JP2926980B2 - 車両用シート - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は車両用のシートに関し、特に詳述すれば、下
方視界線上に乗員の目線を合致させ且つ乗り心地を最適
状態に保つ車両用シートに関する。

（従来の技術） 従来の代表的車両用シートを紹介する。

特公昭62−20047公報は、シートクッションの前端部
及び後端部を、シートバックに対して独立に、モーター
駆動により昇降させるものである。

この形式では、車両衝突時等、乗員からの衝撃荷重が
シートバックから直接シートトラックに入り、シートク
ッションへは、入力されないという長所を持っている。

しかしシートバックに対してシートクッションを独立
して昇降させるため、大柄な男性と小柄な女性との車両
運転時下方視界を一致させる程昇降ストロークを取れ
ば、シートバックの形状、特に乗員腰部付近の支持高さ
が乗員の体形と合わなくなり座り心地を著しく損なう欠
点がある。

またシートバックとシートクッションの間にすき間が
生じ意匠性に劣る。

次に特公平１−42853公報は、リクライニング装置を
介してシートクッションとシートバックが一体となった
シートをモーター駆動によりシート前部昇降とシート後
部昇降を行なうものである。

この形式の場合、衝突時等乗員からの衝撃荷重は、シ
ートバックよりシートクッションの前後昇降装置のリン
クを介してシートトラックに伝達される。このため、前
述それぞれの部材は、各個別に衝撃荷重に耐え得る強度
が必要となり、また、乗員の視界確保の為大きな昇降ス
トロークを得ようとすれば、前後昇降装置のリンクは長
く設定する必要があり衝撃荷重に対する強度はさらに不
利になる。

（本発明が解決しようとする課題） 本発明は前述した従来技術の不具合を解消させること
を解決すべき課題とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は、前述した課題を解決するために、基本的に
は、車両フロアに支持されるクッションとバックフレー
ムを含むメインフレームに対して、クッションとバック
フレームを含むサブフレームを昇降自在に配し、乗員を
このサブフレームに着座させ且つ乗員のヘッドを下方視
野に常に置くようにする手段を用いる。

具体的には、本発明は、車両フロアにシートスライド
装置を介して支持されたメインクッションフレームと、
該メインクッションフレームの一端にリクライニング装
置を介して支持されたメインバックフレームと、該メイ
ンバックフレームに支持されたヘッドレストと、前記メ
インクッションフレームの前部にリンクを介して支持さ
れたサブクッションフレームと、該サブクッションフレ
ームの一端に枢支されたサブバックフレームと、該サブ
バックフレームと前記メインバックフレームとの間に配
設され前記サブクッションフレーム及び前記サブバック
フレームを前記メインクッションフレーム、前記メイン
バックフレーム及び前記ヘッドレストに対して昇降させ
る昇降装置とを有する車両用シートを提供する。

（作用） 乗員がシートクッションを上昇させたい時は、昇降装
置を動作させ、サブバックフレームとサブクッションフ
レーム後部とを上昇させる。この上昇は、乗員の目線が
下方視野にくる迄、即ち、ヘッドレストに乗員のヘッド
が適合する迄成される。サブクッションフレームの前部
を上昇させることで姿勢を適正にしたい時はその作業を
補足する。勿論、メインバックフレームのリクライニン
グやメインクッションフレーム前後動は可能であるが、
乗員の高さ調整は、サブフレームをメインフレームに対
して昇降させることが成される。

（実施例） 本発明第一の実施例を図１及び図２に示す。

メインバックフレーム１はサイドメンバー１−ａ、及
び１−ｂ、アッパメンバー１−ｃ、ロアメンバー１−
ｄ、リインフオースメント１−ｅにより構成されてい
る。

アジャスタ２は、リクライニング装置、シートスライ
ド装置、シート前部昇降装置が備えられており、リクラ
イニング装置のアッパアーム２−ａ、２−ｂ、とバック
フレーム１とは、ボルト３−ａ、３−ｂ、３−ｃ、３−
ｄにより一体に固定され、バックフレーム１とアジャス
タ２によってメインフレームを構成している。

