JP2926264B2 - 第2高調波発生素子とその製造方法 - Google Patents

第2高調波発生素子とその製造方法

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JP2926264B2
JP2926264B2 JP2237166A JP23716690A JP2926264B2 JP 2926264 B2 JP2926264 B2 JP 2926264B2 JP 2237166 A JP2237166 A JP 2237166A JP 23716690 A JP23716690 A JP 23716690A JP 2926264 B2 JP2926264 B2 JP 2926264B2
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    • G02OPTICS
    • G02FOPTICAL DEVICES OR ARRANGEMENTS FOR THE CONTROL OF LIGHT BY MODIFICATION OF THE OPTICAL PROPERTIES OF THE MEDIA OF THE ELEMENTS INVOLVED THEREIN; NON-LINEAR OPTICS; FREQUENCY-CHANGING OF LIGHT; OPTICAL LOGIC ELEMENTS; OPTICAL ANALOGUE/DIGITAL CONVERTERS
    • G02F1/00Devices or arrangements for the control of the intensity, colour, phase, polarisation or direction of light arriving from an independent light source, e.g. switching, gating or modulating; Non-linear optics
    • G02F1/35Non-linear optics
    • G02F1/37Non-linear optics for second-harmonic generation
    • G02F1/377Non-linear optics for second-harmonic generation in an optical waveguide structure

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、変換効率の高い薄膜導波路構造の第2高調
波発生素子(以下、第2高調派発生素子をSHG素子とい
う)に関する。
(従来の技術) SHG素子は、非線形光学効果をもつ光学結晶材料の非
線形光学効果を利用して入射された波長λのレーザーを
1/2λの波長に変換して出力する素子であって、出力光
の波長が1/2に変換されることから、光ディスクメモリ
やCDプレーヤ等に応用することにより、記録密度を4倍
にすることができ、また、レーザープリンタ、フォトリ
ソグラフィー等に応用することにより、高い解像度を得
ることができる。
従来、SHG素子としては、高出力のガスレーザーを光
源とする、非線形光学結晶のバルク単結晶が用いられて
きた。しかし、近年光ディスク装置、レーザープリンタ
等の装置全体を小型化する要求が強いこと、ガスレーザ
ーは、光変調のため外部に変調器が必要であるため、小
型化に適していないことから、直接変調が可能で、ガス
レーザーに比べて安価で取扱が容易な半導体レーザーを
使用することができるSHG素子が要求されている。
ところで、半導体レーザーを光源とする場合、一般に
半導体レーザーの出力が数mWから数十mWと低いことか
ら、特に高い変換効率を得ることのできる薄膜導波路構
造のSHG素子が要求されている。
すなわち、薄膜導波路を用いた第2高調波光の発生
は、1.薄膜に集中した光のエネルギーを利用できるこ
と、2.光波が薄膜内に閉じ込められ、広がらないため
に、長い距離にわたって相互作用を行わせ得ること、3.
バルクでは、位相整合できない物質でも薄膜のモード分
散を利用することにより位相整合ができること、などの
利点を有するからである。(深山、宮崎;電子通信学会
技術研究報告、OQE75−(1975)、宮崎、星野、赤尾;
電磁界理論研究会資料、EMT−78−5(1978))。
(従来技術の問題点) しかしながら、薄膜導波路構造のSHG素子を得るため
には、これまで目的とする基本波レーザー光波長におい
て、基板の素材、薄膜導波層の素材および膜厚を適宜変
化させて実験し、第2高調波が発生する条件を見出すこ
とにより、構造を決定するという、極めて非効率的な作
業が必要であった。
そこで、本発明者らは、鋭意研究した結果、基本波レ
ーザー光波長(λμm)、薄膜導波層の膜厚(Tμ
m)、基本波レーザー光波長(λμm)における基板の
常光屈折率(nOS1)、基本波レーザー光波長(λμm)
における薄膜導波層の常光屈折率(nOF1)、第2高調波
波長(λμm/2)における基板の異常光屈折率(neS2
および第2高調波波長(λμm/2)における薄膜導波層
の異常光屈折率(neF2)にある特定の関係を満足させる
ことにより、第2高調波を極めて効率的に発生させるこ
とができることを新規に見出すに至り、本発明を完成し
た。
また、SHG素子の製造においては、薄膜導波層を光学
研磨することにより膜厚を調整していたが、本発明者ら
は、鋭意研究した結果、光学研磨より簡単で、面粗度を
低くできなおかつ、膜厚を均一に加工できる加工法とし
て、ドライエッチングが最適であることを見出し本発明
を完成した。
(課題を解決するための手段) 本発明は、基板上に薄膜導波層が形成されてなるSHG
素子であって、基本波レーザー光波長 (λμm)、薄膜導波層の膜厚(Tμm)、基本波レー
ザー光波長(λμm)における基板の常屈折率
(nSO1)、基本波レーザー光波長(λμm)における薄
膜導波層の常光屈折率(nOF1)、第2高調波波長(λμ
m/2)における基板の異常光屈折率(neS2)および第2
高調波波長(λμm/2)における薄膜導波層の異常光屈
折率(neF2)が、 のいずれかの関係式で表されることを特徴とするSHG素
子である。
ただし、上記式(A)中のN1は、 であり、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
さらに、もう一つの発明は、 基板上に薄膜導波層が形成された第2高調波発生素子
を製造するにあたり、 基板上に薄膜を形成した後、前記薄膜を、以下の関係
式(A)あるいは(B)のいずれかを満たすよう、ドラ
イエッチングすることにより膜厚調整して前記薄膜を薄
膜導波層とすることを特徴とする第2高調波発生素子の
製造方法である。
ただし、 Tμm:薄膜導波層の膜厚、 λμm:基本波レーザー光波長 nOS1:基本波レーザー光波長(λμm)における基板の
常光屈折率、 nOF1:基本波レーザー光波長(λμm)における薄膜導
波層の常光屈折率、 neS2:第2高調波波長(λμm/2)における基板の異常光
屈折率、 neF2:第2高調波波長(λμm/2)における薄膜導波層の
異常光屈折率、 上記式(A)中のN1は、 であり、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
(作 用) 本発明のSHG素子は、基板上に薄膜導波層が形成され
てなるものであって、基板および薄膜導波層の基本波レ
ーザ光に対する常光屈折率、および第2高調波に対する
異常光屈折率、薄膜導波層の厚さを、前記関係式(A)
あるいは(B)を満たす構造とすることにより、特定の
基本波レーザ光に対する第2高調波光を発生させること
ができる。
本発明のSHG素子の構造は、基板上に薄膜導波層が形
成されてなるものであることが必要である。
その理由は、基板上に薄膜導波層が形成されたSHG素
子における第2高調波の発生は、薄膜に集中した光のエ
ネルギーを利用できることや光波が薄膜内に閉じ込めら
れ、広がらないために、長い距離にわたって相互作用を
行わせ得ることなどの利点を有しているばかりでなく、
従来用いられているバルクを使用したSHG素子では、位
相整合できない物質でも薄膜のモード分散を利用するこ
とにより位相整合ができることなどの利点を有するから
である。
本発明のSHG素子は、基本波レーザー光波長(λμ
m)、薄膜導波層の膜厚(Tμm)、基本波レーザー光
波長(λμm)における基板の常光屈折率(nOS1)、基
本波レーザー光波長(λμm)における薄膜導波層の常
光屈折率(nOF1)、第2高調波波長(λμm/2)におけ
る基板の異常光屈折率(neS2)および第2高調波波長
(λμm/2)における薄膜導波層の異常光屈折率
(neF2)が、 のいずれかの関係式を満足することが必要である。
ただし、上記式(A)中のN1は、 であり、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
その理由は、基板上に薄膜導波層が形成されたSHG素
子においては、実施例、比較例から理解されるように前
記関係式(A)あるいは(B)のいずれかを満たす構造
でないと第2高調波光への変換効率が低く極めて実用的
でないからである。
本発明に係るSHG素子の薄膜導波層は、基板上に形成
された薄膜をドライエッチングにて膜厚制御し、形成さ
れてなるものであることが望ましい。
前記薄膜導波層の膜厚制御が、ドライエッチングによ
り行われることが望ましい理由は、前記ドライエッチン
グは、エッチング速度の再現性がよく、1μm以下のレ
ベルでの加工精度を有するからである。
前記ドライエッチングには、イオンビームエッチン
グ、プラズマエッチング、反応性イオンビームエッチン
グなどがあるが、特にイオンビームエッチングが好適で
ある。
前記イオンビームエッチングは、フィラメントもしく
はECR(電子サイクロトロン共鳴)によりプラズマを発
生させ、これをイオンビームとして被加工材料に照射
し、エッチングする技術である。
前記イオンビームエッチングは、エッチング速度を0.
01〜0.001μm/hrと小さくできるだけでなく、その再現
性が良く、均一なエッチング速度が得られ、また被加工
材料にダメージを殆ど与えないという優れた特性を有し
ている。
前記膜厚(Tμm)の加工精度は、特に±0.01〜0.05
μm程度の大きさとすることが好ましく、このような高
い精度の加工が可能で且つ薄膜導波層の光学的性質を損
なわない加工法としては、イオンビームエッチングが最
適である。
本発明において、最も好適なSHG素子は、 基板上に形成された薄膜導波層の膜厚がドライエッチン
グにより、位相整合膜厚に対して96.3〜103.9(%)の
範囲内の精度になるよう、調整されてなる形態である。
前記薄膜導波層の膜厚が位相整合膜厚に対して96.3〜
103.9(%)の範囲内の精度に調整されてなることが好
適である理由は、前記範囲でのSHG変換効率が最も高い
からである。
前記薄膜導波層の膜厚は特定の膜厚(Tμm)に対し
て98.2〜102.0(%)であることが好ましく、99.2〜10
0.8(%)であることが好適である。
本発明のSHG素子は、薄膜導波層の光学軸(Z軸)に
対する基本波レーザー光の入射角(θ)が、0±15゜あ
るいは90±15゜の範囲内であることが好ましい。
その理由は、前記基本波レーザー光の入射角(θ)
が、前記範囲内の場合、第2高調波への変換効率が、極
めて高いからである。前記基本波レーザー光の入射角
は、なかでも、0±5゜あるいは90±5゜の範囲内であ
ることが有利である。
本発明のSHG素子に入射される基本波レーザー光の波
長(λ)は、0.4〜1.6μmであることが好ましい。
その理由は、前記基本波レーザー光(λ)としては、
なるべく波長の短いものであることが有利であるが、半
導体レーザによって0.4μmより短い波長のレーザー光
を発生させることは、実質的に困難であるからであり、
一方、1.6μmより長い波長の基本波レーザー光を使用
した場合には、得られる第2高調波の波長が基本波レー
ザー光の1/2であることから、直接半導体レーザによっ
て比較的簡単に発生させることのできる波長領域であっ
てSHG素子を使用する優位性が見出せないからである。
前記基本波レーザー光の波長(λ)は、半導体レーザー
光源を比較的入手し易い0.6〜1.3μmが有利であり、な
かでも、0.68〜0.94μmが実用上好適である。
本発明のSHG素子の薄膜導波層の膜厚(T)は、0.1〜
20μmであることが好ましい。
その理由は、前記薄膜導波層の膜厚(T)が、0.1μ
mより薄い場合、基本波レーザ光を入射させることが困
難で、入射効率が低いため、実質的に高いSHG変換効率
が得られ難いからであり、一方20μmより厚い場合、光
パワー密度が低く、SHG変換効率が低くなってしまい、
いずれの場合もSHG素子として、使用することが困難で
あるからである。前記薄膜導波層の膜厚は、なかでも0.
5〜10μmが有利であり、特に、1〜8μmが実用上好
適である。
本発明における基板、薄膜導波層は各種光学材料を使
用することができ、薄膜導波層としては、例えば、LiNb
O3、α−石英、KTiOPO4(KTP)、β−BaB2O4(BBO)、K
B5O8・4H2O(KB5)、KH2PO4(KDP)、KD2PO4(KD
P)、NH4H2PO4(ADP)、C5H2AsO4(CDA)、C5D2AsO4
(CDA)、RbH2PO4(RDP)、RbH2AsO4(RDA)、BeSO4
・4H2O、LiClO4・3H2O、LiIO3、α−LiCdBO3、LiB3O
5(LBO)、尿素、ポリパラニトロアニリン(p−PN
A)、ポリジアセチレン(DCH)、4−(N,N−ジメチル
アミノ)−3−アセトアミドニトロベンゼン(DNA)、
4−ニトロベンズアルデヒド ヒドラジン(NBAH)、3
−メトキシ−4−ニトロベンズアルデヒド ヒドラジ
ン、2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)などが、
また基板としては、例えばLiTaO3、LiTaO3薄膜が形成さ
れたLiNbO3、SiO2、アルミナ、KTP、BBO、LBO、KDP、お
よび類似化合物、ソーダガラス、パイレックスガラス、
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などを使用することが
できる。
前記基板および薄膜導波層用の材料は、Na,Cr,Mg,Nd,
Ti,Vなどの異種元素を含有させることにより、その屈折
率を調整したものなどを使用することができる。
前記Na,Cr,Nd,Tiなどを含有させることにより、前記
薄膜導波層、基板の屈折率を上げることができ、また、
前記Mg,Vなどを含有させることにより、前記薄膜導波
層、基板の屈折率を下げることができる。
前記Na,Cr,Mg,Nd,Ti,Vなどの異種元素を含有させる方
法としては、予め、材料の原料と異種元素あるいは異種
元素化合物を混合しておき、液相エピタキシャル成長法
にて基板上に薄膜導波層を形成する方法あるいは、前記
基板あるいは薄膜導波層に、Na,Mg,Nd,Ti,Vなどの異種
元素を拡散させる拡散法を用いることが望ましい。
また本発明のSHG素子に適した組合せとしては、薄膜
導波層/基板が、2−メチル−4−ニトロアニリン(MN
A)/SiO2;2−メチル−4−ニトロアニリン(MNA)/ア
ルミナ;KTiOPO4(KTP)/アルミナ;β−BaB2O4(BBO)
/アルミナ;4−(N,N−ジメチルアミノ)−3−アセト
アミドニトロベンゼン(DNA)/SiO2;4−(N,N−ジメチ
ルアミノ)−3−アセトアミドニトロベンゼン(DNA)
/ポリメタクリル酸メチル(PMMA);LiB3O5(LBO)/BB
O;LBO/アルミナ;RbH2PO4(RDP)/KH2PO4(KDP);ポリ
パラニトロアニリン(p−PNA)/PMMAなどがある。
前記SHG素子に適した組合せとしては、なかでも基板
としてLiTaO3単結晶、あるいはLiTaO3単結晶薄膜が形成
されたLiNbO3単結晶に薄膜導波いとしてLiNbO3を用いる
組み合わせが好適である。
その理由は、前記LiNbO3は非線型光学定数が大きいこ
と、光の損失が小さいこと、均一な膜を作成できること
が挙げられ、また、LiTaO3は、前記LiNbO3と結晶構造が
類似しており、前記LiNbO3の薄膜を形成しやすく、ま
た、入手し易いからである。
前記基板としてLiTaO3単結晶薄膜が形成されたLiNbO3
単結晶基板を使用する場合、前記LiNbO3単結晶基板は、
光学グレードであることが望ましい。
前記光学グレードのLiNbO3単結晶基板とは、鉄などの
不純物の含有量2ppm以下、屈折率分布10-4/cm(局所屈
折率変動≦10-5)以下、原料純度99.999%以上のものを
指す。
前記LiNbO3単結晶基板が、光学グレードであることが
望ましい理由は、光学グレードのLiNbO3単結晶基板上に
LiTaO3単結晶薄膜を形成することにより、LiNbO3単結晶
基板の結晶性がLiTaO3単結晶薄膜に転写され、光学グレ
ードのLiTaO3単結晶薄膜を得ることができ、この光学グ
レードのLiTaO3単結晶薄膜上にLiNbO3単結晶を形成する
ことにより、前記LiTaO3単結晶薄膜の結晶性がLiNbO3
結晶に転写され、光の伝播性、電気光学効果、非線形光
学効果が特に優れた薄膜導波層が得られるからである。
また、前記LiTaO3単結晶薄膜の厚みは、0.2〜30μm
であることが望ましい。
この理由は、前記LiTaO3単結晶薄膜の厚みが0.2μm
より薄い場合、導波光が漏れてしまい、また、30μmよ
り厚い場合、結晶性が低下してしまうからである。
前記LiTaO3単結晶薄膜の厚みは、特に0.5〜10μmが
好ましく、1〜5μmが有利である。
本発明のSHG素子における、薄膜導波層と基板は、そ
れぞれ格子整合されていることが望ましい。
前記格子整合とは、薄膜導波層の格子定数を、基板の
格子定数の99.81〜100.07%とすることである。
このような格子整合が望ましい理由は、格子の歪みや
マイクロクラック等のない薄膜を形成できるからであ
る。
本発明においては、格子整合の方法は、特に限定され
ないが、LiTaO3基板(LiTaO3基板が形成されたLiNbO3
板も含む)、LiNbO3薄膜導波層からなるSHG素子につい
ては、LiNbO3薄膜導波層に異種元素を含有させ、格子定
数を大きくするか、逆にLiTaO3基板に異種元素を含有さ
せ、格子定数を小さくする方法が有利である。
前記LiNbO3薄膜導波層に含有させる異種元素は、Naと
Mgであることが望ましい。
この理由は、NaとMgの原子もしくはイオンは、LiNbO3
に対する置換あるいは固溶により、LiNbO3の格子定数を
大きくする効果を有しているため、NaとMgの組成を調整
することによりLiNbO3薄膜導波層とLiTaO3基板の格子整
合を得ることができるからである。
また、Mgは、薄膜の光損傷を防止する効果があり、高
効率のSHG出力を得るために有利である。
また、前記NaとMgの含有量は、それぞれLiNbO3に対し
て、0.1〜4.8モル%、0.8〜10.8モル%であることが望
ましい。
この理由は、Naの含有量が0.1モル%より少ない場
合、Mg添加量の添加量の如何に関わらず、LiNbO3薄膜と
LiTaO3基板との格子整合が得られず、また、4.8モル%
を越えた場合は逆に格子定数が大きくなりすぎ、いずれ
の場合にもLiNbO3薄膜とLiTaO3基板との格子整合が得ら
れないからである。
また、Mgの含有量が0.8モル%より少ない場合は、光
損傷を防止する効果が不十分であり、10.8モル%を越え
る場合は、LiMgO3系の結晶が析出してしまうため含有さ
せることができない。
また、前記LiTaO3基板に含有させる異種元素は、Tiで
あることが好ましい。
この理由は、TiはLiTaO3の格子定数を小さくする効果
を有するからである。
前記Tiの含有量は、5.0〜7.0mol%であることが望ま
しい。
この理由は、上記範囲を外れた場合、LiTaO3基板ある
いは薄膜導波層との格子整合が得られないからである。
さらに、前記LiTaO3基板の(0001)面にLiNbO3薄膜を
形成することが望ましい。
前記(0001)面とは、結晶のc軸に垂直な面を意味す
る。
前記LiTaO3基板の(0001)面がLiNbO3薄膜の成長面で
あれことが望ましい理由は、前記(0001)面は、a軸の
みで構成されるため、a軸の格子定数を変えるだけで、
LiNbO3薄膜と格子整合ができるからである。
また、前記LiTaO3基板上に形成されるLiNbO3薄膜の格
子定数(a軸)は、前記LiTaO3基板の格子定数(a軸)
の99.81〜100.07%が好ましく、99.92〜100.03%が好適
である。
この理由は、前記範囲を外れる場合、LiTaO3とLiNbO3
の格子定数を整合させ難いからである。
また、前記LiTaO3としてLiTaO3薄膜が形成されたLiNb
O3基板を使用する場合、前記LiTaO3薄膜とLiNbO3は格子
整合されていることが有利である。
また、本発明のSHG素子は、チャンネル型であること
が有利であり、また、その幅が1〜10μmであることが
有利である。
チャンネル型のSHG素子が有利である理由は、スラブ
型に比べて、光パワー密度を高くできるからであり、ま
た、幅が1〜10μmであることが有利である理由は幅が
1μmより小さいと、入射光を導波路に導入することが
難しく、入射効率が低いため、SHG変換効率も低くなっ
てしまうからであり、一方入射効率は幅が大きいほど高
いが、10μmより大きいと、光パワー密度が低下するた
め、SHG変換効率が低下するからである。
さらに前記チャンネル型SHG素子の幅は、2〜7μm
が好ましく、3〜6μmが最適である。
この理由は、チャンネルの幅を2μm以上とすること
でチャンネル側壁の影響を最小限にできるため、散乱を
抑制でき、また、7μm以下とすることで、SHG素子を
シングルモードに設計しやすいからである。
前記チャンネル型のSHG素子の内、特にリッジ(ridg
e)型SHG素子が好適である。
この理由は、埋め込み型に比べ作成が容易であり、装
荷型に比べ光の閉じ込めが極めて良く、リブ(rib)型
のように不要なスラブ部分を除去しなくてもよいため、
加工時間を短縮でき、また側面の形状も平滑にできるか
らである。
一般に、リッジ型とは、基板の上にスラブ型導波層が
形成され、前記スラブ型導波層の内、導波路パターン部
分(チャンネル部分)が、その他の部分より厚く形成さ
れてなる形態を指す。
前記スラブ型導波層の厚み/導波路パターン部分の厚
さ(即ち膜厚Tμm)は、1/11〜1/1.3が望ましい。こ
の理由は、スラブ型導波層の厚み/パターン部分の厚さ
が、上記範囲より大きい場合は、光を閉じ込めることが
難しく、また、上記範囲より小さい場合は、レーザ光を
導波させることが難しいからである。
前記スラブ型導波層の厚み/導波路パターン部分の厚
さは、1/4〜1/1.4であることが好ましい。
さらに、本発明のSHG素子は、基本波レーザ光の透過
率が100%もしくは100%近くであり、かつ、波長0.6μ
m〜基本波長未満までの光を全く透過させないか、もし
くは殆ど透過させない波長選択性の薄膜が入射端面に形
成されていることが望ましい。
この理由は、半導体レーザは一般に中心波長以外にも
周辺の波長の弱いレーザ光もしくは自然光を放出してお
り、この周波数の波長の光はSHG素子として用いる場合
には一般に不要だからである。
また、本発明のSHG素子は、薄膜導波層上にクラッド
層が形成されてなることが望ましい。
この理由は、前記クラッド層を薄膜導波層上に設ける
ことにより、基板、薄膜導波層、クラッド層が屈折率に
関して対称形に近くなるため、基本波レーザ光および、
第2高周波光の電界分布を対称形とすることができ、薄
膜導波層の膜厚が、理論位相整合膜厚に完全に一致して
いない場合でも、第2高周波光の出力低下を緩和できる
ことから、位相整合膜厚の許容範囲が広く、高変換効率
のSHG素子が得られるからである。
また、前記クラッド層は、保護層として働き、導波層
の破損や塵、埃の付着による光散乱を防止でき、端面研
磨で問題となる導波のカケ(ピッチング)を完全に防止
でき、素子作成の歩留りを著しく向上させることができ
る。
さらに、前記クラッド層は、関係式1)および2)を
満たすことが望ましい。
nOS1−0.50≦nOC1≦nOS1−0.05 …式1) nOS2−0.70≦neC2≦nes2−0.15 …式2) nSO1:基本波レーザ光波長(λμm)における基板の常
光屈折率 nOC1:基本波レーザ光波長(λμm)におけるクラッド
層の常光屈折率 nes2:第2高調波波長(λμm/2)における基板の異常光
屈折率 nec2:第2高調波波長(λμm/2)におけるクラッド層の
異常光屈折率 この理由は、前記クラッド層が、前記1)および2)
式を満足することにより、第2高調波光と基本波レーザ
光の電界分布重なりを最大限にでき、位相整合膜厚の許
容範囲が広く、高変換効率のSHG素子が得られるからで
ある。
特に、膜厚の位相整合誤差の許容範囲を拡張するため
には、式3)および4)を満たすことが好ましい。
nOS1−0.25≦nOC1≦nOS1−0.10 …式3) nes2−0.55≦noc2≦nes2−0.20 …式4) nSO1:基本波レーザ光波長(λμm)における基板の常
光屈折率 nOC1:基本波レーザ光波長(λμm)におけるクラッド
層の常光屈折率 nes2:第2高調波波長(λμm/2)における基板の異常光
屈折率 nec2:第2高調波波長(λμm/2)におけるクラッド層の
異常光屈折率 また、本発明のSHG素子のクラッド層の厚みは、0.2〜
30μmが望ましい。この理由は、0.2μmより薄い場合
は、導波光を閉じ込めることができず、また30μmより
厚い場合は、クラッド層の結晶性が低下して、光学的特
性が低下し、またクラッド層の形成に時間がかかり生産
性が低下するからである。
前記クラッド層は、0.5〜10μmが好ましく、1〜8
μmが好適である。
本発明におけるクラッド層は各種光学材料を使用する
ことができ、ZnO、MgO、Al2O3、PMMA、SiO2、パイレッ
クスガラス、ソーダガラスなどが使用でき、なかでもZn
Oが好適である。
また、本発明のSHG素子は基本波レーザー光の透過率
が100%もしくは100%近くになるように入射端面に反射
防止コーティング処理をほどこしたものが望ましい。
前記反射防止コーティングの材料としてはSiO2、Mg
O、ZnO、Al2O3等の酸化物、LiNbO3、LiTaO3、Y3Ga
5O12、Gd3Ga5O12等の複合酸化物、或はPMMA、MNA等の有
機物等を用いることができ、これらを重ねた多層薄膜も
用いることができる、作成方法としてはスパッタリング
法、液相エピタキシャル法、蒸着法、MBE(分子ビーム
エピタキシャル:Molecular Beam Epitaxial)法、MOCVD
(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法、イ
オンプレーティング法、LB法、スピンコート法、ディッ
プ法などが有利である。
本発明のSHG素子は、第2高調波光の透過率が100%も
しくは、100%近くで、基本波レーザ光を全く透過させ
ないかもしくは殆ど透過させない波長選択性の薄膜(フ
ィルター)あるいは、基本波レーザ光の偏光面と90゜の
角度を有する偏光面を持つ偏光板もしくは偏光膜が、光
の出射端面の後方もしくは、出射端面に直接形成されて
なることが望ましい。
この理由は、不要な基本波レーザ光を射出光から取り
除き、必要な第2高調波光のみを効率良く取り出すこと
ができるからである。
前記偏光板、偏光膜をフィルターとして使用できる理
由は、前記基本波レーザ光は、TEモードで導波路を伝播
し、また第2高調波光は、TMモードで導波路を伝播し、
前記TEモードとTMモードは偏光面が互いに90゜の角度を
有しているためであり、この性質を利用することによ
り、前記偏光板あるいは偏光膜により、基本波レーザ光
のみを選択的に取り除くことができる。
また、前記波長選択性の薄膜を、直接出射端面に形成
して第2高調波光に対する反射防止条件を満たすよう調
整することにより、ニオブ酸リチウム単結晶薄膜層と空
気との屈折率に大きな差があるために射出端面で生じて
いた反射による損失を低減でき、SHG出力を向上させる
ことができる。前記波長選択性の薄膜は、出射端面の後
方の射出端面から離れた位置に形成されてもよく、また
適当な接着剤を用いて出射端面上に固定されていてもよ
い。
前記接着剤を用いて出射端面上に固定する場合は、接
着層の屈折率、厚さを前記第2高調波光に対する反射防
止条件に適合するようにして、SHG出力を向上させるこ
とが望ましい。
前記波長選択性の薄膜としては、色ガラスフィルタ
ー、ガラス基板上に波長選択性の干渉膜をコーティング
したもの等を使用できる。
前記波長選択性の薄膜の材料としては、SiO2、MgO、Z
nO、Al2O3等の酸化物、LiNbO3、LiTaO3、Y3Ga5O12、Gd3
Ga5O12等の複合酸化物、あるいはPMMA、MNA等の有機物
等を用いることができ、これらを重ねた多層薄膜も用い
ることができる。
前記波長選択性の薄膜の作成方法としては、スパッタ
リング法、液相エピタキシャル法、蒸着法、MBE(分子
ビームエピタキシャル:Molecular Beam Epitaxial)
法、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Depositio
n)法、イオンプレーティング法、LB法、スピンコート
法、ディップ法などを用いることができる。
本発明のSHG素子は、レーザ光が、SHG素子の薄膜導波
層に入射されるように、半導体レーザのベアチップを接
合し、ワンチップ化しておくことが望ましい。
このような形態としては、チャンネル型SHG素子およ
び、ブロック上に固着された半導体レーザ素子からな
り、前記半導体レーザ素子の発光領域の端面(この端面
からレーザ光が発せられる)と前記チャンネル型SHG素
子のチャンネル部位の端面が互いに近接するよう、前記
ブロックと前記チャンネル型SHG素子の基板が結合され
た構造を有し、 前記チャンネル型SHG素子におけるチャンネル部位の
幅W、板が結合された構造を有し、 前記チャンネル型SHG素子におけるチャンネル部位の
幅W、厚みT、前記半導体レーザ素子の中心線と前記チ
ャンネル型SHG素子におけるチャンネル部位の中心線の
幅方向における変位ΔX、厚み方向の変位ΔZ、前記ベ
アチップの発光領域の端面と前記チャンネル型SHG素子
のチャンネル部位の端面の間の距離ΔYが、以下の範囲
を満たすことが望ましい。
−(W−2)μm/2≦ΔX≦(W−2)μm/2 0μm≦ΔY≦4μm −Tμm/2ΔZ≦Tμm/2 このような構造が望ましい理由は、レーザ光導波のた
めの煩雑な調整を行う必要がないため、取り扱いやすく
なるからである。
半導体レーザ素子の中心線とチャンネル部位の中心線
の幅方向における偏位ΔX、厚み方向の偏位ΔZ、前記
ベアチップの発光領域の端面と前記チャンネル型導波路
のチャンネル部位の端面の間の距離ΔYが、上記範囲を
満たすことが望ましい理由は、上記範囲内では50%以上
のレーザ光入射効率が得られ、実用的だからである。
ところで前記半導体レーザのベアチップの中心線と
は、半導体レーザの発光領域の端面(即ちこの端面から
レーザ光が発せられる)に垂直で、前記半導体レーザの
発光領域の幅と厚みを同時に二分する直線を指す。
また、前記チャンネル型導波路の中心線とは、チャン
ネル部位の端面に垂直で、前記チャンネル部位の幅と厚
みを同時に二分する直線である。
前記ΔX、ΔZは、正、負の値を取るが、前記半導体
レーザのベアチップの中心線とチャンネル型導波路にお
けるチャンネル部位の中心線が、完全に一致した状態を
ΔX=0、ΔZ=0として、特定の方向にずれた場合を
正とした場合に、該特定の方法とは反対方向にずれた場
合を負と定義している。
前記ΔYは、0であることが望ましいが、加工が困難
であること、また熱膨張を考慮すると、0.01μmを下限
とすることが好ましい。
前記チャンネル型SHG素子におけるチャンネル部位の
幅W、厚みT、前記半導体レーザ素子の中心線と前記チ
ャンネル型SHG素子におけるチャンネル部位の中心線の
幅方向における偏位ΔX、厚み方向の偏位ΔZ、前記ベ
アチップの発光領域の端面と前記チャンネル型SHG素子
のチャンネル部位の端面の間の距離ΔYが、以下の範囲
を満たすことが望ましく、 −(W−2)μm/3≦ΔX≦(W−2)μm/3 0.05μm≦ΔY≦2μm −Tμm/3ΔZ≦Tμm/3 また −(W−2)μm/4≦ΔX≦(W−2)μm/4 0.1μm≦ΔY≦0.5μm −Tμm/4ΔZ≦Tμm/4 が好適である。
前記チャンネル型SHG素子におけるチャンネル部位の
幅W、厚みTは、それぞれ、 1μm≦W≦15μm 0.2μm≦T≦6μm であることが望ましい。
この理由は、半導体レーザの発光部分の寸法は幅1〜
2μm、厚み0.1〜0.4μmが普通であるため、上記範囲
のチャンネル型導波路を用いることにより、さらに高い
入射効率が得られるからである。
また、前記チャンネル部位の幅W、厚みTは、それぞ
れ、 2μm≦W≦10μm 0.4μm≦T≦4μm を満たすことが好ましく、 4μm≦W≦7μm 1μm≦T≦2.5μm を満たすことが好適である。
前記ブロックは、シリコン製であることが望ましい。
これは、シリコンブロックは熱膨張率が半導体レーザ
ベアチップと近いため、熱サイクルに強く、また、化学
エッチングなどの加工処理しやすいからである。
前記ブロックと前記チャンネル型SHG素子は、接着剤
にて結合されていることが望ましい。
また、前記ブロックと前記チャンネル型SHG素子の基
板は固定板を介して結合されていてもよい。
また、前記半導体レーザのベアチップが接合されたSH
G素子は、パッケージの中に封入されていることが望ま
しい。
この理由は、パッケージの中に封入することにより、
機械衝撃に対する耐性を向上させることができ、また、
半導体レーザ素子の寿命を長くすることができたからで
ある。
前記パッケージには、第2高調波光をパッケージの外
へ出射するための窓が設けられていることが必要であ
る。
前記第2高調波光をパッケージの外へ出射するための
窓には、波長選択性のフィルターが設けられていること
が望ましい。
前記波長選択性のフィルターとは、基本波レーザ光を
全く透過させないか、もしくは殆ど透過させない波長選
択性の薄膜あるいは板を指す。
この理由は、機密封止したままで、不要な基本波レー
ザ光を出射光から取り除き、必要な第2高調波光のみを
効率良く取り出すことができるからである。
このため、通常の封止用窓ガラスの上部もしくは下部
に波長選択性フィルターを追加する場合に比べて、半導
体レーザ素子を保護したままで、プロセスの簡略化、コ
ストの低下、および第2高調波光の透過率の向上を図る
ことができる。
次に、本発明に係るSHG素子の製造方法について説明
する。
本発明のSHG素子の製造方法は、 基板上に薄膜導波層が形成された第2高周波発生素子
を製造するにあたり、 基板上に薄膜を形成した後、前記薄膜を、以下の関係
式(A)あるいは(B)のいずれかを満たすようドライ
エッチングすることにより、膜厚調整して前記薄膜を薄
膜導波層とすることが必要である。
ただし、 Tμm:薄膜導波層の膜厚、 λμm:基本波レーザー光波長、 nOS1:基本波レーザ光波長(λμm)における基板の常
光屈折率、 nOF1:基本波レーザ光波長(λμm)における薄膜導波
層の常光屈折率、 neS2:第2高調波波長(λμm/2)における基板の異常光
屈折率、 neF2:第2高調波波長(λμm/2)における薄膜導波層の
異常光屈折率、 上記式(A)中のN1は、 であり、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
その理由は、基板上に薄膜導波層が形成されたSHG素
子においては、前記関係式(A)あるいは(B)のいず
れかを満たす構造でないと第2高調波光への変換効率が
低く実用的でないからである。
本発明においては、前記膜厚調整をドライエッチング
にて行うことが必要である。
この理由は、前記ドライエッチングは、エッチング速
度の再現性がよく、1μm以下の精度でエッチングが可
能だからである。
前記ドライエッチングは、イオンビームエッチング、
プラズマエッチング、反応性イオンビームエッチングな
どがあるが、特にイオンビームエッチングが好適であ
る。
前記イオンビームエッチングは、その加工精度が、±
0.001μm程度と、極めて高精度で加工が可能であるた
め、薄膜導波層の厚みを所望の膜厚に調整するために
は、好適な加工方法である。
前記イオンビームエッチグは、エッチング速度を0.01
〜0.001μm/hrと小さくできるだけでなく、その再現性
が良く、均一なエッチング速度が得られ、また被加工材
料にダメージを殆ど与えないという優れた特性を有して
いる。
前記膜厚(Tμm)の加工精度は、特に±0.01〜±0.
05μm程度の大きさとすることが好ましく、このような
高い精度の加工が可能で且つ薄膜導波層の光学的性質を
損なわない加工法としては、イオンビームエッチングが
最適である。
また、前記ドライエッチングを行った後は、化学エッ
チングすることが好ましい。
この理由は、複合酸化物の材料をドライエッチングし
た場合、ドライエッチングで飛びやすい原子と飛びにく
い原子があるため、表面に原子レベルの凹凸が発生し、
これを化学エッチングにて除去できたからである。
前記薄膜は、基板上にスパッタリングや液相エピタキ
シャル成長法などの方法により形成することが望ましい
が、特に液相エピタキシャル成長法が好適である。
この理由は、液相エピタキシャル成長法で形成された
薄膜は、その結晶性が非常に優れているからである。
本発明の薄膜導波層は、チャンネル型であることが望
ましく、その幅は、1〜10μmが有利である。
この理由は、スラブ型に比べて、光パワー密度を高く
できるからであり、また、幅が1〜10μmであることが
有利である理由は、幅が1μmより小さい場合、入射光
を導波路に導入することが難しく、入射効率が率いた
め、SHG変換効率も低くなってしまうからであり、一方
入射効率は幅が大きいほど高いが、10μmより大きい
と、光パワー密度が低下するため、SHG変換効率が低下
するからである。
前記チャンネル型の導波路は、リッジ型が好適であ
る。
また、本発明におけるSHG素子の製造方法によって、
導波路構造を有するすべてのSHG素子を製造できるが、
特にチャンネル型のSHG素子を作成する方法としては、 1)基板上に薄膜を形成した後、該薄膜の膜厚調整を行
い、ついでエッチングマスクを形成し、ドライレッチン
グする方法、 2)エッチングマスクを形成した後、ドライエッチング
を行い、ついで前記エッチングマスクを除去し、再びイ
オンビームエッチングを行うことにより膜厚調整する方
法が有利である。
製造方法2)では、エッチングマスクを形成した後、
イオンビームエッチングを行うことにより、導波路パタ
ーンに段差を形成できるため、電子顕微鏡による測定か
ら膜厚と段差の比率をもとめ、前記段差を段差計にて実
測することにより、非常に高い精度で膜厚測定を行うこ
とができる。
このため、薄膜導波路の膜厚を所望の膜厚に近づける
ことができるため有利である。
従来、このような薄膜を直接、簡易に測定する測定器
はなく、電子顕微鏡のスケールによる測定が多かった
が、電子顕微鏡のスケールには誤差が含まれるため、正
確な測定は困難であった。
前記製造方法によれば、このような従来技術の問題を
解決することができる。
また、前記エッチングマスクとしては、樹脂薄膜、Ti
薄膜が有利であるが、特にTi薄膜が好ましい。
この理由は、Tiは通常のRTスパッタリングにより均一
で平滑な薄膜を容易に形成でき、薄膜の再現性もよく、
また通常のフォトリソグラフィー用レジストを侵食しな
い化学エッチング液で容易にエッチングでき、さらにド
ライエッチングによるエッチング速度が小さく、ドライ
エッチング用マスクとして安定に使用できるからであ
る。
また、前記Ti薄膜は、薄膜導波層上にフォトリソグラ
フィーとRFスパッタリングにより導波路パターンとして
形成されることが有利である。
例えば、薄膜導波層上に感光性のマスクを形成した
後、導波路パターン以外の部分を露光、現像し、Ti薄膜
をRFスパッタリングにて形成した後、前記感光性マスク
あを除去するか、あるいは、薄膜導波層上にTi薄膜をRF
スパッタリングにて形成した後、導波路パターンにそっ
てエッチングレジストを形成し、Ti薄膜をエッチングし
た後、エッチングレジストを除去することにより形成で
きる。
本発明においては基板上に薄膜を形成した後、該薄膜
を光学研磨することが望ましい。
前記光学研磨とは、薄膜の面精度(平坦度)を、入射
する光の波長の1/2以下になるまで研磨することであ
る。
薄膜を光学研磨することが望ましい理由は、光学研磨
により、形成した薄膜の表面状態が向上し、レーザ光の
散乱による損失が解消できるからである。
さらに、前記光学研磨した薄膜を膜厚制御する前に、
予めドライエッチングすることにより、所望の膜厚に近
付けておくことが望ましい。
この理由は、高い精度で膜厚測定する場合に必要な膜
厚と段差の比率をできる限り小さくし、膜厚測定の信頼
性を上げるためである。
また、本発明において、最も好適なSHG素子の製造方
法としては、基板上に形成された薄膜導波層の膜厚をド
ライエッチングにより、位相整合膜厚に対して96.3〜10
3.9(%)の範囲内の精度になるよう、調整するもので
ある。
前記薄膜導波層の膜厚が位相整合膜厚に対して96.3〜
103.9(%)の範囲内の精度に調整されてなることが必
要である理由は、前記範囲でのSHG変換効率が最も高い
からである。
前記薄膜導波層の膜厚は位相整合膜厚に対して98.2〜
102.0(%)であることが好ましく、99.2〜100.8(%)
であることが好適である。
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
尚、以下 式を式(I)という。
実施例1−1 基本波レーザ光波長(λ)を0.83μmとしたとき、基
本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が2.15
1、第2高調波波長における異常光屈折率(nes2)が2.2
61である厚さ0.5mmのXカツトLiTaO3単結晶基板上に、
液相エピタキシャル成長法により基本波レーザ光波長に
おける常光屈折率(nOF1)が2.270、第2高等波波長に
おける異常光屈折率(neF2)が2.263であるNd、Naをそ
れぞれ1mol%固溶させたLiNbO3単結晶薄膜を1.80μmの
厚さに成長させ、この薄膜をスラブ型導波路とする光回
路素子を作成した。このときの式(I)の値は59.6であ
った。両側の端面を鏡面研磨し該端面よりの光入出射を
可能としSHG素子とした。このSHG素子は、 {(λ+0.)N1/(λ3T)}=0.2の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.83μm、50mWの半導体
レーザを、Nd,Na固溶LiNbO3単結晶薄膜の光学軸(Z
軸)に対して90゜の入射角で入射した場合のSHG変換効
率を測定したところ18.8%であり、SHG変換効率が極め
て優れたSHG素子であることが認められた。
比較例1 前記実施例1−1と同様であるが、LiNbO3単結晶膜の
厚さを7.23μmとしたSHG素子を作成した。このときの
式(I)の値は59.6であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N1/(λ3T)}=0.05の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例1−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ1.4%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
比較例2 前記実施例1−1と同様であるが、LiNbO3単結晶膜の
厚さを0.24μmとしたSHG素子を作成した。このときの
式(I)の値は59.6であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N1/(λ3T)}=1.5の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例1−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ2.5%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
実施例1−2 前記実施例1−1で得られたSHG素子のた結晶薄膜上
にフォトレジスト膜により幅5.0μmのエッチングマス
クを形成し、次いでイオンビームエッチングしてチャン
ネル型のSHG素子を作成した。このときの式(I)の値
は59.6であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N1/(λ3T)}=0.2の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例1−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ30.0(チャンネル)であり、SHG
変換効率が極めて優れたSHG素子であることが認められ
た。
実施例2 基本波レーザ光波長(λ)を0.83μmとしたとき、基
本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が0.75
9、第2高調波波長における異常光屈折率(nes2)が1.7
79であるAl2O3単結晶基板に、RFスパッタ法により基本
波レーザ光波長における常光屈折率(nOF1)が2.253、
第2高等波波長における異常光屈折率(neF2)が2.249
であるLiNbO3単結晶薄膜を3.15μmの厚さに成長させ、
この薄膜をスラブ型導波路とする光回路素子を作成し
た。このときの式(I)の値は1.051であった。両側の
端面を鏡面研磨し該端面よりの光入出射を可能としSHG
素子とした。このSHG素子は、 {(λ+0.)N2/(λ3T)}=0.5の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.83μm、40mWの半導体
レーザを、LiNbO3単結晶薄膜の光学軸(Z軸)に対して
90゜の入射角で入射した場合のSHG変換効率を測定した
ところ12.2%であり、SHG変換効率が極めて優れたSHG素
子であることが認められた。
比較例3 (1)基本波レーザ光波長(λ)を0.83μmとしたとき
基本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が2.15
1、第2高調波波長における異常屈折率(nes2)が2.261
である厚さ0.5mmのZカツトLiTaO3単結晶基板上に、液
相エピタキシャル成長法により基本波レーザ光波長にお
ける常光屈折率(nOF1)が2.264、第2高調波における
異常光屈折率(neF2)が2.263であるLiNbO3単結晶薄膜
を成長させた後、表面を鏡面研磨し、このLiNbO3薄膜を
導波層とするスラブ型導波路を作成した。このとき式
(I)の値は56.5であった。
(2)前記スラブ型導波路の膜厚をスパッタエッチング
により、膜厚2.50μm±0.05μmに調整した。
(3)(2)で鰓得たスラブ型導波路の両端面をバフ研
磨により鏡面研磨して端面からの光入射を可能とし第2
高調波発生素子とした。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.43の場合に相当する。
このようにして得られた本発明の第2高調波発生素子
(SHG素子)を用い、波長0.83μm、50mWの半導体レー
ザをLiNbO3単結晶薄膜の光学軸(Z軸)に対して90゜の
入射角で入射した場合のSHG変換効率測定したところ5.6
%であり、SHG変換効率が極めて優れたSHG素子であるこ
とが認められた。
比較例4 前記実施例2と同様であるが、LiNbO3単結晶薄膜の厚
さを0.45μmとしたSHG素子を作成した。このときの式
(I)の値は1.051であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=3.5の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例2−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ1.7%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
比較例5 前記実施例2と同様であるが、LiNbO3単結晶薄膜の厚
さを8.74μmとしたSHG素子を作成した。このときの式
(I)の値は1.051であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.18の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例2−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ1.2%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
実施例3 基本波レーザ光波長(λ)を0.90μmとしたとき、基
本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が1.96
5、第2高調波波長における異常光屈折率(nes2)が1.9
79であるNdGG(Nd3Ga5O12)単結晶板に、RFスパッタ法
により基本波レーザ光波長における常光屈折率(nOF1
が2.250、第2高調波波長における異常光屈折率
(neF2)が2.225であるSBN25(Sr0.25Ba0.75Nb2O5)薄
膜を2.29μmの厚さに成長させ、この薄膜をスラブ型導
波路とする光回路素子を作成した。両側の端面を鏡面研
磨し該端面よりの光入出射を可能としSHG素子とした。
このときの式(I)の値は1.158であった。このSHG素子
は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.52の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.90μm、50mWの半導体
レーザを、SBN25薄膜の光学軸(Z軸)に対して0゜の
入射角で入射した場合のSHG変換効率を測定したところ1
7.8%であり、SHG変換効率が極めて優れたSHG素子であ
ることが認められた。
比較例6 前記実施例3と同様であるが、SBN25薄膜の厚さを0.3
0μmとしたSHG素子を作成した。このときの式(I)の
値は1.158であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=4.0の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例3−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ1.1%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
比較例7 前記実施例3と同様であるが、SBN25薄膜の厚さを3.9
5μmとしたSHG素子を作成した。このときの式(I)の
値は1.158であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.3の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例3−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ4.5%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
実施例4 基本波レーザ光波長(λ)を0.67μmとしたとき、基
本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が1.86
0、第2高調波波長における異常光屈折率(nes2)が1.8
22であるKTP(KTiOPO4)単結晶板に、液相エピタキシャ
ル成長法により基本波レーザ光波長における常光屈折率
(nOF1)が2.320、第2高調波波長における異常光屈折
