JP3086239B2 - プロトン交換光導波路とその製造方法及びこの導波路を用いた光偏向器 - Google Patents

プロトン交換光導波路とその製造方法及びこの導波路を用いた光偏向器

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JP3086239B2
JP3086239B2 JP02228172A JP22817290A JP3086239B2 JP 3086239 B2 JP3086239 B2 JP 3086239B2 JP 02228172 A JP02228172 A JP 02228172A JP 22817290 A JP22817290 A JP 22817290A JP 3086239 B2 JP3086239 B2 JP 3086239B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、導波型光学素子用の光導波路およびその製
造方法と、上記光導波路を用いた光偏向装置、光集積ヘ
ッドおよび光情報記録再生装置等の応用装置に関するも
のである。
〔従来の技術〕
光導波路を用いた電気光学素子や音響光学素子等が、
従来、光偏向器およびそれを用いた集積化光ヘッド(光
集積ヘッドともいう)、光変調器、光スイッチ、光スペ
クトラムアナライザ等に用いられている。
上記光学素子を形成するための基板として、圧電性、
光弾性、電気光学効果にすぐれた材料として、ニオブ酸
リチウム、タンタル酸リチウムもしくはこれら両者の混
晶系、これらを一般式で表すと一般式 LiNb1-yTayO3ただし、0≦y≦1 の単結晶基板が広く用いられている。
さらに最近は、光学損傷に強い基板として前記3者の
いずれかにMgをドープした基板、すなわち一般式 LixNbyTa1-yMgzO3(0≦x,y,z≦1) が用いられている。
例えば光偏向器の場合は、従来、特開昭60−156015公
報に記載された第2図のように、光軸と垂直な方向に弾
性表面波(SAW)24を伝搬させ、導波光25を光軸から左
右に偏向させるものが主流であった。ところが、最近は
第3図に示すように、アイ・イー・イー・イーのインテ
グレーテッド・ガイデッド・ウェーブ・オプティクスの
プロシーディングペーパーTuAA4−1(1989)(IEEE.In
tegrated Guided Wave Optics paper TuAA4−1(198
9))の第138頁から第141頁に記載されているように、
弾性表面波を光軸33方向に伝搬させて導波光を基板31の
方向に回折させるとともに、その射出角を弾性表面波励
振用の電極34へ印加する交流電圧の周波数により変化さ
せる、新しい方式のものが提案された。
〔発明が解決しようとする課題〕
上記従来技術では基板としてYcutのLiNbO3を用いてお
り、さらに光導波路を、まずチタン(Ti)を高温で熱拡
散させたのち、上記基板を安息香酸(C6H5COOH)やピロ
リン酸(H4P2O7)等の弱酸およびその弱酸のリチウム塩
混合物中で低温熱処理し、基板表面近傍のリチウムイオ
ン(Li+)の一部を弱酸中のプロトン(H+)と置換する
プロトン交換法といわれる方法で作製している。上記方
法では、 (1)Tiという遷移金属が注入されるため、光学損傷の
しきい値が低い。
(2)プロトン交換処理を行うため、LiNbO3結晶固有の
圧電効果、電気光学効果および音響光学効果が大きく低
下し、光偏向効率が小さい。
という問題点がある。このため、上記従来技術では光導
波路を第3図に示すようにチャネル化し、導波光と弾性
表面波との相互作用により効率を高める工夫がされてい
るが、チャネル幅40μmに対し導波路の厚さが数μmと
小さいため、射出光に大きな収差を生じ、光ヘッド等の
精密光学系には適用できないという問題があった。
本発明は、電気光学効果、圧電効果、光弾性効果にす
ぐれた弾性表面波と導波光との相互作用が大きく改良さ
れた高効率光導波路とその製造方法を得て、これによる
光導波路を用いた光偏向器を実現することを目的とす
る。
〔課題を解決するための手段〕
上記の電気光学効果、圧電効果、光弾性効果にすぐれ
た弾性表面波と導波光との相互作用が大きく改良された
光導波路は、 (1)下記の一般式で表せるニオブ酸リチウム、タンタ
ル酸リチウム、もしくはこれら両者の混晶系 一般式LiNb1-yTayO3ただし、0≦y≦1ないし、これ
