JP2936715B2 - 電着塗装性および加工性に優れた、複数の鉄―亜鉛合金めっき層を有する鉄―亜鉛合金めっき鋼板の製造方法 - Google Patents

電着塗装性および加工性に優れた、複数の鉄―亜鉛合金めっき層を有する鉄―亜鉛合金めっき鋼板の製造方法

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JP2936715B2 JP33883390A JP33883390A JP2936715B2 JP 2936715 B2 JP2936715 B2 JP 2936715B2 JP 33883390 A JP33883390 A JP 33883390A JP 33883390 A JP33883390 A JP 33883390A JP 2936715 B2 JP2936715 B2 JP 2936715B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、電着塗装性および加工性に優れた、複数
の鉄−亜鉛合金めっき層を有する鉄−亜鉛合金めっき鋼
板の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
鉄−亜鉛合金めっき鋼板は、耐食性および電着塗装性
に優れ、且つ、製造コストが安い等、多くの利点を有し
ており、自動車用鋼板等として広く使用されている。近
年、このような、鉄−亜鉛合金めっき鋼板の電着塗装性
および加工性に対する要求が、一段と高くなってきた。
鉄−亜鉛合金めっき鋼板の表面上に対する塗膜の形成
は、一般に、鉄−亜鉛合金めっき層の表面上に、化成処
理によって燐酸塩被膜を形成し、次いで、カチオンタイ
プの電着塗装法により、燐酸塩被膜の上に所定の厚さを
塗膜を形成することにより行われる。
しかしながら、カチオンタイプの電着塗装法により、
鉄−亜鉛合金めっき層の表面上に塗膜を形成すると、電
着塗装時に発生しそして塗膜内に閉じ込められた水素ガ
スによって、塗膜にクレーター状のピンホールが発生す
る。このような塗膜に発生したクレーター状ピンホール
は、塗装面の外観上の欠陥になる。
上述した問題を解決する、鉄−亜鉛合金めっき鋼板と
して、特公昭58−15554号公報には、下記からなる、複
数の鉄−亜鉛合金めっき層を有する、カチオンタイプの
電着塗装用鉄−亜鉛合金めっき鋼板が開示されている。
鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、40wt.
%超の亜鉛を含有する下層としての鉄−亜鉛合金めっき
層、および、下層としての鉄−亜鉛合金めっき層の上に
形成された、40wt.%以下の亜鉛を含有する、上層とし
ての鉄−亜鉛合金めっき層(以下、先行技術1とい
う)。
このような鉄−亜鉛合金めっき鋼板によれば、下層と
しての鉄−亜鉛合金めっき層によって、耐食性が向上
し、そして、上層としての、鉄含有量の多い鉄−亜鉛合
金めっき層によって、電着塗装性が向上し、且つ、クレ
ータ状ピンホールの発生が防止される。
一方、自動車用鋼板等に使用される鉄−亜鉛合金めっ
き鋼板には、プレスなどによって厳しい成形加工が施さ
れる。このような厳しい成形加工が施されると、鉄−亜
鉛合金めっき層の粉状の剥離即ちパウダリング、およ
び、鉄−亜鉛合金めっき層の鋼板からの剥離即ちフレー
キングが発生する。
上述した問題を解決する鉄−亜鉛合金めっき鋼板とし
て、特開平2−66148号公報には、下記からなる、複数
の鉄−亜鉛合金めっき層を有する、耐パウダリング性お
よび耐フレーキング性に優れた鉄−亜鉛合金めっき鋼板
が開示されている。
鋼板の少なくとも1つの表面上に形成された、12wt.