率(neF2)が2.319であるKNbO3単結晶薄膜を4.10μmの
厚さに成長させ、この薄膜をスラブ型導波路とする光回
路素子を作成した。このときの式(I)の値は0.925で
あった。両側の端面を鏡面研磨し該端面よりの光入出射
を可能としSHGとした。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.67の場合に相当する。
このSHG素子について、入射角90゜で波長0.67μm、5
mWの半導体レーザを光源とした場合のSHG変換効率を測
定したところ13.8%であり、SHG変換効率が極めて優れ
たSHG素子であることが認められた。
比較例8 前記実施例4と同様であるが、KTP薄膜の厚さを0.69
μmとしたSHG素子を作成した。このときの式(I)の
値は0.925であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=4.0の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例3−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ1.1%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
比較例9 前記実施例4と同様であるが、KTP薄膜の厚さを9.18
μmとしたSHG素子を作成した。このときの式(I)の
値は0.925であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.3の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例3−1と同様にSHG変換
効率を測定したところ1.2%であり、SHG変換効率が充分
優れたSHG素子であることが認められた。
実施例5 基本波レーザ光波長(λ)を0.488μmとしたとき、
基本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が1.96
5、第2高調波波長における異常光屈折率(nes2)が1.9
79であるLBO(LiB3O5)基板に、RFスパッタ法により基
本波レーザ光波長における常光屈折率(nOF1)が2.26
2、第2高調波波長における異常光屈折率(neF2)が2.2
56であるBBO(β−BaBO4)薄膜を5.24μmの厚さに成長
させ、この薄膜をスラブ型導波路とする光回路素子を作
成した。このときの式(I)の値は1.072であった。両
側の端面を鏡面研磨し該端面よりの光入出射を可能とし
SHGとした。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.9の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.488μm、100mWのArレ
ーザを、BBO薄膜の光学軸(Z軸)に対して0℃の入射
角で入射した場合のSHG変換効率を測定したところ33.4
%であり、SHG変換効率が極めて優れたSHG素子であるこ
とが認められた。
比較例10 前記実施例5と同様であるが、BBO薄膜の厚さを1.18
μmとしたSHG素子を作成した。このときの式(I)の
値は1.072であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=4.0の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例5と同様にSHG変換効率
を測定したところ2.8%であり、SHG変換効率が充分優れ
たSHG素子であることが認められた。
比較例11 前記実施例5と同様であるが、BBO薄膜の厚さを15.73
μmとしたSHG素子を作成した。このときの式(I)の
値は1.072であった。このSHG素子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.3の場合に相当する。
このSHG素子について、実施例5と同様にSHG変換効率
を測定したところ2.2%であり、SHG変換効率が充分優れ
たSHG素子であることが認められた。
実施例6 (1)基本波レーザ光波長(λ)を0.83μmとしたと
き、基本波レーザ光波長における常光屈折率(nOS1)が
2.151、第2高調波波長における異常光屈折率(nes2
が2.261である厚さ0.5mmのXカットLiTaO3単結晶板上
に、液相エピタキシャル成長法により基本波レーザ光波
長における常光屈折率(nOF1)が2.270、第2高調波波
長における異常光屈折率(neF2)が2.263であるNd、Na
をそれぞれ1mol%固溶させたLiNbO3単結晶薄膜を成長さ
せた後、表面を鏡面研磨し、この薄膜を導波路とするス
ラブ型導波路を作成した。このときの式(I)の値は5
9.5であった。
(2)(1)で得たスラブ型導波路の膜厚をイオンビー
ムエッチングにより、膜厚2.30±0.03μmに調整した。
(3)前記(1)及び(2)で得たスラブ型導波路を実
施例6の(3)と同様の方法にて幅10μm、膜厚2.30±
0.03μm、段差1μmのリッジ型のチャンネル型導波路
を作成した。
(4)(1)で得られたチャンネル型導波路の両端面を
バフ研磨により鏡面研磨して端面からの光入出射を可能
とし第2高調波発生素子(SHG素子)とした。このSHG素
子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.16の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.82μm、40mWの半導体
レーザを単結晶薄膜の結晶軸(Z軸)に対して90゜の角
度で入射した場合のSHG変換効率を測定したところ25.6
%であり、非常に高い効果が得られた。
実施例7 (1)RFスパッタリング法により、厚さ0.5mmのYカッ
トLiTaO3単結晶基板上に厚さ1μmのV2O5薄膜を形成
し、熱拡散法によりLiTaO3単結晶表層にVを拡散させ
た。基本波レーザ光波長λを0.83μmとしたとき、V拡
散LiTaO3基板の常光屈折率(nOS1)は2.153、第2高調
波λ/2におけるV拡散LiTaO3基板の異常光屈折率
(nes2)が2.272となった。
この基板上に液相エピタキシャル成長法により、基本
波レーザ光波長λを0.83μmとしたとき常光屈折率(n
OF1)が2.281、第2高調波における異常光屈折率
(neF2)が2.276であるMg、Nd(それぞれ5mol%、2mol
%)固溶LiNbO3単結晶薄膜を成長させた後、表面を鏡面
研磨しこのMg、Nd固溶LiNbO3薄膜の導波層とするスラブ
型導波路を作成した。このときの式(I)の値は32であ
った。
(2)(1)で得たスラブ型導波路の膜厚をプラズマエ
ッチングにより、膜厚2.13±0.04μmに調整した。
(3)前記(1)及び(2)で得たスラブ型導波路上に
フォトリソグラフィーとRFスパッタリングによりTi導波
路パターンを形成し、これをエッチングマスタとしてプ
ラズマエッチングすることにより幅10μm、膜厚2.13±
0.04μm段差1μmのリッジ型のチャンネル型導波路を
作成した。
(4)(3)で得られたチャンネル型導波路の両端面を
バフ研磨により鏡面研磨して端面からの光入出射を可能
とし第2高調波発生素子(SHG素子)とした。このSHG素
子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.34の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.83μm、50mWの半導体
レーザを単結晶薄膜の結晶軸(Z軸)に対して90゜の角
度で入射した場合のSHG変換効率を測定したところ23.1
%であり、非常に高い効率が得られた。
実施例8 (1)実施例6で得られたチャンネル型導波路の上にRF
スパッタリング法により基本レーザ光波長における常光
屈折率(nOC1)が1.900、第2高調波における異常光屈
折率(nec2)が1.900である。ZnO薄膜を5μmの厚さに
形成して、ZnO薄膜をクラッド層とする三層構造のチャ
ンネル型導波路とした。
(2)(1)で得られたチャンネル型導波路の両端面を
バフ研磨とし第2高調波発生素子とした。
このようにして得られた本発明の第2高調波発生素子
(SHG素子)を用い、波長0.83μm、50mWの半導体レー
ザをLiNbO3単結晶薄膜膜の結晶軸(Z軸)に対して90゜
の角度で入射した場合のSHG変換効率測定したところ17.