らにマグネシウムが添加された一般式LixMgzNb1-yTa
yO3、ただし0≦x,y,z≦1からなる単結晶基板の表層部
に、基板内のリチウムイオンLi+の一部がプロトンH+
イオン交換して形成された基板より屈折率が高い変性層
を、光導波層として有するプロトン交換光導波路におい
て、上記基板の屈折率nsと光導波層の屈折率nとの差を
Δn(=n−ns)とし、上記光導波層の表面からの深さ
をx1としたとき、上記光導波層の屈折率nがその表面か
ら深さx1方向に連続的に漸次減少し、上記基板との界面
において実質的にΔn=0を満足する屈折率分布を有
し、表面におけるΔn=Δn0が0.035より大きく、かつ
Δnが上記波長においてΔn0の1/3となる深さaミクロ
ン(μm)が、不等式Δn0≦0.015a+0.005を満たすプ
ロトン交換光導波路によって達成される。ここで、深さ
aミクロンにかかる係数0.015は(1/μm)の単位を有
するものである。
(2)上記光導波層における表面から深さ方向yのプロ
トンH+によるリチウムイオンLi+のイオン交換濃度プロ
ファイルが、誤差関数的に変化し、その表面から深さy
方向に上記イオン交換濃度が連続的に漸次減少した濃度
分布を有する上記(1)記載のプロトン交換光導波路に
よって達成できる。
(3)上記変成層からなる光導波層の結晶格子定数d′
と上記単結晶基板の結晶格子定数dとの差Δd=d′−
dが、上記光導波層における表面から深さ方向yに誤差
関数的に変化し、表面から深さy方向に、上記Δdが連
続的に漸次減少した結晶格子定数分布を有する上記
(1)記載のプロトン交換光導波路によって達成され
る。
また、上記光導波路の製造方法としては、 (4)弱酸と弱酸のリチウム塩との混合溶液中で、下記
の一般式で表せるニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウ
ム、もしくはこれら両者の混晶系 一般式LiNb1-yTayO3ただし、0≦y≦1ないし、これ
らにマグネシウムを添加した一般式LixMgzNbyTa1-yO3
(0≦x,y,z≦1)からなる単結晶基板を熱処理して、
その表層部のリチウムイオンLi+の一部をプロトンH+
イオン交換して、基板より屈折率が高い変性層を光導波
層として形成するプロトン交換光導波路の製造方法にお
いて、上記弱酸として解離度10-3以下の有機酸とその酸
のリチウム塩との混合溶液を用いて加熱処理し、上記単
結晶基板表層部のリチウムイオンLi+の一部をプロトンH
+でイオン交換し、ついで、上記単結晶基板を大気中あ
るいは酸素雰囲気中で、375℃〜400℃で少なくともt≧
2T2(時間)以上熱処理することにより、上記イオン交
換処理により基板中に注入されたプロトンH+を上記基板
中へ熱拡散して、上記基板の屈折率nsと光導波層の屈折
率nとの差をΔn(=n−ns)とし、上記光導波層の表
面からの深さをx1ミクロンとしたとき、上記光導波層の
屈折率nがその表面から深さx1方向に連続的に漸次減少
し、上記基板との界面において実質的にΔn=0を満足
し、表面におけるΔn=Δn0が0.035より大きく、か
つ、ΔnがΔn0の1/3となる深さy0μmが3μm以上で
あるプロトン交換光導波路の製造方法によって達成され
る。なお、上記弱酸としては解離度10-5以下の有機酸が
より好ましい。
さらにまた、上記光導波路を用いた光偏向装置は、 (5)光学基板上に光導波路が形成された上記(1)か
ら(3)までのいずれかに記載した光導波路と、上記光
導波路の外部から光導波路内へ光を結合する手段と、上
記光導波路内を伝搬する導波光を基板外へ射出させ、か
つ、上記射出光が基板表面となす角を変化させる機能を
もつ弾性表面波を励振する電極とからなる光偏向器によ
って達成される。また、 (6)上記光導波路内に光を結合する手段と、上記光導
波路から伝搬する導波光を基板外へ射出させ、かつ、射
出光が基板表面となす角を変化させる機能をもつ弾性表
面波を励振する電極とからなる、上記(5)記載の光偏
向装置によって達成される。
〔作用〕
本発明はつぎに示すような作用で、電気光学効果、光
弾性効果、圧電効果にすぐれ、弾性表面波と導波光の相
互作用が大きい光導波路ならびに光偏向器を得ることが
可能になる。
以下、結晶基板としてはLiNbO3を代表例として説明す
る。
LiNbO3は三方晶系の一軸性結晶であり、その異方軸を
