JP2930111B2 - 同期信号発生装置 - Google Patents

同期信号発生装置

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、同期信号発生回路
に関し、特に、レーザビームプリンタ、光走査型スキャ
ナ等の走査ビームを用いて走査対象物を走査するものに
おいて用いられる同期信号発生装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】レーザビームプリンタ等では感光体表面
に結像したビームスポットを高速走査するレーザビーム
走査装置が用いられる。図5は、レーザビームプリンタ
における従来のレーザビーム走査装置を示す概略図であ
る。レーザダイオード11より出射されたレーザビーム
はコリメートレンズ12により平行光線になされ、高速
回転する回転多面鏡13により偏向される。偏向後のレ
ーザビームはfθレンズ14により感光体17上に結像
されその上を等速度で走査する。レーザビームの変調開
始タイミングを得るために、レーザビームの偏向端の光
をミラー15を介してフォトダイオード16にて受け、
これにより同期信号が形成される。
【0003】図6は、特開昭63−216017号公報
にて提案された同期信号発生装置(以下、第1の従来例
という)の回路図である。レーザビーム21を偏向端に
て受けるフォトダイオード22、23は隣接して形成さ
れる(図7参照)。2つのフォトダイオードの出力信号
は増幅器24、25で増幅された後、差動増幅器28を
有する減算回路26にて減算処理される。この減算値
は、コンパレータ27にて、電源V、−Vおよび抵抗R
5 、R6 により形成される、0に近いしかし0ではない
しきい値電圧V2 と比較される。
【0004】図7は、図6に示された第1の従来例の動
作を説明するための図であって、図7(a)に示すよう
に、レーザビーム21がフォトダイオード22、23上
を走査すると、それぞれのフォトダイオードから図7
(b)に示される出力信号PD 1 、PD2 が得られる。
減算回路26からは、図7(c)に示すように、減算信
号(PD1 −PD2 )が得られ、この減算信号(PD1
−PD2 )は、コンパレータ27においてしきい値電圧
2 と比較され、これにより図7(d)に示す同期信号
が得られる。
【0005】この同期信号発生装置では、レーザビーム
が、レーザビーム21′で示されるようにビーム径が変
動したり出力レベルが変動した場合には、フォトダイオ
ード22、23の出力信号は、図7(b)に示されるよ
うに、PD1 ′、PD2 ′と変動する。そして、コンパ
レータのしきい値電圧V2 が0でないため、同期信号の
タイミングも、図7(d)にΔで示されるようにばらつ
く。
【0006】図8は、ピークホールド方式と呼ばれる従
来の同期信号発生装置(以下、第2の従来例という)の
回路図である。レーザビーム31が照射されるフォトダ
イオード32の出力信号は帰還抵抗Rfを有する増幅器
33にて増幅された後、しきい値電圧制御回路34とコ
ンパレータ35の一方の入力端子に入力される。増幅器
33の出力信号を受けてしきい値電圧制御回路34は、
増幅器出力信号のピーク値を基礎としてしきい値電圧を
生成しこれをピークホールド容量Cに保持させるととも
にコンパレータ35の他方の入力端子に入力する。
【0007】図9は、図8の従来例の動作説明図であっ
て、図9(a)に示すように、レーザビーム31がフォ
トダイオード32上を走査すると、図9(b)に示され
るように、増幅器33からは出力信号PDが得られる。
コンパレータ35は、この出力信号PDと、しきい値電
圧制御回路34により形成されピークホールド容量Cに
より保持されているしきい値電圧Vtとを比較して図9
(c)に示される同期信号を生成する。この同期信号発
生回路では、レーザビームの出力レベルが変動したこと
により増幅器出力がPD′と変化したときには、しきい
値電圧もVt′と変化するため、増幅器出力がPDであ
るときと同一のタイミングの同期信号を得ることができ
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述した第1の従来例
(図6)では、コンパレータのしきい値電圧がオフセッ
トされているため、同期信号のタイミングがレーザパワ
ーの変動により変動する。この変動幅は、低速動作では
それほど問題とはならないが、ビット数が増加して高速
動作が必要となると大きな問題となる。一方、第2の従
来例(図8)では、レーザパワーの変動による同期信号
のタイミングずれの問題は抑えられているが、ピークホ
