JP2927451B2 - 高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法 - Google Patents

高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法

Info

Publication number
JP2927451B2
JP2927451B2 JP14827689A JP14827689A JP2927451B2 JP 2927451 B2 JP2927451 B2 JP 2927451B2 JP 14827689 A JP14827689 A JP 14827689A JP 14827689 A JP14827689 A JP 14827689A JP 2927451 B2 JP2927451 B2 JP 2927451B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
sheet
nonwoven fabric
strength
fiber
fibers
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP14827689A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0313326A (ja
Inventor
憲二 中前
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Asahi Kasei Corp
Original Assignee
Asahi Kasei Kogyo KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Asahi Kasei Kogyo KK filed Critical Asahi Kasei Kogyo KK
Priority to JP14827689A priority Critical patent/JP2927451B2/ja
Publication of JPH0313326A publication Critical patent/JPH0313326A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2927451B2 publication Critical patent/JP2927451B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)
  • Paper (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は靴、鞄、袋物、テーブルクロスなどの用途に
適したソフトな風合と高強度を有するシート状物及びそ
の製造方法に関するものである。
更に詳しくは、特定の短繊維が相互に交絡した高強度
の湿式不織布に高分子重合体が被覆されたシート状物及
びその製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
織物、編物にポリウレタン、ポリアミド、塩化ビニル
等の高分子重合体を塗布して得られる、いわゆるコーテ
ィングファブリックは、靴、鞄、袋物、インテリア、表
装材等向けに安価で機能的な天然皮革代替品として幅広
く使用されている。しかしながら、風合がペーパーライ
クで充実感がなく硬い、裁断面から繊維のホツレが出る
等の欠点があり、これらの欠点の改良が望まれている。
一方、不織布を用いたコーティングフアブリックにつ
いても、その高性能性に由来する低コスト、及び不織布
の構造の特徴から生ずる充実感のある風合、ホツレの発
生がない等の優れた特性により一部織物の代替品として
用いられている。しかしながら、不織布は反面、織物に
比べ一般的に強度が小さく、特にコーティングファブリ
ックで重要な層間剥離強度が小さいという点を有する。
コーティングファブリックの必要性能の1つに被覆され
たポリウレタン、塩化ビニル等の高分子重合体の被覆層
と繊維シートの層間の剥離強度が実用上十分な強度を有
していることが求められる。この剥離強度が小さいと、
使用中に被覆層が剥れ、下の繊維シートが一部露出し、
見苦しい外観となり、商品価値を著しく損ねる効果とな
り好ましくない。不織布を基布として用いる場合、例え
ばスパンボンド法、カード法シートをニードルパンチさ
せて得られた不織布等を基布として用いた場合には、不
織布内部の層間剥離強度が小さい結果、被覆層と不織布
層の層間剥離強度が十分に強くても不織布内部から剥
