JP2928491B2 - 磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記憶装置 - Google Patents

磁気記録媒体及びそれを用いた磁気記憶装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体及び
磁気記憶装置に係り、さらに詳細にはハードディスク、
フロッピーディスク、磁気テープ等のようにヘッドが一
時的、あるいは定常的に接触するタイプの磁気記録媒体
の積層構造及び磁気記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】たとえば、大型計算機、パーソナルコン
ピュータ、ネットワークサーバ、ムービーサーバ、モー
バイルPC等の大容量記憶装置として使用される磁気記
録ディスク(以下、磁気ディスクと称する)は、非磁性
基板の表面にコバルト合金などの強磁性薄膜がスパッタ
法などで形成され、その上に耐摺動性、耐食性を高める
ために、保護膜、潤滑膜が形成されている。近年、磁気
記憶装置の大容量化にともなって、磁気ディスクの記録
密度の向上が求められている。現在用いられている薄膜
面内磁気記録媒体では、一般に、記録密度の増大に伴っ
て、媒体ノイズが増大する。また、小型高密度磁気記憶
装置で最近よく使用される磁気抵抗効果型ヘッド(以
下、MRヘッドと称する)では、従来の電磁誘導型ヘッ
ドに比べてヘッドノイズが低いので、媒体ノイズが従来
以上に装置全体のS/Nを左右するようになっている。
こうした状況から、磁気記録膜の低ノイズ化が極めて重
要な課題となっている。
【0003】この媒体ノイズの原因としては、記録磁化
の反転境界に磁化方向が不規則に分布した磁化遷移領域
が形成されているためであると考えられている。この磁
化遷移領域における磁化の乱れは、ビット間隔が磁化遷
移領域の幅よりも小さくなるような高記録密度領域で
は、ビット間の干渉によりさらに増大する。
【0004】このような問題を解決する手段として、た
とえば特開平6−342511号公報に開示されるよう
に、磁性層を下部磁性層と上部磁性層とからなる多層構
造にして、これら磁性層間に磁性物質合金の窒化物を含
む中間層を設ける技術が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記した従来技術(特
開平6−342511号公報)では、磁性膜厚方向に磁
化単位が微細化され、媒体ノイズが低減される。しか
し、線記録密度が高い領域、たとえば250kFCI程
度になると特に磁化遷移領域での磁化の乱れが増大する
とともに、信号出力が低下する傾向があった。すなわ
ち、磁化単位の微細化だけでは、媒体ノイズの低減が不
十分になるのである。
【0006】本発明の目的は、高記録密度、特に線記録
密度が高い領域においても、媒体ノイズが低く、出力が
低下しない、高い記録再生特性を持つ磁気記録媒体を提
供することにある。さらに、本発明は、3ギガビット/
平方インチの高い記録密度においても高い装置S/Nと
低いビットエラー数を持つ磁気記憶装置を提供すること
をも目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的は、少なくとも
磁気記録膜と保護膜とを有する磁気記録媒体において、
磁気記録膜上に保護膜を設け、保護膜上に分子磁性体か
らなる薄膜を設け、分子磁性体薄膜の上に潤滑膜を設け
たことによって達成される。また、前記目的は、少なく
とも磁気記録膜と保護膜とを有する磁気記録媒体におい
て、磁気記録膜上に分子磁性体からなる薄膜を設け、分
子磁性体薄膜の上に保護膜を設け、保護膜の上に潤滑膜
を設けたことによって達成される。
【0008】磁気記録膜と保護膜とを有する磁気記録媒
体において、保護膜上又は磁気記録膜上に分子磁性体か
らなる薄膜を形成すると、高い線記録密度においても媒
体ノイズの上昇を抑えることができる。すなわち、磁化
遷移領域においては、磁化反転境界近傍に蓄えられる大
きな交換相互作用エネルギーと静磁エネルギーを緩和す
るように磁化が配列するために磁化の乱れが生じるが、
分子磁性体からなる薄膜を形成すると記録ビットの磁化
ベクトルを補強するので、磁化遷移領域の磁化の乱れを
低減することができる。さらに、分子磁性体の磁化ベク
トルとの協奏的な作用により、信号強度が増大する作用
がある。
【0009】また、磁気記録膜の温度特性と分子磁性体
の温度特性が異なるために、長期的な磁化状態の劣化が
減少する。さらに、低ノイズ化のための重要な手段であ
る磁性結晶粒微細化に伴って、バイクリスタル構造の存
在により、高記録密度領域で出力の低下が心配される
が、分子磁性体の磁化ベクトルの作用により、保持力の
低下を防ぐことができる。これらの作用の総合的な効果
によって、高記録密度領域での媒体ノイズを低下するこ
とができるわけである。
【0010】ここで、分子磁性体としては、次の〔化
1〕で表されるバナジウム・テトラシアノエチレン・メ
チレンクロリドのような三次元共有結合性化合物が用い
られる。ただし、〔化1〕において、xは0.5から1
0までのいずれかの数であり、yは0.5から10まで
のいずれかの数である。x,yともに0.5未満又は1
0より大きいと、磁化ベクトルが急激に小さくなり、分
子磁性体としての機能を持ちえなくなる。
【0011】
【化1】V(TCNE)x・y(CH2Cl2) 分子磁性体となる他の三次元共有結合性化合物の例とし
ては、次の〔化2〕で表されるバナジウム・シアン化ク
ロム・水がある。ただし、〔化2〕において、xは0.
