JP2923781B1 - 窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工方法 - Google Patents

窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工方法

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JP2923781B1 JP10192499A JP19249998A JP2923781B1 JP 2923781 B1 JP2923781 B1 JP 2923781B1 JP 10192499 A JP10192499 A JP 10192499A JP 19249998 A JP19249998 A JP 19249998A JP 2923781 B1 JP2923781 B1 JP 2923781B1
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Abstract

【要約】 【課題】 窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工
方法を提供する。 【解決手段】 優れた強度及び/又は靱性を有する窒化
ケイ素系セラミックスの焼結成型体を作製する方法であ
って、窒化ケイ素系原料粉末を圧粉成型して予備成型体
を作製し、当該予備成型体にその一部を拘束した状態で
焼結・成型加工を施し、予備成型体の少なくとも一部分
に塑性流動を生じさせて焼結成型体の各部分の結晶粒の
配向方向を所定の方向に制御することを特徴とする窒化
ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、優れた強度及び/
又は靱性を有する窒化ケイ素系セラミックスの焼結成型
体を作製する方法に関するものであり、更に詳しくは、
窒化ケイ素系原料粉末を圧粉成型して作製した予備成型
体を仮焼結体又は焼結体とすることなく、そのまま、当
該予備成型体に、直接、超塑性を利用した焼結・成型加
工を施し、窒化ケイ素系セラミックスの各部分に所定の
結晶粒配向組織を形成させることを特徴とする窒化ケイ
素系セラミックスの焼結・成型加工方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、窒化ケイ素系(サイアロン系を含
む)セラミックスは、高強度、高耐熱性、低比重、高耐
食性及び高耐熱衝撃性等の優れた特性を有していること
から、例えば、機械部品の構造用材料等として注目を集
めている。従来、窒化ケイ素系セラミックスからなる機
械部品は、原料粉末を金型圧粉成型等によって成型し、
更に、これを焼結する方法によって作製されている。し
かしながら、このような方法では、焼結による製品の収
縮が伴い、そのために、例えば、精度を要求される部品
については更に切削、研削、研磨等の機械加工が必要で
あり、生産性及びコストの面で解決すべき問題があるこ
とから、これらの問題を解決できる新しい成型加工方法
の開発が強く望まれていた。
【0003】これに対して、最近、窒化ケイ素系セラミ
ックスに関して超塑性を利用した成型加工方法が提案さ
れている。その代表的な例をあげると、例えば、窒化ケ
イ素系セラミックス焼結体について制御された温度及び
歪速度の下で超塑性による成型加工が可能であることが
報告されている(特開平8−10457l号公報)。こ
のような超塑性を利用した塑性(成型)加工による方法
は、従来のような焼結後の機械加工をすることなく、窒
化ケイ素系セラミックスを所定の形状に精度よく成型す
ることができるので、窒化ケイ素系セラミックスからな
る機械部品の生産性を向上させることができる。
【0004】このように、窒化ケイ素系セラミックスは
超塑性を利用した方法による成型加工が可能であり、こ
の方法によれば、焼結後の製品の機械加工を省略するこ
とができるので、機械加工に伴う問題を解決することが
できる。しかしながら、超塑性成型加工によって作製し
た機械部品には、成型加工による塑性流動方向に結晶粒
の配向が生ずるので、当該機械部品は機械的性質が方向
によって異なるいわゆる異方性の問題を有しており、そ
の結果、機械部品の適用範囲は限定されたものとなる。
本発明者らの一部は、これまで、このような問題を解決
することを目標として種々研究を積み重ねる中で、窒化
ケイ素系セラミックスの仮焼結体又は焼結体に多段階の
超塑性成型加工を施し、各成型段階毎に焼結体の各部分
の結晶粒の配向を所定の方向にコントロールすることに