れ、結局は被覆層が不織布を一部接着した状態で剥がれ
ることになり、不織布面が露出することになる。例え
ば、特公昭62−2075において、従来の極細繊維形成型繊
維から乾式ウェブを形成しニードルパンチ処理して得ら
れた不織布を柱状流処理し表面層の繊維交絡密度を高
め、得られた表面層の高交絡極細繊維と被覆層の高分子
重合体とを一体化する皮革用シート状物が開示されてい
る。確かに、このシート状物は被覆層の高分子重合体と
表面層の極細繊維とは強固に一体化しているものの、内
層は比較的長い短繊維からない、しかもニードルパンチ
交絡処理の為、十分な交絡密度が達成されず不織布の内
部から剥がれる等の問題が残る。この理由から前記の皮
革用シート状物においても実施されているように不織布
を基布として用いる場合、一般的には、ポリウレタン、
アクリル酸エステル、SBR、NBR等の高分子弾性体をバイ
ンダーとして用い、不織布層間剥離強度を補強する方法
が通常用いられる。この場合、風合がペーパーライクな
ものとなり、織物として、高級感のないものにしかなり
得なかった。
したがって、コーティングファブリックの基布とし
て、不織布の高生産性を活かし、実用上十分な強度、特
に層間剥離強度を有し、かつソフトな風合を有する不織
布は未だないのが現状である。
〔発明が解決しょうとする課題〕
本発明は、コーティングファブリックの基布とし用い
られる不織布の問題点である層間剥離強度を改良し、実
質的にノーバインダーでソフトな風合を有する新規な不
織布コーティングファブリックを提供しようとするもの
である。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記問題点について鋭意検討し本発明に
到達した。
本発明は、単糸の直径が3〜20μmで、繊維長Lと単
糸の直径Dの比L/Dが800〜2000の短繊維が相互に交絡し
た平均繊維交絡点間距離が300μm以下の湿式不織布と
高分子重合体の被覆層からなるシート状物である。
本発明のシート状物は、実用上十分に強い層間剥離強
度率の物性とソフト風合を共に兼ね備えたコーティング
ファブリックを提供するという本発明の課題が達成でき
る。
本発明のシート状物の製造方法は、単糸の直径3〜20
μm、繊維長Lと単糸の直径Dとの比L/Dが800〜2000の
短繊維を抄造法でシート形成し、ついで高速流体流処理
により短繊維を相互に三次元交絡させ、得られた平均繊
維交絡点間距離が300μm以下の交絡シートに高分子重
合体よりなる被覆層を形成することを特徴とするシート
状物の製造方法である。
本発明のシート状物は、特定の形状を有する短繊維か
ら構成され、かつその短繊維が相互に三次元交絡した湿
式不織布と、その表面に被覆された高分子重合体との組
み合わせからなることが必須条件であり、従来の不織布
を用いたコーティングファブリックに比べて十分な実用
強度とソフトな風合を兼ね備えた新規なコーティングフ
ァブリックが得られる。
本発明において、構成原糸は、単糸直径が3〜20μ
m、繊維長Lと単糸直径Dとの比L/Dが800〜2,000の二
つの要素を共に満たすことが必要である。単糸直径が3
μm未満であるとL/Dが前記の範囲であっても単糸強力
が余りにも低い為に、不織布の層間剥離強度、引張強
度、引裂強度等の強度が低く、該不織布に高分子弾性重
合体を不織布に対し、例えば50重量%以上の多量に含浸
しても、引裂強力が低い、風合が極めて硬くなる等の欠
点が生じ本発明の目的とする強度とソフトな風合の両立
ができない。単糸直径が20μmを超えると、L/Dが本発
明の特定範囲内であっても、繊維が太いことから、不織
布の表面の緻密さ、均一性が失なわれる。このような不
織布に高分子重合体を被覆すると形成した被覆層の表面
が凹凸になり好ましくない品位しか得られない。したが
って、単糸直径は、強度、均一性の点から3〜20μmで
あることが必要であり、5〜15μmであると更に好まし
い。
原糸のL/Dは前記の繊維直径の特定範囲内で800〜2,00
0である必要がある。
原糸のL/Dは、繊維同士の交絡のしやすさと重要な関
係があることが本発明者の検討により見い出され、L/D
が800未満である場合、及び2,000を超える場合はいずれ
も目的とする不織布強度が得られず、本発明の800〜2,0
00の特定範囲で始めて実用的な高強度が得られる。この
驚くべき事実は次の様に推定される。即ち、繊維の柱状
水流等による動き易さはL/Dが小さい、即ち大く短かい
程大きく、繊維相互の絡みは大きくなる。一方、繊維間
