JP2585506B2 - 炭化珪素焼結体およびその製法 - Google Patents

炭化珪素焼結体およびその製法

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高密度の炭化珪素焼結体に係り、特に構造
材料として好適な緻密質炭化珪素焼結体に関する。
〔発明の背景〕
炭化珪素焼結体は、極めて優れた物理的性質を有し化
学的にも安定であり、特にガスタービン及びエンジン用
部品材料、高温熱交換器材料として好適な材料である。
炭化珪素焼結体をこうした構造材料として利用しようと
する場合には、特に高強度,高じん性が要求される。そ
のためには、まず破壊の起点となる空孔のない高密度の
焼結体を得ることが必要である。さらに焼結体を構成す
る結晶粒子径と焼結体強度の関係を調べた種々の研究か
ら、結晶粒径が小さい方が焼結体強度が大きくなること
が知られており(例えば、H.P.Kirchner et al.,J.Am C
eram Soc.,53,232(1970))、焼結体の結晶粒径はでき
るだけ小さい方が好ましい。さらに本発明者らの検討に
よつても、炭化珪素焼結体の平均結晶粒径が小さくなる
と、焼結体の破壊じん性値が大きくなる傾向が見られ
る。この点でも結晶粒径は小さい方が好ましい。
炭化珪素は難焼結体の物質であり、高温構造材料とし
ての高密度炭化珪素焼結体を得る方法として、従来反応
焼結法,常圧焼結法,ホツトプレス法等が知られてい
る。反応焼結体は炭化珪素と炭素の混合粉末を成形し、
その成形体に溶融金属珪素を含浸させて成形体中の炭素
との反応により炭化珪素を生成させて、成形体中の空隙
を埋める方法である。この方法によつて得られる焼結体
中には未反応の金属珪素が8〜12%程度残留するため、
均質組織が得にくく、高温強度もあまり大きくない。
常圧焼結法は微粒の炭化珪素粉末に焼結助剤として、
B(B4C)Cなどを加えて加圧することなく焼結する方
法であり複雑形状の部品を得ることができるが、高温で
焼成することが必要であるため、焼結体の結晶粒径は10
〜30μm程度にまで成長し、高密度でかつ機械的強度の
高い材料を得ることが困難で、焼結体の強度は50Kg/mm2
程度である。
またホツトプレス法は、微粒の炭化珪素粉末に焼結助
剤としてBとC又はAl2O3,AlNなどを加えて加圧焼結す
る方法であり、ほとんど理論密度に近い焼結体が得ら
れ、高強度の焼結体が得られている。しかし、一般に入
手できる微細な炭化珪素原料粉末は、せいぜいサブミク
ロンオーダのものであり、この原料粉末の粒径の制約か
ら、得られる焼結体の結晶粒径は、焼結中の粒成長の最
も小さいAlNを焼結助剤とした場合でも2μm以上に粒
成長してしまうため、特に破壊じん性が不充分である。
近年、炭化珪素の焼結性向上を目的として、有機珪素
高分子化合物を熱分解することによつて得た超微粒の炭
化珪素粉末を用いる方法がいくつか提案されている。例
えば、特公昭55−46996号公報において、有機珪素高分
子化合物を熱分解して得られた粉末を酸化性雰囲気中で
加熱することによつて粉末に含まれている遊離のカーボ
ンを除去し、さらにこれを酸処理することによつてSiO2
等を除去するという複雑な後処理工程を経た粉末を用い
て焼結体を製造する方法が開示されている。このような
不純物の少ない炭化珪素粉は、一般に焼結性は向上する
が、逆に活性が高く焼結中の粒成長が著しいので、通常
の焼結条件では微細な結晶粒をもつ焼結体は得にくい。
また、粒成長抑制剤を添加して、焼結体における結晶粒
径を小さくおさえた公知例として、特開昭59−131578号