3%であり、SHG変換効率が極めて優れてSHG素子である
ことが認められた。
実施例9 (1)厚さ0.5mmの光学グレードZカットのLiNbO3単結
晶基板の上にRFスパッタ法により膜厚5μmのLiTaO3
結晶薄膜を形成した。このようにして得られた基板の基
本波レーザ光波長λを0.83μmとしたときの常光屈折率
(nOS1)は2.1511、第2高調波λ/2における異常光屈折
率(nes2)は2.2511となつた。
(2)(1)で得られた基板上に液相エピタキシャル成
長法により基本波レーザ光波長λを0.83μmとしたとき
常光屈折率(nOF1)が2.281、第2高調波における異常
光屈折率(neF2)が2.276であるMg、Nd(それぞれ5mol
%、2mol%)固溶LiNbO3単結晶薄膜を成長させた後、表
面を鏡面研磨しこのMg、Nd固溶LiNbO3薄膜を導波層とす
るスラブ型導波路を作成した。このときの式(I)の値
は5.21であった。
(3)(2)で得たスラブ型導波路の膜厚をプラズマエ
ッチングにより、膜厚2.47±0.04μmに調整した。
(4)前記(2)及び(3)で得たスラブ型導波路上に
フォトリソグラフィーとRFスパッタリングによりTi導波
路パターンを形成し、これをエッチングマスクとしてプ
ラズマエッチングすることにより幅10μm、膜厚2.47±
0.04μm段差1μmのリッジ型のチャンネル型導波路を
作成した。
(5)(4)で得られたチャンネル型導波路の両端面を
バフ研磨により鏡面研磨して端面からの光入出射を可能
とし第2高調波発生素子(SHG素子)とした。このSHG素
子は、 {(λ+0.1)N2/(λ3T)}=0.13の場合に相当する。
このSHG素子について、波長0.83μm、50mWの半導体
レーザを単結晶薄膜の結晶軸(Z軸)に対して90゜の角
度で入射した場合のSHG変換効率を測定したところ29.2
%であり、非常に高い効果が得られた。
実施例10 (1)実施例6で得られたチャンネル型導波路からなる
SHG素子を、半導体レーザの発光領域とチャンネル型導
波路の一方の端面と向合わせて精密に位置合わせした
後、シリコンブロック上に半導体レーザチップとSHG素
子を紫外線硬化樹脂を用いて固定した。
さらに半導体レーザの上下面の電極にワイアをボンデ
ィングして、駆動電力を供給できるようにした。
(2)このようにして半導体レーザとSHG素子を一体化
した後、図1のように金属性の気密封止パッケージの中
に入れ、外部ピンとワイヤを電気的に接続して外部ピン
により動作電力を供給できるようにすると共に、波長選
択性のガラス窓を設けたキャップを被せて、内部を高純
度窒素ガス雰囲気で気密封止した。
このようにして本発明の第2高調波発生素子を用いて
作成した気密封止パッケージ型素子に半導体レーザから
の出力が48.0mWとなる動作電圧を加えた時、ガラス窓か
ら出射する第2高調波の出力は、4.6mW、また半導体レ
ーザの出力は、0.01mWとなり、第2高調波を効率良く取
り出すことができた。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明によれば、極めて高いSHG
変換効率を有する薄膜導波路構造のSHG素子を提供する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例10で得られた気密封止パッケージ素子の
概略図である。 第2図はリッジ型SHG素子の概略図である。 1……波長選択フィルター 2……封止キャップ 3……SHGデバイス 4……固定ベース 5……半導体レーザチップ 6……ヒートシンク 7……マウント 8……リードピン 9……膜厚(導波路パターンの厚み:Tμm) 10……導波路パターンに設けられた段差 11……基板 12……スラブ型導波層の厚み(膜厚からの段差を引いた
厚み)

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に薄膜導波層が形成されてなる第2
    高調波発生素子であって、基本波レーザー光波長(λμ
    m)、薄膜導波層の膜厚(Tμm)、基本波レーザー光
    波長(λμm)における基板の常屈折率(nSO1)、基本
    波レーザー光波長(λμm)における薄膜導波層の常光
    屈折率(nOF1)、第2高調波波長(λμm/2)における
    基板の異常光屈折率(neS2)および第2高調波波長(λ
    μm/2)における薄膜導波層の異常光屈折率(neF2
    が、 のいずれかの関係式で表されることを特徴とする第2高
    調波発生素子。 ただし、上記式(A)中のN1は、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
  2. 【請求項2】前記薄膜導波層の光学軸(Z軸)に対する
    基本波レーザー光の入射角(θ)が0±15゜あるいは90
    ±15゜である請求項1記載の第2高調波発生素子。
  3. 【請求項3】基板上に薄膜導波層が形成されてなる第2
    高調波発生素子であって、 前記薄膜導波層は、基板上に形成された薄膜が以下の関
    係式(A)あるいは(B)を満たすようにドライエッチ
    ングにより膜厚調整されたものであることを特徴とする
    第2高調波発生素子。 ただし、 Tμm:薄膜導波層の膜厚、 λμm:基本波レーザー光波長 nOS1:基本波レーザー光波長(λμm)における基板の
    常光屈折率、 nOF1:基本波レーザー光波長(λμm)における薄膜導
    波層の常光屈折率、 neS2:第2高調波波長(λμm/2)における基板の異常光
    屈折率、 neF2:第2高調波波長(λμm/2)における薄膜導波層の
    異常光屈折率、 上記式(A)中のN1は、 であり、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
  4. 【請求項4】前記薄膜導波層の光学軸(Z軸)に対する
    基本波レーザー光の入射角(θ)が0±15゜あるいは90
    ±15゜である請求項3記載の第2高調波発生素子。
  5. 【請求項5】前記ドライエッチングは、イオンビームエ
    ッチングである請求項3に記載の第2高調波発生素子。
  6. 【請求項6】前記ドライエッチングは、プラズマエッチ
    ング、反応性イオンビームエッチング、スパッタエッチ
    ングから選ばれる請求項3に記載の第2高調波発生素
    子。
  7. 【請求項7】前記薄膜導波層は、チャンネル型導波層で
    ある請求項3に記載の第2高調波発生素子。
  8. 【請求項8】前記チャンネル型導波層はリッジ型である
    請求項7に記載の第2高調波発生素子。
  9. 【請求項9】基板上に薄膜導波層が形成された第2高調
    波発生素子を製造するにあたり、 基板上に薄膜を形成した後、前記薄膜をドライエッチン
    グすることにより、以下の関係式(A)あるいは(B)
    のいずれかを満たすように膜厚調整して前記薄膜を薄膜
    導波層とすることを特徴とする第2高調波発生素子の製
    造方法。 ただし、 Tμm:薄膜導波層の膜厚、 λμm:基本波レーザー光波長 nOS1:基本波レーザー光波長(λμm)における基板の
    常光屈折率、 nOF1:基本波レーザー光波長(λμm)における薄膜導
    波層の常光屈折率、 neS2:第2高調波波長(λμm/2)における基板の異常光
    屈折率、 neF2:第2高調波波長(λμm/2)における薄膜導波層の
    異常光屈折率、 上記式(A)中のN1は、 であり、 また、上記式(B)中のN2は、 である。
  10. 【請求項10】前記基板上に形成された薄膜にエッチン
    グマスクを形成した後、ドライエッチングを行い、つい
    でエッチングマスクを除去することにより薄膜導波層に
    段差を形成する請求項9に記載の第2高調波発生素子の
    製造方法。
  11. 【請求項11】前記エッチングマスクは、Ti薄膜である
    請求項10に記載の第2高調波発生素子の製造方法。
  12. 【請求項12】前記ドライエッチングは、イオンビーム
    エッチングである請求項9に記載の第2高調波発生素子
    の製造方法。
  13. 【請求項13】前記ドライエッチングは、プラズマエッ
    チング、反応性イオンビームエッチング、スパッタエッ
    チング、から選ばれる請求項9に記載の第2高調波発生
    素子の製造方法。
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