相互の接触点の数は繊維が細く長い、即ちL/Dが大きい
程多くなる。しかしながら、L/Dが大きすぎる交絡時に
於ける繊維の動きが抑制され繊維相互の絡みは逆に小さ
くなる。したがって繊維同士の交絡密度が最大になる最
適範囲のL/Dが存在し、この範囲が800〜2,000であると
理解される。
上記の特定の単糸直径及びL/Dを有する短繊維が相互
に交絡した湿式交絡不織布は、その層間剥離強度が十分
に強く、0.5〜3.0kg/cmの範囲にある。しかしながら、1
kg/cm未満であると、バインダーを含浸しないで直接高
分子重合体をコーティングされたシート状物は、例えば
靴の内張り材、椅子張り材等の用途には、使用中に不織
布内部で層間剥離を起こしてしまう場合がある。これを
防ぐ為には、比較的多量(不織布に対し20〜30重量%)
のバインダーを含浸させる必要があり、その結果風合が
硬くなり好ましくない。この点で本発明の構成成分であ
る湿式交絡不織布の層間剥離強度は1kg/cm以上が好まし
い。
本発明の湿式交絡不織布の交絡の状態を例えば繊維交
絡点間距離の数値を用いて表わすと、30〜350μmの範
囲にある。300μmを超えると繊維の交絡状態は比較的
ルーズであり層間剥離強度も低く、比較的多量のバイン
ダー含浸が必要となるので好ましくない。この点で平均
繊維交絡点間距離は300μm以下が必要である。
ここでいう繊維交絡点間距離としては、特開昭58−19
1280号公報で公知のつぎの方法で測定した値のことであ
り、繊維間相互の交絡密度を示す1つの尺度として値が
小さいほど交絡が緻密であることを示すものである。第
1図は、湿式不織布における構成繊維を平面方向に表面
から観察したときの構成繊維の拡大模式図である。構成
繊維をf1,f2,f3……とし、そのうちの任意の2本の繊維
f1,f2が交絡する点をa1で上になっている繊維f2が他の
繊維の下になる形で交差する点までたどっていき、その
交差した点をa2とする。同様a3,a4,……とする。つぎに
このようにして求めた交絡点の間の直線水平距離a1,a2,
a2,a3,……を測定し、これら多数の測定値の平均値を求
めこれを繊維交絡点間距離とする。
本発明の不織布はポリウレタン等のバインダーを含ま
なくても十分な強度が得られる点に特徴があるが、必要
に応じて10重量%以下のバインダーを含浸すること好ま
しい。例えば、風合に本来のソフトさに加えて弾性感を
付加する様な場合、あるいは被覆層がない裏面の毛羽落
ちの防止が求められる様な用途において毛羽止めの目的
で用いる場合等において10%以下の少量のバインダーを
含浸することは好ましい態様である。
次に本発明の被覆層は高分子重合体よりなり、本発明
でいう不織布と十分な接着強さでもって統合している。
本発明において、不織布の表面は非常に平滑で均一な
為、被覆層の裏面も平滑で均一である。被覆層の表面の
模様は用途に応じて任意の模様が彫刻ロール、或いは模
様剥離型紙等により形成される。
被覆層は単層であっても複数の層が積層されていても
よい。また被覆層の断面構造は、微細な多孔質構造であ
っても、実質的に非多孔質構造であってもよく、用途に
応じて適切に設計される。代表的な態様をあげると、不
織布の上に密着した微多孔質の被覆層があり、更にその
上層に非多孔質の被覆層が積層され、エンボス等の彫刻
ロールにより天然皮革の“シボ”様の模様が印加されて
いる態様等があげられる。
本発明に用いる短繊維の原糸素材は特に限定されな
い。ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610などのポリ
アミド繊維、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステル繊維、ポリプロピレ
ン、ポリエチレン等のポリオレフィン繊維、レーヨン等
の再生セルロース繊維等が、本発明の繊維直径及びL/D
の範囲内で好ましく用いられる。
被覆層を構成する高分子重合体も限定はないが、ポリ
ウレタン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリアクリル
酸エステル、ポリアミノ酸等が好ましく用いられる。
必要に応じ不織布に含浸される高分子弾性重合体にも
特に限定はなく、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化
ビニル、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリウレタ
ン、スチレンブタジエン共重合体、アクリロニトリルブ