ールド容量が必要となるため、IC化が困難な構成であ
り、外付けでこれを備える場合には部品点数の増加を招
きまた装置が大型化する。また、この従来例では、立ち
上げ時に安定した同期信号が得られるまでに時間がかか
るという欠点もあった。
【0009】よって、本発明の解決すべき課題は、レー
ザビームパワー変動に対する同期信号のタイミング変動
が少なく、かつ、容量を使用する必要のない同期信号発
生装置を提供できるようにすることである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上述した本発明の課題
は、レーザビームの走査方向に長さの異なる2つのフォ
トダイオードを設け、その内長さの長いほうのフォトダ
イオードの出力信号を用いてしきい値電圧を形成するよ
うにすることにより、解決することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明による同期信号発生装置
は、レーザビームの走査方向に長さの異なる2つの受光
素子(例えばフォトダイオード)が形成され、長さの短
い第1の受光素子の出力信号が第1の増幅器(例えばオ
ペアンプ)を介して取り出され、長さの長い第2の受光
素子の出力信号が第2の増幅器(例えばオペアンプ)を
介して取り出され、前記第1および第2の増幅器の出力
信号を比較するコンパレータの出力信号により、走査光
学系の走査ビームの同期信号を得るものであって、前記
第2の増幅器の増幅度が前記第1の増幅器のそれより低
く設定されていることを特徴としている。
【0012】そして、好ましくは、前記コンパレータに
はヒステリシス特性を有するものが用いられる。また、
前記第1および第2の増幅器は帰還抵抗付きの増幅器に
なされ、第2の増幅器の帰還抵抗が第1の増幅器のそれ
より小さく設定される。また、前記第1の受光素子と前
記第2の受光素子とは互いに櫛歯状に入り組んで形成さ
れる。
【0013】[作用]本願発明においては、レーザビー
ムの走査方向に長さの異なる2つのフォトダイオードを
形成しておき、その内長さの長い方のフォトダイオード
の出力信号をしきい値電圧形成用に用い、このしきい値
電圧を基準として長さの短い方のフォトダイオードの出
力信号により同期信号を形成しているので、レーザビー
ムのパワーが変動することがあっても両方のフォトダイ
オードの出力レベルが同様に変動するため、レーザパワ
ー変動に起因する同期信号のタイミング変動は抑制され
る。また、長い方のフォトダイオードの出力信号により
しきい値電圧が形成されるようにしたことにより、容量
を用いる必要がなくなり、集積化が容易になると共に装
置スタート時の動作不安定期間をなくすことが可能にな
る。
【0014】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。図1は、本発明の第1の実施例を示す回路
図である。レーザビームの走査方向に沿って長さの異な
る2つのフォトダイオード1、2が形成されており、そ
れぞれのフォトダイオードの出力信号PD1、PD2は
オペアンプからなる増幅器3、4の反転入力端子に入力
され、電流−電圧変換される。増幅器3、4の非反転入
力端子は接地されている。非反転入力端子に一定のバイ
アス電圧を印加するようにしてもよい。増幅器3、4の
出力端子と反転入力端子との間には帰還抵抗RfとαR
fとが接続されている。ここで、αは抵抗値の倍数を示
しており、0<α<1、例えばα=0.5に設定されて
いる。増幅器3、4の出力信号Amp1、Amp2はコ
ンパレータ5において比較され、これにより同期信号が
形成される。レーザビーム6の中心は、フォトダイオー
ド1、2の中間を通るように設定されている。
【0015】図2は、図1に示された第1の実施例の動
作を説明するための図であって、図2(a)に示すよう
に、レーザビーム6がフォトダイオード1、2の上を走
査すると、図2(b)に示されるように、それぞれのフ
ォトダイオードから出力信号PD1、PD2が得られ
る。ここで、フォトダイオード2はレーザビームの走査
方向に対してフォトダイオード1より長さが長いため、
PD2出力期間の方がPD1のそれより長くなる。これ
らの信号は増幅器3、4により電流−電圧変換され、図
2(c)に示すように、増幅器出力Amp1、Amp2
として出力されるが、増幅器4の帰還抵抗(αRf)の
方が増幅器3の帰還抵抗(Rf)より小さいため、Am
p2のレベルの方が低くなる。続いて、Amp1、Am
p2はコンパレータ5に入力される。コンパレータ5は
Amp2をしきい値電圧として、図2(d)に示す同期
信号を形成する。
【0016】レーザビームの出力パワーが変動した場合
