JP2934930B2 - 人工土壌構造体及びこれを用いた植物の育成方法 - Google Patents

人工土壌構造体及びこれを用いた植物の育成方法

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JP2934930B2 JP5148578A JP14857893A JP2934930B2 JP 2934930 B2 JP2934930 B2 JP 2934930B2 JP 5148578 A JP5148578 A JP 5148578A JP 14857893 A JP14857893 A JP 14857893A JP 2934930 B2 JP2934930 B2 JP 2934930B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規に改良された人工土
壌構造に関する。更に詳しくは、乾燥地帯の土壌、特に
砂漠において、植物を生育させるために必要な水分を供
給できる人工土壌構造体ならびにそれを用いた植物の育
成方法に関するものである。
【0002】
【関連技術】世界の陸地を占める砂漠の割合は現在約3
0%前後であるが、その面積は増加しつづけている。こ
れには種々の原因があるが、樹木の乱伐や酸性雨などの
環境汚染、地下水の大量摂取、オゾン層の破壊や二酸化
炭素ガスの増加などに起因すると考えられる異常気象な
ど、人類の生産活動に伴う環境破壊的な要因に基ずくも
のが少なくない。
【0003】その一方で世界の人口は年々増加し、この
人口増加に伴う将来の食糧危機を回避するためにも、土
壌の砂漠化を防止するとともに、砂漠化して枯死した土
壌を生き返らせる必要がある。
【0004】また、食糧危機を回避する目的からは、近
年のバイオテクノロジーの技術により農作物それ自体を
改良して生産効率をあげる努力もなされている。しかし
ながら、農作物の生産効率を上げるためには農作物が育
つ土壌を各種農作物に適した土壌に改良する必要があ
る。
【0005】従来、実際の農業生産においては、土壌表
面を耕したり、あるいは肥料を与えたりする程度の土壌
改良は日常的に行なわれていたが、土壌構造に基ずく根
本的な土壌環境の改良を目的として、土壌を構成する地
層を人工的に組み立てて、実際の農業生産を行なう方法
は通常行なわれているものではなかった。
【0006】上述したように、現在、地球環境的なレベ
ルで土壌の環境的性質を人類にとって望ましいものにす
るために土壌構造の改良が必要となりつつあるが、この
土壌の環境的性質は土壌中の水分によって決定されるこ
とが多い。したがって、土壌中の水分を人工的に制御す
ることができるように土壌構造を改良することが第一に
必要となる。
【0007】乾燥地帯の土壌、特には砂漠あるいは砂丘
等において、農業を行なうためには、農作物を植える土
壌層に必要な水分を常時供給しなければならず、水分を
常時供給可能な人工土壌構造体が必要となる。
【0008】従来、土壌中の水分を制御する手段として
は、例えば土壌と保水性高分子化合物を混合したり、あ
るいは、特開平1−319585号公報にあるように、
土壌の表面を高分子水素シロキサンで処理する手段が提
案されている。
【0009】一方、砂漠や砂丘などの乾燥地帯において
は、真水をどのように確保し農作物の土壌に供給するか
が問題となる。例えば、海水を淡水化装置で大量に淡水
にして、これを用いてかんがい農業をおこなう方法も考
えられるが、大規模な淡水化装置が必要となりコスト的
に問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
見地から鋭意研究を重ねてきたが、その結果、農業を行
なうことができない砂漠などの乾燥した土壌構造を、通
水層と、その上に存在する砂利層と、砂利層の上に存在
する疎水性粒子からなる疎水層と、疎水層の上に存在す
る上層とを有する構造にして、通水層に海水を流通させ
ると、驚くべきことに、農作物が生育する上層に必要な
水分を効率良く供給できることを見出し本発明を完成す
るに至った。
【0011】本発明の主な目的は、従来のように単に土
壌の表面のみを改良するものではなく、土壌を構成する
地層帯の構造に、特定の組合せからなる通水層及び疎水
層を設けることにより、必要な水を確保し、農作物を栽
培する土壌の上層に必要な水分を効率よく供給して、農
業ができない砂漠等の乾燥地帯において、植物栽培に適
した土壌環境を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、特許
請求の範囲の請求項1に記載してあるように、土壌中の
通水層と、その上又はそれを取囲んで存在する砂利層
と、砂利層の上に存在する疎水性粒子からなる疎水層
と、疎水層の上に存在する上層とを有する人工土壌構造
体である。
【0013】また、本発明は、特許請求の範囲の請求項
2に記載してあるように、疎水性粒子は砂及び/又は土
の粒子が撥水剤で処理されたものである請求項1に記載
の人工土壌構造体である。
【0014】さらに、本発明は、特許請求の範囲の請求
項3に記載してあるように、撥水剤がシリコーン系又は
フッソ系撥水剤である請求項2記載の人工土壌構造体で
ある。
【0015】また、本発明は、特許請求の範囲の請求項
4に記載してあるように、通水層は海水などの水及び空
気を送り込む層である請求項1ないし3のいずれか1項
に記載の人工土壌構造体である。
【0016】さらに、本発明は、特許請求の範囲の請求
項5に記載してあるように、乾燥した地面または砂漠を
有限の面積及び深さに堀削し、地中に形成された空間
に、海水などの水と空気を流通させる通水層を設け、該
通水層の上またはそれを取囲むように砂利層を設け、該
砂利層の上に撥水剤で処理した撥水砂層を設け、該撥水
砂層の上に上層を設けて、該上層に植物を育成する植物
の育成方法である。
【0017】また、本発明は、特許請求の範囲の請求項
6に記載してあるように、上層は、砂または保水性を有
する物質を含む砂または土からなる親水性土壌である請
求項5記載の植物の育成方法である。
【0018】さらに、本発明は、特許請求の範囲の請求
項7に記載してあるように、海水などの水を太陽熱によ
り加熱後通水させる請求項5または6記載の植物の育成
方法である。
【0019】本発明を実施態様を挙げながら以下に説明
する。本発明の通水層とは、土壌中に設定するものであ
り、この通水層に水が供給される。通水層は水が供給で
き、通水層全体に水が行渡るように、通水可能な構造に
なっていればよい。いわゆる地下水路のような機能を有
する層である。通水層に供給される水は海水であっても
よい。
【0020】通水層に供給される水は、海または水源か
ら、例えば、位置エネルギーやポンプ等を用いて通水層
に水を循環させることも可能である。自然流水を通すこ
とも可能である。通水層に供給する水を太陽熱を利用し
て加熱することも好ましい。
【0021】通水層は、人工的にコンプレッサーを用い
て空気を送りこみ通水層を流れる水に通気することがで
きる。空気を送り込むと十分な水が通水層から上層に供
給されるので好ましい。
【0022】通水層の上には砂利層が設定される。ま
た、通水層を取囲んだ状態で砂利層が設定されてもよ
い。例えば、通水層として、放水のために一定の間隔の
孔を持つパイプを、砂利層の下又は砂利層に埋設させて
もよい。また、砂利層に直接通水して砂利層が通水層と
して機能してもよい。この砂利層は任意の厚さでよい。
この砂利層を通水層の上に存在させるためには、例え
ば、通水層の底面及び側面は水をある程度保持でき、通
水層の上面は、水が砂利層に浸透可能でかつ砂利層が通
水層に落ちてこないような構造にしなければならない。
例えば、U字型のコンクリート製の排水溝の上に、金属
あるいは樹脂製の網を被せて、これに水を供給して通水
層とし、その上に砂利層を設けることもできる。
【0023】疎水性粒子からなる疎水層とは砂利層の上
に存在し、疎水性の性質を有するものであって粒子状の
ものからなる層であって、その材料は無機系あるいは有
機系を問わない。砂利層の上とは、地表に向って上の層
にという意味で、砂利層と必ずしも接している必要はな
く、例えば、砂利層の上の砂層を介して疎水層が存在し
ていてもよい。すなわち、砂利層と上層の間に疎水層が
存在していればよい。
【0024】疎水層は実質的に疎水性粒子から構成され
ていればよく、他の性質を有する粒子が混合していても
層全体として疎水性の性質が失われていなければ本発明
の範囲である。
【0025】疎水性とはいわゆる撥水性をも含む概念で
あり、具体的には、砂及び/又は土の粒子を撥水剤で処
理することにより得られる。特に、砂を撥水剤で処理し
た撥水砂が好ましい。
【0026】本発明の疎水層を構成する疎水性粒子の粒
子径は本発明の目的を達成できる範囲内であれば特に限
定されるものではないが、好ましくは、水分の制御のし
やすさから平均粒子径が4000μm以下のものが好ま
しい。特に好ましくは2000μm以下である。
【0027】使用される撥水剤としては、一般に撥水剤
として使用されているものであれば特に限定されずに利
用できるが、特にはシリコーン系、フッソ系のものが好
ましい。
【0028】シリコーン系撥水剤としては、例えば、次
の一般式(化1)であらわされるシリコーン化合物が挙
げられ、このまま直接(無溶剤)又はトルエン、キシレ
ン、トリクレンなどの溶剤に希釈して、あるいはエマル
ジョンタイプとして使用する。また、ジブチルスズジラ
ウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズ
ラウレート、鉄オクテートなどの硬化触媒を使用しても
よい。
【0029】
【化1】 R1aR2bSiOx [R1は同種又は異種の非置換又は置換1価炭化水素
基;R2は加水分解可能な基、−OH又は−Hから選択
される同種又は異種の基;a、b は、0≦a<4、0≦b
≦4、0<a+b≦4で示される数; x=(4−a−b)/2 を表わす。] 例えば、一般式(化1)で、R1は、メチル基、エチル
基、プロピル基、デシル基などの炭素数1〜15のアル
キル基、ビニル基、アリル基などのアルケニル基、フェ
ニル基などのアリール基、シクロアルキル基、CH3
2CH2− などの上記の基の炭素原子に結合した水素
原子の一部又は全部をハロゲン原子又シアノ基などで置
換した基である。また、R2は、アルコキシ基、アシロ
キシ基、ケトキシム基、アミノ基、アミノキシ基、アミ
ド基、エノキシ基、アルケニルオキシ基などの加水分解
可能な基、塩素などのハロゲン基、−OR3(R3はNa
又はK)、−OH、−H などである。
【0030】具体的なシリコーン化合物としては、例え
ば(化2)から(化5)で示される次の化合物が使用さ
れる。
【化2】 HO-Si(ONa)(CH3)-[OSi(ONa)CH
3]n-OH (n : 0,1,2)
【化3】 CH3-[SiO(CH3)2]mー[SiO(H)(C
3)]lーSi(CH3)3 (l,m : 0又は整数)
【化4】 R4-[SiO(CH3)2]k-Si(CH3)24 (K : 整数、R4:−OH、−CH=CH2、OCH3
【化5】 CH3SiCl3、C1021SiCl3、CF3CH
2CH2SiCl3、 CH3Si(OCH3)3又はこの部分加水分解物
【0031】また、
【化6】 (CH3)3SiNH-Si(CH3)3 のシラザン化合物も本発明に使用される撥水剤として有
用である。
【0032】砂や土の粒子の撥水剤による表面処理方法
としては、通常、粉体の表面処理に用いられている方法
に従えばよい。例えば、メカノケミカルな方法で各種シ
リコーン油と砂を混合して表面処理を行ない、疎水性粒
子を製造することが可能である。
【0033】疎水性粒子としては上記した撥水砂などが
好ましいが、表面が疎水性である高分子ポリマー(プラ
スチック)の微粒子が利用も考えられる。なかでも、オ
ルガノシリコーン系のものが好ましく、ポリメチルシル
セスキオキサンが特に好ましい。
【0034】また、例えば廃プラスチックを粒子状に粉
砕したものを利用することも出来、これによって廃プラ
スチックの有効利用が行なわれ廃プラスチックのゴミ処
理問題が解決される。これらの高分子ポリマーをさらに
撥水処理して用いることも可能である。
【0035】なお、具体例として上述した疎水性粒子以
外にも、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコ
ニア、酢酸バナジウム、酸化鉄等の疎水性粒状金属酸化
物、ガラスビーズ、オイルシェルの粉砕品、オイルサン
ド等の疎水性粒子も利用できることは言うまでもない
が、特には、これらの表面がシリコーン系撥水剤で処理
されたものが更に好ましい。ただし、オイルシェル、オ
イルサンドはシリコーン処理しないものでも有効に用い
ることができる。
【0036】疎水層の疎水性は、例えば疎水性粒子の種
類や疎水層の厚さを変化させることにより任意に調整可
能である。
【0037】すなわち、本発明の土壌中の疎水性粒子よ
りなる疎水層は、これを構成する疎水性粒子の種類、大
きさ、形状、及び土壌表面からの深度、水の制御率等に
応じ、適宜必要に応じて選択すればよい。例えば、疎水
性粒子である撥水砂と非疎水性粒子である撥水剤未処理
の普通の砂とを適宜混合し、疎水性の強弱を調節するこ
とが出来る。
【0038】本発明の上層とは、疎水層の上に存在する
層であり、本発明の3次元構造を有する土壌構造体の一
番上に位置する層であって、表面層を形成する層であ
る。通常、改良する土壌構造の表面層を用いることがで
き、例えば、砂漠であれば、砂からなる層である。
【0039】本発明においては、この上層が疎水層の上
に存在して疎水層を保護しており、疎水性粒子の風など
によるロスがなく、また太陽光線などのよる劣化がない
ので疎水層を構成する疎水性粒子の耐久性に優れるとい
う利点がある。この利点は、太陽光や風が強い乾燥地帯
において極めて有効である。
【0040】本発明は、上述の3次元構造を有する土壌
構造体である。土壌とは砂を含む概念である。特には、
砂漠地帯に本発明の人工土壌構造体を作り、農業などの
植物栽培に有用に用いることができる。すなわち、乾燥
した地面または砂漠を有限の面積及び深さに堀削し、地
中に形成された空間に、海水と空気を流通させる通水層
を設け、該通水層の上またはこれを取囲んで砂利層を設
け、該砂利層の上に撥水剤で処理した撥水砂層を設け、
該撥水砂層の上に上層を設けて、該上層に植物を育成す
る植物の育成方法に積極的に利用される。人工土壌構造
体は、例えば、大型の容器の中に製造して植物を育成す
ることもできる。
【0041】上層は、植物を植えてその根が存在する層
である。この場合、上層は、砂、保水性物質を含む砂ま
たは土からなる親水性土壌であることが好ましい。
【0042】保水性を有する物質は、例えば、PVA、
MC、CMCなどの保水性ポリマーや、アクリル系高分
子の吸水性ポリマー、あるいは、ピートモス、無機系の
パーライト、モンモリロナイト、バーミキュライト及び
これらの混合物が用いられる。
【0043】保水性を有する物質は、ピートモス、粘度
などの天然の保水性物質が望ましい。
【0044】また、使用する保水性物質が高分子アミラ
ーゼなどの高分子の場合は、セルナーゼ、ペプタラーゼ
等の酵素に対して耐久性のある高分子が好ましい。さら
に、分解により有毒性物質を生じるものは好ましくな
く、使用する土壌環境を破壊しないものが好ましい。こ
の点で、セルロース誘導体、ガム類、PVAなどが好ま
しい。
【0045】特に乾燥が激しい砂漠地域などで本発明を
使用する場合は、保水性が良好でかつ自重の数百倍以上
の水を吸収できるいわゆる吸水性ポリマーを保水剤とし
て含有する人工土壌構造体が好ましい。
【0046】砂漠地帯はいわゆる真水を確保することは
