JP2928324B2 - フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置 - Google Patents

フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置

Info

Publication number
JP2928324B2
JP2928324B2 JP2082975A JP8297590A JP2928324B2 JP 2928324 B2 JP2928324 B2 JP 2928324B2 JP 2082975 A JP2082975 A JP 2082975A JP 8297590 A JP8297590 A JP 8297590A JP 2928324 B2 JP2928324 B2 JP 2928324B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pallet
workpiece
electric discharge
processing
machining
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2082975A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH03287352A (ja
Inventor
眞之 矢野
俊幸 橋口
守幸 脇野
準治 田中
裕二 福崎
隆 光安
達司 小松
清隆 宮城
容徳 野田
勉 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
SEIBU DENKI KK
Original Assignee
SEIBU DENKI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by SEIBU DENKI KK filed Critical SEIBU DENKI KK
Priority to JP2082975A priority Critical patent/JP2928324B2/ja
Publication of JPH03287352A publication Critical patent/JPH03287352A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2928324B2 publication Critical patent/JP2928324B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P90/00Enabling technologies with a potential contribution to greenhouse gas [GHG] emissions mitigation
    • Y02P90/02Total factory control, e.g. smart factories, flexible manufacturing systems [FMS] or integrated manufacturing systems [IMS]

Landscapes

  • Auxiliary Devices For Machine Tools (AREA)
  • Multi-Process Working Machines And Systems (AREA)
  • Electrical Discharge Machining, Electrochemical Machining, And Combined Machining (AREA)
  • General Factory Administration (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,工作物に所望の各種の加工を行うため,
工作物を設置したパレットをワイヤ放電加工機,細穴放
電加工機,型彫放電加工機,レーザ加工機,ウォータジ
ェット加工機等の加工機群の所定の加工機に対して自動
的に搬出入して工作物を加工する加工機群におけるフレ
キシブルマニファクチャリングシステム(以下,FMSとい
う)に設置可能な工作物処理装置に関する。
〔従来の技術〕
一般に,ワイヤ放電加工機は,ワイヤ電極の垂直方向
に走行する部分を使用し,工作物とワイヤ電極との間で
放電を発生させて放電エネルギーによって工作物を加工
するものである。ワイヤ電極は自動ワイヤ供給装置にお
けるテンションローラ,ブレーキローラ等の各種ローラ
に案内され且つ適宜のテンションを加えられてワイヤガ
イドを有するワイヤヘッドに供給されている。ワイヤ放
電加工機では,工作物を取り付けたX−Yテーブルは,N
C装置からの指令で工作物の加工状況に従ってX方向及
びY方向に移動し,両者の移動が合成されて,電極との
間で加工が進行し,加工中は電極及びX−Yテーブルは
サーボ移動繰り返し,両者の相対的運動によって工作物
は所定の加工形状に放電加工されている。
また,細穴放電加工機は,工作物の所定の位置に対し
て細孔或いは細穴を放電加工をするか,又は工作物をワ
イヤ放電加工機で放電加工するためワイヤ電極を貫通さ
せるスタートホールを工作物の所定の位置に放電加工す
るものであり,工作物とパイプ電極との間で放電を発生
させて放電エネルギーによって工作物に細穴を加工す
る。
また,型彫放電加工機は,工作物と棒状等の各種形状
の電極との間で放電を発生させて放電エネルギーによっ
て工作物を加工する。
最近,放電加工機について,大物工作物の加工,順送
り型の加工,自動化による無人加工等の加工を達成する
ための各種の装置が開示いている。このような放電加工
を自動的に行う場合に,放電加工を行っている走行中の
ワイヤ電極の切断或いは無くなった状態,パイプ電極或
いは棒状電極の消耗状態が発生すれば,ワイヤ電極,パ
イプ電極或いは型彫用電極を自動的に交換する電極交換
装置が提供されている。例えば,特開昭63−139616号公
報には,ワイヤ電極交換装置が開示されている。また,
ワイヤ放電加工機の自動ワイヤ電極供給方法は,例え
ば,本出願人に係わる出願である特開平2−145215号公
報に開示されている。更に,工作物から中子即ち加工片
を自動的に取り出すワイヤ放電加工機は,例えば,本出
願人に係わる出願である特開平2−279216号公報に開示
されている。
また,細穴放電加工機は,例えば,特開平1−246021
号公報,実開平1−143321号公報,特開平1−143321号
公報等に開示されている。特開平1−246021号公報に
は,パイプ電極交換装置が開示されている。
更に,ワイヤ放電加工機のエフエムエスとしては,特
開昭62−120960号公報に開示されたものがある。該エフ
エムエスは,中央部に円形ワーク移動ステーションを設
け,その周囲にワイヤカット放電加工ステーション,型
彫放電加工ステーション,レーザ加工ステーション,放
電被覆加工ステーション及びウォータジェット加工ステ
ーションの各種を設ける。エフエムエスで加工を行う
際,最初に最適な加工ステーションを選択し,一連の作
業をエフエムエス全体を一括して制御する制御装置のコ
ンピュータに入力したプロクラムで行う。
また,特開平1−193125号公報には,アンローディン
グ装置を備えた加工機が開示されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら,従来の上記各放電加工機では,工作物
を放電加工機におけるX−Yテーブルに自動的に設定し
て取り付けるものはなく,放電加工機を完全自動化する
については障害となっている。そこで,ワイヤ放電加工
機,細穴放電加工機,型彫放電加工機等の各種の加工機
群を配置し,工作物を収容するラック等のストック場所
から工作物を加工機群のいずれかの加工機へ自動的に搬
入して設定し,該工作物を加工し,更に該加工機から工
作物を搬出する各工程を,完全自動化し,昼夜を問わず
に工作物に対して無人化で各種の加工を連続して行なう
ことが望まれている。
また,前掲特開昭62−120960号公報に開示したエフエ
ムエスは,円形ステーションに搭載できる工作物の数量
には限度があり,多数の工作物を用意するには,円形ス
テーションの径が大きくなり,エフエムエスのための装
置自体の専有床面積のロスがあり,また各種加工機によ
る加工時間が異なるため,行程待ち時間が発生し,ま
た,加工時間に余裕のある加工機が存在する時には,加
工機への工作物の搭載に時間的なロスが発生し,サイク
ル効率が低下するという問題を有している。特に,加工
機に対して工作物を自動的に且つ正確に位置決めすると
いう技術的思想を全く有していないものである。
この発明の目的は,上記の課題を解決することであ
り,工作物を予め設定したパレットをワイヤ放電加工
機,細穴放電加工機,型彫細穴放電加工機等の各種の加
工機(以下,EDMという)を多数設置した加工機群とラッ
ク等のストック場所との間でパレット走行系に沿って往
復移動するスタッカクレーンで搬出入して工作物に加工
を施す場合に,例えば,工作物の加工後に工作物自体に
付着した加工液,異物,塵等の付着物を排除し,防錆処
理を施す必要があるが,その防錆処理及び付着物の排除
処理を自動的に行う防錆処理装置及び流体吹付け装置を
提供し,それによって,工作物に対する各種の加工を完
全自動化し,昼夜を問わずに工作物に対して無人化で各
種の加工を連続して行うことができる加工機群における
FMSを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明は,多種の加工機を多数設置した加工機群と
パレット出入用の間口を有する複数の棚を備えたラック
との間のパレット走行系に設けられた工作物に防錆処理
を施すための防錆処理ステーション,該防錆処理ステー
ションに固定された支柱,前記防錆処理ステーションに
配置され且つ上部を開放した工作物処理液を入れるタン
ク,該タンクとパレット搬出入部との間で支柱にガイド
されて上下動するパレット支持部材,パレットが備えた
係止手段に係合する前記パレット支持部材に設けた係止
手段,及び前記パレット支持部材を上下動させる前記支
柱に設けた駆動装置を有し,前記防錆処理ステーション
は前記ラックの少なくとも1つの前記間口を有する単位
空間内に形成されていることから成るフレキシブルマニ
ファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置
に関する。
前記タンクは少なくとも2個以上設けられ,一方の前
記タンクには前記工作物処理液として錆落とし溶液が入
れられ,他方の前記タンクには前記工作物処理液として
防錆溶液が入れられている。
この工作物処理装置は,前記防錆処理ステーションに
近接し且つ前記パレット走行系に設けられた流体吹付け
装置を有し,前記流体吹付け装置は区画室,該区画室の
パレット搬出入口側に設けた開閉可能なシャッター,前
記パレットの前記係止手段に係合する係止手段を設けた
前記区画室内に配置されたパレット支持部材,及び前記
区画室内に設けられた流体吹出しノズルを有するもので
ある。
前記流体吹付け装置は,前記ラックの少なくとも1つ
の前記間口を有する単位空間内に配置されている。
〔作用〕
この発明によるFMSに設置可能な工作物処理装置は,
上記のように構成されているので,防錆処理ステーショ
ンをラック内の少なくとも1つの間口を有する単位空間
内に形成することによって,装置そのものがコンパクト
になり,例えば,スタッカクレーンでパレット支持部材
にパレットを載置するだけで,自動的に工作物に対して
錆落とし処理及び防錆処理を施すことができる。それ
故,この工作物処理装置をFMSに設置すれば,パレット
上の工作物に最適の防錆処理を適正に,自動的に且つ無
人で施すことができ,工作物の加工自体を無人で行うこ
とができるようになる。
また,前記防錆処理ステーションに近接し且つパレッ
ト走行系に設けられた流体吹付け装置を設けることによ
って,工作物に対して清掃でき,保管に際して工作物の
品質を保つことができ,工作物に対する加工精度を向上
できる。
〔実施例〕
以下,図面を参照して,この発明による工作物処理装
置を設置可能なFMSの実施例を説明する。ものFMSの実施
例では,加工機群はワイヤ放電加工機,細穴放電加工
機,型彫放電加工機等の放電加工機群に適用したもので
あるが,加工機は,これらの加工機に限らず,工作物を
加工するレーザ加工機,ウォータジェット加工機等の加
工機に適用できるものである。また,加工槽装置は,加
工液を収容する加工槽,加工液,加工屑等の飛散防止す
る加工槽カバー装置,安全のためのガード等を含むもの
である。また,ここでいう工作物は,被加工物のみなら
ず,加工が終了した加工物を指すものであり,加工機自
体は,加工のみならず組み立て,最終仕上げ加工等を行
うことができるものである。
第1図及び第2図を参照して,このFMSの一実施例の
概略を説明する。
このFMSは,図に示すように,ワイヤ放電加工機1,細
穴放電加工機2及び型彫放電加工機3を各々設置した加
工機群,工作物Wを所定の位置に設定したパレットPを
収容する複数の棚19を備えたラック4,走行通路5に沿っ
て往復移動するスタッカクレーン6,及びスタッカクレー
ン6と前記加工機群との間で往復移動する中間受け渡し
装置7を有するものである。更に,このFMSは,パレッ
トPを搭載して位置決めするパレット搭載台11を備えた
段取り割出し装置9,工作物Wに防錆処理を施す防錆処理
装置10,及び工作物Wの表面に付着した加工液,異物,
塵等の付着物を排除する流体吹付け装置12を有してい
る。
多種の加工機を多数設置した加工機(EDM)として,
第1図では,ワイヤ放電加工機1,細穴放電加工機2及び
型彫放電加工機3が1台ずつ示されている。また,各加
工機には,加工機に使用する加工液を濾過して清浄する
ため,それぞれ各加工機で機能が異なる濾過装置21を有
している。
また,このFMSは,該システムをコントローラ(図示
せず)で制御するため,段取り,割出し,防錆処理のた
めの制御盤13,在庫管理機14,中継盤15,スイッチボック
ス16,加工機1,2,3にそれぞれ設けた制御装置22等を備え
ている。制御装置22は,上記コントローラに検出情報を
入出力して上記コントローラによって制御される。スタ
ッカクレーン6の走行通路5には,スタッカクレーン6
