JP2925075B2 - 燃焼灰混練機の自動注水制御システム - Google Patents
燃焼灰混練機の自動注水制御システムInfo
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Description
生する石炭燃焼灰から路盤材等に利用する固化体を生産
するときに必要となる燃焼灰と水の混練工程における水
対灰比率管理を自動的に行う自動注水制御システムに関
する。
れる燃焼灰の大部分は加湿処理した後に廃棄処分し、一
部をセメント原料として利用していた。しかし、燃焼灰
の廃棄処分地の確保が難しくなり、またセメント原料と
しての利用も立地上の条件により限界が出てきた。そこ
で、流動床ボイラの立地条件によらず、より大量の燃焼
灰処理ができる再資源化技術の開発が望まれていた。
平8−59311公報には、燃焼灰を水和反応させて固
化体または粒状体とし、人工漁礁、水路底板、路盤材、
脱硫剤等に利用することにより、大量に処理する方法が
開示されている。この開示方法によれば、流動床ボイラ
から排出される燃焼灰と水を混練してエトリンガイトを
主成分とする反応生成物の作用で固化させ、成形し養生
した後粉砕して、たとえば路盤材として使用する粒状体
を得る。
化体製造方法を示すプロセスフロー図である。この方法
によると、石灰石と混合された石炭が流動床ボイラで燃
焼し、燃焼灰が炉床とサイクロンとバグフィルタから排
出されてくる。これらの燃焼灰は一旦貯槽に蓄えられて
バッチごとに所定量が高速混練機に供給される。高速混
練機ではさらに水貯槽から所定量の水を加えながら数分
間の短時間内に混練して燃焼灰の混練物を生成する。混
練物は、成形機において2〜50Paの低圧下で成形さ
れ、ラックに積載されて養生装置内をプッシャ方式で移
動しながら1〜15時間の常温養生後、50〜95℃の
水蒸気で5〜25時間養生して強度を増した固化体とな
り、破砕機で用途に応じた大きさに破砕されて粒状体の
製品となる。この固化体製造方法によれば、固化体と粒
状体の2種類の製品を得ることができ、異なる用途に対
応できる。特に粒状体は路盤材として利用することがで
きるため、流動床ボイラの立地場所によらず大量の燃焼
灰を処理することができる。
燃焼灰を混練する工程で、混練物が塑性の状態から半固
体の状態に遷移する限界付近の含水比になるように、厳
格な管理の下で適正な水量を添加する必要がある。しか
もこの適正注水量は燃焼灰の組成や粉末の性状により異
なる。流動床ボイラの燃焼灰は流動床ベッド、マルチサ
イクロン、バグフィルタの3カ所から発生し、石炭の組
成が同じでもこれら燃焼灰の組成はそれぞれ大きく異な
る上、灰貯槽に搬送される状況が異なる。例えば、ベッ
ドから発生するBM灰は専用のBM灰貯槽に常時定量的
に搬入されているが、バグフィルタからのBF灰は連続
的に、またマルチサイクロンからのMC灰は間欠的に、
共通のBF/MC灰貯槽に搬送されているので、BF/
MC灰貯槽内のBF灰とMC灰の混合灰組成は常時変動
している。混練機にはこれら2つの貯槽から一定量取り
出し混合して供給されているが、前述のとおりBF/M
C灰貯槽内の混合灰組成が変動するため、混練時の燃焼
灰の組成は一定しない。
量で水を添加して混練する方法では、燃焼灰の性状が変
化するのに伴って混練物状態が変化するため後工程にお
ける適正な操業条件から離脱して工程が安定しない。そ
こで、固化体および粒状体を安定に製造するため、上記
の燃焼灰を原料とする固化体の製造方法では混練水の添
加を分割し、初めに最終的に必要となる量より少な目に
なるような流量で水を添加しながら所定時間混練した後
に残りの水量を添加してさらに所定時間混練して混練物
を生成させるようにしていた。
困難であるが、混練物のコンシステンシー(細粒土の相
対的硬さあるいは安定度を言う)は混練機のパン(内
壁)およびスター(攪拌機)にかかる負荷電流値すなわ
ち撹拌動力実効電流値と一定の関係にあり、バッチの最
終段階における電流値が所定の値になっていれば適正な
混練が行われたと判断できる場合が多い。このため、従
