JP2925727B2 - アーク炉における装入原料の溶解状況検知方法及びその装置並びにアーク炉用水冷パネル - Google Patents

アーク炉における装入原料の溶解状況検知方法及びその装置並びにアーク炉用水冷パネル

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JP2925727B2 JP33785990A JP33785990A JP2925727B2 JP 2925727 B2 JP2925727 B2 JP 2925727B2 JP 33785990 A JP33785990 A JP 33785990A JP 33785990 A JP33785990 A JP 33785990A JP 2925727 B2 JP2925727 B2 JP 2925727B2
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信夫 山田
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、アーク炉における装入原料の溶解状況を検
知する方法及びその装置並びにアーク炉用水冷パネルに
関するものである。
〔従来の技術〕
近年、アーク炉の操業において、装入原料の溶解状況
を検知し、これに基づいて適切な操炉運転を行って、省
エネルギー、生産性の向上あるいは省力化を図ることが
従来に増して要求されている。
その一例として、装入原料が炉壁の一部を構成する水
冷パネル表面近くに存在する間は、電源回路ジュール損
失の制御及び迅速溶解を目的として、アーク電流を小さ
くした高電力のロングアーク操業を行い、溶解が進み水
冷パネル表面が露出した段階以降は、水冷パネルからの
アーク幅射熱の抜熱及び炉壁損耗の抑制を目的として、
アーク電流を大きくした低電力のショートアーク操業を
行うことにより、電力効率良く溶解する方法が知られて
いる。前記の目的のためには、アーク炉内における装入
原料の溶解状況に合わせて、アーク電圧、アーク電流及
び通電時間を適切に設定する必要がある。
溶解状況を検知する方法として、水冷パネル冷却水の
入出側温度差を測定する方法や、炉壁に設置した検知用
コイルの自己インダクタンスを測定する方法(特開平1
−174886号公報)が提案されている。
〔発明が解決しようとする課題〕
アーク炉操業において適切な操炉を行うためには、装
入原料の溶解状況を的確に検知することが重要となる
が、水冷パネル冷却水の入出側温度差を測定する方法で
は、水冷パネル前面へのスラグ付着の影響等により正確
且つ安定した検知は難しい。また、特開平1−174886号
公報による炉壁に設置した検知用コイルの自己インダク
タンスを測定する方法でも、該コイルの設置場所が炉外
であること等により自己インダクタンスの変化量が小さ
く、正確且つ安定した検知は難しい。
そこで本発明は、アーク炉における装入原料の溶解に
おいて、適切な操炉運転を行うために装入原料の溶解状
況を高精度に検知することができる方法及び装置を提供
することを目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明によるアーク炉における装入原料の溶解状況検
知方法は、電極を流れるアーク電流によって発生して装
入原料を透過した磁界の強度を検出し、この磁界強度
と、電極と炉殻との間に装入原料が存在しない時の磁界
強度とを比較するものである。
また、本発明によるアーク炉における装入原料の溶解
状況検知方法は、電極を流れるアーク電流によって発生
して装入原料を透過した磁界の強度を検出すると共に、
電極に投入したアーク電流値を検出し、これら磁界強度
とアーク電流値とを比較するものである。
さらに、本発明によるアーク炉における装入原料の溶
解状況検知装置は、電極を流れるアーク電流によって発
生する磁界の強度を検出するために炉殻の内側に設けた
磁界検出コイルと、この磁界検出コイルの信号と電極に
投入したアーク電流値とを比較演算する演算器とを具備
するものである。
さらに、本発明によるアーク炉用水冷パネルは、アー
ク炉の炉殻の内側に設置される水冷パネルの側面に、電
極を流れるアーク電流によって発生する磁界の強度を検
出するための磁界検出コイルが周巻きされているもので
ある。
〔作 用〕
本発明においては、アーク炉における装入原料の溶解
において、アーク電流によって発生して装入原料を透過
した磁界の強度の変化を磁界検出コイルにより検出して
装入原料の溶解状況を把握する。したがって、溶解チャ
ンス毎で異なる炉体潜熱や炉内雰囲気温度の影響及びス
ラグの炉壁付着による影響を受けずに、装入原料の溶解
状況を検知することができる。
また、炉殻を構成する鉄皮は高透磁率材料で磁気遮断
効果が大きいため、磁界検出コイルを炉殻の内側に設置
することにより、アーク電流によって発生する磁界の強