が往復移動するためのモノレール18,及び安全確保のた
めの防護柵17が設けられている。
更に,コントローラ(図示せず)には,段取り割出し
装置9を通じて搬出入されたパレットPに如何なる工作
物Wが予め設定されているかの情報,段取り割出し装置
9を通じて搬出入されたパレットPの搬出入順序の情
報,各棚19に収容したパレットPの情報,加工機への搬
出入,加工中の工作物Wの情報等が記憶されている。コ
ントローラは,上記各情報をもとに,工作物Wに対して
如何なる加工機を用いて工作物Wに如何なる加工を行う
かの情報が予め入力されている。
このFMSの作動において,例えば,計画スケジュール
から段取りスケジュールが作成されるまでの工程として
は,第53図に示すように構成されている。まず,上位コ
ンピュータにおいて計画スケジュールを作成すると共
に,更に,次の計画スケジュールを作成する。上位コン
ピュータで作成された計画スケジュールは,上位コンピ
ュータからFMSにおける制御コンピュータへ送信され
る。制御コンピュータに受信された計画スケジュール
は,ディスプレイ等に表示されるが,該計画スケジュー
ルに対して計画の変更或いは追加設定が行われる。次い
で,例えば,計画スケジュールから一日単位のスケジュ
ールを作成する。ここで,シュミレーションとして,一
日単位のスケジュールのシュミレーションを行い,各加
工機1,2,3,の負荷率,加工機別スケジュール,段取りス
ケジュールを作成し,作業指示書を作成する。上記の各
処理を行った後、段取り割出し装置9において段取り割
出し作業を開始する。
次に,第3図を参照して,この工作物処理装置を設置
可能なFMSの別の例の概略を説明する。FMSの実施例で
は,上記FMSの実施例と比較して,加工機群におけるワ
イヤ放電加工機1,細穴放電加工機2及び型彫放電加工機
3の設置数及びそれらの加工機のレイアウト,並びに各
装置のレイアウトが相違する以外は,同様の機能を果た
すシステムである。この実施例では,パイプ電極PEで工
作物Wに所定のスタートホールを加工する細穴放電加工
機2は,段取り割出し装置9に対向した位置に1台が設
置されている。これに対して,工作物Wに形成したスタ
ートホールにワイヤ電極WEを貫通させて工作物Wを所定
の加工形状に加工するワイヤ放電加工機1は,図では5
台が設置されている。また,棒状等の各種形状の型彫電
極REで工作物Wを加工する型彫放電加工機3は,図では
4台が設置されている。即ち,細穴放電加工機2で工作
物Wにスタートホールを加工する所要時間は短時間で行
われるのに対して,ワイヤ放電加工機1で工作物Wのス
タートホールにワイヤ電極WEを貫通させて所定の加工形
状を加工する所要時間は長時間かかる。また,型彫放電
加工機3での加工に要する時間は,ワイヤ放電加工機1
ほどではないが,ある程度時間がかかる。そこで,各種
の加工機による工作物Wに対する加工に要する所要時間
に合わせて台数を設置することによって,加工機への工
作物Wの搬入取付け時から工作物Wの取外し搬出時まで
のサイクル時間を短縮し,加工機の工程待ち時間を短縮
することができ,サイクル効率を向上できる。
次に,この工作物処理装置を,第2図,第4図及び第
5図を参照して説明する。第4図は防錆処理装置の正面
図,及び第5図は第4図の側面図である。この実施例で
は,工作物処理装置は,防錆処理装置10及び流体吹付け
装置12を有しているものである。
上記FMSにおいて,防錆処理装置10が,工作物Wに防
錆処理を施すためパレット走行系中に設けた防錆ステー
ションに設置したものである。防錆ステーションは,パ
レット走行系のいずれの場所に設置してもよいが,図で
は,ラック4の少なくとも一区画,図では2つの区画,
言い換えれば,間口20を有する単位空間内にそれぞれ設
けられている。
防錆処理装置10は,ラック4内に設置された支柱4Pに
ガイドされて上下動するパレット支持部材23を有し,パ
レット支持部材23はスタッカクレーン6からのパレット
Pが所定の位置決め状態を維持できるようにパレットP
に設けた係止手段と係合する係止手段を備えている。支
柱4Pの上部にはフレーム4Fが固定され,フレーム4F上に
パレット支持部材23を上下動させる駆動装置10Dが設定
されている。また,ラック4の下部には,上方を開口し
たタンク10Tが配置され,タンク10T内には防錆処理を行
うための溶液が入っている。例えば,一方のタンク10T
には工作物Wに発生している錆を落とす錆落とし溶液を
入れ,また,他方のタンク10Tには工作物Wに錆が発生
するのを防止する防錆溶液が入っている。また,錆落と
し溶液を入れたタンク10T内には,錆落とし効果を促進
するため,例えば,溶液に超音波振動を与える手段を設
けることが好ましい。パレット支持部材23のガイドロー
ラ23Gは,防錆ステーションの支柱4Pに設けたガイド手
段にガイドされて上下移動される。
また,工作物処理装置である流体吹付け装置12が工作
物Wの表面に付着した加工液,異物,塵等の付着物を,
高圧エア或いは高温の水等の流体を吹き付けて排除する
ためパレット走行系中に設けられている。流体吹付け装
置12は,図では,防錆処理装置10の隣のラック4の間口
20に設けられている。流体吹付け装置12は,FMSに搬入さ
れた工作物Wに防錆処理或いは放電加工を行うのに十分
に清掃した状態にするものであり,高圧エア或いは高温
の水等の流体を吹き出す手段が設けられているから,該
流体が飛散するのを防止するため,間口20を閉鎖するシ
ャッター手段を設けることが好ましい。シャッター手段
は,コントローラの指令で作動するように制御されてい
る。スタッカクレーン6からパレットPが流体吹付け装
置12に搬入される時,シャッター手段が作動してシャッ
ターが開放し,パレットPが流体吹付け装置12内に設け
たパレット支持部材25Pに載置される。パレット支持部
材25Pには,パレットPが所定の位置決め状態を維持で
きるようにパレットPに設けた係止手段と係合する係止
手段を備えている。パレット支持部材25PにパレットP
が載置されると,シャッターが閉鎖し,次いで,流体吹
付け装置12の流体吹出しノズル12Nから流体が吹き出さ
れ,工作物Wに対して清掃処理が行われる。工作物Wに
対する清掃処理が終了すると,再びシャッターが開放
し,スタッカクレーン6によってパレット支持部材25P
からパレットPが搬出される。
上記のように,防錆処理装置10及び流体吹付け装置12
は一例として構成されているが,それらの作用は,例え
ば,スタッカクレーン6から防錆処理装置10のパレット
支持部材23に搬入されたパレットPを駆動装置10Dを作
動して錆落とし溶液を入れたタンク10Tに投入し,工作
物Wに発生した錆を落とす。次いで,パレットPをスタ
ッカクレーン6によって該防錆処理装置10から流体吹付
け装置12へ移動させ,流体吹付け装置12によって工作物
Wの表面に高圧エアを吹き付けて該表面に付着した錆落
とし溶液を吹き飛ばす。再び,パレットPをスタッカク
レーン6によって流体吹付け装置12から防錆処理装置12
へ移動させ,防錆処理装置10の防錆溶液を入れたタンク
10Tに投入し,工作物Wに対して防錆処理を行う。この
場合に,工作物Wに対する防錆処理後,直ちに放電加工
を行う時には,パレットPをスタッカクレーン6によっ
て該防錆処理装置10から流体吹付け装置12へ移動させ,
流体吹付け装置12によって工作物Wの表面に高圧エアを
吹き付けて該表面に付着した防錆溶液を吹き飛ばし,ス
タッカクレーン6によって加工機群の中間受け渡し装置
7へ搬送する。又は,防錆処理後に,防錆処理を行った
工作物Wを設置したパレットPをスタッカクレーン6に
よってラック4の棚19に収容するか,又は加工機1,2,3
に搬入する。
次に,このFMSの上記各例において利用できる各装
置,即ち,パレットP,ラック4,スタッカクレーン6,段取
り割出し装置9,中間受け渡し装置7,ワイヤ放電加工機1
及び細穴放電加工機2の加工台装置,ワイヤ放電加工機
1の加工片取除き装置130及び加工槽装置79,細穴放電加
工機2のパイプ電極交換装置2C,並びに型彫放電加工機
3の加工台装置及び加工槽装置79K等についての各例を
説明する。
パレットPは,種々の工作物Wを所定の位置に予め設
定しておくものであり,機械的剛性,導電性及び耐錆性
に富んだステンレススチール等の材料で製作されてお
り,各種の加工機1,2,3に対して共通の基準面を有する
基準金具等の取付基準手段及び凹部等の係止手段を備え
ている。第6図,第7図及び第8図を参照してパレット
Pの一例について説明する。第6図はこのFMSに共通し
て使用できるパレットの一例を示す平面図,第7図は第
6図の線V−Vにおける断面図及び第8図は第6図の線
VI−VIにおける断面図である。
パレットPは,ワイヤ電極WEを走行させるためワイヤ
放電加工機1の加工領域よりも広い切抜き孔24をパレッ
ト本体8の中央部に有している。切抜き孔24には,工作
物Wを所定の位置に設定できる固定手段である工作物ホ
ルダ25が嵌合している。工作物ホルダ25は,多数準備さ
れており,それらの工作物ホルダ25には中央に工作物W
の形状に整合する種々の切抜き孔34が形成されている。
工作物ホルダ25の切抜き孔34には,工作物セット治具26
を取替え可能に取り付けることができる。従って,工作
物ホルダ25の切抜き孔34に工作物Wを嵌合した後に,工
作物セット治具26に設けたクランプ27で締付けること
で,工作物WをパレットPに固定することができる。工
作物セット治具26は,工作物Wの形状に整合する種々の
形状のものが準備されている。
パレットPの取付基準手段は,各加工機1,2,3のX−
Yテーブル上の加工台に設けた基準面に対して高さ方向
即ちZ方向及び水平方向即ちX方向とY方向にパレット
Pを所定の位置に設定するために機能するものであり,
例えば,高さ方向としてパレットPの下面両側に形成し
た2箇所の仕上面28,また,水平方向としてパレット本
体8の前端面29Fに設けた基準金具29と一側30Sに設けた
基準金具30から構成できる。各仕上面28は,互いに平行
であり且つ同一高さに形成されている。更に,基準金具
29,30は,セラミックス,超硬材等の耐防錆性材料で且
つ耐摩耗性に富む材料で製作することが好ましく,パレ
ット本体8に対して取り替え可能に取り付けられてい
る。前端面29Fに設けた基準金具29の基準面29Kと一側面
30Sに設けた基準金具30の基準面30Kとは互いに直交し,
且つ各基準面29K,30Kと各仕上面28とは互いに直交して
いる。また,貫通孔24の回転中心軸は,各仕上面28と互
いに直交している。例えば,ワイヤ放電加工機1に対向
する側のパレット本体8の前端面29Fには,加工台上の
水平方向の所定の位置に設定するため,ワイヤ放電加工
機1に設けた加工基準位置決め手段として基準面を有す
る位置決めストッパに合致する基準手段としての基準面
29Kが形成されている。なお,加工機群1,2,3に設けた各
位置決めストッパは,セラミックス,超硬材等の耐防錆
性材料で且つ耐摩耗性に富む材料で製造することが好ま
しく,加工台に対して取り替え可能に取り付けられてい
る。
パレットPの係止手段は,パレット本体8の裏面に形
成された複数の凹部31である。複数(2個)の凹部31
は,スタッカクレーン6のフォークに設けた共通の係止
ピンが係合するものである。複数(図では,2個)の凹部
33はピン穴であり,中間受け渡し装置7のリフタに設け
た共通の作動ピンが係合するものであり,該作動ピンが
ピン穴に係合することによって,パレットPを各加工機
1,2,3に押し込んだり或いは引き出したりできる。ま
た,複数(図では,2個)の凹部32には,段取り割出し装
置9,防錆処理装置10及び中間受け渡し装置7に設けた共
通の係止ピンが係合する。
このFMSには,ラック4が設けられている。ラック4
は,スタッカクレーン6の走行通路5の長手方向に沿っ
てパレットPの出入のための間口20を備えた多数の区画
即ち単位空間から成り,該単位空間内にはパレットP或
いは工作物Wを予め設定したパレットPを格納しておく
多数の棚19が上下方向に配置されている。従って,パレ
ットPはスタッカクレーン6の作動によって棚19に格納
され,又は棚19からスタッカクレーン6へ取り出され
る。ラック4の適宜の間口20を備えた区画には,防錆処
理装置10及び流体吹付け装置12が配置されている。ラッ
ク4の上部から走行通路5側へ突き出したフレームに
は,スタッカクレーン6の上部をガイドするため上部レ
ール48が取り付けられている。
更に,このFMSには,第9図,第10図及び第11図に示
すように,段取り割出し装置9が段取りステーションの
ベース36上に設けられている。第9図はこのFMSに利用
できる段取り割出し装置の一例を示す平面図,第10図は
第9図の正面図及び第11図は第9図の前端側面図であ
る。
この段取りステーションでは,第55図に示すように,
段取り割出し作業として,段取りスケジュールを作成
し,パレットPにワーク即ち工作物Wを取り付ける段取
りを開始する。まず,スタッカクレーン6を作動してラ
ック4の棚19から空のパレットPを段取りステーション
へ出庫し,パレットPに工作物Wを取り付ける。パレッ
トPに工作物Wを所定の位置に設定する取付け作業が終
了すると,再びスタッカクレーン6を作動して工作物W
を設定したパレットPを所定のラック4の棚19へ入庫す
る。次いで,工作物Wを取り付けたパレットPは,スタ
ッカクレーン6の作動で所定の加工機1,2,3に搬入され
て放電加工が施される。放電加工の終了した工作物Wを
取り付けたパレットPは,スタッカクレーン6の作動で
再び所定のラック4の棚19へ入庫されるか,或いは段取
りステーションへ搬出される。段取りステーションで
は,所定の棚19に収容されている放電加工の終了した工
作物Wを取り付けたパレットPに対しては出庫の指令を
出し,スタッカクレーン6を作動してパレットPを段取
りステーションへ搬出する。パレットPから工作物Wを
取り外す作業が行われ,取り外した工作物W即ち製品は
所定の場所へ運び出されるが,工作物Wを取り外したパ
レットPは,再びスタッカクレーン6を作動してラック
4の棚19へ収納される。段取りステーションでは,上記
作業が繰り返されるものである。
上記各作業を達成するため,段取り割出し装置9は,
工作物WをパレットPに搭載してから位置決めし,スタ
ッカクレーン6に対してパレットPを所定の位置決め状