サブバックフレーム４とクッションフレーム５は回転
軸６により回動自在に係止されてサブフレームを成し、
ウレタンパッド７−ａ、７−ｂ、シート表皮、８−ａ、
８−ｂにより被われ乗員の着座面を一体的に構成してい
る。

バックフレーム１には、シート後部昇降装置が設定さ
れている。モーター９により得られた駆動力は、バック
フレーム／両側面に設定されたギヤハウジング10を介
し、ギヤハウジング10内のウオーム及びウオームホイー
ルにより減速され、スクリュ11に伝わり、ナット12の上
下運動に変換される。バックサブフレーム４はナット12
にスクリュビス13−ａ、13−ｂにより、係止されている
ため、ナット12の上下運動により、シート後部の昇降機
能が得られる。

アジャスタ２に設定されたシート前部昇降装置は、ウ
オーム及びウオームホイールを介し、スクリュ、ナット
により減速されたモーター駆動力がリンク14に伝えられ
クッションフレーム５の前端がリンク端14−ａ、14−ｂ
に回動自在に係止されているため、シート前部の昇降機
能が得られる。

シートスライド装置は、モーター15の駆動力を、ギヤ
ハウジング20−ａ、20−ｂ内のウオーム、ウオームホイ
ールにより減速されスクリュ16に伝えられナット17の前
後摺動運動に変換される。このナット17の前後摺動運動
によりシートスライド機能が得られる。

なお、シート前部昇降装置及びシートスライド装置は
従来より公知の技術である。

本実施例には、バックフレーム１の上側端部にシート
ベルトリトラクター18が設定されており、シートベルト
リトラクター18の上端には、ヘッドレストフレーム19が
固定されている。アジャスタ２の両側面には、ラップベ
ルト固定点21−ａ、21−ｂが設定されている。

図３には、本実施例を用いて得られた車両前席のレイ
アウトである。22に大柄な男性としてアメリカ人90％男
性（AM90）を23に小柄な女性として日本人10％女性（JF
10）を示している。本発明によって、シートバックとシ
ートクッションの乗員着座部は一体に作動するストロー
クの大きなシート昇降装置が実現できるため、AM90とJM
10との下方視界24を一致させることができる。

またこの時ヘッドレスト25とショルダーベルトアンカ
ポイント26はメインフレームに固定されているため、乗
員がシート昇降装置によりアイポイントを調節すること
によって最適な位置が得られ、従来より設定が求められ
ていたヘッドレストの高さ調節装置とショルダーベルト
アンカポイントの高さ調節装置は、不要となる。

27はAM90のヒップポイント、28はJF10のヒップポイン
ト、29はAM90に対応したシートポジション、30はJF10に
対応したシートポジション、31及び32はシートベルトを
示す。

また33は昇降装置のストローク量を示し、34はシート
スライド装置のストローク量を示す。

車両衝突時等、乗員からの衝撃荷重がシートベルト
へ、もしくはシートへ負荷される場合、この衝撃荷重
は、メインフレームから車両ボディへ伝達され、サブフ
レーム及びシート昇降装置への影響は非常に小さい。

図４には、第２の実施例を示す。

本発明の別の実施例を第４図に示す。

バックフレーム35にバックサブフレームとしてのシー
ト後部昇降装置が設けられており、このシート後部昇降
装置の構成は、ギヤハウジング36によりギヤ減速された
モーター37の駆動力によりベルト又はワイヤー38をドラ
ム39に巻取ることによってシートの昇降を可能としてい
る。ワイヤー端38−ａはバックフレーム35側面に設けら
れた長孔35−ａによりガイドされながら、バックサブフ
レーム40に係止されている。

前述の実施例には、シートベルト装置をシート内に一
体的に組み入れているが、一般的な車両用シートのよう
にシートベルト装置が含まれないシートの場合において
も前述の実施例と同様な効果が得られる。

（効果） 本発明では、シートバックとシートクッションの乗員
着座部が一体になって昇降調節ができるため、大きな調
節量を設定しても、シートクッションが独立で調節した
場合に問題となる乗員の座り心地の劣下や、シートバッ
クとシートクッションとの間ですき間ができる見栄え不
良が解決できる。

