JP2932578B2 - 筆記具材料 - Google Patents

筆記具材料

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は筆記後に水を含んだ布で容易に消すことので
きる固形の筆記具材料に関する。
〔従来の技術〕
水で拭くことによって容易に消すことのできるクレヨ
ンや鉛筆の芯の材料としては、特開昭52−58621号公報
にパラフィンろう等のワックスと炭酸カルシウム等の増
量剤と着色顔料と水溶性界面活性剤とを混合して成形し
たものが提案されており、特開昭59−176369号公報には
分子量1,000以上のポリエチレングリコールと非イオン
界面活性剤と着色剤とを混合して成形したものが提案さ
れている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、パラフィンろう等のワックスを混合し
た材料を用いて筆記あるいは描画後、水を含んだ布で拭
いても色残りして完全には消すことができず、また経済
的に材料が外装材へ移行する欠点があり、ポリエチレン
グリコールと非イオン界面活性剤を混合したものはこの
ような欠点はないが、顔料や増量剤をうまく分散できな
い欠点がある。
本発明は水を含んだ布で容易に消すことができ、顔料
や増量剤が均一に分散された水溶性筆記具材料を提供す
ることを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らはこれらの課題を解決すべく鋭意検討した
結果、特定の共重合体とポリアルキレングリコール誘導
体の混合物が顔料を均一に分散でき、かつ書き味が良
く、筆記後も水を含んだ布で容易に消去できるクレヨン
や鉛筆の芯等の固形の筆記具材料となることを見い出
し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、(a)一般式(1)で示される
アルケニルエーテルと無水マレイン酸と他の単量体との
モル比が5〜60:20〜90:0〜50である共重合体と(b)
一般式(2)で示されるポリオキシアルキレングリコー
ル誘導体と(c)着色剤とからなる筆記具材料である。
(ただし、Zは多価フェノール、多価アルコール、糖類
およびそれらの部分エーテル化物や部分エステル化物か
ら選ばれる水酸基をもつ化合物の残基、A1Oは炭素数2
〜18のオキシアルキレン基の1種または2種以上の混合
物で、2種以上のときはブロック状に付加していてもラ
ンダム状に付加していてもよく、R1は炭素数2〜5のア
ルケニル基、R2は炭素数1〜24の炭化水素基またはアシ
ル基、aは1〜8、bは0〜7、cは0〜7、a+b+
c=2〜8、l、mおよびnはそれぞれ0〜1,000、か
つal+bm+cn=1〜1,000である。) (ただし、Yは多価フェノール、多価アルコール、糖類
およびそれらの部分エーテル化物や部分エステル化物か
ら選ばれる水酸基をもつ化合物の残基。A2Oは炭素数3
〜18のオキシアルキレン基で、オキシエチレン基とオキ
シアルキレン基はブロック状に付加していてもランダム
状に付加していてもよく。R3は炭素数1〜24の炭化水素
基またはアシル基、dは0〜8、eは0〜8、d+e=
2〜8、pおよびrはそれぞれ0〜500、pd+re=30〜
1,000、qおよびsはそれぞれ0〜300、qd+se=0〜60
0、かつpd+re>qd+seである。) 一般式(1)において、Zを残基とする多価フェノー
ル、多価アルコール、糖類およびそれらの部分エーテル
化物や部分エステル化物から選ばれる2〜8個の水酸基
を持つ化合物としてはカテコール、レゾルシン、ヒドロ
キノン、フロログルシン等の多価フエノール、エチレン
グリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコー
ル、ドデシレングリコール、オクタデシレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール、スチレングリコール、グ
リセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロ
ールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5ペンタン
トリオール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、
ソルビタン、ソリバイド、ソルビトール−グリセリン縮
合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マ
ンニトール等の多価アルコール類、キシロース、アラビ
ノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクト
ース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビ
オース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、
