JP2936717B2 - 電着塗装性および加工性に優れた、複数の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

電着塗装性および加工性に優れた、複数の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき鋼板の製造方法

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JP2936717B2 JP33883590A JP33883590A JP2936717B2 JP 2936717 B2 JP2936717 B2 JP 2936717B2 JP 33883590 A JP33883590 A JP 33883590A JP 33883590 A JP33883590 A JP 33883590A JP 2936717 B2 JP2936717 B2 JP 2936717B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電着塗装性および加工性に優れた、複数
の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき鋼板の製造
方法に関するものである。
〔従来の技術〕
鉄−亜鉛、鉄−ボロン、鉄−燐等の鉄系合金めっき鋼
板は、耐食性および電着塗装性に優れており、自動車用
鋼板等として広く使用されている。近年、このような鉄
系合金めっき鋼板の耐食性に対する要求が、一段と高く
なっており、このような要求を満足させるめっき鋼板と
して、下層としての厚い合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき
層と、上層としての鉄系合金電気めっき層とからなる複
数の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき鋼板が知
られている。
鉄系合金めっき鋼板に対する塗膜の形成は、一般に、
鉄系合金めっき層の表面上に、化成処理によって燐酸塩
被膜を形成し、次いで、カチオンタイプの電着塗装法に
より、燐酸塩被膜の上に所定の厚さの塗膜を形成するこ
とにより行われる。
しかしながら、カチオンタイプの電着塗装法により、
鉄系合金めっき層の表面上に塗膜を形成すると、電着塗
装時に発生しそして塗膜内に閉じ込められた水素ガスに
よって、塗膜にクレーター状のピンホールが発生する。
このような塗膜に発生したクレーター状ピンホールは、
塗装面の外観上の欠陥になる。
一方、自動車用鋼板等に使用される鉄系合金めっき鋼
板には、プレスなどによって厳しい成形加工が施され
る。このような厳しい成形加工が施されると、鉄系合金
めっき層の粉状の剥離即ちパウダリング、および、鉄系
合金めっき層の鋼板からの剥離即ちフレーキングが発生
する。
上述した問題を解決する、鉄系合金めっき鋼板とし
て、下記先行技術が知られている。
特公昭58−15554号 鋼板の少なくとも1つの表面上に、40wt.%超の亜鉛
を含有する、下層としての鉄−亜鉛合金めっき層と、前
記下層としての鉄−亜鉛合金めっき層の上に形成され
た、40wt.%以下の亜鉛を含有する、上層としての鉄−
亜鉛合金電気めっき層とを含有する、カチオン電着塗装
用のめっき鋼板(以下、先行技術1という)。
特開平2−66148号 鋼板鋼板の少なくとも1つの表面上に、12wt.%以下
の鉄を含有する下層としての鉄−亜鉛合金めっき層と、
前記下層としての鉄−亜鉛合金めっき層の上に形成され
た、50wt.%以上の鉄を含有し、表面摩擦係数が0.22以
下である、上層としての鉄系合金めっき層とを有する、
耐フレーキング性に優れた多層めっき鋼板(以下、先行
技術2という)。
特開平2−85393号 鋼板の少なくとも1つの表面上に、10〜20wt.%の鉄
を含有する鉄−亜鉛合金電気めっき層、または、8〜14
wt.%のニッケルを含有するニッケル−亜鉛系合金電気
めっき層からなる、下層としての鉄−亜鉛系またはニッ
ケル−亜鉛系合金電気めっき層と、前記下層としての鉄
−亜鉛系またはニッケル−亜鉛系合金電気めっき層の上
に形成された、0.003〜0.5wt.%の燐を含有する上層と
しての鉄−燐合金電気めっき層とを有する、耐パウダリ
ング性および耐クレータ性に優れた亜鉛系合金電気めっ
き鋼板(以下、先行技術3という)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した先行技術1には、次に述べるような問題があ
る。即ち、先行技術1による、下層としての厚い合金化
溶融鉄−亜鉛合金めっきと、上層としての鉄−亜鉛合金