また本発明により昇降調節のストロークを大きくとる
ことによって乗員のアイポイントを調節すれば、メイン
フレームに固定されたヘッドレストまたは、ショルダー
ベルトアンカポイントは必然的に最適位置に調節され
る。

車両衝突時等乗員よりシートに衝撃荷重が加わった場
合は、メインフレームより、直接車両ボディに衝撃荷重
が伝わるためシート昇降装置には、その調節ストローク
に関わらず、衝撃荷重の影響を受け難く、シート昇降装
置は、軽量な構造とすることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一例の分解斜視図、第２図はサブバッ
クフレームの昇降装置の側面図、第３図は乗員の姿勢の
変化を示す図、第４図は本発明の他の実施例を示す分解
斜視図である。 図中： １……バックフレーム、 １−ａ、１−ｂ……サイドメンバー １−ｃ……アッパメンバー、 １−ｄ……ロアメンバー、 １−ｅ……リインフオースメント、 ２……アジャスタ、 ２−ａ、２−ｂ、……アッパアーム、 ３−ａ、３−ｂ、３−ｃ、３−ｄ……ボルト、 ４……バックサブフレーム、 ５……クッションフレーム、 ６……回転軸、 ７−ａ、７−ｂ……ウレタンパッド、 ８−ａ、８−ｂ……シート表皮、 ９、15、37……モーター、 10……ギヤハウジング、 11、16……スクリュ、 12、17……ナット、 13−ａ、13−ｂ……スクリュ、 14……リンク、 14−ａ、14−ｂ……リンク端、 18……シートベルトリトラクター、 19……ヘッドレストフレーム、 20−ａ、20−ｂ……ギヤハウジング、 21−ａ、21−ｂ……ラップベルト固定点、 22……AM90、 23……JF10、 24……下方視界、 25……ヘッドレスト、 26……ショルダーベルトアンカポイント、 27、28……ヒップポイント、 29、30……シートポジョン、 31、32……シートベルト、 33……シート昇降ストローク、 34……シートスライドストローク、 35……バックフレーム、 35−ａ……長孔、 36……ギヤハウジング、 38……ワイヤー、 38−ａ……ワイヤー端、 39……ドラム、 40……バックサブフレーム。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】車両フロアにシートスライド装置を介して
   支持されたメインクッションフレームと、該メインクッ
   ションフレームの一端にリクライニング装置を介して支
   持されたメインバックフレームと、該メインバックフレ
   ームに支持されたヘッドレストと、前記メインクッショ
   ンフレームの前部にリンクを介して支持されたサブクッ
   ションフレームと、該サブクッションフレームの一端に
   枢支されたサブバックフレームと、該サブバックフレー
   ムと前記メインバックフレームとの間に配設され前記サ
   ブクッションフレーム及び前記サブバックフレームを前
   記メインクッションフレーム、前記メインバックフレー
   ム及び前記ヘッドレストに対して昇降させる昇降装置と
   を有する車両用シート。
2. 【請求項２】前記メインクッションフレームに支持され
   且つ前記リンクを作動させて前記サブクッションフレー
   ムの前部を上下動させる装置を有する請求項（１）の車
   両用シート。
3. 【請求項３】前記昇降装置が、前記メインバックフレー
   ムに支持され且つモータにより回転するスクリューシャ
   フトと、前記サブバックフレームに固定され且つ前記ス
   クリューシャフトに螺合するナットを有する請求項
   （１）の車両用シート。
4. 【請求項４】前記昇降装置が前記メインバックフレーム
   に支持されたドラムに一端が支持され且つ他端を前記サ
   ブバックフレームに固定されたワイヤー又はベルト、お
   よび前記ドラムを回動させるモータを有する請求項
   （１）の車両用シート。
5. 【請求項５】シートパットおよびシート表皮を前記サブ
   クッションフレームとサブバックフレームに装着し、前
   記メインクッションフレームとメインバックフレームの
   前記車両フロアに対する高さが不変である請求項（１）
   の車両用シート。