態で搬出入可能にしたものである。段取り割出し装置9
は,図では2台設けられており,例えば,一方の段取り
割出し装置9をパレットPの搬入専用に構成し,また,
他方の段取り割出し装置9をパレットPの搬出専用に構
成することができる。段取り割出し装置9の走行台車37
は,スタッカクレーン6が走行する走行通路5のモノレ
ール18に対して直角方向に配置されたレール35上を移動
装置41によって往復移動するものである。移動装置41
は,図では,モータ,減速機,ベース36に固定されたス
プロケット41S,スプロケット41Sに掛かるチェーン41C等
から構成されているが,これに限らず油圧シリンダ等で
構成することもできる。走行台車37上には,周囲部に配
置された回転自在なローラ40上を介してパレット搭載台
11が回転軸43を中心に回転可能に配置されている。パレ
ット搭載台11は,ローラ40上を旋回する円形の軌道部材
と該軌道部材の支柱部材から成り,ローラ40上を360゜
にわたって旋回することができる。更に,パレット搭載
台11の回転運動は,手動割出し或いは自動割出しにより
4等分に回転できるように構成し,該回転運動の原点を
リミットスイッチ等により確認するように構成する。ま
た,走行台車37上にはストッパピン39が設けられ,スト
ッパピン39はパレット搭載台11に設けた係止部材42に係
止可能に構成されている。従って,ストッパピン39が係
止部材42に係止すれば,走行台車37上でのパレット搭載
台11の回転運動を停止させることができる。パレット搭
載台11には係止ピンが設けられており,該係止ピンはパ
レットPに形成した凹部32と係合し,従って,パレット
搭載台11とパレットPとの位置関係が所定の位置に位置
決めされる。パレット搭載台11上には受台38を介してパ
レットPが搭載される。パレットPには,予め決められ
た位置に所定の工作物Wが設定されている 段取り割出し装置9は,上記のように構成されている
ので,パレット搭載台11上にパレットPをフォークリク
ト等で搭載し,人手或いは適宜の回転装置でパレット搭
載台11を走行台車37で回転させれば,パレット搭載台11
を走行台車37に対して所定の位置まで回転させ,パレッ
ト搭載台11の係止部材42が走行台車37のストッパピン39
に係止し,パレット搭載台11は走行台車37の所定の位置
に停止することになる。次いで,移動装置41を駆動して
走行台車37を走行通路5側へ移動させる。そこで,走行
台車は37は待機し,スタッカクレーン6が走行通路5を
移動して段取りステーションに来れば,パレット搭載台
11上のパレットPはスタッカクレーン6のフォークによ
って搬入される。
このFMSは,走行通路5のモノレール18上を往復移動
するスタッカクレーン6を有している。スタッカクレー
ン6は,従来使用されているものと比較してフォークの
構造以外についてはほぼ第一の構造を有しているので,
走行台車,該走行台車の駆動装置,巻上装置等の従来と
同一の点についての説明は省略する。以下,第12図〜第
21図を参照して,スタッカクレーン6について説明す
る。第12図はこのスタッカクレーンを全体的に示す概略
正面図,第13図は第12図の側面図,第14図はスタッカク
レーンの概略を示す係止図,第15図はスタッカクレーン
に搭載されるフォークベースの概略を示す斜視図,第16
図はスタッカクレーンの下部を示す正面図,第17図はス
タッカクレーンの上部を示す正面図,第18図はスタッカ
クレーンのフォーク装置の伝達機構を示す断面図,第19
図はフォーク装置の正面図,第20図はフォーク装置が伸
長した状態を示す説明図,及び第21図はフォーク装置が
収縮した状態を示す説明図である。
第12図及び第13図に示すように,スタッカクレーン6
は,走行装置57の駆動によって走行通路5の両端にスト
ッパ6Sを設けたモノレール18を往復移動する走行台車4
4,該走行台車44の前後方向に立設したマスト45,マスト4
5の両上端部に掛け渡した上部サドル46及びマスト45に
取り付けた巻上装置47を有している。ラック4に設けた
上部レール48には,スタッカクレーン6の上部サドル46
の振れを防止するため,上部サドル46の前後左右に設け
たガイドローラ49がガイドされる(第14図)。
更に,第15図及び第17図に示すように,スタッカクレ
ーン6の走行台車44上には,走行通路5の左右側に伸縮
可能に作動し且つパレットPを載置するフォーク装置50
が設けられている。フォーク装置50はフォークベース51
上に配置され,フォークベース51にはキャレッジ52が前
後方向に立設されている。これらのキャレッジ52の上部
にはガイドローラ55が回転自在に取り付けられ,該ガイ
ドローラ55にチェーン54がそれぞれ掛けられている。ま
た,第14図及び第15図に示すようにキャレッジ52の上部
にはガイドローラ56が回転自在に取り付けられ,ガイド
ローラ56はマスト45でガイドされ,キャレッジ52の上下
運動でキャレッジ52が振れるのを防止する。チェーン54
は,巻上装置47で巻上げ巻戻しが行われ,上部サドル46
に一端を取り付けると共に上部サドル46に取り付けたガ
イドローラ53でガイドされる。従って,巻上装置47の作
動でチェーン54が巻上げ或いは巻戻されると,キャレッ
ジ52が上下移動し,フォークベース51上のフォーク装置
50が上下方向に移動することになる。
次に,フォーク装置50を特に第18図〜第21図を参照し
て説明する。第18図はフォーク装置及び該フォーク装置
の駆動装置の概略を示す説明図,第19図はフォーク装置
の詳細を示す断面図,第20図はフォーク装置の伸長状態
を示す説明図及び第21図はフォーク装置の収縮状態を示
す説明図である。
フォーク装置は,パレットPを載置して搬出入するた
め伸長自在の構造に構成されている。即ち,フォーク装
置50は,フォークベース51に固定された基端フォーク5
8,基端フォーク58上で摺動可能な中間フォーク59,該中
間フォーク上で摺動可能な先端フォーク60及び中間フォ
ーク59と先端フォーク60とを伸縮自在に摺動させる駆動
装置63を有している。フォーク装置50は,特に,先端フ
ォーク60の両端部位に係止ピン67A及び支持ピン67Bを設
けたことである。係止ピン67AはパレットPに形成した
凹部31に係合すると共に,支持ピン67Bはパレット下面
を支持してパレットPの水平状態を維持するものであ
る。先端フォーク60の係止ピン67AがパレットPの凹部3
1に係合することによって,パレットPをスタッカクレ
ーン6の先端フォーク60に正確に且つ確実に位置決めす
ることができる。従って,スタッカクレーン6における
フォーク装置50の上下運動及び伸縮運動の際に,パレッ
トPは先端フォーク60上で移動することなく正確に且つ
確実に位置決めされた状態を維持して,先端フォーク60
と共に所定の位置へ移動することができる。
また,基端フォーク58には,前進側チェーン受け部材
62F及び後退側チェーン受け部材62Rがそれぞれ固定され
ている。前進側チェーン受け部材62Fに前進側チェーン6
Fの一端を且つ後退側チェーン受け部材62Rに後退側チェ
ーン64Rの一端をそれぞれ固定する。前進側チェーン64F
は中間フォーク59の先端に設けた前進側スプロケット65
Fに掛けられ,前進側チェーン64Fの他端は先端フォーク
60の基端側端部66Fに固定されている。また,後退側チ
ェーン64Rは中間フォーク59の先端に設けた後退側スプ
ロケット65Rに掛けられ,後退側チェーン64Rの他端は先
端フォーク60の先端側端部66Rに固定されている。ま
た,駆動装置63は,伝動装置7を通じてフォークベース
51に回転可能に取り付けたピニオン70を回転駆動する。
また,中間フォーク59の下面には,ラック61が長手方向
に伸長する状態で固定されている。このラック61には,
フォークベース51に取り付けたピニオン70が噛み合って
いる。また,中間フォーク59の両側面には,ガイド溝7
2,73が形成されている。先端フォーク60にはガイドロー
ラ68が回転自在に取り付けられ,基端フォーク58にはガ
イドローラ69が回転自在に取り付けられている。ガイド
ローラ68はガイド溝72に遊嵌してガイドローラ68をガイ
ド溝72でガイドするので,先端フォーク60は中間フォー
ク59に対してスムースに伸縮運動する。また,ガイドロ
ーラ69はガイド溝73に遊嵌してガイドローラ69をガイド
溝73でガイドするので,中間フォーク59は基端フォーク
58に対してスムースに伸縮運動する。
以上のように,フォーク装置50は構成されており,次
のように作動する。
第20図に示すように,フォーク装置50の先端フォーク
60を伸長させる場合には,駆動装置63を一方の方向に回
転駆動させ,伝動装置71を通じてピニオン70を前進側方
向に回転運動させる。ピニオン70の回転運動はラック61
を長手方向の前進側へ移動させることになる。ラック61
が長手方向の前進側へ移動すれば,中間フォーク59は前
進側即ち基端フォーク58に対して伸び出す側へ移動す
る。中間フォーク59の伸び出しは中間フォーク59に取り
付けたスプロケット65Fをチェーン64Fによって回転さ
せ,それによって前進側チェーン受け部材62Fとスプロ
ケット65Fとの距離が長くなり,スプロケット65Fと基端
側端部66Fとの距離が短くなる。従って,先端フォーク6
0が中間フォーク59に対して前進側即ち伸び出す側へ移
動する。それ故,フォーク装置50は先端フォーク60を伸
長させることになる。
また,第21図に示すように,フォーク装置50の先端フ
ォーク60を収縮させる場合には,駆動装置63を上記とは
逆方向に回転駆動させ,伝動装置71を通じてピニオン70
を後退側方向に回転運動させる。ピニオン70の回転運動
はラック61を長手方向の後退側へ移動させることにな
る。ラック61が長手方向の後退側へ移動すれば,中間フ
ォーク59は後退側即ち基端フォーク58に対して引き込む
側へ移動する。中間フォーク59の引き込みは中間フォー
ク59に取り付けたスプロケット65Rをチェーン64Rによっ
て回転させ,それによって後退側チェーン受け部材62R
とスプロケット65Rとの距離が長くなり,スプロケット6
5Rと基端側端部66Rとの距離が短くなる。従って,先端
フォーク60が中間フォーク59に対して後退側即ち引き込
み側へ移動する。それ故,フォーク装置50は先端フォー
ク60を収縮させることになる。
それ故,スタッカクレーン6において,走行通路5の
一側面に対して伸縮運動するフォーク装置50と他側面に
対して伸縮運動するフォーク装置50とを設けておけば,
スタッカクレーン6は走行通路5の両側方に対して伸縮
運動できるフォーク装置50を備えることになる。或い
は,スタッカクレーン6について,上記2つの伸縮運動
をするフォーク装置50を設ける代わりに,図示していな
いが,フォークベース51上で回転するフォーク装置を設
けることによって1つのフォーク装置50で両方向だけで
なく,所望の方向にフォーク装置を方向付けることもで
きる。
従って,スタッカクレーン6は,巻上装置47によって
フォーク装置50を上下移動させると共に,走行通路5の
左右方向に伸縮運動するフォーク装置50を有することに
よって,フォーク装置50の先端フォーク60を所定の場所
に存在するパレットPの下方まで伸び出させ,次いで先
端フォーク60を僅かに上昇させれば,パレットPの凹部
31に先端フォーク60の係止ピン67Aが係合すると共に,
パレットP下面が支持ピン67B上に載置状態になる。そ
の状態で先端フォーク60を収縮させれば,パレットPを
フォークベース51上に位置させることができる。次い
で,スタッカクレーン6の走行台車44を走行装置57を駆
動し,コントローラの指令で所定の位置,例えば,段取
り割出し装置9,各種加工機1,2,3の各中間受け渡し装置
7,防錆処理装置10,流体吹付け装置12,或いはラック4の
棚19へと移動させる。再び,フォーク装置50を作動して
先端フォーク60を伸長させ,パレットPを載置する部位
へと移動させる。先端フォーク60がパレットPの載置部
位まで伸長した時,先端フォーク60を僅かに下方へ移動
させると,パレットPの凹部31に係合していた先端フォ
ーク60の係合ピン67Aが離脱する。その状態で,先端フ
ォーク60を引き込み,フォーク装置50を第21図に示す状
態に収縮させて,次の目的の場所へとスタッカクレーン
6を移動させる。
従って,スタッカクレーン6は,段取り割出し装置9
で受け取ったパレットPを防錆処理装置10,流体吹付け
装置12,ラック4或いは各種加工機1,2,3の中間受け渡し
装置7へと搬入する機能を果たすことができる。或い
は,スタッカクレーン6は,各種加工機1,2,3から搬出
されたパレットPを受け取った中間受け渡し装置7から
のパレットPを受け取り,別の加工機の中間受け渡し装
置7へ搬入したり,或いはラック4又は段取り割出し装
置9へ搬出する機能を果たすことができる。
次に,加工機群のうちワイヤ放電加工機1について,
第22図〜第31図を参照して説明する。第22図はワイヤ放
電加工機の加工台部位の一側面図,第23図は第22図の正
面図,第24図はワイヤ放電加工機の加工台部位の平面
図,第25図は第24図の一部平面図,第26図はワイヤ放電
加工機の加工台部位の他側面図,第27図はクランプ装置
の一部断面図,第28図は加工槽カバー装置の斜視図,第
29図は第28図の断面図,第30図は加工槽カバー装置の平
面図,及び第31図は第30の側面図である。
ワイヤ放電加工機1は,従来のものと同様に,自動ワ
イヤ電極供給装置,ワイヤ電極交換装置,工作物から中
子即ち加工片を自動的に取り出す加工片取除き装置(第
44図及び第45図)等を設けることができる。ワイヤ放電
加工機1は,従来のものと比較して,加工台75上にパレ
ットPを搬出入する機構,加工台75へのパレットPの固
定機構及び加工槽76について相違する以外はほぼ同一の
構成であるので,特に,上記相違するものについて説明
する。
ワイヤ放電加工機1の加工作業は,例えば,第56図に
示すように行うことができる。ワイヤ放電加工機1の加
工準備が整うと,コントローラは,NCプログラムへ信号
を発すると共にスタッカクレーン6に指令を発し,スタ
ッカクレーン6によってワイヤ放電加工機1へラック4
の棚19に収容されているスタートホールの加工が終了し
た工作物Wを設定したパレットP,或いは細穴放電加工機
2でスタートホールの加工が終了した工作物Wを設定し