度を導電ケーブル等から発生する外乱磁界の影響を受け
ずに検出することができ、検出精度を上げることができ
る。
さらに、磁界検出コイルを水冷パネルの側面に周巻き
することにより、アークの輻射熱及び伝導熱から磁界検
出コイルを保護し、耐久性及び検出信頼性をさらに向上
させることができる。
〔実施例〕
以下、本発明の詳細を実施例に基づいて説明する。
第1図は第1実施例におけるアーク炉の概要構成を示
す。
溶解電力はトランス9を介して、アーク炉内に挿脱可
能に設置された電極2から投入される。水冷パネル3は
炉壁の内側に周方向及び縦方向に複数個設置されて炉殻
1の一部を構成し、炉殻1を冷却する。水冷パネル3の
側面には磁界検出コイル4が周巻きされている(第4図
及び第5図参照)。磁界検出コイル4は増幅器5を通し
て演算器6Aに接続されており、装入原料8を透過した磁
界の強度を検出する。
電極2を流れるアーク電流によって発生する磁界の強
度は、装入原料8を透過する過程において渦電流損によ
り減少するが、その減少の割合は透過する装入原料8の
量に関係する。溶解の過程において間欠的あるいは連続
的に、装入原料8を透過してきた磁界の強度を磁界検出
コイル4にて測定する。この時、磁界検出コイル4では
電磁誘導作用により、三相合成磁界の炉中心から炉の半
径方向の成分、すなわち磁界検出コイル4の巻方向と直
行する方向の成分の変化を電圧として検出することにな
る。
演算器6Aは、電極2と炉殻1との間に装入原料8が存
在しない時の磁界強度の値が予め設定されており、予め
設定された磁界強度と装入原料8を透過した磁界の強度
とを比較し、両信号が同一値となった時点を装入原料8
の溶け落ち時期と判定することができる。電力制御装置
7は演算器6Aの信号を入力してアーク炉への投入電力を
制御する。
第2図は第2実施例におけるアーク炉の概要構成を示
す。なお、第1図に示す部材と同様の部材は同一の参照
符号を付け、その詳細な説明は省略する。
トランス9と電極2との間に分流器11が設けられ、こ
の分流器11から演算器6Bにアーク電流値が一方に入力さ
れるように構成されている。演算器6Bは、磁界検出コイ
ル4によって検出した磁界強度の信号と電極2に投入し
たアーク電流値とを比較し、装入原料8の溶解状況とし
て、例えば磁界の透過率を次式によって算出する。
電力制御装置7は演算器6Bの信号を入力し、アーク炉
への投入電力を制御する。
第3図は磁界検出コイル4を複数個設置した場合のブ
ロック図の例を示し、第1図の第1実施例及び第2図の
第2実施例に適用することができる。なお、第1図の第
1実施例に適用する場合は、分流器11は不要である。
水冷パネル3は炉壁の内側において周方向及び必要に
応じて縦方向にも複数個設置されているので、これらの
うちの任意の水冷パネル3を選んで磁界検出コイル4を
設置する。選択数及び位置は限定されるものではなく、
必要な検出分解能に応じて決定される。演算器6には各
々の位置における装入原料8の溶解状況に応じた複数個
の磁界検出コイル4からの信号が入力される。その結果
に基づいて電力制御装置7はアーク炉への投入電力を制
御する。
第1図及び第2図の装置による磁界の透過率の変化の
様子を操業全体にわたって記録したものが第6図であ
る。
溶解初期のA点では装入原料8の量が多いため透過率
は小さく、溶解の進行と共に透過率は増大し、B点では
約0.5、C点では1.0になる。C点以後は炉壁部分に装入
原料8が存在しないため、磁界の透過率は一定値(本実
施例ではこの一定値を1.0とする)を示すようになる。
したがってC点が、装入原料8が溶け落ちて炉壁が露出
した時期である。これにより、磁界の透過率が1.0にな
った時点を装入原料の溶け落ち時点と判定することがで
きる。前記方法により、アーク炉における挿入原料の溶
解状況を正確且つ安定して検知することが可能となる。
第4図及び第5図は第1及び第2実施例に用いた水冷
パネル3の特徴部分を示し、第4図は第1図及び第2図
のA−A矢視正面図、第5図は第4図のB−B矢視側面
図である。
磁界検出コイル4は水冷パネル3の側面に、すなわち
炉中心に向かう方向に対し直交する方向の面に巻かれて
いる。これによって磁界検出コイル4の断面積(L×
W)を装入原料の大きさよりもかなり大きくできるた
め、装入原料の成分、大きさ、装入密度等の不均一によ
る影響を抑制できる。なお、磁界検出コイル4の巻数、
材質は必要な検出能力及び耐熱性を考慮して選定する。
また、第1図及び第2図において、10は耐火物であり、
水冷パネル3の側面の磁界検出コイル4はその耐火物10
によって覆われている。なお、水冷パネル3の側面に溝
を設け、この溝の中に磁界検出コイル4を挿入してもよ
い。
以上、本発明の実施例に付き説明したが、本発明は上
記実施例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨
を逸脱しない範囲において種々変更を加え得る。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明によれば、アーク炉内に
おける装入原料の溶解状況を正確且つ安定して把握する
ことができるので、適切な操炉運転が可能となり、省エ
ネルギー、生産性の向上及び操炉作業の自動化が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1実施例におけるアーク炉の概要構
成図、第2図は本発明の第2実施例におけるアーク炉の
概要構成図、第3図は第1及び第2実施例において磁界
検出コイルを複数個設置した場合のブロック図、第4図
は磁界検出コイルを装着した水冷パネルを示す第1図及
び第2図のA−A矢視正面図、第5図は第4図のB−B
矢視側面図、第6図は溶解時間と磁界の透過率との関係
における装入原料の溶解状況を示す説明図である。 なお、図面に用いた符号において、 1……炉殻 2……電極 3……水冷パネル 4……磁界検出コイル 5……増幅器 6、6A、6B……演算器 7……電力制御装置 8……装入原料 9……トランス 10……耐火物 11……分流器 である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 博史 山口県光市大字島田3434番地 新日本製 鐵株式會社光製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭63−47323(JP,A) 特開 平1−174886(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F27D 3/08,3/24,3/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アーク炉における装入原料の溶解状況を検
    知する方法において、 電極を流れるアーク電流によって発生して装入原料を透
    過した磁界の強度を検出し、この磁界強度と、電極と炉
    殻との間に装入原料が存在しない時の磁界強度とを比較
    することを特徴とするアーク炉における装入原料の溶解
    状況検知方法。
  2. 【請求項2】アーク炉における装入原料の溶解状況を検
    知する方法において、 電極を流れるアーク電流によって発生して装入原料を透
    過した磁界の強度を検出すると共に、電極に投入したア
    ーク電流値を検出し、これら磁界強度とアーク電流値と
    を比較することを特徴とするアーク炉における装入原料
    の溶解状況検知方法。
  3. 【請求項3】アーク炉における装入原料の溶解状況を検
    知する装置において、 電極を流れるアーク電流によって発生する磁界の強度を
    検出するために炉殻の内側に設けた磁界検出コイルと、
    この磁界検出コイルの信号と電極に投入したアーク電流
    値とを比較演算する演算器とを具備することを特徴とす
    るアーク炉における装入原料の溶解状況検知装置。
  4. 【請求項4】アーク炉の炉殻の内側に設置される水冷パ
    ネルであって、この水冷パネルの側面に、電極を流れる
    アーク電流によって発生する磁界の強度を検出するため
    の磁界検出コイルが周巻きされていることを特徴とする
    アーク炉用水冷パネル。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN102003875A (zh) * 2009-08-27 2011-04-06 钢铁普蓝特克股份有限公司 电弧熔化设备及使用该电弧熔化设备的熔融金属制造方法
EP3814728B1 (en) 2018-06-29 2023-08-16 Danieli & C. Officine Meccaniche S.p.A. A detection system for detecting the level of metal in a melting furnace

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CN102003875A (zh) * 2009-08-27 2011-04-06 钢铁普蓝特克股份有限公司 电弧熔化设备及使用该电弧熔化设备的熔融金属制造方法
EP3814728B1 (en) 2018-06-29 2023-08-16 Danieli & C. Officine Meccaniche S.p.A. A detection system for detecting the level of metal in a melting furnace

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