よって前記問題を解決できること、更に、窒化ケイ素系
セラミックス焼結体の各部分に所定の結晶粒配向組織を
形成することにより、焼結体の特定方向への強度及び/
又は靭性の向上を図ることができること等の知見を得
て、先に、特許出願をした(特願平9−21773、以
下、従来プロセスと記載することがある。)。このよう
に、本発明者らの一部によって、窒化ケイ素系セラミッ
クス焼結体に多段階の超塑性成型加工を施し、焼結成型
体の各部分の結晶粒を所定の方向に制御することによっ
ていわゆる異方性の問題を解決することができること、
そして、それによって、焼結体の特定方向への強度及び
/又は靭性の向上を図ることができることが報告されて
いる。しかしながら、窒化ケイ素系セラミックス焼結体
の超塑性成型加工は、一般に、高温、低速度で行われる
ため、生産性の面で改善すべき問題がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、従来プロセスの改良を種々試みる中
で、成型加工の速度を上げて生産性の向上を図ることを
達成するために、窒化ケイ素系原料粉末を圧粉成型して
作製した予備成型体を仮焼結体又は焼結体とすることな
く、そのまま、当該予備成型体に、直接、超塑性成型加
工を施すことを試みた。その結果、みかけの変形歪み量
を高くとることにより高い配向度が達成されること、そ
して、それによって、従来製品を上回る優れた強度及び
/又は破壊靭性を有する窒化ケイ素系セラミックスの焼
結・成型体が得られること、更に、予備成型体の変形能
が大きいことにより成型加工の速度が向上し、加工時間
が短縮されること等の新規な知見を見出し、本発明を完
成するに至った。
【0006】すなわち、本発明は、窒化ケイ素系原料粉
末を圧粉成型して作製した予備成型体を仮焼結体又は焼
結体とすることなく、そのまま、当該予備成型体に、直
接、超塑性成型加工を施し、焼結と成型加工を同時に行
うことを特徴とする窒化ケイ素系セラミックスの焼結・
成型加工方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、窒化ケイ素系セラミックスの予備成型
体の各部分に、各部分が受持つ機能に応じた適切な結晶
粒配向組織を形成することのできる窒化ケイ素系セラミ
ックスの焼結・成型加工方法を提供することを目的とす
るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段からなる。 (1)優れた強度及び/又は靱性を有する窒化ケイ素系
セラミックスの焼結成型体を作製する方法であって、窒
化ケイ素系原料粉末を圧粉成型して予備成型体を作製
し、当該予備成型体にその一部を拘束した状態で焼結・
成型加工を施し、予備成型体の少なくとも一部分に塑性
流動を生じさせて焼結成型体の各部分の結晶粒の配向方
向を所定の方向に制御することを特徴とする窒化ケイ素
系セラミックスの焼結・成型加工方法。 (2)窒化ケイ素系原料粉末が、α窒化ケイ素粉末、α
サイアロン粉末、β窒化ケイ素粉末、βサイアロン粉末
及び焼結助剤粉末から選択されるl種以上の組合わせか
らなる前記(1)記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼
結・成型加工方法。 (3)上記予備成型体を仮焼結体又は焼結体とすること
なく、そのまま、当該予備成型体に、直接、超塑性領域
での焼結・成型加工を施すことを特徴とする前記(1)
記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工方
法。 (4)予備成型体の相対密度が70%以下である前記
(1)記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加
工方法。 (5)予備成型体の焼結・成型加工が、熱間圧縮加工、
熱間圧延加工、熱間押出し加工及び熱間引張り加工から
選択される1種以上の方法によって行われる前記(1)
記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工方
法。
【0008】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、前記のように、窒化ケイ素系原料
粉末を圧粉成型して予備成型体を作製し、得られた予備
成型体を仮焼結体又は焼結体とすることなく、そのま
ま、当該予備成型体にその一部分を拘束した状態で、直
接、超塑性を利用した焼結・成型加工を施し、予備成型
体の少なくとも一部分に塑性流動を生じさせて焼結成型