5から10までのいずれかの数であり、yは0.5から
10までのいずれかの数である。x,yともに0.5未
満又は10より大きいと、化学的に不安定になるし、ま
た磁化ベクトルも小さくなって、分子磁性体として適さ
なくなる。化学的な不安定は、経時的な磁性の劣化をも
たらす。
【0012】
【化2】V[Cr(CN)6]p・qH2O その他の分子磁性体の例としては、次の〔化3〕で表さ
れるパーメチレーテッド・メタロセニウム・テトラシア
ノエチレン塩のようなイオン的な電荷移動塩があげられ
る。〔化3〕には、メタロセニウムの金属が鉄の場合の
化学式を示した。鉄の代わりにマンガン、クロムなどを
用いてもよい。
【0013】
【化3】[Fe[C5(CH3)5]2][TCNE] その他の分子磁性体としては、次の〔化4〕で表される
ようなマンガン・テトラフェニルポルフィリンとテトラ
シアノエチレン(TCNE)の塩や、マンガン・フタロ
シアニン・テトラシアノエチレン塩、プルシアンブルー
と類似のマンガン、バナジウム、ニッケル、クロムのい
ずれか、あるいはそれらの組み合わせを含む三次元共有
結合性化合物などを用いてもよい。
【0014】
【化4】
【0015】なお、ここで分子磁性体と称するものは、
くり返しのセグメントが分子構造を持っており、それら
が二次元的、あるいは三次元的な並進対称性を持つこと
を特徴とする高分子磁性体も含まれる。分子磁性体は、
最小構造体が非金属のものであるので、たとえば、酸化
鉄は含まれない。
【0016】分子磁性体薄膜の膜厚としては、0.1n
m以上、5nm以下がよい。膜厚が0.1nmより薄い
と、分子磁性体薄膜中の磁化ベクトルが小さく、磁気記
録膜の磁化ベクトルとの共鳴効果が得られなくなる。ま
た、膜厚が5nmを越えると、ヘッドと磁気記録膜との
距離が遠くなり、記録/再生動作が困難になる。分子磁
性体の薄膜の形成方法としては、蒸着、分子線、レーザ
ーアブレーション、溶液塗布などの方法が一般的である
が、他の方法によってもよい。
【0017】分子磁性体薄膜を形成するときに、分子磁
性体の磁化ベクトルを、磁気記録膜の磁化ベクトルと同
じ方向を向くように分子磁性体の配向を制御してもよ
い。制御の方法としては、分子磁性体薄膜を形成すると
きに、超伝導電磁石などを使って1テスラ程度の強い外
部磁場を印加して配向を制御する方法が簡便である。ほ
かには、ラングミュア・ブロシェット膜のように、液体
の表面に展開して、それを写取る方法や、レーザー光源
を調整しながらレーザーアブレーションを行なったり、
分子線を制御しながら形成するなどの方法がある。
【0018】磁気記録媒体の基板は、たとえばアルミニ
ウム基板、ガラス基板、グラファイト基板などの非磁性
基板が使用される。アルミニウム基板には表面をニッケ
ル・リンでメッキしてもよい。また、基板を回転させな
がらダイヤモンド砥粒や研磨用テープを押し当てること
により、基板上に同心円状の微細な溝を形成し、ヘッド
の浮上特性を改良するなどのことも行なわれる。さら
に、ガラス基板では、強酸などの薬品により表面を化学
的にエッチングして微細な凹凸を付け、ヘッドと接触す
る面積を減らし、摺動時の接線力を減少させてもよい。
これらは、保護膜表面を微細な粒子でマスキングしてエ
ッチングしても同様の効果が期待できる。さらに、CS
Sゾーン、データゾーンを別けている場合には、レーザ
ーを使って、最内周のCSSゾーンに規則的な凹凸を付
けることも行なわれる。
【0019】磁気記録媒体の基板上には、磁気記録膜を
成膜する前に記録膜の磁気特性を良好なものにするため
にクロムなどの下地膜をスパッタ法などで成膜しても良