Z軸とし、六方晶表示で(20)方向をx軸、x軸
とz軸に垂直で右手系を構成するようにy軸をとる。今
後、テンソル表示が便利と考え、x軸をx1軸、y軸をx2
軸、z軸をx3軸と書く。この直交座標系に対し、誘電率
テンソルは対角成分だけゼロでなく、 と書くことができる。(ただしε11=ε22)。誘電率テ
ンソルの逆テンソルを 〔B〕=〔ε〕-1 (2) と定義すると、上記の座標系に対し となる。
LiNbO3に歪み〔S〕や静電場が加わるとテンソル
〔B〕に変化が生じる。これを〔ΔB〕と書くと、光弾
性効果は ただし、Pijklは光弾性テンソル、ulは媒質の変位と書
け、電気光学効果は ただし、rijkは電気光学テンソルと書ける。この両者が
存在する場合には となる。
さて、LiNbO3基板に例えば交差型電極(Inter−Digit
al Transducer:IDTと以下略称する)を用いて弾性表面
波(SAW)を発生させ、その表面を伝搬させた場合を考
える。弾性表面波は歪みが波となって基板表面を伝搬す
るものであるから、歪み〔S〕を伴う。また、歪み
〔S〕により電圧場が発生する。したがって、SAW
により(7)式で示されるΔBijが誘起される。
特に第4図に示すようにx1軸に垂直に切断した基板1
(Xcut基板)を用いる場合を考える。IDT2はx2軸と垂直
な方向に配置され、SAWは−x2方向に伝搬する。光導波
路4にTE波(x3軸方向に偏向した光波)を導波させる。
伝搬するSAWによりテンソル〔ΔB〕の非対角成分が生
じる。これを具体的に書き下すと次式になる。
このような〔ΔB〕の非対角成分が生じると、上記TE
波とこれに垂直な方向(x1軸方向)に偏光したTM波との
間に、モード結合が生じる。特にTM波が放射モードとな
るように屈折率が調整されている場合は、基板外に光を
取り出すことができる。射出光の出射角度θはSAWの波
長Λで決まる。すなわち、 ここで、 N:導波TEモードの実効屈折率、m:整数、n0:LiNbO3の常
屈折率である。
SAWの波長はIDTに印加する高周波電圧の周波数により
変化できるため、高周波電圧の周波数によって射出角
θ、すなわち光の方向が制御でき、光偏向器として動作
する。上記光偏向器の効率ηは近似的に次式で表され
る。
ここで、LはSAWの伝搬長であり、αは放射損失係数
と呼ばれる定数であり、次式で表される。
ここで、ne:LiNbO3の異常屈折率、ω:光の角周波
数、P:導波光パワー、E1(x1):TM放射モードの電場分
布、E3(x1):TE導波モードの電場分布である。上記(1
0),(11),(12)式より明らかなように、大きなη
を得るためにはα、すなわちCを大きくする必要があ
る。大きなCを得るためには、(12)式より(12)式の
積分(以下、これを重なり積分と呼ぶ)の値を大きくす
る必要がある。そのためには E1(x1),E3(x1)の重なりを大きくすること 大きなΔBijの値 が必要である。
を実現するためには導波路構造の最適化を行う必要
がある。例えば小野寺らの文献(電子通信学会論文誌、
Vol.J64−C,NO.4,pp288〜294(1981))によれば、大き
なαを得るためには、異方性の物質(常屈折率n01と異
常屈折率ne1をもつ)基板上に、やはり異方性物質(常
屈折率n02と異常屈折率ne2をもつ)薄膜が形成された光
導波路において、n01とne1およびn02とne2の大小関係が
それぞれ反対であればよいということが知られている。
例えばn01>ne1ならばn02<ne2であって、かつ、光導波
路構造となるためには、n01<n02またはne1<ne2が満た
されねばならない。これは、上記のような光導波路構造
においては、電場E3(x1)とE1(x1)との重なりを大き
くできるからである。
最近、プロトン交換法を用いて作製した光導波路で
は、LiNbO3基板とプロトン交換層のneとn0の分散関係が
反対であることが発見された。プロトン交換LiNbO3光導
波路は、きわめて容易に、かつ安価に光導波路が作製で
きるため、前記アイ・イー・イー・イーに記されたHink
ovの文献に示される第3図のような光偏向器が作製可能
になったのである。
しかし、LiNbO3にプロトン交換を行うと、光弾性係数
Pijklや電気光学係数rijkがきわめて小さくなることが
知られている。例えば、胡らの文献(電子情報通信学会