体の各部分の結晶粒の配向方向を所定の方向に制御する
ことを特徴とする窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成
型加工方法、を提供するものである。従来プロセスで
は、超塑性成型加工の前に、原料粉末をホットプレスに
より成型、焼結して仮焼結体又は焼結体を製造する工程
が必須とされていた。しかし、この仮焼結体又は焼結体
はそれ自体が密度が高く、高い配向度を達成することは
困難であり、そのため、配向度の向上による高強度及び
/又は高靭性化には限界があり、また、加工時間の短縮
にも限界があった。これに対して、本発明の方法は、従
来プロセスに比較して、予備成型体に、直接、超塑性を
利用した焼結・成型加工を施すため、従来プロセスの超
塑性成型加工の前の仮焼結又は焼結の工程を省くことが
できる、みかけの変形歪み量を高くとることにより高い
配向度を実現することができる、予備成型体は相対密度
70%以下であり、当該予備成型体中の空隙部の存在に
より成型加工の速度を向上させることができる等の長所
を有しており、これにより、低コスト、高速度で窒化ケ
イ素系セラミックスを焼結・成型加工することを可能と
し、かつ、高強度及び/又は高靭性の製品を得ることを
可能とするものである。
【0009】本発明において、窒化ケイ素系原料粉末と
しては、α窒化ケイ素粉末、αサイアロン粉末、β窒化
ケイ素粉末、βサイアロン粉末及び焼結助剤粉末の1種
以上の組み合わせが使用される。窒化ケイ素系原料粉末
は、複数の種類を適宜組み合わせて使用することが可能
であり、窒化ケイ素系セラミックスの要求特性に応じて
上記原料粉末を適宜選択して使用することができる。次
に、窒化ケイ素系原料粉末を圧粉成型する方法として
は、例えば、圧縮成型、射出成型、鋳込み成型等が好適
なものとして例示されるが、これらに限らず原料粉末を
そのまま成型できる方法であれば適宜の方法が使用され
る。本発明において、圧粉成型とは、上記方法又はそれ
らと同効の方法で成型することを意味する。
【0010】次に、予備成型体にその一部を拘束した状
態で超塑性を利用した焼結・成型加工を施す方法として
は、熱間圧縮加工、熱間圧延加工、熱間押出し加工及び
熱間引張り加工の中から選択される1種以上の方法を用
いて超塑性成型加工する方法が使用される。予備成型体
の焼結・成型加工は、1段又は多段階の加工を施すこと
によって行われる。この場合、例えば、各段階の焼結・
成型加工を全て熱間圧縮加工によって行ってもよく、ま
た、第1段階を熱間押出し加工で行い、第2段階を熱間
圧延加工で行い、第3段階を熱間引張り加工で行っても
よい。このように、予備成型体の超塑性成型加工は、複
数の加工方法の中から選択される適宜の加工方法を用い
て行うことができるので、予備成型体を様々な形状に容
易に成型加工することが可能であり、その結果、機械部
品としての適用範囲を大幅に拡大することが可能とな
る。
【0011】本発明において、予備成型体は、圧粉成型
等によって粉末を固めたものであり、相対密度が70%
以下であるものを意味し、また、焼結・成型体は、予備
成型体に熱と圧力を加えて焼結・成型加工を施したもの
であり、相対密度98%以上であるもの、を意味する。
【0012】本発明の窒化ケイ素系セラミックスの超塑
性成型加工方法は、上記のように、基本的には、原料粉
末の調製、予備成型、及び1段又は多段の熱間加工の各
工程からなることを特徴とするものであり、以下に、そ
の各工程の内容を更に詳細に説明する。まず、原料粉末
の調製について説明すると、窒化ケイ素系原料粉末とし
ては、前記のように、α窒化ケイ素粉末、αサイアロン
粉末、β窒化ケイ素粉末、βサイアロン粉末及び焼結助
剤粉末の1種以上を組み合わせたものが使用される。α
窒化ケイ素は、通常、酸素を微量含有しており、その組
成はSi3 4 〜Si11.5150.5 で表される。α窒
化ケイ素の結晶粒は、等軸であり、高温、例えば、15
00℃以上ではβ窒化ケイ素に相転移する。β窒化ケイ
素は、高温及び低酸素分圧下で安定であり、その組成は
Si3 4 で表される。β窒化ケイ素の結晶粒は、棒状
又は柱状である。なお、α窒化ケイ素とβ窒化ケイ素
は、粉末合成時に混在して合成され、通常、合成粉末中
のα窒化ケイ素の含有率は90%以上である。サイアロ
ンは、Si3 4 のSiとNの一部をAlとOで置換し
た材料であり、α型とβ型との2種類の結晶型がある。
焼結助剤は、焼結促進剤であり、例えば、Mg,A1,
Y,Sc,La,Ce,Be,Zrの酸化物又は窒化物