%以下の鉄を含有する下層としての鉄−亜鉛合金めっき
層、および、前記下層としての鉄−亜鉛合金めっき層の
上に形成された、50wt.%以上の鉄を含有し、表面摩擦
係数が0.22以下である、上層としての鉄系または鉄−亜
鉛系合金めっき層(以下、先行技術2という)。
〔発明が解決しようとする課題〕
上述した先行技術1には、先に述べるような問題があ
る。即ち、先行技術1による、下層としての厚い合金化
溶融鉄−亜鉛合金めっき層と、上層としての鉄−亜鉛合
金電気めっき層とからなる、鉄−亜鉛合金めっき鋼板に
対し、プレスなどによって厳しい成形加工を施すと、下
層としての、厚い合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に、
亀裂や剥離が発生する。めっき層に亀裂や剥離が発生す
ると、燐酸塩被膜の形成のための化成処理時に、露出し
た鋼板によってめっき層の溶解が促進される結果、燐酸
塩結晶が異常に成長する。このように異常に成長した燐
酸塩結晶は、結晶水を多量に含有しており、この結晶水
が、電着塗装の塗膜焼き付け時に、燐酸塩結晶から離脱
しそして蒸発する。この結果、塗膜に気泡状欠陥が発生
する。このような塗膜に発生した気泡状欠陥は、塗装面
の外観上の欠陥になる。
上述した先行技術2には、次に述べるような問題があ
る。即ち、先行技術2による、下層としての、12wt.%
以下の鉄を含有する合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層
と、上層としての、50wt.%以上の鉄を含有する鉄−亜
鉛合金電気めっき層とからなる鉄−亜鉛合金めっき鋼板
によれば、めっき層の粉状の剥離即ちパウダリング、お
よび、めっき層の鋼板からの剥離即ちフレーキングは防
止される。しかしながら、上述した、塗膜に生ずる気泡
状欠陥を防止することはできない。むしろ、耐パウダリ
ング性および耐フレーキング性を付与するために形成さ
れた、上層としての鉄系または鉄−亜鉛系合金電気めっ
き層によって、気泡状欠陥の発生が促進されると考えら
れる。
従って、この発明の目的は、プレス等によって厳しい
成形加工が施されても、塗膜に、下層としての合金化溶
融鉄−亜鉛合金めっき層に発生した亀裂や剥離に基づく
気泡状欠陥が生ぜず、且つ、クレーター状ピンホールも
殆ど生じない、優れた電着塗装性を有し、且つ、加工性
および耐食性に優れた、複数の鉄−亜鉛合金めっき層を
有する鉄−亜鉛合金めっき鋼板を製造するための方法を
提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者等は、上述した問題を解決すべく、下層とし
ての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層と、上層としての
鉄−亜鉛合金電気めっき層とからなる、複数の鉄−亜鉛
合金めっき層を有する鉄−亜鉛合金めっき鋼板の成形加
工時に、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層
に亀裂や剥離が発生する原因について、調査および研究
を行った結果、次のことが分かった。下層としての合金
化溶融鉄−亜鉛合金めっき層は、熱的に形成されている
ので、めっき層中に内部応力は存在しない。これに対
し、上層としての鉄−亜鉛合金電気めっき層は、金属の
析出により形成されているので、めっき層中に大きな内
部応力が存在している。
この結果、上層としての、内部応力が大きい鉄−亜鉛
合金電気めっき層は、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛
合金めっき層を強く拘束し、このような拘束は、局部的
に集中する。このために、合金化溶融鉄−亜鉛合金めっ
き層は、極めて脆くなり、成形加工時に、亀裂が生じ
て、鋼板から剥離しやすくなる。この結果、塗膜に前述
した気泡状欠陥が発生する。
上述したことから、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛
合金めっき層が形成された鋼板を、鉄−亜鉛合金電気め
っき浴が収容された複数の電気めっき槽に通して、下槽
としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき槽の上に上層と
しての鉄−亜鉛合金電気めっき層を形成するに際し、第
1電気めっき槽において、高電流密度で電気めっきを施
し、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層の上
に、中間層としての実質的に鉄からなる電気めっき層を
形成すれば、この中間層によって、上層としての鉄−亜
鉛合金電気めっき層の内部応力が分散される。従って、