技術報告OQE86−119,pp.15〜22)によれば、r333はプロ
トン交換後交換前の約1/15になるとされている。このた
め、上記条件が満足されてもΔB13が小さくなるた
め、条件が満足されないという問題があった。
本発明では従来第5図(a)に示すようであった屈折
率分布を第5図(b)のようにすることにより、電気光
学係数rijkおよび光弾性係数Pijklの低下を抑止して、
条件を満足させるとともに、波長λ=633nmの光に対
する表面の異常屈折率Δnの変化量Δn0を0.035より大
きく、かつ、ΔnがΔn0の1/3になる深さaを所定の不
等式を満たすようにすることにより、の条件も満足さ
せることを可能にした。
第6図にΔn0の値をパラメータにしたaと で定義されるIoverlapの値の関係を示した。第6図よ
り、Δn0が大きい程、あるいはaが小さい程Ioverlap
値が大きいことが判る。しかし、aを小さくしすぎると
ΔB13の値が急速に低下するため、(12)式のCの値が
小さくなる。バルク値に近いΔB13を得るためには、第
6図の破線の右下の部分にaとΔn0の値が入るように光
導波路を作製する必要がある。従って、大きなIoverlap
と大きなΔB13の値を得るためには、Δn0とaがΔn0
0.035かつΔn0≦0.015a+0.005を満足するように光導波
路を作製すれば、大きな光偏向効率ηをもつ光偏向器を
構成することができる。
〔実施例〕
つぎに本発明の実施例を図面とともに説明する。第1
図は本発明による光偏向器の一実施例を示す斜視図、第
2図は従来のBragg型光偏向器の斜視図、第3図は従来
のコリニア型光偏向器の斜視図、第4図は光偏向器の原
理を説明する図で、(a)は平面図、(b)は断面図、
第5図は光導波路屈折率分布を示す図で、(a)は従来
のものを示す図、(b)は本発明によるものを示す図、
第6図は拡散深さa、表面屈折率変化量Δn0と重なり積
分Ioverlapの関係を示す図、第7図は光導波路の屈折率
分布を示す図で、(a)は熱処理前を示す図、(b)は
熱処理後を示す図、第8図は第1図に示す光偏向器を搭
載した光集積ヘッドの構成を示す図、第9図は上記光集
積ヘッドの製造プロセス工程図、第10図は上記光集積ヘ
ッドに搭載する収差補正用回折格子の製造プロセス工程
図、第11図は上記第8図に示す光集積ヘッドを搭載した
光情報・記憶再生装置の構成図である。
第1実施例 第1図は本発明に基づき製造した光導波路上に作製さ
れた弾性表面波(SAW)を用いた光偏向器の一構成例を
示すものである。第1図において、1はX cut LiNbO3
結晶基板、2はプロトン交換光導波層、3は導波光、4
はSAW、5はSAW励振用IDT、6は射出光、7はSAW励振用
の高周波電源、8は集光レンズ、9は光の偏向走査方
向、10は弾性表面波の吸収材を表す。
つぎに光導波層2の構成ならびにその製造方法を記載
するが、製造方法についてはプロトン交換法による第1
の製造段階と、その後の熱処理を含む第2の製造段階と
に分けて説明する。
(1)プロトン交換法による第1の製造段階: まず、LiNbO3単結晶のx軸に直交してカットした、い
わゆるx cutのLiNbO3ウェーハを準備し、その一面を使
用レーザ光波長λの1/10程度まで研磨し基板とする。な
お、上記結晶基板の遷移金属不純物濃度はできるかぎり
小さいことが望ましい。現在市販されている高純度のLi
NbO3基板ではFeの濃度が0.05ppm程度であり、この高純
度LiNbO3基板を用いれば、光学損傷のしきい値が約1桁
上がることを確認している。上記基板1を光学研磨後、
トリクロロエチレン、イソプロピルアルコール、エタノ
ール、純水中で超音波洗浄を行い、ついで窒素ブローし
て乾燥させた。
つぎに、上記基板1に対し、つぎに記すようなプロト
ン交換処理を行った。プロトン交換処理は、石英製の容
器内に入れて行った。プロトン交換源の弱酸としては、
安息香酸をはじめとするカルボン酸と、ピロリン酸等の
リン酸がある。本実施例においては、解離定数6×10-5
の安息香酸と安息香酸リチウムとの混合物を用いた。な
お、上記混合率Mは次式で定義され、本実施例ではM=
1とした。
つまり、石英容器中へ前記基板とともに安息香酸リチ
ウムを1.92g、安息香酸を181.35gいれて十分混合し、23
5℃で15分間熱処理した。上記熱処理後、石英容器中か
ら取出した基板をエタノールおよび純水で超音波洗浄し