の1種以上を組み合わせたものが好適なものとして使用
される。このように、本発明においては、複数の種類の
窒化ケイ素系原料粉末を使用することが可能であり、窒
化ケイ素系セラミックスの要求特性に応じて上記原料粉
末を適宜選択して使用することができる。
【0013】次に、各工程について説明すると、原料粉
末としては、例えば、窒化ケイ素系粉末であるα窒化ケ
イ素粉末及びβ窒化ケイ素粉末と、焼結助剤であるY2
3粉末及びA12 3 粉末が好適なものとして使用さ
れるが、必要に応じて他の原料粉末及び他の焼結助剤も
使用することができる。α及びβ窒化ケイ素粉末は、金
属ケイ素粉末をアンモニアガス中で窒化させることによ
って合成される。合成粉末中のα窒化ケイ素の含有率
は、例えば、約95%である。また、窒化ケイ素系原料
粉末の調製方法としては、例えば、上記合成粉末に5w
t%のY2 3 と3wt%のA12 3 を焼結助剤とし
て加え、これをボールミルによってメタノール中で回転
数750rpmで3時間混合して混合粉末を調製する方
法が例示される。
【0014】次に、原料粉末を圧粉成型する方法として
は、上記混合粉末を金型に充填した後、圧縮成型し予備
成型体とする方法が例示される。この場合、予備成型体
を作製する方法として、例えば、圧縮成型、射出成型、
鋳込み成型等による適宜の方法が使用される。また、こ
の時点で、必要に応じて、ウィスカ、種結晶、パーティ
クル等を適宜添加することができる。すなわち、予備成
型体を作製する際に、原料粉末に、種結晶、ウィスカ、
パーティクル等を添加して予備成型体を形成し、当該成
型体に結晶粒の成長を促進又は抑制しながら超塑性成型
加工を施すことができる。この場合、種結晶としては、
粗大な窒化ケイ素粉末を用いることが可能であり、ウィ
スカとしては、窒化ケイ素ウィスカ、炭化ケイ素ウィス
カなどを用いることが可能であり、パーティクルとして
は、炭化ケイ素の微小結晶粒子などを用いることが可能
である。一般に、窒化ケイ素は粒成長を促進する効果、
炭化ケイ素はそれを抑制する効果を有する。
【0015】本発明においては、上記圧粉成型によって
予備成型体が形成される。当該予備成型体の形状は、焼
結成型加工後の最終製品の形状とそれに適した配向組織
の形成を考慮した形状で決定されるが、具体的には、例
えば、立方体等、適宜の機械部品の形態に形成すること
が可能であり、その形態は、特に限定されるものではな
い。また、予備成型体の相対密度は、好ましくは70%
以下である。
【0016】次に、上記予備成型体にその一部分を拘束
した状態で超塑性を利用した焼結・成型加工を施す。当
該工程において、熱間加工は、例えば、予備成型体を型
治具に挿入し、その一部分の変形を拘束した状態で、超
塑性加工条件下で熱間圧縮加工することによって行われ
る。超塑性焼結・成型加工条件は、焼結・成型温度13
00〜2300℃、歪速度l0-1/秒以下であることが
好ましい。また、l800℃以上では、窒化ケイ素の昇
華分解を防止するために窒素ガス加圧雰囲気で成型加工
を行う。この場合、焼結・成型温度が1300℃未満で
は焼結・成型加工の速度が遅くなり、焼結・成型加工の
効率が低下し、また、焼結・成型温度が2300℃を超
えると、窒化ケイ素の昇華分解が生ずる恐れがある。ま
た、歪速度がl0-1/秒を超えると焼結・成型中に予備
成型体内にキャビティが発生し、所定の歪量まで超塑性
変形させることができない。なお、好ましい焼結・成型
加工の好適な温度範囲は、1350〜2000℃であ
り、また、好適な歪速度は10-2/秒以下である。
【0017】本発明において、上記熱間加工は1段又は
多段階で行うことができるが、多段階の熱間加工の場
合、例えば、l段目の熱間加工と2段目の熱間加工では
焼結が同時的に進行し、通常、α粒子が多い場合、αか
らβへの相転移を介して焼結が速く進行する。また、粒
成長の核になるβ窒化ケイ素粒子の量及び形状を制御す
ることにより、焼結後の組織形成を制御することができ
る。このように、α,β粒子の量及び形状を制御するこ
とによって所望の予備成型体及び焼結・成型体を製造す
ることができる。熱間加工中、焼結助剤と窒化ケイ素粒
子の表面に存在するSiO2 が反応し、加熱によって液
相を生成し、α窒化ケイ素粒子が液相に溶解し、未溶解
のβ窒化ケイ素粒子上に析出して粒成長する。また、α
窒化ケイ素粒子は、溶解、析出、粒成長の過程でβ窒化
ケイ素に相転移し、生成したβ窒化ケイ素粒子は棒状に
成長し、焼結成型体の機械的性質を向上させる。なお、
焼結助剤を原料粉末中に添加すると、液相焼結が促進さ
れる。