公報、特開昭55−85470号公報及び特開昭55−85464号公
報が挙げられる。
しかし、これらの技術は原料炭化珪素粉末が前記カー
ボンのような不純物の含まれていない高純度のものが使
われているため、粒成長抑制剤が添加されても、粒成長
が幾分生じ、せいぜい結晶粒径が1μm程度までしか小
さくできず、それより小さい結晶粒径の焼結体を確実に
得ることが難かしかった。また、熱分解温度が比較的高
いために、この時点ですでに結晶がかなり成長する可能
性が大きい。さらに特公昭57−21510号公報において、
有機溶媒に不溶且つ融点もしくは軟化点が熱分解温度よ
り高い溶融不能な有機ポリカルボシラン粉末を製造し、
これを熱分解して得た粉末を用いて焼結体を得る方法が
開示されている。しかしこれは、不溶不融性の有機ポリ
カルボシランの合成が必要であり、また前記特公昭55−
46996号公報で示されるような粉末の後処理を行つた
り、焼結助剤として結晶の粒成長を促すB系化合物を用
いている。従つて得られた焼結体の結晶粒径は比較的大
きなものとなつていることが考えられ、高温構造用部材
として充分な信頼性を持つほどの高強度や破壊じん性値
は示さない。
〔発明の目的〕
本発明の目的は、結晶粒径が1μm未満の粒子により
構成される炭化珪素焼結体を得ることにあり、高温構造
部材として用いる際に充分な信頼性を持つた高強度,高
じん性の炭化珪素焼結体及びその製法を提供することに
ある。
〔発明の概要〕
上記目的を達成するために本発明は、β型炭化珪素又
は50%以上のβ型炭化珪素と残部のα型炭化珪素からな
り、該炭化珪素と焼結体全体に対してA1またはA1化合物
からなり、A1に換算して0.1〜5重量%の焼結助剤とか
らなる炭化珪素焼結体において、炭化珪素結晶の粒径が
1μm以下、室温の4点曲げ強度が794MN/m2及び室温の
破壊靱性が5.1MN/m3/2以上であることを特徴とするもの
である。
また他の発明は、有機珪素高分子化合物を50℃〜500
℃の酸化性雰囲気中で酸化処理した後、真空中又は不活
性ガス雰囲気中で700℃〜1500℃で熱分解することによ
って、非晶質のまたは0.1μmより小さい結晶粒子の一
次粒子から形成され且つ前記一次粒子より大きな二次粒
子より成る原料炭化珪素粉末を製造する工程と、この原
料炭化珪素粉末にA1系焼結助剤をA1に換算して0.1〜5
重量%添加して成形する工程と、この成形物を1600℃〜
1800℃で真空中15分以上または不活性ガス中30分以上熱
処理することによって不純物をガスとして除去する脱ガ
ス工程と、その後の前記成形物を1600℃〜2200℃でホッ
トプレスする工程と、を含む炭化珪素焼結体の製法であ
る。
本発明は、炭素と珪素を主な骨格成分とする有機珪素
高分子化合物を真空中または不活性ガス雰囲気中で700
℃〜1500℃の温度で熱分解することによって、非晶質の
または0.1μmより小さい結晶粒子の一次粒子から形成
され且つ前記一次粒子より大きな二次粒子より成る原料
炭化珪素粉末を製造する。ここで、一次粒子が非晶質と
なるか、または0.1μmより小さい結晶粒子、すなわち
超微細な結晶粒子となるかは、主に有機珪素高分子化合
物の熱分解温度に依存する。低温で熱分解処理した一次
粒子は非晶質となり、より高温で処理した一次粒子は超
微細な結晶粒子となる。用いる有機珪素高分子化合物の
分子量、酸化処理の有無及び程度により異なるが、大ま
かに言えば700℃〜1100℃で処理すると非晶質、1000℃
〜1500℃で処理すると超微細な結晶粒子となる。この得
られた炭化珪素粉末(酸化処理,フツ酸処理等の後処理
を行なわない)に、Al又はAlの化合物をAlに換算して0.