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に対する
拘束力が弱まり、成形加工時における、下層としての合
金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層の亀裂や剥離が防止さ
れ、塗膜に気泡状欠陥が発生しなくなる。
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであっ
て、鋼板を、溶融亜鉛めっき浴が収容された溶融亜鉛め
っき槽に通し、前記鋼板の表面上に所定めっき量の亜鉛
めっき層を形成し、次いで、前記鋼板を加熱して、前記
亜鉛めっき層と前記鋼板とを合金化させ、かくして、前
記鋼板の少なくとも1つの表面上に、下層としての合金
化溶融鉄−亜鉛合金めっき層を形成し、 次いで、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき
層が形成された前記鋼板を、鉄−亜鉛合金電気めっき浴
が収容された複数の電気めっき槽に順次通し、前記複数
の電気めっき槽中の第1電気めっき槽において、200A/d
m2以上の電流密度によって前記鋼板に電気めっきを施す
ことにより、前記下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層の上に、所定めっき量の中間層としての実質的
に鉄からなる電気めっき層を形成し、ついで、前記複数
の電気めっき槽中の第2電気めっき槽以降において、20
0A/dm2未満の電流密度によって前記鋼板に電気めっきを
施すことにより、前記中間層としての実質的に鉄からな
る電気めっき層の上に、所定めっき量の上層としての鉄
−亜鉛合金電気めっき層を形成することに特徴を有する
ものである。
〔作用〕
この発明においては、上述したように、下層としての
合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層が形成された鋼板に対
し、鉄−亜鉛合金電気めっき浴が収容された複数の電気
めっき槽中の第1電気めっき槽において、200A/dm2以上
の電流密度によって電気めっきを施すことにより、下層
としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層の上に、中間
層としての実質的に鉄からなる電気めっき層を形成し、
ついで、第2電気めっき槽以降において、200A/dm2未満
の電流密度によって電気めっきを施すことにより、中間
層としての電気めっき層の上に、上層としての鉄−亜鉛
合金電気めっき層を形成する。
このようにして形成された中間層としての実質的に鉄
からなる電気めっき層は、上層としての鉄−亜鉛合金電
気めっき層および下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層に較べて軟質である。従って、中間層としての
実質的に鉄からなる電気めっき層は、上層としての鉄−
亜鉛合金電気めっき層と、下層としての合金化溶融鉄−
亜鉛合金めっき層との間において、緩衝材としての効果
を発揮し、更に、上層としての鉄−亜鉛合金電気めっき
層が有する、内部応力が強くて脆い欠点を改善する。
この結果、成形加工時における、上層としての鉄−亜
鉛合金電気めっき層の内部応力は緩和され、下層として
の合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に対する、上層とし
ての鉄−亜鉛合金電気めっき層の拘束力が弱まる。従っ
て、成形加工時に生ずる、下層としての合金化溶融鉄−
亜鉛合金めっき層の亀裂が極めて微細になるため、塗膜
の気泡状欠陥の発生が防止される。
第1図は、この発明方法の1実施態様を示す概略工程
図である。図示しない溶融亜鉛めっき槽および合金化処
理装置によって、第2図(イ)に模式図で示すように、
鋼板1の表面上に、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合
金めっき層2を形成する。次いで、下層としての合金化
溶融鉄−亜鉛合金めっき層2が形成された鋼板1を、第
1図に示すように、鉄−亜鉛合金電気めっき浴が収容さ
れた第1電気めっき槽5に導き、第1電気めっき槽5に
おいて、200A/dm2以上の高電流密度により電気めっきを
施す。この結果、第2図(ロ)に模式図で示すように、
鋼板1の、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき
層2の上に、中間層としての実質的に鉄からなる電気め
っき層3が形成される。
次いで、中間層としての実質的に鉄からなる電気めっ
き層3が形成された鋼板1を、鉄−亜鉛合金電気めっき
浴が収容された第2電気めっき槽6および第3電気めっ
き槽7に順次導き、第2電気めっき槽6,第3電気めっき