には、例えば低下した場合には、フォトダイオード1、
2の出力もPD1′PD2′と低下し、これに伴って増
幅器出力もAmp1′、Amp2′と低下する。しか
し、Amp1′のレベルとAmp2′のレベルとが同様
に変化するため、同期信号のタイミングがずれることは
ない。
【0017】図3は、本発明の第2の実施例において用
いられるフォトダイオードの平面図である。本実施例で
の他の構成要素は図1に示した第1の実施例の場合と同
様である。本実施例においては、フォトダイオード1a
とフォトダイオード2aとが櫛歯状に形成されかつ互い
に入り組む形状に形成される。このような形状に形成さ
れたフォトダイオードを用いる本実施例によれば、レー
ザビームの走査方向と直角方向でのビームスポットの位
置精度のマージンを大きく確保することが可能になり、
安定して同期信号を得ることが可能になる。
【0018】図4は、本発明の第3の実施例を示す回路
図である。本実施例の図1に示した第1の実施例と相違
する点は、コンパレータとしてヒステリシス付きコンパ
レータ5aが用いられている点であり、他の部分の構成
は変わらない。本実施例によれば、コンパレータがヒス
テリシス特性を有しているため、フォトダイオード1、
2に光の入射がないときにノイズにより同期信号が出力
されることがなくなり、また光入射時には安定して同期
信号を出力させることが可能になる。
【0019】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、レーザ
ビームの走査方向に向かって長さの異なるフォトダイオ
ードを2本形成し、長さの長い方のフォトダイオードの
出力信号からコンパレータに入力されるしきい値電圧を
形成するものであるので、レーザビームの出力パワーの
変動によらず安定した同期信号を得ることができる。ま
た、しきい値電圧を保持するための容量が不要となるの
で、部品点数を削減して装置を小型化することが可能に
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例を示す回路図。
【図2】本発明の第1の実施例の動作を説明するための
図。
【図3】本発明の第2の実施例において用いられるフォ
トダイオードの平面図。
【図4】本発明の第3の実施例を示す回路図。
【図5】レーザビームプリンタにおける光走査系の概略
構成図。
【図6】第1の従来例の回路図。
【図7】第1の従来例の動作説明図。
【図8】第2の従来例の回路図。
【図9】第2の従来例の動作説明図。
【符号の説明】
1、1a、2、2a、16、22、23、32 フォト
ダイオード 3、4、24、25、33 増幅器 5、27、35 コンパレータ 5a ヒステリシス付きコンパレータ 6、21、31 レーザビーム 11 レーザダイオード 12 コリメートレンズ 13 回転多面鏡 14 fθレンズ 15 ミラー 17 感光体 26 減算回路 28 差動増幅器 34 しきい値電圧制御回路 Amp1、Amp1′、Amp2、Amp2′ 増幅器
出力信号 C ピークホールド容量 PD1、PD1′、PD2、PD2′ フォトダイオー
ド出力信号 Vt、Vt′ しきい値電圧

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レーザビームの走査方向に長さの異なる
    2つの受光素子が形成され、長さの短い第1の受光素子
    の出力信号が第1の増幅器を介して取り出され、長さの
    長い第2の受光素子の出力信号が第2の増幅器を介して
    取り出され、前記第1および第2の増幅器の出力信号を
    比較するコンパレータの出力信号により、走査光学系の
    走査ビームの同期信号を得る同期信号発生装置であっ
    て、前記第2の増幅器の増幅度が前記第1の増幅器のそ
    れより低く設定されていることを特徴とする同期信号発
    生装置。
  2. 【請求項2】 前記コンパレータがヒステリシス特性を
    有していることを特徴とする請求項1記載の同期信号発
    生装置。
  3. 【請求項3】 前記第1および第2の増幅器は帰還抵抗
    付きの増幅器であって、第2の増幅器の帰還抵抗が第1
    の増幅器のそれより小さく設定されていることを特徴と
    する請求項1記載の同期信号発生装置。
  4. 【請求項4】 前記第1の受光素子と前記第2の受光素
    子とが櫛歯状に互いに入り組んでいることを特徴とする
    請求項1記載の同期信号発生装置。
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