タジエン共重合体、ポリアミノ酸等が用いられる。
次に本発明のシート状物の製造方法について説明す
る。
まず、単糸の直径3〜20μm、L/Dが800〜2,000の範
囲内にある短繊維を準備する。これを0.1〜3%の濃度
になる様に水に分散させる。この際、ポリアクリルアミ
ド(PAA)などの分散剤を少量添加することが好まし
い。このスラリーを長網式、丸網式などの抄造機にて抄
造する。目付は目的とするコーティングファブリックの
用途に応じて設定するが、一般的には30〜500g/m2の範
囲である。短繊維の種類については本発明の単糸直径、
L/Dの範囲を満たす範囲で、素材、形状を適宜選択す
る。種類の数についても、素材及びまたは形状の異なっ
た2種類以上の原糸を混合して用いることも好ましい。
得られた抄造シートを高速流体流により交絡させる。
ここでいう流体とは液体或いは気体が含まれるが、取り
扱いやすさ、流体としての衝突エネルギーの大きさ、コ
ストなどの点から水が最も好ましい。水を用いる場合、
水圧は用いる原糸の種類、目付、処理速度により異なる
が、10〜200kg/cm2、好ましくは15〜150kg/cm2の範囲で
衝突させる。処理速度が一定の場合、短繊維の目付が小
さい場合は比較的低圧で処理し、目付が大きい場合は高
圧で処理するのが好ましい。水流を噴射するノズルの口
径は0.01〜0.5mmが好ましい。水流の軌跡形状は抄造シ
ートの進行方向に対し同一方向の直線状であっても良い
し、ノズルを取り付けたヘッダーの回転運動やシートの
進行方向に直角に往復する振動運動によって得られる曲
線形状であっても良い。回転運動によって得られる幾重
にも重なった螺旋状の水流軌跡の交絡はノズル1錘当た
りのシートに対する水流の噴射面積が大きくなり効率的
であると同時に、被覆層を形成する際の不織布の表面平
滑性、均一性、緻密性を惹起させる手段として極めて有
効である。ノズルと抄造シートの間隔は10〜60mmが好ま
しい。水流軌跡を残さずに交絡させる為の要件として水
流径を余り太くさせない方が好ましい場合が多く、50mm
以下が最も好ましい。余りにも間隔が小さいと、水圧に
よっては水の噴流がシートを貫通しやすくなり短繊維同
士の交絡が十分に進まない場合がある。抄造シートの下
には金網や多孔板等の多孔性部材が置かれ、その下から
吸引脱水することが好ましい。短繊維の交絡には、排水
が十分に分離脱水されることが好ましく、分離脱水が十
分であると、短繊維同士の交絡が十分に行われない場合
が多い。水流交絡処理の仕方は、抄造シートの片面のみ
を処理する方法や表裏両面を交互に処理する方法等が用
いられる。不織布の表面の平滑性、均一性を特に重視す
る場合は、複数回の水流噴射を行ない、逐次水圧を高め
て行く方法、高圧で噴射した後、ノズルと抄造シートと
の間に40〜120メッシュの細かい金網を挿入し高圧水流
の散水流化して噴き当てる方法、高圧で噴射する際に10
〜20メッシュの比較的粗い金網をノズルと抄造シートの
間に挿入し高圧水流を点状軌跡になる様に寸断する方法
などが好ましく用いられる。
この様にして得られた交絡シートの表層部に前記した
高分子重合体の溶液又は分散液をコーティングする。コ
ーティング手段としてはグラビアコーティング、ナイフ
コーティング、スリットコーティング、リバースロール
コーティング、スプレーなどの方法を用い、湿式又は乾
式で固化させる。必要に応じ表面に模様のあるエンボス
ロール、或いは模様賦型シートなどを塗布層に当て加圧
することにより模様付けすることも好ましい。ここで高
分子重合体をコーティングする前に交絡シートにロール
によるプレスなどの処理を行なうことも好ましい方法で
ある。さらに必要に応じて仕上剤、染色、揉み等の処理
を行なうのもよい。不織布に高分子重合体を塗布する前
に不織布にバインダーを少量含浸する場合においては、
前記の高分子弾性重合体の溶液或いは分散液を不織布に
含浸し、それぞれ湿式凝固、乾式凝固させ付着させる。
溶液、分散液に顔料等の着色剤を添加するのも好まし
い。付着量は不織布に対し10重量%以下になる様にする
のが風合面からも好ましい。
この様にして得られた本発明のシート状物は、実質的
にノーバインダーの高強力でかつ表面平滑性に優れた不
織布の表面層に被覆層が形成されているもので、風合が
極めてソフトでかつ被覆層に自然なきめ細かいシボがあ
る従来にないコーティングファブリックであり、靴資
材、鞄、袋物、表装材、シートカバー材等に好適に用い
られるものである。
〔実施例〕
以下、実施例でもって本発明をさらに詳しく説明す
る。実施例中、測定値は以下の方法によって測定したも