来の注水制御方法はパン・スターの撹拌動力実効電流値
を指標として、混練工程における予め指定した経過時刻
における電流値に基づいて追加注水を決定していた。
80%程度とし短時間に添加し混練する。たとえば1分
間等の所定時間混練した後に目標電流値に達しない場合
は、第1回目の追加注水を行い混練を継続する。注水量
は電磁弁の解放時間により決まり、現場に据え付けられ
た混練水制御盤で操作者が指定できる。さらに所定時間
経過した後に目標電流値に達していなければ、第2回目
の追加注水を行う。このようにして所定時間混練し、混
練物を生成する。1バッチ終了後に最終電流値が目標値
を下回った場合は混練に異常があったことを意味するか
ら、現場とボイラ制御室に警報表示して操作者に適切な
処理を促す。
標電流値等は、熟練した操作者が現場の状況を観察し経
験的に把握して現場制御盤から手動で設定変更できるよ
うにしていた。しかし、3種類の燃焼灰の混合比率に、
石炭種、石炭粒径、ボイラハンドリング状況等で変動す
る燃焼灰の粉末度を加味すると、適切な含水比は簡単に
決定することはできない。また、混練機に供給される燃
焼灰はロードセルを用いた電気計測で比較的精度の高い
計量が可能であるが、ロードセル上に燃焼灰を搬送する
ロータリーバルブのタービンブレードの摩耗等に起因す
る誤差が生じる場合がある。
しようとする課題は、上記のような様々な要因で燃焼灰
性状が変動する場合にも、自動的に適切な水量を添加す
ることにより混練工程を適切に管理する自動注水制御シ
ステムを提供することである。また、燃焼灰性状が変移
したときにも適切な指標値を自動的に設定する自動注水
制御システムを提供することである。
め、流動床ボイラで発生する石炭燃焼灰を水と混練して
固化体を製造する装置の混練機における本発明の自動注
水制御システムは、混練開始後所定時間経過した混練後
期工程における混練機の攪拌動力実効電流値が所定の勾
配と初期値を有する目標関数に沿うように注水量を調整
することを特徴とする。さらに、本発明の自動注水制御
システムは上記の目標関数より所定値だけ低い下限管理
限界関数を有し、混練開始から単数又は複数の所定時間
が経過した時における攪拌動力実効電流値がその時点に
おける下限管理限界関数値より低い場合に所定量の水を
添加するようにすることが好ましい。
拌動力実効電流値を測定し、良品が得られた複数のバッ
チについて求めたその実効電流値の平均値に基づいて目
標関数の勾配を調整するようにすることができる。な
お、混練工程終了時における攪拌動力実効電流値を測定
し、その時点における目標関数値に対して予め設定され
る管理巾から外れた場合に警報を発生するようにするこ
とがより好ましい。さらに、混練の後期工程における攪
拌動力実効電流値の勾配を算出し、この勾配が所定の閾
値を越えるときに警報を発生するようにすることが好ま
しい。
灰から有用な固化体を製造するプロセスにおいて、良好
な混練状態と高速混練機のパン・スター動力の電流波形
と実効電流値にある関連が存在することに着目し、燃焼
灰と水の混練が混合攪拌と拡散混合の2つのプロセスが
複合して進行することを確認して、これらの複合状態が
動力電流値に与える影響を調査した。
流・せん断混合による混合攪拌が支配的であるが、ある
程度の時間が経過すると練り混ぜに対応する拡散混合の
効果が顕著に現れ、その後は分離と混合の2つの作用が
動的に並行するようになることが分かった。この混合攪
拌は燃焼灰と水の均一化過程、拡散混合は燃焼灰粒子に
対する水和反応過程と考えることができる。混練時間の
経過につれて混練物の粘性が変化すると、これに対応し
て混練機のパン(内壁)とスター(攪拌機)にかかる負
荷電流値が変動する。この負荷電流値と混練物の水分と
が有する密接な関係からも、2つの混合過程の考え方が
妥当であることが確認される。
まず混練機に灰が配給された後、所定量の混練水が添加
される中、所定の時間混練が行われる。この混練前期工
程における攪拌動力電流値は混練水添加量の増大に伴っ
て2次関数的に急激に増加していく。混練水を全量添加