い。また、ガラス基板やセラミック基板を使うときは、
磁化容易軸を面内配向させ、磁気特性を向上させるため
に、下地膜成膜の前にコバルト・クロム合金を5nm以
下の膜厚でプリコートさせることも有効である。
【0020】磁気記録膜は、コバルト・ニッケル、コバ
ルト・クロム、コバルト・クロムにプラチナ、タンタ
ル、バナジウム、サマリウムなどを少量混ぜたものが使
われる。形成法としては、これらの合金ターゲットをア
ルゴンを使ったスパッタ法で基板に形成する方法が一般
的である。磁気記録膜の膜厚としては、磁気特性から1
0nm以上、40nm以下がよい。媒体は、保磁力が2
キロエルステッド以上で、磁性層膜厚tと残留磁束密度
Brの積であるBr×tが10〜130ガウス・ミクロ
ンの範囲にあることが望ましい。保磁力が1.8キロエ
ルステッドよりも小さくなると、高記録密度(150k
FCI以上)での出力が小さくなり、好ましくない。ま
た、Br×tが130ガウス・ミクロンより大きくなる
と分解能が低下し、10ガウス・ミクロンよりも小さく
なると出力が小さくなりすぎるため、3ギガビット/平
方インチの高密度記録を行なったときに十分な記録再生
特性が得られない。
【0021】潤滑剤としては、主鎖構造が炭素、フッ
素、酸素の3つの元素から成るパーフルオロポリエーテ
ル系高分子潤滑剤が用いられる。フッ素置換アルキル化
合物を潤滑剤として用いることも可能である。安定な摺
動と耐久性のあるものならば他の有機系潤滑剤や無機系
潤滑剤を用いても良い。これらの潤滑剤は、溶液塗布が
一般的であるが、フッ化オレフィンと酸素の光CVDに
よって形成してもよい。
【0022】さらに、保護膜としては、非晶質炭素、ケ
イ素含有非晶質炭素、窒素含有非晶質炭素、ホウ素含有
非晶質炭素、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム及び立方晶
窒化ホウ素のいずれかがよい。これら非晶質炭素保護膜
の形成方法は、グラファイトをターゲットとした不活性
ガス中、あるいは不活性ガスとメタンなどの炭化水素ガ
スの混合ガス中のスパッタリングにより形成する方法
や、炭化水素ガス、アルコール、アセトン、アダマンタ
ンなどの有機化合物を単独あるいは水素ガス、不活性ガ
スなどを混合して、プラズマCVDにより形成する方
法、あるいは有機化合物をイオン化して電圧をかけて加
速し、基板に衝突させて形成する方法などがある。
【0023】また、前記磁気記録媒体と、これを記録方
向に駆動する駆動部と、電磁誘導型の記録部と磁気抵抗
効果型の再生部からなる磁気ヘッドと、磁気ヘッドを磁
気記録媒体に対して相対運動する手段と、再生信号処理
手段とを用いて磁気記憶装置を構成することにより、従
来より高い3ギカビット/平方インチ以上の記録密度を
実現することができる。
【0024】磁気抵抗効果型ヘッドは感度が高いが、静
電破壊や熱破壊されやすいことがある。従来は、高記録
密度では出力が低下し、S/Nが低下するので、浮上量
を下げる必要があった。しかし、浮上量を下げると、真
実接触点が増大し、サーマルアスペリティ、すなわちフ
ラッシュ温度により瞬間的に磁気抵抗効果素子の電気抵
抗が変動し、ノイズとなる現象の起きる確率が増大す
る。本発明の磁気記録媒体は、従来のものに比べて媒体
ノイズが低く、出力も高いので、浮上量を従来よりもあ
げることができ、真実接触の可能性を低減し、サーマル
アスペリティの可能性が少ない、装置S/Nの高い高信
頼性の磁気記憶装置を実現することができる。
【0025】なお、本発明の低ノイズ化磁気記録媒体技
術は、磁気ディスク、磁気テープ、磁気カードなどのほ