シュークロース、ラフイノース、ゲンチアノース、メレ
ジトース等の糖類、それらの部分エーテル化物や部分エ
ステル化物などがある。
A1Oで示される炭素数2〜18のオキシアルキレン基と
しては、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキ
シブチレン基、オキシテトラメチレン基、オキシスチレ
ン基、オキシドデシレン基、オキシテトラデシレン基、
オキシヘキサデシレン基、オキシオクタデシレン基など
がある。
一般式(1)においてR1で示される炭素数2〜5のア
ルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタリル
基、1,1−ジメチル−2−プロペニル基、3−メチル−
3−ブテニル基などがある。
R2で示される炭素数1〜24の炭化水素基としてはメチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル
基、イソブチル基、第三ブチル基、ペンチル基、イソペ
ンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、2−エチルヘキシ
ル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル
基、ドデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、
ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、オクタデシル
基、イソオクタデシル基、オレイル基、オクチルドデシ
ル基、ドコシル基、デシルテトラデシル基、ベンジル
基、クレジル基、ブチルフエニル基、ジブチルフエニル
基、オクチルフエニル基、ノニルフエニル基、ジノニル
フエニル基、スチレン化フエニル基などがあり、またア
シル基としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪
酸、カプロン酸、カプリル酸、2−エチルヘキサン酸、
ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン
酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、マーガリン酸、
ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン
酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノ
レン酸、エルカ酸等に由来するアシル基がある。
他の単量体としては一般式(1)のアルケニルエーテ
ルおよび無水マレイン酸と共重合しうるビニル型単量体
があり、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロ
トン酸、マレイン酸、これらの一価または二価の金属
塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、炭素数1〜24のア
ルコールとのエステル、ポリオキシアルキレングリコー
ルとのエステル、さらにはスチレン、メチルスチレンな
どの芳香族ビニル化合物、塩化ビニル、塩化ビニリデン
などのハロゲン化ビニル化合物、イソブチレン、ジイソ
ブチレンなどのオレフイン、酢酸ビニル、アクリロニト
リル、アクリルアミドなどがある。
本発明で使用する共重合体は、一般式(1)のアルケ
ニルエーテルと無水マレイン酸と、必要によりさらに他
の単量体とをベンゾイルペルオキシド、アゾビスイソブ
チロニトリル等のラジカル重合触媒の存在下で共重合す
ることによって得ることができる。
共重合を行う場合にはトルエン等の溶媒を使用しても
よく、融点の低いアルケニルエーテルの場合には溶媒を
使用しなくても良い。
本発明の共重合体におけるアルケニルエーテルと無水
マレイン酸と他の単量体とのモル比は、5〜60:20〜90:
0〜50であり、好ましくは30〜50:30〜70:0〜40である。
また、重量平均分子量は2,000以上である。
一般式(1)において、R1で示されるアルケニル基は
無水マレイン酸と共重合させるために少なくとも1個は
必要であり、また、水に溶けることが必要なのでaは1
または2であることが好ましい。
A1Oで示されるオキシアルキレン基は合計の付加量(a
l+bm+cn)で少なくとも1個は必要であるが、1,000を
越えると粘度が著しく高くなって取り扱いが困難になる
ので1,000以下であることが必要で、好ましくは500以下
である。
オキシアルキレン基は水溶性であるためにはオキシア
ルキレン基の量が全体の分子量の30%以上であるが、そ
うでない場合は酸無水物基の部分を塩にして使用するの
が好ましい。
一般式(2)において、Yを残基とする多価フェノー
ル、多価アルコール、糖類およびそれらの部分エーテル
化物や部分エステル化物から選ばれる2〜8個の水酸基