し終えて混練前期工程が終了し混練後期工程に入ると、
攪拌動力電流値は前期工程の場合より緩やかな一定の勾
配で上昇し、適正な混練が終了するときの攪拌動力電流
値はある一定の幅の中に収まるようになる。
場合は、混練物の粘性が高くなりパン・スターにかかる
負荷電流は増大する。このとき得られる成形体は固化体
強度が低すぎるばかりか、端面が膨らみ形崩れした幅広
形状となり搬送工程でのトラブルが多発する。
後期工程における攪拌動力電流の勾配が正の傾きでなく
逆に負の傾斜を有するようになる場合もある。このよう
な場合は、最終段階における電流値が適正な混練が行わ
れる場合の値により近づく傾向が見られる。したがっ
て、混練終了時の電流値により注水管理することは適切
でないことが分かる。なお、このような電流値パターン
を示す場合の混練物はスラリー状で搬送経路中の種々の
機器に固着してトラブルの原因になるので、緊急に工程
外に排出して廃棄処分する必要がある。
と、混練物の粘性が上昇せず混練機のパン・スターにか
かる抵抗負荷が小さいので、混練前期工程中の攪拌動力
電流はなだらかに上昇し、混練後期工程の動力電流パタ
ーンの勾配も緩やかになる。この場合の成型物は表面が
荒れて型崩れしていて、搬送中に破片が落ちて機械部分
に噛み込んだりして誤作動の原因になるので、このよう
な状態を継続しないように水分調整を行う必要がある。
態に鑑み、品質良好な固化体を得ることができた場合を
取り上げて、特に混練開始後所定時間経過した混練後期
工程に注目し、この期間における混練機の攪拌動力実効
電流値について適正な勾配と初期値を有する目標関数を
算定する。そして、混練後期工程における混練機の攪拌
動力実効電流値が所定の目標関数に沿うように注水量を
調整する。本発明のシステムによれば、比較的簡単な判
定論理に基づく単純な操作により、水分過多状態や水分
過少状態になることを回避して品質の高い固化体を得る
ことができる。
管理限界関数を設定して、予め決めた混練経過時点にお
ける攪拌動力実効電流値がその時の下限管理限界関数値
より低い場合に所定量の水を添加するようにした場合
は、より単純な論理に基づいた制御が可能であるから、
簡単な装置により実効的な制御システムを組み上げるこ
とができ工業的な利用がより容易になる。予定の経過時
点としては、経験上適切と考えられる適当な時点を選ぶ
ことができ、例えば混練開始から2分30秒、3分、3
分30秒経過した各時点というように選択する。なお、
この時間は遠隔の中央制御室に据えられる制御盤等から
簡単に設定変更できるようにすることができる。
のバッチを重ねるに従い、機内のパン、スター、アジテ
ータ、スクレーパ等に混練灰が付着成長するので、無負
荷時のベースとなる動力電流値と混練終了時の最終電流
値が上昇する。しかも、経時により最終電流値が上昇す
るのみならず混練後期工程における電流パターンの勾配
が2次関数的に増大することが判明した。従って、混練
機の攪拌動力電流値に基づいて適正な注水制御を行うた
めには、バッチを重ねるにつれて変化する最終電流値と
混練後期工程中の電流変化勾配に基づいた補正を行うこ
とが必須になる。
攪拌動力実効電流値を測定し、良品が得られた複数のバ
ッチについて求めたその実効電流値の平均値に基づいて
目標関数の勾配を調整するようにした本発明の自動注水
制御システムにより、自動的に目標関数を適正なものに
補正して維持することができるため、常に適正な注水制
御を達成して固化体の品質を維持することができる。
効電流値が目標関数値に対して予め設定される管理巾か
ら外れた場合に警報を発生するようにした自動注水制御
システムにより、水分が過少である場合や過大である場
合に注意を喚起して操作者が適切な処理を行えるように
することができる。また、混練の後期工程における攪拌
動力実効電流値の勾配が所定の閾値を越えるときに警報
を発生するようにした自動注水制御システムでは、動力
電流の値では捉えることができない水分異常を検出して
警報することができる。電流値異常の警報と電流勾配異
常の警報を併用すると、工程異常の見落としが少なくな