たパレットPを搬入する作業を行う。ワイヤ放電加工機
1にパレットPが設定されると,ワイヤ放電加工機1が
作動して工作物Wに対して所定の加工形状に放電加工す
る。工作物Wに対してワイヤ放電加工が終了すると,工
作物Wを搭載したパレットPは,スタッカクレーン6に
よってラック4の所定の棚19に収容されるか,或いはベ
ース即ち段取りステーション36へ搬出される。
ワイヤ放電加工機1において,工作物Wは各パレット
Pに予め設定され,パレットPはX−Yテーブル上に電
気的に絶縁状態に取り付けた治具ベース74に固定した加
工台75上に中間受け渡し装置7によって自動的に搬出入
されるものである。ワイヤ放電加工機1には,放電加工
中に使用する加工液を濾過するための濾過装置21,パレ
ットPを中間受け渡し装置7から加工台75に搬入して押
込んで設定するためのパレット押圧装置77,パレットP
を加工台75上に固定するため加工台75に設けたクランプ
装置78,及び治具ベース74に取り付けた加工槽76に設け
た加工液の飛散防止のための開閉可能な開閉扉であるス
ライドカバー80付き加工槽カバー装置79が設けられてい
る。ワイヤ放電加工機1におけるX−Yテーブル上には
治具ベース74が電気的に遮断状態で固定され,治具ベー
ス74に加工槽76が取り付けられ,加工槽76内には加工槽
カバー装置79が設けられている。また,治具ベース74の
上面には,位置基準手段となる一対の加工台75が固定さ
れている。加工台75には,治具ベース74の両側に位置
し,クランプ装置78及びパレット押圧装置77が取り付け
られている。
加工台75を,第22図〜第27図を参照して説明する。加
工台75は,パレットPの両端部を支持できるように,パ
レットPの両端部に対応してそれぞれ伸びて治具ベース
74に固定されている。加工台75と治具ベース74との取付
構造については,特に限定されるものではない。加工台
75は,NC装置によってサーボ移動するテーブルの水平方
向の移動と共に移動するように構成され,ワイヤ電極WE
が走行する走行路に対して位置関係が予め決定されてい
る。加工台75の出入口部位にはガイドローラ83Aが設け
られている。加工台75に対して上下移動可能に加工台75
に取り付けた両側の連結バー82には,パレットPの押圧
時にパレットPをガイドするため,パレットPの両側面
に対向した多数のガイドローラ83が回転自在にそれぞれ
固定されている。ガイドローラ83は,加工台75に対して
パレットPをスムーズに移動させる機能を果たす。即
ち,連結バー82は,両端部に設けられたガイド86Aに支
持されてシリンダ78Cの作動で上下方向に移動できる。
また,加工台75の上端部には,位置決め部材である基準
金具81が設定されている。基準金具81の上面は,基準面
81Sとして機能する。パレットPの搬出入時には,シリ
ンダ78Cの作動によって連結バー82は上方に移動すると
共に,ガイドローラ83の上面が基準金具81の基準面81S
より上方に突き出し,パレットP搬出入時のガイドを行
う。
更に,パレットPに取り付けた基準金具29,30の各基
準面29K,30Kは,パレット押圧装置77,77Aによって加工
台75に設けた位置決めストッパ84,87に押し付けられ
る。ワイヤ放電加工機1においてパレットPを加工台75
の前進方向の所定に位置に押し付けるパレット押圧装置
77は,パレットPの基準面29Kを加工台75に設けた位置
決めストッパ84に押し付けるため,加工台75の両側に加
工台75に設けたシリンダ86を有する。また,パレットP
を加工台75の側面方向の所定の位置に押し付けるパレッ
ト押圧装置77Aは,パレットPの側面の基準面30Kを加工
台75に設けた位置決めストッパ87に押し付けるため,加
工台75の前後方向に加工台75に設けたシリンダ88を有し
ている。シリンダ86,88は,複動シリンダであり,シリ
ンダ内で往復運動するピストンの両側には流体室が形成
され,何れかの側の流体室に流体が導入されることによ
って,ピストンがシリンダ86,88内を往復移動する。
パレットPの前端部を加工台75の位置決めストッパ84
に押圧するパレット押圧装置77において,シリンダ86の
一端を加工台75に枢支点86Pで回動可能に取り付け,シ
リンダ86内のピストンに固定したピストンロッド90の端
部には,押圧アーム91が回転軸65を中心に回転自在に取
り付けられている。また,押圧アーム91は,加工台75に
取り付けた回転軸66に回転自在に取り付けられている。
従って,ピストンロッド90がシリンダ86から伸び出せ
ば,第26図に実線で示すように,押圧アーム91の端部94
は回転軸66を中心に上方へ旋回し,パレットPの端部を
押圧することになる。これに対して,ピストンロッド90
がシリンダ86に引っ込めば,第26図に鎖線で示すよう
に,押圧アーム91の端部94は回転軸66を中心に下方へ旋
回し,パレットPの搬出入が可能な状態になる。
また,パレットPの側端部を加工台75の位置決めスト
ッパ87に押圧するパレット押圧装置77Aにおいて,シリ
ンダ88内のピストンのピストンロッド89の端部は,パレ
ットPの一側面の当接可能に構成されている。従って,
シリンダ88が作動してピストンロッド89が伸び出せば,
ピストンロッド89の先端面はパレットPの側面に当接
し,パレットPを側面方向に押圧し,パレットPの側面
に設けた基準金具30の基準面30Kを加工台75に設けた位
置決めストッパ87に当接させ,パレットPを側方の所定
の位置に位置設定できる。
また,パレットPの下面の仕上面即ち基準面28を,加
工台75の基準金具81の基準面81Sに当接させて,パレッ
トPを加工台75に位置設定する時には,シリンダ78Cを
上記とは逆方向に作動させて連結バー82を下方に移動さ
せ,ガイドローラ83の上面が基準金具81の基準面81Sよ
り下方に下げ,ガイドローラ83が位置決めの障害になら
ないようにする。従って,パレットPの下面の仕上面即
ち基準面28は,基準金具81の基準面81Sに当接して,パ
レットPは加工台75に対して所定の高さ方向に正確に且
つ確実に位置設定されることになる。
また,パレットPは,ワイヤ放電加工機1の加工台75
にクランプ装置78の複数個のクランプ85によって固定さ
れるが,クランプ85によって押圧される両側部の縁部を
有している。クランプ装置78は,第23図,第24図,第26
図及び第27図に示されている。クランプ装置78は,各加
工台75の側方にブラケット78Bを介してそれぞれ取り付
けられ,パレットPの両側面にそれぞれ対向位置してパ
レットPを加工台75に固定する機能を有する。クランプ
装置78は,連結バー82の中央部側方に配置され且つブラ
ケット78Bで加工台75に固定されたシリンダ78C,シリン
ダ78Cの作動で上下運動するピストン78Pに固定したピス
トンロッド78R,及びピストンロッド78Rの上端部に取り
付け且つ連結バー82の上方に位置するクランプ85を有し
ている。
更に,クランプ装置78には,シリンダ78Cが作動して
パレットPを加工台75上に固定又は解放したことを検出
するため,図示してないが,パレット固定センサー及び
パレット解放センサーが設けられている。ピストンロッ
ド78Rの上端部はクランプ85に設けた貫通孔85Hを貫通
し,ピストンロッド78Rの上端部に形成したねじ部にナ
ット85Nを螺入することによって,クランプ85をピスト
ンロッド78Rに固定している。従って,シリンダ78Cに流
体通路を通じて流体を導入すれば,ピストン78Pは下方
に移動してピストンロッド78Rは下方に移動する。それ
故,ピストンロッド78Rに固定したクランプ85は下方に
移動する。クランプ85の下方への移動は,パレットPを
加工台75上に押し付けて,パレットPを加工台75に固定
する。また,クランプ装置78のクランプ85を上方に移動
させて,パレットPの加工台75への固定を解除するに
は,シリンダ78Cを逆方向に作動させることによって達
成できる。
ワイヤ放電加工機1における加工槽カバー装置79は,
特に,第28図,第29図,第30図及び第31図に示されてい
る。
加工槽カバー装置79は,ワイヤ放電加工機1のX−Y
テーブル上の治具ベース74に取り付けた加工槽76内に配
置され,工作物Wをワイヤ放電加工する際に加工液,加
工屑等の飛散を防止,或いは安全性のためのガードとし
て機能するものである。加工槽カバー装置79は,エアシ
リンダ92,加工槽76に取り付けたカバー93,カバー93の側
面に配置し且つカバー93に枢着した手動開閉カバー94C,
及びカバー93に対して摺動可能に且つパレットPの搬出
入口を構成するスライドカバー80から構成されている。
加工槽カバー装置79は,工作物Wを設定したパレットP
の出入口を開閉するためのスライドカバー80を摺動させ
るアクチュエータであるエアシリンダ92を備えている。
エアシリンダ92は,複動シリンダであり,該シリンダは
非磁性材料で構成されている。エアシリンダ92のシリン
ダ内には磁性材料から成るピストン95が配置され,ピス
トン95はエアシリンダ92内のピストン95の何れかの側に
エアが供給されることによってエアシリンダ92内を往復
移動するものである。加工槽カバー装置79のスライドカ
バー80は,中間受け渡し装置7のパレット搬出入側に対
向した面に位置している。スライドカバー80の往復移動
の機構は,加工槽カバー装置79の下方にエアシリンダ9
2,エアシリンダ92内を往復移動するピストン95が配置さ
れ,ピストン95の往復移動は,エアシリンダ92の両端部
に設けられたエア通路97の何れか一方にエアが供給され
ることによって達成される。カバー93には,カバーガイ
ド96が固定され,カバーガイド96にはガイドローラ98が
取り付けられている。また,スライドカバー80にはガイ
ドレール99が固定され,ガイドレール99にガイドローラ
98が嵌合する。更に,スライドカバー80の下端部にはブ
ラケット80Bが固定され,ブラケット80Bの端部には磁石
から成るブラケット80Mが固定されている。ブラケット8
0Bは,エアシリンダ92内を往復移動する磁性材料から成
るピストン95を吸着し且つエアシリンダ92の外面に沿っ
て往復移動する。従って,ピストン95がシリンダ内を往
復移動すると,ピストン95を吸着しているブラケット80
Mはピストン95の移動に従って移動する。ブラケット80M
が往復移動すれば,ブラケット80Bが往復移動する。ブ
ラケット80Bの往復移動は,スライドカバー80がカバー
ガイド96に設けたガイドローラ98に案内されて往復移動
する。
加工槽カバー装置79において,スライドカバー80の開
閉状態を検出するため,スライドカバー80の開放状態を
検出する開端センサー80F及びスライドカバー80の閉鎖
状態を検出する閉端センサー80Eを備えている。開端セ
ンサー80F及び閉端センサー80Eは,カバー93,スライド
カバー80,又は図示のように,エアシリンダ92に対して
設けることができる。開端センサー80Fによってスライ
ドカバー80が開放状態になっていることを検出し,コン
トローラは該検出信号を受けて,中間受け渡し装置7に
位置するパレットPをワイヤ放電加工機1の加工台75上
に移動させるように制御し,或いは,加工台75上のパレ
ットPを加工台75から中間受け渡し装置7に移動させる
制御を行う。また,スライドカバー80の閉鎖状態を開端
センサー80Eで検出し,コントローラは該検出信号を受
けてワイヤ放電加工機1の稼働を行うように制御する。
更に,ワイヤ放電加工機1は,特に,加工台75上に放
置した位置決め部材である基準金具81の上面である基準
面81S,パレットPの裏面に形成された仕上面である基準
面28,パレットPの前端面に配置した基準金具29の基準
面29F,パレットPの側端面に配置した基準金具30の基準
面30K,及び加工台75に設けた位置決めストッパ即ち基準
金具84,87に形成した基準面84S,87Sを清掃するため,基
準面清掃装置が設けられている。この基準面清掃装置
は,清掃面に対して水を吹きつける水噴射ノズル及びエ
アを吹きつけるエア吹き付けノズルから構成でき,ワイ
ヤ放電加工機1によるワイヤ放電加工時に発生した微細
な加工屑を排除する。従って,各基準面はパレットPの
設定毎に或いは所定期間毎に常に清掃できるので,パレ
ットPの加工台75に対する設定は常に信頼性に富み,加
工精度に悪影響を及ぼすことがない。
上記のように,ワイヤ放電加工機1における加工台75
へのパレットPの位置決め装置は構成されているので,
次のように作動できる。ワイヤ放電加工機1に設けた加
工槽カバー装置79のスライドカバー80を開放し,クラン
プ装置78のシリンダ78Cを作動してクランプ85を上昇さ
せると共に,シリンダ86Aを作動して連結バー82を上昇
させる。連結バー82の上昇はガイドローラ83を上昇させ
る。この状態で,中間受け渡し装置7のリフター100に
よって加工台75上へパレットPを送り込む。この時,ガ
イドローラ83の上面レベルは,後述の中間受け渡し装置
7のリフター100に設けた各ローラの上面レベルと同一
レベルになることが好ましい。その後,リフター100の
押込引出アーム101が作動して前進し,パレットPを加
工台75に押し込む。次いで,中間受け渡し装置7のリフ
ター100が僅かに下降し,押込引出アーム101が備えた作
動ピン170がパレットPに形成した凹部33から離脱し,
次いで,押込引出アーム101を引っ込める。この時,コ
ントローラの指令でシリンダ86Aのソレノイドバルブが
中立位置になり,パレットPの自重で降下すると共に,
連結バー82及びガイドローラ83がパレットPの荷重で降
下する。それによって,パレットPの下面は加工台75の
基準金具81の基準面81Sに当接状態に載置した状態にな
る。
この状態で,パレット押圧装置77を作動して押圧アー
ム91を回転軸66を中心に回転させ,第22図の実線で示す
ように,押圧アーム91でパレットPの後端部を押圧して
加工台74の位置決めストッパー84の基準面84Sに押し付
ける。パレットPの前端面をパレット押圧装置77の作用
で位置設定し,次いで,パレット押圧装置77Aのシリン
ダ88を作動してピストンロッド89でパレットPの側端面
を側方へ押し込み,パレットPの側端面を加工台75に設
けた基準金具30の基準面30Kに押し付け,パレットPの
側端面を加工台75で位置設定する。このようにパレット