かに、磁化ベクトルを使う他の技術、すなわち、磁気セ
ンサー、磁気スイッチ、磁気メモリーなどにも適用でき
る。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。なお、記録媒体としては、周知の
ように磁気ディスク(ハードディスク、フロッピーディ
スク)と磁気テープなどがあるが、以下の説明ではいず
れも磁気ディスクを代表例にした。
【0027】<実施例1>図1は、本発明の第1の実施
例に関わる磁気記録媒体の概略断面図を示したものであ
る。同図において、1はフッ素系潤滑剤層、2は分子磁
性体薄膜、3は非晶質炭素薄膜、4はコバルト合金磁気
記録膜、5はクロム合金下地膜、6は表面結晶化ガラス
製基板(2.5インチ)である。
【0028】この構成の磁気ディスクは、次のような方
法で製造した。まず、周知の連続スパッタ成膜装置によ
り、ガラス基板6の上に厚さ30nmのCr−15at
%Ti下地膜5、厚さ25nmのCo−16at%Cr
−4at%Ta合金磁性膜4、厚さ20nmのスパッタ
カーボン保護膜3を順次成膜した。その後、磁気ディス
クをスパッタ装置から取り出して、前記〔化1〕で表わ
される分子磁性体の薄膜を厚さ3nmで蒸着法により成
膜した。ここで、〔化1〕のxとしては2、yとしては
0.5のものを用いた。蒸着条件は、バックグランド圧
力1μPa以下、蒸着槽温度は50℃、蒸着時間は15
秒であった。その後、磁気ディスクを蒸着装置から取り
出して、溶液塗布にてパーフルオロメチレンオキサイド
とパーフルオロエチレンオキサイドの共重合体の水酸基
末端パーフルオロポリエーテル潤滑剤(分子量400
0)を膜厚2nmで塗布した。
【0029】本実施例の磁気ディスクの保持力は、2.
9キロエルステッド、Br×tは82ガウスミクロンで
あった。300kFCIまで線記録密度を変化させて、
ノイズパワーを測定すると、図3のようになり、高記録
密度においてもノイズパワーの増加は少なかった。ヘッ
ド浮上量30nm、線記録密度300kFCIで記録さ
れた磁化パターンを磁気力顕微鏡で観察すると、図4の
ようになり、300kFCIでも明瞭にビットイメージ
が記録保持されていることが確認された。線記録密度2
25kFCIでの媒体S/Nは、2.1であった。
【0030】<実施例2>図2は、本発明の第2の実施
例に関わる磁気記録媒体の概略断面図を示したものであ
る。同図において、1はフッ素系潤滑剤層、3は非晶質
炭素薄膜、2は分子磁性体薄膜、4はコバルト合金磁気
記録膜、5はクロム合金下地膜、6は表面結晶化ガラス
製基板(2.5インチ)である。
【0031】この磁気ディスクは、以下のように製造し
た。連続スパッタ成膜装置により、ガラス基板6の上に
厚さ30nmのCr−15at%Ti下地膜5、厚さ2
5nmのCo−16at%Cr−4at%Ta合金磁性
膜4を順次成膜した。その後、磁性膜の成膜室の隣に取
り付けた蒸着室に真空搬送し、前記〔化1〕で表わされ
る分子磁性体の薄膜を厚さ2nmで蒸着法により成膜し
た。ここで、〔化1〕のxとしては2、yとしては0.
5のものを用いた。蒸着条件は、バックグランド圧力1
μPa以下、蒸着槽温度は50℃、蒸着時間は15秒で
あった。その後、厚さ20nmのスパッタカーボン保護
膜3を順次成膜した。そして、磁気ディスクをスパッタ
装置から取り出して、溶液塗布にてパーフルオロメチレ
ンオキサイドとパーフルオロエチレンオキサイドの共重
合体の水酸基末端パーフルオロポリエーテル潤滑剤(分
子量4000)を膜厚2nmで塗布した。
【0032】本実施例の磁気ディスクの保持力は、2.