【0018】焼結・成型加工の工程において、成型圧力
は、成型温度に応じて10-1/秒以下の歪速度となるよ
うに2〜100MPaの範囲内で適宜調整される。成型
加工の雰囲気は、非酸化性雰囲気が好ましく、例えば、
窒素ガス雰囲気が例示される。酸化性雰囲気は、窒化ケ
イ素が酸化されるので好ましくない。型治具の材質は、
例えば、セラミックス、黒鉛等が好適なものとして例示
される。なお、本発明の方法の好適な一例をあげると、
例えば、超塑性焼結・成型加工条件としては、雰囲気:
大気圧窒素、成型温度:1750℃、歪量:50%、加
工時間:1.5hrが例示され、型治具としてはSiC
製が例示される。
【0019】多段階の熱間加工の場合、1段目の熱間加
工によって、中間焼結成型体又は焼結成型体には棒状結
晶粒の長手方向を所定の方向に配向させた結晶粒配向組
織が既に形成されているので、多段階成型部分には新た
な配向組織が、また、多段成型部分と1段成型部分との
境界部分には、例えば、曲線状の所定の方向の結晶粒配
向組織が形成される。このように、本発明では、予備成
型体を仮焼結体又は焼結体とすることなく、そのまま、
当該予備成型体に、直接、1段又は多段階の超塑性成型
加工が施されるので、各成型段階毎に焼結成型体の全体
あるいは一部分に塑性変形が生ずる。したがって、各成
型段階毎に予備成型体、中間焼結成型体又は焼結成型体
の各部分の塑性流動方向を所定の方向に制御すれば、焼
結成型体の各部分の結晶粒を所定の方向に配向させた結
晶粒配向組織が形成される。
【0020】そのため、結晶粒の配向方向又は配向面に
平行な方向の力に対する引張り強度、曲げ強度及び靱性
は、他の方向の力に対する引張り強度、曲げ強度及び靭
性よりも高強度及び/又は高靭性であり、結晶粒配向組
織を焼結成型体の所定部分に形成することによって、予
め定めた複数の方向における焼結成型体の強度及び/又
は靭性を向上させることができる。また、結晶粒配向組
織が形成されることによって、結晶粒の配向方向に対し
て垂直方向に進行するクラックが発生しても、クラック
の進行方向が結晶粒配向方向に沿う方向に変化するの
で、クラックの直進が妨げられ、クラックの侵入深さが
小さくなる。また、前記のように、予備成型体の相対密
度が70%以下の低密度であるので、それに続く超塑性
成型加工によって焼結成型体の相対密度が増大し、その
結果、焼結成型体の全体的な強度水準が大幅に向上す
る。
【0021】以上説明したように、本発明においては、
予備成型体にその一部分を拘束した状態で焼結・成型加
工を施し、予備成型体の少なくとも一部分に塑性流動を
生じさせて焼結成型体の各部分に所定の結晶粒配向組織
を自在に形成することができるので、各部分が受け持つ
機能に応じた特性を各部分毎に付与することが可能であ
り、その結果、本発明の焼結成型体は、機械部品等とし
て広範囲の用途に適用することができる。
【0022】また、本発明の他の態様として、既に、結
晶粒配向組織の形成された予備成型体を用いて焼結・成
型加工を行うことも適宜可能である。また、配向組織を
有する予備成型体は、窒化ケイ素系原料粉末に種結晶、
ウィスカ等を添加し、シート成型、射出成型等を施して
製造される。この場合、配向組織を有する予備成型体に
焼結・成型加工が施され、窒化ケイ素系セラミックスの
焼結成型体が形成される。これによって、窒化ケイ素系
セラミックスの結晶粒配向組織が更に多様に形成される
ので、窒化ケイ素系セラミックスの各部分が受け持つ機
能に応じた特性を、各部分毎に更にきめ細かく付与する
ことができ、これにより、窒化ケイ素系セラミックスの
用途を更に拡大することができる。また、焼結・成型加
工を仕上げ加工として施すことができるので、これによ
り、窒化ケイ素系セラミックスの結晶粒配向組織を所望
の配向組織と一致するように精度よく制御し、かつ最終
製品の形状に近い焼結成型体とすることができる。
【0023】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明するが、本発明は当該実施例によって何ら限定される
ものではない。 実施例 本実施例における実施の手順を図1に示す。α窒化ケイ
素粉末(宇部製E−10)に焼結助剤としてイットリア
粉末(信越製サブミクロングレード)5wt%とアルミ
ナ粉末(住友化学製AKP30)3wt%を加え、メタ
ノール中でボールミルを用いて50時間混合した。この
混合粉末40gを底面20×40mmの金型ダイスに入
れ、荷重2000kgをかけて圧粉成型体を作製した。
この圧粉体の密度はおよそ45%であった。(圧粉体の