り、より安全で安定した燃焼灰固化体製造プラント運転
を行うことが可能となる。
の石炭燃焼灰から固化体を製造する固化体製造装置の混
練機に適用する本発明の自動注水制御システムを詳細に
説明する。
るためには、混練機に配給されたボイラ燃焼灰に対して
塑性限界含水比(混練物が塑性状態から半固体状態に遷
移する限界における含水率)ぎりぎりの水を添加する必
要がある。流動床ボイラで発生する燃焼灰は、流動床ベ
ッド、マルチサイクロン、バグフィルタの3カ所の発生
源から排出されるBM灰、MC灰、BF灰で、発生源に
より組成や粉末度が異なる上、排出量や排出時期も異な
る。
床ボイラから発生する3種類の燃焼灰の組成と平均粒度
の測定例を示すものである。
組成割合も粒度も全く異なる。バッチ毎に配給されるボ
イラ燃焼灰はBM灰、MC灰、BF灰を適当に混合した
ものであるから、組成や粉末度は一定しない。上記の塑
性限界含水比は燃焼灰の組成や粉末度により異なるため
適正な水添加量は毎度異なることになる。
まれる酸化カルシウムCaOに大きく影響されることが
知られている。図2は、上記3種類の燃焼灰を適当量混
合した灰について酸化カルシウム含量を指標として塑性
限界含水比を調べた結果を示す図面で、横軸に酸化カル
シウムの含量、縦軸に塑性限界含水比を表してある。グ
ラフ中に両者の関係を代表する直線を示した。
件が変化したり燃焼灰の混合比率が変化すると塑性限界
含水比が変化するので、結局加えるべき適正な水量が変
化することになる。さらに、燃焼灰の配給量は計測器の
誤差もあるので正確な管理が難しい。また操作者が処理
すべきボイラ燃焼灰の量のファクターのみに基づいて水
量を決めても、実際の混練条件と適合しない場合が多く
なる。なぜなら、燃焼灰の混合比率が変化するため適正
な水量が変動するにもかかわらず、その燃焼灰混合比率
を事前に知ることが困難だからである。
ーンと混練物の性状との関連に注目して、適正な水量添
加を自動的に行うことを可能にするべく、鋭意研究の結
果得られたのが本発明の自動注水制御システムである。
場合の電流変化パターンを示す。横軸が混練開始時点か
らの経時、縦軸がパン・スター電流値を表す。混練機に
燃焼灰が配給された後、所定量の混練水が添加される中
でパン・スター等の攪拌装置により混練が行われる。所
定の混練水が全量添加し終えるまでの混練前期工程にお
ける電流変化は図中のF区間に示されたように、初めは
緩やかに上昇し終期には急峻に上昇する2次関数的変化
を現す。その後の混練後期工程において、水の添加がな
い状態で混練を継続すると、図中のL区間に示されたよ
うに、前期工程における電流変化より緩やかな勾配で電
流値が上昇し、混練終了時における最終電流値はほぼ一
定の値になっている。このような電流変化パターンは適
正な水/灰比で混練する場合に反復して観察される。
運転に用いた数値を用いてより具体的に説明する。混練
機のパン・スター動力電流は、混練開始時点Taにおい
て電流値Caであったのが水を添加しながら混練を継続
していくと2次曲線に沿って上昇し、混練水を添加し終
えた2分30秒後のTbにおいては初期安定電流値Cbと
なり、その後少し緩やかに上昇して混練開始から4分経
過して混練が終了する時刻Tcにおいては最終電流値Cc
となる。
変化する。特に、最終電流値は品質との関連性が強い。
ただし、これら電流値と製品品質は一意の関係を有する
わけではなく、同じ電流値であっても混練状態が異なる
場合もある。また、混練開始時刻Taから初めの混練水
を添加し終えた時刻Tbまでの混練前期工程における電
流勾配αfと、時刻Tbから混練完了時刻Tcまでの混練
後期工程における電流勾配αlを、(1)式と(2)式
により求めると、これら電流勾配も混練状態に関連性を
有する。 αf=(Cb−Ca)/(Tb−Ta) (1) αl=(Cc−Cb)/(Tc−Tb) (2) 特に、後期工程における電流勾配αlと最終電流値Cc
は、混練状態との関連性が明確である。この混練機の運
転実績からは、良好な混練が行われているときは最終電
流値Ccが13.5±0.5A程度で電流勾配αlが0.