のであり、%は全て重量%である。
1) 引張強度:JIS L 1096ストリッブ法 2) 引裂強度:JIS L 1096シングルタング法 3) 層間剥離強度: 不織布を巾2.5cm、長さ13cmにカットする。このサン
プルに接着テープ(ソニーケミカル(株)製、D3200)
を接着させた後、70g/cm2の圧力で200℃、30秒間プレス
し貼り合わせる。
こうして得られた測定用のサンプルの、接着テープと
不織布の間に切れ込みを入れ、両端をオートグラフのチ
ェックでつかみ測定を行なう。オートグラフの測定条件
は以下の様に設定する。
引張速度:10cm/min チャート強度:10cm/min この場合テープは強く、又テープと不織布は強固に接
着されているので、測定用サンプルのテープが測定用サ
ンプルから引き剥される時に、テープが切断したり、テ
ープと不織布の接着面が剥されることはなく、前記引き
剥し力は不織布の一部分を他の部分から引き剥すように
作用する。したがってこの方法によって不織布の層間剥
離強度を測定することができる。
前記測定をオートグラフで行う際に得られるストレス
ストレン曲線から強度値の大きい方の値3個と小さい方
の値3個を選んで計6個の値の平均値を得る。測定用サ
ンプルの試験数は5とする。この様な測定を不織布のタ
テ方向(MD)、ヨコ方向(CD)につき各々同様に行な
い、そのタテ/ヨコ平均値でもって不織布の層間剥離強
度とする。
4) 柔軟度:JIS L 1096 45゜カンチレバー法タテ方向
(MD)とヨコ方向(CD)の平均値をとり、柔軟度とす
る。
5) 平均繊維交絡点間距離:走査型電子顕微鏡で100
倍の倍率で測定し、50個の平均値をとった。
実施例1 1.5d(13μm)のナイロン6繊維を12mm(L/D=923)
にカットし水中に分散させ1%濃度のスラリーとした。
このスラリー斜傾式長網抄造機で抄造し、目付150g/m2
のシートを得た。このシートに、ノズル径0.2mm、ノズ
ル間ピッチ5mm、列数18列の多数のノズルから40kg/cm2
の水圧の柱状水流を噴射させて短繊維を交絡させた。ノ
ズルと抄造シートの間隔は30mmで、抄造シートの下には
ステンレス製の80メッシュの金網を支持部材とし、金網
を通して吸引脱水した。同様の処理をシートの反対面に
も施した。次いで水圧を15kg/cm2に設定し、かつノズル
とシートの間に60メッシュのステンレス製の金網を挿入
して水流を散水化して表面を処理し、同様の処理を反対
面にも施した。その後乾燥して交絡シートを得た。この
交絡シートの物性は以下の通りであった。
引張強度(タテ/ヨコ) :10.0/8.7kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) :4.3/3.8kg 層間剥離強度 :2.3kg/cm 柔軟度(タテ/ヨコ平均):57mm 繊維交絡点間距離 :110μm この交絡シートの表面に、予め調製しておいた、ポリ
エチレンアジペート系のポリウレタンのジメチルホルム
アミド(DMF)の20%溶液をグラビアロールにてコーテ
ィングしたのち、常温の水中に凝固後、水洗・乾燥し
た。つぎに、形成した被覆層の上に更に先に用いたポリ
ウレタンと同じ組成で硬さを硬くしたポリウレタンの25
%DMF溶液を同じくグラビアロールでコーティングし、D
MFを蒸発除去した。更に加熱エンボスロールでプレスし
天然皮革様シボを形成させ、軽く揉み仕上加工をした。
この様にして得られたシート状物の物性は以下の通り
であり、極めてソフト風合で表面のシボ模様も自然でき
め細く、かつ引張、引裂、層間剥離等も十分な強力を持
っているものであった。
引張強度(タテ/ヨコ) :12.1/9.4kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) :4.9/4.3kg 層間剥離強度 :2.1kg/cm 柔軟度 :58mm 比較例1 ナイロン6繊維の3d(18.5μm)、長さ3mm(L/D=16
2)の短繊維を実施例1と同様の方法で、150g/m2の抄造
シートを得た。この抄造シートを実施例1と同じ方法で
柱状水流による交絡処理を行なった。得られた交絡シー
トは以下の物性を示し、強度が著しく小さく実用に耐え
ないものであった。
引張強度(タテ/ヨコ) :1.8/1.3kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) :0.5/0.4kg 層間剥離強度 :0.3kg/cm 柔軟度(タテ/ヨコ平均):53mm 繊維交絡点間距離 :250μm この強度の低さを補強する目的でポリウレタンの15%