8キロエルステッド、Br×tは85ガウスミクロンで
あった。ノイズパワーの線記録密度依存性は、図3のよ
うになった。線記録密度225kFCIでの媒体S/N
は、2.0であった。
【0033】<実施例3>本実施例では、図は省略する
が、実施例1と同様な膜構成で磁気ディスクを成膜し
た。ただし、本実施例では、分子磁性体として、前記
〔化2〕で示されるものを膜厚3nmに蒸着した。ここ
で、〔化2〕のpとしては0.86、qとしては2.8
のものを用いた。
【0034】本実施例の磁気ディスクの保持力は、2.
6キロエルステッド、Br×tは87ガウスミクロンで
あった。ノイズパワーの線記録密度依存性は、図3のよ
うになった。線記録密度225kFCIでの媒体S/N
は、1.9であった。
【0035】<実施例4>本実施例では、図は省略する
が、実施例1と同様な膜構成で磁気ディスクを成膜し
た。ただし、本実施例では、分子磁性体として、前記
〔化3〕の化学式で示されるような鉄を含むパーメチレ
ーテッド・メタロセニウム・テトラシアノエチレン塩を
膜厚3nmに蒸着した。
【0036】本実施例の磁気ディスクの保持力は、2.
5キロエルステッド、Br×tは87ガウスミクロンで
あった。ノイズパワーの線記録密度依存性は、図3のよ
うになった。線記録密度225kFCIでの媒体S/N
は、1.8であった。
【0037】<実施例5>本実施例では、図は省略する
が、実施例1と同様な膜構成で磁気ディスクを成膜し
た。ただし、本実施例では、分子磁性体として、前記
〔化4〕の化学式で示されるようなマンガン・テトラフ
ェニルポルフィリンとテトラシアノエチレン(TCN
E)の塩を膜厚3nmに蒸着した。
【0038】本実施例の磁気ディスクの保持力は、2.
4キロエルステッド、Br×tは87ガウスミクロンで
あった。ノイズパワーの線記録密度依存性は、図3のよ
うになった。線記録密度225kFCIでの媒体S/N
は、1.7であった。
【0039】<実施例6>本実施例では、図は省略する
が、実施例1と同様な膜構成、分子磁性体で磁気ディス
クを製造した。ただし、分子磁性体の薄膜を成膜すると
きに超伝導電磁石を用いて、1テスラの外部磁場を印加
し、分子磁性体を面内配向させた。すなわち、分子磁性
体の磁化容易軸が面内を向いて、磁気記録膜の磁化ベク
トルと分子磁性体の磁化ベクトルが共鳴するように配向
させた。
【0040】本実施例の磁気ディスクの保持力は、2.
9キロエルステッド、Br×tは82ガウスミクロンで
あった。ノイズパワーの線記録密度依存性は、図3のよ
うになった。線記録密度225kFCIでの媒体S/N
は、2.2であった。
【0041】<実施例7>本発明による磁気記憶装置の
一例を図5に示す。図5(a)は装置の平面模式図、図
5(b)は図5(a)のAA′に沿う縦断面模式図であ
る。この磁気記憶装置は、磁気記録媒体7と、これを回
転駆動する駆動部8と、磁気ヘッド9及びその駆動手段
10と、上記磁気ヘッドの記録再生信号処理手段11を
有してなる周知の構成を有する。
【0042】この磁気記憶装置に用いた磁気ヘッドの構
造の模式図を図6に示す。この磁気ヘッドは、基体18
の上に形成された記録用の電磁誘導型磁気ヘッドと再生
用の磁気抵抗効果型ヘッドを組み合わせた録再分離型ヘ
ッドである。磁気抵抗センサ12を下部シールド層13
と上部シールド記録磁極兼用層14で挟んだ部分が再生
ヘッドとして働き、コイル15を挟む上部シールド記録
兼用層14と上部記録磁極16が記録ヘッドとして働
く。磁気抵抗センサ12からの出力信号は電極パタン1
7を介して外部に取り出す。
【0043】図7に磁気抵抗センサの縦断面構造を示
す。この磁気抵抗センサは、シールド層と磁気抵抗セン
サ間のギャップ層19の上に形成された強磁性材料の薄
膜磁気抵抗性導電層21と、この薄膜磁気抵抗性導電層
を単磁区とするための反強磁性磁区制御層20と、上記
薄膜磁気導電層の感磁部22における薄膜磁気抵抗性導
電層と反強磁性磁区制御層の間の交換相互作用を絶ち切
るための非磁性層23と、感磁部に対するバイアス磁界
を発生できる手段として軟磁性層もしくは永久磁石膜バ
イアス層25と、軟磁性層もしくは永久磁石膜バイアス
層と薄膜磁気抵抗性導電層の間の電流分流比を調節する
ための高抵抗層24を含む。
【0044】磁気記録媒体としては、実施例1で述べた
媒体を用いた。すなわち、磁気記録膜の特性としては保
持力が2.9キロエルステッド、Br×tは82ガウス
ミクロンの媒体を用いた。
【0045】本実施例の磁気記憶装置を用い、ヘッド浮
上量30nm、シールド層間隔0.35μm以下、線記