Pを加工台75に位置設定した後,クランプ装置78を作動
してパレットPを押し付け,パレットPの下面の基準面
28を加工台75の基準金具81の基準面81Sに押圧状態に当
接させ,パレットPを加工台75上に固定すれば,パレッ
トPを加工台75の予め決められた所定の加工位置に設定
することができる。勿論,これらの作動工程は,全て各
センサーの各検出信号をコントローラに入力し,該入力
信号に基づいてコントローラは次の工程の作動信号を発
し,所定の装置を作動させるように構成されている。次
に,加工台75へのパレットPの位置設定が完了すると,
加工槽カバー装置79のスライドカバー80が摺動してパレ
ットPの搬出入口を閉鎖する。
この状態で,ワイヤ放電加工機1が作動してパレット
Pに予め設定した工作物Wに対して,ワイヤ自動供給装
置がワイヤを挿通した後,ワイヤ放電加工が開始され
る。工作物Wに対して放電加工が行われ,工作物Wに所
定の加工形状が加工され,放電加工が終了すると,ワイ
ヤ自動供給装置がワイヤを切断した後,加工槽カバー装
置79が作動してスライドカバー80が摺動し,パレットP
の搬出入口を開放する。次いで,パレット押圧装置77を
逆方向に作動して押圧アーム91を第26図の鎖線で示すよ
うに後退させると共に,パレット押圧装置77Aを非動作
状態にしてピストンロッド89の押圧力を無くする。更
に,クランプ装置78を作動してクランプ85を上昇させ,
ガイドローラ83を上昇させてパレットPをガイドローラ
83に搭載した状態にする。次いで,中間受け渡し装置7
が作動してパレットPを加工台75から中間受け渡し装置
7へ移動させる。
また,ワイヤ放電加工機1は,工作物Wに対してワイ
ヤ放電加工を行った場合に,工作物Wから切り離される
加工屑或いは加工形状に加工された製品が発生する。こ
れらの加工片は,ワイヤ放電加工機1での放電加工では
自動的に取り除く処理を行わなければ,引き続く放電加
工を行うことができなくなる。ここでは,加工片取除き
装置の一例を,第44図及び第45図を参照して説明する。
第44図はワイヤ放電加工機に取り付けた加工片取除き装
置の一例を示す概略正面図,及び第45図は第44図の側面
図である。
加工片取除き装置130は,ワイヤ放電加工機1のヘッ
ド1Hに上部取付部材131と下部取付部材132によって固定
されている。上部取付部材131には,上下移動するボー
ルねじロッド135を貫通させてガイドするドグ133が取り
付けられている。ボールねじロッド135には,ボールス
プライン溝141とねじ142が形成されている。下部取付部
材132には,ボールスプライン溝141と噛み合って回転方
向に固定され且つ上下方向に摺動する摺動部材62が設け
られている。摺動部材62に固定されているギヤ145に
は,それに噛み合ってギヤ145の外周を270度にわたって
旋回するギヤ146が噛み合っている。ギヤ146は,下部取
付部材132に取り付けた支持部材147に回転可能に支持し
た回転軸148に固定されている。回転軸148の回転は,第
2サーボモータであるサーボモータ137の作動によって
行われる。従って,サーボモータ137によって回転軸148
が回転すると,ギヤ146がギヤ145に噛み合ってギヤ145
の周囲を回転運動するか,又はギヤ146の回転によって
ギヤ145を回転させてボールねじロッド135を回転させ
る。
また,下部取付部材132には,ねじ142と噛み合うボー
ルねじ143が取り付けられている。下部取部材132に取り
付け且つ摺動部材62に固定したナット回転支持ホルダ53
にはナット149が固定され,ナット149にはウォームホイ
ール144がねじ141に噛み合って固定されている。ウォー
ムホイール144は,下部取付部材132に取り付けた第1サ
ーボモータであるサーボモータ136の作動によって回転
運動する。従って,サーボモータ136の作動でウォーム
ホイール144が回転すると,摺動部材62がボールねじロ
ッド135を上下動させることになる。サーボモータ137及
びサーボモータ136が作動し,ギヤ145とウォームホイー
ル144とが同期して回転すると,両者の回転移動は打ち
消し合って停止状態になり,ボールねじロッド135のみ
が回転運動するようになる。
更に,ボールねじロッド135の下端部には,電磁ホル
ダケース138が取り付けられている。電磁ホルダケース1
38には,ボールねじ150が取り付けられ,ボールねじ150
と噛み合うねじ151を備えた第2ボールねじロッドであ
るボールねじロッド139が貫通している。ボールねじロ
ッド139にはボールスプライン152が形成されている。更
に,電磁ホルダケース138には,ボールねじ150に取り付
けたウォームホイールを回転させるため,第3サーボモ
ータであるサーボモータ153が設けられている。従っ
て,サーボモータ153が作動してボールねじ159のウォー
ムホイールが回転すると,電磁ホルダケース138に対し
てボールねじロッド139が水平方向に往復移動する。ボ
ールねじロッド139の先端には電磁ホルダ140が取り付け
られ,電磁ホルダ140には電磁石等の磁石が取り付けら
れている。
加工片取除き装置130は,上記のように構成されてい
るので,上下移動と回転運動を行うボールねじロッド13
5の下端部に取り付けたボールねじロッド139はボールね
じロッド135と一体的に上下移動と回転運動を行うこと
ができると共に,ボールねじロッド139自体はボールね
じロッド135に対して水平方向に移動できるので,ボー
ルねじロッド139の先端に取り付けた電磁ホルダ140は三
次元の空間を移動できるようになる。
従って,加工片取除き装置130の電磁ホルダ140に取り
付けた電磁石は,加工片取除き装置130から突出状態に
なるように構成しておけば,ワイヤ放電加工機1のパレ
ットPに位置設定された工作物Wの上面に対して当接す
ることができる。それ故に,コントローラの指令によっ
て工作物Wから加工片が切り離される直前に,加工片取
除き装置130を作動して電磁石を加工片に当接させて該
加工片を吸着させれば,加工片は落下することなく,電
磁石140に吸着した加工片を上方へ移動させて所定の加
工収容場所へ収容でき,工作物Wから切り離される加工
片が加工面を傷付けることもなく,該加工片を排除でき
る。
次に,加工機群における細穴放電加工機2について,
第32図〜第36図を参照して説明する。第32図は細穴放電
加工機の平面図,第33図はパイプ電極交換装置の側面
図,第34図は第32図の線IIIX−IIIXにおける断面図,第
35図はインデックステーブルの平面図及び第36図は第35
図の線B−Bにおける断面図である。
細穴放電加工機2は,ワイヤ放電加工機1と比較して
パイプ電極PEを使用してパレットPに予め設定した工作
物Wに細穴,細孔,ワイヤ放電加工のためワイヤ電極WE
を貫通させるためのスタートホールを加工するものであ
り,加工台へのパレットPの位置設定のための装置及び
加工槽カバー装置は,ワイヤ放電加工機1と同様の装置
を利用できる。そこで,ここではパイプ電極PEの交換装
置及びパイプ電極PEの設定装置についてのみ説明する。
このFMSには,パイプ電極交換装置は前掲特開平1−246
021号公報に開示したものを利用することが可能である
が,以下で説明するパイプ電極交換装置が好ましいもの
である。
細穴放電加工機2の加工作業は,例えば,第55図に示
すように行うことができる。細穴放電加工機2の加工準
備が整うと,コントローラは,NCプログラムへ信号を発
すると共にスタッカクレーン6に指令を発し,スタッカ
クレーン6によって細穴放電加工機2へラック4の棚19
に収容されているワイヤ放電加工で所定の加工形状を行
う工作物Wを搭載したパレットPをスタートホールの加
工のために,細穴放電加工機2に搬入する作業を行う。
細穴放電加工機2にパレットPが設定されると,細穴放
電加工機2が作動して工作物Wに対して所定の箇所に細
孔の放電加工をする。工作物Wに対してスタートホール
の放電加工の終了すると,工作物Wを搭載したパレット
Pは,スタッカクレーン6によってラック4の所定の棚
19に収容されるか,或いはワイヤ放電加工機1へ搬入さ
れる。
細穴放電加工機2は,パイプ電極交換装置2Cを備えた
ものである。パイプ電極交換装置2Cは,従来のパイプ電
極PEを用いることができ,多数のパイプ電極PEを割り出
すため,1個の割出確認切欠き102Cを形成したインデック
ステーブル102及びパイプ電極PEを支持するチャック用
パレット105を有している。チャック用パレット105は,
インデックステーブル102に対して取り替え可能に構成
されている。チャック用パレット105には,パイプ電極P
Eのチャック部PECを支持する支持孔103が回転中心点か
ら同心円周上に周方向等距離に形成されている。支持孔
103には,パイプ電極PEを出入させるため切欠き溝104を
半径方向外向きに開口している。支持孔103の切欠き溝1
04は,チャック用パレット105の中心点と支持孔103の中
心点を結ぶ線から振り分け状態に形成されている。支持
孔103の直径は,パイプ電極PEの袋ナットPENの外径より
も大きく形成されている。チャック用パレット105に
は,該中心部にチャック用パレット105をインデックス
テーブル102に取り付ける取付基準孔108,取付基準孔108
の外周にチャック用パレット105をインデックステーブ
ル102に締め付ける等分割された締付孔106(図では4
個),及びパイプ電極PEの割り出し原点を確認するため
の割出原点確認孔107が形成されている。また,チャッ
ク用パレット105の中心点と支持孔103の中心点を結ぶ線
上に,1個の締付孔106と割出原点確認孔107が位置してい
る。割出原点確認孔107は,インデックステーブル102の
割出確認切欠き102Cと符合することで,割出原点が確認
できる。
パイプ電極交換装置2Cは,チャック用パレット105を
割り出す割出機構を有している。該割出機構は,ステッ
ピングモータ109及びステッピングモータ109とチャック
用パレット105との間に組み込んだ減速伝動装置110から
構成されている。更に,細穴放電加工機2は,主軸111
にチャック用パレット105の支持孔103に支持されるパイ
プ電極PEの電極ホルダを挿入する機構,及び支持孔103
の待機位置から細穴放電加工機2の主軸111の中心位置
まで移動する機構を有している。主軸111の中心はパイ
プ電極PEの中心であり且つ加工時の中心となる点であ
る。上記挿入機構は,パイプ電極交換装置2Cに設けたチ
ャック用パレット105を上下移動させる上下動シリンダ1
12から成る。また,チャック用パレット105を主軸111の
中心位置へ移動させる移動機構は,前後移動シリンダ11
3から成る。前後移動シリンダ113は,割り出したパイプ
電極PEを前進端で主軸111の中心位置に移動させ,ま
た,後退端で待機位置までチャック用パレット105を後
退させる機能を有する。更に,パイプ電極交換装置2C
は,チャック用パレット105の割出原点確認手段及び支
持孔103にパイプ電極PEが存在するか否かの確認を行う
有無確認手段を有している。割出原点確認手段は,ステ
ップピングモータ109を支持するフレーム116に取り付け
た光電スイッチ114で構成されている。また,有無確認
手段は,ステッピングモータ109を支持するフレーム116
に取り付け且つ主軸111の中心に対向した支持孔103にパ
イプ電極PEが支持されているか否かを検出する光電スイ
ッチ115で構成されている。
上記のように,パイプ電極交換装置2Cは構成されてい
るので,次のように作動できる。細穴放電加工機2の主
軸中心111にパイプ電極PEを取り付ける場合には,ステ
ッピングモータ109を作動してチャック用パレット105を
回転させ,割出原点確認手段である光電スイッチ114で
パイプ電極PEを支持する支持孔103を割り出す。次い
で,有無確認手段である光電スイッチ115によって主軸
中心111に対向した支持孔103にパイプ電極PEが支持され
ていることを確認し,支持孔103にパイプ電極PEが存在
すれば,前後移動シリンダ113の作動でパイプ電極PEを
主軸中心111の位置に移動させる。細穴放電加工機2の
主軸にはパイプ電極ホルダが設けられているので,上下
動シリンダ112を作動してチャック用パレット105の割り
出されたパイプ電極PEを上昇させ,主軸111のパイプ電
極ホルダ2Hに挿入する。パイプ電極ホルダ2Hにパイプ電
極PEを挿入すれば,パイプ電極PEはパイプ電極ホルダ2H
に自動的に保持される。パイプ電極PEをパイプ電極ホル
ダ2Hに挿入固定した後,上下動シリンダ112を作動して
チャック用パレット105を下降させ,次いでチャック用
パレット105を前後移動シリンダ113を作動してパイプ電
極交換装置2Cの待機位置へと後退させる。
また,パイプ電極PEが工作物Wに対してスタートホー
ルを加工してパイプ電極PEが消耗した時,消耗したパイ
プ電極PEを細穴放電加工機2の主軸111から取り外す場
合には,チャック用パレット105の支持孔103にパイプ電
極PEが存在しないことを有無確認手段である光電スイッ
チ115で確認し,支持孔103を主軸111の中心へと移動さ
せて支持孔103の中心と主軸111の中心とを一致させ,支
持孔103に消耗したパイプ電極PEを受け取る。この時,
電極ホルダPEHに残っているパイプ電極PEを支持孔103の
切欠き溝104を通し,支持孔103をパイプ電極PEの下方に
位置させる。次いで,主軸111の電極ホルダPEHの保持状
態を解放し,電極ホルダPEHを支持孔103へと落下させ
る。次いで,パイプ電極交換装置2Cのチャック用パレッ
ト105を待機位置へ後退させる。この細穴放電加工機2
では,上記のパイプ電極交換作動を自動的に繰り返し行
ってチャック用パレット105に装填された多数のパイプ
電極PEを消耗パイプ電極PEと交換して順次に使用し,細
穴放電加工機2におけるパイプ電極PEを常に新しいもの
と交換し,工作物Wに対して細穴放電加工を自動的に且
つ連続して行うことができる。
また,細穴放電加工機2におけるパイプ電極ホルダと
パイプ電極PEとの自動取付け取外し機構は,従来のパイ
プ電極交換機構を利用できるものであるが,例えば,実
開平1−143321号公報に開示されたパイプ電極保持装置
を利用すると,好ましいものである。該パイプ電極保持
装置は実開平1−143321号公報に詳述されているので,
