JP2921926B2 - 超電導導体の熱処理法 - Google Patents

超電導導体の熱処理法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、超電導導体の熱処理法に関するものであ
る。さらに詳しくは、この発明は、熱処理ムラをなくす
ことができ、大型、長尺の超電導導体をも均一に、かつ
確実に熱処理することのできる超電導導体の熱処理法に
関するものである。
(従来の技術) 従来より、Nb3Sn,Nb3Al等からなる超電導導体につい
ては、その製造過程で熱処理が必要となっており、たと
えば第3図に示したような熱処理法がこれまでに採用さ
れてきている。
すなわち、超電導コイル等の超電導導体(ア)を電気
炉(イ)内に配置するとともに、ここにHe,Ar,N2等の不
活性ガス(ウ)を導入し、この不活性ガス(ウ)雰囲気
下で超電導導体(ア)を所定の温度で熱処理する。近年
開発された電気・機械的特性を向上させるために内部流
路を形成した強制冷却型の核融合用超電導導体について
も、上記と同様に、電気炉(イ)を用いた不活性ガス
(ウ)雰囲気下での熱処理が行われている。
(発明が解決しようとする課題) しかしながら、この従来の熱処理法においては、超電
導導体(ア)が大型、長尺のものとなると、超電導導体
(ア)の部位により熱処理温度に差が生ずるという欠点
があった。この部位による熱処理の温度差によって、超
電導導体(ア)に熱処理ムラが生じ、不十分なものとな
り、その結果として超電導の生成に悪影響を及ぼすとい
う重大な問題があった。
この発明は、以上の超電導導体の通りの事情に鑑みて
なされたものであり、従来の超電導導体の熱処理法の欠
点を解消し、熱処理ムラをなくすことができ、大型、長
尺の超電導導体をも均一に、かつ確実に熱処理すること
のできる、改善された超電導導体の熱処理法を提供する
ことを目的としている。
(課題を解決するための手段) この発明は、上記の課題を解決するものとして、超電
導導体のあらかじめ形成された冷媒流路用の内部流路
に、冷媒に代え、熱処理温度にまで加熱した不活性ガス
を循環させ、熱処理を行うことを特徴とする超電導導体
の熱処理法を提供する。
(作用) この発明の超電導導体の熱処理法においては、超電導
導体の内部に形成した冷媒流路を熱処理に積極的に利用
し、ここに、冷媒に代え、所定の熱処理温度にまで加熱
した不活性ガスを循環させて熱処理を行う。大型、長尺
の超電導導体の熱処理の場合にも、その部位による温度
差を防止し、均一で、しかも確実な熱処理を行うことが
できる。
(実施例) 以下、図面に沿って実施例を示し、この発明の超電導
導体の熱処理法についてさらに詳しく説明する。
第1図は、この発明の超電導導体の熱処理法を例示し
た概念図である。
この第1図に例示したように、この発明の超電導導体
の熱処理においては、超電導コイル等の超電導導体
(1)の内部に形成した冷媒流通用の内部流路を利用
し、ここに、冷媒に代え、所定の熱処理温度にまで加熱
したHe,Ar,N2等の不活性ガス(2)を図中に示した矢印
方向に強制的に循環させて熱処理を行う。このようにし
て、超電導導体(1)が大型、長尺のものの場合にも、
その部位による熱処理の温度差を防止し、均一で、しか
も確実な熱処理を可能としている。熱処理ムラがなくな
り、安定な超電導を生成することができる。
この例においては、電気炉(3)で不活性ガス(2)
を所定の熱処理温度にまで加熱し、この加熱不活性ガス
(2)を循環ポンプ(4)で超電導導体(1)の内部流
路に循環させている。また、超電導導体(1)をも電気
炉(3)内に配置し、超電導導体(1)をその外部より
さらに熱処理することができるようにしてもいる。もち
ろん、このような配置構成については、この第1図に限
定されることはなく、後述するような構成とすることも
でき、適宜なものとすることができる。循環ポンプ
(4)についても、電気炉(3)内に配置しても、ある
いは電気炉(3)外に配置してもよい。その配置位置に
ついては格別の制限はない。たとえば循環ポンプ(4)
を電気炉(3)の外部に配置すると、電気炉(3)を小
型化することが可能となる。
第2図は、この発明の別の例を示した概念図である。
この例においては、超電導導体(1)および循環ポン
プ(4)を電気炉(3)の外部に配置し、超電導導体
(1)を断熱箱(5)の内部に配置している。電気炉
(3)では、超電導導体(1)野内部流路を循環ポンプ
(4)により循環させる不活性ガス(2)だけを加熱す
るようにしている。このようにすることで、電気炉
(3)をさらにコンパクトなものとすることができる。
もちろんこの発明は、以上の例によって限定されるも
のではない。超電導導体の形状、構造および材質、不活
性ガスの種類や熱処理温度等の細部については様々な態
様が可能であることはいうまでもない。
(発明の効果) 以上詳しく説明した通り、この発明によって、部位に
よる温度差のない均一で、しかも確実な超電導コイル等
の超電導導体の熱処理が実現される。大型、長尺の超電
導導体にも均一で確実な熱処理を行うことができる。ま
た、電気炉のコンパクト化も図れる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の超電導導体の熱処理法を例示した
概念図である。 第2図は、この発明の別の例を示した概念図である。 第3図は、従来の超電導導体の熱処理法を示した概念図
である。 1…超電導導体 2…不活性ガス 3…電気炉 4…循環ポンプ 5…断熱箱
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01B 13/00 561 H01B 13/00 561Z H01F 6/06 H01F 5/08 N (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/00 C21D 1/34 101 C21D 9/08 C21D 1/74 H01B 13/00 561 H01B 12/02 H01F 6/06

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超電導導体のあらかじめ形成された冷媒流
    路用の内部流路に、冷媒に代え、熱処理温度にまで加熱
    した不活性ガスを循環させ、熱処理を行うことを特徴と
    する超電導導体の熱処理法。
  2. 【請求項2】超電導導体を、不活性ガスを加熱する電気
    炉内に配置し、超電導導体をその外部よりも熱処理する
    請求項(1)記載の超電導導体の熱処理法。
  3. 【請求項3】不活性ガス循環用の循環ポンプを電気炉の
    外部に配置する請求項(2)記載の超電導導体の熱処理
    法。
  4. 【請求項4】超電導導体を断熱箱の内部に配置し、不活
    性ガス循環用の循環ポンプを、不活性ガスを加熱する電
    気炉の外部に配置する請求項(1)記載の超電導導体の
    熱処理法。
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