の後輪舵角制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記フィードバック
    係数の限界値を、前記制御関数により得られる値の70
    %以下にしたことを特徴とする車両の後輪舵角制御装
    置。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2において、目標
    とする車両モデルに基づく演算によりヨー運動目標値を
    求める目標ヨー運動演算手段と、このヨー運動目標値お
    よび前記検出されたヨー運動に関する物理量間の偏差を
    算出するヨー運動偏差算出手段とを付加し、この偏差に
    基づくフィードバック制御により後輪舵角を決定するよ
    うにしたことを特徴とする車両の後輪舵角制御装置。
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