た。このようにしてLiNbO3基板1の表面層にプロトン交
換法による厚さ0.9μmの光導波路2を形成した。この
ようにして得られた光導波路の光学特性を調べるため、
ルチルプリズムで波長λ=633nmのHe−Neレーザ光を光
導波路2内のy軸方向へ伝搬させたところ、上記光導波
路にはTE0,TE1の2つのモードが励振され、導波光の実
効屈折率はそれぞれ2.2886および2.2251であった。ま
た、光伝搬損失を通常の2プリズム法で調べた結果、TE
0モードのそれは3dB/cmであり、同じ波長のレーザ光に
よる光学損傷のしきい値は約750W/cm2であった。
また、光導波路に注入されたプロトンの濃度プロファ
イルを調べるためSIMS(Secondary Ion Mass Spectrosc
opy)によって分析を行った結果、深さ0.9μmの付近で
プロトン濃度がステップ型に変化していることが判っ
た。したがって、この段階での光導波路の屈折率分布を
周知の逆WKB法によって推定すると、第7図(a)に示
すようになり、注入プロトンの濃度プロファイルと屈折
率のプロファイルはよい一致を示す。
つぎに、上記プロトン交換処理を施して基板表層部に
形成した光導波路2上に、弾性表面励振用のIDT5を形成
し、光偏向器を作製するとともにその評価を行った。な
お、本実施例のx cut LiNbO3のx2軸方向(導波光の進行
方向)の弾性表面波速度は3696m/secであり、IDT5のピ
ッチΛ=16.8μmである。また、IDTの幅は4.3mmであ
り、SAWの伝搬長は20mmである。このとき、中心周波数
=220MHzであり、回折次数mは+1次を利用し、
出射角θは6度、偏向角は空気中で4.5mradである。
得られた光偏向器の電気−音響変換特性を調べるた
め、ネットワークアナライザを用いて放射コンダクタン
スを測定し、実効的な電気機械結合係数Kを測定し、プ
ロトン交換処理を行わないバルク基板上に作製したもの
と比較した。測定の結果、実効的なKの値は、本実施例
のプロトン交換光導波路に作製した弾性表面波励振用電
極の場合、比較例のバルク基板上に作製したものの約20
%であった。
さらに、光導波路中にλ=633nmのHe−Neレーザ光を
プリズムカップラによって結合し、TE1波を励振して光
偏向器の特性を調べた。中心周波数における光偏向効率
ηは僅か0.1%であった。これは光導波層における電気
光学係数rijkおよび光弾性係数Pijklが非常に小さく、
(12)式のCの値が非常に小さくなるためである。
(2)プロトン交換後における熱処理工程を含む第2の
製造段階: つぎに上記第1の製造段階でプロトン交換処理した基
板を熱拡散炉に入れ、大気中400℃で65分間熱処理した
のち急冷した。
このようにして製造した光導波路の特性を調べるた
め、再び上記(1)と同様に、ルチルプリズムで波長λ
=633nmのHe−Neレーザ光を導波路内に導き、y軸方向
へ伝搬させた。導波路には3本のTEモードが励振され、
TE0モードの実効屈折率は2.2291となり、逆WKB法によっ
て光導波層の深さ方向の屈折率分布を推定すると、第5
図(b)のようになり、誤差関数形状のプロファイルと
なった。第5図(b)から明らかなように、屈折率はそ
の表面で高く光導波層の深さ方向に行くにしたがい連続
的に漸次減少し、滑らかな減衰曲線分布をたどり、基板
との界面では実質的に基板の屈折率に近づいている。
また、2プリズム法によりTE0モードの光伝搬損失α
を測定した結果、α=0.3dB/cmというTi拡散光導波路と
同等の値が得られ、熱処理前の上記第1の製造段階での
3dB/cmに比べ飛躍的に改善された。
また、上記(1)の第1の製造段階において実施した
ように、光偏向器の特性を調べるため、光導波路上に弾
性表面波励振用のくし形電極を作成し、ネットワークア
ナライザを用いてZ方向の弾性表面波の実効的な電気機
械結合係数Kを測定したところ、プロトン交換処理を行
わないバルク基板上に作製した比較例の約95%の値であ
り、熱処理前の場合の約20%に比べ飛躍的に向上した。
さらにまた、同じ波長のレーザ光によるTE0モードの光
学損傷のしきい値は約600W/cm2であり、熱処理前の値75
0W/cm2に比べ若干減少したものの良好な特性値が得られ
た。
さらに、注入プロトンの光導波層の深さy方向の濃度
分布が熱処理によりどのように変化するかを調べるた