のDMF溶液を含浸し、水中での湿式凝固により交絡シー
トに対し40%の付着量になる様にポリウレタンを付着さ
せたが、風合いが硬く(柔軟度:93mm)、引張強力も更
に低下し(タテ/ヨコ 0.3/0.2kg)不可であった。
比較例2 ポリエチレンテレフタレート繊維の1d(10μm)30mm
の長さ(L/D=3000)の短繊維を実施例1と同様にして
目付100g/m2の抄造シートを得た。この時、水に分散し
た繊維はフィラメントが単糸1本1本に開繊しないで集
束した固まりになっている部分や短繊維同士が互いにも
つれあって、固まりになっている部分が数多く観察され
分散状態は不良であった。この抄造シートを実施例1と
同様の方法で柱状水流による交絡処理を行なったが短繊
維の相互の交絡は非常に弱いものであった。
引張強度(タテ/ヨコ) :3.7/2.8kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) :1.6/1.4kg 層間剥離強度 :0.2kg/cm 柔軟度(タテ/ヨコ平均):71mm 繊維交絡点間距離 :310μm また、このシートにポリウレタンを乾式法でコーティ
ングしたがシートの前記した糸状の固まりが被覆層のデ
コボコになり商品価値がないものであった。
実施例2 ポリエチレンテレフタレート繊維の単糸繊度0.15d
(3.9μm)、長さ5mm(L/D=1282)の短繊維を実施例
1と同様の方法で抄造し、目付量140g/m2の抄造シート
を得た。これを実施例1と同様のノズルを用い、処理速
度5m/分、ノズルヘッダーの回転数120rpm、水圧35kg/cm
2、ノズルと抄造シートの間隔50mmにて、かつノズルと
抄造シートの間に16メッシュのステンレス製金網を挿入
する条件でもって柱状水流の噴射を抄造シートの表裏両
面に順次行なった。得られた交絡シートの物性は以下の
通りであり、シートの表面は平滑で柱状水流の噴流跡も
実質的に認められないものであった。
引張強度(タテ/ヨコ) :6.5/6.1kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) :2.7/2.3kg 層間剥離強度 :1.9kg/cm 柔軟度 :49mm 繊維交絡点間距離 :73μm この交絡シートにポリエチレンアジペートグリコール
系のポリウレタンの20%DMF溶液をグラビアロールでコ
ーティング後、130℃の熱風でDMFを蒸発除去した。塗布
量は20g/m2であった。このようにして得られたコーティ
ングファブリックは被覆層の表面が鏡面の様に平滑であ
り、軽く揉むと天然皮革のシボの様な模様が自然と形成
され優れた外観を有するものであった。物性は以下の通
りであった。
引張強度(タテ/ヨコ) :7.0/6.5kg/cm 引裂強度(タテ/ヨコ) :3.2/2.8kg 層間剥離強度 :1.9kg/cm 柔軟度 :53mm 繊維交絡点間距離 :73μm 〔発明の効果〕 本発明の高強度湿式不織布からなるシート状物、即ち
コーティングファブリックは、均一性が良く、かつ高強
度の不織布をベースにしているので、被覆層の表面が極
めて平滑性に富み、かつ実質的にノーバインダー不織布
であるので優れたソフト風合及び、天然皮革様の自然な
きめ細かいシボを備えた優れた性能を与える。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る不織布の平面方向の一方の表面か
ら観察したときの構成繊維の拡大模式図でる。 f1〜f7……構成繊維 a1〜a7……構成繊維同士の交絡点。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】単糸の直径が3〜20μmで、繊維長Lと単
    糸の直径Dの比L/Dが800〜2000の短繊維が相互に交絡し
    た平均繊維交絡点間距離が300μm以下の湿式不織布と
    高分子重合体の被覆層からなるシート状物。
  2. 【請求項2】単糸の直径3〜20μm、繊維長Lと単糸の
    直径Dとの比L/Dが800〜2000の短繊維を抄造法でシート
    形成し、ついで高速流体流処理により短繊維を相互に三
    次元交絡させ、得られた平均繊維交絡点間距離が300μ
    m以下の交絡シートに高分子重合体よりなる被覆層を形
    成することを特徴とするシート状物の製造方法。