10〜0.25A/分程度になることがわかっている。
状態で混練が行われた場合の電流変化パターンを示す。
燃焼灰に対して混練水量が多すぎると混練中の混練物の
粘度が高くなってパン・スターに係る負荷が大きくなる
ため、図中の電流パターンIのように攪拌動力電流値が
全期間を通じて高くなる傾向が見られる。この時得られ
る混練物では固化体強度が低くなり品質が低下するばか
りか、低圧成型機により成型したブロックが端面の膨ら
んだ幅広形状となり成型機出口やディパレッタ部で引っ
かかったり、固着力が大きくてパレットからの剥離がう
まくいかずディパレッタで停滞したりして、次工程に進
まなくなるトラブルが発生するケースが多くなる。
の電流パターンIIに示したように、混練前期工程におけ
る電流値上昇が激しく、混練後期工程における電流がむ
しろ低下する傾向が見られるようになる。このような場
合の混練物はスラリー状を呈し、混練機給材ホッパー、
リバーシブルコンベア、コンベアローラ等に固着して様
々なトラブルを引き起こす原因になるので、次の工程に
搬送される前に排除することが好ましい。
練物の粘度が上がらず混練機のパン・スターにかかる抵
抗負荷が小さくなるため、図中の電流パターンIIIに示
したような緩やか勾配を持った電流変化を呈する。この
場合には、混練後期工程における電流勾配αlは0.1
A/分以下となることが判明している。このような混練
により得られる成型物はパサパサで型崩れし易く、搬送
中に破片が剥離してデリバリーチェーンやリフター等に
噛み込んで誤動作を起こし運転に支障をきたす場合があ
る。
と混練物の相対的硬さを表すコンシステンシーが変化す
るため、図5に示すように混練機の攪拌動力電流が特有
の変化をするので電流パターンを観察することにより状
況を把握することができる。図5中の電流パターンIVは
BF/MC灰輸送系統の配管詰まりでBM灰の比率が大
きくなり酸化カルシウムが過剰になった時のパン・スタ
ー電流の変化を示したものである。この時には、混練後
期工程における電流値が大きく振れることが知られてい
る。また図中の電流パターンVはBM灰の輸送系統に配
管詰まりが起こってBM灰の比率が小さくなったときに
観察される電流変化であって、後期工程における電流値
の振れ幅は小さい。
後期工程の攪拌動力が混練の良否と関連性が高いことに
注目し、良好な混練が行われた場合に期待される混練後
期工程における動力電流パターンを目標関数とし、さら
にこの目標関数を基にして上限管理限界関数と下限管理
限界関数を設定し、これらを混練管理の基礎指標とす
る。
1に表した燃焼灰固化体製造プラントにおける混練機に
使用した実施例の基本構成を示す。本実施例のシステム
においては、混練機周辺の機器を駆動するための動力制
御盤1が混練機の現場に据え付けられている。この動力
制御盤1には注水制御盤2と灰計量器3が接続されてい
て、これらの機器はさらに中央制御室に設置された管理
機能コンピュータ4と制御機能コンピュータ5に接続さ
れている。混練機パン・スター実効電流値等のアナログ
データの取り込み、制御、監視を制御機能コンピュータ
5が行い、取り込んだデータの表示・保管。出力、制御
条件の設定・入力、灰計量器の設定制御を管理機能コン
ピュータ4が行う。管理機能コンピュータ4には各種デ
ータの出力を行うプリンタ6が付属している。なお、灰
計量器と管理機能コンピュータ5の間を高速通信するた
めの入出力シリアルインターフェース7としてRS42
2変換器を両者の間に介在させている。
ータを介してバッチ毎に電流値の収集を行いハードディ
スクに記録する。記録されたデータは随時取り出してデ
ィスプレーに表示したり印刷したりすることができる。
なお、収集した電流値のトレンドデータを画面に表示し
て操作者の判断を幇助することができる。また、制御機
能コンピュータで実行する注水制御の条件設定を行い、
制御結果を整理した形で表示するほか、各種警報を画面