電気めっき層とからなる鉄−亜鉛合金めっき鋼板に対
し、プレスなどによって厳しい成形加工を施すと、下層
としての、厚い合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に、亀
裂や剥離が発生する。めっき層に亀裂や剥離が発生する
と、燐酸塩被膜の形成のための化成処理時に、露出した
鋼板によって、めっき層の溶解が促進される結果、燐酸
塩結晶が異常に成長する。このように異常に成長した燐
酸塩結晶は、結晶水を多量に含有しており、この結晶水
が、電着塗装の塗膜焼き付け時に、燐酸塩結晶から離脱
してそして蒸発する。この結果、塗膜に気泡状欠陥が発
生する。このような塗膜に発生した気泡状欠陥は、塗装
面の外観上の欠陥になる。
上述した先行技術2および3には、次に述べるような
問題がある。即ち、先行技術2によれば、めっき層の粉
状の剥離即ちパウダリング、および、めっき層の鋼板か
らの剥離即ちフレーキングが防止され、また、先行技術
3によれば、パウダリングおよびクレーターの発生が防
止されるが、上述した、塗膜に生ずる気泡状欠陥を防止
することはできない。むしろ、耐パウダリング性および
耐フレーキング性の防止のために形成された、上層とし
ての鉄系合金電気めっき層によって、気泡状欠陥の発生
が促進されると考えられる。
従って、この発明の目的は、プレス等によって厳しい
成形加工が施されても、塗膜に、下層としての合金化溶
融鉄−亜鉛合金めっき層に発生した亀裂や剥離に基づく
気泡状欠陥が生ぜず、且つ、クレーター状ピンホールも
殆ど生じない、電着塗装性およいび加工性に優れた、複
数の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき鋼板を製
造するための方法を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上述した問題を解決すべく、下層とし
ての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層と、上層としての
鉄系合金電気めっき層とからなる、複数の鉄系合金めっ
き層を有する鉄系合金めっき鋼板の成形加工時に、下層
としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に亀裂や剥離
が発生する原因について、調査および研究を行った結
果、次のことが分かった。
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層は、熱
的に形成されているので、めっき層中に内部応力は存在
しない。これに対し、上層としての鉄系合金電気めっき
層は、金属の析出により形成されているので、めっき層
中に大きな内部応力が存在している。
この結果、上層としての、内部応力が大きい鉄系合金
電気めっき層は、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層を強く拘束し、このような拘束は局部的に集中
する。このために、合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層
は、極めて脆くなり、成形加工時に亀裂が生じて、鋼板
から剥離しやすくなる。この結果、塗膜に前述した気泡
状欠陥が発生する。
上述したことから、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛
合金めっき層が形成された鋼板を、鉄系合金電気めっき
浴が収容された複数の電気めっき槽に通し、その初槽に
おける陰極電解処理によって、下槽としての合金化溶融
鉄−亜鉛合金めっき層の上に鉄系合金電気めっき層を形
成し、次の電気めっき槽における陽極電解処理によっ
て、初槽で形成された鉄系合金電気めっき層に多数の微
細な凹凸を形成し、次いで、以降の電気めっき槽におけ
る陰極電解処理によって、上層としての鉄系合金電気め
っき層を形成すれば、上述した多数の微細な凹凸によっ
て、上層としての鉄系合金電気めっき層の内部応力が分
散される。
従って、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき
層に対する拘束力が弱まり、成形加工時における、下層
としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層の亀裂や剥離
が防止され、塗膜に気泡状欠陥が発生しなくなる。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであっ
て、鋼板を、溶融亜鉛めっき浴が収容された溶融亜鉛め