高さは約35mmである。) 圧粉成型体を底面20×80mmのカーボンダイスに入
れ、側面を拘束した状態で熱間圧縮加工を行った。圧縮
加工はホットプレスを用いて、1750℃、大気圧窒素
雰囲気中、圧縮荷重5000kgで2時間かけて行っ
た。
【0024】得られた焼結体は20×80×0.8mm
で密度は3.24(ほぼ100%の密度)であった。こ
の焼結体から組織観察試験片、強度試験片及び破壊靱性
試験片を切り出した。尚、試験規格はJISに適合させ
た。この焼結体の組織を図2に示す。図2中、(a)は
側面(拘束面)側の組織、(b)は圧縮面(上面)側の
組織である。図2から、この焼結体は、棒状の結晶粒が
圧縮面内に配向した2次元配向的な組織をもっているこ
とが分かる。この試験片の強度は2100MPa、破壊
靱性は8.5MPa・m1/2 であった。得られた値を過
去の解説論文(日本金属学会会報、まてりあ、1996
年11月号「チャンピオンデータとその限界」特集号)
の図(図1 窒化珪素材料の強度と破壊靱性)中にプロ
ットしたものを図3に示す。図3から、この焼結体は、
特に強度は従来の世界最高値を上回る値であることが分
かる。また、破壊靱性も高く、強度と破壊靱性値が高い
レベルで実現できている。
【0025】
【発明の効果】本発明によれば、以下のような効果が奏
される。 (1)従来プロセスで必須の仮焼結体又は焼結体の作製
プロセスを省略することができる。 (2)窒化ケイ素系セラミックスの各部分の結晶粒の配
向方向を所定の方向に配向させることができるので、各
部分毎に、各部分が受け持つ機能に応じた特性を付与す
ることができる。 (3)生産性を向上させ、窒化ケイ素系セラミックスの
機械部品としての適用範囲を大幅に拡大することができ
る。 (4)複数の種類の窒化ケイ素系原料粉末を使用するこ
とが可能であり、窒化ケイ素系セラミックスの要求特性
に応じて適正な原料粉末を適宜選択して使用することが
できる。 (5)予備成型体の熱間加工は、各成型段階毎に熱間圧
縮加工、熱間圧延加工、熱間押出し加工及び熱間引張加
工から選択された適宜の加工方法を用いて行うことがで
きるので、予備成型体を様々な形状に焼結・成型加工す
ることが可能であり、その結果、機械部品としての適用
範囲を大幅に拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成
型加工方法のフローを示す説明図である。
【図2】本発明の実施例で作製した焼結成型体の組織
(写真)を示す説明図である。
【図3】窒化ケイ素材料の強度と破壊靱性を示す説明図
である。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 優れた強度及び/又は靱性を有する窒化
    ケイ素系セラミックスの焼結成型体を作製する方法であ
    って、窒化ケイ素系原料粉末を圧粉成型して予備成型体
    を作製し、当該予備成型体にその一部を拘束した状態で
    焼結・成型加工を施し、予備成型体の少なくとも一部分
    に塑性流動を生じさせて焼結成型体の各部分の結晶粒の
    配向方向を所定の方向に制御することを特徴とする窒化
    ケイ素系セラミックスの焼結・成型加工方法。
  2. 【請求項2】 窒化ケイ素系原料粉末が、α窒化ケイ素
    粉末、αサイアロン粉末、β窒化ケイ素粉末、βサイア
    ロン粉末及び焼結助剤粉末から選択されるl種以上の組
    合わせからなる請求項l記載の窒化ケイ素系セラミック
    スの焼結・成型加工方法。
  3. 【請求項3】 上記予備成型体を仮焼結体又は焼結体と
    することなく、そのまま、当該予備成型体に、直接、超
    塑性領域での焼結・成型加工を施すことを特徴とする請
    求項1記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加
    工方法。
  4. 【請求項4】 予備成型体の相対密度が70%以下であ
    る請求項1記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成
    型加工方法。
  5. 【請求項5】 予備成型体の焼結・成型加工が、熱間圧
    縮加工、熱間圧延加工、熱間押出し加工及び熱間引張り
    加工から選択される1種以上の方法によって行われる請
    求項1記載の窒化ケイ素系セラミックスの焼結・成型加
    工方法。
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