に表示し音声で警告することができる。制御機能コンピ
ュータは、混練機の動力電流値を取り込み、設定値に沿
うように注水電磁弁を操作することにより注水制御を実
行する。また、各種警報の出力を行い、対処を必要とす
る事態が生じたときに混練機を担当する操作者の注意を
促す。
において使用される注水制御のアルゴリズムを説明す
る。図6は当該アルゴリズムを説明するグラフである。
縦軸と横軸は図3と同じく、それぞれ混練時間と混練機
の攪拌動力電流値を表す。まず、目標関数は、適正な固
化体を得ることができた混練状態における混練後期工程
の観測値から(3)式に従って導出される。 Itg=αT+Iof (3) ここで、Itgは目標とする電流値、αは電流値の勾配、
Tは混練開始時点からの経過時間、Iofは混練開始時点
に外挿した電流値を表す。すなわち、混練終了時におけ
る混練経過時間を(3)式に代入したときにItgが最終
電流値と同じ値になるようにαとIofの各係数を決定す
ればよい。
電流値の管理限界を設定し、その限界値を通り上記目標
関数と平行になる関数により決定する。すなわち、上限
管理限界関数は(4)式により、また下限管理限界関数
は(5)式により決定される。 Iult=αT+Iof+Δu (4) Illt=αT+Iof−Δl (5) ここで、Iultは上限管理限界における電流値、Δuは上
限管理限界関数と目標関数の間の偏差、Illtは下限管
理限界における電流値、Δlは下限管理限界関数と目標
関数の間の偏差を表す。
限界に挟まれた工程管理範囲から外れていれば異常混練
と判定する。注水制御は、混練開始から指定の経過時間
T1、T2、・・・後に混練機のパン・スター負荷電流値
Cを測定し、その値が(5)式で求められる下限管理限
界電流値Illtを下回っている場合は、注水電磁弁を所
定時間解放して指定された量の追加注水を行うことによ
り実施する。この判定を行う指定時間は操作者により任
意に設定できるが、例えば混練開始から2分30秒、3
分、3分30秒というように適当な間隔で複数選択する
ことが好ましい。また、追加注水量は注水電磁弁の解放
時間すなわち注水時間と比例しており、電磁弁の開閉操
作信号で制御することができる。なお、注水時間は任意
に設定できるので注水量は簡単に調整することができ
る。
転時間の経過と共に、混練機内のパン・スター、アジテ
ータ、スクレーパ等に混練灰が付着成長し、無負荷時の
ベース電流値Caおよび最終電流値Ccが上昇する。特に
スクレーパ内側に付着した灰はパンに対して大きな抵抗
となり電流値を大きく増加させる。図7はバッチを重ね
るに従ってこれらの電流値が上昇する様子を示したグラ
フである。燃焼灰の性状や混練機の掃除の程度等にも左
右されるが、この例では最終電流値Ccが初期には13
Aであったのが、200回以上のバッチを重ねた後には
14.3Aまで上昇していることが読みとれる。
に取りその時の混練後期工程中の電流勾配αlを縦軸に
とって、上昇する最終電流値Ccに対応して混練後期工
程の電流勾配αlが2次関数的に大きくなっていく様子
を実線で表したものである。このように、バッチ数を重
ねるに従って制御指標とする動力電流値が変化するの
で、本実施例のシステムにおいて適正な混練管理を行う
ためには、その時々の灰付着状況に応じて制御関数を補
正する必要がある。
と下限管理限界に挟まれた領域内に収まった混練バッチ
の最終電流値Ccを最新の適当回数、例えば5回分につ
いて算術平均し、この平均値を目標とする最終電流値と
する。ただし、電流勾配が異常だったりして良好な混練
が行われなかったバッチについては上記算定の対象とし
ない。さらに、この新しい最終電流値に対応する電流勾
配を算定して、上記の(3)式に基づいて新しい目標関
数を算定し次のバッチの制御に適用する。なお、電流勾
配αlの補正は図8における測定結果を使用することが
好ましいが、直線近似した図中の点線の関係を利用する
ことにより演算を簡単にしても実用上問題とならない。