JP14827689A 1989-06-13 1989-06-13 高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法 Expired - Lifetime JP2927451B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14827689A JP2927451B2 (ja) 1989-06-13 1989-06-13 高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP14827689A JP2927451B2 (ja) 1989-06-13 1989-06-13 高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0313326A JPH0313326A (ja) 1991-01-22
JP2927451B2 true JP2927451B2 (ja) 1999-07-28

Family

ID=15449147

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP14827689A Expired - Lifetime JP2927451B2 (ja) 1989-06-13 1989-06-13 高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2927451B2 (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0313326A (ja) 1991-01-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4107374A (en) Non-woven fabric usable as a substratum sheet for artificial leather
US4476186A (en) Ultrafine fiber entangled sheet and method of producing the same
US4145468A (en) Composite fabric comprising a non-woven fabric bonded to woven or knitted fabric
US4891262A (en) High strength wet-laid nonwoven fabric and process for producing same
JPH0151582B2 (ja)
JP2927451B2 (ja) 高強度湿式不織布からなるシート状物及びその製造方法
JP3138074B2 (ja) 地合の良好な触感に優れた水流交絡不織布及びその製造法
JP3277046B2 (ja) 水流交絡不織布及びその製造法
JPS6037231B2 (ja) 起毛人工皮革
JPS62236731A (ja) 織編物風布帛
JPH0578986A (ja) ヌバツク調人工皮革
JP3278288B2 (ja) 絡合不織布およびこれを用いた芯地
JP2783411B2 (ja) 高強度湿式不織布及びその製造方法
JP2989249B2 (ja) 高強度極細繊維不織布とその製造方法
JPS63145462A (ja) 銀面調シ−ト状物およびその製造方法
JP2925582B2 (ja) 均一性に優れた接着芯地及びその製造方法
JPS6051589B2 (ja) 皮革様シ−ト状物の製造方法
JPS6160185B2 (ja)
JPH0617360A (ja) 人工皮革およびその製造方法
JPS6139437B2 (ja)
JPS5942107B2 (ja) 人工皮革およびその製造方法
JPS6045625A (ja) 超交絡層を有する不織ヤ−ン
JPS6137390B2 (ja)
JPH04185793A (ja) 湿式不織布とその製造方法並びに人工皮革
JPH05106152A (ja) 二次基布用ニードルパンチ不織布

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080514

FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090514

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term
FPAY Renewal fee payment

Year of fee payment: 11

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514