っき槽に通し、前記鋼板の表面上に亜鉛めっき層を形成
し、次いで、前記鋼板を加熱して、前記亜鉛めっき層と
前記鋼板とを合金化させ、かくして、前記鋼板の少なく
とも1つの表面上に、所定めっき量の下層としての合金
化溶融鉄−亜鉛合金めっき層を形成し、次いで、下層と
しての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層が形成された前
記鋼板を、鉄系合金電気めっき浴が収容された複数の電
気めっき槽に順次通し、前記鋼板に陰極電解処理を施す
こにより、前記下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金め
っき層の上に、上層としての鉄系合金電気めっき層を形
成する、複数の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっ
き鋼板の製造方法において、 前記複数の電気めっき槽の初槽における陰極電解処理
によって、下槽としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき
層の上に鉄系合金電気めっき層が形成された鋼板に対
し、次の電気めっき槽において陽極電解処理を施し、次
いで、以降の電気めっき槽における陰極電解処理によっ
て、上層としての鉄系合金電気めっき層を形成すること
を特徴を有するものである。
〔作用〕
この発明においては、上述したように、複数の電気め
っき槽における鉄系合金電気めっき層の形成過程におい
て、その初槽における陰極電解処理によって形成された
鉄系合金電気めっき槽中の、鉄以外の合金成分、例え
ば、亜鉛、ボロン、燐等を、次ぎの電気めっき槽中にお
ける陽極電解処理によって優先的に溶出させ、多数の微
細な凹凸を有する中間電気めっき層を形成する。
このようにして形成された、多数の微細な穴を有する
中間電気めっき層は、以降の電気めっき槽における陰極
電解処理によって形成される上層としての鉄系合金電気
めっき層と、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっ
き層との間において、緩衝材としての効果を発揮する。
この結果、上層としての鉄系合金電気めっき層の内部
応力は緩和され、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層に対する、上層としての鉄系合金電気めっき層
の拘束力が弱まり、成形加工時に生ずる、下層としての
合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層の亀裂が極めて微細に
なるため、塗膜の気泡状欠陥の発生が防止される。
第1図は、この発明方法の1実施態様を示す概略工程
図である。図示しない溶融亜鉛めっき槽および合金化処
理装置によって、第2図(イ)に模式図で示すように、
鋼板1の表面上に、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合
金めっき層2を形成する。次いで、下層としての合金化
溶融鉄−亜鉛合金めっき層2が形成された鋼板1を、鉄
系合金電気めっき浴が収容された第1電気めっき槽5に
導き、第2電気めっき槽5において所定の電気量により
陰極電解処理を施す。
このようにして、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合
金めっき層2の上に所定量の鉄系合金電気めっき層が形
成された鋼板1を電気めっき槽6に導き、第2電気めっ
き槽6において、陽極電解処理を施す。この結果、第1
電気めっき槽5で形成された鉄系合金電気めっき層中
の、鉄以外の合金成分、例えば、亜鉛、ボロン、燐等が
優先的に溶出して、第2図(ロ)に模式図で示すよう
に、鋼板1の、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金め
っき層2の上に、多数の微細な凹凸を有する、中間層と
しての電気めっき層3が形成される。
次いで、上記により多数の微細な凹凸を有する、中間
層としての電気めっき層3が形成された鋼板1を、鉄系
合金電気めっき浴が収容された第3電気めっき槽7aおよ
び第4電気めっき槽7bに順次通し、第3電気めっき槽7a
および第4電気めっき槽7bにおいて陰極電解処理を施
す。この結果、第2図(ハ)に模式図で示すように、多
数の微細な凹凸を有する中間層としての電気めっき層3
の上に、上層としての鉄系電気めっき層4が形成され
る。
多数の微細な凹凸を有する、中間層としての電気めっ
き層3は、前述したように、上層としての鉄系合金電気