をもつ化合物としては、一般式(1)のZを残基とする
多価フェノール、多価アルコール、糖類およびそれらの
部分エーテル化物や部分エステル化物から選ばれる化合
物として例示したものがある。
また、A2Oで示される炭素数3〜18のオキシアルキレ
ン基としては、一般式(1)のA1Oで示される炭素数2
〜18のオキシアルキレン基として例示したものから、オ
キシエチレン基を除くものである。
R3の炭素数1〜24の炭化水素基またはアシル基として
は、一般式(1)のR2として例示したものがある。
また、水に溶けるためにはオキシエチレン基の量(pd
+re)はオキシアルキレン基の量(qd+se)より多いこ
とが必要で、融点を高くする場合にはオキシエチレン基
の量が全体の分子量の70%以上であることが好ましい。
さらに、オキシエチレン基の量(pd+re)は30未満で
あると融点が低すぎて常温で固体とならず、オキシエチ
レン基とオキシアルキレン基の合計量(pd+qd+re+s
e)が1,600を越えると粘度が高くなって取り扱いが困難
になる。
また、共重合体と一般式(2)のポリオキシアルキレ
ングリコール誘導体との混合比は、両者は任意の割合で
混合できるが、本発明の効果を発揮させるためには、9
0:10〜5:95であり、好ましくは50:50〜10:90である。
また、着色剤としては筆記具に通常使用される無機や
有機の顔料、染料などが通常使用される範囲で使用され
る。
さらに、本発明の筆記具材料には従来からクレヨン等
に一般に使用されている酸化チタン、タルクなどの充填
剤、硬化油、高級アルコールなどの賦形剤などが必要に
応じて添加される。
〔発明の効果〕
本発明は特定の共重合体とポリアルキレングリコール
誘導体と着色剤とからなるように構成したことにより、
着色剤が均一に分散され、描画後も水を含む布で拭くだ
けで容易に消去できる筆記具材料である。
〔実施例〕
本発明を実施例および比較例により説明する。
実施例1〜5および比較例1〜2 表1の共重合体を用いた表2に示す組成のクレヨン材
料を用いて下記のテストを実施した。
テスト1:クレヨン材料100重量部に染料(大日本イン
キ化学工業(株):ダイレクトスカイブルー6B)を10重
量部加え、30分間攪拌して混合したのち、80℃の恒温槽
に1時間静置したときの外観をつぎの規準により評価し
た。
○:均一に分散している。
△:底に一部沈澱物がある。
×:ほとんど分離している。
テスト2:テスト1で配合した材料を再度攪拌したの
ち、直径1cm、長さ5cmの円柱状の型に流しこみ、室温で
固めてクレヨンを作製した。このクレヨンを用いて、和
紙、上質紙およびキャンバスに長さ10cmの線を引き、30
分後と1月後に水を含んだ布で拭き、線の消え具合を下
記の基準で評価した。
○:こするだけで簡単に線が消える。
△:線は薄くなるが、完全には消えない。
×:線が少し薄くなるだけである。
以上のテスト結果を表3に示すが、本発明の筆記具材
料が顔料の分散性に優れ、かつ水を含んだ布で拭くだけ
で簡単に消去できることがわかる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)一般式(1)で示されるアルケニル
    エーテルと無水マレイン酸と他の単量体とのモル比が5
    〜60:20〜90:0〜50である共重合体と(b)一般式
    (2)で示されるポリオキシアルキレングリコール誘導
    体と(c)着色剤とからなる筆記具材料。 (ただし、Zは多価フェノール、多価アルコール、糖類
    およびそれらの部分エーテル化物や部分エステル化物か
    ら選ばれる2〜8個の水酸基を持つ化合物の残基、A1O
    は炭素数2〜18のオキシアルキレン基の1種または2種
    以上の混合物で、2種以上のときはブロック状に付加し
    ていてもランダム状に付加していてもよく、R1は炭素数
    2〜5のアルケニル基、R2は炭素数1〜24の炭化水素基
    またはアシル基、aは1〜8、bは0〜7、cは0〜
    7、a+b+c=2〜8、l、mおよびnはそれぞれ0
    〜1,000、かつal+bm+cn=1〜1,000である。) (ただし、Yは多価フェノール、多価アルコール、糖類
    およびそれらの部分エーテル化物や部分エステル化物か
    ら選ばれる2〜8個の水酸基を持つ化合物の残基。A2O
    は炭素数3〜18のオキシアルキレン基で、オキシエチレ
    ン基とオキシアルキレン基はブロック状に付加していて
    もランダム状に付加していてもよく、R3は炭素数1〜24
    の炭化水素基またはアシル基、dは0〜8、eは0〜
    8、d+e=2〜8、pおよびrはそれぞれ0〜500、p
    d+re=30〜1,000、qおよびsはそれぞれ0〜300、qd
    +se=0〜600、かつpd+re>qd+seである。)
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