め、SIMSで分析したところ、その濃度分布は誤差関数型
となり、第5図(b)の屈折率分布曲線とよい一致を示
した。
また、上記光偏向器の光偏向効率を調べるため、波長
λ=0.633μmのHe−Neレーザ光をプリズムカップラを
用いて上記熱処理により得られたプロトン交換光導波層
2内へ導き、y軸方向へ伝搬させ、z軸方向へ伝搬する
弾性表面波用電極5へ0〜1Wの電力を投入して光偏向効
率を測定した。この測定により、電力0.5Wで60%の回折
効率を得た。この値は前記文献の80%には若干劣るもの
の、前記文献のIDT幅が40μmであるのに対して、本実
施例では4.3mmと約100倍であり、弾性表面波の密度が1/
100であるから、実質的な効率は前記文献の光偏向器の
約75倍である。
このように、上記(1)の方法で製造された光偏向器
に比べ、本実施例の光偏向器がきわめて高い光偏向効率
を有する理由は、上記熱処理により電気光学係数rijk
光弾性係数PijklがバルクLiNbO3並に回復し、大きなΔB
13の値が得られたためである。
なお、上記熱処理工程を含む第2の製造段階におい
て、熱処理条件は熱処理前のプロトン交換層の厚さT
(μm)と深い関係があることが判った。すなわち、上
記条件 Δn0≧0.035,Δn0≦0.015a+0.005を満足し、かつ、
屈折率分布を誤差関数型にするためには、熱処理温度を
375℃〜400℃とし、かつ、熱処理時間t(時間)を、少
なくともt≧2T2にしなければならない。しかし、tを
長くしすぎると、Δn0が0.035より小さくなるため、で
きるだけt2T2(時間)熱処理することが望ましい。
〔発明の効果〕
上記のように本発明によるプロトン交換光導波路の製
造方法によれば、光導波層表面で基板より屈折率が高
く、かつこの光導波層の深さ方向の屈折率分布が深くな
るにつれて連続的に漸次減少し、誤差関数的に滑らかに
変化しつつ基板との境界面で実質的に基板の屈折率に近
づく屈折率分布プロファイルが得られている。このよう
な屈折率分布プロファイルを有する光導波路を強誘電体
結晶を基板とする面上に形成することにより、弾性表面
波と導波光との相互作用が大きい光導波路を形成するこ
とが出来、これにより効率の高い光偏向器を実現するこ
とが出来る。したがって、上記光偏向装置を応用した小
形軽量で高速アクセス可能な光集積ヘッドが、さらにま
た、上記光集積ヘッドをアクチュエータに搭載した光情
報記録再生装置をそれぞれ実現することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明によるプロトン交換光導波路を有する光
偏向器の一実施例を示す斜視図、第2図は従来のブラッ
グ型光偏向器を示す斜視図、第3図は従来のコリニア型
光偏向器を示す斜視図、第4図は光偏向器の原理を説明
する図で、(a)は平面図、(b)は断面図、第5図
(a)は従来の光導波路の屈折率分布を示す図、(b)
は本発明による光導波路の屈折率分布を示す図、第6図
は拡散深さa、表面屈折率変化量Δn0と重なり積分I
overlapの関係を示す図、第7図は光導波路の屈折率分
布を示す図で、(a)は熱処理前を示し、(b)は熱処
理後を示す図、第8図は上記第1図に示す光偏向器を搭
載した光集積ヘッドの構成図、第9図(a)〜(l)は
上記光集積ヘッドの製造工程をそれぞれ示す図、第10図
(a)〜(f)は上記光集積ヘッドに搭載する収差補正
用回折格子の製造工程をそれぞれ示す図、第11図は上記
光集積ヘッドを搭載した光情報記録再生装置の構成を示
す図である。 1,21,31……基板 2,22,32……光導波層 4,24,34……弾性表面波(SAW) 5,23……弾性表面波発生電極 81……レーザ光源 83……受光素子 85……第1の回折格子 86……グレーティングカップラ 87……第2の回折格子 88……集光ビームスプリッタ 813……光記録媒体 1102……アクチュエータ
フロントページの続き (72)発明者 佐藤 秀己 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 福島 貴子 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 芝 正孝 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 稲垣 晃 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (72)発明者 吉田 実 神奈川県横浜市戸塚区吉田町292番地 株式会社日立製作所生産技術研究所内 (56)参考文献 特開 昭60−156015(JP,A) 特開 平2−77003(JP,A) 特開 平2−118605(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/12 - 6/14 G02F 1/00 - 1/125

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式LiNb1-yTayO3(ただし、0≦y≦
    1)で表せるニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウム、
    もしくはこれら両者の混晶系、あるいはこれにマグネシ
    ウムを加えた、一般式LixMgzNb1-yTayO3(ただし、0≦
    x,y,z≦1)からなる単結晶基板の表層部に、基板内の
    リチウムイオンLi+の一部がプロトンH+とイオン交換し
    て形成された、上記基板より屈折率が高い変性層を光導
    波層として有するプロトン交換光導波路において、上記
    基板の屈折率nsと上記光導波層の屈折率nとの差をΔn
    (=n−ns)とした時、上記光導波層の表面から基板方
    向に向かって深さ方向yの交換濃度プロファイルが誤差
    関数的に変化し、この結果、表面から上記の屈折率差Δ
    nが深さy方向に連続的に変化するように構成されたこ
    とを特徴とするプロトン交換光導波路。
  2. 【請求項2】上記変成層からなる光導波層は、結晶格子
    定数d′と上記単結晶基板の結晶格子定数dとの差Δd
    =d′−dが、上記光導波層の表面から深さ方向yに誤
    差関数的に変化し、表面から深さy方向に連続的に漸減
    する結晶格子定数分布を有することを特徴とする特許請
    求の範囲第1項に記載したプロトン交換光導波路。
  3. 【請求項3】弱酸と該弱酸のリチウム塩との混合液中
    で、一般式LiNb1-yTayO3(ただし、0≦y≦1)で表せ
    るニオブ酸リチウム、タンタル酸リチウムもしくはこれ
    ら両者の混晶系、あるいはこれにマグネシウムを加えた
    一般式LixMgzNbyTa1-yO3(ただし、0≦x、y、z≦
    1)からなる単結晶基板を熱処理して、その表層部のリ
    チウムイオンLi+の一部をプロトンH+でイオン交換し
    て、上記基板より屈折率が高い変性層を光導波層として
    形成するプロトン交換光導波路の製造方法において、上
    記弱酸として解離度10-3以下の有機酸と、上記弱酸のリ
    チウム塩との混合溶液を用い、加熱処理して上記単結晶
    基板表層部リチウムイオンLi+の一部をプロトンH+でイ
    オン交換して厚さT(μm)の交換層を形成し、つい
    で、上記単結晶基板を大気中または酸素雰囲気中で、少
    なくとも2T2(時間)以上、375℃〜400℃の温度範囲で
    熱処理することにより、上記イオン交換処理によって基
    板中に注入したプロトンH+を上記基板中に熱拡散し、上
    記基板の屈折率nsと光導波層の屈折率nとの差をΔn
    (=n−ns)とし、上記光導波層の表面からの深さをy
    としたとき、上記光導波層の屈折率nが該基板の表面か
    ら直ちに深さy方向に連続的に漸減し、上記基板との界
    面で実質的にΔn=0となるような屈折率分布の光導波
    層を備えたプロトン交換光導波路の製造方法。
  4. 【請求項4】特許請求の範囲第1項または第2項のいず
    れかに記載した光導波路と、光導波路内に伝搬する導波
    光を上記光導波路から基板外に射出させ、かつ、上記射
    出光が基板表面となす角を変化させる機能をもつ弾性表
    面波を発生する電極とを、備えたことを特徴とする光偏
    向器。
  5. 【請求項5】上記光導波路は、外部から上記光導波路内
    に光を結合する手段を有することを特徴とする特許請求
    の範囲第4項に記載した光偏向器。
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