録密度225kFCI、トラック密度10kTPIの条
件で記録再生特性を評価したところ、3.2の装置S/
Nが得られた。また、磁気ヘッドへの入力信号を8−9
符号変調処理を施すことにより、3ギガビット/平方イ
ンチの記録密度で記録再生することができた。しかも、
内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビット
エラー数は10ビット/面以下であり、平均故障間隔で
30万時間が達成できた。
【0046】<実施例8>本実施例においては、図は省
略するが、実施例7と同様の磁気記憶装置を製造した。
ただし、磁気記録媒体としては、実施例2のものを用い
た。
【0047】本実施例の磁気記憶装置を用い、ヘッド浮
上量30nm、シールド層間隔0.35μm以下、線記
録密度225kFCI、トラック密度10kTPIの条
件で記録再生特性を評価したところ、3.1の装置S/
Nが得られた。また、磁気ヘッドへの入力信号を8−9
符号変調処理を施すことにより、3ギガビット/平方イ
ンチの記録密度で記録再生することができた。しかも、
内周から外周までのヘッドシーク試験5万回後のビット
エラー数は10ビット/面以下であり、平均故障間隔で
30万時間が達成できた。
【0048】<比較例1>実施例1と同様の表面結晶化
ガラス基板(2.5インチ)の上に、連続スパッタ成膜
装置によって、厚さ30nmのCr−15at%Ti下
地膜、厚さ25nmのCo−16at%Cr−4at%
Ta合金磁性膜、厚さ20nmのスパッタカーボン保護
膜を順次成膜し、その上に溶液塗布法にてパーフルオロ
メチレンオキサイドとパーフルオロエチレンオキサイド
の共重合体の水酸基末端パーフルオロポリエーテル潤滑
剤(分子量4000)を膜厚2nm塗布した磁気記録媒
体を作製し、比較例1とした。
【0049】本比較例の磁気ディスクの保持力は、2.
1キロエルステッド、Br×tは74ガウスミクロンで
あった。300kFCIまで線記録密度を変化させて、
ノイズパワーを測定すると、図3のようになり、100
kFCIをこえるとノイズパワーが著しく増加した。
【0050】ヘッド浮上量30nm、線記録密度300
kFCIで記録された磁化パターンを磁気力顕微鏡で観
察すると、図4のようになり、300kFCIではビッ
トイメージが不明瞭になることが確認された。線記録密
度225kFCIでの媒体S/Nは1.5であった。
【0051】<比較例2>実施例7と同様の回転駆動す
る駆動部と、磁気ヘッド及びその駆動手段と、上記磁気
ヘッドの記録再生信号処理手段を持ち、比較例1で述べ
た磁気記録媒体によって構成される磁気記憶装置を作成
した。
【0052】本比較例の磁気記憶装置を用い、ヘッド浮
上量30nm、シールド層間隔0.35μm以下、線記
録密度225kFCI、トラック密度10kTPIの条
件で記録再生特性を評価したところ、1.7の装置S/
Nが得られた。また、磁気ヘッドへの入力信号を8−9
符号変調処理を施すことにより、2.5ギガビット/平
方インチの記録密度で記録再生することができた。しか
し、3ギガビット/平方インチの記録密度では急激に出
力が低下し、記録再生は困難であった。内周から外周ま
でのヘッドシーク試験5万回後のビットエラー数は80
0ビット/面以上であり、平均故障間隔は9万時間以下
であった。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、少なくとも磁気記録膜
とその上に設けられた保護膜とを有する磁気記録媒体に
おいて、保護膜又は磁気記録膜上に分子磁性体からなる
薄膜を形成することによって、磁化遷移領域の磁化の乱
れを低減し、媒体ノイズを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による磁気ディスクの一例の概略断面
図。
【図2】本発明による磁気ディスクの他の例の概略断面
図。
【図3】ノイズパワーの記録密度依存性を示す図。
【図4】磁気力顕微鏡による磁化パターンを示す図。
【図5】磁気記憶装置の一例を示す模式図であり、
(a)は平面模式図、(b)は(a)のA−A’縦断面
図。
【図6】磁気ヘッドの断面構造を示す立体模式図。
【図7】磁気ヘッドの磁気抵抗センサ部の縦断面構造の
模式図。
【符号の説明】 1…フッ素系潤滑剤層、2…分子磁性体の薄膜、3…非
晶質炭素保護膜、4…コバルト合金磁気記録膜、5…ク
ロム・チタン合金下地膜、6…表面結晶化ガラス製基
板、7…磁気記録媒体、8…磁気記録媒体駆動部、9…
磁気ヘッド、10…磁気ヘッド駆動部、11…記録再生
信号処理系、12…磁気抵抗センサ、13…下部シール