ここではその説明を省略する。
次に,このFMSにおける加工機群のうち型彫放電加工
機3について,第37図〜第43図を参照して説明する。第
37図は型彫放電加工機の加工台部位の平面図,第38図は
第37図の正面図,第39図は型彫放電加工機の加工台部位
の側面図,第40図は加工槽装置の平面図,第41図は第40
図の正面図,第42図は第40図の加工槽の壁体の一部を示
す断面図及び第43図は第40の加工槽の開閉扉の機構の一
部を示す説明図である。
型彫放電加工機3は,従来のものと同様に,自動電極
交換装置等を設けることができるものである。型彫放電
加工機3は,従来のものと比較して,加工台上にパレッ
トPを搬出入する機構,加工台へのパレットPの固定機
構及び加工槽について相違する以外はほぼ同一の構成で
あるので,特に,上記相違する装置について説明する。
また,図面において,型彫放電加工機3に付した符号
は,ワイヤ放電加工機1と比較して同一の機能を有する
部品には同一の符号を付している。
型彫放電加工機3の加工作業は,例えば,第57図に示
すように行うことができる。型彫放電加工機3の加工準
備が整うと,コントローラは,NCプログラムへ信号を発
すると共にスタッカクレーン6に指令を発し,スタッカ
クレーン6によって型彫放電加工機3へラック4の棚19
に収容されている工作物Wを設定したパレットP,或いは
ワイヤ放電加工機1で加工が終了した工作物Wを設定し
たパレットPを搬入する作業を行う。型彫放電加工機3
にパレットPが設定されると,型彫放電加工機3が作動
して工作物Wに対して所定の加工形状に放電加工する。
工作物Wに対して型彫放電加工の終了すると,工作物W
を搭載したパレットPは,スタッカクレーン6によって
ラック4の所定の棚19に収容されるか,或いは段取りス
テーション36へ搬出される。
型彫放電加工機3において,工作物Wは各パレットP
に予め設定されているが,パレットPは,X−Yテーブル
上に電気的に絶縁状態に取り付けた治具ベース74に固定
した加工台75に対して中間受け渡し装置7及び昇降装置
122によって自動的に搬出入される。型彫放電加工機3
には,放電加工中に使用する加工液を濾過するための加
工液を循環させて濾過する濾過装置21,中間受け渡し装
置7からのパレットPを支持するパレット支持部材120,
パレット支持部材120を加工槽76K内で昇降させてパレッ
トPを上下移動させる昇降装置122,パレットPをパレッ
ト支持部材120上に固定するための昇格装置122に設けた
クランプ装置78,昇降装置122で下降したパレットPを加
工台75に載置して該パレットPの端部を押圧して位置設
定するパレット押圧装置77,77A,及び治具ベース74に取
り付けた加工槽76Kに設けた加工液を収容するための開
閉可能な開閉扉80Dを有する加工槽装置79Kが設けられて
いる。型彫放電加工機3におけるX−Yテーブル上には
治具ベース74が電気的に遮断状態で固定され,該治具ベ
ース74に加工槽76Kが取り付けられている。また,治具
ベース74或いは底面壁67の上面には,位置基準手段とな
る一対の加工台75が固定されている。治具ベース74に
は,加工台75の両側に位置するクランプ装置78が設けら
れている。加工台75には,搬入されたパレットPを所定
の位置に固定するためパレット押圧装置77,77Aが取り付
けられている。パレット支持部材120は,シリンダ121内
を上下移動するピストンロッド82Pに固定された連結バ
ー82に取り付けた支持ローラ(図では両側にそれぞれ3
個を示す)である。各連結バー82には,パレットPをパ
レット押圧装置77,77Aで位置決めする際にパレットPの
側面及び上面をガイドするため,ガイドローラ126が設
けられている。
型彫放電加工機3における加工台75は,パレットPの
両端部を支持できるように,パレットPの両端部に対応
してそれぞれ伸びて治具ベース74に固定されている。加
工台75と治具ベース74との取付構造については,特に限
定されるものではない。加工台75は,NC装置によってサ
ーボ移動するテーブルの水平方向の移動と共に水平方向
に移動するように構成され,しかも型彫電極REが上下に
移動する走行路に対して位置関係が予め決定されてい
る。加工台75に対して上下移動可能に昇降装置122に取
り付けた両側の連結バー82には,パレットPの押圧時に
パレットPを加工台75上に固定するため,パレット10の
両側面に対向したクランプ85が上下動可能にそれぞれ固
定されている。
昇降装置122は,前後方向に2個及び左右方向に2個
それぞれ設けたシリンダ121を有している。両側の各シ
リンダ121には,両側部に配置された各連結バー82がブ
ラケット82B介して取り付けられている。各連結バー82
は,両端部に設けられたシリンダ121の作動によって上
下方向に移動することができる。連結バー82の上下方向
のストロークは,大きく構成され,中間受け渡し装置7
に対するパレットPの搬出入高さから加工台75上に設定
される型彫加工の高さまでである。連結バー82の後部に
は,シャフト82Sがブラケット82Cを介して連結バー82に
回転自在に取り付けられている。シャフト82Sの両端に
はピニオン124が取り付けられている。他方,両側に上
方に伸長する加工台75の両ベースには,ラック82Rが設
けられている。ラック82Rには,上下動するピニオン124
が噛み合っている。従って,4個のシリンダ121の作動に
よる連結バー82の上下運動は,ピニオン124がラック82R
上を噛み合って上下移動するので,4個のシリンダ121の
作動で上下動するブラケット82Bは同期して作動し,連
結バー82が水平状態で上下動できる。
型彫放電加工機3において,パレットPの搬出入時に
は,シリンダ121の作動によって連結バー82は上方に僅
かに移動してクランプ85のパレットPの固定状態を解放
して中間受け渡し装置7で搬出できる状態になったり,
中間受け渡し装置7からのパレットPが搬入できる状態
にする。更に,加工台75の上端部即ちベース上には,位
置決めストッパである上下方向位置設定用の基準金具81
が取り付けられている(第38図)。基準金具81の上面
は,基準面81Sとして機能する。パレットPを昇降装置1
22で加工台75上に下降させてパレットPの下面の基準面
28を,加工台75の基準面81の基準面81Sに当接させて,
パレットPを加工台75に位置設定する時には,シリンダ
121を作動してクランプ装置78を作動してクランプ85で
パレットPを下方へ押圧する。従って,パレットPの下
面の仕上面即ち基準面28は,基準金具81の基準面81Sに
当接して,パレットPは加工台75に対して所定の高さ方
向に正確に且つ確実に位置設定されることになる。ま
た,基準面28の近くの連結バー部分には,スプリングの
ばね力でパレットP側へ加圧され,前進方向押圧時にば
ね力に抗して沈み込むことができるマグネット125が取
り付けられている。マグネット125はシリンダ121を作動
してクランプ装置78が作動する時,パレットPの位置が
移動するのを防止する機能を有する。
更に,型彫放電加工機3において,パレットPの基準
面29K,30Kは,パレット押圧装置77,77Aによって加工台7
5に設けた位置決めストッパ84,87に押し付けられる。パ
レットPを加工台75の前進方向の所定の位置に押し付け
るパレット押圧装置77は,パレットPの基準面29を加工
台75に設けた位置決めストッパ即ち基準金具84の基準面
84Sに押し付けるため,加工台75の両側に加工台75に設
けたシリンダ86Cを有する。また,パレットPを加工台7
5の側面方向の所定の位置に押し付けるパレット押圧装
置77Aは,パレットPの側面の基準面30Kを加工台75に設
けた位置決めストッパ即ち基準金具87の基準面87Sに押
し付けるため,加工台75の前後方向に加工台75に設けた
シリンダ88を有している。シリンダ86C,88は,シリンダ
内で往復運動するピストンの両側には流体室が形成さ
れ,何れかの側の流体室に流体が導入されることによっ
てピストンがシリンダ86C,88内を往復移動する。
パレットPの側端部を加工台75の基準金具84に押圧す
るパレット押圧装置77において,シリンダ86C内のピス
トンに固定したピストンロッド90の端部は,パレットP
の一側面に当接可能に構成されている。従って,シリン
ダ86Cが作動してピストンロッド90が伸び出せば,ピス
トンロッド90の先端面はパレットPの後端面に当接し,
パレットPを前面方向に押圧し,パレットPの前面に設
けた基準金具29の基準面29を加工台75に設けた基準金具
84の基準面84Sに当接させ,パレットPを前方の所定の
位置に位置設定できる。
また,パレットPの側端部の基準面30Kを加工台75の
位置決めストッパ即ち基準金具87に押圧させるパレット
押圧装置77Aにおいて,シリンダ88内のピストンに固定
したピストンロッド89の端部は,パレットPの一側面の
当接可能に構成されている。従って,シリンダ88が作動
してピストンロッド89が伸び出せば,ピストンロッド89
の先端面はパレットPの側面に当接し,パレットPを側
面方向に押圧し,パレットPの側面に設けた基準金具30
の基準面30Kを加工台75に設けた位置決めストッパ87に
当接させ,パレットPを側方の所定の位置に位置設定で
きる。
また,型彫放電加工機3において,パレットPは,型
彫放電加工機3の加工台75にクランプ装置78の複数個の
クランプ85によって固定されるが,クランプ85によって
押圧される両側部の縁部を有している。クランプ装置78
は,4個のシリンダ121,シリンダ121の作動で上下動する
ピストンロッド82P,ピストンロッド82Pに取り付けたブ
ラケット82Bを介して固定した両側の連結バー82及び連
結バー82の中央部に取り付けたクランプ85から構成され
ている。また,連結バー82の上下動をスムースに行うた
め,ガイド支柱82Gが加工台75に固定されている。クラ
ンプ装置78には,シリンダ121が作動してパレットPを
加工台75上に固定又は解放したことを検出するため,図
示してないが,パレット固定センサーとパレット解放セ
ンサーが設けられている。
パレットPをクランプ85によって加工台75の基準金具
81上に固定するには,シリンダ121に流体通路を通じて
流体を導入してピストンを下方に移動させれば,ピスト
ンロッド82Pは下方に移動する。それ故,ブラケット82B
及び連結バー82を介してピストンロッド82Pに取り付け
たクランプ85は下方に移動する。クランプ85の下方への
移動は,パレットPを加工台75に押し付けて,パレット
Pを加工台75に固定する。また,クランプ装置78のクラ
ンプ85を上方に移動させて,パレットPの加工台75への
固定を解除するには,シリンダ121を逆方向に作動させ
ることによって達成できる。
型彫放電加工機3における加工槽装置79Kは,特に,
第40図,第41図,第42図及び第43図に示されている。
加工槽装置79Kは,型彫放電加工機3のX−Yテーブ
ル上の治具ベース74に取り付けた加工槽76Kを有し,工
作物Wを型彫放電加工する際に加工液を満たしておくも
のである。加工槽76Kは,加工液を充填しておくため密
閉構造に形成され,上部は開口した状態であり,上部に
工作物Wを設定したパレットPの搬出入のため切欠き間
口80Aを有する前面壁76F,後面壁76R,両側面壁76S及び治
具ベース74に取り付けたサブベースである底面壁67から
構成されている。前面壁76Fの切欠き部80Aは,開閉可能
な開閉扉80Dによって閉鎖されるように構成されてい
る。加工槽装置79Kは,加工槽76Kを形成する上記各壁
体,前面壁76FにパレットPの搬出入のため形成した間
口80A,該間口80Aを密閉又は開放するため前面壁76Fに対
して開放時に下方へ移動可能な開閉扉80D,開閉扉80Dを
上下動させるためのシリンダ92A,及びシリンダ92Aの作
動で開閉扉80Dを上下動させる上下機構を有している。
開閉扉80Dの上下機構は,間口80Aを開閉するための開閉
扉80D,開閉扉80Dの両側に設け且つ前面壁76Fに固定した
ガイド支柱127,ガイド支柱127の上端部に取り付けたシ
リンダ92A,シリンダ92A内を上下方向に往復運動するピ
ストンに固定したピストンロッド95P,及びピストンロッ
ド95Pの下端部に取り付け且つ開閉扉80Dの下部に固定し
たブラケット92Bから構成されている。即ち,シリンダ9
2A及びピストンロッド95Pは,開閉扉80Dを上下動させる
アクチュエータとして機能する。
更に,開閉扉80Dの上下動機構において,ガイド支柱1
27は開閉扉80Dのガイド機能を果たし,ガイド支柱127に
形成したガイド溝118には,開閉扉80Dの両側面の上下部
に設けたガイドローラ117が係合している(第43図)。
また,ガイド支柱127にはブラケット76Bが固定され,ブ
ラケット76Bにはピストンロッド80Pを作動するシリンダ
80Cが固定されている(第42図)。シリンダ80Cの作動で
ピストンロッド80Pが突き出る時には,ピストンロッド8
0Pの先端は開閉扉80Dを前面壁76Fに押し付ける機能を果
たす。シリンダ92Aの作動で開閉扉80Dを上昇させ,前面
壁76Fの間口80Aを開閉扉80Dで閉鎖した時には,シリン
ダ80Cを作動してピストンロッド80Pで開閉扉80Dを前面
壁76Fの正面に押し付ける。また,開閉扉80Dと前面壁76
Fとの間にはシール材80Sが配置され,開閉扉80Dと前面
壁76Fとは密閉状態で当接するので,加工槽76K内の加工
液の飛散,或いは加工液の漏洩を防止することができ
る。
加工槽装置79Kにおいて,開閉扉80Dの開閉状態を検出
するため,開閉扉80Dの開放状態を検出する開端センサ
ー及び開閉扉80Dの閉鎖状態を検出する閉端センサーを
備えている。開端センサー及び閉端センサーは,前面壁
76F,開閉扉80D,或いはシリンダ92A等に対して設けるこ
とができる。そこで,開端センサーによって開閉扉80D
が開放状態になっていることを検出し,コントローラは
該検出信号を受けて,中間受け渡し装置7に位置するパ
レットPを型彫放電加工機3のパレット支持部材120上
に移動させるように制御し,或いは,加工台75上のパレ
ットPをパレット支持部材120から中間受け渡し装置7
に移動させる制御を行う。また,開閉扉80Dの閉鎖状態
を閉端センサーで検出し,コントローラは該検出信号を
受けて加工槽76Kに加工液を注入し,型彫放電加工機3