めっき層3と、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金め
っき層2との間において、緩衝材としての効果を発揮す
る。従って、上層としての鉄系合金電気めっき層4の内
部応力は緩和され、成形加工時に生ずる、下層としての
合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層2の亀裂が極めて微細
になる結果、塗膜の気泡状欠陥の発生が防止される。
第1電気めっき槽における陰極電解処理時の電気量は
10〜100c/dm2の範囲内であり、そして、次の第2電気め
っき槽における陽極電解処理時の電気量は、1〜50c/dm
2の範囲内であることが好ましい。
第1電気めっき槽における陰極電解処理時の電気量が
10c/dm2未満では、形成された電気めっき層が薄すぎ
て、次工程での陽極電解処理時に、全面的に溶融し、多
数の微細な凹凸を有する中間電気めっき層を形成するこ
とがない。一方、第1電気めっき槽における陰極電解処
理時の電気量が10c/dm2を超えると、形成された電気め
っき層が厚くなりすぎて、次工程での陽極電解時に形成
された凹凸を有する中間電気めっき層としての効果が薄
くなる。
第2電気めっき槽における陽極電解処理時の電気量が
1c/dm2未満では、多数の微細な凹凸を有する中間電気め
っき層を形成することができず、従って、気泡状欠陥の
発生を防止することができない。一方、第2電気めっき
槽における陽極電解処理時の電気量が50c/dm2を超える
と、第1電気めっき槽5において形成された、鉄合金電
気めっき層が全面的に溶解し、多数の微細な凹凸を有す
る中間電気めっき層を形成することができなくなる。
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層5のめ
っき量は、鋼板の片面当たり30〜120g/m2範囲内とする
ことが好ましい。下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層5のめっき量が、鋼板1の片面当たり30g/m2
満では、耐食性が劣化する。一方、めっき量が、鋼板1
の片面当たり、120g/m2超では、加工性が劣化する。
上層としての鉄系合金電気めっき層7のめっき量は、
鋼板1の片面当たり1〜10g/m2の範囲内とすることが好
ましい。上層としての鉄系合金電気めっき層7のめっき
量が、鋼板1の片面当たり1g/m2未満では、電着塗装性
が劣化し、塗膜にクレーター状ピンホールが発生しやす
くなる。一方めっき量が、鋼板1の片面当たり10g/m2
では、加工性が劣化する。
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層5の鉄
含有量は、7〜15wt%の範囲内であることが好ましい。
鉄含有量が7wt%未満では、耐食性が劣化する。一方、
鉄含有量が15wt%超では、加工性が劣化する。
上層としての鉄系合金電気めっき層7の鉄含有量は、
50〜95wt%の範囲内であることが好ましい。鉄含有量が
50wt%未満では、電着塗装性が劣化して、クレーター状
ピンホールが発生しやすくなる。一方、鉄含有量が95wt
%超では、耐食性が劣化する。
次に、この発明の方法を、実施例により、比較例と対
比しながら説明する。
〔実施例1〕 板厚0.8mmの冷延鋼板に対し、溶融亜鉛めっき槽およ
び合金化処理装置によって下記に示す条件で合金化溶融
亜鉛めっき処理を施して、鋼板の表面上に、下層として
の合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層を形成した。
(1) めっき浴化学成分組成: Al:0.12wt% Zn: 残り (2) めっき浴温度:460℃ (3) めっき浴侵入供試体温度:470℃ (4) 合金化温度:510℃ (5) 合金化時間:所定の鉄含有量が得られるように
調整 次いで、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき
層が形成された鋼板を、第1図に示す、鉄−亜鉛合金電
気めっき浴が収容された第1電気めっき槽5、第2電気
めっき槽6、第3電気めっき槽7aおよび第4電気めっき
槽7bに順次導き、下記に示す条件で、第1電気めっき槽
5において陰極電解処理を施し、次いで、第2電気めっ
き槽6において陽極電解処理を施し、次いで、第3電気
めっき槽7aおよび第4電気めっき槽7bにおいて陰極電解
処理を施した。
(1) めっき浴化学成分組成: FeSO4・7H2O:380 g/ ZnSO4・7H2O: 20 g/ (2) めっき浴pH:1.8〜2.0 (3) めっき浴温度:50℃ (4) めっき電気量: 第1電気めっき槽(陰極電解): 50c/dm2 第2電気めっき槽(陽極電解): 20c/dm2 第3電気めっき槽(陰極電解):100A/dm2×所定時間 第4電気めっき槽(陰極電解):100A/dm2×所定時間 このようにして、鋼板の表面上に、下層としての合金
化溶融鉄−亜鉛合金めっき層と、中間層としての多数の
微細な凹凸を有する電気めっき層と、上層としての鉄−
亜鉛合金電気めっき層とを有する、第1表に示すこの発
明の鉄−亜鉛合金めっき鋼板の供試体(以下、本発明供
試体という)No.1を調製した。
〔実施例2〕 実施例1と同様の方法により、下層としての合金化溶
融鉄−亜鉛合金めっき層が形成された鋼板を、鉄−燐合
金電気めっき浴が収容された第1電気めっき槽5、第2
電気めっき槽6、第3電気めっき槽7aおよび第4電気め
っき槽7bに順次導き、下記に示す条件で、第1電気めっ
き槽5において陰極電解処理を施し、次いで、第2電気
めっき槽6において陽極電解処理を施し、次いで、第3
電気めっき槽7aおよび第4電気めっき槽7bにおいて陰極
電解処理を施した。
(1) めっき浴化学成分組成: FeCl2:150g/ KCl:200g/ クエン酸:10g/ NaH2PO2:2g/ (2) めっき浴pH:3.0 (3) めっき浴温度:50℃ (4) めっき電気量: 第1電気めっき槽(陰極電解):70c/dm2 第2電気めっき槽(陽極電解):30c/dm2 第3電気めっき槽(陰極電解):50A/dm2×所定時間 第4電気めっき槽(陰極電解):50A/dm2×所定時間 このようにして、鋼板の表面上に、下層としての合金
化溶融鉄−亜鉛合金めっき層と、中間層としての多数の
微細な凹凸を有する電気めっき層と、上層としての鉄−
燐合金電気めっき層とを有する、第1表に併せて示す本
発明供試体No.2を調製した。
〔比較例〕
比較のために、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層が形成された鋼板を、鉄−亜鉛合金電気めっき
浴が収容された、第1電気めっき槽4a、第2電気めっき
槽4b、第3電気めっき槽4cおよび第4電気めっき槽4dに
順次導き、陽極電解処理を施すことなく、各電気めっき
槽において下記電気量で陰極電解処理を施したほかは、
実施例1と同じ条件で、第1表に併せて示す、比較用の
鉄−亜鉛合金電気めっき鋼板の供試体(以下、比較用供
試体という)No.1を調製した。
めっき電気量: 第1電気めっき槽(陰極電解):70c/dm2 第2電気めっき槽(陽極電解):70c/dm2 第3電気めっき槽(陰極電解):70A/dm2 第4電気めっき槽(陰極電解):70A/dm2 このようにして調製された本発明供試体および比較用
供試体の各々について、電着塗装性および加工性を、以
下に述べる性能試験によって調査した。その試験結果を
第1表に併せて示す。
(1) 電着塗装性試験 a.気泡状欠陥試験 本発明供試体および比較用供試体の各々の表面上に、
浸漬処理によって燐酸塩被膜を形成した後、下記条件に
よってカチオンタイプの電着塗装を施した。
電圧 :260V 浴温 :27℃ 供試体面積/陽極面積:1/1 塗膜の厚さ :20μm 焼き付け温度:270℃ 焼き付け時間:10分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生
じた気泡状欠陥を、目視によって調べ、下記によって評
価した。
b.クレーター状ピンホール試験 本発明供試体および比較用供試体の各々の表面上に、
浸漬処理によって燐酸塩被膜を形成した後、下記条件に
よってカチオンタイプの電着塗装を施した。
電圧 :280V 浴温 : 27℃ 供試体面積/陽極面積:1/1 塗膜の厚さ :20μm 焼き付け温度:170℃ 焼き付け時間:25分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生
じたクレーター状ピンホールを、目視によって調べ、下
記によって評価した。
(2) 加工性試験 供試体を第3図に示したドロービード試験機を使用し
てしごき、めっき被膜の単位面積当たりの剥離量を、以
下に述べる方法により測定した。
即ち、第3図に概略断面図で示すような、所定長さの
実質的に水平な突条8aを有する雄ダイス8と、雄ダイス
8の突条8aと向き合った所定長さの実質的に水平な溝9a
を有する雌ダイス9とからなるドロービード試験機を使
用し、供試体10を、上述したドロービード試験機の雄ダ
イス8と雌ダイス9との間の間隙内に垂直に挿入し、雄
ダイス8と雌ダイス9とを、500Kgfの圧力で押しつけ、
そして、矢印に示すように上方に引き抜いてしごいた。
このようにしてしごかれた供試体10に接着テープを貼り
次いでこれを剥がして、めっき被膜の剥離量を測定し
た。なお、雄ダイス8の突条8aの先端は0.5R、雌ダイス
9は肩は1R、そして、雄ダイス8の突条8aおよび雌ダイ
ス9の溝9aの幅は40mm、供試体10の幅は30mmであった。
第1表から明らかなように、第1〜第4電気めっき槽
の全部で陰極電解処理を施した比較用供試体No.1は、塗
膜中に気泡状欠陥が多量に発生し、電着塗装性が悪かっ
た。
これに対して、第1表から明らかなように、本発明供
試体No.1および2は、何れも、塗膜に気泡状欠陥が発生
せず、そして、クレーター状ピンホールの発生も少な
く、電着塗装性および加工性に優れていた。
〔発明の効果〕
以上述べたように、この発明によれば、プレス等によ
って厳しい成形加工が施されても、塗膜に、下層として
の合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に発生した亀裂や剥
離に基づく気泡状欠陥が生ぜず、且つ、クレーター状ピ
ンホールも殆ど生じない、電着塗装性および加工性に優
れた、複数の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき
鋼板を製造することができる、工業上有用な効果がもた
らされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の方法の1実施態様を示す工程図、
第2図(イ)〜(ハ)は、この発明の方法による鉄系合
金めっき鋼板の製造過程を示す断面模式図、第3図は、
加工性試験に使用したドロービード試験機の概略断面図
である。 図面において、 1……鋼板、 2……合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層、 3……中間電気めっき層、 4……鉄系合金電気めっき層、 5……第1電気めっき槽、 6……第2電気めっき槽、 7a……第3電気めっき槽、 7b……第4電気めっき槽、 8……雄ダイス、8a……突条、 9……雌ダイス、9a……溝、 10……供試体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 森田 正哉 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 28/02 C25D 5/26

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板を、溶融亜鉛めっき浴が収容された溶
    融亜鉛めっき槽に通し、前記鋼板の表面上に亜鉛めっき
    層を形成し、次いで、前記鋼板を加熱して、前記亜鉛め
    っき層と前記鋼板とを合金化させ、かくして、前記鋼板
    の少なくとも1つの表面上に、所定めっき量の下層とし
    ての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層を形成し、次い
    で、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層が形
    成された前記鋼板を、鉄系合金電気めっき浴が収容され
    た複数の電気めっき槽に順次通し、前記鋼板に陰極電解
    処理を施すことにより、前記下層としての合金化溶融鉄
    −亜鉛合金めっき層の上に、上層としての鉄系合金電気
    めっき層を形成する、複数の鉄系合金めっき層を有する
    鉄系合金めっき鋼板の製造方法において、 前記複数の電気めっき槽の初槽における陰極電解処理に
    よって、下槽としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層
    の上に鉄系合金電気めっき層が形成された鋼板に対し、
    次の電気めっき槽において陽極電解処理を施し、次い
    で、以降の電気めっき槽における陰極電解処理によっ
    て、上層としての鉄系合金電気めっき層を形成すること
    を特徴とする、電着塗装性および加工性に優れた、複数
    の鉄系合金めっき層を有する鉄系合金めっき鋼板の製造
    方法。
  2. 【請求項2】前記初槽における鉄系合金電気めっき槽形
    成時の電気量が、10〜100c/dm2であり、そして、次の電
    気めっき槽における陽極電解処理時の電気量が、1〜50
    c/dm2である、請求項1記載の方法求項1記載の方法。
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