槽7において、200A/dm2未満の通常の電流密度により電
気めっきを施す。この結果、第2図(ハ)に模式図で示
すように、鋼板1の、中間層としての実質的に鉄からな
る電気めっき層3の上に、上層としての鉄−亜鉛合金電
気めっき層4が形成される。
5a,6aおよび7aは、第1電気めっき槽5、第2電気め
っき槽6および第3電気めっき槽7の各々に設けられた
電極で、第1電気めっき槽5の電極5aは、複数個に分割
して設置されている。
上述のようにして形成された、中間層としての実質的
に鉄からなる電気めっき層3は、上層としての鉄−亜鉛
合金電気めっき層4と、下層としての合金化溶融鉄−亜
鉛合金めっき層2との間において、緩衝材としての効果
を発揮する。従って、上層としての鉄−亜鉛合金電気め
っき層4の内部応力は緩和され、成形加工時に生ずる、
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層2の亀裂
が極めて微細になる結果、塗膜の気泡状欠陥の発生が防
止される。
第1電気めっき槽5における電気めっき時の電流密度
は、200A/dm2以上とすることが必要である。電流密度が
200A/dm2未満では、鋼板1の、下層としての合金化溶融
鉄−亜鉛合金めっき層2の上に、中間層としての実質的
に鉄からなる電気めっき層3を形成することができな
い。第1電気めっき槽5における電気めっき時の電流密
度の好ましい上限は、350A/dm2である。
第2電気めっき層6以下における電気めっき時の電流
密度は、200A/dm2未満とすることが必要である。電流密
度が200A/dm2以上では、中間層としての実質的に鉄から
なる電気めっき層3の上に、好ましい鉄含有量を有する
鉄−亜鉛合金電気めっき層4を形成することができな
い。第2電気めっき槽6以降における電気めっき時の電
流密度の好ましい下限は、10A/dm2である。
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層2のめ
っき量は、鋼板の片面当たり30〜120g/m2の範囲内とす
ることが好ましい。下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合
金めっき層2のめっき量が、鋼板1の片面当たり30g/m2
未満では、耐食性が劣化する。一方、めっき量が、鋼板
1の片面当たり120g/m2超では、加工性が劣化する。
中間層としての実質的に鉄からなる電気めっき層3の
めっき量は、鋼板1の片面当たり0.5〜2g/m2の範囲内と
することが好ましい。中間層としての電気めっき層3の
めっき量が、鋼板1の片面当たり0.5g/m2未満では、前
述した緩衝材としての効果が弱く、上層としての鉄−亜
鉛合金電気めっき層4の内部応力を緩和して、成形加工
時に生ずる塗膜の気泡状欠陥の発生を防止することがで
きない。一方、めっき量が、鋼板1の片面当たり2g/m2
超では、塗装後にめっき層に糸状錆が生じやすくなり、
耐食性が劣化する。
上層としての鉄−亜鉛合金電気めっき層4のめっき量
は、鋼板1の片面当たり1〜10g/m2の範囲内とすること
が好ましい。上層としての鉄−亜鉛合金電気めっき層4
のめっき量が、鋼板1の片面当たり1g/m2未満では、電
着塗装性が劣化し、塗膜にクレーター状ピンホールが発
生しやすくなる。一方めっき量が、鋼板1の片面当たり
10g/m2超では、加工性が劣化する。
下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層2と鉄
含有量は、7〜15wt%の範囲内であることが好ましい。
鉄含有量が7wt%未満では、耐食性が劣化する。一方、
鉄含有量が15wt%超では、加工性が劣化する。
上層としての鉄−亜鉛合金電気めっき層4の鉄含有量
は、50〜95wt%の範囲内であることが好ましい。鉄含有
量が50wt%未満では、電着塗装性が劣化し、塗膜にクレ
ーター状ピンホールが発生しやすくなる。一方、鉄含有
量が95wt%超では、耐食性が劣化する。
次に、この発明の方法を、実施例により、比較例と対
比しながら説明する。
〔実施例〕
板厚0.8mmの冷延鋼板に対し、溶融亜鉛めっき槽およ
び合金化処理装置により、第1表に示す条件で合金化溶
融亜鉛めっき処理を施し、鋼板1の表面上に、下層とし
ての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層2を形成した。次
いで、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層2
が形成された鋼板1を、第1図に示した工程図に従っ
て、鉄−亜鉛合金電気めっき浴が収容された第1電気め
っき槽5、第2電気めっき槽6および第3電気めっき槽
7に順次通し、鋼板1に対し、第1表に示す条件で電気
めっき処理を施した。かくして、第2図(ロ)に示すよ
うに、鋼板1の、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
めっき層2の上に、中間層としての実質的に鉄からなる
電気めっき層3を形成し、次いで、第2図(ハ)に示す
ように、中間層としての電気めっき層3の上に、上層と
しての鉄−亜鉛合金電気めっき層4を形成した。
第1電気めっき槽5の電極5aは、複数個に分割されて
おり、このように複数個に分割された電極5aのおのおの
に任意の割合で通電することによって、中間層としての
電気めっき層3のめっき量を、電流密度を変えることな
く調整することができる。
このようにして、第2表に示す、この発明の3層のめ
っき層を有する鉄−亜鉛合金めっき鋼板の供試体(以
下、本発明供試体という)No.1〜4を調製した。
比較のために、第1電気めっき槽におけるめっき電流
密度を、この発明の範囲外の150A/dm2として鉄−亜鉛合
金めっき層を形成した鉄−亜鉛合金めっき鋼板の供試体
(以下、比較用供試体という)No.1、および、第2電気
めっき槽以降におけるめっき電流密度を、この発明の範
囲外の200A/dm2として鉄−亜鉛合金めっき層を形成した
比較用供試体No.2を調製した。
このようにして調製された本発明供試体および比較用
供試体の各々について、電着塗装性、加工性および耐食
性を、以下に述べる性能試験によって調査した。その試
験結果を第2表に併せて示す。
(1) 電着塗装性試験 a.気泡状欠陥試験 本発明供試体および比較用供試体の各々の表面上に、
浸漬処理によって燐酸塩被膜を形成した後、下記条件に
よってカチオンタイプの電着塗装を施した。
電圧 :260V 浴温 :27℃ 供試体面積/陽極面積:1/1 塗膜の厚さ :20μm 焼き付け温度:270℃ 焼き付け時間:10分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生
じた気泡状欠陥を、目視によって調べ、下記によって評
価した。
b.クレーター状ピンホール試験 本発明供試体および比較用供試体の各々の表面上に、
浸漬処理によって燐酸塩被膜を形成した後、下記条件に
よってカチオンタイプの電着塗装を施した。
電圧 :280V 浴温 :27℃ 供試体面積/陽極面積:1/1 塗膜の厚さ :20μm 焼き付け温度:170℃ 焼き付け時間:25分 上記のようにして電着塗装を施した供試体の塗膜に生
じたクレーター状ピンホールを、目視によって調べ、下
記によって評価した。
(2) 加工性試験 供試体を第3図に示したドロービード試験機を使用し
てしごき、めっき被膜の単位面積当たりの剥離量を、以
下に述べる方法により測定した。
即ち、第3図に概略断面図で示すような、所定長さの
実質的に水平な突条8aを有する雄ダイス8と、雄ダイス
8の突条8aと向き合った所定長さの実質的に水平な溝9a
を有する雌ダイス9とからなるドロービード試験機を使
用し、供試体10を、上述したドロービード試験機の雄ダ
イス8と雌ダイス9との間の間隙内に垂直に挿入し、雄
ダイス8と雌ダイス9とを、500Kgfの圧力で押しつけ、
そして、矢印に示すように上方に引き抜いてしごいた。
このようにしてしごかれた供試体10に接着テープを貼り
次いでこれを剥がして、めっき被膜の剥離量を測定し
た。なお、雄ダイス8の突条8aの先端は0.5R、雌ダイス
9の肩は1R、そして、雄ダイス8の突条8aおよび雌ダイ
ス9の溝9aの幅は40mm、供試体10の幅は30mmであった。
(3) 耐食性試験 供試体の表面上に、電着塗装、中塗り塗装および上塗
り塗装を施した後、鋼板に達するクロスカットを入れ
た。このようにクロスカットの入った供試体について、
5%NaCl溶液を1週間に2回散布する塩水散布暴露試験
を1年間施した後の供試体の、クロスカットの片側にお
ける塗膜の膨れ幅を測定し、得られた膨れ幅によって、
耐食性を評価した。
評価基準は、次の通りである。
第2表から明らかなように、第1電気めっき槽におい
て、この発明の範囲よりも低い電流密度で電気めっきを
施した比較用供試体No.1は、下層としての合金化溶融鉄
−亜鉛合金めっき層の上に、中間層としての実質的に鉄
からなる電気めっき層を形成することができず、従っ
て、塗膜中に気泡状欠陥が多量に発生し、電着塗装性が
悪かった。
第2電気めっき槽以下において、この発明の範囲より
も高い電流密度で電気めっきを施した比較用供試体No.2
は、所望の鉄含有量を有する、上層としての鉄−亜鉛合
金電気めっき層を形成することができず、塗装後に糸状
錆が発生し、耐食性が悪かった。
これに対して、第2表から明らかなように、本発明供
試体No.1〜4は、何れも、塗膜に気泡状欠陥が発生せ
ず、そして、クレーター状ピンホールの発生も少なく、
電着塗装性、加工性および耐食性に優れていた。
〔発明の効果〕
以上述べたように、この発明によれば、プレス等によ
って厳しい成形加工が施されても、塗膜に、下層として
の合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層に発生した亀裂や剥
離に基づく気泡状欠陥が生ぜず、且つ、クレーター状ピ
ンホールも殆ど生じない、優れた電着塗装性を有し、且
つ、加工性および耐食性に優れた、複数の鉄−亜鉛合金
めっき層を有する鉄−亜鉛合金めっき鋼板を製造するこ
とができる、工業用有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の方法の1実施態様を示す工程図、
第2図(イ)〜(ハ)は、この発明の方法による鉄−亜
鉛合金めっき鋼板の製造過程を示す断面模式図、第3図
は、加工性試験に使用したドロービード試験機の概略断
面図である。 図面において、 1……鋼板、 2……合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層、 3……実質的に鉄からなる電気めっき、 4……鉄−亜鉛合金電気めっき層、 5……第1電気めっき槽、 6……第2電気めっき槽、 7……第3電気めっき槽、 8……雄ダイス、8a……突条、 9……雌ダイス、9a……溝、 10……供試体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稲垣 淳一 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (72)発明者 森田 正哉 東京都千代田区丸の内1丁目1番2号 日本鋼管株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 28/02 C25D 5/26

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋼板を、溶融亜鉛めっき浴が収容された溶
    融亜鉛めっき槽に通し、前記鋼板の表面上に亜鉛めっき
    層を形成し、次いで、前記鋼板を加熱して、前記亜鉛め
    っき層と前記鋼板とを合金化させ、かくして、前記鋼板
    の少なくとも1つの表面上に、所定めっき量の下層とし
    ての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層を形成し、 次いで、下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金めっき層
    が形成された前記鋼板を、鉄−亜鉛合金電気めっき浴が
    収容された複数の電気めっき槽に順次通し、前記複数の
    電気めっき槽中の第1電気めっき槽において、200A/dm2
    以上の電流密度によって前記鋼板に電気めっきを施すこ
    とにより、前記下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金め
    っき層の上に、所定めっき量の中間層としての実質的に
    鉄からなる電気めっき層を形成し、ついで、前記複数の
    電気めっき槽中の第2電気めっき槽以降において、200A
    /dm2未満の電流密度によって前記鋼板に電気めっきを施
    すことにより、前記中間層としての実質的に鉄からなる
    電気めっき層の上に、所定めっき量の上層としての鉄−
    亜鉛合金電気めっき層を形成することを特徴とする、電
    着塗装性および加工性に優れた、複数の鉄−亜鉛合金め
    っき層を有する鉄−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
    めっき層のめっき量は、前記鋼板の片面当たり30〜120g
    /m2の範囲内であり、前記中間層としての実質的に鉄か
    らなる電気めっき層のめっき量は、前記鋼板の片面当た
    り0.5〜2g/m2の範囲内であり、そして、前記上層として
    の鉄−亜鉛合金電気めっき層のめっき量は、前記鋼板の
    片面あたり1〜10g/m2の範囲内である、請求項1記載の
    鉄−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法。
  3. 【請求項3】前記下層としての合金化溶融鉄−亜鉛合金
    めっき層の鉄含有量は、7〜15wt.%の範囲内であり、
    そして、前記上層としての鉄−亜鉛合金電気めっき層の
    鉄含有量は、50〜95wt.%の範囲内である、請求項1記
    載の鉄−亜鉛合金めっき鋼板の製造方法。
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