の稼働を行うように制御する。
上記のように,型彫放電加工機3における加工台75へ
のパレットPの位置決め装置は構成されているので,次
のように作動できる。まず,型彫放電加工機3に設けた
加工槽装置79Kの開閉扉80Dを開放するため,シリンダ92
Aを作動しピストンロッド95Pを下方へ伸長させ,開閉扉
80Dを下降させて間口80Aを開放する。他方,昇降装置12
2を作動してパレット支持部材120を上昇させるため,ク
ランプ装置78のシリンダ121を作動してピストンロッド8
2Pを伸長させ,連結バー82を上昇させる。連結バー82の
上昇は,パレットPを加工台75の上方に位置するパレッ
ト支持部材120に搬入可能な状態にする。中間受け渡し
装置7のリフター100によってパレット支持部材120上へ
パレットPを送り込む。リフター100の押込引出アーム1
01が作動して前進し,パレットPをパレット支持部材12
0上に押し込む。次いで,中間受け渡し装置7のリフタ
ー100が僅かに下降し,押込引出アーム101が備えた係止
ピン7PがパレットPに形成した凹部33から離脱し,次い
で,リフター100の押込引出アーム101を中間受け渡し装
置7側へ引っ込める。その後,昇降装置122のシリンダ1
21を作動してパレットPを搭載したパレット支持部材12
0を加工台75上へ下降させる。パレット支持部材120の上
下動の際には,連結バー82に取り付けたマグネット125
がスプリングのばね力でパレットP側へ飛び出し,パレ
ットPのパレット支持部材120上での移動を阻止する。
それによって,パレットPの下面に形成した基準面28は
加工台75の基準金具81の基準面81Sに当接状態に載置し
た状態になる。
この状態で,パレット押圧装置77を作動してピストン
ロッド90を伸長させ,パレットPの後端部を押圧して加
工台75の位置決めストッパー即ち基準金具84の基準面84
Sに押し付ける。パレットPの前端面をパレット押圧装
置77の作用で位置設定する。次いで,パレット押圧装置
77Aのシリンダ88を作動してピストンロッド89でパレッ
トPの側端面を側方へ押し込み,パレットPの側端面の
基準金具30の基準面30Sを,加工台75に設けた基準金具8
7の基準面87Sに押し付け,パレットPの側端面を加工台
75上で位置設定する。このようにパレットPを加工台75
に位置設定した後,クランプ装置78を作動してクランプ
85を僅かに下降させ,クランプ85でパレットPを加工台
75に押し付け,パレットPの下面の基準面28を加工台75
の基準金具81の基準面81Sに押圧状態に当接させ,パレ
ットPを加工台75上に固定する。従って,パレットPを
加工台75の予め決められた所定の加工位置に設定するこ
とができる。これらの作動工程は,全て各センサーの各
検出信号をコントローラに入力し,該入力信号に基づい
てコントローラは次の工程の作動信号を発し,所定の装
置を作動させるように構成されている。次に,加工台75
へのパレットPの位置設定が完了すると,加工槽装置79
Aのシリンダ92Aが作動して開閉扉80Dが上昇し,開閉扉8
0Dで前面壁76Fの間口80Aを閉鎖し,パレットPの搬出入
口を閉鎖する。
この状態で,加工槽76K内に加工液が満たされると共
に,型彫放電加工機3が作動してパレットPに予め設定
した工作物Wに対して型彫放電加工が開始される。工作
物Wに対して放電加工が行われ,工作物Wに所定の加工
形状が加工され,放電加工が終了すると,加工槽76K内
の加工液を排出した後,加工槽装置79Kのシリンダ92Aが
作動して開閉扉80Dを下降し,間口80Aを開放してパレッ
トPの搬出入口を開放する。次いで,パレット押圧装置
77,77Aのピストンロッド90,89を非作動状態にして後退
させる。更に,昇降装置122のシリンダ121を作動してパ
レット支持部材120を上昇させ,パレットPを上昇させ
る。次いで,中間受け渡し装置7のリフター100が作動
してパレットPをパレット支持部材120から中間受け渡
し装置7側へ移動させる。
次に,このFMSにおいて,各加工機1,2,3とスタッカク
レーン6との間でパレットPの受け渡し作動を行うため
に,各加工機1,2,3にそれぞれ設けた中間受け渡し装置
7について,第46図〜第52図を参照して説明する。第46
図は中間受け渡し装置を全体的に示す正面図,第47図は
第46図の側面図,第48図は中間受け渡し装置の上部の正
面図,第49図は第48図の平面図,第50図は第48図の側面
図,第51図は中間受け渡し装置の下部の正面図及び第52
図は第51図の平面図である。
中間受け渡し装置7は,主として,ベース160上に敷
設したスライドレール161を往復移動できるローラ162付
きの台車163,台車163のフレーム164に設けられたリフタ
ー100及びリフター100に設けられた押込引出アーム101
を有する。台車163のフレーム164の上端部には,前端側
にパレットPに形成した凹部32に係合する係止ピン168
且つ後端側にパレットPの下面が着座するパレット等座
部168Sが設けられている。
ベース160には,ベース160に固定された台車163の駆
動装置となるシリンダ159,シリンダ159内を往復移動す
るピストンロッド172,ピストンロッド172に固定したロ
ーラ付き台車163及び該台車163がシリンダ159の作動で
走行するためベース160上に敷設したスライドレール161
が設けられている。このスライドレール161は,スタッ
カクレーン6の走行通路5即ち走行方向に対して直角水
平方向に伸長している。
台車163は,ベース160上を往復移動する台車フレーム
164,該台車フレーム164の上面に形成したパレットPの
受け部材173,受け部材173の上面に突出した係止ピン168
及び該フレーム上に搭載された上下動できるリフター10
0を有している。受け部材173は,スライドレール161に
対して上方に平行に2本配置されている。各受け部材17
3の上面は,仕上げ加工が施され,各受け部材173で形成
する面は同一レベルになるように構成され,スライドレ
ール161が形成する移動面に対しても平行になるように
構成されている。
リフター100には,受け部材173の間に配置され,フレ
ーム164に固定されたシリンダ166,シリンダ166内を往復
移動するピストンロッド169,ピストンロッド169に固定
されたリフターフレーム165及び該リフターフレーム165
に搭載された押込引出アーム101を有している。従っ
て,押込引出アーム101は,シリンダ166の作動によって
リフター100のベース即ちリフターフレーム165に対して
スライドレール180によってフォーク状アーム171が前後
往復移動可能に構成されたスライド機構を提供する。
リフター100における押込引出アーム101は,リフター
フレーム165に固定されたシリンダ167,シリンダ167内を
往復移動するピストンロッド172及び該ピストンロッド1
72に固定したフォーク状アーム171を有している。この
押込引出アーム101のフォーク状アーム171の先端即ち加
工機1,2,3側の先端部には,パレットPの凹部33に係合
する作動ピン170が両側に形成されている。
中間受け渡し装置7は,上記のように構成され,次の
ように作動する。中間受け渡し装置7において,台車16
3のスライドレール161上の往復移動の作動はシリンダ15
9,リフター100の上下動の作動はシリンダ166及び押込引
出アーム101の前後方向の作動はシリンダ167の各駆動装
置で行われるが,それぞれの駆動に対してはインタロッ
クが施されているものである。まず,シリンダ159が作
動して台車163をスタッカクレーン6側即ち走行通路5
側へ移動させる。所定のパレットPを搭載したスタッカ
クレーン6が中間受け渡し装置7に対向する側に停止す
る。スタッカクレーン6のフォーク装置50の作動で,フ
ォーク装置50の先端フォーク60が中間受け渡し装置7上
へ伸長し,先端フォーク60に載置したパレットPを中間
受け渡し装置7における台車163のフレーム164の上端部
に設けた係止ピン168にパレットPの凹部32が係合する
ように載置する。
次いで,中間受け渡し装置7のリフター100のシリン
ダ166が作動し,リフターフレーム165が上昇し,リフタ
ー100に設けた押込引出アーム101に形成した作動ピン17
0がパレットPに設けた凹部33に係合する。更に,リフ
ター100が上昇することによって,フレーム164の上端部
に設けた係止ピストン168がパレットPの凹部32から離
脱する。従って,パレットPは押込引出アーム101上に
作動ピン170と凹部33とが係合して装置された状態にな
り,この状態でシリンダ167が作動し,押込引出アーム1
01が加工機1,2,3側へと前進する。押込引出アーム101の
前進によって,パレットPが加工機1,2,3の加工台75上
のパレット支持部材へと搬入される。シリンダ166の作
動でリフター100を僅かに下降させ,押込引出アーム101
に設けた作動ピン170がパレットPの凹部33から離脱す
る。ここで,シリンダ167を作動して押込引出アーム101
を中間受け渡し装置7側へ引っ込めて後退させる。中間
受け渡し装置7における台車163は,加工機1,2,3で工作
物Wに対する放電加工が終了するまで加工機1,2,3側で
待機する。
次いで,加工機1,2,3での工作物Wに対する放電加工
が終了すると,コントローラからの該加工終了の信号を
受けて,EDMの開閉扉Dであるスライドカバー80,開閉扉8
0Dが完全に開放した後,押込引出アーム101のシリンダ1
67が作動し,押込引出アーム101が加工機1,2,3側へ前進
する。押込引出アーム101がパレットPの下方に挿入さ
れると,リフター100のシリンダ166が作動してリフター
100に搭載した押込引出アーム101を上昇させる。パレッ
トPの凹部33に押込引出アーム101の作動ピン170が係合
し,パレットPは押込引出アーム101上の搭載された状
態になる。ここで,シリンダ167が作動して押込引出ア
ーム101が中間受け渡し装置7側へ引っ込んで後退す
る。押込引出アーム101が中間受け渡し装置7側の台車
フレーム164の所定の位置に到達すると,シリンダ166が
作動してリフター100が下降する。リフター100の下降に
よって押込引出アーム101が下降し,押込引出アーム101
に搭載したパレットPが下降してパレットPの凹部32に
台車フレーム164に設けた係止ピン168が係合し,パレッ
トPは台車フレーム164上に載置された状態になると共
に,押込引出アーム101の作動ピン170がパレットPの凹
部33から離脱する。押込引出アーム101が更に下降して
押込引出アーム101は台車フレーム164の所定の下部位置
に停止する。
シリンダ159が作動して台車163はレール161上をスタ
ッカクレーン6側へ移動する。スタッカクレーン6のフ
ォーク装置50が作動して先端フォーク60が伸び出し,先
端フォーク60がパレットPの下方に位置する。先端フォ
ーク60が僅かに上昇すると,先端フォーク60はパレット
Pを持ち上げ,先端フォーク60に設けた係止ピン67Aが
パレットPの凹部31に係合すると共に,パレットPの下
面が支持ピン67Bに載置され,パレットPの凹部32から
台車フレーム164の係止ピン168が離脱する。フォーク装
置50が作動して先端フォーク60が引っ込みスタッカクレ
ーン6上にパレットPを移動させる。
更に,このFMSは,上記のように構成されているが,
各シリンダを作動する流体回路は,例えば,次のように
構成されている。ワイヤ放電加工機1と中間受け渡し装
置7との各シリンダの一例について説明すると,ワイヤ
放電加工機1側に関しては,ポンプ等の流体圧供給源か
らの流体は,流体圧調節装置,流体切換バルブ等を通じ
て各シリンダ78C,86,88,92(スライドカバー80のシリン
ダ92はエアシリンダでも良い)に流体圧が供給される。
中間受け渡し装置7側に関しては,ポンプ等の流体圧供
給源からの流体は,流体圧調節装置,流体切換バルブ等
を通じて各シリンダ159,166,167に流体圧が供給され
る。上記各シリンダに流体が供給され,各シリンダ内の
ピストン往復移動することによって各シリンダの作動状
態が各センサーで検出される。各センサーで検出された
検出信号はコントローラに入力され,該コントローラは
各検出信号に応答してシーケンスとして予め入力されて
いる作動工程に応じて指令を発し,ワイヤ放電加工機1
及び中間受け渡し装置7を作動し,パレット10をワイヤ
放電加工機1に搬出入し,また,中間受け渡し装置7に
搬出入する。
上記は,ワイヤ放電加工機1及び中間受け渡し装置7
についての流体回路の一例について説明したが,スタッ
カクレーン6,細穴放電加工機2,型彫放電加工機3,防錆処
理装置10及び流体吹付け装置12においても同様な流体回
路を適用できるものである。また,このFMSにおいて,
前記各加工台の基準部材の基準面とパレットPの基準面
とを清掃するための基準面清掃装置を設けることもでき
ることは勿論である。該基準面清掃装置を設けると,パ
レットPを設定する前記各加工台の基準面,パレットP
の基準面をパレット設定毎に或いは所定期間毎に清掃で
き,パレットPを常に正確に且つ確実に前記各加工台に
セットでき,工作物に対する加工の精度を向上できる。
〔発明の効果〕
この発明によるFMSに適用可能な工作物処理装置は,
上記のように構成されているので,装置そのものが整然
と配置され,パレット上の工作物に自動的に防錆処理を
施すことができ,前記工作物の表面に付着した付着物を
流体を吹き付けて排除することができるので,自動的に
且つ無人で工作物に対する加工を行うことが可能にな
る。例えば,スタッカクレーンで防錆処理装置のパレッ
ト支持部材にパレットを載置するだけで,自動的に工作
物を設定したパレットを位置決めした状態で前記タンク
の処理液に浸漬して工作物に付着した錆落とし処理及び
工作物の表面に対して防錆処理を施すことができる。そ
れ故,この工作物処理装置をFMSに設置すれば,パレッ
ト上の工作物に最適の防錆処理を自動的に且つ無人で施
すことができ,工作物の加工自体を無人で行うことがで
きるようになる。
また,前記防錆処理ステーションに近接し且つパレッ
ト走行系に設けられた流体吹付け装置を設けると,防錆
処理を施す必要があるが,工作物の加工後に工作物自体
に付着した加工液,異物,塵等の付着物を排除すること