困難である。本発明を実際に砂漠に用いる場合の最も好
ましい態様は、海水を海岸から確保して、通水層に循環
させる態様である。
【0047】海水をそのまま植物に供給することはいわ
ゆる塩害の被害が生じ不可能である。また、海水を淡水
化装置を用いて真水にする方法は、極めて大きい装置が
必要となりコスト的にも極めて高いものとなる。
【0048】しかしながら、本発明の人工土壌構造体
は、海水を通水層に利用しても、塩害の被害が生じるこ
となく植物を栽培する上層に必要な真水を供給できると
いう点で、極めて実用的な効果を有する。
【0049】通水層には、直接海から、例えばポンプを
用いて、海水を循環させることができる。また、コンプ
レッサーを用いて通水層に空気を送り込み圧力をかける
と、空気を送り込まない場合に比べて、効率よく水が上
層に供給されるので好ましい。通水前に、使用する海水
などの水を、太陽熱により、5〜30℃に加熱すること
により、蒸発水量が増加し、使用空気量を減少させるこ
とができる。
【0050】本発明を実施するには、例えば、砂漠を堀
削して、海水を供給する通水層をコンクリートで作成
し、その上に樹脂製の網を被せて、その上に砂利を一定
の厚さに敷く。次に、撥水剤で処理した撥水砂を敷く。
例えば、コンクリートミキサーと同種の混合攪拌器を用
いて砂とシリコーン撥水剤を現場にて混合し砂利層の上
に敷設することができるし、またシリコーン油の工場か
らミキサー車を用いて砂を撥水処理しながら現場に向
い、作業をすることも可能である。
【0051】
【実施例】本発明を実験室レベルでの試験を行ないその
効果を確認した。本発明はこれに限定されるものではな
い。
【0052】[撥水砂の製造]アサノ珪砂3号(平均粒
径約1.2mm)及びアサノ珪砂7号(平均粒径約0.
1mm)それぞれ10Kgに、0.3%C1021Si
(Cl)3/n−ヘキサン溶液を2.5Kg注ぎ、攪拌
後室温にて約12時間放置し、濾過、水洗後、100℃
で乾燥し、疎水性粒子であるシリコーン処理撥水珪砂を
得た。
【0053】[人工土壌構造体の作成]内径75mm高
さ200mmのガラスの円筒の底から約15mmの位置
に空気を送り込む穴を設定した。この円筒容器に、ま
ず、7号珪砂600gと3%塩水140gを入れてこれ
を通水層とした。その上に平均径3〜5mmの砂利層を
約10mmの厚さになるように入れ、その上に上記で製
造したアサノ珪砂7号の撥水砂を17mmの厚さになる
ように入れ、その上に上層としてアサノ珪砂7号を乗
せ、実験室レベルで人工土壌構造体を作成した。
【0054】[効果試験]コンプレッサーをシリカゲル
及び流量計を通して円筒容器に接続し、通水層に、空気
を流さない場合、約10L/HR、約20L/HRの空
気を流した場合において、通水層の減量を測定し、上層
への水の供給量を測定した。また、上層での塩の析出を
観察した。効果試験は、雰囲気温度を約30℃に設定し
て放置して通水層の水の減量を測定した。
【0055】その結果、上層への塩の析出は起こらず、
通水層の水の減量は、空気流量に比例して経時とともに
徐々に起こり、通水層から上層へ水の供給が起こった。
撥水砂の代りに撥水処理をしていないアサノ珪砂を用い
て同様の試験を行なった場合においては上層へ塩の析出
が観察された。空気を流さない場合及び約10L/HR
の場合は、本発明の人工土壌構造体は、撥水砂からなる
層を有しない土壌構造体に比較し、通水層の減量が少な
い。したがって、砂漠などの温度が高い乾燥地帯におい
て、急激な蒸発による水のロスを抑制でき、空気流量を
調節することによって、適する量の水を上層に供給する
ことが可能である。また、アサノ珪砂3号の撥水砂を使
用して同様の試験を行なった場合も、上記と同様の効果
が観察された。
【0056】上記の人工土壌構造体の上層に、高分子ア
クリル酸ナトリウムを主成分とする保水剤のアクリホー
プ(日本触媒化学工業製)を0.1重量%の割合でアサ
ノ珪砂7号に混合すれば、保水剤含有の親水性土壌が得
られ、この上層に農作物などの植物を栽培することが可
能である。
【0057】[太陽熱により加熱された海水を通水する
太陽の人工土壌構造体]底部に排水孔を有する大型の容
器の底に、一定間隔で孔の開いた海水散水用のパイプA
と空気放散用のパイプBを貫通させ、パイプAには太陽
熱温水器を接続し海水を通水する。パイプBはコンプレ
ッサーを接続し空気を流す。容器の底には砂利を敷いて
パイプA及びBは砂利層の中に埋設させる。この砂利層
を10cm敷き、その上にアサノ珪砂7号を2cm敷
き、その上に上記で製造したアサノ珪砂7号の撥水砂を
1cm敷き、その上に、上層として、ピートモスを20
%含んアサノ珪砂8号を30cm敷いて、人工土壌構造
体を作成した。この人工土壌構造体を、太陽熱温水器で
加熱された海水を2.8L/HRの割合で通水させ、空気を
2.2m3/HRの割合で通風させながら、37℃にて放置
すると、上層の水分含有量は5.6%となり、植物を育
成するのに十分な水分が保有されていることが分かる。
この条件にて2000時間運転しても上層への食塩の蓄
積は全く認められなかった。比較のために、撥水砂の代
えて、撥水処理をしていないアサノ珪砂8号を用いた人
工土壌構造体では、同様の実験で、食塩の析出が認めら
れ、植物の育成に適しない土壌であった。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、従来のように単に土壌
の表面のみを改良するものではなく、土壌を構成する地
層帯の構造を改良することによって、農作物を栽培する
土壌に必要な水分を効率よく供給して、農業ができない
砂漠等の乾燥地帯において、植物栽培に適した土壌環境
を提供できる。また、海水を利用することにより、淡水
化装置などを利用することなく、真水を農作物に安定し
て供給することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−51930(JP,A) 特開 昭55−15608(JP,A) 実開 昭60−71646(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A01G 7/00 602 A01G 1/00 303

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌中の通水層と、通水層の上又はそれ
    を取囲んで存在する砂利層と、砂利層の上に存在する疎
    水性粒子からなる疎水層と、疎水層の上に存在する上層
    とを有する人工土壌構造体
  2. 【請求項2】 疎水性粒子は砂及び/又は土の粒子が撥
    水剤で処理されたものである請求項1に記載の人工土壌
    構造体
  3. 【請求項3】 撥水剤がシリコーン系又はフッソ系撥水
    剤である請求項2記載の人工土壌構造体
  4. 【請求項4】 通水層は海水などの水及び空気を送り込
    む層である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の人
    工土壌構造体
  5. 【請求項5】 乾燥した地面または砂漠を有限の面積及
    び深さに堀削し、地中に形成された空間に、海水などの
    水と空気を流通させる通水層を設け、該通水層の上又は
    それを取囲むように砂利層を設け、該砂利層の上に撥水
    剤で処理した撥水砂層を設け、該撥水砂層の上に上層を
    設けて、該上層に植物を育成する植物の育成方法
  6. 【請求項6】 上層は、砂または保水性を有する物質を
    含む砂または土からなる親水性土壌である請求項5記載
    の植物の育成方法
  7. 【請求項7】 海水などの水を太陽熱により加熱後通水
    させる請求項5または6記載の植物の育成方法
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