JP2923298B2 - 医療用ガイドワイヤ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は血管内の患部の治療又は検査において用いら
れる血管内導入用カテーテルを案内するための医療用ガ
イドワイヤーに関する。

（従来の技術） 従来、血管内導入用カテーテルは血管内の患部の治
療、検査において、薬液、造影剤等の注入を主たる目的
として用いられている。ところで、従来の血管内導入用
カテーテルは合成樹脂からなる可撓性チューブ体の基端
に単にハブを取着した構造のものであるため、血管内導
入用カテーテルの血管内への導入に先立ち、予めガイド
ワイヤを血管内に挿入し、ついで、これに血管内導入用
カテーテルを嵌挿させるようにして血管内導入用カテー
テルを血管の目的部位まで導入させていた。カテーテル
を目的部位まで到達させたのちはガイドワイヤを抜去
し、ついでカテーテルの基端から造影剤、薬剤、塞栓物
質等の注入がおこなわれる。

（発明が解決しようとする課題） 上述のように、従来、血管内導入用カテーテルを介し
て薬液等を血管内に導入する場合、先に導入したガイド
ワイヤが邪魔になるため、これをカテーテルから引き抜
いたのちでなければ、これらの導入をおこなうことがで
きなかった。そのため、操作が繁雑となり長時間を要す
るなどの問題があった。

したがって、本発明は一旦、血管等に導入したガイド
ワイヤを、薬液等の導入時にいちいち抜去する必要のな
いように構成した医療用ガイドワイヤを提供することを
目的とする。

（課題を解決するための手段） 本発明は上記課題を解決するため、ガイドワイヤ本体
の基端にカテーテルハブと接続可能なコネクターの着脱
自在に設けるという手段を講じた。

即ち、本発明は、ワイヤ本体と、該ワイヤ本体の基端
部に着脱自在に取着されたハブとを具備してなることを
特徴とする医療用ガイドワイヤを提供するものである。

さらに、本発明は前記ハブがその先端から基端へ通ず
る液体流通部を有するとともに、その先方側に位置し先
端部にオス型テーパー部を有する前部外筒と；該ハブの
後方側に位置し、該前部外筒の後端側と嵌合し後端部に
メス型テーパー部を有する後部外筒と；一部が上記前部
外筒内に、他部が上記後部外筒内に収納され、外周面の
一部にテーパー面が形成された筒状体からなり、該テー
パー形成部から一方の端部にかけて軸心中空部に達する
２以上のスリットが形成されていて、このスリット形成
部分が該テーパー面と上記前部外筒又は後部外筒の内壁
面との圧接により上記軸心中空部に向って収縮し上記ワ
イヤ本体を挾持固定するとともに該スリットを介して液
体の流通を可能にしたチャック部材とからなることを特
徴とする医療用ガイドワイヤを提供するものである。

ワイヤ本体としては従来と同様のもの例えば超弾性線
の如き金属線を用いることができる。この金属線の表面
に合成樹脂を被覆したり、又、さらにその上に水溶性高
分子材料を被覆させてもよい。又、カテーテル本体の外
表面にも水溶性高分子材料を被覆し、血管内壁との摩擦
抵抗を小さくするようにしてもよい。さらにＸ線不透過
性物質をカテーテル本体又は超弾性線の被覆樹脂層中に
混入させＸ線造影により観察下でカテーテル導入操作を
おこなえるようにしてもよい。

なお、本明細書において、超弾性線とは合金の逆変態
終了温度以上の温度下で応力負荷をおこなうと見掛上、
数％〜10％程度の塑性変形を起すが、除荷と同時に完全
に元に戻る合金線を意味し、具体例としてはNi:50.5〜5
1.0at％のTiNi合金が最も好ましいが、Ni:50.3〜52.0の
TiNi合金でも可能である。また、TiNi合金に第３元素を
一種もしくは数種添加した謂ゆるTiNi X系合金等もあ
る。

さらに、本発明は上記構成の医療用ガイドワイヤにお
いて、カテーテルからの血液等の漏れを防止するためコ
ネクターの一部に液体通路を適宣遮断し得る弁機構、例
えば二方活栓、三方活栓を設けたガイドワイヤを提供す
るものである。

（作用） 本発明の医療用ガイドワイヤにおいてはオス型ルアー
テーパー及びメス型ルアーテーパーを備えたコネクター
にカテーテルのハブ及びシリンジをそれぞれ接続するこ
とができ、これによりガイドワイヤがカテーテル内に導
入されたままの状態で薬液、造影剤、塞栓物質等を血管
等に注入することができる。

さらに、前部外筒と後部外筒との嵌合をゆるめ又は離
脱させることにより、チャック部材によるワイヤ本体の
固定を解き、これによりコネクター全体をワイヤ本体か
ら切り離すことが可能となる。したがって、ワイヤ本体
を血管等に導入したままの状態でカテーテルの変換が可
能となる。

（実施例） 第１図乃至第４図は本発明の一実施例に係わる医療用
ガイドワイヤを示すものであって、ワイヤ本体10と、こ
のワイヤ本体10の基端部10aに、ワイヤ本体10との間に
液体流通路11を形成しつつ、着脱自在に取着されたコネ
クター12とからなっている。

このコネクター12は、その先方側に位置し先端部にオ
ス型ルアーテーパー13aを有し後端部内壁面にネジ部13b
を有する前部外筒13と、コネクター12の後方側に位置し
先端部外周面にネジ部14aを有していて前部外筒13のネ
ジ部13bと螺合し、後端部にメス型ルアーテーパー14bを
有する後部外筒14と、前方部が前部外筒13内に、後方部
が後部外筒内に収納された筒状のチャック部材15（例え
ばコレットチャック）からなっている。このチャック部
材15を第２図乃至第４図を参照してさらに詳述すると、
その長手方向中央部分から先端部近傍にかけて外径が徐
徐に拡大するテーパ15aが形成され、さらにこのテーパ
ー形成部から先端にかけて軸芯中空部15bに達する３本
のスリット15cが等間隔に設けられている。前部外筒13
に後部外筒14を深くねじ込みことにより、チャック部材
15のテーパー15a外面に後部外筒14の先端部内壁面が当
接しつつ移動し、この時の後部外筒14の押圧によりこの
スリット15c形成部が軸芯中空部15bに向って押され収縮
し、ワイヤ本体10を周りから締め付けワイヤ本体10が挾
持固定されるようになる。このワイヤ本体10の固定時に
おいても、液体はチャック部材15後端部（第４図の中空
部（液体流通路11）からスリット15cを経て前部外筒13
の液体流通路11に向けて自由に流通し得る。

ワイヤ本体10をこの締め付け状態から解放させる場合
は前部外筒13と後部外筒14との嵌合深さを浅くする方法
にこれらのいずれか一方を回転させれば後部外筒14によ
る押圧が緩るまりチャック部材15の復元力により、ワイ
ヤ本体10をチャック部材15からあるいはコネクター12全
体から取りはずすことができる。このチャック部材15、
前部外筒13、後部外筒14は任意の合成樹脂、金属等から
成形し得るが、好ましくは熱可塑性の合成樹脂を用いて
成形される。

ワイヤ本体10としては特に制限はなく、金属線、例え
ば外径0.6mmのNi−Ti（原子比:Ni＞50.3％）合金からつ
くられた超弾性線からなり、その長さはカテーテルをオ
ス型ルアーテーパー13aに嵌合させたとき、先端が15〜5
0mm突出する程度が通常好ましいが、場合によっては50m
m以上突出するもの、又はカテーテル内に納まるもので
あってもよい。

このワイヤ本体10は例えば特開昭61−45775号公報に
開示されているのと同様の方法によりウレタン樹脂で被
覆し、表面改質を図るようにしてもよい。さらにその外
表面を水溶性高分子、例えばポリビニルピロリドン、メ
リルビニルエーテル無水マレイン酸ナトリウム、ポリア
クリルアミド加水分解物、アルギン酸ナトリウム、ポリ
ビニルスルホン酸ソーダ、メチルビニルエーテル無水マ
レイン酸のアンモニウム塩、ポリアクリルアミド四級化
物等で被覆し、水又は水溶性液て濡らすことにより潤滑
性をもたせるようにしてもよい。

ワイヤ本体10の先端部は導入すべき血管の形状に合わ
せて若干折曲（又は弯曲）させたものであってもよい。
ワイヤ本体10にはその被覆樹脂等を介してＸ線不透過性
物質を混入し、Ｘ線造影装置等を利用してカテーテル本
体１の血管内への導入をより円滑におこなうようにして
もよい。

第５図及び第６図は本発明の他の実施例を示すもので
あって、オス型ルアーテーパー13aに接続されたカテー
テルからの血液の漏れを防止するため、コネクター12の
中腹部に液体通路を適宣遮断し得る二方活栓16が回動自
在に設けられている。この二方活栓16は略円柱状をな
し、その中間部分にコネクター12の中空部11aと略合致
する断面円形の透孔16aが貫通されていれて、一端に突
設された摘み16bを介して二方活栓16を回動させること
により、コネクター12の中空部11aの通路を解放させた
り、遮断させたりすることができる。なお、その他の構
成については第１図乃至第４図に示した例と同一である
ので同一符号を付すことにより、その説明を省略する。

次に、上記構成の本発明の医療用ガイドワイヤの使用
方法について説明する。

まず、第７図に示す如くワイヤ本体10をカテーテル18
のハブ18aから導入し、オス型ルアーテーパー13aをカテ
ーテル18のハブ内のメス型ルアーテーパー内に嵌合させ
る。その状態でワイヤ本体10の突出長を適当に調節しな
がら血管内の目的部位にワイヤ本体10をカテーテル18と
ともに導入させる。ついで、ガイドワイヤのコネクタ12
のメス型ルアーテーパー14bにシリンジ19のオス型ルア
ーテーパー部19aを挿入し、液体、造影剤等の注入をお
こなう。注入された薬液等はコネクター12の中空部11a
を通り、さらにカテーテル18内部を経て血管内の目的部
位まで導入される。また、必要に応じ、二方活栓16を回
動し、コネクター12内の通路を遮断しカテーテルからの
血液が逆流漏出するのを防止することができる。