除により最終電流値や電流勾配が変化するので、運転実
績から推定された掃除の程度を加味した適正補正値に基
づいた補正が手動でできるように構成されている。これ
らの補正関数や算術平均に使うバッチ数等は、環境の変
化に応じて任意に変更できるようにしてある。
係る混練機の攪拌動力電流値に基づいて異常状態を判定
して、CRTモニター画面に警報表示すると共に警告音
を発して、操作者に混練工程の異常を知らせる警報機能
を備えている。警報に接した路盤材製造担当操作者は、
さらに電流変化状況を確認すると共に、成型機出口に設
置されたモニターカメラから送られてくる画像により混
練状態を把握し、適切な処理を講じることができる。ま
た、警報が適切でないと判断したときには管理用の関数
を変更して、必要なときにのみ警報を発生するように調
整することができる。
値Ccが下限管理限界値を予め決めた回数、例えば2
回、連続して下回るとき、あるいは混練後期工程におけ
る電流勾配αlが+0.07A/分より小さいときに警
報する水分不足警報と、最終電流値Ccが上限管理限界
値を予め決めた回数連続して上回るとき、あるいは後期
工程の電流勾配αlが+0.7A/分より大きいときに
警報する水分過多警報がある。
は何らかの異常が発生した可能性が高いので操作者に警
報して、現場の状況を確認し適切な処理を取ることを促
すようにしている。なお、混練工程以降の工程で異常が
生じたときには、さらに重大なトラブルに発展しないよ
うに混練を継続しておいて後ろの工程に搬送しないよう
に制御シーケンスが組まれている。しかし、混練時間が
長すぎると混練物がペースト状になって別の困難が生じ
るため、適当な混練時間が経過した時点で警報を発する
ことできるようにしてある。
御システムによる制御状況の例を表すタイムチャートで
ある。図9の例は、何らかの原因で灰の重量が多目であ
る場合や酸化カルシウムの量が多かったため初期給水量
では水分不足である場合に本実施例のシステムが作動す
る状況を表すものである。混練開始から2分30秒経過
した混練前期工程の終期に攪拌電流値が目標値の下限管
理限界に達していないため、制御システムが給水電磁弁
を操作して追加の注水が添加されると、攪拌動力電流は
一時的に減少するが15〜20秒後に下限極値に達しそ
の後上昇し続けた。第2回目の管理時刻には電流値の下
限管理限界を越えているため2回目の追加注水は行われ
なかったが、電流値はそのまま管理限界内で増加し続け
て、最終電流値も目標値の近辺に収まった。この混練物
は型崩れのない成形良品体であった。
は管理限界内に収まらず、混練開始後3分経過した第2
回目の管理時刻、さらに3分30秒経過の第3回目管理
時刻にも追加注水を行って混練を完成した場合を示すも
のである。この例でも、混練物から形崩れのない成型ブ
ロックを得ることができた。
指標に具体的な数値を用いて説明してきたが、これらの
数値は本発明の自動注水制御システムを適用する対象と
なるプロセスによって異なることは言うまでもなく、こ
れら具体的に示した数値により発明が限定されることは
ない。
機の自動注水制御システムにより、原料となる燃焼灰の
性状が変化した場合にも自動的にその変化に対応して適
切に追加注水して混練を行い品質の良好な固化体を得る
ことができるようになった。また、流動床ボイラの石炭
燃焼条件や燃焼灰の配分条件が変動しても現場に熟練操
作者を配置しないで混練機の自動運転を行うことが可能
となり、燃焼灰固化体製造装置を遠隔運転することがで
きるようになった。このように、本発明により混練不良
を原因として特に搬送工程で多発していたような製造工
程のトラブルが減少し、路盤材等に使用する固化体の製
造能率が向上した。さらに、安定かつ適切なコンシステ
ンシーの混練が可能となったため、固化体の強度のばら
つきが小さくなった。
を示すブロック図である。
比を示す図面である。
力電流変化パターンである。
行われた場合の攪拌動力電流変化パターンである。