ができ,工作物に対して清掃でき,保管に際して工作物
の品質を保つことができると共に,工作物に対する加工
精度を向上できると共に,工作物に対する各種の加工を
完全自動化し,昼夜を問わずに工作物に対して無人化で
各種の加工を連続して行うこができる加工機群における
フレキシブルマニファクチャリングシステムを提供する
ことができる。
また,この工作物処理装置は,例えば,前記タンクを
少なくとも2個以上設けて防錆処理装置を2つ設置する
と,一方のタンクには工作物処理液として錆落とし溶液
を入れ,他方のタンクには防止溶液を入れることがで
き,それぞれ異なった処理を工作物に施すことができ,
作業効率を向上できる。更に,前記防錆処理ステーショ
ンを前記ラックの何れかの開口に形成すると,装置その
ものをコンパクトに工作物の処理効率を向上できる。
また,この工作物処理装置は,前記防錆処理ステーシ
ョンに近接し且つパレット走行系に設けられた流体吹付
け装置を設け,該流体吹付け装置は区画室,該区画室の
パレット搬出入口側に設けた開閉可能なシャッター,パ
レットの係止手段に係合する係止手段を設けた前記区画
室内に配置したパレット支持部材,及び前記区画室内に
設けた流体吹出しノズルを有するので,前記流体吹付け
装置で吹き出される流体のみならず,吹き飛ばされる付
着物が周囲環境に飛散することが防止される。両者を併
設することによって,前記流体吹付け装置によって工作
物の表面を清掃した後に,直ちに前記防錆処理装置で工
作物の表面に防錆処理できるし,また,前記防錆処理装
置で錆落としを行った後,前記流体吹付け装置で直ちに
該錆落とし液を排除した後に,再び前記防錆処理装置で
防錆処理液で工作物の表面を防錆処理でき,極めて好ま
しい状態で各処理を行うことができる。
また,この工作物処理装置は,前記流体吹付け装置を
前記ラックの何れかの間口の単位空間に設けたので,装
置そのものをコンパストに構成できる。
【図面の簡単な説明】
第1図は工作物処理装置を設置可能なFMSの一実施例を
示す概略平面図,第2図は第1図の概略正面図,第3図
はFMSの別の実施例を示す概略平面図,第4図は防錆処
理装置の正面図,第5図は第4図の側面図,第6図はパ
レットの一例を示す平面図,第7図は第6図の線V−V
における断面図,第8図は第6図の線VI−VIにおける断
面図,第9図は段取り割出し装置の一例を示す平面図,
第10図は第9図の正面図,第11図は第9図の前端側面
図,第12図はこのスタッカクレーンを全体的に示す概略
正面図,第13図は第12図の側面図,第14図はスタッカク
レーンの概略を示す斜視図,第15図はスタッカクレーン
に搭載されるフォークベースの概略を示す斜視図,第16
図はスタッカクレーンの下部を示す正面図,第17図はス
タッカクレーンの上部を示す正面図,第18図はスタッカ
クレーンのフォーク装置の伝達機構を示す断面図,第19
図はフォーク装置の正面図,第20図はフォーク装置が伸
長した状態を示す説明図,第21図はフォーク装置が収縮
した状態を示す説明図,第22図はワイヤ放電加工機の加
工台部位の一側面図,第23図は第22図の正面図,第24図
はワイヤ放電加工機の加工台部位の平面図,第25図は第
24図の一部平面図,第26図はワイヤ放電加工機の加工台
部位の他側面図,第27図はクランプ装置の一部断面図,
第28図は加工槽カバー装置の斜視図,第29図は第28図の
断面図,第30図は加工槽カバー装置の平面図,第31図は
第30の側面図,第32図は細穴放電加工機とパイプ電極交
換装置の平面図,第33図はパイプ電極交換装置の側面
図,第34図は第32図の線IIIX−IIIXにおける断面図,第
35図はインデックステーブルの平面図,第36図は第35図
の線B−Bにおける断面図,第37図は型彫放電加工機の
加工台部位の平面図,第38図は第37図の正面図,第39図
は型彫放電加工機の加工台部位の側面図,第40図は加工
槽装置の平面図,第41図は第40図の平面図,第42図は第
40図の加工槽の壁体の一部を示す断面図,第43図は第40
図の加工槽の開閉扉の機構の一部を示す説明図,第44図
はワイヤ放電加工機に取り付けた加工片取除き装置の一
例を示す概略正面図,第45図は第44図の側面図,第46図
は中間受け渡し装置を全体的に示す正面図,第47図は第
46図の側面図,第48図は中間受け渡し装置の上部の正面
図,第49図は第48図の平面図,第50図は第48図の側面
図,第51図は中間受け渡し装置の下部の正面図,第52図
は第51図の平面図,第53図は計画スケジュールから段取
りスケジュールの作成までの一例を示すブロック図,第
54図は段取り作業の一例を示すブロック図,第55図はこ
のFMSにおいて細穴放電加工機の加工の一例を示すブロ
ック図,第56図はワイヤ放電加工機の加工の一例を示す
ブロック図,及び第57図は型彫放電加工機の加工の一例
を示すブロック図である。 1……ワイヤ放電加工機,2……細穴放電加工機,3……型
彫放電加工機,4……ラック,5……走行通路,6……スタッ
カクレーン,7……中間受け渡し装置,8,79A……加工槽装
置,9……段取り割出し装置,10……防錆処理装置,10D…
…駆動装置,10T……タンク,12……流体吹付け装置,12N
……流体吹出しノズル,19……棚,20……間口,23,25P…
…パレット支持部材,24……切抜き孔,29,30……基準金
具,28,29K,30K,81S,84S,87S……基準面,31,32,33……凹
部(係止手段),P……パレット,W……工作物,WE……ワ
イヤ電極,PE……パイプ電極,RE……型彫電極。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 準治 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (72)発明者 福崎 裕二 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (72)発明者 光安 隆 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (72)発明者 小松 達司 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (72)発明者 宮城 清隆 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (72)発明者 野田 容徳 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (72)発明者 渡辺 勉 福岡県粕屋郡古賀町大字久保868番地の 1 西部電機株式会社内 (56)参考文献 特開 昭57−194862(JP,A) 特開 昭59−152054(JP,A) 特開 平1−306128(JP,A) 特開 平1−127223(JP,A) 実公 昭54−41130(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B23Q 41/00,41/02 B23H 7/00,7/02 B23Q 11/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】多種の加工機を多数設置した加工機群とパ
    レット出入用の間口を有する複数の棚を備えたラックと
    の間のパレット走行系に設けられた工作物に防錆処理を
    施すための防錆処理ステーション,該防錆処理ステーシ
    ョンに固定された支柱,前記防錆処理ステーションに配
    置され且つ上部を開放した工作物処理液を入れるタン
    ク,該タンクとパレット搬出入部との間で支柱にガイド
    されて上下動するパレット支持部材,パレットが備えた
    係止手段に係合する前記パレット支持部材に設けた係止
    手段,及び前記パレット支持部材を上下動させる前記支
    柱に設けた駆動装置を有し、前記防錆処理ステーション
    は前記ラックの少なくとも1つの前記間口を有する単位
    空間内に形成されていることから成るフレキシブルマニ
    ファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装
    置。
  2. 【請求項2】前記タンクは少なくとも2個以上設けら
    れ,一方の前記タンクには前記工作物処理液として錆落
    とし溶液が入れられ,他方の前記タンクには前記工作物
    処理液として防錆溶液が入れられていることから成る請
    求項1に記載のフレキシブルマニファクチャリングシス
    テムに設置可能な工作物処理装置。
  3. 【請求項3】前記防錆処理ステーションに近接し且つ前
    記パレット走行系に設けられた流体吹付け装置を有し,
    前記流体吹付け装置は区画室,該区画室のパレット搬出
    入口側に設けた開閉可能なシャッター,前記パレットの
    前記係止手段に係合する係止手段を設けた前記区画室内
    に配置されたパレット支持部材,及び前記区画室内に設
    けられた流体吹出しノズルを有することから成る請求項
    1に記載のフレキシブルマニファクチャリングシステム
    に設置可能な工作物処理装置。
  4. 【請求項4】前記流体吹付け装置は前記ラックの少なく
    とも1つの前記間口を有する単位空間内に配置されてい
    ることから成る請求項3に記載のフレキシブルマニファ
    クチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置。
JP2082975A 1990-03-31 1990-03-31 フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置 Expired - Fee Related JP2928324B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2082975A JP2928324B2 (ja) 1990-03-31 1990-03-31 フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2082975A JP2928324B2 (ja) 1990-03-31 1990-03-31 フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH03287352A JPH03287352A (ja) 1991-12-18
JP2928324B2 true JP2928324B2 (ja) 1999-08-03

Family

ID=13789219

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2082975A Expired - Fee Related JP2928324B2 (ja) 1990-03-31 1990-03-31 フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2928324B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110562683A (zh) * 2019-08-26 2019-12-13 固安华电天仁控制设备有限公司 一种风电变桨系统智能制造系统

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6764977B1 (ja) * 2019-06-12 2020-10-07 Dmg森精機株式会社 工作機械

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110562683A (zh) * 2019-08-26 2019-12-13 固安华电天仁控制设备有限公司 一种风电变桨系统智能制造系统

Also Published As

Publication number Publication date
JPH03287352A (ja) 1991-12-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7270542B2 (ja) 少なくとも1つの材料機械加工ユニットに対して搬入および搬出するための搬送装置、方法およびコンピュータプログラム製品
JP4901884B2 (ja) 工作機械
JPH0373419B2 (ja)
JP2968814B2 (ja) 型彫放電加工機の加工槽装置
JP2928324B2 (ja) フレキシブルマニファクチャリングシステムに設置可能な工作物処理装置
JP3679318B2 (ja) ワーク交換装置
JP2844488B2 (ja) フレキシブルマニファクチャリングシステムに使用可能なパレット
JP2928323B2 (ja) 加工機群におけるフレキシブルマニファクチャリングシステム
CN111376044B (zh) 一种晾衣机自动生产线
CN217253002U (zh) 一种加工设备
JP3156248B2 (ja) ワイヤ放電加工機と細穴放電加工機に適用できる加工台装置
US3646664A (en) Tool exchanger for a plurality of spindles of a machine tool
CN114180330A (zh) 一种平腕臂上料装置
JP3276474B2 (ja) レーザ加工装置
CN209811206U (zh) 金属铸造自动化系统
JP2003200329A (ja) 複合加工用工作機械
JPH03287351A (ja) 工作物のパレットに対する段取り割出し装置
JPH03287354A (ja) フレキシブルマニファクチャリングシステムにおけるスタッカクレーン
JPH03287311A (ja) 型彫放電加工機の加工台装置
JPH0215338B2 (ja)
JPH03287355A (ja) フレキシブルマニファクチャリングシステムにおける中間受け渡し装置
JPH03196933A (ja) 加工機のパレット搬出入装置
JPH03287313A (ja) ワイヤ放電加工機の加工片取除き装置
JPH07266137A (ja) ワイヤ放電加工機
WO2022201369A1 (ja) 搬送システム

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees