JP2932073B2

JP2932073B2 - 医療用チューブ

Info

Publication number: JP2932073B2
Application number: JP1095983A
Authority: JP
Inventors: 伸子斎藤; 伸一宮田; 清高木; 隆司川端
Original assignee: Nippon Zeon Co Ltd
Current assignee: Zeon Corp
Priority date: 1989-04-15
Filing date: 1989-04-15
Publication date: 1999-08-09
Anticipated expiration: 2014-08-09
Also published as: JPH02274266A

Description

【発明の詳細な説明】［産業上の利用分野］本発明は、胆管留置チューブや胆着ドレイン等の医療
用チューブの改良に関し、さらに詳しくは、これらの医
療用チューブの挿入が容易に行え、かつ体内に挿入され
た後は抜けなどが防止され、体内での固定を確実とした
医療用チューブに関するものである。

［従来の技術］切除不能の悪性腫瘍による閉塞性黄疸患者等や肝内結
石症などで胆道鏡検査を行わなければならない患者等に
対して、患者の瘻孔維持を目的として、特殊な補綴用チ
ューブを皮下に埋め込む方法が一般的に用いられてい
る。

しかし、このような挿入方法では、チューブの固定が
うまくいかず、チューブが目的部位以外の胆管あるいは
十二指腸へ逸脱してしまうという欠点がある。

その結果、該チューブによる外科的治療操作、薬液の
患部への集中投与及び分泌液の抜き取りなどが困難とな
る。

［発明が解決しようとする課題］本発明は、上記の欠点を解決するものであって、狭窄
部等の処置（特に拡張）などの治療、薬液の投与及び液
の抜き取りなどの治療操作を容易にするためにチューブ
の位置の固定機能を有しているチューブであって、しか
も挿入が容易かつ確実に行える医療用チューブを提供す
ることを目的とする。

［課題を解決するための手段］本発明者らは、患部の形状に適した固定用突起部を医
療用チューブに設けると挿入が困難になるという隘路
を、該固定用の突起部を形状記憶材料を使用することに
より、挿入時の形状と固定時の形状を変化させることに
より解決して本発明を為すに至った。

すなわち、本発明は、次の各項の発明よりなるもので
ある。

１後端部分、中間部分及び先端部分を有する医療用チ
ューブであって、後端部分に固定板を有し、先端部分の
側面又は中間部分の側面の回りに、少なくとも１つの突
起部が取り付けられ、前記突起部が、形状回復温度が20
〜70℃の形状記憶材料からなり、前記チューブを体内に
挿入して固定させることができるように、前記医療用チ
ューブの長手方向に対して、横方向に、鍔状又は放射状
に拡がる固定用拡大形状を有し、体内挿入前は、前記医
療用チューブの側面に折り曲げ変形させ、体内に挿入さ
れた後、形状回復温度以上の温度において、前記固定用
拡大形状に回復するように、形状記憶したものであるこ
とを特徴とする医療用チューブ。

２外管シースを装着した１項記載の医療用チューブ。

３表面が粗面化されている１項又は２項記載の医療用
チューブ。

本発明の医療用チューブは、ダイレーター、胆管留置
チューブ、胆管ドレナージセットなどのように、体内に
挿入して、狭窄部を課長したり、患部に薬剤を投与した
り、患部から分泌物を吸引したりする機能を果たす医療
用チューブに使用することができる。

本発明医療用チューブに用いる形状記憶材料として
は、形状記憶樹脂又は形状記憶合金を使用することがで
きる。

本発明に用いる形状記憶樹脂は、常温で樹脂、常温を
少し超えた温度でゴムに変化するような物質であり、つ
まり、ゴム状態において、成形された記憶形状を変形し
てこの形状のままガラス転移点（Tg）以下に冷却され、
樹脂状態になったゴムが再び加熱されるとゴム状態に戻
るとともに、ゴム弾性により変形前の記憶形状を回復す
る状態をいう。

このような形状記憶樹脂素材としては、特に制限がな
いが、例えば、ポリノルボルネン系、トランス−1,4−
ポリイソプレン系、スチレン・ブタジエン共重合体系又
はポリウレタン系などを使用することができる。

このような形状記憶樹脂の表面を、可撓性材料シート
で被覆することができる。

可撓性材料シートとしては、例えば、ポリエステル織
布又は編布等の合成繊維布、多孔性ポリテトラフルオロ
エチレン膜等の粗面被膜物質又はシリコーン、ポリウレ
タン、天然ゴム、クロルヒドリンゴム、フッ素化ゴム等
の弾性を有する被膜を使用することができる。

また、形状記憶樹脂の挙動をＸ線透視装置で確認する
ために、可撓性材料又は形状記憶樹脂のいずれかに造影
剤を含有させることができる。

また、表面を粗面化して、体内壁との摩擦を大きくす
ることができる。

粗面化の方法としては、例えば、表面に凹凸を設けた
り、薄い布を積層したり、表面に繊維を植毛したりして
行うことができる。

本発明に用いる形状記憶合金は、所定の形状回復温度
になると、常温における結晶とは別の結晶形態に変化し
て、その変化後の結晶形態で記憶させた形状に復元する
合金であり、例えば、Ti−Ni系、Cu−Zn−Al系、Co−Cr
系合金等の形状記憶合金を使用することができる。

形状記憶合金の場合も形状記憶樹脂と同様に、その表
面を可撓性材料で被覆することができる。

本発明の突起部に記憶させる拡大形状は、チューブを
体内に固定させる形状であれば固定部分の空間の状況に
適合させて、適宜選択することができるが、通常、チュ
ーブの先端部の側面又はチューブの中間部分の側面の回
りに、チューブの長手方向に対して、横方向に鍔状又は
放射状に広がる突起部を設けることができる。

この突起部により、器官の壁を押し付けてチューブを
固定することができる。

例えば、第１図（ａ）のようなチューブの回りに鍔状
の突起部形状にすることができる。

さらに、第１図（ｂ）のように２以上の突起部を連続
して設けることもでき、（ｃ）のように、鍔の切り目を
つけたものも縮小しやすいため拡大形状として大きい径
にすることができる利点がある。

同様に、第１図（ｄ）のような鍔の内部を打ち抜いた
形状も拡大倍率を大きくできるので好ましい。

また、第１図（ｅ）のように、先端部に向かって広が
る円錐状又はラッパ状の拡大形状の突起部にすることが
できる。

このようにすれば、一旦固定した突起部を外側にシー
スを用いて、該シースの中に引き込みやすくなり、本発
明の医療用チューブを抜き取る操作を容易にできる点で
便利である。

第１図（ｅ）の場合は、円錐形状の側面に切り目が入
っているのでさらに引き込みやすくなっている。

このように、引き込みやすくする目的の拡大形状とし
て外に種々考えられるが、第１図（ｅ）の切り目を多く
付け、多数の切片の端が重なって円錐状になっているも
のや、該円錐の側面に螺旋式に切り目を入れたものなど
好適に使用することができる。

第１図（ｆ）のように管の側面に垂直に２個以上のブ
レードを設けた形状なども使用することができる。

この形の変形として、管側面から三方又は四方に放射
状に伸びた棒状もしくはブレード状の突起部を設けたも
のなども使用することができる。

本発明チューブの突起部は、先端部及びチューブの中
間部に、１個又は複数個を設けることができる。

本発明のチューブは、管の先端から胆汁等の除去又は
薬液投与などの治療を行うことができるほか、管の先端
を閉じて管側面に穴を設けて体内の広い領域に対して、
前記除去又は投与などの治療を行うようにすることもで
き、さらに管の先端を開放した上、管の側面に穴をあけ
ることもできる。

本発明の突起部を設ける位置はチューブの先端部がも
っとも効果的であるが、例えば、挿入される器官の途中
に激しくチューブが移動しやすい部分がある場合、その
部分よりチューブの先端よりの固定用突起部を設けてお
くと、チューブの中間部のうねり運動の力が先端部に伝
わらないので、先端の位置が安定して便利である。

本発明チューブの突起部は、前記のように、該チュー
ブの先端近くに取り付けるのが先端が患部に対してその
機能を的確に行う上から好都合である。

本発明チューブの最先端は医療用機能を発揮する部分
として使用し、第１図のように、機能部分の手前にチュ
ーブの突起部を設けるのが普通である。

また、第１図（ｂ）のように、２個の突起部を連続し
て設けることにより、固定をさらに確実にすることがで
きる。

本発明のチューブの最先端に突起部を設けることもで
きる。この場合は、挿入時には管状になっていて、固定
時に開く構造にすることができる。また、管先と同じ径
にできる利点があるので、固定場所より手前の位置で、
薬液投与等をする場合には便利である。

本発明チューブを使用する場合は、まず、形状記憶材
料からなる突起部は、体内固定時の拡大敬造に記憶させ
たものをチューブの側面にできるだけ径が小さくなるよ
うに巻き付けて縮小する。

縮小した突起部を、形状回復温度以上に温度が上がら
ないように注意しながら、体内に挿入して、所定の位置
に達した所で、形状回復温度以上に突起部の温度を上げ
て、拡大形状に回復させる。

拡大したチューブの突起部は、例えば、体内壁を押し
付けたり、器官の出口を封鎖するような形でチューブの
先端部を固定することができる。

本発明を実施例の図面により、さらに、詳細に説明す
る。

第１図の本発明の胆管留置チューブは、従来の胆管留
置チューブの先端から途中の位置に鍔状の突起部が設け
てあり、これらは図に示すような拡大形状に記憶させて
いる。

このチューブを挿入前には、この突起部２をチューブ
の側面に手前の方に折り曲げ第３図のようにチューブの
回りにできるだけ径が大きくならないように変形させて
おく。

この胆管留置チューブは、後端から先端まで通路が貫
通していて、この通路によって、薬剤の注入や胆汁の吸
引又は洗浄を行うことができる。

このチューブの側面に、ドレナージを効率的にするた
めに側孔６があけてあってもよい。

本発明の医療用チューブの外側にさらに外管シースを
装着したものを使用することができる。

この場合、外側のシースは、ある程度の屈曲性ととも
に挿入の際の体外からの押し込み操作が伝達される腰の
強さがあるものが望ましい。

これが形状記憶材料のまわりを囲むようになるので、
シース内に温度制御された液を流すことができる。これ
より形状記憶材料の温度を所定の温度に容易に維持でき
る利点がある。

このシースの温度制御により、突起部の形状回復温度
が体温以下の形状記憶材料を使用した場合に、所定の位
置に本発明チューブが到達するまで、シース内に流す液
により冷却することができるので便利である。

このようなシース付き医療用チューブは、温水による
形状回復が患者の症状に好ましくない場合又は突起部の
形状記憶樹脂がゴム状の柔らかい状態で固定体壁に接触
させたい場合に特に好適に使用することができる。

本発明のシース付き医療用チューブの使用方法を第３
図により説明する。

まず、経皮経肝的に胆管（PTC）に針を穿針した後、
経皮経肝胆道ドレイン（PTCD）チューブを留置し（図示
せず）、瘻孔が形成させたところで、ダイレーター及び
ガイドワイヤー８（安全確保のため）によって狭窄した
胆管12を拡張する。シース７が挿入可能なくらいまで瘻
孔が拡張されたら、第４図（ａ）のようにして、ガイド
ワイヤー８に沿ってシース７を胆管に挿入すると第４図
（ｂ）の状態になる。シース７を挿入したら、ガイドワ
イヤー８を抜き、シース７内に形状記憶樹脂製突起部２
を小さく折りたたんだ状態でチューブ１を通していく
（第４図（ｃ））。Ｘ線透視又は胆道鏡等により、形状
記憶樹脂製突起部２が目的部位にきたら、シース７の温
水注入用ルーメン14より温水を流し、形状記憶樹脂製突
起部２を形状回復温度以上に加熱する（第４図
（ｄ））。加熱された形状記憶樹脂製突起部２は、元の
形状に復元し、チューブ１の十二指腸への逸脱を防止す
るようになる（第４図（ｅ））。

その後、体温で冷却されて、元の樹脂状の硬質部材に
変化する。

形状記樹脂製突起部２が元の形状に復元した後は、シ
ース７を抜き、同時にチューブ１の胆管への逸脱を防止
するために、チューブ１に付いている円板型の固定板５
と腹壁15とを糸で固定する。

後日、これを抜き取る場合は、形状によっては、拡大
形状のままで、引き抜くこともできるが、非常に大きな
拡大形状にした場合は、医療用チューブ１に沿ってシー
ス７の先端を突起部の位置まで挿入して、シースに温水
を送り、突起部をゴム化してから、シース７の先端部の
中に突起部２を引き込んで縮小してから抜き取ることが
できる。

この方式は、本発明のチューブに多数の突起部を設け
た場合にとくに好適であり、これらを総てシース内に縮
小形状にして、多数の突起部の抵抗をなくして抜き取る
ことができて便利である。

形状記憶合金を用いた場合は、拡大形状を前記第１図
（ｅ）のような円錐形状のようにしておけば、単にチュ
ーブを引き力だけでシースの中に引き込むことができ
て、これをシース内で縮小することができる。

いずれの形状記憶材料を用いた場合も突起部の拡大形
状を引き込みやすい形状、例えば、先端方向に開く花片
のような切片状したり、中空の円錐状の拡大形状にして
おくと引き込みやすくなるので好ましい。

また同様の目的で抜き取り用シースの先端口をテーパ
ーを少しつけて広げた、突起部を引き込みやすくするこ
とができる。

［発明の効果］本発明医療用チューブは、医療用チューブの先端が一
箇所にしっかりと固定されるので、治療行為が確実に効
率的に実施でき、しかも、挿入の際には、該医療用チュ
ーブの径と余り変わらない径に固定用突起部を縮小する
ことができるので、挿入が容易であるという利点があ
る。

その上、抜き取りの際に、突起部を再び縮小形状にし
て抜き取りを容易にすることができる利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の医療用チューブの実施例の斜視図であ
り、第２図は本発明医療用チューブの突起部を縮小させ
たときの形状の一例を示す側面図であり、第３図は本発
明のシース付き医療用チューブの一実施例の断面図であ
り、第４図は同実施例の使用方法を説明する説明図であ
る。図中の符号は、1;管本体、2;突起部、3;先端部、4;導入
管、5;固定板、6;側孔、7;シース、8;ガイドワイヤー、
9;十二指腸、10;狭窄部、11;肝臓、12;胆管、13;胆嚢、
14;温水注入用ルーメン、15;腹壁である。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A61M 29/00 A61F 2/04

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】後端部分、中間部分及び先端部分を有する
医療用チューブであって、後端部分に固定板を有し、先
端部分の側面又は中間部分の側面の回りに、少なくとも
１つの突起部が取り付けられ、前記突起部が、形状回復
温度が20〜70℃の形状記憶材料からなり、前記チューブ
を体内に挿入して固定させることができるように、前記
医療用チューブの長手方向に対して、横方向に、鍔状又
は放射状に拡がる固定用拡大形状を有し、体内挿入前
は、前記医療用チューブの側面に折り曲げ変形させ、体
内に挿入された後、形状回復温度以上の温度において、
前記固定用拡大形状に回復するように、形状記憶したも
のであることを特徴とする医療用チューブ。
【請求項２】外管シースを装着した請求項１記載の医療
用チューブ。
【請求項３】表面が粗面化されている請求項１又は２記
載の医療用チューブ。