1〜5重量%添加,混合し、この混合粉末を所定形状に
成形した後、真空中または不活性ガス雰囲気中で遊離の
カーボン等の不純物をガスとして除去し、1600〜2200℃
の温度でホツトプレス焼結するものである。特に、上記
ホツトプレス工程において、加熱温度が室温より1600〜
1800℃に至るまでは0〜50Kg/cm2の圧力を焼結体に加え
ながら昇温し、次いで1600〜1800℃に維持しながら、真
空中の場合は15分以上、不活性ガス中の場合は30分以上
加熱する脱ガス工程を設けた点が特徴である。しかる後
に更に昇温し、300〜600Kg/cm2、1600〜2200℃でホツト
プレスすることにより、結晶粒子径が1μm未満の粒子
で主としてβ型炭化珪素で構成された焼結体を得ること
ができる。この場合の焼結体の密度は目的によつて選ぶ
ことができるが、本発明の目的からは理論密度の95%以
上、好ましくは98%以上がよい。
ところで、有機珪素高分子化合物を700〜1500℃で熱
分解して得られた原料炭化珪素粉末には、酸素や遊離炭
素を含んでいるが、これらが前記ホツトプレス前の1600
〜1800℃加熱によつて除かれるために、その後のホツト
プレスにおいて、焼結体が緻密化するものと思われる。
上記の熱処理温度を1600〜1800℃に設定した理由は、
これ以上になると炭化珪素粒子の粒成長が起るため、本
発明の目的である微細な結晶粒の焼結体は得にくくな
る。更に1600〜1800℃で保持することは、脱酸素の効果
ばかりでなく結晶粒子間のネツク部の成長が均一に起
り、粒径を揃える効果が大きい。
本発明の焼結体の結晶型としては、β型が主体となつ
ていることを確認している。β型炭化珪素は立方晶型で
あるので内部歪みが少なく、そのために機械的性質が秀
れている。こうした点からも焼結体中のβ型炭化珪素の
割合は50%以上が好ましい。
前記有機珪素高分子化合物としては、700〜1500℃で
熱分解して炭化珪素を生成するものであれば、とくに限
定するものではない。また、熱分解前に酸化性雰囲気中
で酸化処理する方が、炭化珪素粉末の収量の点では好ま
しい。その場合には50〜500℃で行なうのがよい。
焼結助剤としては、粒成長を極力抑えるものとしてAl
系がよい。例えばAlN,Al2O3,Al4C3,AlB12などであ
り、その添加量はAlに換算して炭化珪素の0.1〜5重量
%が好ましい。とくに高温強度を要求される場合は、0.
3〜3.0重量%が好ましい。
本発明による焼結体の結晶粒径と曲げ強度および破壊
じん性との関係を添付図に示した。
図から明らかな様に、結晶粒径が1μm未満の焼結体
は曲げ強度,破壊じん性が急激に増加することが判る。
とくに破壊じん性は、粒径が約0.7μmになると、これ
までの5〜10μmのものに比べ1.5倍以上となる。これ
は、セラミツクスの破壊エネルギーに換算すると2倍以
上に匹敵する値であり、極めて秀れたものであることが
分かる。
以下、本発明を実施例を示して具体的に説明する。
〔実施例1〕 有機珪素高分子化合物として融点210℃〜260℃のポリ
カルボシランを用い、これを大気中で190℃に加熱して
酸化処理を施した。このポリカルボシランを真空中、13
00℃で1時間保持して超微細炭化珪素粉末を得た。超微
細な炭化珪素の結晶粒子(一次粒子)から成る原料炭化
珪素粉末(二次粒子)を得た。この原料炭化珪素粉末の
粒径は、約10μmであった。この粉末のX線回折図形に
は、β型炭化珪素のメインピークのみが現われ、その回
折線の拡がりから結晶粒子の大きさは14Åと測定され
た。この粉末に焼結助剤として平均粒径0.8μmのAlN粉
末を炭化珪素粉末に対して2重量%添加し、ボールミル
で混合した後、直径45mm×10mmの円板状にプレス成形し
た。この成形体を真空中において室温から1750℃まで無
加圧で、約400℃/hの昇温速度で加熱し、さらに1750℃
で炉内の真空度が5×10-4Torr以下となるまで約30分保
持した。その後、加圧を開始し、500Kg/cm2の圧力をか
けながら、2050℃まで昇温し、1時間保持して焼結体を
得た。得られた焼結体のエツチング面のSEM写真から測
定した焼結体の平均結晶粒径は、約0.7μmで良く粒径
が揃つた組織であつた。結晶型は約80%がβ型であり焼
結体の密度は3.2g/cm3、JISの4点曲げ法に従つて測定
した平均曲げ強度が863MN/m2(RT〜1500℃)、SENB法に
より求めた破壊じん性値KICが7.1MN/m3/2であり、通常
のα型炭化珪素粉末を用いて焼結した平均結晶粒径3〜
5μmの焼結体(4点曲げ強度約700MN/m2、KIC約3.7MN
/m3/2)に比べて強度,靱性とも格段に向上しているこ
とが分かる。
〔実施例2〕 有機珪素高分子化合物として融点150℃〜200℃のポリ
カルボシランを用い、これを実施例1と同様の方法で熱
処理して超微細な炭化珪素の結晶粒子(一次粒子)から
成る原料炭化珪素粉末(二次粒子)を得た。この原料炭
化珪素粉末(二次粒子)の粒径は、約12μmであり、そ
の炭化珪素の結晶粒子(一次粒子)の粒子径は約15Åで
あった。この粉末に焼結助剤として平均粒径0.5μmのA
l2O3粉末を炭化珪素粉末に対して、1.5重量%添加し、
混合,成形した後、実施例1と同一の条件でホツトプレ
ス焼結した。得られた焼結体は、α型とβ型結晶が半分
ずつ混在したものでその平均結晶粒径は、約1.0μm、
密度は3.2g/cm3、4点曲げ強さは794MN/m2、破壊じん性
値KICは5.1MN/m3/2であつた。
〔実施例3〕 実施例1において、酸化処理を施した後の熱分解処理
を、真空中、1000℃で行なうこと、及びホツトプレス焼
結を1900℃、1時間保持により行うこと以外は、実施例
1と同様の方法で焼結体を得た。得られた焼結体はβ型
結晶で、その平均結晶粒径は0.5μm、密度は3.2g/c
m3、4点曲げ強度は941MN/m2、破壊じん性値KICは8.7MN
/m3/2であつた。
〔実施例4〕 有機珪素高分子化合物として融点150℃〜200℃のポリ
カルボシランを用い、実施例1と同様の方法で超微細な
炭化珪素の結晶粒子(一次粒子)から成る原料炭化珪素
粉末(二次粒子)を得た。この原料炭化珪素粉末(二次
粒子)の粒径は、約12μmであり、その炭化珪素の結晶
粒子(一次粒子)の粒子径は約15Åであった。さらにこ
の粉末を用いて焼結体を得るにおいて、ホツトプレスを
1Kg/cm2のアルゴンガス雰囲気中で行なうこと及び1750
℃での保持時間を1時間としたこと以外は実施例1と同
様な方法を行つた。得られた焼結体は約90%がβ型であ
り、平均結晶粒径は0.7μm、密度は、3.17g/cm3、4点
曲げ強度は830MN/m2、破壊じん性値KICは6.8MN/m3/2
あつた。
〔発明の効果〕
本発明の1μm未満の微細な結晶粒より構成される炭
化珪素焼結体は強度及び破壊じん性が極めて秀れてい
る。この炭化珪素焼結体は高温構造材料として極めて有
用である。
【図面の簡単な説明】
図は、焼結体の結晶粒径と曲げ強度及び破壊じん性との
関係を示す曲線図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−127512(JP,A) 特開 昭57−22172(JP,A) 特開 昭55−85463(JP,A) 特公 昭59−19903(JP,B2) 特公 昭55−46996(JP,B2) 特公 昭57−21510(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】β型炭化珪素又は50%以上のβ型炭化珪素
    と残部のα型炭化珪素からなり、該炭化珪素と焼結体全
    体に対してA1またはA1化合物からなり、A1に換算して0.
    1〜5重量%の焼結助剤とからなる炭化珪素焼結体にお
    いて、炭化珪素結晶の粒径が1μm以下、室温の4点曲
    げ強度が794MN/m2及び室温の破壊靱性が5.1MN/m3/2以上
    であることを特徴とする炭化珪素焼結体。
  2. 【請求項2】有機珪素高分子化合物を50℃〜500℃の酸
    化性雰囲気中で酸化処理した後、真空中又は不活性ガス
    雰囲気中で700℃〜1500℃で熱分解することによって、
    非晶質のまたは0.1μmより小さい結晶粒子の一次粒子
    から形成され且つ前記一次粒子より大きな二次粒子より
    成る原料炭化珪素粉末を製造する工程と、この原料炭化
    珪素粉末にA1系焼結助剤をA1に換算して0.1〜5重量%
    添加して成形する工程と、この成形物を1600℃〜1800℃
    で真空中15分以上または不活性ガス中30分以上熱処理す
    ることによって不純物をガスとして除去する脱ガス工程
    と、その後の前記成形物を1600℃〜2200℃でホットプレ
    スする工程と、を含む炭化珪素焼結体の製法。
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