さらに、ワイヤ本体10をカテーテル18とともに血管等
に導入したままの状態でカテーテルを交換したい場合は
前部外筒13と後部外筒14との嵌合を緩め、コネクター12
全体をワイヤ本体10から取はずし、ワイヤ本体10を血管
等に挿入したままの状態でカテーテルのみをワイヤ本体
10の基端部10aから引き抜き、別のカテーテルをワイヤ
本体10の基端部10aから挿入し、ワイヤ本体10を介して
カテーテルを目的部位まで導入したのち、再びコネクタ
ー12をワイヤ本体10の基端部10aに挿入し、前部外筒13
又は後部外筒14を回転させチャック部材15を締め付けて
ワイヤ本体10の基端部10aを固定すればよい。

なお、上記実施例ではチャック部材15としてスリット
15cを３本等間隔に設けたものについて説明したが、こ
れに限らず、スリット15cを２本あるいは４本以上設け
たものでもよい。さらに前部外筒13、後部外筒14の嵌合
の仕方、チャック部材を向き等についても上記実施例に
限らず任意に変更し得る、例えば、チャック部材15の向
きを逆にし、後部外筒14が前部外筒13の上に被さるよう
にしてもよい。

（発明の効果） 以上、詳述した如く、本発明の医療用ガイドワイヤに
よれば、ワイヤ本体の基端に、オス型ルアーテーパー及
びメス型ルアーテーパーを備えたコネクターを設け、こ
れにカテーテルのハブ及びシリンジをそれぞれ接続させ
るようにしたから、血管内にカテーテルを導入させたの
ち、このガイドワイヤをカテーテルから抜去することな
く、挿入させたままの状態で薬液、造影剤等を血管内に
注入することができる。

さらに、コネクターはチャック部材を内蔵し、ワイヤ
本体基端部と着脱自在になっているため、ワイヤ本体を
体内に導入したままの状態でカテーテルを任意に交換す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係わる医療用ガイドワイヤの主要部を
示す断面図、第２図は第１図のガイドワイヤのコネクタ
ーに内蔵されたチャック部材のみを取出して示す側面
図、第３図は第１図のIII−III線に沿う断面図、第４図
は同じくIV−IV線に沿う断面図、第５図は本発明の医療
用ガイドワイヤの他の実施例を示す断面図、第６図は第
５図のガイドワイヤのIV−IV線に沿う断面図、第７図は
本発明の医療用ガイドワイヤの使用方法を説明する模式
図である。 図中、10……ワイヤ本体、11……液体流通路、11a……
中空部、12……コネクター、13……前部外筒、13a……
オス型ルアーテーパー、13b……ネジ部、14……後部外
筒、14a……ネジ部、14b……メス型ルアーテーパー、15
……チャック部材、15a……テーパー、15b……軸芯中空
部、15c……スリット、16……二方活栓、16a……透孔、
18……カテーテル、19……シリンジ。

Claims (5)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ワイヤ本体と、該ワイヤ本体の基端部に着
   脱自在に取着されたハブとを具備してなることを特徴と
   する医療用ガイドワイヤ。
2. 【請求項２】前記ハブがその先端から基端へ通ずる液体
   流通部を有する請求項１記載の医療用ガイドワイヤ。
3. 【請求項３】前記ハブが、該ハブの先方側に位置し先端
   部にオス型テーパー部を有する前部外筒と；該ハブの後
   方側に位置し、該前部外筒の後端側と嵌合し後端部にメ
   ス型テーパー部を有する後端外筒と；一部が上記前部外
   筒内に、他部が上記後部外筒内に収納され、外周面の一
   部にテーパー面が形成された筒状体からなり、該テーパ
   ー形成部から一方の端部にかけて軸心中空部に達する２
   以上のスリットが形成されていて、このスリット形成部
   分が該テーパー面と上記前部外筒又は後部外筒の内壁面
   との圧接により上記軸心中空部に向って収縮し上記ワイ
   ヤ本体を挾持固定するとともに該スリットを介して液体
   の流通を可能にしたチャック部材とからなることを特徴
   とする請求項２記載の医療用ガイドワイヤ。
4. 【請求項４】上記チャック部材収納部分より後端側のハ
   ブの一部に、その液体流通路を適宣遮断し得る弁機構が
   設けられている請求項３記載の医療用ガイドワイヤ。
5. 【請求項５】前記弁機構が２方活栓または３方活栓であ
   る請求項４記載の医療用ガイドワイヤ。