ド層、14…上部シールド記録磁極兼用層、15…コイ
ル、16…上部記録磁極、17…導体層、18…基体、
19…シールド層と磁気抵抗センサ間のギャップ層、2
0…反強磁性磁区制御層、21…薄膜磁気抵抗性導電
層、22…薄膜磁気抵抗性導電層の感磁部、23…非磁
性層、24…高抵抗層、25…軟磁性層もしくは永久磁
石膜バイアス層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G11B 5/66 G11B 5/852 H01F 10/18

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも磁気記録膜と保護膜とを有す
    る磁気記録媒体において、前記磁気記録膜上に前記保護
    膜を設け、前記保護膜上に分子磁性体からなる薄膜を設
    け、前記分子磁性体薄膜の上に潤滑膜を設けたことを特
    徴とする磁気記録媒体。
  2. 【請求項2】 少なくとも磁気記録膜と保護膜とを有す
    る磁気記録媒体において、前記磁気記録膜上に分子磁性
    体からなる薄膜を設け、前記分子磁性体薄膜の上に保護
    膜を設け、前記保護膜の上に潤滑膜を設けたことを特徴
    とする磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記分子磁性体が化学式、V(TCNE)
    x・y(CH2Cl2)で表わされ、ここでTCNEはテトラ
    シアノエチレンであり、xは0.5以上、10以下の数
    であり、yは0.5以上、10以下の数であることを特
    徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記分子磁性体が化学式、V[Cr(C
    N)6]p・qH2O で表わされ、ここでpは、0.5以
    上、10以下の数であり、qは、0.5以上、10以下
    の数であることを特徴とする請求項1又は2記載の磁気
    記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記分子磁性体が、パーメチレーテッド
    ・メタロセニウムを含むイオン的な電荷移動塩であるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記分子磁性体が、マンガン・テトラフ
    ェニルポルフィリンあるいはマンガン・フタロシアニン
    のいずれか、あるいは両方を含むことを特徴とする請求
    項1又は2記載の磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 前記分子磁性体の薄膜の厚さが、0.1
    nm以上、5nm以下であることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか1項記載の磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 前記分子磁性体の磁化ベクトルが前記磁
    気記録膜の磁化ベクトルと同じ方向を向くように分子磁
    性体の配向を制御して前記分子磁性体からなる薄膜を形
    成してなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1
    項記載の磁気記録媒体。
  9. 【請求項9】 磁気記録膜の上に保護膜が設けられ、前
    記保護膜上に分子磁性体からなる薄膜が設けられ、前記
    分子磁性体薄膜の上に潤滑膜が設けられた磁気記録媒体
    と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部と、
    記録部と再生部をと備える磁気ヘッドと、前記磁気ヘッ
    ドを前記磁気記録媒体に対して相対運動させる手段と、
    記録再生信号処理手段とを有することを特徴とする磁気
    記憶装置。
  10. 【請求項10】 磁気記録膜上に分子磁性体からなる薄
    膜が設けられ、前記分子磁性体薄膜の上に保護膜が設け
    られ、前記保護膜の上に潤滑膜が設けられた磁気記録媒
    体と、前記磁気記録媒体を記録方向に駆動する駆動部
    と、記録部と再生部を備える磁気ヘッドと、前記磁気ヘ
    ッドを前記磁気記録媒体に対して相対運動させる手段
    と、記録再生信号処理手段とを有することを特徴とする
    磁気記憶装置。
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