変化パターンである。
水制御アルゴリズムを説明するグラフである。
を示すグラフである。
の変化を示すグラフである。
すタイムチャートである。
例を表すタイムチャートである。
示すプロセスフロー図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 流動床ボイラで発生する石炭燃焼灰を水
と混練して固化体を製造する装置の混練機において、混
練開始後所定時間経過した混練後期工程における混練機
の攪拌動力実効電流値が所定の勾配と初期値を有する目
標関数に沿うように注水量を調整することを特徴とする
自動注水制御システム。 - 【請求項2】 前記目標関数より所定値だけ低い下限管
理限界関数を有し、混練開始から単数又は複数の所定時
間が経過した時における前記攪拌動力実効電流値が該下
限管理限界関数の値より低い場合に所定流量の水を添加
することを特徴とする請求項1記載の自動注水制御シス
テム。 - 【請求項3】 混練工程終了時における前記攪拌動力実
効電流値を測定し、良品が得られた複数のバッチについ
て求めた該電流値の平均値に基づいて前記目標関数の勾
配を調整することを特徴とする請求項1または2記載の
自動注水制御システム。 - 【請求項4】 混練工程終了時における前記攪拌動力実
効電流値を測定し、前記目標値に対して予め設定される
管理巾から外れた場合に警報を発生することを特徴とす
る請求項1ないし3のいずれかに記載の自動注水制御シ
ステム。 - 【請求項5】 前記混練後期工程における前記攪拌動力
実効電流値の勾配を算出し、該勾配が所定の閾値を越え
るときに警報を発生することを特徴とする請求項1ない
し4のいずれかに記載の自動注水制御システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8342431A JP2925075B2 (ja) | 1996-12-06 | 1996-12-06 | 燃焼灰混練機の自動注水制御システム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP8342431A JP2925075B2 (ja) | 1996-12-06 | 1996-12-06 | 燃焼灰混練機の自動注水制御システム |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10165921A JPH10165921A (ja) | 1998-06-23 |
JP2925075B2 true JP2925075B2 (ja) | 1999-07-26 |
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Family Applications (1)
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JP8342431A Expired - Fee Related JP2925075B2 (ja) | 1996-12-06 | 1996-12-06 | 燃焼灰混練機の自動注水制御システム |
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JP2006287043A (ja) * | 2005-04-01 | 2006-10-19 | Fujitsu Ten Ltd | リニアソレノイド駆動装置の異常検出方法 |
JP7400759B2 (ja) * | 2021-03-19 | 2023-12-19 | Jfeスチール株式会社 | ブリケットの製造方法 |
-
1996
- 1996-12-06 JP JP8342431A patent/JP2925075B2/ja not_active Expired - Fee Related
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